(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例1】
【0015】
図1〜
図11は実施例1を示す。1は味噌汁供給装置である。この味噌汁供給装置1は、水と液状物である液状味噌を貯蔵し、水を加熱して得られた湯と、液状味噌を器2に送って味噌汁を供給するものである。
【0016】
前記味噌汁供給装置1は、器置き部3を有する本体4と、湯を前記器置き部3に載置した器2に送る給湯手段5と、液状物容器である味噌容器6と、この味噌容器6に着脱可能に取り付けられ該味噌容器6内の液状味噌を吐出させる容積型ポンプ7とを備える。そして、これら味噌容器6と容積型ポンプ7とで、液状物供給装置8が構成される。なお、本実施例では、「液状物」とはペースト状の液状味噌を指すが、「液状物」の範囲は、本実施例のようなペースト状のものの他、粘度の低いサラリとした状態のもの、或いは、流動可能であれば、ゼリー状のものやクリーム状のものも含む。要は、前記容積型ポンプ7により送ることができる、流動性を有する状態のものであれば、本発明において「液状物」に含まれる。
【0017】
前記本体4は、合成樹脂製でケース状をなし、左右方向より前後方向及び上下方向が長く形成されている。本体4の前側開口部には、
図9に示す本体前部11が装着され、この本体前部11の下部に前記器置き部3が着脱可能に設けられる。この器置き部3は、皿状をなす滴受け部12の上部に目皿13が着脱可能に装着され、その器置き部3の後部に設けた永久磁石14が、本体前部11の下部前面に吸着して、前記本体4に着脱自在に装着される。
【0018】
前記本体前部11の下側には、後側に凹んだ凹部15が形成され、この凹部15の上部に給湯口16が露出して設けられている。また、前記本体4の上部には、前記味噌容器6の装着部17が設けられている。この装着部17の前側には開閉ドア18が設けられ、この開閉ドア18を閉めると、前記装着部17に装着された前記味噌容器6の前側下部が、前記開閉ドア18により覆われる。
【0019】
なお、前記開閉ドア18は、左右方向一側(左側)が縦方向のヒンジ部(図示せず)により前記本体前部11に回動可能に連結されると共に、左右方向他側に設けられたロック機構20が前記本体前部11に係止して、閉成状態が保持される。また、前記開閉ドア18の左右方向他側に設けられたロック解除ボタン21を押して操作することにより、前記ロック機構20による前記係止が解除され、前記開閉ドア18を開くことができる。そして、前記開閉ドア18を開くと、前記装着部17から前記味噌容器6を取り外すことができる。
【0020】
前記味噌容器6は、PETボトル等からなる有底角筒型の容器本体22と、この容器本体22の上部首部の開口23に取り付けたキャップ24とを備える。このキャップ24は、前記開口23に固定したキャップ本体24Aと、このキャップ本体24Aに開閉可能に設けられた蓋体24Bとからなり、この蓋体24Bは一側を前記キャップ本体24Aにヒンジ部24Cにより連結して開閉する。そして、前記蓋体24Bを開き、上下を反転した状態で、前記キャップ24に前記容積型ポンプ7が着脱自在に取り付けられる。
【0021】
図2〜
図6等に示すように、前記容積型ポンプ7は、略円筒形のポンプケース25を備え、このポンプケース25の上部には、前記キャップ本体24Aを着脱自在に取り付ける受け部26が設けられている。この受け部26は略円筒状をなし、その外周に左右一対の取付部27,27を設け、これら取付部27,27に左右のホルダー28,28を枢着ピン29,29により回動可能に連結している。左右の前記ホルダー28,28は湾曲状をなし、一方である右側のホルダー28の先端内周に係止部30が設けられ、他方である左側のホルダー28の先端外周に係止受け部30Aが設けられている。そして、前記受け部26に前記キャップ本体24Aを挿入した状態で、前記係止受け部30Aに係止部30を係止することにより、左右のホルダー28,28が前記キャップ本体24Aを挟着し、反転した前記味噌容器6の下部に前記容積型ポンプ7が装着される。また、前記受け部26には切り欠き部26Kを設け、この切り欠き部26Kに前記蓋体24Bのヒンジ部24Cが挿通される。そして、前記蓋体24Bを外嵌する横筒部31が、前記ポンプケース25の外周に突設されている。なお、前記ホルダー28,28が、開成したキャップ24に前記容積型ポンプ7を着脱可能に取り付ける着脱手段である。
【0022】
前記容積型ポンプ7は、前記ポンプケース25内に装着された外筒32と、この外筒32に対して下部で軸方向に出没自在に往復動する内筒33とを備える。なお、前記外筒32と内筒33は同心状に設けられている。前記外筒32内には、シリンダ室34が設けられ、このシリンダ室34の内周面と、前記内筒33の外周面との間には間隙35が設けられている。また、内筒33の上端側外周に周溝33Aを設け、この周溝33Aに略リング状のシール部材36を装着している。このシール部材36は、弾性部材からなり、前記周溝部33Aに固定する内筒部36Aと、略円筒形の外筒部36Bと、これら内筒部36Aと外筒部36Bの長さ方向中央を連結する横方向の連結部36Cとを一体に備える。そして、
図2〜
図4等に示すように、外筒部36Bは、連結部36Cから軸方向両側に向って僅かに外周側に広がるように形成され、その外筒部36Bが前記シリンダ室34の内周面に摺動し、シリンダ室34の内周面と内筒33の外周面との間がシール部材36によりシールされる。なお、装着状態で、内筒部36Aの外周面と内筒33の外周面はほぼ面一になる。
【0023】
前記外筒32には、前記シリンダ室34の上部一側に第一逆止弁41を設けている。この第一逆止弁41は、弁室42の上部に前記味噌容器6に連通する上弁座孔43を設け、前記弁室42の下部に前記シリンダ室34に連通する受け孔44を設けると共に、球体からなる弁本体45が、前記上弁座孔43と受け孔44との間に設けられている。そして、前記弁本体45は、前記上弁座孔43に当接した状態では、この上弁座孔43を閉塞する。一方、前記弁本体45が受け孔44に係合した状態では、前記弁本体45と受け孔44との間に隙間が生じるので、前記弁室42とシリンダ室34とが連通する。なお、前記弁本体45はシリコーンゴム等の弾性材料からなる。そして、前記第一逆止弁41は、前記味噌容器6から前記シリンダ室34への液状味噌の流れを許容し、逆方向の流れを阻止するものである。
【0024】
また、前記内筒33の下部に第二逆止弁51を接続している。この第二逆止弁51としては、ダックビル逆止弁を用いている。前記第二逆止弁51は、両側面部52,52が先端側に向かって徐々に縮径して閉塞する端部53が配置されている。そして、この端部53には、例えば軸方向から見た形状がマイナス字状のスリット部54が形成されている。また、前記第二逆止弁51は、基端側に配置される開口する端部の周囲にフランジ部55が形成されており、このフランジ部55が前記内筒33の下端の拡大部33Kの下面と固定部材56とによって挟み込まれるようにして固定されている。なお、前記固定部材56は、前記拡大部33Kの内周に圧入されている。そして、前記第二逆止弁51は、前記内筒33とスリット部54を通して外部への液状味噌の流れを許容し、逆方向の流れを阻止するものである。
【0025】
なお、前記第二逆止弁51は、弾性材料からなるものであり、液状物に対する耐性を備えた材質、特にエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)からなることが好ましいが、例えばシリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)からなるものであっても構わない。
【0026】
さらに、前記内筒33には、前記拡大部33Kの下方に、前記内筒33より径大な接続部たる接続筒部57が設けられ、この接続筒部57の上下には、後述するアーム部92が係脱する上、下鍔部58U,58Sが周設されている。また、前記接続筒部57の下部には、前記第二逆止弁51を覆うノズル筒59が連結され、このノズル筒59の上部には径大な嵌合部60を設け、この嵌合部60を前記接続筒部57内に着脱可能に嵌入する。また、前記ノズル筒59の上部内周は、上側に拡大する拡大部61を有し、この拡大部61内に前記第二逆止弁51の先端側が非接触状態で収納される。なお、ノズル筒59の内径寸法は、前記スリット部54の長さ寸法より大きい。
【0027】
前記外筒32の下部外周に雄螺子部62を設け、この雄螺子部62に下蓋体63の雌螺子部64を螺合することにより、前記外筒32に前記下蓋体63が固定されると共に、この下蓋体63の蓋部65により前記外筒32の下端が閉塞される。そして、前記蓋部65の中央には、前記内筒33を挿通する挿通孔65Sが穿設されている。また、前記蓋部65の上面における前記挿通孔65Sの周囲と、前記連結部36Cとの間に、上方付勢手段である圧縮コイルバネ66を設け、この圧縮コイルバネ66により前記内筒33が常時上方に付勢されている。なお、
図3に示すように、前記下蓋体63は、使用状態で前記ポンプケース25の下側に位置する。
【0028】
そして、前記シリンダ室34の底部たる底面部34Tの中央には、下向きの突部67を設けている。この突部67は、筒状をなし、前記内筒33の内径とほぼ等しく形成されている。また、前記突部67の下端側には、下方に向って縮小するテーパー部67Aが形成されている。そして、
図2に示すように、前記内筒33の上限位置で、この内筒33内に前記突部67が挿入され、前記内筒33の上部開口を閉塞する。この場合、前記テーパー部67Aにより、前記内筒33内に前記突部67がスムーズに挿入される。また、前記内筒33の上限位置が初期位置である。なお、
図3等に示すように、前記底面部34Tは、使用状態で外筒32の上側となる。
【0029】
前記底面部34Tの上部には、間隔をおいて、味噌容器6内と外筒32の外部とを仕切る仕切り板68を設け、この仕切り板68に連通孔68Rを設け、この連通孔68Rに第三逆止弁69を接続し、この第三逆止弁69として前記ダックビル逆止弁を用いている。なお、前記第三逆止弁69は、前記第二逆止弁51と同一の構造なので、各部分について前記第二逆止弁51と同一の符号を付し、その説明を省略する。前記第三逆止弁69は、スリット部54を設けた先端側が前記味噌容器6側に設けられている。この結果、前記第三逆止弁69は、前記外筒32の外部から前記味噌容器6への吸気を許容する一方、前記味噌容器6内の液状味噌の外部への流出を阻止するように構成されている。また、前記ポンプケース25には、前記連通孔68Rと連通する通気孔25Tが穿設されている。
【0030】
前記本体4の後部には、水タンク71が着脱可能に設けられている。この水タンク71の上部開口には、タンク蓋72が着脱可能に設けられている。また、前記水タンク71の底面中央には、給水バルブ73が設けられ、前記本体4から前記水タンク71を外した状態で、前記給水バルブ73が閉成する。なお、前記水タンク71の前面上部には、フック状の係止部74を設け、この係止部74が係脱する係止受け部74Aを前記本体4の後面に設けている。
【0031】
前記本体4の後底部には、タンク受け部75が設けられ、このタンク受け部75に、前記給水バルブ73を接続する給水ソケット76が設けられている。そして、前記タンク受け部75上に前記水タンク71を載置状態で装着することにより、前記給水ソケット76に前記給水バルブ73が係合接続され、この給水バルブ73が開成し、前記水タンク71内の水が前記本体4内に供給可能となる。そして、この水は流量計81へと流れる。
【0032】
前記流量計81の下流には、圧送手段たるソレノイドポンプ82が接続されている。このソレノイドポンプ82は、送水量を制御可能なものであり、制御手段たるマイクロコントローラーユニット83に前記流量計81及びソレノイドポンプ82がそれぞれ電気的に接続されている。そして、前記流量計81から得られた流量に基づき、前記ソレノイドポンプ82の送水量が所定量になるように、前記マイクロコントローラーユニット83による制御が行われる。なお、前記流量計81とソレノイドポンプ82は、前記本体4に内蔵されている。
【0033】
前記本体4内のほぼ中央に加熱タンク84を設け、この加熱タンク84と前記ソレノイドポンプ82の吐出し側とを流路たるチューブ85により接続している。前記加熱タンク84には、この加熱タンク84内の水を加熱する電気ヒーター86と、サーミスタ等からなる温度センサ86Sが設けられている。これら電気ヒーター86と温度センサ86Sは、前記マイクロコントローラーユニット83に電気的に接続され、このマイクロコントローラーユニット83の制御により前記加熱タンク84内の湯が所定温度に保たれる。
【0034】
前記加熱タンク84と減圧整流器87とが管路88により連結されると共に、前記減圧整流器87の下流に、前記給湯口16が接続されている。そして、前記ソレノイドポンプ82により前記加熱タンク84内に送られた水の量と同量のお湯が、前記加熱タンク84から前記減圧整流器87に送られ、前記給湯口16から吐出されるように構成されている。前記減圧整流器87は、前記管路88の断面に比べて大きな空間を有し、この管路88を圧送された湯が、この管路88内から流れ落ちて開放されることにより減圧され、前記減圧整流器87の斜めの底面87Tに沿って湯が流れて前記給湯口16から前記器2に落下供給される。なお、前記底面87Tは、後側から前側(即ち給湯口16側)に向かって低くなるように形成されている。そして、前記ソレノイドポンプ82、加熱タンク84、電気ヒーター86及び減圧整流器87により、前記給湯手段5が構成されている。
【0035】
次に、前記容積型ポンプ7の往復機構91について説明する。この往復機構91は、前記本体4内に設けられており、
図9等に示すように、平面略U字状のアーム部92を備えた昇降体93と、この昇降体93の左右に挿通した左右の案内杆94,94と、この左右の案内杆94,94の上下を固定したホルダー95とを備え、このホルダー95が前記本体4内において位置固定されている。そして、縦方向の案内杆94の上下部分は、前記ホルダー95の固定部95A,95Aに固定され、前記昇降体93が前記案内杆94,94に沿って上下に昇降する。
【0036】
また、前記ホルダー95の後面には、駆動源たるモーター96が固定され、このモーター96の回転軸96Aに偏心カム97が連結されている。この偏心カム97は円盤型をなし、前記モーター96の回転軸96Aが前記カム97の中心から偏心した位置に連結されている。さらに、前記昇降体93の後面には凹部状のカム受け部98が設けられ、このカム受け部98の上面部98U及び下面部98Sが前記偏心カム97に係合する。即ち、前記往復機構91は、前記偏心カム97とカム受け部98によって前記モーター96の回転運動を往復運動に変換する、所謂スコッチヨーク機構を有する。また、前記ホルダー95にはカウンター基板99が設けられ、前記昇降体93には検出子93Kが設けられ、この検出子93Kを前記カウンター基板99が検出して、前記昇降体93の昇降回数を検出する。なお、前記モーター96及びカウンター基板99は、前記マイクロコントローラーユニット83に電気的に接続されている。そして、このマイクロコントローラーユニット83は、前記カウンター基板99で検出した昇降回数により、前記モーター96の駆動を制御する。
【0037】
従って、前記マイクロコントローラーユニット83の制御により、前記モーター96を駆動すると、前記偏心カム97が回転し、回転した偏心カム97が前記カム受け部98に係合することにより、初期位置の前記内筒33が降下する。そして、前記内筒33が降下すると、前記第一逆止弁41が開き、前記シリンダ室34が負圧となり、前記第二逆止弁51が閉成した状態で、前記味噌容器6内の液状味噌が前記シリンダ室34内に吸引される。前記味噌容器6内の液状味噌が吸引されることにより、前記味噌容器6内が負圧になると、前記第三逆止弁69が開いて、外気が前記味噌容器6内に供給され、この味噌容器6内の負圧が解消される。そして、
図3に示す下限位置まで前記内筒33が降下した後、この内筒33が上昇すると、前記第一逆止弁41が閉成し、前記シリンダ室34内の液状味噌が加圧され、前記第二逆止弁51が開成し、第二逆止弁51から液状味噌が吐出される。このように、前記内筒33が上限位置から下限位置まで降下し、下限位置から上限位置まで上昇することにより、1回の液状味噌の供給が行われる。そして、この1回の液状味噌の供給量は、定量、即ち単位量Uである。
【0038】
前記給湯口16の上部において、前記本体前部11には、前記アーム部92を挿通する開口部11Kが設けられている。また、この開口部11Kの上方の前記装着部17には、前記容積型ポンプ7及び味噌容器6を係合載置する係合受け部17Aを設けている。
【0039】
従って、前記開閉ドア18を開いた状態で、前記容積型ポンプ7及び味噌容器6を前記係合受け部17Aに係合載置すると共に、前記接続筒部57を前記アーム部92間に挿入して連結し、前記開閉ドア18を閉めることにより、前記本体4の前側上部の装着部17に前記味噌容器6を装着することができる。
【0040】
次に、
図10等に基づいて、前記味噌汁供給装置1の制御について説明する。前記本体4には、電源コード101が設けられ、この電源コード101を介して電源102より供給された電力により、前記味噌汁供給装置1が駆動する。また、前記本体4の下部一側には、電源スイッチ103が配置されている。そして、電源回路104から前記マイクロコントローラーユニット83を実装したメイン基板120や電気機器等に給電される。なお、前記電源回路104自体も、前記メイン基板120上に実装されている。そして、前記マイクロコントローラーユニット83には、制御の基準となるゼロクロス信号を得るためのゼロクロス検出回路105が電気的に接続されている。
【0041】
また、前記本体4の天板106には、発光表示部である複数のLEDと、複数のスイッチが設けられ、これらLEDとスイッチが、前記マイクロコントローラーユニットに電気的に接続されている。
図8に示すように、前後方向一方(前側)に、前記スイッチである三角形状の味噌濃度調整スイッチ107と、丸形状の味噌足しスイッチ107Aとが左右に並んで配置され、また、前後方向他方(後側)に、前記スイッチである三角形状の湯量設定スイッチ108と、丸形状のお湯足しスイッチ108Aとが左右に並んで配置されている。
【0042】
また、前記味噌濃度調整スイッチ107の隣りに並んで、小中大の発光部109S,109M,109Lが設けられ、前記味噌濃度調整スイッチ107を押すことにより、供給する味噌の濃さを調整することができる。具体的には、味噌汁を「薄い」「標準」「濃い」の何れかに設定することができ、「薄い」「標準」「濃い」に対応して、小・中・大の前記発光部109S,109M,109Lが、前記メイン基板120に実装された複数のLED100の何れかにより発光表示される。
【0043】
また、前記湯量設定スイッチ108の隣に並んで、大中小の発光部110S,110M,110Lが設けられ、前記湯量設定スイッチ108を押すことにより、供給する湯の量を調整することができる。具体的には、給湯量を「少ない」「標準」「多い」の何れかのモードに設定することができ、「少ない」「標準」「多い」に対応して、小・中・大の発光部110S,110M,110Lが、前記メイン基板120に実装された複数の前記LED100の何れかにより発光表示される。
【0044】
図8に示すように、前記開閉ドア18の上部には、スイッチたる調理スイッチ111が設けられ、この調理スイッチ111には、発光手段であるLED112が内蔵されている。また、前記本体4は、報知手段たるブザー113を備える。なお、前記調理スイッチ111とLED112は、給湯基板114に実装されている。
【0045】
前記メイン基板120は、前記ソレノイドポンプ82を駆動制御するソレノイドポンプ制御回路116を備え、このソレノイドポンプ制御回路116を介して、前記マイクロコントローラーユニット83に前記ソレノイドポンプ82が電気的に接続されている。また、前記メイン基板120は、前記ヒーター86を駆動制御するヒーター制御回路117を備え、このヒーター制御回路117を介して、前記マイクロコントローラーユニット83に前記ヒーター86が電気的に接続されている。また、前記メイン基板120は、前記モーター96を駆動制御するモーター制御回路118を備え、このモーター制御回路118を介して、前記マイクロコントローラーユニット83に前記モーター96が電気的に接続されている。
【0046】
また、前記メイン基板120は、メモリー119を実装しており、このメモリー119をマイクロコントローラーユニット83に電気的に接続している。そして、このメモリー119に、前記味噌汁供給装置1の駆動に係る初期設定が記憶され、また、前記スイッチ107,108による設定が記憶される。
【0047】
図10に示すように、マイクロコントローラーユニット83、電源回路104、ゼロクロス検出回路105、ヒーター制御回路117、ソレノイドポンプ制御回路116、モーター制御回路118、ブザー113、LED100、スイッチ107,108,107A,108A及びメモリー119がメイン基板120に設けられている。
【0048】
以下、前記マイクロコントローラーユニット83による制御の一例を説明する。電源コード101を前記電源102に接続し、前記電源スイッチ103を押し、前記味噌汁供給装置1をオンにする。なお、前記電源スイッチ103を押すと、前記LED100が点灯し、ブザー113が鳴る。初期設定では、味噌の濃さ(液状味噌量設定)及び湯量(給湯設定)は「標準」に設定されている。ここで、味噌濃度調整スイッチ107及び湯量設定スイッチ108を押すことにより、好ましい味噌の濃さ及び湯量に設定することができる。
【0049】
【表1】
【0050】
上記表1は、給湯設定と液状味噌量設定との関係を示し、「少ない」「標準」「多い」の湯量に対して、「薄い」「標準」「濃い」で、液状味噌の量が10.5%、12%、13.5%になるように設定している。また、前記シリンダ室34の大きさ等により、前記容積型ポンプ7は、1回に所定量Uである3グラムの液状味噌を前記器2に供給する。
【0051】
味噌汁の製造が開始されると、前記給湯手段5は給湯を開始する。そして、前記給湯手段5は、湯を設定量になるまで連続して供給する。この間に液状味噌はN回(Nは2以上の整数)に分けて断続的に供給される。なお、味噌汁の製造の開始初期では、前記容積型ポンプ7は動作しない。これを
図11に示すと、給湯設定が「標準」の場合、給湯開始から時間Ti(<T−t×Nmax)が経過した後、前記容積型ポンプ7が駆動し、液状味噌が時間t毎に3グラムずつ供給される。このように、前記器2に液状味噌を断続的に供給することにより、湯に味噌を均一に溶かすことができる。また、前記器2に予め少量給湯した後、液状味噌を少量ずつ断続的に供給することで、湯に味噌をより溶かしやすくすることができる。なお、本実施例では、給湯設定が「標準」の場合、全給湯時間Tは60秒(2.5ml/s)であり、Tiは、液状味噌量設定によらず10秒である。従って、前記容器2には、液状味噌の供給に先立って、25mlの湯が供給されることになる。この程度の量の湯が前記器2に貯められていれば、前記容積型ポンプ7によって液状味噌の供給が開始された際に、この液状味噌が前記器2の底に直接触れることがない。また、単位時間当たりの給湯量は一定であり、各回毎の液状味噌の供給時間tは一定である。そして、液状味噌量設定が「薄い」の場合、前記容積型ポンプ7が5回駆動し、液状味噌が時間t毎に3グラムずつ5回供給される。また、液状味噌量設定が「標準」の場合、前記容積型ポンプ7が6回駆動し、液状味噌が時間t毎に3グラムずつ6回供給される。更に、液状味噌量設定が「濃い」の場合、前記容積型ポンプ7が7回駆動し、液状味噌が時間t毎に3グラムずつ7回供給される。即ち、給湯設定が「標準」の場合、液状味噌の最大供給回数Nmaxは7であり、時間Ti<T−7tである。従って、液状味噌量設定によらず、液状味噌の供給が終了した時点で、湯の供給は終了しない。このため、液状味噌の供給終了後も、湯が時間Te(=T−Ti−t×N)供給される。なお、Nmaxは、給湯設定により異なり、給湯設定が「多い」の場合は8であり、「少ない」の場合は6である。また、単位時間当たりの給湯量が一定のため、全給湯時間Tも給湯設定により異なり、給湯設定が「多い」の場合は72秒、「少ない」の場合は48秒である。
【0052】
さらに、前記味噌足しスイッチ107Aを押すと、前記容積型ポンプ7が1回作動して液状味噌が所定量Uである3グラム追加供給され、また、前記湯足しスイッチ108Aを押すと、湯が48ミリリットル供給される。なお、複数回押すと、押した回数分だけ追加供給される。さらに、前記湯足しスイッチ108Aを所定時間以上、例えば3秒以上押し続けると、ドレインモードに切り替わり、湯が連続的に排出され、湯足しスイッチ108Aを押すことにより湯の排出が停止する。なお、最後の給湯設定と液状味噌量設定を前記メモリー119が記憶し、次回の使用時には記憶した給湯設定と液状味噌量設定に設定される。以上のように、前記マイクロコントローラーユニット83の制御が行われる。
【0053】
そして、液状味噌の供給が終わると、前記容積型ポンプ7の内筒33は上限位置に復帰する。この場合、前記圧縮コイルバネ66により前記内筒33が上方に付勢されているため、この内筒33内に前記突部67が挿入された状態に保持されるので、前記味噌容器6内の液状味噌が漏れることがない。
【0054】
一方、前記味噌容器6を交換したり、前記容積型ポンプ7の清掃をしたり、前記味噌容器6を冷所に保管したりする際には、前記ロック解除ボタン21を押して前記開閉ドア18のロックを解除し、この開閉ドア18を開き、前記装着部17から前記容積型ポンプ7と共に前記味噌容器6を取り外す。この味噌容器6を交換する場合は、前記ホルダー28,28を開いて新しい味噌容器6に前記容積型ポンプ7を取り付けた後、この容積型ポンプ7を取り付けた状態で、前記味噌容器6を前記装着部17に装着する。また、前記容積型ポンプ7を清掃する場合は、前記本体4から取り外した後、前記味噌容器6から前記容積型ポンプ7を取り外すことができるため、その清掃を容易に行うことができる。
【0055】
このように本実施例では、液状物容器たる味噌容器6と、この味噌容器6に取り付けられて液状物たる液状味噌を吐出させる容積型ポンプ7とを有する液状物供給装置において、前記容積型ポンプ7が、外筒32と、この外筒32に対し軸方向に出没自在に往復動する内筒33と、前記外筒32から前記味噌容器6への液状味噌の移動を阻止する第一逆止弁41と、外部から前記内筒33への空気の流入を阻止する第二逆止弁51を有すると共に、前記内筒33に、外部の往復機構91に接続される接続部たる接続筒部57を設けたから、前記容積型ポンプ7の内筒33が外部の前記往復機構91によって機械的に往復動させられるので、比較的短時間で複数回液状味噌を供給する場合であっても、確実に液状味噌を供給することができる。
【0056】
また、このように本実施例では、前記外筒32と内筒33の間に間隙35を設け、この間隙35をシールするためのシール部材36を前記内筒33に設けると共に、前記シール部材36と外筒32との間に圧縮コイルバネ66を設けたから、前記味噌容器6を前記容積型ポンプ7ごと味噌汁製造装置1から取り外した状態で、前記圧縮コイルバネ66によって前記内筒33が前記外筒32に対し引っ込んだ状態を維持するので、前記内筒33に外力が加わっても、前記味噌容器6内の液状物である液状味噌が漏れるのを抑制することができる。
【0057】
また、このように本実施例では、前記外筒32が有底であり、この外筒32の底部中央に、前記内筒33の内径とほぼ等しい突部67を設けたから、前記内筒33が前記外筒32に対し引っ込んだ状態において、前記内筒33が前記突部67によって塞がれるので、前記内筒33に外力が加わらない場合も、液状物たる液状味噌が漏れるのを抑制することができる。
【0058】
以下、実施例上の効果として、器置き部3を有する本体4と、湯を前記器置き部3の器2に送る給湯手段5と、味噌容器6と、この味噌容器6内の液状味噌を前記器2に送る容積型ポンプ7とを有する味噌汁供給装置1において、前記容積型ポンプ7が、前記給湯手段5による湯の供給と連動して、単位量Uの液状味噌をN回(Nは2以上の整数)供給することで、所定量U×Nの液状味噌を前記器2に供給するように構成されているから、少量である単位量Uずつ液状味噌を前記器2に供給しながら、湯も供給するので、後混合型でありながら、湯に対し味噌を十分溶かすことができる。また、後混合型なので、従来のような混合部が不要となり、使用後の手入れを容易に行うことができる。
【0059】
また、給湯時間をT、単位量Uの液状味噌の供給時間をt、最大供給回数をNmaxとした場合、前記給湯手段が前記器にT−t×Nmax以下の時間給湯した後、容積型ポンプ7が時間t毎に単位量Uを前記器2にN回供給するように制御されるから、液状味噌を確実に湯に溶くことができる。
【0060】
また、前記味噌容器6及び容積型ポンプ7を前記本体4に対し着脱可能としたから、前記容積型ポンプ7の清掃を容易にすることができるので、使用後の手入れをより容易にすることができる。
【0061】
さらに、実施例上の効果として、器置き部3が本体4から着脱可能であるから、取り外して洗浄などを容易に行うことができる。また、装着部17は開閉ドア18を開閉して味噌容器6を保持・取外し可能とするから、前記味噌容器6の交換などを容易に行うことができる。さらに、開成したキャップ24に容積型ポンプ7を着脱可能に取り付ける着脱手段たるホルダー28,28を備えるから、前記味噌容器6に前記容積型ポンプ7を簡便に取り付けることができる。また、圧縮コイルバネ66はシール部材36を付勢するから、内筒33に別個の係合部等を前記圧縮コイルバネ66用に設ける必要がない。さらに、第二逆止弁51はノズル筒59により覆われているから、露出することなく衛生的であり、また、前記ノズル筒59は着脱自在であるから、前記容積型ポンプ7の洗浄を容易に行うことできる。さらに、給湯手段5は減圧整流器87を備えるから、給湯口16から器2に湯を均一に供給することができる。また、往復機構91は、円盤型の偏心カム97と、この偏心カム97の中心から偏心した位置に回転軸96Aを連結したモーター96と、前記偏心カム97の回転により昇降するカム受け部98とを備えた所謂スコッチヨーク機構であり、カム受け98の昇降により前記容積型ポンプ7の内筒33が昇降するから、前記モーター96を一定速度で連続回転しても、液状味噌を断続的に供給することができ、制御が容易となる。また、前記装着部17に装着した状態で、前記味噌容器6の透明又は半透明の容器本体22は、倒立状態における下部を除いて外部に露出しているから、目視により液状味噌の残量を確認できる。さらに、湯量と液状味噌量を任意に設定できるため、使用者にとって好ましい量と濃さの味噌汁を得ることができる。また、前記容積型ポンプ7には、前記キャップ24の蓋体24Bを外嵌する蓋体受け部たる横筒部31を設けたから、前記蓋体24Bが邪魔にならず、前記味噌容器6から前記容積型ポンプ7を外し、前記味噌容器6の開口23を前記蓋体24Bにより塞ぐことができる。さらに、前記容積型ポンプ7の逆止弁51,69にダックビル逆止弁を用いたから、前記容積型ポンプ7の小型化が可能となる。また、接続筒部57の上下にはアーム部92が係脱する上,下鍔部58U,58Sが周設されているから、前記アーム部92が上,下鍔部58U,58Sに挟まれるため、前記アーム部92により前記接続筒部57を確実に昇降することができる。
【0062】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、使用する器は実施例で示したお椀形のものに限定されず、陶器製や合成樹脂製のカップや紙コップなどでもよい。