(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の表示素子は、さらに、X方向に配列された複数の表示素子から構成され前記第2表示素子列を挟んで前記第1表示素子列とは反対側に隣接する第3表示素子列の端部に位置する第3表示素子を含み、
前記第3表示素子のX方向の位置が前記第1表示素子のX方向の位置と異なり、
前記第3表示素子と前記第1表示素子との間のX方向の距離が、前記第3表示素子と前記第2表示素子との間のX方向の距離と異なり、
前記第3表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔が前記第1表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔と略同一である、
請求項1に記載の表示パネル装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る表示パネル装置は、基板上にX方向およびY方向に沿ってマトリクス状に設けられた複数の表示素子と、前記基板上における前記複数の表示素子が設けられた表示領域に隣接する領域に設けられ、前記表示領域内においてX方向に延在する複数の電源引込線を介して前記複数の表示素子と電気的に接続された電源幹線と、を備え、前記複数の表示素子は、X方向に配列された複数の表示素子から構成される第1表示素子列の端部に位置する第1表示素子と、X方向に配列された複数の表示素子から構成され前記第1表示素子列にY方向に隣接する第2表示素子列の端部に位置する第2表示素子とを含み、前記第1表示素子のX方向の位置が前記第2表示素子のX方向の位置と異なり、前記第1表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔が前記第2表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔と略同一である。これにより、異形にしても表示性能を損なわれにくくすることができる。
【0011】
また、前記複数の表示素子は、さらに、X方向に配列された複数の表示素子から構成され前記第2表示素子列を挟んで前記第1表示素子列とは反対側に隣接する第3表示素子列の端部に位置する第3表示素子を含み、前記第3表示素子のX方向の位置が前記第1表示素子のX方向の位置と異なり、前記第3表示素子と前記第1表示素子との間のX方向の距離が、前記第3表示素子と前記第2表示素子との間のX方向の距離と異なり、前記第3表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔が前記第1表示素子と前記電源幹線のX方向の間隔と略同一であることとしてもよい。
【0012】
また、前記電源幹線は、前記第1表示素子のX方向側に位置する第1領域と前記第2表示素子のX方向側に位置する第2領域とを含み、前記第1領域の前記表示領域側の端部の位置が前記第2領域の前記表示領域側の端部の位置に対して、前記第1表示素子と前記第2表示素子との間のX方向の距離と略同一の距離だけX方向にずれていることとしてもよい。
【0013】
また、前記電源幹線は、前記第1表示素子のX方向側に位置する第1領域と前記第2表示素子のX方向側に位置する第2領域とを含み、前記電源幹線の前記表示領域とは反対側の端部の形状が、前記第1領域および前記第2領域を含む領域において、曲線形状、または、鈍角で屈曲した屈曲形状であることとしてもよい。これにより、電源幹線上に保護膜を設けた場合に保護膜の封止性を高めることができる。
【0014】
また、前記電源幹線は、前記第1表示素子のX方向側に位置する第1領域と前記第2表示素子のX方向側に位置する第2領域とを含み、前記電源幹線の前記表示領域側の端部の形状、および、前記電源幹線の前記表示領域とは反対側の端部の形状が、何れも、前記第1領域および前記第2領域を含む領域において屈曲形状であり、前記電源幹線の前記表示領域とは反対側の端部の屈曲形状の屈曲の角度が、前記電源幹線の前記表示領域側の屈曲形状の屈曲の角度よりも大きいこととしてもよい。これにより、電源幹線上に保護膜を設けた場合に、前記電源幹線の前記表示領域とは反対側の端部の屈曲形状の屈曲の角度が、前記電源幹線の前記表示領域側の屈曲形状の屈曲の角度と同じとするときよりも、保護膜の封止性を高めることができる。
【0015】
また、前記電源幹線は、前記第1表示素子のX方向側に位置する第1領域と前記第2表示素子のX方向側に位置する第2領域とを含み、前記基板は、前記第1領域のX方向側に位置する領域および前記第2領域のX方向側に位置する領域において曲線状の外周形状を有し、前記電源幹線の前記表示領域とは反対側の端部の形状が、前記第1領域および前記第2領域を含む領域において、前記基板の外周形状に沿う曲線状の形状であることとしてもよい。これにより、電源幹線上に保護膜を設け、その保護膜が基板の端部まで到達している場合に、保護膜の封止性を高めることができる。
【0016】
また、さらに、前記電源幹線と前記表示領域との間に、前記電源幹線とは電気的に接続されないダミー表示素子を備えることとしてもよい。
また、前記複数の電源引込線は、第1電源引込線と、前記第1電源引込線よりもX方向の長さが短い第2電源引込線とを含み、前記第1電源引込線の断面積が、前記第2電源引込線の断面積よりも大きいこととしてもよい。これにより、第1電源引込線での電圧降下と第2電源引込線での電圧降下とを均一化することができ、その結果、より一層、表示性能を損なわれにくくすることができる。
【0017】
また、前記電源幹線は、前記基板上の第1配線層に設けられた第1電源幹線と、前記第1配線層上に絶縁層を挟んで存在する第2配線層に、前記第1電源幹線に沿って設けられ、前記絶縁層を貫通する複数のコンタクトホールを通じて前記第1電源幹線に電気的に接続された第2電源幹線と、を含むこととしてもよい。これにより、電源幹線の実質的な断面積を増大させることができ、その結果、電源幹線での電圧降下を低減することができる。
【0018】
また、前記電源幹線は、前記第1表示素子のX方向側に位置する第1領域と前記第2表示素子のX方向側に位置する第2領域とを含み、前記複数のコンタクトホールは、前記第1領域に存在する第1コンタクトホールと、前記第2領域に存在する第2コンタクトホールとを含み、前記複数の電源引込線は、前記第1領域に接続された第1電源引込線と、前記第2領域に接続された第2電源引込線とを含み、前記第1電源引込線の前記第1領域に接続された箇所と前記第1コンタクトホールとの間の距離が、前記第2電源引込線の前記第2領域に接続された箇所と前記第2コンタクトホールとの間の距離と略同一であることとしてもよい。これにより、第1電源引込線での電圧降下と第2電源引込線での電圧降下とをより一層均一化することができ、その結果、より一層、表示性能を損なわれにくくすることができる。
【0019】
<実施の形態>
以下、本発明に係る表示パネル装置および電子機器について、実施の形態に基づいて説明するが、本発明は、請求の範囲の記載に基づいて特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0020】
(表示パネル装置)
図1は、本発明の実施の形態に係る表示パネル装置を示す平面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る表示パネル装置200は、表示パネル210、第1のCOF(chip on film)220、および第2のCOF230を備える。
【0021】
図2は、
図1において二点鎖線Aで囲まれた領域を示す拡大平面図である。
表示パネル210における二点鎖線100の内側の表示領域110内には、
図2に示すように、表示素子の一例としての有機EL素子30が、X方向および当該X方向と直交するY方向に沿ってマトリクス状に設けられている。なお、本実施の形態では、X方向とY方向とが互いに直交しているが、本発明の一態様においてX方向とY方向とは必ずしも直交している必要はなく、交差する角度は任意である。
【0022】
各有機EL素子30のうち、符号に(R)を付しているものが赤色発光の有機EL素子30であり、符号に(G)を付しているものが緑色発光の有機EL素子30であり、符号に(B)を付しているものが青色発光の有機EL素子30である。各有機EL素子30がそれぞれ1サブピクセルに対応しており、発光色の異なる3つのサブピクセルを1組として1ピクセル(1画素)が構成されている。各有機EL素子30の発光を制御することによって、表示領域110に画像や文字等の情報が表示される。
【0023】
また、表示領域110には、データ線の一例であるソース配線(映像信号線)40と、選択配線の一例であるゲート配線(走査線)50と、電源引込線80が、それぞれ複数本ずつ設けられている。
各ソース配線40は、表示領域110にX方向に沿って設けられている。1本のソース配線40が、X方向に並んだ1行の有機EL素子30に対応している。すなわち、1本のソース配線40が、X方向に並んだ1行のサブピクセルに対応している。
【0024】
各ゲート配線50は、表示領域110にY方向に沿って設けられている。1本のゲート配線50が、Y方向に並んだ1列のピクセルに対応している。
各電源引込線80は、表示領域110にX方向に沿って設けられている。本実施の形態では、2本の電源引込線80が、X方向に並んだ1行のピクセルに対応している。1つのピクセルに着目すると、1本の電源引込線80が1つのサブピクセルに用いられ、もう1本の電源引込線80が2つのサブピクセルに共用されている。具体的には、1本の電源引込線80が有機EL素子30(R)に対応しており、もう1本の電源引込線80が有機EL素子30(G)および有機EL素子30(B)に対応している。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態に係る表示パネルの断面構造を示す模式断面図である。
図3に示すように、表示パネル210は、パネル基板1、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース電極4、ドレイン電極5、第1の隔壁部6、半導体層7、無機保護膜8、絶縁層9、下部電極10、第2の隔壁部11、有機層12、上部電極13、EL封止層14、封止層15、および封止基板16等を備える。そして、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース電極4、ドレイン電極5、第1の隔壁部6および半導体層7によって、薄膜トランジスタ20が構成されている。また、下部電極10、第2の隔壁部11、有機層12および上部電極13によって、有機EL素子30が構成されている。
【0026】
薄膜トランジスタ20は、パネル基板1上に、複数のボトムゲート型のアレイ状に形成されている。特に、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ20は、チャネル層となる半導体層7が有機材料によって構成された有機薄膜トランジスタであって、各半導体層7は、第1の隔壁部6に設けられた複数の開口6a内のそれぞれに有機材料を塗布することによって形成されている。また、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ20は、pチャネル型の駆動トランジスタであって、ドレイン電極5が有機EL素子30の下部電極10と電気的に接続されている。なお、
図3には、スイッチングトランジスタは図示されていない。以下において、薄膜トランジスタ20の各構成要素について詳述する。
【0027】
パネル基板1は、例えば、プラスチックフィルム等の可撓性を有する材料からなるフレキシブル基板である。パネル基板1がフレキシブル基板である場合は、パネル基板1の表面にSiNなどを主成分とするバリア層(図示せず)が少なくとも1層形成されていることが好ましい。
ゲート電極2は、パネル基板1上の所定の領域にパターン形成されており、単層構造または多層構造を有する。ゲート電極2は、導電性材料によって構成されており、導電性材料としては、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、W(タングステン)、Ti(チタン)、Cr(クロム)等の金属や、MoW(モリブデンタングステン)等の合金等が挙げられる。
【0028】
ゲート絶縁膜3(ゲート絶縁層)は、ゲート電極2上に形成されている。本実施の形態において、ゲート絶縁膜3は、全てのゲート電極2を覆うようにパネル基板1上の全面に亘って形成されている。ゲート絶縁膜3は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機絶縁膜によって構成されており、単層構造または多層構造を有する。なお、ゲート絶縁膜3は、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリプロピレン等の有機絶縁膜によって構成されていてもよい。
【0029】
一対のソース電極4およびドレイン電極5は、ゲート絶縁膜3上に形成されており、ゲート電極2の上方において所定の間隔をあけて対向配置されている。ソース電極4およびドレイン電極5は、導電性材料によって構成されており、導電性材料としては、モリブデン、タングステン等の金属や、モリブデンタングステン等の合金、またはそれら金属の合金等が挙げられる。
【0030】
本実施の形態において、ドレイン電極5は、半導体層7とは反対側の部分が延設されている。このドレイン電極5が延設された部分は、他の導電部と接続するための配線(配線層)として機能し、本実施の形態では、有機EL素子30の下部電極10と接続されている。
第1の隔壁部6は、ソース電極4上およびドレイン電極5上に形成されている。第1の隔壁部6によって、半導体層7が区画されている。第1の隔壁部6の隔壁は、半導体層7を形成する際に開口6a内に塗布した有機材料が開口6aの外へ流れ出さないようにせき止める機能を有する。第1の隔壁部6の開口6aは、ソース電極4の一部、ドレイン電極5の一部、およびゲート絶縁膜3の一部を露出させるように構成されている。
【0031】
第1の隔壁部6は、レジスト等の感光性樹脂を用いて形成することができ、この感光性樹脂を部分的に露光し現像することによって開口6aを形成することができる。なお、第1の隔壁部6に対して所定の表面処理を行うことにより、第1の隔壁部6の表面に撥水性を持たせることが好ましい。
半導体層7は、少なくともソース電極4およびドレイン電極5と接するように、第1の隔壁部6の開口6a内に形成される。半導体層7は、薄膜トランジスタ20のチャネル層として機能し、ゲート電極2の上方に形成されている。本実施の形態において、半導体層7は、ゲート絶縁膜3上、ソース電極4上、およびドレイン電極5上に形成されている。
【0032】
半導体層7は、塗布型の半導体層であり、インクジェット法等の印刷法によって形成することができる。塗布型の半導体層7としては、例えば、ペンタセン、フタロシアニン系、または、ポルフィリン系の可溶性の有機材料を用いた有機半導体層、または、IGZO(InGaZnOx)等の透明アモルファス酸化物を用いた酸化物半導体層がある。本実施の形態では、半導体層7として有機材料を用いている。
【0033】
なお、図示しないが、第1の隔壁部6の開口6a内において、半導体層7を保護するために半導体層7を覆うように有機保護膜を形成してもよい。有機保護膜としては、アクリルポリマー等の高分子材料あるいはアクリルモノマー等の低分子材料のような有機材料を用いることができる。有機保護膜を形成することによって、水分や酸素などが半導体層7へ侵入することを抑制することができる。
【0034】
無機保護膜8は、全ての薄膜トランジスタ20を覆うようにパネル基板1の上面全体の上方に形成されており、層間のリーク電流の発生を抑制する。本実施の形態において、無機保護膜8は、SiN(窒化珪素)膜上にSiO(酸化珪素)膜を積層させてなる多層構造を有する。
絶縁層9は、無機保護膜8の上方に形成される。本実施の形態において、絶縁層9は、パネル基板1の全面上方に形成された平坦化絶縁層である。絶縁層9は、層間のリーク電流の発生を抑制すると共に、薄膜トランジスタ20の表面を平坦化する厚膜の平坦化膜である。絶縁層9は、例えば、レジスト等の有機材料や、SOG(Spin On Glass)等の無機材料で形成することができる。
【0035】
また、絶縁層9には、有機EL素子30の下部電極10とドレイン電極5(ドレイン電極5の配線部分)とを接続するためのコンタクトホール9aが設けられている。コンタクトホール9aは、絶縁層9におけるドレイン電極5上の部分を除去することにより形成される。コンタクトホール9aを形成することによって、ドレイン電極5の表面を露出させることができ、コンタクトホール9aを介してドレイン電極5と下部電極10とを接続することができる。
【0036】
本実施の形態における有機EL素子30は、トップエミッション型の有機EL素子であって、絶縁層9上において画素単位(発光単位)で形成されている。以下において、有機EL素子30の各構成要素について詳述する。
下部電極10は、絶縁層9上に形成され、電流が流れ込む陽極(アノード)であって有機EL素子30の画素電極として機能する。また、本実施の形態における有機EL素子30はトップエミッション型であるので、下部電極10は反射電極として構成されている。反射電極としての下部電極10は、例えば、APC(アルミニウムや銀合金)などの反射金属(反射率の高い金属)の単層構造、あるいは、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明金属酸化物と、銀合金等の反射金属との2層構造とすることができる。下部電極10は、絶縁層9上の所定の領域にパターン形成されている。なお、ボトムエミッション型の有機EL素子とする場合、下部電極10は、インジウム錫酸化物などの透明金属酸化物のみからなる透明電極とする。
【0037】
また、上述のように、下部電極10は、絶縁層9を貫通するコンタクトホール9aを介して、薄膜トランジスタ20のドレイン電極5と電気的に接続されている。本実施の形態において、下部電極10は、コンタクトホール9aの底部において露出するドレイン電極5と接するように形成されている。これにより、下部電極10には、駆動トランジスタとしての薄膜トランジスタ20のドレイン電極5から、ソース配線40から供給されたデータ電圧に対応する電流が供給される。
【0038】
第2の隔壁部11は、有機EL層に形成されるELバンク層であって、絶縁層9上に形成される。第2の隔壁部11には、有機層12を区画するための複数の開口11aが設けられている。第2の隔壁部11は、レジスト等の感光性樹脂を用いて形成することができ、この感光性樹脂を部分的に露光および現像することによって開口11aを形成することができる。
【0039】
有機層12は、下部電極10上において画素単位で形成されており、所定の有機発光材料で構成される発光層を含む有機EL層である。発光層は、下部電極10と上部電極13とに所定の電圧が印加されることにより注入された電子と正孔とが再結合して生じるエネルギーにより発光層の発光材料が励起されて発光する。発光層は、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を用い、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)を用いた多層構造とすることができる。
【0040】
また、有機層12は、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層の全部または一部の層が積層されて構成される。この場合、例えば、正孔注入層としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)などの化合物などを用いることができ、正孔輸送層としては、トリフェルアミンやポリアニリンなどを用いることができ、電子注入層としては、PPV(ポリフェニレンビニレン)などを用いることができる。
【0041】
上部電極13は、電流が流れ出す陰極(カソード)であり、下部電極10に対して負の電圧を発光層に印加して、電子を発光層に注入する機能を有する。上部電極13は、下部電極10と対向するように形成された透明電極であって、有機層12上に形成される。なお、本実施の形態における上部電極13は、全ての有機EL素子30で共有される共通電極である。上部電極13は、透過率の高い材料および構造を用いることが好ましく、ITOまたはIZO(インジウム亜鉛酸化物)等の透明金属酸化物によって構成することができる。なお、本実施の形態において、上部電極13の電位は接地電位としている。
【0042】
EL封止層14は、全ての有機EL素子30を覆うようにパネル基板1の上面全体の上方に形成されており、有機EL素子30を封止して保護する。本実施の形態において、EL封止層14は、SiN膜からなる。EL封止層14は、パネル基板1の外周縁部の上方においては、無機保護膜8、絶縁層9、およびその上に形成された有機EL素子30の側面を覆っていると共に、ゲート絶縁膜3の上面における外周縁部3aをも覆っている。このような構成は、表示パネル210の製造工程において、パネル基板1上にソース電極4から封止基板16までの各層を積層させた積層体を形成後、その積層体における不要な外周部分をサイジングにより除去する際に、ゲート絶縁膜3上にEL封止層14が直接形成されている領域17にダイサーの刃18を当てカットすることで実現される。この構成により、ゲート絶縁膜3上に形成されたソース電極4から上部電極13までの各層が切断されることがなく、無機保護膜8、絶縁膜9、およびその上に形成された有機EL素子30の側面がEL封止層14によって覆われた状態を維持することができるため、薄膜トランジスタ20の内部および有機EL素子30の内部に積層構造の側方から水分やガスなどが侵入することを防止できる。
【0043】
封止層15は、有機EL素子30までが形成されたパネル基板1と封止基板16とを接合する接着層として機能するとともに、有機EL素子30を封止して保護する保護層としても機能する。封止層15の材料としては、例えば、アクリル系またはエポキシ系の樹脂などを用いることができる。なお、EL封止層14と封止層15との間に、さらに有機EL素子30を水分や酸素から保護するために薄膜封止層を形成してもよい。薄膜封止層の材料としては、例えば、SiNまたはSiON(酸窒化珪素)等の透明絶縁材料を用いることができる。
【0044】
封止基板16は、有機EL素子30を封止して有機EL素子30を外部から保護する基板である。すなわち、封止基板16は、表示パネル装置200の外面を形成する。封止基板16は、パネル基板1と同様、フレキシブル性を有する樹脂材料を用いるものであってもよい。封止基板16は、有機EL素子30の発光層から放出される光を透過するため、複数の画素のそれぞれに対応する有機EL素子30が所望に発光することによって、封止基板16に所望の画像が表示される。封止基板16としては、例えば透明ガラス基板を用いることができる。なお、必要に応じて封止基板16の内面に、赤色、緑色および青色の各色に対応するカラーフィルタを形成してもよく、この場合、封止基板16はカラーフィルタを通過した光を透過する。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態に係るサブピクセルの等価回路を示す回路図である。
図4に示すように、表示パネルの等価回路は、有機EL素子101(前述の有機EL素子30に相当)、有機EL素子101を駆動する駆動トランジスタである薄膜トランジスタ102(前述の薄膜トランジスタ20に相当)、有機EL素子101を選択するためのスイッチングトランジスタである薄膜トランジスタ103、およびコンデンサ104等で構成される。
【0046】
薄膜トランジスタ102のソース電極102S(前述のソース電極4に相当)は、電源引込線105(前述の電源引込線80に相当)に接続され、ドレイン電極102D(前述のドレイン電極5に相当)は有機EL素子101のアノード101A(前述の下部電極10に相当)に接続されている。
また、薄膜トランジスタ103のソース電極103Sは、ソース配線106(前述のソース配線40に相当)に接続され、ゲート電極103Gは、ゲート配線107(前述のゲート配線50に相当)に接続され、ドレイン電極103Dは、コンデンサ104および薄膜トランジスタ102のゲート電極102Gに接続されている。
【0047】
この構成において、ゲート配線107にゲート信号が入力され、薄膜トランジスタ103がオン状態になると、ソース配線106を介して供給された映像信号電圧がコンデンサ104に保持される。そして、コンデンサ104に書き込まれた保持電圧は、1フレーム期間を通じて保持される。この保持電圧により、薄膜トランジスタ102のコンダクタンスがアナログ的に変化し、発光階調に対応した駆動電流が、有機EL素子101のアノード101Aからカソード101Cへと流れる。これにより、各有機EL素子101が発光し、表示領域110に画像等が表示される。
【0048】
図1に戻り、再び表示パネル装置200の構成の説明を続ける。
第1のCOF220は、第1のFPC(flexible printed circuits)221上に、第1の駆動部としてのソースドライバ222が搭載された構成を有する。第2のCOF230は、第2のFPC(flexible printed circuits)231上に、第2の駆動部としてのゲートドライバ232が搭載された構成を有する。第1のCOF220は、表示パネル210のX方向一端側に配置されており、第2のCOF230は、表示パネル210のX方向他端側に配置されている。
【0049】
平面視において、パネル基板1の形状は異形であり、表示領域110の形状も異形である。表示領域110の形状が異形である点において、本実施の形態に係る表示パネル装置200は、一般的な表示パネル装置とは構成が異なる。
なお、異形とは、本願においては矩形(正方形を含む)でないことを意味する。表示領域が矩形である場合、表示領域のX方向の幅はY方向に沿って均一であり、表示領域のY方向の幅もX方向に沿って均一である。しかしながら、表示領域が異形である場合、表示領域のX方向の幅がY方向に沿って均一でないか、或いは、表示領域のY方向の幅がX方向に沿って均一でないか、或いは、それら両方の幅が均一でない。そのような場合は表示領域が矩形であるとは言えないため、異形であるとみなす。
【0050】
異形には、例えば、円形、半円形、楕円形、三角形、または五角形以上の多角形等が含まれる。また、矩形に対して少なくとも一部に凹部または凸部が形成された形状も異形に含まれる。本実施の形態における表示領域110は、矩形に対して1つのコーナー部に凹部が形成された形状であるとも言える。なお、異形が、
図1に示すような本実施の形態に係る表示領域110の形状に限られないのは言うまでもない。
【0051】
本実施の形態における表示領域110の形状を具体的に説明する。表示領域110の外周縁は、X方向一端縁111と、Y方向一端縁112と、X方向他端縁113と、Y方向他端縁114とで構成されている。X方向一端縁111は、直線状である。Y方向一端縁112は、X方向一端縁111のY方向一端と連続しており、X方向一端縁111とは直角を保っている。X方向他端縁113は、Y方向一端縁112のX方向他端と連続しており、Y方向一端縁112とは直角を保っていることからX方向他端縁113とは平行であるが、X方向一端縁111とは長さが異なる。それら長さの異なるX方向一端縁111およびX方向他端縁113を結ぶY方向他端縁114は、他の端縁111〜113のように全体に亘って直線状ではなく、一部において曲線の部分が存在しており、直線状の第1の直線部分114aおよび第2の直線部分114cと、それらを結ぶ曲線状の曲線部分114bとで構成されている。
【0052】
表示パネル210は、パネル基板1上に、表示領域110以外に、表示領域110を囲繞する外周領域(額縁領域)120を有する。
図1に示すように、パネル基板1上において、二点鎖線100の外側の領域が外周領域120である。外周領域120には、X方向一端縁111と隣接する領域121と、Y方向一端縁112と隣接する領域122と、X方向他端縁113と隣接する領域123と、Y方向他端縁114と隣接する領域124とが含まれる。
【0053】
図5は、データ配線および選択配線の配線経路を示す模式平面図である。
図5に示すように、表示領域110には、ソース配線40、ゲート配線50および電源引込線80が、それぞれ複数本ずつ設けられている。また、外周領域120には、ソース配線40に接続された第1の引き出し配線60と、ゲート配線50に接続された第2の引き出し配線70とが、それぞれ複数本ずつ設けられている。外周領域120には、さらに、電源引込線80に接続された電源幹線90が設けられている。
【0054】
図6は、データ配線、選択配線および電源配線の配線経路を階層ごとに示す模式斜視図である。
図6に示すように、各ゲート配線50の位置する階層は第1の配線層211であり、各ソース配線40および各電源引込線80の位置する階層は第2配線層212である。第1の配線層211はゲート電極2が形成されている層であり、第2の配線層212はソース電極4およびドレイン電極5が形成されている層であり、第1の配線層211と第2の配線層212の間にはゲート絶縁膜3が存在する(
図3参照)。
【0055】
図5に戻って、各第1の引き出し配線60は、表示領域110のX方向一端縁111において、それぞれに対応する1本のソース配線40と接続されており、外周領域120におけるX方向一端縁111と隣接する領域121にX方向に沿って引き出されている。各第1の引き出し配線60の位置する階層は、第2の配線層212である(
図6参照)。そして、各第1の引き出し配線60は、X方向一端縁111と隣接する領域121における接続領域224において、第1のCOF220の複数の接続配線223と、1対1の関係で接続されている。これにより、第1のCOF220のソースドライバ222と各第1の引き出し配線60とが、接続領域224において第1の接点61で接続されており、第1の引き出し配線60には、接続配線223を介してソースドライバ222から電圧が印加される。
【0056】
複数の第1の接点61が位置する接続領域224はY方向に沿った長尺状であり、複数の第1の接点61はY方向に沿って配列されている。本実施の形態に係る表示パネル装置200のようなX方向に長いフレキシブル表示パネル装置は、主にX方向に湾曲させて使用される。X方向に湾曲させる場合に、第1の接点61がY方向に沿って配列されていれば、すなわち接続領域224がY方向に沿った長尺状であれば、接続領域224に応力が加わり難く、第1の引き出し配線60と接続配線223との断線が起こりにくい。
【0057】
複数の第1の接点61のうちのY方向両端に位置する2つの第1の接点61(
図5におけるY方向一端に位置する第1の接点61(a)、および、Y方向他端に位置する第1の接点61(b)のことである。)は、表示領域110のX方向一端縁111の両端よりもY方向内側に位置している。このような構成とすれば、第1のCOF220のY方向の幅を、表示パネル210のY方向の幅よりも狭くし易く、表示パネル装置200のY方向における狭額縁化を実現しやすい。
【0058】
各第2の引き出し配線70は、表示領域110のY方向一端縁112において、それぞれに対応する1本のゲート配線50と、ゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール75を通じて接続されている(
図6参照)。そして、各第2の引き出し配線70は、外周領域120におけるY方向一端縁112と隣接する領域122にY方向に沿って引き出されている。さらに、各第2の引き出し配線70は、Y方向一端縁112と隣接する領域122から、X方向他端縁113と隣接する領域123まで延伸している。
【0059】
このような構成とすれば、第2のCOF230を表示パネル210のX方向他端側に配置することができる。すなわち、第2のCOF230を、表示パネル210を挟んで第1のCOFとは反対側に配置することができる。そのため、表示パネル装置200をY方向において狭額縁化することができる。特に、Y方向他端縁114と隣接する領域124を狭額縁化することができる。本実施の形態に係る表示パネル装置200は、一般的な表示パネル装置とは異なり、外周領域120におけるY方向他端縁114と隣接する領域124が特殊な形状である。このような特殊な形状の部分はデザイン的に目立つ部位であるため、このような部位を狭額縁化できれば、表示パネル装置200のデザイン性をより向上させることができる。
【0060】
また、
図6に示すように、第2の引き出し配線70は、第1の配線層211に位置する配線70Aと、第2の配線層212に位置する配線70Bとから構成される。配線70Aは、配線70Bに沿って延伸しており、ゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール73を通じて配線70Bと電気的に接続されている。第2の引き出し配線70は、引き回される距離が比較的長いので、第2の引き出し配線70の電気抵抗が増大しやすい。これに対して、本実施形態では、第2の引き出し配線70は、互いに平行に延伸する2本の配線70A、70Bから構成されている。これにより、第2の引き出し配線70の実質的な断面積を大きくすることができ、その結果、第2の引き出し配線70の電気抵抗の増大を抑制することができる。
【0061】
図5に戻って、本実施の形態に係る表示パネル210は、有機EL素子30の発光階調を変化させるためのアナログ信号が入力されるソース配線40に接続された第1の引き出し配線60ではなく、有機EL素子30のオン/オフを制御する信号が入力されるゲート配線50に接続された第2の引き出し配線70が引き回される構成であるため、表示パネル210の表示性能を良好に保つことができる。なぜなら、ソース配線40からソースドライバ222までの距離が長くなってアナログ信号値が劣化すると、表示パネル210の表示性能にダイレクトに悪影響を及ぼす可能性があるが、信号の劣化の影響が少ないゲート配線50に接続された第2の引き出し配線70であれば多少長くなっても、表示パネル210の表示性能に悪影響を及ぼしにくいからである。
【0062】
なお、Y方向一端縁112と隣接する領域122に引き出された第2の引出し配線70を、第1の引き出し配線60が配置されているX方向一端縁111と隣接する領域121まで延伸させることも技術的には可能である。しかしながら、そうすると、第1のCOF220と第2のCOF230の両方を表示パネル210のX方向一端側に並べて配置しなければならず、第1の引き出し配線60とソースドライバ222との接続領域224のY方向中心と、ソース配線40が引き出されるX方向一端縁111のY方向中心とのずれが大きくなり、結果的に一部の第1の引き出し配線60が長くなってしまう。したがって、第2の引き出し配線70は、第1の引き出し配線60が配置されていないX方向他端縁113と隣接する領域123に延伸されていることが好ましく、これにより第1の引き出し配線60が長くなってしまうことを抑制することができる。
【0063】
各第2の引き出し配線70は、X方向他端縁113と隣接する領域123における接続領域234において、第2のCOF230の複数の接続配線233と、1対1の関係で接続されている。これにより、第2のCOF220のゲートドライバ232と各第2の引き出し配線70とが、接続領域234において第2の接点71で接続されており、第2の引き出し配線70には、接続配線233を介してゲートドライバ232から電圧が印加される。
【0064】
複数の第2の接点71が位置する接続領域234はY方向に沿った長尺状であり、複数の第2の接点71はY方向に沿って配列されている。複数の第1の接点61が位置する接続領域224の場合と同様に、第2の接点71をY方向に沿って配列することにより、接続領域234がY方向に沿った長尺状となっているため、表示パネル装置200をX方向に湾曲させた際に接続領域234に応力が加わり難く、第2の引き出し配線70と接続配線233との断線が起こりにくい。
【0065】
複数の第2の接点71のうちのY方向一端に位置する第2の接点71(a)は、表示領域110のX方向他端縁113よりもY方向外側に位置している。このような構成とすれば、第2の引き出し配線70の引き回しの態様において屈曲させる箇所を減らすことができるため、配線パターンがよりシンプルになり、第2の引き出し配線70の断線やショートを抑制することができる。なお、Y方向他端に位置する第2の接点71(b)は、表示領域110のX方向他端縁113よりもY方向内側に位置している。
【0066】
本実施の形態では、外周領域120の幅が表示領域110のY方向一端側と他端側とで異なっている。具体的には、
図1に示すように、Y方向一端縁112と隣接する領域122よりも、Y方向他端縁114と隣接する領域124の方が、X方向の幅が狭い。このような構成は、Y方向他端縁114と隣接する領域124には、第1の引き出し配線60および第2の引き出し配線70を配置しないことによって実現している。このような構成とすれば、より狭額縁化または異形化が容易になるため、より表示性能および意匠性に優れた表示パネル装置200を得ることができる。
【0067】
各電源引込線80は、表示領域110にX方向に沿って設けられている。
図6に示すように、各電源引込線80の位置する階層は、第2配線層212である。
電源幹線90は、外周領域120に設けられている。そして、電源幹線90は、X方向一端縁111と隣接する領域121における接続領域224において、第1のCOF220の接続配線223と接続されている。これにより、第1のCOF220のソースドライバ222と電源幹線90とが、接続領域224において第1の接点61で接続されており、電源幹線90には、接続配線223を介してソースドライバ222から電源電圧が印加される。さらに、電源幹線90は、X方向他端縁113と隣接する領域123における接続領域234において、第2のCOF230の接続配線233と接続されている。これにより、第2のCOF230のゲートドライバ232と電源幹線90とが、接続領域234において第2の接点71で接続されており、電源幹線90には、接続配線233を介してゲートドライバ232から電源電圧が印加される。
【0068】
また、
図6に示すように、電源幹線90は、第1配線層211に位置する配線90Aと、第2配線層212に位置する配線90Bとから構成される。配線90Aは、第1配線層211において、X方向一端縁111、Y方向一端縁112、X方向他端縁113、Y方向他端縁114に沿って配されている。一方、配線90Bは、第2配線層212において、X方向他端縁113とY方向他端縁114に沿って配されている。配線90Aは、ゲート絶縁膜3に設けられたコンタクトホール83、85を通じて配線90Bに電気的に接続されている。
【0069】
このように、電源幹線90は、配線90A、90Bから構成されている。これにより、電源幹線90の実質的な断面積を大きくすることができ、電源幹線90内での電圧降下を抑制することができる。
また、
図6に示すように、第3配線層213には、ソースドライバ222から接地電位が印加される接地幹線95が設けられている。第3配線層213は、
図3では下部電極10が形成される層である。接地幹線95は、第3配線層213において、X方向一端縁111とY方向一端縁112に沿って配されている。そして、上部電極13は、外周領域120において接地幹線95に接続されている(不図示)。これにより、上部電極13に接地電位が印加される。また、前述の通り、上部電極13は、全ての有機EL素子30で共有されている。そのため、上部電極13における電位の面内均一性の向上が要求される。本実施形態では、接地幹線95がY方向一端縁112に沿う部分を有しているので、上部電極13のX方向における電圧降下を抑制することができ、その結果、X方向における電位の均一性の向上を図ることができる。同様に、接地幹線95がX方向一端縁111に沿う部分を有しているので、上部電極13のY方向における電圧降下を抑制することができ、その結果、Y方向における電位の均一性の向上を図ることができる。
【0070】
外周領域120の幅が表示領域110のY方向一端側と他端側とで異なっている場合、幅が広い領域には、電源幹線90および電源幹線95の両方が配置されているが、幅が狭い領域においては、電源幹線90および電源幹線95のいずれか一方が省略されていることが好ましい。
例えば、本実施の形態に係る表示パネル装置200のように、有機EL素子30と接続している薄膜トランジスタ20がn型である場合においては、幅が狭いY方向他端縁114と隣接する領域124において電源幹線95を省略し、電源幹線90のみを配置する。
図4に示す等価回路において、映像信号電圧がコンデンサ104に保持されるが、電源幹線90を残し、電源幹線95を省略することで、この容量Csに影響を与えることなく表示パネル装置200のY方向の幅を狭くすることができる。
【0071】
逆に、有機EL素子30と接続されている薄膜トランジスタ20がp型である場合においては、幅が狭いY方向他端縁114と隣接する領域124において電源幹線90を残し、電源幹線95を省略することで、同じく容量Csに影響を与えることなく、表示パネル装置200のY方向の幅を狭くすることができる。
図7は、
図1における二点鎖線で囲まれた領域Cの拡大図である。領域Cは、表示領域110の曲線部分である。同図には、ピクセル列P1〜P12が現われている。各ピクセル列は、X方向に配列された複数のピクセル32から構成される。
【0072】
図7に示すように、表示領域110の形状に合わせて、各ピクセル列P1〜P12の端部のピクセル32の位置が調整されている。例えば、ピクセル32
P4のX方向の位置は、ピクセル32
P5のX方向の位置と異なり、1ピクセル分の長さB1だけずれている。ピクセル32
P7のX方向の位置は、ピクセル32
P8のX方向の位置と異なり、1ピクセル分の長さB2だけずれている。ピクセル32
P10のX方向の位置は、ピクセル32
P11のX方向の位置と異なり、1ピクセル分の長さB3だけずれている。これにより、表示領域110に微視的には階段形状で巨視的には曲線形状の部分を設けることができる。なお、1ピクセル分の長さB1、B2、B3は互いに略同一である。また、各ピクセル列P1〜P12の端部のピクセル32の位置に合わせて、電源幹線90の各ピクセル列側の端部の位置が調整されている。電源幹線90は、各領域90
P4、90
P5、90
P7、90
P8、90
P10、90
P11を有する。領域90
P4〜90
P11は、それぞれピクセル32
P4〜32
P11のX方向側に位置する領域である。各領域90
P4〜90
P11のそれぞれの端部90
a4〜90
a11は、何れもY方向に略平行である。そして、電源幹線90の領域90
P4の端部90
a4の位置は、電源幹線90の領域90
P5の端部90
a5の位置と異なり、1ピクセル分の長さC1だけずれている。電源幹線90の領域90
P7の端部90
a7の位置は、電源幹線90の領域90
P8の端部90
a8の位置と異なり、1ピクセル分の長さC2だけずれている。電源幹線90の領域90
P10の端部90
a10の位置は、電源幹線90の領域90
P11の端部90
a11の位置と異なり、1ピクセル分の長さC3だけずれている。これにより、電源幹線90の各ピクセル側の端部の形状を微視的に階段形状とすることができる。なお、1ピクセル分の長さC1、C2、C3は互いに略同一である。以上の結果、ピクセル列の端部のピクセル32と電源幹線90とのX方向の間隔が、各ピクセル列P1〜P12で略同一となっている。具体的には、ピクセル32
P4と電源幹線90とのX方向の間隔A1は、ピクセル32
P5と電源幹線90とのX方向の間隔A2と略同一である。ピクセル32
P7と電源幹線90とのX方向の間隔A2は、ピクセル32
P8と電源幹線90とのX方向の間隔A3と略同一である。ピクセル32
P10と電源幹線90とのX方向の間隔A3は、ピクセル32
P11と電源幹線90とのX方向の間隔A4と略同一である。これにより、電源幹線90から各ピクセル列の端部のピクセル32に存在する表示素子30までの電源引込線80の長さが、各ピクセル列P1〜P12で略同一となる。従って、各ピクセル列P1〜P12での電源引込線80の電圧降下を均一化することができ、その結果、表示領域110に曲線部分を設けた場合でも、表示パネル210の表示性能が損なわれにくくすることができる。なお、本明細書では、「略同一」は、完全に一致している場合だけでなく、製造誤差で5%程度のばらつきが存在する場合も含む。
【0073】
また、
図7に示すように、表示領域110の階段形状の各段の幅(ピクセル列の数量)が互いに異なる。例えば、ピクセル列P1〜P4では、階段形状の1段の幅が4つのピクセル列分であり、ピクセル列P5〜P7では、階段形状の1段の幅が3つのピクセル列分である。このような場合、単に直線状の電源幹線をピクセル列に沿わせて配置しただけでは、各ピクセル列の端部のピクセルと電源幹線とのX方向の間隔を均一にすることができない。これに対して、本実施の形態では、表示領域110の階段形状と同じ階段形状の電源配線をピクセル列に沿わせて配置している。これにより、各ピクセル列の端部のピクセルと電源幹線とのX方向の間隔を均一にすることができる。
【0074】
また、表示領域110の階段形状の各段の幅(ピクセル列の数量)が2ピクセル分以上である場合にも、単に直線状の電源幹線をピクセル列に沿わせて配置しただけでは、各ピクセル列の端部のピクセルと電源幹線とのX方向の間隔を均一にすることができない。
別の表現では、次のようにも言える。
図7に示すように、ピクセル列P4、P5、P6に着目すると、ピクセル列P4、P5では端部のピクセル32
P4、32
P5の位置がX方向にずれているが、ピクセル列P5、P6では端部のピクセル32
P5、32
P6の位置がX方向に揃っている。即ち、ピクセル32
P4とピクセル32
P5との間のX方向の距離(1ピクセル分)が、ピクセル32
P5とピクセル32
P6との間のX方向の距離(0ピクセル分)と異なる。このような場合でも、電源幹線90の各領域90
P4、90
P5、90
P6の端部90
a4、90
a5、90
a6が何れもY方向に略平行なので、各ピクセル32
P4、32
P5、32
P6と電源幹線90とのX方向の間隔を互いに略同一にすることができる。
【0075】
なお、前述の通り、本実施形態では、電源幹線90は、第1配線層211に位置する配線90Aと第2配線層212に位置する配線90Bとから構成される。配線90Aと配線90Bはコンタクトホール83、85を通じて電気的に接続されている。ここで、
図7に示すように、各コンタクトホール83は、各電源引込線80に1対1で対応することとしてもよい。さらに、電源引込線80の電源幹線90に接続された箇所と、その電源引込線80に対応するコンタクトホール83との距離を、各電源引込線80において互いに略同一としてもよい。具体的には、
図7に示すように、電源幹線90の領域90
P4において、電源引込線80の電源幹線90に接続された箇所F1と、その電源引込線80に対応するコンタクトホール83との間に距離G1が存在する。また、電源幹線90の領域90
P5において、電源引込線80の電源幹線90に接続された箇所F2と、その電源引込線80に対応するコンタクトホール83との間に距離G2が存在する。これらの距離G1、G2が互いに略同一である。このようにすれば、各コンタクトホール83から対応する電源引込線80までの電圧降下を均一化することができ、より一層、表示パネル210の表示性能が損なわれにくくすることができる。
【0076】
また、
図7に示すように、電源幹線90の各ピクセル列側の端部の形状は、略直角で屈曲した屈曲形状である(領域D参照)。一方、電源幹線90の各ピクセル列とは反対側の端部92の形状は、鈍角で屈曲した屈曲形状である(領域E参照)。具体的には、領域Eでの端部92の形状は、鈍角(約135°)の凸形状と鈍角(約135°)の凹形状とから構成されている。電源幹線90は、
図3に示すように、無機保護膜8で被覆される。外気からの水分やガスの侵入による薄膜トランジスタの劣化を抑制するには、無機保護膜8の封止性を高めることが重要である。そこで、本実施形態では、電源幹線90の端部92の凹形状および凸形状を何れも鈍角としている。これにより、無機保護膜8の凹形状箇所でのカバレッジの低下を抑制し、かつ、凸形状箇所での薄膜化を抑制することができる。その結果、無機保護膜8の封止性を高めることができる。また、上方に樹脂材料を主成分とする有機保護膜が配置される場合、これらの樹脂材料は鋭角形状の部分には入り込みにくい。それに対して、電源幹線90の端部92の凹形状および凸形状を何れも鈍角とすることで、樹脂材料を主成分とする有機保護膜の封止性を高めることができる。
【0077】
また、
図7に示すように、電源配線90の各ピクセル列側の端部、及び電源配線90の各ピクセル側とは反対側の端部92の形状がともに屈曲形状である(領域D、E参照)。そして、電源幹線90の各ピクセル列とは反対側の端部92の屈曲の角度(約135°)が、電源幹線90の各ピクセル列側の端部の屈曲の角度(約90°)よりも大きい。これにより、両者の屈曲の角度を同じにした場合に比べて、凹形状箇所のカバレッジや凸形状箇所での薄膜化を抑制することができる。その結果、無機保護膜8の封止性を高めることができる。このことは、電源幹線90の各ピクセル列とは反対側の端部92の屈曲の角度が鋭角でも鈍角でも成立する。例えば、領域Dおよび領域Eの屈曲の角度がどちらも鋭角であっても、領域Eの屈曲の角度が領域Dの屈曲の角度よりも大きければ、無機保護膜8の封止性を高める効果を奏する。
【0078】
(電源幹線の形状の変形例)
図8、
図9は、電源幹線の形状の変形例を示す模式平面図である。
図8に示すように、表示パネル1210は、電源幹線1090を有する。電源幹線1090の各ピクセル列とは反対側の端部1092の形状は、略直角に屈曲した屈曲形状である(領域E参照)。具体的には、領域Eでの端部1092の形状は、略直角の凸形状と略直角の凹形状とから構成されている。この場合でも、凸形状および凹形状が何れも鋭角の場合に比べて、無機保護膜8の封止性を高めることができる。
【0079】
また、
図9に示すように、表示パネル2210は、電源幹線2090を有する。電源幹線2090の各ピクセル列とは反対側の端部2092の形状は、曲線形状である。この場合、無機保護膜8の封止性をより一層高めることができる。また、
図9に示すように、電源幹線2090の端部2092の形状を、パネル基板1の外周125の形状に沿う形状としてもよい。これにより、電源幹線2090の端部2092とパネル基板1の外周125との距離が何れの箇所においても略同一の距離となる。表示パネル2210では、
図3に示すように、パネル基板1の端部までEL封止層14が存在している。そのため、電源幹線2090の端部2092とパネル基板1の外周125との間の封止性が何れの箇所においても均一化される。言い換えると、封止性の悪い箇所が局所的に存在しない。したがって、EL封止層14の封止性が高められる。
【0080】
(電源引込線の配線幅および厚みの変形例)
本実施形態では、各電源引込線80の配線幅は互いに同一であり、厚みも互いに同一であることとする。ただし、各電源引込線80の配線幅および厚みの少なくとも一方を電源引込線80毎に調整することとしてもよい。これにより、各電源引込線80の長さの相違に起因する各電源引込線80の電圧降下を均一化することができる。
【0081】
図10は、電源引込線の配線幅の変形例を示す模式平面図である。表示領域110は、領域Iと領域IIとに、Y方向に沿って2分割することができる。領域IIのX方向の幅は、Y方向他端側に向かうほど漸次狭くなっている。領域IのX方向の幅は、領域IIのX方向の幅よりも広い。したがって、
図10に示すように、領域Iに存在する電源引込線80は、領域IIに存在する電源引込線80よりも長い。そして、領域Iに存在する電源引込線80の配線幅W1、W2、W3、W4は、領域IIに存在する電源引込線80の配線幅W5、W6、W7、W8よりも広い。これにより、各電源引込線80での電圧降下を均一化することができる。さらに、配線幅W5、W6、W7、W8を、それぞれ電源引込線80の長さに応じて異ならせることとしてもよい。これにより、各電源引込線80での電圧降下をさらに均一化することができる。なお、各電源引込線80の電圧降下は、各電源引込線80の断面積に依存する。そのため、原理的には、各電源引込線80の断面積を電源引込線80毎に調整すればよい。
図10では、配線幅を調整しているが、これに限らず、配線の厚みを調整してもよいし、配線幅と厚みの両方を調整してもよい。
【0082】
なお、本実施形態では、2本の電源引込線80が1行のピクセルに対応しているが、これに限られない。例えば、3本の電源引込み線80が1行のピクセルに対応していてもよいし、1本の電源引込線80が1行のピクセルに対応していてもよい。
(表示領域の形状の変形例)
図11、
図12は、表示領域の形状の変形例を示す模式平面図である。
図11に示すように、表示パネル装置4200は、異形の表示領域4110を有する表示パネル4210を備える。表示領域4110のY方向一端縁4114は、領域IVにおいて直線状である。同図に示すように、表示領域4110の形状に合わせて、各ピクセル列P41〜P45の端部のピクセル32
P41〜32
P45の位置が調整されている。具体的には、各ピクセル32
P41〜32
P45の位置は、X方向に1ピクセル分ずつずれている。これにより、表示領域4110のY方向一端縁4114が巨視的には直線状となる。そして、各ピクセル列P41〜P45の端部のピクセル32
P41〜32
P45の位置に合わせて、電源幹線4090の各ピクセル列側の端部の位置が調整されている。これにより、各ピクセル列P41〜P45の端部のピクセル32
P41〜32
P45と電源幹線90とのX方向の間隔が、各ピクセル列P41〜P45で略同一となっている。
【0083】
また、
図12に示すように、表示パネル装置5200は、異形(円形)の表示領域5110を有する表示パネル5210を備える。同図に示すように、表示領域5110の形状に合わせて、各ピクセル列P51〜P53の端部のピクセル32
P51〜32
P53の位置が調整されている。これにより、表示領域5110が巨視的には円形状となる。そして、各ピクセル列P51〜P53の端部のピクセル32
P51〜32
P53の位置に合わせて、電源幹線5090の各ピクセル列側の端部の位置が調整されている。これにより、各ピクセル列P51〜P53の端部のピクセル32
P51〜32
P53と電源幹線90とのX方向の間隔が、各ピクセル列P51〜P53で略同一となっている。
【0084】
なお、本実施の形態および変形例では、表示領域と電源幹線との間にはダミー表示素子が存在しない。しかしながら、これに限らず、表示領域と電源幹線との間に、画像の表示に供されないダミー表示素子を存在させてもよい。例えば、製造方法によっては、表示素子をマトリクス状に形成した場合、X方向両端部およびY方向両端部の表示素子が目標の特性とならない場合がある。このような場合、これらの表示素子を画像の表示に供されないダミー表示素子とすることがある。画像の表示に供されないようにするには、ダミー表示素子と電源引込線とを電気的に非接続にしたり、ダミー表示素子とソース配線およびゲート配線とを電気的に非接続としたりする。あるいは、ダミー表示素子と薄膜トランジスタとを電気的に非接続としてもよい。本明細書では、ピクセルとは、画像の表示に供される表示素子を具備するピクセルを言うこととする。従って、「各ピクセル列の端部のピクセル」とは、画像の表示に供される表示素子を具備するピクセルとなる。たとえダミー表示素子が端部に存在していてもそのピクセルは「各ピクセル列の端部のピクセル」ではない。
(電子機器)
図13は、本発明の実施の形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図14は、本発明の実施の形態に係る電子機器を示す一部破断斜視図であって、ケースにおける表示パネルを覆う部分が取り除かれている。
図15は、本発明の実施の形態に係る電子機器を示す断面図である。
【0085】
図13および
図14に示すように、電子機器300は、ケース310におけるフロント部311の内部に、表示パネル装置200がX方向に湾曲させた状態で収容されている。また、
図15に示すように、表示パネル装置200以外に、制御部240、およびバッテリー250等が収容されている。
電子機器300は、表示パネル装置200が湾曲可能であることを利用し、リング形状に変形することができ、手首など身体の一部に装着することができる。フロント部311には、情報を表示すると共に、電子機器300にタッチパネルを内蔵することで、ユーザーが表示内容を操作することもできる。また、電子機器300は、外部の端末との通信を行なうための通信部を有していてもよい。
【0086】
なお、表示パネル装置200を湾曲させて使用する電子機器300においては、表示パネル装置200がY方向よりもX方向に湾曲しやすいことが好ましい。
図13に示すように、電子機器300の湾曲の中心軸をαとすると、中心軸αとY方向とが略平行であることが好ましい。すなわち、Y方向と直交する軸に対する曲率半径が、Y方向と平行な軸に対する曲率半径よりも小さいことが好ましい。これにより、第1の引き出し配線60とソースドライバ222との接続領域224、および、第2の引き出し配線70とゲートドライバ232との接続領域234の破損を抑制することができる。
【0087】
なぜなら、各接続領域224,234がY方向に沿った長尺状となっているからである。各接続領域224,234の長手方向であるY方向と直交するX方向に表示パネル装置200を湾曲させるのであれば、表示パネル装置200を湾曲させても各接続領域224,234に大きな応力が加わらないため、それら接続領域224,234内の第1の接点61および第2の接点71の配線構造が劣化しにくい。
【0088】
また、電子機器300の湾曲の中心軸αと、表示パネル210のサブピクセルの長軸方向が平行であることが好ましい。これにより、電子機器300を湾曲させた場合でも、有機EL素子30の劣化を抑制することができる。
なお、サブピクセルの短軸方向と中心軸αが平行である場合には、表示パネル210の第2の隔壁部11に、中心軸αと平行に延伸する溝部を設けることが好ましい。さらに、中心軸αと垂直に延伸する溝部も設ける場合には、中心軸αと垂直に延伸する溝部の深さよりも、中心軸αと平行に延伸する溝部の深さの方を深くすることが好ましい。この構成により、表示パネル装置200の曲がりやすさを確保すると共に、有機EL素子30の劣化を抑制することができる。
【0089】
以上のように、
図1〜
図15を用いて、表示パネル装置200、および表示パネル装置200を備える電子機器300について説明した。
なお、本実施の形態に係る表示パネル装置200では、上部電極13および下部電極10の両方が、画素毎に分離した構成であってもいいし、上部電極13および下部電極10の一方が、表示領域110内の複数の画素で共通して使用される一つの電極であってもよい。
【0090】
上記本実施の形態および変形例は、異形の表示領域110を有する表示パネル装置200に対して、第2の引き出し配線70をX方向他端縁113と隣接する領域123まで延伸させる第1の構成、並びに、ソース配線40およびゲート配線50の長さに応じて各配線40,50,60,70の電気抵抗値を異ならしめる第2の構成を適用するものであった。しかしながら、異形の表示領域を有する表示パネル装置に対して、第1の構成または第2の構成のいずれか一方のみを適用してもよい。
【0091】
例えば、異形の表示領域を有する表示パネル装置に、第2の構成のみを適用してもよい。すなわち、第2の引き出し配線がX方向他端縁と隣接する領域まで延伸しておらず、Y方向一端縁と隣接する領域に引き出された後、表示パネルのY方向一端側に配置されたゲートドライバと接続されている表示パネル装置であって、異形の表示領域を有する表示パネル装置に、ソース配線およびゲート配線の長さに応じて各配線の電気抵抗値を異ならしめる第2の構成を適用してもよい。
【0092】
さらに、上述した、電源配線の配置についての特徴、表示パネルの湾曲の中心軸αとサブピクセルの長軸方向との関係についての特徴、表示パネルの湾曲の中心軸αと接続領域の長手方向との関係についての特徴を、表示領域が矩形である従来の表示パネル装置や、ゲートドライバが表示パネルのY方向一端側に配置されている従来の表示パネル装置に適用してもよいことは言うまでもない。
【0093】
また、表示パネル装置のCOFとして、FPCにICチップ等の固い部品を搭載してなるCOFの代わりに、有機TFTを利用した湾曲自在なCOFを用いてもよい。この湾曲自在なCOFを使用する場合は、表示パネルのY方向一端側に第2のCOFを配置してもよい。
(表示パネル装置の製造方法)
図16は、本発明の実施の形態に係る表示パネル装置の製造過程の一部を示す模式端面図である。次に、表示パネル210の製造方法を、
図16を用いて説明する。
【0094】
まず、
図16(a)に示すように、パネル基板1を準備する。本実施の形態では、パネル基板1としてポリイミド等の樹脂製基板を利用している。パネル基板1上には、必要に応じてアンダーコート層を形成してもよい。なお、パネル基板1の下面には、支持基板としてガラス基板を別途備えていてもよい。
次に、
図16(b)に示すように、パネル基板1上に所定形状のゲート電極2を形成する。具体的には、パネル基板1上にゲート電極2の材料を堆積させてゲート金属膜を形成し、その後、フォトリソグラフィおよびエッチングによってゲート金属膜をパターニングすることで所定形状のゲート電極2を形成する。ゲート金属膜は、スパッタまたは蒸着によって成膜することができ、ゲート金属膜のエッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。
【0095】
次に、
図16(c)に示すように、ゲート電極2上にゲート絶縁膜3を形成する。ゲート絶縁膜3はパネル基板1上の全面に形成され、材料に応じてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法または塗布法によって形成することができる。例えば、ゲート絶縁膜3として、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の無機絶縁膜を用いる場合は、プラズマCVD法によってゲート絶縁膜3を成膜することができる。また、ゲート絶縁膜3として、ポリイミド、ポリビニルフェノールまたはポリプロピレン等の有機絶縁膜を用いる場合は、塗布法によってゲート絶縁膜3を成膜することができる。
【0096】
次に、
図16(d)に示すように、ゲート絶縁膜3上に、ソース電極4およびドレイン電極5を形成する。
次に、
図16(e)に示すように、ゲート絶縁膜3の上方に開口6aが設けられた第1の隔壁部6を形成する。具体的には、パネル基板1の上方の全面に第1の隔壁部6の材料を塗布することによって隔壁層を形成し、その隔壁層をパターニングすることにより第1の隔壁部6を形成する。このとき、第1の隔壁部6の開口6aは、対向するソース電極4およびドレイン電極5の両方の端部上面が露出するように形成される。なお、隔壁層のパターニングは、隔壁層を露光および現像することによって行うことができる。
【0097】
次に、
図16(f)に示すように、第1の隔壁部6の開口6a内に、半導体層7を形成する。
次に、
図16(g)に示すように、半導体層7の上方を含むパネル基板1の上方の全域に、無機保護膜8を形成する。
次に、
図16(h)に示すように、無機保護膜8上に絶縁層9を形成する。絶縁層9は、その表面が平坦化されるように所望の厚さで形成する。その後、コンタクトホール9aを形成してドレイン電極5の一部を露出させる。なお、絶縁層9は、例えばSOG等の所定の材料を塗布して焼成することによって形成することができる。
【0098】
次に、
図16(i)に示すように、ドレイン電極5上を含む所定の位置に下部電極10を形成する。下部電極10は、例えば、スパッタにより金属膜を成膜し、フォトリソグラフィおよびウェットエッチングによって当該金属膜をパターニングすることで形成することができる。
次に、
図16(j)に示すように、感光性樹脂をパターニングすることによりマトリクス状の画素に対応する複数の開口11aを有する第2の隔壁部11を形成する。
【0099】
次に、
図16(k)に示すように、第2の隔壁部11の開口11a内に有機層12を形成する。有機層12は、例えば、PEDOT溶液をスピンコートすることにより正孔注入層を形成し、正孔注入層上に真空蒸着法によりα−NPDおよびAlq3を積層して発光層を形成し、発光層上にニトロ置換フルオレノン誘導体などの化合物をスピンコート等によって積層して電子輸送層を形成することで作成することができる。
【0100】
次に、
図16(l)に示すように、スパッタによって有機層12上にITOからなる上部電極13を形成する。
次に、
図16(m)に示すように、上部電極13上の全域に、EL封止層14を形成する。
次に、
図16(n)に示すように、EL封止層14上に封止層15を塗布して、その上に封止基板16を配置する。なお、封止基板16には、予めカラーフィルタ(調光層)を形成しておいてもよい。その後、封止基板16を上面側から下方に加圧しつつ熱またはエネルギー線を付加して封止層15を硬化させる。なお、封止層15を塗布する前に、上部電極13上にSiNなる薄膜封止層をプラズマCVD法により形成してもよい。
【0101】
次に、以上のようにして作成された積層体から不要な部分をカットすると共に、第1のCOF220および第2のCOF230を接続して表示パネル210を完成させる。
具体的には、積層体のX方向一端部およびX方向他端部を、X方向一端縁111と隣接する領域121およびX方向他端縁113と隣接する領域123を残しながらカットする。その後、X方向一端縁111と隣接する領域121およびX方向他端縁113と隣接する領域123に、第1のCOF220および第2のCOF230を接続する。次に、積層体のY方向一端部およびY方向他端部を、Y方向一端縁112と隣接する領域122およびY方向他端縁114と隣接する領域124を残しながらカットする。
【0102】
積層体のX方向両端部およびY方向一端部のカットは、カットラインが直線状であるため、レーザーカット法や機械的切断法等のカット方法で行うことができる。積層体のY方向他端部のカットは、カットラインに曲線部分があるため、レーザーカット法などで行う。なお、積層体のX方向両端およびY方向両端部のカットを同一工程で行ってもよい。このようにして製造される表示パネル装置は、フラットパネルディスプレイとして利用することができ、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などのあらゆる表示パネル装置を有する電子機器に適用することができる。
【0103】
(まとめ)
以上、本発明に係る表示パネル装置および電子機器について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
また、本実施の形態に示すような異形の表示領域を有する表示パネル装置の用途は、腕時計タイプの表示装置など、特定のものに限られず、広く様々なアプリケーションに適用することが出来る。
【0104】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
また、本実施の形態では、有機EL素子を利用した表示パネル装置を例示しているが、これには限られない。例えば、液晶を利用した表示パネル装置でも本発明に適用可能である。