(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964817
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】全地球測位システム付の衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20160721BHJP
G01S 19/19 20100101ALI20160721BHJP
A41D 27/20 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
A41D13/00 112
G01S19/19
A41D27/20 N
A41D27/20 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-510277(P2013-510277)
(86)(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公表番号】特表2013-531141(P2013-531141A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011036105
(87)【国際公開番号】WO2011143334
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】12/777,788
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】スーザン エル ソコロフスキー
【審査官】
北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0139875(US,A1)
【文献】
国際公開第2002/087386(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0100108(US,A1)
【文献】
特表2009−534546(JP,A)
【文献】
特開2000−160417(JP,A)
【文献】
特表2008−523265(JP,A)
【文献】
特開2006−348017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00 − 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全地球測位システム(GPS)信号を最適化する衣服であって、該衣服は、
着用状態で少なくとも着用者における胴体の一部の周りを取り囲み、前身頃及び後ろ身頃を有するシャツと、
前記シャツの後ろ身頃で、前記シャツの後ろ身頃のネックラインから少なくとも2.54cm(1インチ)下方に上端を設けた三次元的なポケットであり、GPS装置を保持するサイズを有する、該ポケットと、
心拍数モニタ装置の胸ストラップを保持するように構成した1つ以上の心拍数モニタタブと、
を備えた、衣服。
【請求項2】
請求項1に記載の衣服において、前記ポケットの前記上端を、シャツの後ろ身頃のネックラインから7.62cm(3インチ)の位置に配置した、衣服。
【請求項3】
請求項2に記載の衣服において、前記ポケットは折り畳み可能な材料で構成し、また前記折り畳み可能な材料をポケット用のパッチとして裁断し、三次元的形状に縫製し、その端縁をシャツに取り付けた、衣服。
【請求項4】
請求項1に記載の衣服において、形状にフィットする運動用材料で構成した、衣服。
【請求項5】
請求項4に記載の衣服において、前記ポケットは屈曲可能な布地で形成した、衣服。
【請求項6】
請求項5に記載の衣服において、前記ポケットはスペーサメッシュで形成した、衣服。
【請求項7】
請求項1に記載の衣服において、前記1つ以上の心拍数モニタタブは、前記衣服の内面の少なくとも一方の側面に取り付けた、衣服。
【請求項8】
請求項6に記載の衣服において、前記ポケットは寸法が少なくとも5.08cm×10.16cm×2.54cm(2インチ×4インチ×1インチ)のGPS装置を保持するよう構成した、衣服。
【請求項9】
請求項6に記載の衣服において、前記ポケットは、衣服着用状態で着用者の背中の肩甲骨間に配置した、衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)受信機は、GPS受信機の位置を決定するため、衛星からの測定結果を使用する。GPS受信機は、一般的にその位置を、衛星から送信され、地表又はその付近の受信機によって受信される、信号の送信と受信との間の時間遅延(差)を計算することによって、決定する。この時間遅延を使用して、受信機から受信機の視野内にある各衛星までの距離を計算する。GPS受信機は、衛星から受信機までの正確な距離の信号を得るために、見通し線を必要とする。従って、信号の経路上におけるいかなる物体も、その信号の受信を妨害する可能性がある。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルドGPS受信機は、アウトドア活動、例えばキャンプ、ハイキング、ジオキャッシング(宝探しゲーム)でよく使用される。経路ナビゲーションに加えて、サイクリスト、ランナー、スキーヤー及び他のアスリートは、GPS装置をトレーニング中又は競技中に使用して、速度、距離、高度等のトレーニングのパラメータを記録する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スポーツ活動中にGPS装置が有用であっても、運動パフォーマンスを妨げることなく、トレーニング及び競技中にGPS装置を持ち運ぶのは、多くの場合煩わしい。さらに、激しいスポーツ活動中、良好に衛星信号を受信する位置にハンドヘルドGPS装置を保持することは極めて困難である。アウトドアスポーツ活動に関してGPS技術の使用が増加するにつれて、アスリートにGPS受信機を簡便に取り付けるとともに、GPS信号遮断を最小化する必要性が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、GPS信号を最適化する衣服を使用して、GPS装置を搬送するシステム及び方法を提供する。さまざまな実施形態において、この衣服は、GPS受信機が最適GPS信号を取得し易くするよう位置決めした三次元的なポケットを有する構成とすることができる。これら実施形態において、ポケットは、この衣服の着用者の動きを阻害しないように、この衣服に位置決めすることができる。さまざまな実施形態において、この衣服は、心拍数モニタ装置を保持するための心拍数モニタタブを有する構成とする。
【0005】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲によって定義するが、発明の概要によっては定義されない。従って、本発明のさまざまな態様の高次の概略をここに提供する。すなわち、本発明の概略を提供し、以下の詳細な説明にてさらに記載する概念のセレクションを紹介するためである。この発明の概要は、特許請求の範囲に記載された対象の重要な特徴又は不可欠な特徴を識別することを意図するものではなく、単独で特許請求の範囲に記載された対象の範囲を決定する補助をするのに使用することを意図するものでもない。
本発明の実施形態は、参照することによって本明細書に組み込まれる添付図面につき、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の特徴を具現化する衣服の正面図である。
【
図2】本発明の特徴を具現化する衣服の背面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、衣服の側面図である。
【
図4】本発明の特徴を具現化する他の衣服の背面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、GPS信号を最適化する衣服を使用してトレーニングするアスリートを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による、GPS信号を最適化する衣服を使用して運動トレーニングする際の方法の全体的な流れを示すブロック図である。
【
図7】本発明による、衣服に使用できる、心拍数モニタタブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の要旨は、特許法的要件を満たすよう、特異的に記載する。しかし、記載自体は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。むしろ、特許請求した要旨は、他の現行又は将来の技術に関連して、本明細書で説明するのと類似する、異なるステップ又はステップの組み合わせを含んだ他の方法で具現化することができる。本明細書において用語「ステップ」及び/又は「ブロック」又は「モジュール」等を用いて、使用する方法又はシステムの異なる構成要素を暗示するが、これら用語は、個別ステップの順序を明示的に記載する場合を除いて、本明細書に記載するさまざまなステップ間に何らかの特別な順序があることを意味していると解釈すべきではない。
【0008】
本発明は、運動行為の邪魔をすることなく、運動トレーニング又は競技中にGPS信号を最適化するよう、GPS装置を携行する衣服に関する。本発明はさらに、GPS信号を最適化する衣服を使用して運動トレーニングを行うための方法に関する。本発明による衣服は、三次元的ポケットを有し、これにより、この衣服を着用してトレーニングをしているアスリートの両肩間で、GPS受信機が最適GPS信号を受信し易くするよう位置決めしてGPS受信機を保持することができる。
【0009】
従って、一態様において、本発明は、全地球測位システム(GPS)信号を最適化する衣服を提供する。この衣服は、着用状態で着用者の胴体の少なくとも一部の周りを取り囲むシャツであって、前身頃及び後ろ身頃を有するシャツとすることができる。この衣服には、シャツの後ろ身頃のネックラインから少なくとも2.54cm(1インチ)下方で後ろ身頃に取り付けた三次元的ポケットを設けることができ、このポケットはGPS装置を保持するサイズにする。
【0010】
さらに他の態様においては、本発明は、GPS信号最適化する衣服を使用して運動トレーニングを行う方法を提供する。この方法は、着用状態で着用者の胴体の少なくとも一部の周りを取り囲み、前身頃及び後ろ身頃を有する衣服を準備するステップを有する。さらにこの衣服は、後ろ身頃のシャツのネックラインから少なくとも2.54cm(1インチ)下方で後ろ身頃に取り付けた三次元的なポケットを設け、このポケットはGPS装置を保持するサイズとする。この方法は、GPS装置を電源オンにするステップと、GPS装置を衣服のポケットに挿入するステップと、及び運動のトレーニング中及び/又は競技中に衣服を着用するステップとを有する。
【0011】
GPS信号の最適化は、一般的にGPS受信機が、最も強力なGPS衛星信号を迅速に取得できるようにし、それによって受信機の精度を高めることをいう。GPS装置は、地球の周りの軌道を周回する衛星のネットワークが送信する、GPS装置の高度、経度、緯度に関するデータを含む無線信号を通じて受信したデータに依存する。衛星信号は、地球表面に達するのに十分な強さで送信されるが、信号の経路にあるいかなる物体もその信号の受信を妨害する可能性がある。このように、種々の要因、例えば、狭い通りや高層ビル、フロントガラスを左右に横切って動くワイパー、樹冠、山及び他の大きな物体、高速道路の高架交差路さえも、GPS信号を妨害する又は遮断するおそれがある。同様に、アスリートの上半身は、アスリートがGPS装置を手に装着して、又はパンツ若しくはショートパンツのポケットに入れて携行するとき、GPS信号を妨害する場合がある。さらに、四肢の動きは運動能力を追求する上で問題になり得る。例えば、GPS時計は一般的に従来の時計よりもかなり重く、高い能力を有するアスリートのトレーニングに大いに影響を与える場合がある。GPS時計は、そもそも、移動距離等のパラメータを測定するために着用者の体の中心部に取り付けたGPS受信機よりも精度が低い。GPS受信機を手に装着して携行しなければならないことは、アスリートのトレーニング又は競技の妨げにもなり得る。例えば、ランニング等の激しい活動中、大きく嵩張るハンドヘルドGPS装置を保持することは、アスリートの走るスピード及び距離に大きく影響を与える。従って、アスリートが使用する受信機のGPS信号受信は、受信機からGPS衛星まで遮るもののない見通し線が得られるよう、アスリートの体に対するGPS受信機を位置決めすることによって、最適化することができる。さらに、GPS信号を最適化する衣服は、その衣服着用者の動きを阻害しないようにすべきである。
【0012】
本発明の実施形態は、GPS信号を最適化する衣服、及びGPS信号を最適化する衣服を使用して運動トレーニングを行う方法を提供する。本発明の実施形態の概略を簡潔に説明したが、GPS信号を最適化する衣服を、例示的に以下に説明する。
【0013】
図面、特に
図1〜5につき説明すると、これら図は、GPS信号を最適化する衣服を、例示としてさまざまな角度から示す。本明細書において述べる実施形態はシャツを含む衣服をさすが、実施形態は、特定のスタイル又はタイプの上半身を覆う衣服に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、他の実施形態としては、ジャージ、テックシャツ(tech shirts)、タンクトップ、ユニスーツ(unisuits)、スポーツブラ、ジャケット、ベスト等で、GPS信号を最適化する三次元的なポケットを有するものとすることができる。さらに、図面の記載は単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を任意なタイプのアウトドア活動又は運動トレーニング技能に限定する意図はない。さらに、GPS装置を作る材料、並びにGPS装置の材料特性は従来既知であり、本明細書においてさらに詳細には説明しない。
【0014】
次に
図1につき説明すると、本発明の特徴を具現化する衣服の正面図を示し、全体的に参照符号100で示す。衣服100は、シャツ105、三次元的ポケット110を有し、シャツ105は前身頃115、後ろ身頃117、袖120、ネックライン125及び開口部130を有する。衣服100は、運動時使用のため、任意なタイプの材料で形成することができる。例えば、衣服100は、体の形状にフィットする材料で形成することができ、織成した又は不織性のニット、スパンデックス、ライクラ及び運動用メッシュがあるが、これらに限定するものではない。シャツ105は、着用者の胴体の少なくとも一部の周りを取り巻き、前身頃115は着用者の胸をカバーし、後ろ身頃117は着用者の背中をカバーする。シャツ105は、図示のような袖120を設けることができるが、シャツ105は長袖又は袖なしとすることができる。シャツ105は、さらに、着用者における首の一部の周りに広がるネックライン125を有する場合がある。シャツ105の後ろ身頃117に三次元的ポケット110を取り付けることができる。ポケット110は、GPS装置を確実に保持するサイズにする。シャツ105の後ろ身頃117には、ポケット110の内側頂端縁に開口部130を設けることができる。開口部130は、GPS装置(図示せず)をポケット110に挿入することを可能にする。GPS装置が最適なGPS信号を受信するため、ポケット110は、シャツ105の後ろ身頃117でネックライン125から2.54cm(1インチ)の位置に取り付けることができる。実施形態において、ポケット110は、シャツ105のネックライン125から7.62cm(3インチ)の範囲内に配置することができる。衣服100には、さらに、心拍数モニタ装置を取り付けるための心拍数モニタタブ135を設けることができる。概して、心拍数モニタタブは、特定のタイプ又はブランドの心拍数モニタ装置用の形状又はサイズに形成することができる。実施形態において、心拍数モニタタブ135は、さまざまなタイプの既知の心拍数モニタ装置を収容及び保持し易くするよう設計した「ユニバーサル」タブとすることができる。実施形態において、心拍数モニタタブ135は、衣服100の内側で袖120の下に取り付けることができる。心拍数モニタタブ135は、衣服100が着用状態にあるときに、心拍数モニタ装置を着用者の胸に都合良く、また心地よく取り付けられるようにする。衣服100は、複数の心拍数モニタタブ135を設け、運動トレーニング中及び/又は競技中に、心拍数モニタ装置を最適にフィットさせることを確実にする。
【0015】
次に
図2につき説明すると、本発明の特徴を具現化する、GPS信号を最適化する衣服の背面図を示し、全体的に参照符号200を付して示す。衣服200は、シャツ205、三次元的ポケット210、ネックライン215、シャツ205の後ろ身頃220、及びGPS装置225を有する。三次元的ポケット210は、シャツ205の後ろ身頃220でネックライン215から1.27cm〜7.62cm(0.5インチ〜3インチ)の位置に取り付けることができる。衣服200におけるポケット210の配置は、GPS装置225の信号受信能力を高めることができる。実施形態において、ポケット210は、着用状態において着用者の背中の肩甲骨間に配置することができる。GPS装置225は、当技術分野において既知のGPS装置を含むことができる。一例として、ポケット210は、少なくとも5.08cm×10.16cm×2.54cm(2インチ×4インチ×1インチ)の寸法を有するGPS装置225を保持するように構成することができる。実施形態において、GPS装置225は、内部に通信用の送信機、受信機及びプロセッサを有する構成とする。
【0016】
ポケット210は、折り畳み可能な材料及び/又は屈曲可能な布地で構成することができ、これら材料として限定はしないが、スペーサメッシュがある。ポケット210は、折り畳み可能な材料のパッチを三次元的形状に裁断及び縫製し、ポケット210の端縁をシャツ205の後ろ身頃に取り付けて形成することができる。ポケット210は、縫合、接着又は他の任意な技術でシャツ205に配置する。
【0017】
次に
図3につき説明すると、本発明の特徴を具現化する、GPS信号を最適化する衣服の側面図を示し、全体的に参照符号300で示す。衣服300は、着用者における胴体の一部の周りを取り巻き、前身頃306、後ろ身頃307、ネックライン315を有するシャツ305を有する。シャツ305の後ろ身頃307には、三次元的ポケット310を取り付ける。ポケット310は、GPS装置を確実に保持するサイズにすることができる。GPS装置が最適GPS信号を受信できるよう、ポケット310は、シャツ305の後ろ身頃307のネックライン315から少なくとも2.54cm(1インチ)の位置に取り付けることができる。ポケット310を配置することにより、衣服300の着用者がGPS装置を保持することなくGPS装置を運搬するができる。着用者(彼/彼女)が、GPS装置を心地悪く手で搬送するよりも、衣服300の着用者はGPS装置をポケット310に入れて搬送することができる。このように、衣服300は、GPS信号妨害を減らし、着用者の運動パフォーマンスの妨害を制限することができる。
【0018】
次に
図4につき説明すると、本発明の特徴を具現化する、別のGPS信号を最適化する衣服の背面図を示し、全体的に参照符号400で示す。衣服400は、ブラジャー405、三次元的なポケット410、ネックライン415、ブラジャー405の後ろ身頃420及びGPS装置425を有する。三次元的なポケット410は、ブラジャー405の後ろ身頃420でネックライン415から2.54cm(1インチ)の位置に取り付けることができる。衣服400に対するポケット410の配置によれば、GPS装置425の信号受信能力を高めることができる。実施形態において、ポケット410は、着用状態で着用者の肩甲骨間に配置することができる。GPS装置425は、当技術分野において既知のGPS装置とすることができる。実施形態において、GPS装置425は、内部に通信用の送信機、受信機及びプロセッサを有する構成とすることができる。実施形態において、GPS装置425は、加速力を測定するための加速度計を設けることもできる。加速度計から得たデータを使用して、GPS装置から得た初期位置及び速度と関連させ、継続的に装置の位置及び速度を決定することができる。このデータを使用して、GPSデータとは無関係なGPS装置の位置情報を生じ、またこのデータは、GPS装置がGPS信号をはっきりと受信することができない場合に、特に重要となり得る。
【0019】
次に
図5につき説明すると、本発明の特徴を具現化する、GPS信号を最適化する衣服を使用してトレーニングをするアスリートを示す略図であり、全体的に参照符号500で示す。このトレーニング方法は、着用者の胴体の周りを取り囲むシャツ505を有するGPSを最適化する衣服502を含む。このシャツ505は、前身頃506、後ろ身頃507及びネックライン515を有する。三次元的ポケット510はシャツ505の後ろ身頃507に取り付ける。ポケット510は、GPS装置(図示せず)を確実に保持するサイズとする。GPS装置は、GPS衛星520からラジオ信号を受信し、ラジオ信号から得たデータを使用して、GPS装置の高度、経度及び/又は緯度を含むパラメータを決定する。これらパラメータを知得することにより、アスリートが自分の位置を決定し、また以下のものに限定しないが、速度、高度及び距離を含むトレーニングパラメータを記録することができる。GPS装置が最適なGPS信号を受信するため、ポケット510を、シャツ305の後ろ身頃507のネックライン515から少なくとも2.54cm(1インチ)の位置に取り付けることができる。ポケット510を配置することにより、衣服502の着用者は、GPS装置を保持することなく、GPS装置を帯同してトレーニングすることができる。GPS装置を着用者(彼/彼女)が手で心地悪く携行し、トレーニングや競技の邪魔になるよりも、衣服502を着ているアスリートはGPS装置をポケット510に入れて搬送することができる。このように、衣服502はGPS信号妨害を減らし、着用者の運動パフォーマンスに対する妨害を制限することができる。ポケット510の三次元的性質によれば、アスリートがGPS装置を二次元的なポケットに保持することに付随する不快感を覚えることなく、確実にGPS装置を着用できるようになる。図は走っている姿を示すが、本発明の実施形態は、両手が自由になることに関連して、GPS信号の最適化が役立つであろう他のスポーツ活動に使用することができる。限定的ではなく例示として、本発明は、スキー、ローイング(漕艇)、サイクリングを含むスポーツ活動に使用することができる。
【0020】
次に
図6につき説明すると、本発明の実施形態によるGPS信号を最適化する衣服を使用して運動トレーニングする方法600の流れを示すブロック図を示す。最初に、ブロック610に示すように、GPS信号を最適化する衣服を準備する。この衣服は、着用者の胴体における少なくとも一部の周りを取り囲む、前身頃及び後ろ身頃を有するシャツ又はスポーツブラとすることができる。この衣服は、シャツの後ろ身頃で、シャツのネックラインから少なくとも2.54cm(1インチ)の位置に三次元的なポケットを設け、ポケットはGPS装置を保持できるサイズとする。GPS装置は、ブロック620に示すように電源オンにする。このGPS装置は、ブロック630に示すように、衣服のポケットに入れる。三次元的なポケットに取り外し可能に固定したGPS装置を含むこの衣服を、ブロック640に示すように、運動のトレーニング中又は競技中に着用する。
【0021】
次に
図7につき説明すると、本発明による衣服に使用できる心拍数モニタタブの正面図を示し、全体的に参照符号700で示す。心拍数モニタタブ705及び715は、特定のタイプ又はブランドの心拍数モニタ装置用の形状又はサイズに形成した心拍数モニタタブの例である。ほんの一例として、タブ705のような形状の心拍数モニタタブは、スント(SUUNTO)ブランドの心拍数モニタの胸ストラップを収容し、保持することに使用することができ、タブ715のような形状の心拍数モニタタブは、ポーラ(POLAR)ブランドの心拍数モニタの胸ストラップに使用することができる。心拍数モニタタブ710は、さまざまな種類の既知の心拍数モニタ装置を保持し易くするよう設計した、汎用的心拍数モニタタブの例である。心拍数モニタタブ705,710及び/又は715は、本発明のGPS信号を最適化する衣服に取り付けることができる。
【0022】
本発明の実施形態は、限定するのではなく単なる説明を意図して記載している。当業者には、本発明の範囲を逸脱しない代替の実施形態が明らかであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、前記の改善を行う代替的手段を開発することができる。
【0023】
特定の特徴及びサブコンビネーションは有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションに関係なく採用することができ、特許請求の範囲内にあることを理解されたい。さまざまな図にあげたすべてのステップを説明した通りの特定の順番で実行する必要はない。
【0024】
本発明の実施形態は、GPS信号を最適化する衣服を使用するGPS装置を搬送するシステム及び方法を提供する。本発明は、さらにGPS信号を最適化する衣服を使用した運動トレーニングを行うための方法に関する。さまざまな実施形態において、衣服は、GPS受信機が最適なGPS信号を取得し易くするよう位置決めした、三次元的なポケットを有することができる。これら実施形態において、ポケットは衣服の着用者の動きを阻害しないよう、衣服に位置決めすることができる。