【実施例】
【0057】
試験方法
膜表面エネルギー
異なる2つのセットからのダイン溶液(ワイオミング州MequonのJemmco,LLCからの30〜70ダイン/cm、Handbook of Chemistry and Physics、第71版(CRC press)に従って配合した73〜87ダイン/cm溶液)を使用した。プラスチック製ピペットを用いて全ての溶液を基材(例えば膜)上に滴下した。滴下量は約0.5mLであった。ダイン溶液が膜を浸透するのに必要な時間をストップウォッチで記録した。ダイン溶液の浸透の容易な検出のために光トランスイルミネーターを使用した。膜の表面エネルギーは、1秒未満に膜に浸透した最も高いダインの溶液の表面張力として記録した。試験を3回繰り返し、各測定値を平均した。
【0058】
流束(水流量)
47mmディスクの試験基材をGelman磁気ホルダー(Gelman Sciences,Inc.、ミシガン州Ann Arbor)に装着した。ホルダー内の基材の有効直径は34mmであった。基材を通して水を引くために、約60cm(23.5インチ)の水銀(Hg)(80.0kPa)で動作している真空ポンプを適用した。100mLの水が基材を通過する時間をストップウォッチで記録した。時間、真空圧及び基材の面積を用いて水流量(流束)を計算し、L/(m
2.h.psi)(L/(m
2.h.kPa)で表した。試験を2〜3回繰り返し、各測定値を平均した。
【0059】
バブルポイント孔径
ASTM−F316−03に従って基材のバブルポイント孔径を測定した。イソプロパノールで基材を予め濡らしてからテストホルダーに装着した。加圧した窒素ガスを基材の片面に徐々に付加し、反対側で検知されるガス流が100%に達するまで続けた。基材を通るガス流が100%での圧力を記録し、その記録を用いてバブルポイント孔径を計算した。試験を2〜3回繰り返し、各測定値を平均した。
【0060】
耐熱性試験
まず試料基材を脱イオン水に浸漬して完全に濡らしてから2枚のペーパータオルシートの間に挟んだ。この試験用のサンドイッチ状のものを136℃に温度設定したThelco Lab Oven(Thermo Electron Corporation、オハイオ州Marietta)に30分間入れた。次いで、基材の水湿潤性及び表面エネルギーを上記試験方法に従って試験した。
【0061】
(実施例1)
44モル%のエチレン含有量を有するEVAL共重合体(EVAL44、Sigma−Aldrich、ミズーリ州St.Louis)を、エタノール(AAPER Alcohol and Chemical Co、ケンタッキー州Shelbyville)と水との溶媒混合液(エタノール70.0体積%)に70〜80℃の温度範囲の水浴中で溶解して5.0重量%の原液を作製した。4.0重量%のポリエチレングリコールジアクリレート(SR610、Sartomer、ペンシルベニア州Warrington)及び1.0重量%の反応性光開始剤VAZPIA(2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェノキシ]エチル−2−メチル−2−N−プロペノイルアミノプロパノエート(米国特許第5,506,279号に開示されている)のエタノール/水混合溶媒(エタノール70.0体積%)を上記の原液に加えて、被覆可能な組成物を作製した。被覆可能な組成物中のEVALの最終濃度は1.0重量%であった。
【0062】
516cm
2〜1426cm
2の微多孔性のポリプロピレン膜(F100、3M Purification Inc.、コネチカット州Meriden)の試料を、10〜100mLの被覆可能な組成物とともに厚手のポリエチレン(PE)製の袋に入れ、組成物を膜に1分間未満浸み込ませることにより、被覆可能な組成物で飽和した。次いで、PE袋から膜を取り出した後、膜の表面の余分な被覆可能な組成物をペーパータオルで吸い取った。膜を10〜12時間、室温で乾燥させた。乾燥した膜を別のPE袋に入れ、再湿潤化溶液(すなわち20.0重量% NaCl水溶液)10〜100mLをその袋に加えた。膜を食塩水で瞬時湿潤化させ、次いで袋から取り出した。アルミニウム反射体を有するH電球を備えた窒素不活性Fusion UVシステムを通して膜をコンベアベルトで通過させることにより、被覆可能な組成物を硬化した。ベルト速度は6.1メートル/分(20フィート/分)とした。次いで、反対側をUV源に曝露するために膜を裏返し、再び6.1メートル/分(20フィート/分)でUVシステムを通過させて、被覆された多孔質材料を調製した。
【0063】
次いで、被覆された多孔質材料を脱イオン水で洗浄し、90℃(194°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130、Emerson Apparatus Company、メイン州Gorham)で約1時間乾燥した。
【0064】
この被覆された多孔質材料を上記の試験方法に従って試験した。下記の表1に示すように、この材料は、83ダイン/cmの表面エネルギー、0.60μmのバブルポイント孔径及び997L/m
2.h.psi(144.7L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。また、被覆されていない基膜も試験したところ、0.61μmのバブルポイント孔径及び973L/m
2.h.psi(141.2L/m
2.h.kPa)の水流量を呈し、従って硬化後の膜がその細孔の微細構造を維持し、目詰まりは僅少であり、結果的に流束の変化はわずかであることが示された。
【0065】
モデルEZ10(Tuttnauer Company、ニューヨーク州Hauppauge)を用いてフレームで拘束しながら、被覆された多孔質材料を、各サイクル126℃(259°F)及び30分間で5サイクルオートクレーブした。次いで、被覆された多孔質材料を再び試験して、水流量及び表面エネルギーを測定した。表面エネルギーが87ダイン/cmに維持され、水流量が924L/m
2.h.psi(134.1L/m
2.h.kPa)であったことから、被覆された多孔質材料が高温のオートクレーブ処理に耐えられること、及び親水性コーティングが熱に安定であることが示された。
【0066】
(実施例2)
実施例1のように、微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材及び2.0重量%のポリエチレングリコールジアクリレート(SR610)を含有する被覆可能な組成物を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、72ダイン/cmの表面エネルギー、0.53μmのバブルポイント孔径及び811L/m
2.h.psi(117.7L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0067】
(実施例3)
被覆可能な組成物が1.0重量%の光開始剤(IRGACURE 2959、Ciba/BASF、ニューヨーク州Terrytown)を含有することを除き、実施例2のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、61ダイン/cmの表面エネルギー、0.57μmのバブルポイント孔径及び923L/m
2.h.psi(134.0L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0068】
(実施例4)
被覆可能な組成物が4.0重量%のポリエチレングリコールジアクリレート(SR610)を含有することを除き、実施例3のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。被覆された多孔質材料を脱イオン水で洗浄し、66℃(150°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130)で約2時間乾燥した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.55μmのバブルポイント孔径及び771L/m
2.h.psi(111.9L/m
2.h.kPa)の水流量を有していた。
【0069】
(実施例5)
被覆可能な組成物に使用した光開始剤が1.0重量%のDAROCUR 1173(Ciba/BASF、ニューヨーク州Terrytown)であることを除き、実施例4のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。被覆された多孔質材料を脱イオン水で洗浄し、66℃(150°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130)で約2時間乾燥した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.53μmのバブルポイント孔径及び704L/m
2.h.psi(102.2L/m
2.h.kPa)の水流量を有していた。
【0070】
(実施例6)
被覆可能な組成物に使用した光開始剤が0.2重量%のLUCIRIN TPO−L 1173(Ciba/BASF、ドイツ、Ludwigshafen)であることを除き、実施例4のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。このFusion UVシステムでは、H電球の代わりにダイクロイック反射体付きのD電球を使用した。被覆された多孔質材料を脱イオン水で洗浄し、66℃(150°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130)で約2時間乾燥した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.56μmのバブルポイント孔径及び777L/m
2.h.psi(112.8L/m
2.h.kPa)の水流量を有していた。
【0071】
(実施例7)
被覆可能な組成物が0.5重量%のVAZPIA光開始剤を含有することを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示されるように、被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.54μmのバブルポイント孔径及び725L/m
2.h.psi(105.2L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0072】
(実施例8)
被覆可能な組成物が0.2重量%のVAZPIA光開始剤を含有することを除き、実施例2のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、62ダイン/cmの表面エネルギー、0.47μmのバブルポイント孔径及び743L/m
2.h.psi(107.8L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0073】
比較例1
被覆可能な組成物がエチレンビニルアルコール共重合体(EVAL)をまったく含まないことを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。被覆可能な組成物はUV照射で硬化されなかった。得られた材料は37ダイン/cmの表面エネルギーを呈し、水中又は塩化ナトリウム溶液中に10分間浸した後にどちらの再湿潤溶液でも湿潤性がなかった。
【0074】
(実施例9)
原液に使用したEVAL共重合体(EVAL)がエチレン含有率27モル%(EVAL27,Sigma−Aldrich,ミズーリ州St Louis)及び73モル%の酢酸ビニル含有率であったことを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。被覆可能な組成物は、原液に4.0重量%のポリエチレングリコールジアクリレート(SR610)及び1.0重量%のVAZPIA反応性光開始剤のエタノール/水混合溶媒(エタノール70.0体積%)溶液を加えて調製した。被覆可能な組成物中のEVALの最終濃度は2.0重量%であった。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.56μmのバブルポイント孔径及び846L/m
2.h.psi(122.8L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0075】
(実施例10)
被覆可能な組成物に用いられたポリエチレングリコールジメタクリレートの分子量が約400(SR603 OP、Sartomer,ペンシルベニア州Warrington)であり、再湿潤化剤として塩溶液の代わりに水を用いたことを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、77ダイン/cmの表面エネルギー、0.56μmのバブルポイント孔径及び885L/m
2.h.psi(128.4L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0076】
(実施例11)
原液に用いられたポリエチレングリコールジメタクリレートの分子量が750(PEG750DMA,Sigma−Aldrich,ミズーリ州St.Louis)であったことを除き、上記の実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜を調製した。実施例1に記載されているのと同じ方法によりコーティング液で膜を処理した。下記の表1に示すように、硬化された膜は、80ダイン/cmの表面エネルギー、0.61μmのバブルポイント孔径及び960L/m
2.h.psi(139.3L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0077】
(実施例12)
被覆可能な組成物に用いられたポリエチレングリコールジアクリレートがエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートエステル(SR415、Sartomer,ペンシルベニア州Warrington)であることを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、78ダイン/cmの表面エネルギー、0.56μmのバブルポイント孔径及び867L/m
2.h.psi(125.8L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0078】
(実施例13)
被覆可能な組成物がエタノール/水混合液中(エタノール70体積%)1.0重量%の実施例1に記載したEVAL44原液、2.0重量%の三官能性モノマー(SR9011、Sartomer,ペンシルベニア州Warrington)、2.0重量%のメトキシポリエチレングリコール550メタクリレート(CD552、Sartomer,ペンシルベニア州Warrington)、及び1.0重量%のVAZPIAを用いて作られることを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆可能な組成物を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、80ダイン/cmの表面エネルギー、0.64μmのバブルポイント孔径及び1099L/m
2.h.psi(159.5L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0079】
(実施例14)
UV照射工程の前に、乾燥した膜をMill−Q浄水(Millipore浄水装置)で飽和したことを除き、実施例2のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。被覆された多孔質材料を洗浄し、90℃(194°F)のスピードドライヤー内で乾燥した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、58ダイン/cmの表面エネルギー、0.53μmのバブルポイント孔径及び753L/m
2.h.psi(109.3L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0080】
(実施例15)
実施例1の被覆可能な組成物を使用したことを除き、実施例14のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、74ダイン/cmの表面エネルギー、0.58μmのバブルポイント孔径及び982L/m
2.h.psi(142.5L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0081】
(実施例16)
ベルト速度を12.2メートル/分(40フィート/分)としたことを除き、実施例2のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、73ダイン/cmの表面エネルギー、0.53μmのバブルポイント孔径及び811L/m
2.h.psi(117.7L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0082】
(実施例17)
ベルト速度を12.2メートル/分(40フィート/分)としたことを除き、実施例1のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、85ダイン/cmの表面エネルギー、0.59μmのバブルポイント孔径及び929L/m
2.h.psi(134.8L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0083】
(実施例18)
飽和した膜をポリエチレン袋に残し、5分間の照射時間でQuantum Lamps(Quantum UV Curing System、Quant 48、UV Quantum Technologies,Inc.、カリフォルニア州Irvine)を備えるUVトレーの下に置いたことを除き、実施例2のように微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材を用いて被覆された多孔質材料を調製した。袋/膜を裏返して更に5分間照射した。下記の表1に示すように、被覆された多孔質材料は、72ダイン/cmの表面エネルギー、0.58μmのバブルポイント孔径及び902L/m
2.h.psi(130.9L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。
【0084】
(実施例19)
多孔質基材としてポリプロピレン膜の代わりに疎水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の微多孔性膜(DURAPORE、0.2マイクロメートル等級、Millipore、マサチューセッツ州Billerica)の形態の多孔質基材を使用して、実施例1のように被覆された多孔質材料を調製した。本明細書に記載の試験法に従って、被覆された多孔質材料及び被覆されていない多孔質基材をそれぞれ試験した。被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.49μmのバブルポイント孔径及び548L/m
2.h.psi(79.5L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。熱抵抗試験の後、被覆された材料の表面エネルギーは73ダイン/cmであり、被覆された材料がなお瞬時の水湿潤性を有することが示された。試験データを表2に記載する。
【0085】
(実施例20)
別の疎水性のポリフッ化ビニリデン(PVDF)の微多孔性膜(DURAPORE、0.45マイクロメートル等級、Millipore、マサチューセッツ州Billerica)を使用したことを除き、上記の実施例19のように被覆された多孔質材料を調製した。被覆された多孔質材料及び被覆されていない多孔質基材を本明細書に記載の試験法に従ってそれぞれ試験した。被覆された多孔質材料は、87ダイン/cmの表面エネルギー、0.75μmのバブルポイント孔径及び1545L/m
2.h.psi(224.2L/m
2.h.kPa)の水流量を呈した。熱抵抗試験の後、被覆された材料の表面エネルギーは80ダイン/cmであり、被覆された材料が優れた水湿潤性を維持したことが示された。試験データを表2に記載する。
【0086】
(実施例21)
70〜80℃の範囲の温度の水浴からの熱の下で、EVAL共重合体(Sigma−Aldrich、ミズーリ州、St Louisから入手したエチレン含有量27モル%及び酢酸ビニル含有量73モル%のEVAL27)をエタノール(AAPER Alcohol and Chemical Co.ケンタッキー州Shelbyville)/水溶媒混合液(エタノール70.0体積%)に70〜80℃の温度範囲の温浴で熱して溶解することにより、5.0重量%原液を調製した。上記の原液124.98グラムを10.02グラムのポリエチレングリコールジメチルアクリレート(SR750、Sigma−Aldrich、ミズーリ州St.Louis)及び2.5063グラムのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(Alfa Aesar、マサチューセッツ州Ward Hill)及び0.7536グラムの2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェノキシ]−エチル−2−メチル−2−N−プロペノイルアミノプロパノエート(VAZPIA)及び0.5040グラムの4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(Sigma Aldrich、ミズーリ州St.Louis)及び112.10グラムの水/エタノール(70:30体積比)混合液と混合することにより、モノマー溶液を調製した。次いでモノマー溶液を窒素で2分間バブリングした後、ガラス瓶に密閉した。78℃に維持した温水浴に瓶を浸漬することにより、予備重合を開始した。この溶液を磁気攪拌し、15分間加熱した後に温水浴から取り出し、それ以上重合しないように直ちに冷水に浸漬した。得られた被覆可能な組成物は半透明であった。
【0087】
微多孔性ポリプロピレン膜の形態の多孔質基材(F101、3M Purification Inc.、コネチカット州Meriden)を、膜を完全に濡らすように膜の試料(約387cm
2)を十分な量の被覆溶液とともに厚手のポリエチレン(PE)袋に入れることにより、上記の予備重合した被覆可能な組成物で飽和した。PE袋から膜を取り出した後、膜の表面の余分な溶液をペーパータオルで拭き取った。飽和した膜を室温で10〜12時間乾燥させて溶媒を取り除いた。次いで、乾燥した膜をPE袋に入れ、十分な量の20.0重量% NaCl湿潤化水溶液を袋に入れて膜を完全に濡らした。再び濡れて飽和した膜を袋から取り出し、2枚の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムの間に挟んでサンドイッチ状にしたものを、室温で熱ロールラミネーター(GBC Catena 35,イリノイ州Lincolnshire)を用いて積層体にした。次いで、その積層体になった膜をコンベアベルトで、動力100%で稼動するH電球を備える600ワットFusion UVシステム(不活性窒素を用いずに)を通過させることにより硬化した。ベルト速度は9.1メートル/分(30フィート/分)であった。次いで、反対側の面をUV源に曝露するために膜を裏返し、再び9.1メートル/分(30フィート/分)でUVシステムを通過させた。BOPPフィルムを取り除いた後、得られた被覆された多孔質材料を脱イオン水で洗浄し、66℃(150°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130)で約2時間乾燥した。被覆された多孔質材料及び被覆されていない多孔質基材の表面エネルギー、バブルポイント孔径及び水流量を試験した。モデルEZ10オートクレーブ(Tuttnauer Company、ニューヨーク州Hauppauge)を用いてフレームで拘束しながら、被覆された多孔質材料を126℃(259°F)にて30分間で1サイクルオートクレーブした。表面エネルギーを測定するために、被覆された多孔質材料を再び試験した。表面エネルギーは86ダイン/cmに維持された。また、被覆された多孔質材料の熱抵抗試験も行った。試験の後、材料の表面エネルギーは82ダイン/cmであり、被覆された材料が優れた水湿潤性を維持したことが示された。試験データを表2に記載する。
【0088】
(実施例22)
ホッパー、独立した温度制御付きの8つのゾーン、及び押出成形機に希釈剤を供給するための液体リザーバを備えた40mm二軸押出成形機を使用して、PCT国際公開特許第WO 2010/071764号に記載のような微多孔性エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)膜を調製した。Halar 902 ECTFE共重合体ペレット及びETFE 6235成核剤が固体フィーダーを用いてホッパーに導入され、材料が押出成形機に供給された。押出成形機は送り速度150rpmに維持された。DBS希釈剤は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。ECTFE共重合体/希釈剤/成核剤の重量比は、57.0%/42.5%/0.5%であった。全体の押出速度は約13.6kg/時(30ボンド/時)とし、254℃から249℃まで減少する温度プロファイルとなるように押出成形機の8つのゾーンを設定した。結果として得られた融解混合組成物は、均一に混合され、続いて221℃に維持されたスロットフィルムダイを通してポンプで送り出され、ホイール温度32℃(90°F)、鋳込速度3.66m/分(12フィート/分)に維持された模様付きキャスティングホイール上に鋳込して、シート様形状の融解混合組成物を形成した。
【0089】
フィルムダイとキャスティングホイールとの間の隙間は1.9cmであり、これは、ECTFE共重合体の顕著な結晶化の前にETFEポリマー成核剤を結晶化させるのに十分大きいと考えられた。融解ポリマー混合物がキャスティングホイールに触れる前に、細孔内の混合物内に、かすかな不透明のフロストラインが生じた。得られたフィルムを溶媒でインライン洗浄して希釈剤DBSを除去した後、空気乾燥した。洗浄したフィルムを、長さ及び横方向1.8×2.85で順に配向した。ダウンウェブ方向及び横断方向の配向はそれぞれ110℃及び154℃で行った。
【0090】
この微多孔性ECTFE材料を評価したところ、非常に強く、触っても破壊や崩れを起こさずに、曲げ、折り畳み、又はプリーツに折ることが可能であることがわかった。その平均フィルム厚は38μm、バブルポイント孔径は0.29μm、多効率は61.3%、水流量は219L/m
2.h.psi(317.9L/m
2.h.kPa)であった。
【0091】
1.33重量%のポリエチレングリコール1000ジメタクリレート(PEG1000DMA、Polysceinces,Inc.、ペンシルベニア州Warrington)及び0.67重量%のポリエチレングリコールジメタクリレート(M
n 330、Sigma−Aldrich、ミズーリ州St.Louis)及び1.00重量%のN,N’−メチレンビスアクリルアミド(Alfa Aesar、マサチューセッツ州Ward Hill)及び0.30重量%のIRGACURE 2959及び0.20重量%の4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)をエタノール/水(70:30体積比)混合液中で混合することにより、実施例21に記載のEVAL27原液からモノマー溶液を調製した。最終混合液は2.00重量%のEVAL27を含有していた。次いで、このモノマー溶液を2分間窒素でバブリングした後、125mLガラス瓶に密閉した。次いで、温度75℃に維持された温水浴に瓶を浸漬した。この溶液を攪拌し、15分間加熱した後、温水浴から取り出し、それ以上重合しないように直ちに冷水に浸漬して、半透明の液体を得た。
【0092】
ベルト速度を毎分12.2メートル(40フィート)としたことを除き、実施例21に記載したのと同じ手順を用いて、前述のECTFE微多孔性膜を上記の予備重合した溶液で改質した。硬化し洗浄した膜を90℃(194°F)のスピードドライヤー(Emerson Speed Dryer Model 130,Emerson Apparatus Company,メイン州Gorham)で約1時間乾燥した。被覆された多孔質材料の表面エネルギー、バブルポイント孔径及び水流量を本明細書に記載の試験法に従って測定した。また、未処理の多孔質基材の表面エネルギー及び水流量も測定した。試験の結果を表2に記載する。
【0093】
(実施例23)
PCT国際公開特許第WO 2010/078234号に記載のように、40mm二軸押出成形機及び25mm二軸押出成形機の両方を用いて、2ゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜を調製した。2つの押出成形機からの溶融物ストリームをマルチマニホールドダイにより単一のシートにキャストした。
【0094】
溶融物ストリーム1。ポリプロピレン(PP)樹脂ペレット(F008F、ペンシルベニア州PhiladelphiaのSunoco Chemicals)及び成核剤(MILLAD(登録商標)3988、Milliken Chemical、サウスカロライナ州Spartanburg)を、250rpmの送り速度に維持されている40mm二軸押出成形機に供給した。鉱油希釈剤(Mineral Oil Superla White 31 Amoco Lubricants)は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。PP/希釈剤/成核剤の重量比は29.25%/70.7%/0.05%であった。全体の押出速度は約30ポンド/時(13.6kg/時)とし、271℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0095】
溶融物ストリーム2。125rpmの送り速度に維持されている25mm二軸押出機にPP樹脂ペレット及びMillad 3988を供給した。鉱油希釈剤は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。PP/希釈剤/成核剤の重量比は29.14%/70.7%/0.16%であった。全体の押出速度は約6ポンド/時(2.72kg/時)とし、271℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0096】
2ゾーンのフィルムを、177℃(350°F)に維持されているマルチマニホールドダイから模様付きキャストホイールにキャストした。キャストホイールの温度は60℃(140°F)に維持し、鋳込速さは3.35m/分(11フィート/分)であった。得られたフィルムを溶媒でインライン洗浄してフィルムの鉱油を取り除いてから空気乾燥した。洗浄されたフィルムは長手方向と横断方向にそれぞれ99℃(210°F)及び154℃(310°F)で1.8×2.80に順次に配向された。
【0097】
上記のように調製されたマルチゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜R1901−11を用いて、実施例2に記載の手順に従って被覆された多孔質材料を作製した。被覆された多孔質材料は水湿潤性であった。未処理の多孔質基材及び被覆された多孔質材料の両方の表面エネルギー、バブルポイント孔径及び水流量を本明細書に記載の試験法に従って測定した。結果を表2に記載する。
【0098】
(実施例24)
PCT国際公開特許第WO 2010/078234号に記載のように、40mm二軸押出成形機及び25mm二軸押出成形機の両方を用いて、2ゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜を調製した。2つの押出成形機からの溶融物ストリームをマルチマニホールドダイにより単一のシートにキャストした。
【0099】
溶融物ストリーム1。ポリプロピレン(PP)樹脂ペレット(F008F、ペンシルベニア州PhiladelphiaのSunoco Chemicals)及び成核剤(MILLAD(登録商標)3988、Milliken Chemical、サウスカロライナ州Spartanburg)を、250rpmの送り速度に維持されている40mm二軸押出成形機に供給した。鉱油希釈剤(Mineral Oil Superla White 31 Amoco Lubricants)は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。PP/希釈剤/成核剤の重量比は29.254%/70.7%/0.045%であった。全体の押出速度は約27ポンド/時(12.2kg/時)とし、271℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0100】
溶融物ストリーム2。125rpmの送り速度に維持されている25mm二軸押出機にPP樹脂ペレット及びMillad 3988を供給した。鉱油希釈剤は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。PP/希釈剤/成核剤の重量比は28.146%/70.7%/0.154%であった。全体の押出速度は約9ポンド/時(4.08kg/時)とし、271℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0101】
177℃(350°F)に維持されているマルチマニホールドダイから2ゾーンのフィルムをキャストし、模様付きキャストホイールに供給した。キャストホイールの温度は60℃(140°F)に維持し、鋳込速さは3.52m/分(11.54フィート/分)であった。得られたフィルムを溶媒でインライン洗浄して鉱油希釈剤を取り除いてから空気乾燥した。洗浄されたフィルムは長手方向と横断方向にそれぞれ99℃(210°F)及び154℃(310°F)で1.6×2.85に順次に配向された。
【0102】
上記のように調製されたマルチゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜R1901−8Bを用いて、実施例2に記載の手順に従って被覆された多孔質材料を作製した。未処理の多孔質基材及び被覆された多孔質材料の両方の表面エネルギー、バブルポイント孔径及び水流量を本明細書に記載の試験法に従って測定した。試験結果を表2に記載する。
【0103】
(実施例25)
PCT国際公開特許第WO 2010/078234号に記載のように、それぞれがホッパー、独立温度制御付きの8つのゾーン及び押出成形機に希釈剤を供給するための液体リザーバを備えた、40mm二軸押出成形機及び25mm二軸押出成形機の両方を用いて、2ゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜を調製した。押出成形機からの2つの溶融物ストリームを1つの開口部を有するマルチマニホールドダイによって単一のシートにキャストした。
【0104】
溶融物ストリーム1。ポリプロピレン(PP)樹脂ペレット(F008F、ペンシルベニア州PhiladelphiaのSunoco Chemicalsより)及び成核剤(MILLAD(登録商標)3988、Milliken Chemical、サウスカロライナ州Spartanburg)を固形物フィーダーを用いてホッパーに供給し、175rpmの送り速度に維持されている40mm二軸押出機にそれらの材料を供給した。鉱油希釈剤(Kaydol 350 Mineral Oil、Brenntag Great Lakes LCC、ミネソタ州St.Paul)は別途、リザーバから押出成形機に供給した。PP/希釈剤/成核剤の重量比は34.247%/65.7%/0.053%であった。全体の押出速度は約32ポンド/時(14.5kg/時)とし、271℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0105】
溶融物ストリーム2。150rpmの送り速度に維持されている25mm二軸押出機にPP樹脂ペレット及びMillad 3988を供給した。鉱油希釈剤は、リザーバから押出成形機内に別個に供給された。PP/希釈剤/成核剤の重量比は29.14%/70.7%/0.16%であった。全体の押出速度は約6ポンド/時(2.72kg/時)とし、254℃から177℃まで減少する温度プロファイルになるように押出機の8つのゾーンを設定した。
【0106】
2ゾーンのフィルムを、177℃(350°F)に維持されているマルチマニホールドダイから模様付きキャストホイールにキャストした。キャストホイールの温度は71℃(160°F)に維持し、鋳込速さは5.79m/分(19.00フィート/分)であった。得られたフィルムを溶媒でインライン洗浄して鉱油希釈剤を取り除いてから空気乾燥した。洗浄されたフィルムは長手方向と横断方向にそれぞれ99℃(210°F)及び160℃(310°F)で1.5×2.70に順次に配向された。
【0107】
上記のように調製されたマルチゾーンの微多孔性ポリプロピレン膜R1933−7を用いて、実施例2に記載の手順に従って被覆された多孔質材料を作製した。未処理の多孔質基材及び被覆された多孔質材料の両方の表面エネルギー、バブルポイント孔径及び水流量を本明細書に記載の試験法に従って測定した。試験結果を表2に記載する。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
本発明の様々な実施形態について詳細に説明した。予見可能及び不測の両方の変更を、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に加えることができることを、当業者であれば理解するであろう。