(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プレポリマーを基準として、140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートについて1.0重量%未満の重量分率を有するイソシアネート官能性プレポリマーA)を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
専らヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)またはそれらの混合物を低分子量脂肪族ジイソシアネートA1)として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
存在するオキシアルキレン基の全量を基準として60〜85モル%のエチレンオキシド含有量を有し、ポリオールまたはアミンで開始される、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの共重合体をポリアルキレンオキシドA2)として用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の方法は、先行技術に開示された上述の方法と比べて、脂肪族ポリウレタンフォームを製造するためにより短い反応時間しか必要としない。つまり、ここでは個々の成分がより速く完全に反応し、そのため本発明の方法は、反応の速い芳香族プレポリマーからのフォームの製造用に設計した既存設備で行うこともできる。さらに、反応が促進されるにもかかわらず、十分なポットライフがあり、すなわち完全な混合ができないほど成分間の反応は速すぎない。
【0013】
意外なことに、有機酸またはその塩、例えばWO2010/003559に開示されたオレイン酸ナトリウムの添加により、組成物中のその濃度が明らかに上昇する場合でさえ、適当な反応の促進が生じない。
【0014】
また、本発明の方法により得られ得るポリウレタンフォームは、WO2010/003559から既知のフォームに匹敵する有利な化学的および物理的特性を有する。そのため、生理食塩水または創傷液のこれらの吸収性は高い。これらはまた抽出可能成分をごく少量しか有さず、そのため細胞適合性が非常に高い。
【0015】
本発明による方法によって得られたポリウレタンフォームの生理食塩水の吸収性は、一般に400〜2000%の範囲である(吸収された液体の質量を乾燥フォームの質量で割る;DIN EN 13726−1、パート3.2により決定)。したがって、他の親水性フォームと比較して、このポリウレタンフォームは、超吸収ポリマーを使用せずとも生理食塩水について非常に高い吸収性を達成するために使用することができる。しかし、本発明による方法により得られたポリウレタンフォームに対して超吸収材を組み込むことも可能であると評価されているが、その吸収性はすでに非常に高いため、本発明のフォームにとっては好ましくない。
【0016】
本発明による方法によって得られたポリウレタンフォームはさらに、心地よい感触、および多孔質の、互いに連通化した気泡を包む少なくとも部分的な連続気泡構造を有する。これらのポリウレタンフォームの見かけ密度は、一般に0.01〜0.5g/cm
3の範囲である(DIN 53420により決定)。ポリウレタンフォームはさらに、良好な機械的強度および高弾性を有する。一般に、引張強度は30kPaよりも大きく、破断点伸びは20%よりも大きい(DIN 53504、DIN 53455により決定)。
【0017】
本発明のさらなる発展の一つにおいては、プレポリマーを基準として、140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートについて1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の重量分率を有するイソシアネート官能性プレポリマーA)を用いる。この含有量は、ジイソシアネートA1)およびポリアルキレンオキシドA2)の使用量を適当に選択することによって達成できる。しかし、その後の未反応ジイソシアネートの分離、好ましくは蒸留による分離において、ジイソシアネートA1)を過剰に用いることが好ましい。この実施態様で得られ得るポリウレタンフォームは、潜在的に有害な抽出可能成分を非常に低いレベルでしか有さず、そのため細胞適合性が特に高い。
【0018】
イソシアネート官能性プレポリマーA)は一般に、1モル当量のポリアルキレンオキシドA2)と1〜20モル、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは5〜10モルのジイソシアネートA1)との反応によって調製する。その反応は一般に25〜140℃、好ましくは60〜100℃で行う。過剰のジイソシアネートを用いた場合、次のその過剰分の除去は、好ましくは薄膜蒸留によって行う。
【0019】
その反応または過剰のジイソシアネートを蒸留除去する前、その最中およびその後に、酸性もしくはアルキル化安定剤、例えばベンゾイルクロリド、イソフタロイルクロリド、メチルトシレート、クロロプロピオン酸、HCl等または酸化防止剤、例えばジ−tert−ブチルクレゾールもしくはトコフェロール等を添加することができる。
【0020】
イソシアネート官能性プレポリマーA)のイソシアネート基含有量(DIN EN ISO 11909により決定)は、好ましくは1.5〜4.5重量%の範囲、さらに好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲、なおさらに好ましくは1.5〜3.0重量%の範囲である。
【0021】
適当な低分子量脂肪族ジイソシアネートA1)は例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンが挙げられ、その中でヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0022】
本発明の特に好ましい実施態様においては、専らヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)またはそれらの混合物を、低分子量脂肪族ジイソシアネートA1)として用いる。
【0023】
ポリアルキレンオキシドA2)は好ましくは、存在するオキシアルキレン基の全量を基準として50〜100モル%、好ましくは60〜85モル%のエチレンオキシド含有量を有し、ポリオールまたはアミンで開始された、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの共重合体である。この種の適当な開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アンモニアまたはエチレンジアミンである。
【0024】
ポリアルキレンオキシドA2)の数平均分子量は、一般に1000〜15000g/モルの範囲、好ましくは3000〜8500g/モルの範囲である。
【0025】
ポリアルキレンオキシドA2)はさらに、2〜6、好ましくは3〜6、さらに好ましくは3〜4のOH官能価を有してよい。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、その対応する遊離酸が水中、25℃において≧4.0および≦14.0のpK
a値を有する無機弱酸のアルカリ金属塩B)を用いる。
【0027】
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムは、特に適当な無機弱酸のアルカリ金属塩B)の例であり、一方、これらの塩の任意の所望の混合物も包含する。
【0028】
無機弱酸のアルカリ金属塩B)は、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの群から選択される場合が特に好ましい。この場合、特に短い反応時間となる。
【0029】
用いる水C)は、水自体、塩の結晶化の水として、双極性非プロトン溶媒中の溶液としてまたは乳濁液として、用いることができる。好ましくは、水は水自体、または双極性非プロトン溶媒中で用いる。水自体を用いることがさらに特に好ましい。
【0030】
任意に用いる環式オリゴマーD)は、140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートの四員または六員複素環式オリゴマー、例えば上述した低分子量脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオンまたはウレトジオンである。ウレトジオン等の四員複素環式オリゴマーが好ましい。環式オリゴマーD)の使用によってイソシアネート基含有量が増加し、より多くのCO
2がイソシアネート−水反応で生じるため、より良好な発泡がもたらされる。
【0031】
さらに反応を促進させるため、触媒E)を添加してよい。この触媒は一般に、当業者がポリウレタン技術から既知の化合物である。この場合、触媒活性金属塩、アミン、アミジンおよびグアニジンからなる群からの化合物が好ましい。特別な例は、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)、錫オクトエート(SO)、錫アセテート、亜鉛オクトエート(ZO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタ−4−エン(DBO)、N−エチルモルホリン(NEM)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ペンタメチルグアニジン(PMG)、テトラメチルグアニジン(TMG)、シクロテトラメチルグアニジン(TMGC)、n−デシルテトラメチルグアニジン(TMGD)、n−ドデシルテトラメチルグアニジン(TMGDO)、ジメチルアミノエチルテトラメチルグアニジン(TMGN)、1,1,4,4,5,5−ヘキサメチルイソビグアニジン(HMIB)、フェニルテトラメチルグアニジン(TMGP)およびヘキサメチレンオクタメチルビグアニジン(HOBG)である。
【0032】
しかし、触媒E)を用いないことが特に好ましい。
【0033】
フォーム形成、フォーム安定性または生成するポリウレタンフォームの特性を改良するために、界面活性剤F)を添加することができ、この場合、そのような添加物は原理上、任意の既知のアニオン性、カチオン性、両性および非イオン性の界面活性剤ならびにそれらの混合物であってよい。アルキルポリグリコシド、EO−POブロック共重合体、アルキルもしくはアリールアルコキシレート、シロキサンアルコキシレート、スルホコハク酸のエステルおよび/またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属アルカノエートを用いることが好ましい。EO−POブロック共重合体を用いることが特に好ましく、さらに特に好ましくはEO−POブロック共重合体のみを界面活性剤F)として用いる。
【0034】
また、生成するポリウレタンフォームの特性を改良するために、一価もしくは多価アルコールG)およびそれらの混合物を用いることができる。これらのアルコールは例えば、一価もしくは多価アルコールまたはポリオール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、デカノール、トリデカノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、単官能性ポリエーテルアルコールおよびポリエステルアルコール、ポリエーテルジオールならびにポリエステルジオールが挙げられる。
【0035】
同じく必要に応じて、反応物質中に親水性ポリイソシアネートH)を含有させる。単官能性ポリアルキレンオキシドのOH基1モル毎に対して低分子量脂肪族ジイソシアネートH1)のNCO基が1.25〜15モル、好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜6モルであるように、低分子量脂肪族ジイソシアネートH1)に対する単官能性ポリアルキレンオキシドH2)の比率を調整することにより、親水性ポリイソシアネートH)を一般に調製する。次いで、アロファネート化/ビウレット化および/またはイソシアヌレート化/ウレトジオン化を行う。ポリアルキレンオキシドH2)がウレタン基により脂肪族ジイソシアネートH1)と結合する場合、好ましくは次にアロファネート化を行う。イソシアヌレート構造単位を生成することがさらに好ましい。
【0036】
親水性ポリイソシアネートH)を製造する別の方法は一般に、単官能性ポリアルキレンオキシド成分H2)のOH基1モルと、2〜6のイソシアネート官能価を有し、脂肪族ジイソシアネートに基づくポリイソシアネートH1)のNCO基1.25〜15モル、好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜6モルとの反応を含む。このようなポリイソシアネートH1)は例えば、脂肪族ジイソシアネートに基づく、ビウレット構造、イソシアヌレート/ウレトジオンが挙げられる。ポリイソシアネートH1)およびポリアルキレンオキシドH2)は、ウレタン基またはウレア基により互いに架橋されるのが好ましいが、特にウレタン基による架橋が好ましい。
【0037】
この反応は、ウレタン化触媒、例えば錫化合物、亜鉛化合物、アミン、グアニジンもしくはアミジン等の存在下、またはアロファネート化触媒、例えば亜鉛化合物等の存在下で行うことができる。
【0038】
反応温度は、一般に25〜140℃の範囲、好ましくは60〜100℃の範囲である。
【0039】
過剰の低分子量ジイソシアネートを用いた場合、過剰の低分子量脂肪族ジイソシアネートを次いで除去し、好ましくは薄膜蒸留によって除去する。
【0040】
その反応または過剰のジイソシアネートを蒸留除去する前、その最中およびその後に、酸性もしくはアルキル化安定剤、例えばベンゾイルクロリド、イソフタロイルクロリド、メチルトシレート、クロロプロピオン酸、HCl等または酸化防止剤、例えばジ−tert−ブチルクレゾールもしくはトコフェロール等を添加することができる。
【0041】
親水性ポリイソシアネートH)のNCO含有量(DIN EN ISO 11909により決定)は、好ましくは0.3〜20重量%の範囲、さらに好ましくは2〜10重量%の範囲、なおさらに好ましくは3〜6重量%の範囲である。
【0042】
成分H1)の低分子量脂肪族ジイソシアネートは例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンが挙げられ、その中でヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびブチレンジイソシアネートがさらに好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが極めて好ましい。
【0043】
比較的に高分子量のポリイソシアネートH1)は例えば、前セクションで言及した脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートに基づく、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジントリオン、オキサジアジントリオンおよび/またはウレトジオン基を有する、2〜6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートが挙げられる。
【0044】
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づく、ビウレット、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレートおよび/またはウレトジオン基を有する比較的に高分子量の化合物を成分H1)として使用するのが好ましい。イソシアヌレートがさらに好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく構造が極めて好ましい。
【0045】
適当な開始剤分子のアルコキシル化によるポリアルキレンオキシドH2)の調製は文献により知られている(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim 第31〜38頁)。適当な開始剤分子は、特に飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等およびまた芳香族アルコール、例えばフェノール等またはモノアミン、例えばジエチルアミン等である。好ましい開始剤分子は、上述した種の飽和モノアルコールである。ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールを開始剤分子として用いることが特に好ましい。
【0046】
本発明の目的のための単官能性ポリアルキレンオキシドは、イソシアネート反応性基をただ1つ、すなわちNCO基と反応可能な基を1つ有する化合物である。
【0047】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は、好ましくはイソシアネート反応性基としてOH基を1つ有する。
【0048】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は、15〜250、好ましくは28〜112のOH価、および存在するオキシアルキレン基の全量を基準として50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%のエチレンオキシド含有量を有する。
【0049】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は一般に、220〜3700g/モル、好ましくは500〜2800g/モルの数平均分子量を有する。
【0050】
本発明のさらなる好ましい実施態様において、成分A)〜H)を次の量:
A)イソシアネート官能性プレポリマー100重量部、
B)無機弱酸のアルカリ金属塩0.01〜5重量部、
C)水0.1〜200重量部、
D)複素環式オリゴマー0〜100重量部、
E)触媒0〜1重量部、
F)界面活性剤0〜10重量部、
G)一価または多価アルコール0〜20重量部、および
H)親水性ポリイソシアネート0〜60重量部
で用いる。
【0051】
複素環式オリゴマーD)を10〜100、好ましくは20〜90、さらに好ましくは20〜80重量部で用いる場合はまた有利である。
【0052】
本発明による親水性脂肪族ポリウレタンフォームは、成分A)、B)、C)および必要に応じてD)、E)、F)、G)およびH)を任意の順序で混合し、発泡し、硬化し、好ましくは化学架橋によって硬化することにより調製され得る。好ましくは、成分A)、D)および必要に応じてH)を前もって互いに混合する。好ましくは、成分B)をその水溶液の形で反応混合物に添加する。
【0053】
発泡は原理上、イソシアネート基と水との反応過程で発生した二酸化炭素によってもたらし得るが、同じくさらなる発泡剤を用いることができる。したがって、例えばC
3〜C
6アルカン等の炭化水素類、例えばブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサンもしくは同種のもの、またはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ジクロロ−2−フルオロエタン、特に塩素不含のヒドロフルオロカーボン、例えばジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン(R134またはR134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(R245 fa)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(R256)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R365 mfc)、ヘプタフルオロプロパン等、または他に、六フッ化硫黄からの発泡剤を原理上用いることもできる。これらの発泡剤の混合物を用いることもできる。
【0055】
本発明はさらに、
A)イソシアネート官能性プレポリマー、好ましくは該プレポリマーを基準として、140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートについて1.0重量%未満の重量分率を有し、
A1)140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートと
A2)22.5〜112、好ましくは31.5〜56のOH価、および存在するオキシアルキレン基の全量を基準として50〜100モル%、好ましくは60〜85モル%のエチレンオキシド含有量を有する、2〜6官能性、好ましくは3〜6官能性ポリアルキレンオキシド
との反応によって得られ得るイソシアネート官能性プレポリマー、
B)無機弱酸のアルカリ金属塩、
C)水、
D)必要に応じて、140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートの四員または六員複素環式オリゴマー、
E)必要に応じて触媒、
F)必要に応じて界面活性剤、
G)必要に応じて一価または多価アルコール、ならびに
H)必要に応じて、
H1)140〜278g/モルのモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートおよび/またはそれから得られ得る2〜6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートと、
H2)10〜250のOH価および存在するオキシアルキレン基の全量を基準として50〜100モル%のエチレンオキシド含有量を有する単官能性ポリアルキレンオキシド
との反応から得られ得る親水性ポリイソシアネート、
を含む組成物であって、ここで、無機弱酸のアルカリ金属塩B)は、その対応する遊離酸が水中、25℃で≧4.0のpKA価を有する化合物である組成物を提供する。
【0056】
本発明の組成物は、ポリウレタンフォームを製造するための方法における使用に特に適当である。
【0057】
本発明による組成物の好ましい実施態様において、無機弱酸のアルカリ金属塩B)は、その対応する遊離酸が水中、25℃で≧4.0および≦14のpKA価を有する化合物である。
【0058】
さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの群から無機弱酸のアルカリ金属塩B)を選択してよい。
【0059】
さらに、成分A)〜H)は次の量:
A)イソシアネート官能性プレポリマー100重量部、
B)無機弱酸のアルカリ金属塩0.01〜5重量部、
C)水0.1〜200重量部、
D)複素環式オリゴマー0〜100重量部、
E)触媒0〜1重量部、
F)界面活性剤0〜10重量部、
G)一価または多価アルコール0〜20重量部、および
H)親水性ポリイソシアネート0〜60重量部
で存在する組成物も好ましい。
【0060】
この組成物は、1〜100、好ましくは5〜90、さらに好ましくは10〜80重量部の複素環式オリゴマーD)を含むことが有利である。
【0061】
本発明はさらに、本発明の方法により得られ得るポリウレタンフォームを提供し、また軟質フォーム、初期創傷被覆材、化粧用品もしくは失禁製品として、または上述した製品の1つの部品としてのそれらの使用もまた提供する。
【0062】
本発明はさらに特に、創傷を処置するための初期創傷被覆材の製造における使用のための本発明のポリウレタンフォームにも関する。
【0063】
同じく本発明は、創傷の処置手段としての本発明のポリウレタンフォームに関する。
【0064】
製造後、従来の方法でポリウレタンフォームをシート状材料にすることができ、その後、例えば初期創傷被覆材、化粧用品または失禁製品の部品として使用することができる。通常、この目的のために平板フォームを通常の方法によって所望の厚さに切断し、これによって、一般に10μm〜5cm、好ましくは0.1mm〜1cm、さらに好ましくは0.1mm〜6mm、極めて好ましくは0.2mm〜6mmの厚さを有するシート状材料が得られる。
【0065】
しかし、適当な成形技術を直接用いて、本発明による組成物を基板、例えば必要に応じて前処理した紙または繊維製品の上に塗布し、発泡することによって、上記のシート状材料を得ることもできる。
【0066】
さらにポリウレタンフォームは、さらなる材料、例えばヒドロゲル、(半)透湿性フィルム、発泡体フィルム、コーティング、ヒドロコロイドまたはその他の発泡体に基づく材料と接着させ、またはラミネート加工、コートしてよい。
【0067】
本発明によるポリウレタンフォームは、初期創傷被覆材の製造において特に有用である。これらの被覆材においては、ポリウレタンフォームは直接または間接に創傷に接触してよい。しかし好ましくは、例えば創傷液の最適な吸収を確保できるため、創傷に直接接触してポリウレタンフォームを用いる。このポリウレタンフォームは細胞毒性を示さない(ISO 10993−5およびISO 10993−12により決定)。
【0068】
さらに、初期創傷被覆材として用いるポリウレタンフォームを、さらなる操作において殺菌することができる。殺菌は、当業者にとってそれ自体既知の方法を用いて行い、その場合、殺菌は熱処理、エチレンオキシド等の化学物質または照射、例えばガンマ線照射によって行う。適切な場合には、ここで照射は保護ガス雰囲気下で行うことができる。この場合、本発明によるポリウレタンフォームは、照射、特にガンマ線での照射において変色しないという非常に大きな利点を有する。
【0069】
同じく、例えば創傷治癒および細菌負荷回避についての有用な効果を有する抗菌性または生物活性成分を添加し、組み込み、またはコートすることができる。
【実施例】
【0070】
本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。
【0071】
用いた物質および略称:
〔Desmodur(登録商標)N3400〕
脂肪族ポリイソシアネート(HDI−ウレトジオン)、NCO含有量21.8%、Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国
〔Desmodur(登録商標)N3300〕
脂肪族ポリイソシアネート(HDI−イソシアヌレート)、NCO含有量21.8%、Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国
〔Polyether LB 25〕
エチレンオキシド−プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/モル、OH価25mgKOH/g、Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国
【0072】
方法:
特に明記しない限り、百分率は全て重量による。
固形分はDIN−EN ISO 3251により決定した。
粘度は23℃でDIN 53019により決定した。
NCO含有量はDIN−EN ISO 11909に記載されるように容量分析で決定した。
【0073】
実施例1:ポリウレタンプレポリマー1(成分A)の調製
1000gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルの混合物を、1000gのポリアルキレンオキシドと滴下添加によって80℃で3時間混合し、その後12時間攪拌したが、ここで、該ポリアルキレンオキシドは4680g/モルのモル質量を有し、グリセロールで開始され、72%の重量分率のエチレンオキシドおよび28%の重量分率のプロピレンオキシドであり、100℃、0.1ミリバールの圧力下で6時間事前に乾燥したものであった。過剰のHDIを130℃、0.1ミリバールで薄膜蒸留によって除去し、不揮発性成分は1gの塩化プロピオン酸で安定化した。これにより、2.77%のNCO含有量および3500mPasの粘度を有するプレポリマーA)を得た。
【0074】
実施例2:親水性ポリイソシアネート(成分H)の調製
Desmodur N3300 282.5gおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシド(存在するオキシアルキレン基の全量を基準として80モルのエチレンオキシド含有量、数平均分子量2250g/モルおよび25mgKOH/gのOH価を有するに基づくヒドロキシル単官能性ポリエーテル843.8gの混合物を、ガラス製装置内において80℃で、滴定分析で決定されるNCO基含有量が一定となるまで攪拌した。これにより、4.04%のNCO含有量および3330mPasの粘度を有する液体が得られた。
【0075】
発泡材料の製造
調製し、発泡した組成物の種類および量を、表1ならびに
図1および2に示す。組成物は次のように調製した:実施例1のプレポリマー、実施例2の親水性ポリイソシアネートおよびオリゴマーDesmodur N3400を反応容器に入れ、そこで1200rpmの速度で攪拌することによって、15秒間均質化させた。次いで水を添加するが、この水は、特定の量の弱酸のアルカリ金属塩を既に溶解含有しており(それぞれ
図1および2の量)、その後さらに10秒間攪拌した。次いで、成分が反応した結果として安定したフォームが成形するまで、このようにして得られた組成物を静置した。
【0076】
発泡中におけるクリームタイムおよびゲルタイムを定義した。クリームタイムは、最初の気泡の発生から成分の反応開始を観測することができた時間とした。ゲルタイムは、組成物が粘着性を有し始めた時間である。これは、組成物を樹脂製ピペットで少し接触させ、次いで引き離すことを繰り返してテストした。組成物と樹脂製ピペットの間で生じる糸状物が形成しなくなり次第、ゲルタイムに達するものとした。
【0077】
【表1】
【0078】
図1および2はそれぞれ、処方中のナトリウム濃度およびその種のナトリウム塩の作用として、異なる弱酸のアルカリ金属塩に対するクリームタイムおよびゲルタイムを示す。
【0079】
それぞれ無機弱酸のアルカリ金属塩(NaHCO
3、NaOHおよびNa
2CO
3)を含む本発明のポリウレタンフォームの他に、逆の例として有機弱酸のアルカリ金属塩(オレイン酸ナトリウム)を用いて発泡体の製造も行った。
【0080】
発泡過程において、NaHCO
3、NaOHまたはNa
2CO
3を含む本発明の組成物は、オレイン酸ナトリウムを含む比較組成物と比べて、明らかにクリームタイムおよびゲルタイムがより短く、さらに反応時間もより短いことが見出された。一方、本発明の組成物から製造したフォームは、その化学的特性または物理的特性いずれにおいても、比較組成物から得た発泡体と相違はなかった。例えば、本発明のポリウレタンフォームは、生理食塩水または創傷液に関して高い吸収性を有し、抽出可能成分をわずかにしか含まない。このフォームは細胞適合性も非常に高い。