(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
N−シクロプロピル−4−{8−[(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミノ]−6−(プロピルスルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}−2−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−{8−[(2−メチルプロピル)アミノ]−6−(メチルスルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}ベンズアミド、
N−シクロプロピル−2−メチル−4−{6−(メチルスルファニル)−8−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−{8−[(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミノ]−6−(メチルスルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}−2−メチルベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物。
請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物、および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
疾患の処置または予防のための医薬の製造を目的とする、請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物の使用。
疾患が、制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞炎症性応答に関する疾患であって、制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞炎症性応答が、単極性紡錘体1キナーゼ(MPS−1)により直接的または間接的に仲介されるものであり、かつ、制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞炎症性応答の疾患が、血液の癌、固形腫瘍および/またはその転移癌である、請求項6に記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【0019】
発明の概要
本発明は、一般式(I)
【化2】
[式中、
R
1は、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zは、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよく;
R
2は、
【化3】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dは、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、または−CN、C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、−N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R’、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)N(R)R’、−O(C=O)OR、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
6eは、所望により、同一または異なり、以下から選択される1、2、3または4個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である:水素、ハロゲン、−OH、−CN、C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルコキシ、ハロ−C
1−C
6−アルキル−〕
で示される基であり;
R
3は、C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基は、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基により置換されていてよく;
R
4は水素原子であり;
R
5は水素原子であり;
R
7は、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
8は、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R、R’およびR”は、互いに独立して、水素原子またはC
1−C
6−アルキルであり;
mは、0、1、2、3、4、5または6の整数である]
で示される化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物に関する。
【0020】
本発明はさらに、一般式(I)の置換イミダゾピラジン化合物の製造方法および該化合物を製造するための中間体、該化合物を含む医薬組成物および組合せ剤、疾患の処置または予防のための医薬組成物の製造のための該化合物の使用、ならびに該化合物の製造に有用な中間体化合物に関する。
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書に記載の用語は、好ましくは以下の意味を有する。
用語“ハロゲン原子”または“ハロ”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味すると理解されるべきである。
【0022】
用語“C
1−C
6−アルキル”は、好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状の1価の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ペンチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、neo−ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−エチルブチル、1−エチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、または1,2−ジメチルブチル基、あるいはその異性体を意味すると理解されるべきである。特に、該基は、1、2、3または4個の炭素原子を有し(“C
1−C
4−アルキル”)、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基であり、より具体的には、1、2または3個の炭素原子を有し(“C
1−C
3−アルキル”)、例えばメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル基である。
【0023】
用語“ハロ−C
1−C
6−アルキル”は、好ましくは、直鎖または分枝状の、1価の飽和炭化水素基を意味すると理解されるべきであり、ここで用語““C
1−C
6−アルキル”は、上記に定義され、そして1個またはそれ以上の水素原子が、同一または異なるハロゲン原子により置換される、すなわち1個のハロゲン原子がもう一方とは独立している。特に、該ハロゲン原子はFである。該ハロ−C
1−C
6−アルキル基は、例えば、CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−CF
2CF
3、または−CH
2CF
3である。
【0024】
用語“C
1−C
6−アルコキシ”は、好ましくは、直鎖または分枝状の、飽和の、1価の、式−O−(C
1−C
6−アルキル)の炭化水素基を意味すると理解されるべきであり、ここで用語“C
1−C
6−アルキル”は、上記に定義され、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、またはn−ヘキソキシ基、またはそれらの異性体である。
【0025】
用語“ハロ−C
1−C
6−アルコキシ”は、上記に定義した通り、好ましくは直鎖または分枝状の1価の飽和C
1−C
6−アルコキシ基を意味すると理解されるべきであり、ここで1個またはそれ以上の水素原子は、同一または異なるハロゲン原子により置換される。特に、該ハロゲン原子はFである。該ハロ−C
1−C
6−アルコキシ基は、例えば、−OCF
3、−OCHF
2、−OCH
2F、−OCF
2CF
3、または−OCH
2CF
3である。
【0026】
用語“C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル”は、上記に定義の通り、好ましくは直鎖または分枝状の飽和の1価のC
1−C
6−アルキル基を意味すると理解されるべきであり、ここで1個またはそれ以上の水素原子は、同一または異なり、上記に定義のC
1−C
6−アルコキシ基、例えば、メトキシアルキル、エトキシアルキル、プロピルオキシアルキル、イソプロポキシアルキル、ブトキシアルキル、イソブトキシアルキル、tert−ブトキシアルキル、sec−ブトキシアルキル、ペンチルオキシアルキル、イソペンチルオキシアルキル、ヘキシルオキシアルキル基、またはそれらの異性体により置換される。
【0027】
用語“ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル”は、好ましくは上記に定義の通り、直鎖または分枝状の1価の飽和C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル基を意味すると理解されるべきであり、ここで1個またはそれ以上の水素原子は、同一または異なり、ハロゲン原子により置換される。特に、該ハロゲン原子はFである。該ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル基は、例えば、−CH
2CH
2OCF
3、−CH
2CH
2OCHF
2、−CH
2CH
2OCH
2F、−CH
2CH
2OCF
2CF
3、または−CH
2CH
2OCH
2CF
3である。
【0028】
用語“C
2−C
6−アルケニル”は、好ましくは、直鎖または分枝状の1価の炭化水素基を意味すると理解されるべきであり、これは1個またはそれ以上の二重結合を含有し、2、3、4、5または6個の炭素原子、特に2または3個の炭素原子を有し(“C
2−C
3−アルケニル”)、この場合、該アルケニル基が2個以上の二重結合を含有し、該二重結合は互いに離れているか、または互いに連結され得ると理解される。該アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、(E)−2−メチルビニル、(Z)−2−メチルビニル、ホモアリル、(E)−ブト−2−エニル、(Z)−ブト−2−エニル、(E)−ブト−1−エニル、(Z)−ブト−1−エニル、ペント−4−エニル、(E)−ペント−3−エニル、(Z)−ペント−3−エニル、(E)−ペント−2−エニル、(Z)−ペント−2−エニル、(E)−ペント−1−エニル、(Z)−ペント−1−エニル、ヘキシ−5−エニル、(E)−ヘキシ−4−エニル、(Z)−ヘキシ−4−エニル、(E)−ヘキシ−3−エニル、(Z)−ヘキシ−3−エニル、(E)−ヘキシ−2−エニル、(Z)−ヘキシ−2−エニル、(E)−ヘキシ−1−エニル、(Z)−ヘキシ−1−エニル、イソプロペニル、2−メチルプロプ−2−エニル、1−メチルプロプ−2−エニル、2−メチルプロプ−1−エニル、(E)−1−メチルプロプ−1−エニル、(Z)−1−メチルプロプ−1−エニル、3−メチルブト−3−エニル、2−メチルブト−3−エニル、1−メチルブト−3−エニル、3−メチルブト−2−エニル、(E)−2−メチルブト−2−エニル、(Z)−2−メチルブト−2−エニル、(E)−1−メチルブト−2−エニル、(Z)−1−メチルブト−2−エニル、(E)−3−メチルブト−1−エニル、(Z)−3−メチルブト−1−エニル、(E)−2−メチルブト−1−エニル、(Z)−2−メチルブト−1−エニル、(E)−1−メチルブト−1−エニル、(Z)−1−メチルブト−1−エニル、1,1−ジメチルプロプ−2−エニル、1−エチルプロプ−1−エニル、1−プロピルビニル、1−イソプロピルビニル、4−メチルペント−4−エニル、3−メチルペント−4−エニル、2−メチルペント−4−エニル、1−メチルペント−4−エニル、4−メチルペント−3−エニル、(E)−3−メチルペント−3−エニル、(Z)−3−メチルペント−3−エニル、(E)−2−メチルペント−3−エニル、(Z)−2−メチルペント−3−エニル、(E)−1−メチルペント−3−エニル、(Z)−1−メチルペント−3−エニル、(E)−4−メチルペント−2−エニル、(Z)−4−メチルペント−2−エニル、(E)−3−メチルペント−2−エニル、(Z)−3−メチルペント−2−エニル、(E)−2−メチルペント−2−エニル、(Z)−2−メチルペント−2−エニル、(E)−1−メチルペント−2−エニル、(Z)−1−メチルペント−2−エニル、(E)−4−メチルペント−1−エニル、(Z)−4−メチルペント−1−エニル、(E)−3−メチルペント−1−エニル、(Z)−3−メチルペント−1−エニル、(E)−2−メチルペント−1−エニル、(Z)−2−メチルペント−1−エニル、(E)−1−メチルペント−1−エニル、(Z)−1−メチルペント−1−エニル、3−エチルブト−3−エニル、2−エチルブト−3−エニル、1−エチルブト−3−エニル、(E)−3−エチルブト−2−エニル、(Z)−3−エチルブト−2−エニル、(E)−2−エチルブト−2−エニル、(Z)−2−エチルブト−2−エニル、(E)−1−エチルブト−2−エニル、(Z)−1−エチルブト−2−エニル、(E)−3−エチルブト−1−エニル、(Z)−3−エチルブト−1−エニル、2−エチルブト−1−エニル、(E)−1−エチルブト−1−エニル、(Z)−1−エチルブト−1−エニル、2−プロピルプロプ−2−エニル、1−プロピルプロプ−2−エニル、2−イソプロピルプロプ−2−エニル、1−イソプロピルプロプ−2−エニル、(E)−2−プロピルプロプ−1−エニル、(Z)−2−プロピルプロプ−1−エニル、(E)−1−プロピルプロプ−1−エニル、(Z)−1−プロピルプロプ−1−エニル、(E)−2−イソプロピルプロプ−1−エニル、(Z)−2−イソプロピルプロプ−1−エニル、(E)−1−イソプロピルプロプ−1−エニル、(Z)−1−イソプロピルプロプ−1−エニル、(E)−3,3−ジメチルプロプ−1−エニル、(Z)−3,3−ジメチルプロプ−1−エニル、1−(1,1−ジメチルエチル)エテニル、ブタ−1,3−ジエニル、ペンタ−1,4−ジエニル、ヘキサ−1,5−ジ−エニル、またはメチルヘキサジエニル基である。特に、該基はビニルまたはアリルである。
【0029】
用語“C
2−C
6−アルキニル”は、好ましくは、直鎖または分枝状の1価の炭化水素基を意味すると理解されるべきであり、それは、1個またはそれ以上の三重結合を含有し、かつ2、3、4、5または6個の炭素原子、特に2または3個の炭素原子を含有する(“C
2−C
3−アルキニル”)。該C
2−C
6−アルキニル基は、例えば、エチニル、プロプ−1−イニル、プロプ−2−イニル、ブト−1−イニル、ブト−2−イニル、ブト−3−イニル、ペント−1−イニル、ペント−2−イニル、ペント−3−イニル、ペント−4−イニル、ヘキシ−1−イニル、ヘキシ−2−イニル、ヘキシ−3−イニル、ヘキシ−4−イニル、ヘキシ−5−イニル、1−メチルプロプ−2−イニル、2−メチルブト−3−イニル、1−メチルブト−3−イニル、1−メチルブト−2−イニル、3−メチルブト−1−イニル、1−エチルプロプ−2−イニル、3−メチルペント−4−イニル、2−メチルペント−4−イニル、1−メチルペント−4−イニル、2−メチルペント−3−イニル、1−メチルペント−3−イニル、4−メチルペント−2−イニル、1−メチル−ペント−2−イニル、4−メチルペント−1−イニル、3−メチルペント−1−イニル、2−エチルブト−3−イニル、1−エチルブト−3−イニル、1−エチルブト−2−イニル、1−プロピルプロプ−2−イニル、1−イソプロピルプロプ−2−イニル、2,2−ジメチル−ブト−3−イニル、1,1−ジメチルブト−3−イニル、1,1−ジメチルブト−2−イニル、または3,3−ジメチル−ブト−1−イニル基である。特に、該アルキニル基は、エチニル、プロプ−1−イニル、またはプロプ−2−イニルである。
【0030】
用語“C
3−C
6−シクロアルキル”は、3、4、5または6個の炭素原子を含有する飽和の、1価の、単環または二環式の炭化水素環(“C
3−C
6−シクロアルキル”)を意味すると理解されるべきである。該C
3−C
6−シクロアルキル基は、例えば、単環式炭化水素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、または二環式炭化水素環である。
【0031】
用語“C
4−C
8−シクロアルケニル”は、好ましくは、4、5、6、7または8個の炭素原子および1個、2個、3個または4個の二重結合を含む(該シクロアルケニル環の大きさによっては、接合していても、していなくてもよい)、1価の単環または二環式炭化水素を意味すると理解される。該C
4−C
8−シクロアルケニル基は、例えば、単環式炭化水素環、例えばシクロブテニル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニル、または二環式炭化水素環、例えばシクロオクタジエニル環である。
【0032】
用語“3員ないし7員のヘテロシクロアルキル”は、2、3、4、5または6個の炭素原子およびC(=O)、O、S、S(=O)、S(=O)
2、NR
aから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子含有基(ここで、R
aは、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−またはハロ−C
1−C
6−アルキル−基である)を含む、飽和の1価の、単環または二環式炭化水素環を意味すると理解されるべきである。該ヘテロシクロアルキル基は、いずれか1個の炭素原子を介して、または存在するとき窒素原子を介して、分子の残部に結合し得る。
【0033】
特に、該3員ないし7員のヘテロシクロアルキルは、2、3、4または5個の炭素原子、および1個またはそれ以上の上記のヘテロ原子含有基を含み得て(“3員ないし6員のヘテロシクロアルキル”)、より具体的には、該ヘテロシクロアルキルは、4または5個の炭素原子、および1個またはそれ以上の上記のヘテロ原子含有基を含み得る(“5員ないし6員のヘテロシクロアルキル”)。
【0034】
特に、それに限定されることはないが、該ヘテロシクロアルキルは、例えば、4員環、例えばアゼチジニル、オキセタニル、または5員環、例えばテトラヒドロフラニル、ジオキソリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジン−1−イル、または6員環、例えばテトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル、もしくはトリチアニル、または7員環、例えばジアゼパニル環であり得る。要すれば、該ヘテロシクロアルキルは、ベンゾ縮合環であり得る。
【0035】
該ヘテロシクリルは、例えば、二環式環、例えば、それに限定されることはないが、5,5員環、例えばヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル)環、または5,6員の二環式環、例えばヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル環であり得る。
【0036】
上記の通り、該窒素原子含有環は、部分的に不飽和であり得て、すなわち、1個またはそれ以上の二重結合を含み得て、例えば、それに限定されることはないが、2,5−ジヒドロ−1H−ピロリル、4H−[1,3,4]チアジアジニル、4,5−ジヒドロオキサゾリル、または4H−[1,4]チアジニル環であるか、またはベンゾ縮合環、例えば、それに限定されることはないが、ジヒドロイソキノリニル環であり得る。
【0037】
用語“4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル”は、4、5、6または7個の炭素原子、およびC(=O)、O、S、S(=O)、S(=O)
2、NR
a(ここで、R
aは、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−またはハロ−C
1−C
6−アルキル−基である)から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子含有基を含む、不飽和の、1価の、単環または二環式炭化水素環を意味すると理解されるべきである。該ヘテロシクロアルケニル基は、いずれか1個の炭素原子を介して、または存在するとき窒素原子を介して、分子の残りの部分に結合し得る。該ヘテロシクロアルケニルの例は、1個またはそれ以上の二重結合を含み得て、例えば4H−ピラニル、2H−ピラニル、3H−ジアジリニル、2,5−ジヒドロ−1H−ピロリル、[1,3]ジオキソリル、4H−[1,3,4]チアジアジニル、2,5−ジヒドロフラニル、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロチオフェニル、2,3−ジヒドロチオフェニル、4,5−ジヒドロオキサゾリル、または4H−[1,4]チアジニル基、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、1−オキシド−3,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−イル、ジヒドロピラニルであるか、またはベンゾ縮合環であり得る。
【0038】
用語“アリール”は、好ましくは、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有する1価の芳香族性または部分的に芳香族性の、単環式、二環式または三環式炭化水素環(“C
6−C
14−アリール”基)を意味すると理解されるべきであり、特に6個の炭素原子を有する環(“C
6−アリール”基)、例えばフェニル基、またはビフェニル基、または9個の炭素原子を有する環(“C
9−アリール”基)、例えばインダニルまたはインデニル基、または10個の炭素原子を有する環(“C
10−アリール”基)、例えば、テトラリニル、ジヒドロナフチル、またはナフチル基、または13個の炭素原子を有する環(“C
13−アリール”基)、例えば、フルオレニル基、または14個の炭素原子を有する環(“C
14−アリール”基)、例えばアンスラニル基である。
【0039】
用語“ヘテロアリール”は、好ましくは、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の環原子(“5員ないし14員のヘテロアリール”基)、特に5または6または9または10個の原子を有し、かつ同一または異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有する1価の、単環式、二環式または三環式芳香環系を意味すると理解され、ここで該ヘテロ原子は、例えば酸素、窒素または硫黄であり、さらにそれぞれの場合において、ベンゾ縮合されてもよい。特に、ヘテロアリールは、チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チア−4H−ピラゾリルなど、およびそのベンゾ誘導体、例えば、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、など;または、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなど、およびそのベンゾ誘導体、例えば、キノリニル、キナゾリニル、イソキノリニルなど;または、アゾシニル(azocinyl)、インドリジニル、プリニルなど、およびそのベンゾ誘導体;または、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフタピリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、キサンテニルまたはオキシピニルなどから選択される。
【0040】
一般的に、特に断らない限り、ヘテロアリールラジカルまたはヘテロアリーレンラジカルは、全ての可能性のあるその異性体、例えばその位置異性体を含む。故に、非限定的例としてのいくつかの例として、用語ピリジニルまたはピリジニレンは、ピリジン−2−イル、ピリジン−2−イレン、ピリジン−3−イル、ピリジン−3−イレン、ピリジン−4−イルおよびピリジン−4−イレンを含むか、または、用語チエニルまたはチエニレンは、チエン−2−イル、チエン−2−イレン、チエン−3−イルおよびチエン−3−イレンを含む。
【0041】
本明細書を通して使用される用語“C
1−C
6”は、例えば“C
1−C
6−アルキル”、“C
1−C
6−ハロアルキル”、“C
1−C
6−アルコキシ”、または“C
1−C
6−ハロアルコキシ”の定義において、1−6個の炭素原子の有限数、すなわち1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキル基を意味すると理解されるべきである。該用語“C
1−C
6”は、例えばC
1−C
6、C
2−C
5、C
3−C
4、C
1−C
2、C
1−C
3、C
1−C
4、C
1−C
5、C
1−C
6、特にC
1−C
2、C
1−C
3、C
1−C
4、C
1−C
5、C
1−C
6、より具体的には、C
1−C
4、“C
1−C
6−ハロアルキル”または“C
1−C
6−ハロアルコキシ”の場合において、より具体的にはC
1−C
2のいずれかの下位範囲として解釈されると理解されるべきである。
【0042】
同様に、本明細書で用いる用語“C
2−C
6”は、本明細書を通して使用される通り、例えば“C
2−C
6−アルケニル”および“C
2−C
6−アルキニル”の定義において、2−6個の有限数の炭素原子、すなわち2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルケニル基またはアルキニル基を意味すると理解されるべきである。該用語“C
2−C
6”は、例えばC
2−C
6、C
3−C
5、C
3−C
4、C
2−C
3、C
2−C
4、C
2−C
5;特にC
2−C
3を含む任意の下位範囲と解釈されるとさらに理解されるべきである。
【0043】
さらに、本明細書で用いる用語“C
3−C
6”は、本明細書を通して使用される通り、例えば“C
3−C
6−シクロアルキル”の定義において、3−6個の有限数の炭素原子、すなわち3、4、5または6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味すると理解されるべきである。該用語“C
3−C
6”は、例えばC
3−C
6、C
4−C
5、C
3−C
5、C
3−C
4、C
4−C
6、C
5−C
6;特にC
3−C
6を含む任意の下位範囲と解釈されるとさらに理解されるべきである。
【0044】
さらに、本明細書で用いる用語“C
4−C
8”は、本明細書を通して使用される通り、例えば“C
4−C
8−シクロアルケニル”の定義において、4−8個の有限数の炭素原子、すなわち4、5、6、7または8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を意味すると理解されるべきである。該用語“C
4−C
8”は、例えばC
4−C
8、C
4−C
7、C
4−C
6、C
4−C
5、C
5−C
8、C
5−C
7、C
5−C
6、C
6−C
8、C
6−C
7;特にC
4−C
6を含む任意の下位範囲と解釈されるとさらに理解されるべきである。
【0045】
本明細書で用いる用語“脱離基”は、化学反応における安定した種として、結合電子対をそれと共に置換される、原子または原子群を意味する。好ましくは、脱離基は、ハロ、特にクロロ、ブロモまたはヨード、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ、(4−ブロモ−ベンゼン)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−ベンゼン)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−ベンゼン)−スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−ベンゼン)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−ベンゼン)−スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−ベンゼン)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−ベンゼン)スルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、および(4−メトキシ−ベンゼン)スルホニルオキシを含む群から選択される。
【0046】
用語“置換”は、指示された原子上の1個またはそれ以上の水素が、指示された群から選択される基で置換されることを意味するが、該指示された原子の既存の状況の下での通常の原子価を上回らず、その置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物をもたらすときにのみ、許容される。
【0047】
用語“所望により置換されていてよい”は、特定の基、ラジカルまたは部分で任意に置換されることを意味する。
【0048】
環系置換基は、芳香族性または非芳香環系に結合する置換基を意味し、例えば、該環系上の利用できる水素を置換する。
【0049】
本明細書で用いる用語“1回またはそれ以上”は、例えば、本発明の一般式の化合物の置換基の定義において、“1、2、3、4または5回の、特に1、2、3または4回の、より具体的には1、2または3回、さらにより具体的には1または2回”を意味すると理解される。
【0050】
用語、化合物、塩、多形体、水和物、溶媒和物などの複数形態が本明細書に使用される場合、これは単一の化合物、塩、多形体、異性体、水和物、溶媒和物などもまた意味すると理解される。
【0051】
“安定な化合物”または“安定な構造”は、反応混合物からの実用的な程度の純度までの精製および有効な治療剤への製剤化に抵抗する堅牢性を有する化合物を意味する。
【0052】
本発明の化合物は、種々の所望の置換基の位置および性質によって、1個またはそれ以上の不斉中心を含み得る。不斉炭素原子は、(R)または(S)立体配座にて存在し得て、1つの不斉中心の場合にはラセミ混合物となり、複数の不斉中心の場合にはジアステレオマー混合物となる。ある例において、不斉はまた、所定の結合、例えば特定の化合物の2つの置換された芳香環を結合するする中心結合の回転制限によって存在し得る。
【0053】
環上の置換基はまた、シスまたはトランス形態のいずれかで存在し得る。全てのかかる立体配座(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)は本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0054】
好ましい化合物は、より望ましい生物学的活性を与えるものである。本発明の化合物の分離された、純粋な、または部分的に精製された異性体および立体異性体またはラセミ体またはジアステレオマー混合物もまた、本発明の範囲内に包含される。かかる物質の精製および分離は、当技術分野で公知の標準的な技術により達成され得る。
【0055】
光学異性体は、従来方法に従って、例えば、光学活性な酸または塩を使用するジアステレオ異性体の塩の形成、または共有結合したジアステレオマーの形成による、ラセミ混合物の分割により得ることができる。好適な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。ジアステレオ異性体の混合物は、当技術分野で公知の方法により、物理的および/または化学的差違に基づいて、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶により、個々のジアステレオマーに分割され得る。次いで、光学活性な塩基または酸を、分割されたジアステレオマーの塩から遊離させる。光学異性体を分離するための別の方法は、従来の誘導体形成を伴って、または伴わないで、エナンチオマーの分離を最大とするよう最適に選択されたキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)の使用を含むものである。好適なキラルHPLCカラムは、いずれも通常選択可能な多くのもののうち、特にDiacel、例えばChiracel ODおよびChiracel OJとして製造されている。誘導体形成を伴った、または伴わない酵素的分離もまた有用である。本発明の光学活性な化合物は、光学活性な出発物質を用いるキラル合成によっても同様に得ることができる。
【0056】
種々のタイプの異性体を互いに区別するために、IUPAC Rules Section E を参照する(Pure Appl Chem 45, 11−30, 1976)。
【0057】
本発明は、1つの立体異性体、またはあらゆる比率の該立体異性体の混合物として、本発明の化合物の全ての可能性のある立体異性体を包含する。本発明の化合物の1つの立体異性体、例えば1つのエナンチオマーまたは1つのジアステレオマーの単離は、例えば、クロマトグラフィー、特にキラルクロマトグラフィーのような任意の好適な最先端の方法により達成され得る。
【0058】
さらに、本発明の化合物は、互変異性体として存在し得る。例えば、任意の本発明の化合物は、ヘテロアリール基、例えば1H互変異性体、または2H互変異性体、またはさらに2つの互変異性体の任意の量の混合物として存在し得るピラゾール部分、あるいは例えば1H互変異性体、2H互変異性体、または4H互変異性体、またはさらに該1H、2Hおよび4H互変異性体の任意の量の混合物として存在し得るトリアゾール部分、すなわち:
【化4】
を含有する。
【0059】
本発明は、本発明の化合物の全ての可能性のある互変異性体を、1つの互変異性体、または、任意の割合で該互変異性体の任意の混合物として包含する。
【0060】
さらに、本発明の化合物は、N−オキシドとして存在し得て、これは本発明の化合物の少なくとも1つの窒素が酸化されるということが定義される。本発明は、全てのかかる可能性のあるN−オキシドを包含する。
【0061】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の有用な形態、例えば、代謝物、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、塩、特に薬学的に許容される塩、および共沈殿物に関する。
【0062】
本発明の化合物は、水和物または溶媒和物として存在し得て、ここで本発明の化合物は、極性溶媒、特に水、メタノールまたはエタノールを、例えば化合物の結晶格子の構造要素として含有する。極性溶媒の量、特に水の量は、化学量論または非化学量論比で存在し得る。化学量論的な溶媒和物の場合には、例えば、一水和物、ヘミ−、(セミ−)、モノ−、セスキ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−等の溶媒和物または水和物のそれぞれが可能である。本発明は、全てのかかる水和物または溶媒和物を包含する。
【0063】
さらに、本発明の化合物は、例えば、遊離の塩、または遊離の酸または双生イオンとして遊離形態で存在できるか、または塩の形態で存在できる。該塩は、有機または無機付加塩のいずれかの任意の塩、特に薬学分野で常用される任意の薬学的に許容される有機または無機付加塩であり得る。
【0064】
用語“薬学的に許容される塩”は、本発明の化合物の比較的非毒性の、無機または有機酸付加塩を意味する。例えば、S. M. Berge, et al. “Pharmaceutical Salts,”J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1−19を参照のこと。
【0065】
本発明の化合物の好適な薬学的に許容される塩は、例えば、十分に塩基性である鎖または環内に窒素原子を有する本発明の化合物の酸付加塩であってもよく、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、二硫酸(bisulfuric)、リン酸または硝酸などの無機酸との酸付加塩、あるいは例えば、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸、ショウノウ酸、桂皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸(digluconic)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、パモン酸、ペクチン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバリン酸、2−ヒドロキシエタンスルホネート、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D−グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸、またはチオシアン酸などの有機酸との酸付加塩であり得る。
【0066】
さらに、十分に酸性である本発明の化合物の別の好適な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、アンモニウム塩、または生理的に許容されるカチオンを提供する有機塩基との塩、例えば、N−メチル−グルカミン、ジメチル−グルカミン、エチル−グルカミン、リシン、ジシクロヘキシルアミン、1,6−ヘキサジアミン、エタノールアミン、グルコサミン、サルコシン、セリノール、トリス−ヒドロキシ−メチル−アミノメタン、アミノプロパンジオール、ソーク−ベース(sovak−base)、1−アミノ−2,3,4−ブタントリオールとの塩である。さらに、塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチル;および硫酸ジアミル、長鎖ハライド、例えばデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物、ハロゲン化アラルキル、例えばベンジルおよびフェネチルの臭化物などの物質で四級化され得る。
【0067】
当業者は、本発明の化合物の酸付加塩は、多数の既知のいずれかの方法により、本化合物と好適な無機または有機酸との反応により製造され得ることをさらに認識するであろう。あるいは、本発明の酸化合物のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、様々な既知の方法により本発明の化合物を好適な塩基と反応させることにより製造される。
【0068】
本発明は、1つの塩として、またはあらゆる比率にて該塩の任意の混合物として、本発明の化合物の全ての可能な塩を包含する。
【0069】
本明細書中で用いる用語“インビボで加水分解可能なエステル”とは、カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のインビボでの加水分解可能なエステル、例えば、ヒトまたは動物の体内で加水分解されて、親の酸またはアルコールを生じる薬学的に許容されるエステルを意味すると理解される。カルボキシについて好適な薬学的に許容されるエステルは、例えば、アルキル、シクロアルキルおよび所望により置換されていてよいフェニルアルキル、特にベンジルエステル、C
1−C
6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C
1−C
6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C
3−C
8シクロアルコキシ−カルボニルオキシ−C
1−C
6アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オ二ルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オンイルメチル;および、C
1−C
6−アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルが挙げられ、本発明の化合物中の任意のカルボキシ基にて形成され得る。
【0070】
ヒドロキシ基を含む本発明の化合物のインビボで加水分解可能なエステルには、無機エステル、例えばリン酸塩エステルおよび[α]−アシルオキシアルキルエーテル、ならびに、エステル分解のインビボでの加水分解の結果として親のヒドロキシ基を提供する関連化合物が挙げられる。[α]−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシを含む。ヒドロキシ基に対するインビボで加水分解可能なエステル形成基の選択は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチルおよび置換ベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカーボネートエステルを提供する)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを提供する)、ジアルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルを含む。本発明は全てのかかるエステルを含む。
【0071】
さらに、本発明は、1つの多形体または任意の比の2以上の多形体の混合物のいずれかとして、本発明の化合物の全ての可能性のある結晶形態または多形体を含む。
【0072】
第一の面において、本発明は、上記の一般式(I)の化合物:
【化5】
[式中、
R
1は、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zは、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基は、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよく;
R
2は、
【化6】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dは、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、または−CN、C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、−N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R’、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)N(R)R’、−O(C=O)OR、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
6eは、所望により、同一または異なり、以下から選択される1、2、3または4個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である:水素、ハロゲン、−OH、−CN、C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルコキシ、ハロ−C
1−C
6−アルキル−〕
で示される基であり;
R
3は、C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基は、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基により置換されていてよく;
R
4は水素原子であり;
R
5は水素原子であり;
R
7は、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
8は、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R、R’およびR”は、互いに独立して、水素原子またはC
1−C
6−アルキルであり;
mは、0、1、2、3、4、5または6の整数である]
で示される化合物に関する。
【0073】
好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
1が、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
Zは、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、C
2−C
6−アルケニル−、C
2−C
6−アルキニル−、アリール−またはヘテロアリール−基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、C
2−C
6−アルケニル−、C
2−C
6−アルキニル−、アリール−またはヘテロアリール−基が、所望により、同一または異なり、1、2または3個のR
7基で置換されていてよい、
化合物に関する。
【0074】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
1が、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zは、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、またはHO−C
1−C
6−アルキル−基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、またはHO−C
1−C
6−アルキル−基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよい、
化合物に関する。
【0075】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
1が、1,1,1−トリフルオロプロピル基である、
化合物に関する。
【0076】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
2が、
【化7】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dが、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、または−CN、C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、−N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R’、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)N(R)R’、−O(C=O)OR、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
6eがシクロプロピル基である〕
で示される基である、化合物に関する。
【0077】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
2が、
【化8】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dが、互いに独立して、水素またはC
1−C
6−アルキル基であり;
R
6eがシクロプロピル基である〕
で示される基である、化合物に関する。
【0078】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
3が、C
1−C
6−アルキル−S−または−SR基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−または−SR基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基で置換されていてよい、化合物に関する。
【0079】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6a、R
6b、R
6cおよびR
6dが、互いに独立して、水素、ハロ−、−CN、−OH、C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−から選択される、化合物に関する。
【0080】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dが、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、またはC
1−C
6−アルキルまたはC
1−C
6−アルコキシ基である、化合物に関する。
【0081】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6a、R
6b、R
6c、およびR
6dが、互いに独立して、水素、C
1−C
4−アルキルから選択される、化合物に関する。
【0082】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6aおよびR
6bがHであり;
R
6cおよびR
6dが、互いに独立して、水素、ハロ−、−CN、−OH、C
1−C
6−アルキル、C
1−C
6−アルコキシから選択される、化合物に関する。
【0083】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6aおよびR
6bがHであり;
R
6cおよびR
6dが、互いに独立して、水素、ハロ−、C
1−C
6−アルキル、C
1−C
6−アルコキシから選択される、化合物に関する。
【0084】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6aおよびR
6bがHであり;
R
6cおよびR
6dが、互いに独立して、水素、C
1−C
6−アルキルから選択される、化合物に関する。
【0085】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
(R
6a、R
6b、R
6c、R
6d)が、それぞれ(H、H、H、C
1−C
4−アルキル−)または(H、H、C
1−C
4−アルキル−、H)である、化合物に関する。
【0086】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
(R
6a、R
6b、R
6c、R
6d)が、それぞれ(H、H、H、CH
3)または(H、H、CH
3、H)である、化合物に関する。
【0087】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6eが、所望により、同一または異なり、ハロゲン、C
1−C
6−アルキルから選択される、1、2または3個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である、化合物に関する。
【0088】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6eが、所望により、同一または異なり、ハロゲン、C
1−C
4−アルキルから選択される、1、2または3個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である、化合物に関する。
【0089】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6eが、所望により、同一または異なり、ハロゲン、C
1−C
3−アルキルから選択される、1、2または3個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である、化合物に関する。
【0090】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6eが、所望により、同一または異なり、ハロゲン、メチルから選択される、1、2または3個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である、化合物に関する。
【0091】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
6eが、所望により、同一または異なり、フルオロ、メチルから選択される、1または2個の基で置換されていてよいシクロプロピル基である、化合物に関する。
【0092】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
7が、水素原子、またはHO−または−OR基である、化合物に関する。
【0093】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R
8が、水素またはハロゲン原子である、化合物に関する。
【0094】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
R、R’およびR”が水素原子である、化合物に関する。
【0095】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
mが0である、化合物に関する。
【0096】
別の好ましい態様において、上記の式(I)において、
mが1である、化合物に関する。
【0097】
別の好ましい態様において、本発明は、上記の態様の何れかの式(I)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物に関する。
【0098】
本発明はまた、上記の好ましい態様のいずれかの組み合わせにも関することが理解されるべきである。
【0099】
組み合わせのいくつかの例を以下に記載する。しかしながら、本発明はそれらの組み合わせに限定されない。
【0100】
好ましい態様において、本発明は、上記の一般式(I)の化合物:
R
1が、
*CH
2−Z部分であり、
*が、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zが、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよく;
R
2が、
【化9】
〔式中、
*が、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dあg、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、または−CN、C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、−N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R’、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)N(R)R’、−O(C=O)OR、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
6eがシクロプロピル基である〕
で示される基であり;
R
3が、C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基で置換されていてよく;
R
4が水素原子であり;
R
5が水素原子であり;
R
7が、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
8が、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R、R’およびR”が、互いに独立して、水素原子またはC
1−C
6−アルキルであり;
mが、0、1、2、3、4、5または6の整数である、
化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物に関する。
【0101】
別の好ましい態様において、本発明は、上記の一般式(I)の化合物:
R
1が、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zが、水素原子、またはC
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、アリール−C
1−C
6−アルキル−、ヘテロアリール−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、R’(R”)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル−、H
2N−C
1−C
6−アルキル−、−C
1−C
6−アルキル−CN、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
3−C
6−シクロアルキル−、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよく;
R
2が、
【化10】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dが、互いに独立して、水素またはC
1−C
6−アルキル基であり;
R
6eがシクロプロピル基である〕
で示される基であり;
R
3が、C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−、−S−(CH
2)
m−C
2−C
6−アルケニル、−S−(CH
2)
m−C
4−C
8−シクロアルケニル、−S−(CH
2)
m−C
3−C
6−シクロアルキル、−S−(CH
2)
m−(3員ないし7員のヘテロシクロアルキル)、−S−(CH
2)
m−(4員ないし8員のヘテロシクロアルケニル)、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(R)R’基は、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基により置換されていてよく;
R
4が水素原子であり;
R
5が水素原子であり;
R
7が、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R
8が、水素またはハロゲン原子、または−CN、HO−、C
1−C
6−アルコキシ−、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−R(R’)N−C
1−C
6−アルキル−、HO−C
1−C
6−アルキル、HO−C
1−C
6−アルコキシ、C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルコキシ−C
1−C
6−アルキル−、C
2−C
6−アルケニル、3員ないし7員のヘテロシクロアルキル、アリール−、ヘテロアリール−、−C(=O)R、−C(=O)N(H)R、−C(=O)N(R)R’、−C(=O)OR、−N(R)R’、−NO
2、−N(H)C(=O)R、−N(R)C(=O)R’、−N(H)C(=O)N(R)R’、−N(R)C(=O)N(R’)R”、N(H)C(=O)OR、−N(R)C(=O)OR’、−N(H)S(=O)R、−N(R)S(=O)R’、−N(H)S(=O)
2R、−N(R)S(=O)
2R’、−N=S(=O)(R)R’、−OR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)
2R、−S(=O)
2N(H)R、−S(=O)
2N(R)R’基であり;
R、R’およびR”が、互いに独立して、水素原子またはC
1−C
6−アルキルであり;
mが、0、1、2、3、4、5または6の整数である、
化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物に関する。
【0102】
別の好ましい態様において、本発明は、上記の一般式(I)の化合物:
R
1が、
*CH
2−Z部分であり、
*は、分子の残部との結合点を示し、
ここで、Zが、C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキルまたはHO−C
1−C
6−アルキル基であり;
該C
1−C
6−アルキル−、ハロ−C
1−C
6−アルキルまたはHO−C
1−C
6−アルキル基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
7基で置換されていてよく;
R
2が
【化11】
〔式中、
*は、分子の残部との結合点を示し、
R
6a、R
6b、R
6c、R
6dが、互いに独立して、水素またはC
1−C
6−アルキル基であり;
R
6eがシクロプロピル基である〕
で示される基であり;
R
3が、C
1−C
6−アルキル−S−または−SR基であり;
該C
1−C
6−アルキル−S−または−SR基が、所望により、同一または異なり、1、2、3または4個のR
8基で置換されていてよく;
R
4が水素原子であり;
R
5が水素原子であり;
R
7が水素原子、またはHO−または−OR基であり;
R
8が、水素またはハロゲン原子であり;
R、R’およびR” が、互いに独立して、水素原子であり;
mが、0または1の整数である、
化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物、もしくは塩、またはそれらの混合物に関する。
【0103】
本発明は、上記の一般式(I)の化合物の本発明の任意の態様において、任意の下位組み合わせに関すると理解されるべきである。
【0104】
より具体的には、本発明は、以下の本明細書の実施例において記載されている一般式(I)の化合物に関する。
【0105】
別の面によれば、本発明は、本発明の化合物の製造方法を含み、該方法は本明細書の実施例に記載の工程を含む。
【0106】
さらなる面によれば、本発明は、一般式(I)の本発明の化合物の製造において、特に本明細書に記載の方法において、有用である中間体化合物を含む。特に、本発明は、
− 一般式(13):
【化12】
[式中、R
1、R
3、R
4およびR
5は、上記の一般式(I)に定義の通りであり、Qは塩素、臭素またはヨウ素原子のような脱離基である]
で示される化合物;
− 一般式(9):
【化13】
[式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は、上記の一般式(I)に定義の通りである]
で示される化合物;
および
− 一般式(6):
【化14】
[式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は、上記の一般式(I)に定義の通りである]
で示される化合物を包含する。
【0107】
さらに別の面によれば、本発明は:
上記に定義の一般式(I)の化合物の製造のための、
−上記に定義の一般式(13)の中間体化合物の使用;
−上記に定義の一般式(9)の中間体化合物の使用;
−上記に定義の一般式(6)の中間体化合物の使用;
を含む。
【実施例】
【0108】
実施例
上記の通り、本発明の別の面は、本発明の化合物を製造するために使用され得る方法である。
以下の表は、この章および実施例で使用される略語を挙げている。NMRピークの形態は、それらがスペクトルに現れる場合に記載され、起こり得るより高次の効果は、考慮されていない。
【表1】
【0109】
以下に記載のスキームおよび方法は、本発明の一般式(I)の化合物への一般的な合成経路を説明するものであり、それに限定することを意図するものではない。スキームに例示したような変換の順序を、様々な方法において変更できることは、当業者には明白であろう。故に、スキームに例示した変換の順序は、限定することを意図するものではない。加えて、置換基R
1、R
2、R
3、R
4、またはR
5のいずれかの相互変換を、例示した変換の前および/または後に達成できる。これらの変換は、例えば保護基の導入、保護基の切断、官能基の還元または酸化、ハロゲン化、メタル化、置換または当業者に公知の他の反応であり得る。これらの変換は、置換基のさらなる相互変換を可能にする官能基を導入するものを包含する。好適な保護基およびその導入および切断は、当業者には周知である(例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts in Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, Wiley 1999を参照のこと)。具体的例を、以下の章に記述する。さらに、2またはそれ以上の連続工程が、該工程間に行われる後処理を行うことなく実行され得ること、例えば当業者には周知の“ワンポット(one−pot)”反応が可能である。
【0110】
第一の反応スキームを以下に概略する。
一般式(I)の化合物の合成
スキーム1
【化15】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、上記の一般式(I)に記載の意味を有し、Yは
、それを介して、R
2−Y化合物のR
2が化合物(4)のQを有する炭素原子上にカップリングし得て、該Qが該R
2部分と置換されるような“好適な官能基”である。
【0111】
一般式(I)の化合物は、スキーム1に示す方法に従って合成され得る。該スキームは、合成の最終工程としてNH−R
1、R
2およびR
3の位置での変化を可能とする主経路を例示する。
【0112】
NH−R
1の導入のための重要な反応は、8−ハロまたは8−スルホニル前駆体の求核置換、すなわち、室温ないし沸点までの範囲の温度で、DMFまたはNMPのような好適な溶媒中、例えば、DIPEAのような好適な塩基の存在下、好適なアミンと反応させることによる置換である(反応工程(4)ないし(5)、(9)ないし(6))。
【0113】
3位におけるR
2部分の導入は、好適な3−ハロ前駆体から、式R
2−Yの化合物(式中、R
2は、上記の一般式(I)の化合物に定義の通りであり、Yは、R
2−Y化合物のR
2が化合物(4)のQを有する炭素原子上にカップリングし得て、該Qが該R
2部分と置換されるような“好適な官能基”である)とのカップリング反応、例えば、特に、金属により触媒されるカップリング反応により達成される(反応工程(3)ないし(7)、(5)ないし(6)、(8)ないし(9))。かかる“好適な官能基”(R
2−YのY)の例としては、ボロン酸類、R
2−B(OH)
2、またはボロン酸のエステル、R
2−B(OC
1−C
6−アルキル)
2が挙げられる。
【0114】
かかる“好適な基Q”の例としては、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。かかるカップリング反応の例は、表題 “Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions”, Armin de Meijere (Editor), Francois Diederich (Editor) September 2004, Wiley Interscience ISBN: 978−3−527−30518−6のテキストに見出され得る。該カップリング反応は、例えばTHFのような好適な溶媒中、例えば要すれば、炭酸カリウムのような好適な塩基と、例えば要すれば、Pd(OAc)
2およびP(oTol)
3のような好適な触媒の存在下で所望により行われる。
【0115】
R
3部分の導入は、R
2部分に使用されるカップリング反応を含む種々の反応により達成され得る。
かかる“好適な官能基”Yの例としてはさらに、
カップリング反応において活性化され得る水素原子、例えばオレフィン環の水素原子、例えば−C(H)=C(H)−H、または
例えば塩基と置換され得る水素原子
が挙げられる。
【0116】
対応する反応としては、アルキン導入のためのアルキン類との薗頭カップリング反応、アルケン導入のためのアルケン類とのヘックカップリング反応、アミン導入のためのアミン類とのブッフバルト・ハートウィッグカップリング反応のような他のパラジウム触媒されるカップリング反応が挙げられる。エーテル類およびチオエーテル類は、室温ないし沸点の範囲の温度で、DMSOのような好適な溶媒中、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、好適なアルコール類またはチオール類と反応させることにより導入され得る。こうして、主にチオエーテル類が合成された。
【0117】
出発物質である一般式(A)の6−置換−3,5−ジブロモ−ピラジン−2−イルアミン中間体は、市販されているか、または当業者に公知の方法により合成され得る。あるいは、6位のR
4置換基はまた、標的化合物への合成ルートの後半で挿入され得る。
式(A)の中間体は、室温ないし溶媒の沸点までの範囲の温度で、例えばTHFおよび水のような好適な溶媒系中、アルファ−ハロ−ケト誘導体、例えば2−ブロモ−1,1−ジエトキシ−エタンと反応させることにより、一般式(1)の対応する6,8−ジブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン中間体に変換され得る。
【0118】
8−チオメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン中間体は、20℃ないし溶媒の沸点までの範囲の温度で、DMFのような好適な溶媒の存在下、チオメチル酸ナトリウムを用いて8−ハロ前駆体を変換させることにより得られ得る(反応工程(1)ないし(2))。
【0119】
8−メタンスルホニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン中間体は、室温ないし沸点の範囲の温度で、DCMのような好適な溶媒中、例えばメタクロロ過安息香酸のような酸化剤と反応させて、8−チオメチルイミダゾピラジン前駆体から得られ得る(反応工程(3)ないし(4))。
【0120】
3−ハロ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン中間体は、室温ないし溶媒の沸点までの範囲の温度で、例えばDMFのような好適な溶媒の存在下、NISのような好適なハロゲン化剤NQSと反応させて、好適な3−水素前駆体から得られ得る(反応工程(1)ないし(8)、(2)ないし(3))。
【0121】
本発明の方法により製造される化合物および中間体は、精製を必要とし得る。有機化合物の精製は、当業者に周知であり、同じ化合物の精製にいくつかの方法が存在し得る。いくつかの場合においては、精製を必要としないかもしれない。いくつかの場合において、化合物を、結晶化により精製できる。いくつかの場合において、不純物を、好適な溶媒を用いて撹拌により除去してもよい。いくつかの場合において、化合物を、クロマトグラフィー、特にフラッシュクロマトグラフィーにより、例えば予めパッケージングされたシリカゲルカートリッジ、例えばIsolute(登録商標)フラッシュシリカゲルまたはIsolute(登録商標)フラッシュ NH2シリカゲルのようなSepartisから市販のものと、好適なクロマトグラフィーシステム、例えばFlashmaster II (Separtis)またはIsoleraシステム(Biotage)、および例えばヘキサン/EtOAcまたはDCM/メタノールの勾配のような溶離剤とを組み合わせて精製できる。いくつかの場合において、化合物を、分取HPLCにより、例えば、ダイオードアレイ検出器および/またはオンライン電子スプレーイオン化質量分光計を備えたWatersの自動精製器と、好適な予めパッケージングされた逆相カラムおよび溶離剤、例えば水およびアセトニトリルの勾配(例えば、トリフルオロ酢酸、ギ酸またはアンモニア水のような添加剤を含有してもよい)とを組み合わせて、精製できる。
【0122】
分析UPLC−MSを下記のように行った。
方法A:系:PDA検出器およびWaters ZQ 質量分光計を備えたUPLC Acquity (Waters);カラム:Acquity BEH C18 1.7μm 2.1x50 mm;温度:60℃;溶媒A:水+0.1% ギ酸;溶媒B:アセトニトリル;勾配:99% A→1% A(1.6分)→1% A(0.4分);流速:0.8 mL/分;注入容量:1.0 μl(0.1mg−1mg/mL サンプル濃度);検出:PDA スキャン範囲210−400nm−固定およびESI(+)、スキャン範囲170−800m/z
【0123】
化合物の名称をISIS/DrawのAutonom 2000 add−in[MDL Information Systems Inc. (Elsevier MDL)]またはACD labsのICS naming toolを用いて作成した。表の形態中の化合物名はACD/Name Batch ver. 12.00により作成した。
スキーム1およびスキーム2における中間体の名称は、以下の中間体例の番号と合致する。
【0124】
中間体例1−1:6,8−ジブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピラジンの製造
【化16】
水(6.4L)/THF(482mL)中の2−アミノ−3,5−ジブロモピラジン(427g、1688mmol)の撹拌懸濁液に、室温にて、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(998g、5065mmol)を一度に添加した。還流下で4時間撹拌後、透明橙色溶液を室温にてさらに15時間撹拌した。懸濁液を濾過し、残った固体をMeOH(2L)で洗浄し、真空下で60℃にて乾燥させて、6,8−ジブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを灰白色固体として得た(500g、残留MeOHを含んで107%)。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ =9.02 (s, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.89 (d, 1H) ppm。UPLC−MS:RT=0.80分;m/z 277.9 [MH
+];規定のMW=276.9.
【0125】
中間体例1−2:(6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノールの製造
【化17】
工程A:エチル−6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキシレートの製造
【化18】
炭酸ジメチル(133mL)中の2−アミノ−3,5−ジブロモピラジン(20g、79mmol)の撹拌溶液に、室温にて、プロピオン酸エチル−3−ブロモ−2−オキソ(17.14g、79mmol)を一度に添加した。110℃で3時間撹拌後、溶液を室温にて一晩撹拌した。水およびDCMを添加し、水層をDCMで抽出した。有機層を水で洗浄後、Na
2(SO
4)で乾燥させ、濾過し、有機層を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィーにより、13.95g(50.6%)のエチル−6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキシレートを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ =8.30 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 4.48 (q, 2H), 1.43 (tr, 3H) ppm.
【0126】
工程B:(6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2ーイル)メタノールの製造
【化19】
トルエン(558mL)中のエチル−6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキシレート(13.95g、40mmol)の撹拌溶液に、0℃にて、80mLのDIBAH(120mmol、3当量、トルエン中の1.5M)を滴下した。室温で一晩撹拌後、溶液を1M HClに注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水のみで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を除去し、DCMから再結晶させて、5.55g(45.2%)の(6,8−ジブロモイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノールを得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ =8.93 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 5.46 (bs, 1H), 4.63 (s, 2H) ppm。UPLC−MS:RT=0.73分;m/z 308.0 [MH
+]; 規定のMW=307.0.
【0127】
中間体例2−1:
6−ブロモ−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンの製造
【化20】
MeOH(2900mL)中の中間体例1−1 6,8−ジブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(489g、1766mmol)の撹拌懸濁液に、20℃にて、800mLの水中のナトリウムメタンチオレート(225g、3214mmol、1.8当量)の溶液を滴下した。一晩撹拌後、透明溶液を30Lの水に注ぎ、黄色がかった沈殿を濾過し、3Lの水で洗浄し、真空下で乾燥させて、301gの6−ブロモ−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(69.8%)を得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ = 8.64 (1H, s), 8.00 (1H, d), 7.66 (1H, d2.54 (3H, s) ppm.
【0128】
中間体例3−1:
6−ブロモ−3−ヨード−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンの製造
【化21】
DMF(4200mL)中の6−ブロモ−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(210.0g、860.3mmol)の撹拌溶液に、NIS(212.9g、946.3mmol、1.1当量)を室温にて一度に添加した。60℃にて18時間撹拌後、暗色溶液を蒸発させ、褐色残渣をDCM(7L)中に溶解し、水(2x5L)のみで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。注意深く溶媒を除去することにより結晶化して、255g(80.1%)の6−ブロモ−3−ヨード−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ = 8.24 (1H, s), 7.79 (1H, s), 2.46 (3H, s) ppm.
【0129】
中間体例4−1:
6−ブロモ−3−ヨード−8−メタンスルホニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンの製造
【化22】
DCM(2000mL)中の6−ブロモ−3−ヨード−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(100.0g、270.3mmol)の撹拌溶液に、メタクロロ過安息香酸(116.6g、675.6mmol、2.5当量)を0℃にて数回にわけて添加した。室温で1時間撹拌後、さらに1当量のメタクロロ過安息香酸(46.64g、270.3mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。懸濁液を濾過し、有機層を水(2L)および飽和NaHCO
3溶液(2L)で洗浄し、水のみ(2L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、197gの橙色固体を得た。該固体をエタノール(300mL)中で15分間還流して、濾過し、真空下、50℃にて乾燥させて、104.5g(96.2%)の6−ブロモ−3−ヨード−8−メタンスルホニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを黄色がかった固体として得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ = 8.45 (1H, s), 8.07 (1H, s), 3.54 (3H, s) ppm.
【0130】
中間体例5−1:
(6−ブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−イル)−イソブチル−アミン
【化23】
NMP(100mL)中の6−ブロモ−3−ヨード−8−メタンスルホニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(5.08g、12.64mmol)の撹拌溶液に、3.77mLのイソブチルアミン(2.77g、37.90mmol、3当量)を室温にて一度に添加した。室温にて2時間撹拌後、500mLの水を添加し、混合物を酢酸エチル(3x200mL)で抽出した。有機層を濾過し、蒸発させて、残渣をMeOH/水から再結晶させて、3.87g(77.52%)の(6−ブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−イル)−イソブチル−アミンを得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ = 8.09 (1H, tr), 7.60 (1H, s), 7.54 (1H, s), 3.19 (2H, dd), 1.95 (1H, m), 0.85 (6H, d) ppm.
【0131】
中間体例6−1:
4−(6−ブロモ−8−イソブチルアミノ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3ーイル)−N−シクロプロピル−ベンズアミドの製造
【化24】
ジオキサン(1300mL)中の(6−ブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−イル)−イソブチル−アミン−(74.20g、188mmol)の溶液を撹拌し、次いで130mLの水、119gのリン酸三カリウム(563mmol、3当量)、50.06gの[4−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]フェニル]−ボロン酸(244mmol、1.3当量)および7.42gのPd(dppf)Cl
2(9mmol、0.05当量)を室温にてアルゴン雰囲気下に一度に添加した。40℃にて72時間撹拌後、混合物を5Lの水に注ぎ、沈殿を濾取し、水で洗浄した。沈殿をDCMに溶解し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/アセトン 95:5)により精製して、45.2g(56.20%)の4−(6−ブロモ−8−イソブチルアミノ−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−N−シクロプロピル−ベンズアミドを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ = 7.90 (2H, d), 7.65 (1H, s), 7.58 (2H, d), 7.56 (1H, s), 6.32 (1H, s), 6.20 (1H, tr), 3.46 (2H, dd), 2.95 (1H, m), 2.01 (1H, m), 1.04 (6H, d), 0.92 (2H, m), 0.66 (2H, m) ppm.
【0132】
中間体例6−2:
4−[6−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)−8−(イソブチルアミノ)−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル]−N−シクロプロピルベンズアミドの製造
【化25】
0.71mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の50mg(107μmol)のN−シクロプロピル−4−[6,8−ジブロモ−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル]ベンズアミドの溶液に、32μLの2−メチルプロパン−1−アミンを添加し、混合物を23℃にて3時間撹拌した。トルエンを添加し、溶媒を除去した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、40.7mg(83%)の表題化合物を得た。
1H−NMR (300 MHz d
6 DMSO): δ = 8.52 (1H, d), 8.12 (1H, t), 7.95 (2H, d), 7.68 (2H, d), 7.50 (1H, s), 5.18 (1H, t), 4.46 (2H, d), 3.23 (2H, m), 2.85 (1H, m), 2.00 (1H, m), 0.87 (6H, m), 0.68 (2H, m), 0.55 (2H, m) ppm。UPLC−MS:RT=1.18分;m/z 459.4 [MH
+]; 規定のMW=458.4.
【0133】
以下の中間体化合物は、適当な中間体例9および適当なアミンを用いて上記と同様の方法で製造された[保持時間(RT(分))または観察された質量分析ピークなどのLC−MSデータは、特に断らない限り、LC−MS方法Aを用いて測定した]。
【0134】
【化26】
【0135】
中間体例6−7:
4−{6−ブロモ−8−[(2−メチルプロピル)アミノ]イミダゾ−[1,2−a]ピラジン−3−イル}−2−クロロ−N−シクロプロピルベンズアミドの製造
【化27】
THF(50mL)中の6−ブロモ−3−ヨード−8−メタンスルホニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(4.02g、10mmol)の撹拌溶液に、1.47gのイソブチルアミン(20mmol、2当量)を室温にて一度に添加した。一晩撹拌後、次いで、30mLの1M炭酸カリウム溶液(30mmol、3当量)、3.72gの[3−クロロ−4−(シクロプロピルカルバモイル)フェニル]ボロン酸(15mmol、1.5当量)および0.81gのPd(dppf)Cl
2(1mmol、0.1当量)を室温にて添加した。65℃にて96時間撹拌後、混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥および濾過後、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、1.88g(62.20%)の4−{6−ブロモ−8−[(2−メチルプロピル)アミノ]イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}−2−クロロ−N−シクロプロピルベンズアミドを得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ = 8.51 (1H, d), 8.11 (1H, t), 7.77 (1H, s), 7.74 (1H, s), 7.71 (1H, s), 7.64 (1H, d), 7.51 (1H, d), 3.23 (2H, t), 2.80 (1H, m), 1.99 (1H, m), 0.87 (6H, d), 0.67 (2H, m), 0.50 (2H, m) ppm。UPLC−MS:RT=1.33分;m/z 463.8 [MH
+]; 規定のMW=462.8.
【0136】
以下の中間体化合物は、適当なアミンおよび適当なボロン酸誘導体を用いて上記と同様の方法で製造された[保持時間(RT(分))または観察された質量分析ピークなどのLC−MSデータは、特に断らないない限り、LC−MS方法Aを用いて測定した]。
【0137】
【化28】
【化29】
【化30】
【0138】
中間体例7−1:
4−(6−ブロモ−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−N−シクロプロピル−ベンズアミドの製造
【化31】
THF(214mL)および水(100mL)中の中間体例3−1 6−ブロモ−3−ヨード−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(25.00g、67.6mmol)の溶液を撹拌し、43gのリン酸三カリウム(203mmol、3当量)、18.01gの[4−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]フェニル]−ボロン酸(87.8mmol、1.3当量)および5.52gのPd(dppf)Cl
2(6.8mmol、0.1当量)を、室温にてアルゴン雰囲気下、一度に添加した。45℃にて一晩撹拌後、酢酸エチルを添加し、有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ濾過した。溶媒を除去後、フラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 85:15)により精製して、15.33g(56.26%)の4−(6−ブロモ−8−メチルスルファニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−N−シクロプロピル−ベンズアミドを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ = 8.07 (1H, s), 7.92 (2H, d), 7.77 (1H, s), 7.60 (2H, d), 6.32 (1H, bs), 2.95 (1H, m), 2.70 (3H, s), 0.92 (2H, m), 0.67 (2H, m) ppm。UPLC−MS:RT=1.12分;m/z 404.3 [MH
+]; 規定のMW=403.3.
【0139】
中間体例8−1:
6,8−ジブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジンの製造
【化32】
DMF(210mL)中の中間体例1−1の化合物(8.7g、31.4mmol)の撹拌溶液に、室温にて、NIS(7.42g、33mmol、1.05当量)を一度に添加した。60℃にて18時間撹拌後、溶媒を真空下で除去して、残渣をDCM中に溶解し、水および飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて、9.46g(74.8%)の6,8−ジブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ = 8.22 (1H, s), 7.91 (1H, s) ppm.
【0140】
中間体例8−2:
(6,8−ジブロモ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノールの製造
【化33】
(6,8−ジブロモ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノールを、6,8−ジブロモ−3−ヨード−イミダゾ[1,2−a]ピラジンと同様に製造し、5.53g(70.66%)の(6,8−ジブロモ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノールを得た。
1H−NMR (300 MHz, d
6 DMSO): δ = 8.57 (1H, s), 5.41 (1H, t), 4.55 (2H, d) ppm.UPLC−MS:RT=0.91分;m/z 433.9 [MH
+]; 規定のMW=432.9.
【0141】
中間体例9−1:
N−シクロプロピル−4−[6,8−ジブロモ−2−(ヒドロキシメチル)−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル]ベンズアミドの製造
【化34】
5.53g(12.78mmol)の(6,8−ジブロモ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノール(中間体例15−2に記載の通りに製造した)、3.78gの4−(シクロプロピルアミノカルボニル)フェニルボロン酸、0.93gの(1,1、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)−ジクロロパラジウム(II)、19mLの2M 三塩基性硫酸カリウム水溶液および55mLのテトラヒドロフランを含む混合物を、100℃にて30分間、マイクロ波照射した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過および溶媒の除去後、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、1.83g(31%)の表題化合物を得た。
1H−NMR (300 MHz, d6 DMSO): δ = 8.56 (1H, d), 8.53 (1H, s), 7.98 (2H, d), 7.74 (2H, d), 5.48 (1H, t), 4.53 (2H, d), 2.85 (1H, m), 0.69 (2H, m), 0.56 (2H, m) ppm。UPLC−MS:RT=0.94分;m/z 467.1 [MH
+]; 規定のMW=466.1
【0142】
以下の中間体化合物は、適当なボロン酸構成要素および適当なジ−ブロモ−ヨード前駆体を用いて同様の方法で製造された:
【0143】
【化35】
【0144】
中間体例10:
N−シクロプロピル−2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミドの製造
【化36】
工程A:4−ブロモ−N−シクロプロピル−2−メチルベンズアミドの製造
【化37】
DCM(8.4L)中の4−ブロモ−2−メチル安息香酸(300g、1.4mol)の撹拌溶液に、室温にて、シクロプロパンアミン(79.64g、1.4mol)およびEDC(320.9g、1.67mol)を一度に添加した。一晩撹拌後、溶液を水で洗浄し、水層をDCMで再抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残った固体をジイソプロピルエーテルを用いて粉末化し、濾過し、洗浄し、真空下で乾燥させて、260g(73.4%)の4−ブロモ−N−シクロプロピル−2−メチルベンズアミドを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ =7.34 (s, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.14 (d, 1H), 5.96 (bs, 1H), 2.85 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 0.85 (m, 2H), 0.59 (m, 2H) ppm.
【0145】
工程B:
N−シクロプロピル−2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2ージオキサボロラン−2−イル)ベンズアミドの製造
【化38】
4−ブロモ−N−シクロプロピル−2−メチルベンズアミド(260g、1.02 mol)のジオキサン溶液(2L)に、室温にて、ビス−(ピナコレート)−ジボロン(390g、1.53mol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(19.5g、40.9mmol)、酢酸カリウム(150.6g、1.53mol)およびトリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0)(9.37g、10.2mmol)を添加し、混合物を6時間還流した。室温まで冷却後、水(3L)および酢酸エチル(5L)を添加し、混合物を15分間撹拌した。有機層を水で洗浄し、Na
2(SO
4)で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により、308g(56.3%)のN−シクロプロピル−2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミドを得た。
1H−NMR (300 MHz, CDCl
3): δ =7.63 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 5.94 (bs, 1H), 2.87 (m, 1H), 2.41 (s, 3H), 1.33 (s, 6H), 0.85 (m, 2H), 0.59 (m, 2H) ppm.
【0146】
実施例1−1:
N−シクロプロピル−4−{8−[(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミノ]−6−(プロピルスルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル}−2−メチルベンズアミド
【化39】
80mg(1.05mmol)の1−プロパンチオールの1.5mL DMSO溶液に、50mg(1.052mmol)の水素化ナトリウムを添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。100mg(0.21mmol)の4−{6−ブロモ−8−[(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)アミノ]イミダゾ[1,2−a]−ピラジン−3−イル}−N−シクロプロピル−2−メチルベンズアミドを添加し、混合物を120℃で2時間加熱した。混合物を濾過し、HPLCにより精製した。
【0147】
以下の化合物例は、適当なチオール誘導体および適当なBr−中間体6を用いて、上記と同様の方法で製造された[保持時間(RT(分))または観察された質量分析ピークなどのLC−MSデータは、特に断らないない限り、LC−MS方法Aを用いて測定したた]。
【化40】
【化41】
【0148】
さらに、本発明の式(I)の化合物は、当業者に公知の何らかの方法によって、本明細書に記載の何れかの塩に変換され得る。同様に、本発明の(I)の化合物の何れかの塩は、当業者に公知の何らかの方法により遊離化合物に変換され得る。
【0149】
本発明の化合物の医薬組成物
本発明はまた、1種またはそれ以上の本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。これらの組成物を、それが必要な患者に投与することにより所望の薬理効果を達成するために利用できる。本発明の目的のための患者は、特定の症状または疾患についての処置を必要とするヒトを含む哺乳動物である。従って、本発明は、薬学的に許容される担体および薬学的に有効量の本発明の化合物またはその塩からなる、医薬組成物を包含する。薬学的に許容される担体は、好ましくは、担体に起因するいかなる副作用も有効成分の有益な効果を損なわないように、有効成分の有効な活性と矛盾しない濃度で、患者に対して相対的に非毒性かつ無害である担体をいう。薬学的に有効量の化合物は、好ましくは、処置される特定の病状に対して結果を生じ、または影響を与える量である。本発明の化合物は、即時、遅延および指定時間に合わせて放出する製剤を含む、任意の効果的な慣用の投与量単位形態を用いて、当該分野で周知の薬学的に許容される担体と共に、経口的、非経腸的、局所的、経鼻的、眼科的、眼に、舌下に、経直腸的、経膣的等で投与することができる。
【0150】
経口投与のために、化合物は、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、融解剤、散剤、溶液、懸濁液またはエマルジョンのような、固体または液体製剤へと製剤化することができ、医薬組成物の製造についての当業者に公知の方法に従って製造され得る。固形の単位投与量形態は、例えば界面活性剤、滑剤、ならびにラクトース、スクロース、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性な充填剤を含有する、通常の硬質または軟質のゼラチンカプセルタイプのものであり得る。
【0151】
別の態様において、本発明の化合物は、ラクトース、スクロースおよびコーンスターチのような慣用の錠剤基剤を、アカシアゴム、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤、投与後に錠剤の崩壊および溶解を補助することを意図する、ジャガイモデンプン、アルギン酸、コーンスターチおよびグアーガム、トラガカントゴム、アカシアゴムのような崩壊剤、錠剤顆粒の流動性の改善および錠剤材料が打錠機のダイおよびパンチの表面に付着するのを防止することを意図した滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛、錠剤の美的品質を高め、患者にとってより許容されるものにすることを意図した染料、着色剤およびペパーミント、冬緑油、サクランボ香料のような香味剤と組み合わせて打錠してもよい。経口用液体投与量形態において使用するための好適な添加剤としては、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤の添加を伴って、また伴わずに、リン酸二カルシウムおよび水およびアルコール(例えばエタノール、ベンジルアルコール、ポリエチレンアルコール)のような希釈剤が、挙げられる。種々の他の材料が、コーティング剤として、または別に投与量単位の物理的形態を変更するために存在してよい。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、セラック、糖または双方でコーティングされてもよい。
【0152】
分散可能な散剤および顆粒剤が、水性懸濁剤の製造のために好適である。それらは、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種またはそれ以上の防腐剤と混合した形で、有効成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上記のものによって例示されている。さらなる賦形剤として、例えば、上記の甘味剤、香味剤および着色剤もまた存在してよい。
【0153】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、液体パラフィンのような植物油または植物油の混合物であり得る。好適な乳化剤は、(1)アカシアゴムおよびトラガカントゴムのような天然に存在するガム、(2)大豆レシチンのような天然に存在するリン脂質、(3)脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、(4)該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンは、甘味剤および香味剤を含んでいてもよい。
【0154】
油性懸濁剤は、有効成分を、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココナツ油のような植物油中に、または液体パラフィンのような鉱物油中に懸濁させることによって、剤形化され得る。油性懸濁剤は、例えば蜜蝋、硬質パラフィン、またはセチルアルコールのような濃化剤を含んでよい。懸濁剤はまた、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピルのような1種またはそれ以上の防腐剤;1種またはそれ以上の着色剤;1種またはそれ以上の香味剤;および、スクロースまたはサッカリンのような1種またはそれ以上の甘味剤を含んでもよい。
【0155】
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースのような甘味剤と共に剤形化され得る。そのような製剤はまた、粘滑剤、およびメチルおよびプロピルパラベンのような防腐剤および香味剤および着色剤を含んでいてよい。
【0156】
本発明の化合物はまた、非経腸的に、すなわち、皮下、静脈内、眼内、滑膜内、筋肉内、または腹腔内に、化合物の注射可能な投与形態として、好ましくは、水、生理食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのようなグリコール類、2,2−ジメチル−1,1−ジオキソラン−4−メタノール等のようなグリセロールケタール類、ポリ(エチレングリコール)400のようなエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくは脂肪酸グリセリド、またはアセチル化した脂肪酸グリセリドのような、無菌の液体または液体混合物であり得る薬学的担体と共に、薬学的に許容される希釈剤に入れて、石鹸もしくは洗剤のような薬学的に許容される界面活性剤、ペクチン、カルボマー類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースのような懸濁化剤、または乳化剤およびその他の薬学的アジュバントを伴ってまたは伴わずに、投与され得る。
【0157】
本発明の非経腸製剤において使用することのできる油の例としては、石油、動物油、植物油または合成油、例えば、落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、流動パラフィンおよび鉱物油である。好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびミリスチン酸が挙げられる。好適な脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。好適な石鹸としては、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な洗剤としては、陽イオン洗剤、例えばハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、および酢酸アルキルアミン;陰イオン洗剤、例えばアルキル、アリールおよびオレフィンスルホン酸、アルキル、オレフィン、エーテルおよび硫酸モノグリセリド、ならびにスルホスクシネート;非イオン洗剤、例えば脂肪アミンオキシド類、脂肪酸アルカノールアミド類およびポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)またはエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドコポリマー類;ならびに、両性洗剤、例えば、アルキル−ベータ−アミノプロピオネート、および2−アルキルイミダゾリン4級アンモニウム塩、ならびに混合物が挙げられる。
【0158】
本発明の非経腸組成物は、典型的には溶液中に約0.5重量%ないし約25重量%の有効成分を含有する。防腐剤および緩衝剤もまた、有利に使用可能である。注射部位における刺激を最小限にし、または無くすために、かかる組成物は、親水性−親油性バランス(HLB)が約12ないし約17の非イオン界面活性剤を含有することができる。そのような製剤における界面活性剤の量は、好ましくは、約5重量%ないし約15重量%である。界面活性剤は、上記HLBを有する単一成分でもよいか、または望ましいHLBを有する2種以上の成分の混合物であってもよい。
【0159】
非経腸製剤で使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルの一群のもの、例えばモノオレイン酸ソルビタンおよび疎水性塩基を有するエチレンオキシドの高分子量付加物(プロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合により形成される)である。
【0160】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性懸濁液の形態であり得る。かかる懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム;分散剤または湿潤剤(天然に生じるフォスファチド、例えばレシチン、アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えば、ヘプタデカ−エチレンオキシセタノール、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、または、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであり得る)を使用して、公知の方法に従い剤形化され得る。
【0161】
この無菌の注射可能な製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る希釈剤および溶媒は、例えば、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液および等張グルコース溶液である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒として、または懸濁媒質として常用される。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の刺激のない不揮発性油も使用できる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸を注射剤の製造において使用することができる。
【0162】
本発明の組成物はまた、薬剤の直腸投与用の坐薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固形であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内では融解して薬剤を放出するような好適な非刺激性添加剤と混合することによって製造され得る。そのような材料は、例えば、カカオバターおよびポリエチレングリコールである。
【0163】
本発明の方法において用いられる別の製剤は、経皮送達デバイス(“パッチ”)を用いる。かかる経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続的または不連続的注入で提供するために使用され得る。薬物を送達するための経皮パッチの構成および使用は、当該分野において周知である(例えば、参照により本明細書に包含される1991年6月11日発行の米国特許第5,023,252号を参照のこと)。かかるパッチは、薬物の連続的な、パルス状の、またはオンデマンド型の送達のために構成され得る。
【0164】
非経腸投与のための制御放出製剤としては、当該分野で公知のリポソーム製剤、ポリマーマイクロスフェア製剤およびポリマーゲル製剤が挙げられる。
【0165】
患者に、機械的な送達装置を介して医薬組成物を導入することが、望ましく、または必要である場合がある。薬物の送達のための機械的な送達装置の構成および使用は、当該分野において周知である。例えば、薬剤を脳に直接投与するための直接的技術は、血液−脳関門を迂回するために、通常、薬剤送達カテーテルを患者の脳室系に挿置することを含む。かかる埋め込み可能なシステムの1つは、身体の特定の解剖学的領域に薬物を輸送するために用いられるものであるが、1991年4月30日発行の米国特許第5,011,472号に記載されている。
【0166】
本発明の組成物はまた、必要に応じてまたは所望により、通常、担体または希釈剤と称される他の常用の薬学的に許容される化合物成分を含有することができる。適切な投与量形態においてそのような組成物を製造する慣用の方法が利用可能である。かかる成分および方法としては、以下の文献に記載されているものが含まれ、それらの各々が、参照により本明細書中に包含される。Powell, M.F. et al, “Compendium of Excipients for Parenteral Formulations” PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1998, 52(5), 238−311; Strickley, R.G “Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the United States (1999)−Part−1” PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1999, 53(6), 324−349;および、Nema, S. et al, “Excipients and Their Use in Injectable Products” PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1997, 51(4), 166−171.
【0167】
意図する投与経路のために組成物を製剤するのに適当なものとして通常使用することができる薬剤成分としては、次のものが含まれる。
酸性化剤(例えば、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸が挙げられるが、これらに限定されない);
アルカリ化剤(例えば、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミンが挙げられるが、これらに限定されない。);
吸着剤(例えば、粉末化セルロースおよび活性炭が挙げられるが、これらに限定されない。);
エアロゾル噴射剤(例えば、二酸化炭素、CCl
2F
2、F
2ClC−CClF
2およびCClF
3が挙げられるが、これらに限定されない。);
【0168】
空気置換剤(例えば、窒素およびアルゴンが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗真菌性防腐剤(例えば、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗菌性防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀およびチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない);
結合剤(例えば、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート類、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリシロキサン類およびスチレン・ブタジエンコポリマー類が挙げられるが、これらに限定されない);
緩衝剤(例えば、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウム二水和物が挙げられるが、これらに限定されない。);
【0169】
担体(例えば、アカシアシロップ、芳香性シロップ、芳香性エリキシル、チェリーシロップ、カカオシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーン油、鉱物油、落花生油、ゴマ油、制菌性の塩化ナトリウム注射液、および制菌性の注射用水が挙げられるが、これらに限定されない。);
キレート化剤(例えば、エデト酸二ナトリウムおよびエデト酸が挙げられるが、これらに限定されない。);
着色剤(例えば、FD&C Red No. 3、FD&C Red No. 20、FD&C 黄色 No. 6、FD&C Blue No. 2、D&C Green No. 5、D&C Orange No. 5、D&C Red No. 8、カラメルレッドおよび酸化鉄レッドが挙げられるが、これらに限定されない。);
清澄化剤(例えば、ベントナイトが挙げられるが、これに限定されない。);
乳化剤(例えば、アカシアゴム、セトマクロゴール、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン50が挙げられるが、これらに限定されない。);
カプセル化剤(例えば、ゼラチンおよびセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。);
【0170】
香味剤(例えば、アニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油、およびバニリンが挙げられるが、これらに限定されない。);
湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよびソルビトールが挙げられるが、これらに限定されない。);
研磨剤(例えば、鉱物油およびグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。);
油(例えば、落花生油、鉱物油、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油および植物油が挙げられるが、これらに限定されない。);
軟膏基剤(例えば、ラノリン、親水軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、流動パラフィン、親水性流動パラフィン、白色軟膏、黄色軟膏、およびローズ水軟膏が挙げられるが、これらに限定されない。);
透過促進剤(経皮送達)(例えば、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、1価または多価アルコール、飽和または不飽和脂肪アルコール、飽和または不飽和脂肪酸エステル、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、セファリン、テルペン類、アミド類、エーテル類、ケトン類および尿素類が挙げられるが、これらに限定されない。);
【0171】
可塑剤(例えば、フタル酸ジエチルおよびグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。);
溶媒(例えば、エタノール、コーン油、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱物油、ピーナッツ油、精製水、注射用水、注射用滅菌水、および洗浄(irrigation)用滅菌水が挙げられるが、これらに限定されない。);
硬化剤(例えば、セチルアルコール、セチルエステルワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白色ワックスおよび黄色ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。);
坐剤基剤(例えば、カカオ脂およびポリエチレングリコール類(混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。);
界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オクストキシノノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムおよびモノパルミチン酸ソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。);
【0172】
懸濁剤(例えば、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントゴムおよびビーゴムが挙げられるが、これらに限定されない。);
甘味剤(例えば、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびスクロースが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤結合剤(例えば、アカシアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮可能糖、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース液、メチルセルロース、無架橋ポリビニルピロリドン、および予め膠化させたデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤およびカプセル剤希釈剤(例えば、第二リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微結晶セルロース、粉末化セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトールおよびデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤コーティング剤(例えば、グルコース液、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、およびセラックが挙げられるが、これらに限定されない。);
直打錠賦形剤(例えば、第二リン酸カルシウムが挙げられるが、これに限定されない。);
【0173】
錠剤崩壊剤(例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリリン(polacrillin)カリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、スターチグリコレートナトリウムおよびデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤滑剤(例えば、コロイド状シリカ、コーンスターチおよびタルクが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤/カプセル剤不透明化剤(例えば、二酸化チタンが挙げられるが、これに限定されない。);
錠剤光沢剤(例えば、カルナウバロウおよび白色ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。);
濃化剤(例えば、蜜蝋、セチルアルコールおよびパラフィンが挙げられるが、これらに限定されない。);
等張化剤(例えば、デキストロースおよび塩化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。);
粘度増加剤(例えば、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムおよびトラガカントゴムが挙げられるが、これらに限定されない。);並びに
湿潤剤(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、モノオレイン酸ソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレン酸ソルビトール、およびステアリン酸ポリオキシエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。)。
【0174】
本発明の医薬組成物は、以下のように説明することができる。
滅菌IV溶液:本発明の所望の化合物の5mg/mL溶液は、無菌の注射用水を用いて製造され、必要に応じてpHを調整され得る。この溶液は、無菌の5%デキストロースを用いて1−2mg/mLに投与用希釈され、約60分間かけて静脈内注入として投与される。
【0175】
IV投与用の凍結乾燥粉末剤:無菌製剤は、(i)凍結乾燥粉末として、本発明の所望の化合物100−1000mg、(ii)クエン酸ナトリウム、32−327mg/mL、および(iii)デキストラン40 300−3000mgを用いて製造され得る。この製剤は、無菌の注射可能な生理食塩水または5%デキストロース溶液によって、10ないし20mg/mLの濃度に再構成され、それを更に生理食塩水または5%デキストロースを用いて0.2−0.4mg/mLに希釈され、そして静脈内ボーラスまたは静脈内注入により15−60分かけて投与される。
【0176】
筋肉内懸濁液:以下の溶液または懸濁剤を、例えば筋肉内注射用に製造することができる。
50mg/mLの本発明の所望の水不溶性化合物
5mg/mLのカルボキシメチルセルロースナトリウム
4mg/mLのTWEEN80
9mg/mLの塩化ナトリウム
9mg/mLのベンジルアルコール。
【0177】
硬カプセル:標準的な2片の硬ゼラチンカプセルに、有効成分粉末100mg、ラクトース150mg、セルロース50mgおよびステアリン酸マグネシウム6mgを充填することにより、多数の単位カプセル剤を製造する。
【0178】
軟ゼラチンカプセル:大豆油、綿実油またはオリーブ油のような消化可能な油中に有効成分を入れた混合物を製造し、容積型(移送式)ポンプを利用して融解したゼラチンに注入し、有効成分100mgを含有する軟ゼラチンカプセルを形成する。そのカプセル剤を洗浄し、乾燥させる。有効成分を、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびソルビトールの混合物中に溶解させて、水混和性医薬混合物を製造し得る。
【0179】
錠剤:投与量単位が有効成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mgおよびラクトース98.8mgとなるように、常套方法により多数の錠剤を製造する。好適な水性および非水性コーティングが、嗜好性を高めるか、審美性(elegance)および安定性を改善するか、または吸収を遅らせるために、適用され得る。
【0180】
即時放出錠剤/カプセル剤:これらは常套および新規の方法により製造される固体経口投与形態である。これらの単位は、医薬の即時溶解および送達のために、水なしで経口的に服用される。有効成分を、糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤のような成分を含有する液体中で混合する。これらの液体を、凍結乾燥および固相抽出法により、固形錠剤またはカプセル剤に固化する。薬剤を、粘弾性および熱可塑性の糖類およびポリマーまたは発泡性成分と共に圧縮し、水を必要としない即時放出を意図される多孔質のマトリクスを作製造する。
【0181】
併用療法
本発明の化合物を、単独の医薬物質として、または、組合せが許容されない有害な作用をもたらさないとき、1種またはそれ以上の他の医薬物質と組み合わせて投与できる。本発明はまた、かかる組合せにも関する。例えば、本発明の化合物は、既知の抗過剰増殖剤または他の適応症の薬物など、ならびにそれらの混合物および組合せ剤と組み合わせることができる。他の適応症の薬物は、抗血管形成剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、DNA−挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節物質、または抗ホルモン剤を包含するが、これらに限定されない。
【0182】
さらなる医薬物質は、アフィニトール、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム(aloprim)、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト(anzmet)、アラネスプ(aranesp)、アルグラビン(arglabin)、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BAY80−6946、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェゾン(cefesone)、セルモロイキン、セルビジン(cerubidine)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン、リン酸デカドロン(decadron phosphate)、デレストロゲン(delestrogen)、デニロイキンジフチトクス、デポ−メドロール、デスロレリン(deslorelin)、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW−166HC、エリガード、エリテック(elitek)、エレンス(ellence)、エメンド(emend)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン(epogen)、エプタプラチン(eptaplatin)、エルガミゾール(ergamisol)、エストレース(estrace)、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール(ethyol)、エチドロン酸、エトポホス(etopophos)、エトポシド、ファドロゾール、フェアストン(farston)、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラスチム(fligrastim)、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ハイカムチン、ハイドロコートン、エリスロ−ヒドロキシノニルアデニン(eyrthro−hydroxynonyladenine)、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα、インターフェロンα2、インターフェロンα2A、インターフェロンα2B、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1α、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、酢酸リュープロリド、レバミソール、レボフォリン酸(levofolinic acid)カルシウム塩、レボスロイド(levothroid)、レボキシル(levoxyl)、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビックス(metvix)、ミルテホシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル(Modrenal)、マイオセット(Myocet)、ネダプラチン、ニューラスタ(neulasta)、ニューメガ(neumega)、ニューポジェン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド(orapred)、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド(pediapred)、ペグアスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニール、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、RDEA119、レビフ(rebif)、エチドロン酸レニウム−186、リツキシマブ、ロフェロン(roferon)−A、ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルフォス酸(sparfosic acid)、幹細胞治療、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム−89、スニチニブ、シンスロイド(synthroid)、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、テストラクトン(tastolactone)、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド(testred)、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル(trexall)、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン(virulizin)、ジネカルド(zinecard)、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン、ABI−007、アコルビフェン、アクティミューン、アフィニタック、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル(asoprisnil)、アタメスタン、アトラセンタン、ソラフェニブ(BAY43−9006)、アバスチン、CCI−779、CDC−501、セレブレックス(celebrex)、セツキシマブ、クリスナトール(crisnatol)、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN−101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン(edotecarin)、エフロールニチン、エキサテカン(exatecan)、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンγ、イントロン−PEG、イクサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、ライブラ(libra)、ロナファルニブ、ミプロキシフェン(miproxifene)、ミノドロン酸、MS−209、リポソームMTP−PE、MX−6、ナファレリン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネオバスタット、ノラトレキセド(nolatrexed)、オブリメルセン、オンコ−TCS、オシデム(osidem)、ポリグルタミン酸パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、PN−401、QS−21、クアゼパム、R−1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ(ranpirnase)、13−シス−レチノイン酸、サトラプラチン、セオカルシトール(seocalcitol)、T−138067、タルセバ、タキソプレキシン(taxoprexin)、チモシンアルファ1、チアゾフリン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK−286、トレミフェン、TransMID−107R、バルスポダル(valspodar)、バプレオチド(vapreotide)、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z−100、ゾレドロン酸またはそれらの組み合わせであり得る。
【0183】
組成物に添加できる任意の抗過増殖剤には、参照により本明細書中に包含される Merck Index 第11版(1996)の癌の化学療法薬レジメンに挙げられている化合物、例えば、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エポチロン、エポチロン誘導体、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過増殖剤には、参照により本明細書中に包含される Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (第9版)、Molinoffら編、McGraw−Hill 刊行、1225−1287頁(1996)で、新生物性疾患の処置に使用できると認められている化合物、例えば、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2',2'−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸塩、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパラギン酸(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジンおよびビノレルビンが含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過増殖剤には、他の抗癌剤、例えば、エポチロンおよびその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェンおよびトポテカンが含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
本発明の化合物はまた、タンパク質治療剤と組み合わせても投与され得る。癌または他の血管新生疾患の処置のため、および本発明の組成物と共に使用するのに好適なかかるタンパク質治療剤は、以下を包含するが、これらに限定されない。インターフェロン(例えば、インターフェロンα、βまたはγ)、超作動性モノクローナル抗体、ツエンビンゲン(Tuebingen)、TRP−1タンパク質ワクチン、コロストリニン、抗FAP抗体、YH−16、ゲムツズマブ、インフリキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、リツキシマブ、チモシンα1、ベバシズマブ、メカセルミン(mecasermin)、メカセルミンリンファベート(mecasermin rinfabate)、オプレルベキン(oprelvekin)、ナタリズマブ、rhMBL、MFE−CP1+ZD−2767−P、ABT−828、ErbB2−特異的イムノトキシン、SGN−35、MT−103、リンファベート(rinfabate)、AS−1402、B43−ゲニステイン、L−19ベースの放射性免疫治療剤、AC−9301、NY−ESO−1ワクチン、IMC−1C11、CT−322、rhCC10、r(m)CRP、MORAb−009、アビスクミン(aviscumine)、MDX−1307、Her−2ワクチン、APC−8024、NGR−hTNF、rhH1.3、IGN−311、エンドスタチン、ボロシキシマブ(volociximab)、PRO−1762、レキサツムマブ(lexatumumab)、SGN−40、ペルツズマブ(pertuzumab)、EMD−273063、L19−IL−2融合タンパク質、PRX−321、CNTO−328、MDX−214、チガポチド(tigapotide)、CAT−3888、ラベツズマブ、α−粒子放出放射性同位結合のリンツズマブ(lintuzumab)、EM−1421、超急性ワクチン、ツコツズマブ(tucotuzumab)、セルモロイキン(celmoleukin)、ガリキンマブ(galiximab)、HPV−16−E7、Javelin−前立腺癌、Javelin−黒色腫、NY−ESO−1ワクチン、EGFワクチン、CYT−004−MelQbG10、WT1ペプチド、オレゴボマブ(oregovomab)、オファツムマブ(ofatumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、シントレデキンベスドトキシ(cintredekin besudotox)、WX−G250、アルブフェロン(Albuferon)、アフリベルセプト(aflibercept)、デノスマブ(denosumab)、ワクチン、CTP−37、エフングマブ(efungumab)、または131I−chTNT−1/B。タンパク質治療剤として有用なモノクローナル抗体は、以下を包含するが、それらに限定されない:ムロモナブ−CD3(muromonab−CD3)、アブシキシマブ(abciximab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、ダクリズマブ、ゲンツズマブ(gentuzumab)、アレムツズマブ、イブリツモマブ(ibritumomab)、セツキシマブ、ベビシツマブ(bevicizumab)、エファリズマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、ムロモマブ−CD3(muromomab−CD3)、リツキシマブ、ダクリズマブ、トラスツズマブ、パリビズマブ(palivizumab)、バシリキシマブおよびインフリキシマブ。
【0187】
本発明の化合物はまた、生物学的治療剤、例えば抗体(例えば、アバスチン、リツキサン、アービタックス、ハーセプチン)、または組み換えタンパク質と組み合わされ得る。
【0188】
本発明の化合物はまた、抗血管形成剤、例えばアバスチン、アクシチニブ、DAST、レセンチン、ソラフェニブまたはスニチニブと組み合わされ得る。プロテアソームの阻害剤またはmTOR阻害剤との組み合わせ、または抗ホルモン剤もしくはステロイド代謝酵素阻害剤との組み合わせもまた可能である。
【0189】
一般的に、本発明の化合物または組成物との組み合わせにおける、細胞傷害性および/または細胞増殖抑制性薬物の使用は、以下に役立つ。
(1)いずれかの薬物を単独で投与するのと比較して、腫瘍の増殖を低減させるのにより効果的であるか、または、腫瘍を除去しさえする、
(2)より少ない量での化学療法剤の投与を提供する、
(3)有害な薬理的合併症が単剤の化学療法およびある種の併用療法で観察されるものよりも少ない、患者に良好に耐容される化学療法を提供する、
(4)哺乳動物、とりわけヒトにおいて、より幅広い範囲の種々の癌タイプの処置を提供する、
(5)処置される患者に、より高い応答率を提供する、
(6)標準的な化学療法の処置と比較して、処置される患者により長い生存期間を提供する、
(7)より長い時間の腫瘍の進行をもたらす、および/または、
(8)他の癌作用薬物の組合せが拮抗作用を奏する既知の例と比較して、単独で使用される薬物のものと少なくとも同程度に良好な効果および耐容性の結果を達成する。
【0190】
放射線に対して細胞を増感する方法
本発明の特徴のある態様においては、本発明の化合物は、放射線に対して細胞を増感するために使用され得る。すなわち、細胞の放射線処置前の本発明の化合物による細胞処置は、該細胞を、本発明の化合物によるいずれの処置もない細胞よりも、DNA損傷および細胞死に対してより感受性にする。一面においては、細胞は少なくとも1種の本発明の化合物により処置される。
【0191】
従って、本発明はまた、従来の放射線療法と組み合せて、1種またはそれ以上の本発明の化合物が細胞に投与される、細胞の殺傷方法も提供する。
【0192】
本発明はまた、細胞を細胞死に対してより感受性にする方法も提供し、ここで該細胞は、細胞死を引き起こすか、または誘発するために、細胞の処置前に、1種またはそれ以上の本発明の化合物により処置される。一面においては、細胞が1種またはそれ以上の本発明の化合物により処置された後、細胞は、正常細胞の機能の阻害または細胞を殺すことを目的としてDNA損傷を引き起こすために、少なくとも1種の化合物、または少なくとも1つの方法、またはその組み合わせにより処置される。
【0193】
一態様におい、細胞は、少なくとも1種のDNA損傷剤により細胞を処置することにより殺される。すなわち、該細胞を細胞死に対して感受性にさせるために、1種またはそれ以上の本発明の化合物により細胞を処置した後、細胞は、該細胞を殺すために少なくとも1種のDNA損傷剤により処置される。本発明において有用なDNA損傷剤は、化学療法剤(例えば、シスプラスチン)、イオン化放射線(X線、紫外線)、発癌性物質および変異誘発物質を包含するが、それらに限定されない。
【0194】
別の態様において、細胞は、DNA損傷を引き起こすか、または誘発するために、少なくとも1つの方法により細胞を処置することにより殺される。かかる方法は、細胞シグナル伝達経路が活性化されるときにDNA損傷をもたらすその経路の活性化、細胞シグナル伝達経路が阻害されるときにDNA損傷をもたらすその経路の阻害、および細胞における生化学的変化(この変化がDNA損傷をもたらす)の誘発を包含するが、それらに限定されない。非限定的な例によれば、細胞におけるDNA修復経路が阻害され、それにより、DNA損傷の修復が妨げられ、細胞におけるDNA損傷の異常蓄積がもたらされ得る。
【0195】
本発明の一面においては、本発明の化合物は、細胞におけるDNA損傷の放射線または他の誘発の前に、細胞に投与される。本発明の別の面においては、本発明の化合物は、細胞におけるDNA損傷の放射線または他の誘発と同時に細胞に投与される。本発明のさらなる別の面においては、本発明の化合物は、細胞におけるDNA損傷の放射線または他の誘発が開始した直後に細胞に投与される。
【0196】
別の面においては、細胞はインビトロで存在する。別の態様においては、細胞はインビボで存在する。
【0197】
上記の通り、本発明の化合物は、驚くべきことに、Mps−1を効果的に阻害することが判明し、故に、無制御の細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答の疾患の処置または予防、あるいは無制御の細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答を随伴する疾患の処置または予防に使用され得るが、特に、該無制御の細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答とは、Mps−1により媒介されるものであり、例えば血液の癌、固形腫瘍、および/またはその転移癌等、例えば白血病および骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、脳腫瘍および脳転移を含む頭頚部腫瘍、非小細胞および小細胞肺腫瘍を含む胸部腫瘍、胃腸腫瘍、内分泌腫瘍、乳癌および他の婦人科系腫瘍、腎臓、膀胱および前立腺の腫瘍を包含する泌尿器腫瘍、皮膚腫瘍、および肉腫、ならびに/またはそれらの転移癌である。
【0198】
故に、別の面に従って、本発明は、上記の疾患の処置または予防における使用のための、本明細書に記載および定義の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、特にその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物を含む。
【0199】
故に、本発明の別の特定の面は、疾患の予防または処置のための、上記の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N−オキシド、水和物、溶媒和物もしくは塩、特にその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物の使用である。
【0200】
故に、本発明の別の特定の面は、疾患の処置または予防のための医薬組成物を製造するための、上記の一般式(I)の化合物の使用である。
【0201】
2つの上記パラグラフに記載した疾患とは、制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答の疾患、あるいは制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答を随伴する疾患であって、特に該制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答とは、Mps−1により媒介されるものであって、例えば、血液の癌、固形腫瘍、および/またはその転移癌、例えば白血病および骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、脳腫瘍および脳転移を含む頭頚部腫瘍、非小細胞および小細胞肺腫瘍を含む胸部の腫瘍、胃腸腫瘍、内分泌腫瘍、乳癌および他の婦人科系腫瘍、腎臓、膀胱および前立腺の腫瘍を含む泌尿器腫瘍、皮膚腫瘍、および肉腫、ならびに/またはその転移癌である。
【0202】
本明細書で用いる用語“不適切な”とは、特に本明細書で用いる“不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答”の文脈において、好ましくは該疾患の病理に関連するか、該疾患の病理に関与するか、または該疾患の病理から生じる正常未満、または正常より高い応答を意味すると理解されるべきである。
【0203】
好ましくは、使用とは、疾患の処置または予防であって、該疾患は血液の癌、固形腫瘍および/またはその転移癌である。
【0204】
過剰増殖障害の処置方法
本発明は、哺乳動物の過増殖性障害を処置するための本発明の化合物およびその組成物の使用方法に関する。化合物は、細胞増殖および/または細胞分裂を阻害、阻止、低減、減少などするために、ならびに/またはアポトーシスをもたらすために利用できる。この方法は、それを必要としているヒトを含む哺乳動物に、その障害を処置するのに有効な量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、異性体、多形体、代謝物、水和物、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む。過増殖性障害には、例えば、乾癬、ケロイドおよび他の皮膚を冒す過形成、良性前立腺肥大症(BPH)、固形腫瘍、例えば、乳房、呼吸器、脳、生殖器、消化器、泌尿器、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌およびそれらの遠位の転移が含まれるが、これらに限定されない。これらの障害はまた、リンパ腫、肉腫および白血病も含む。
【0205】
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌および非浸潤性小葉癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
呼吸器の癌の例には、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、ならびに気管支腺腫および胸膜肺芽腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0207】
脳の癌の例には、脳幹および視床下部(hypophtalmic)の神経膠腫、小脳および大脳の星状細胞腫、髄芽腫、上衣腫、ならびに神経外胚葉および松果体の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0208】
雄性生殖器の腫瘍には、前立腺および精巣の癌が含まれるが、これらに限定されない。雌性生殖器の腫瘍には、子宮内膜、子宮頚部、卵巣、膣および外陰部の癌、ならびに子宮の肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
消化器の腫瘍には、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸および唾液腺の癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
泌尿器の腫瘍には、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、輸尿管、尿道およびヒト乳頭状腎癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
眼の癌には、眼球内黒色腫および網膜芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
肝臓癌の例には、肝細胞癌(線維層状の変化(fibrolamellar variant)の有無による、肝細胞癌腫)、胆管癌(肝臓内の胆管の癌腫)および混合型の肝細胞性胆管癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
皮膚癌には、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
頭頸部癌には、喉頭癌、下咽頭癌、鼻咽頭癌、口咽頭癌、ならびに口唇および口腔の癌および扁平細胞が含まれるが、これらに限定されない。リンパ腫には、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
肉腫には、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
これらの障害は、ヒトでは十分に特徴解析されているが、他の哺乳動物にも同様の病因で存在しており、本発明の医薬組成物の投与により処置できる。
【0218】
本明細書で用いる用語“処置する”または“処置”は、慣習的に使用され、例えば、癌腫のような疾患または障害の病状などに対する、対抗、緩和、低減、軽減、改善を目的とする対象の管理または治療である。
【0219】
キナーゼにより仲介される障害の処置方法
本発明はまた、卒中、心不全、肝腫脹、心肥大、糖尿病、アルツハイマー疾患、嚢胞性線維症、異種移植片拒絶反応の症状、敗血性ショックまたは喘息を含が、これらに限定されない異常な有糸分裂促進因子の細胞外キナーゼ活性と関連する障害を処置するための方法を提供する。
【0220】
本発明の化合物の有効量を使用して、上記の従来技術において記載した疾患(例えば、癌)を含むそのような疾患を治療できる。しかしながら、キナーゼと障害の間の作用機構および/または関係に関わらず、本発明の化合物を用いてかかる癌および他の疾患を処置することができる。
【0221】
用語“異常なキナーゼ活性”または“異常なチロシンキナーゼ活性”には、該キナーゼをコードする遺伝子またはそれがコードするポリペプチドのあらゆる異常な発現または活性が含まれる。かかる異常な活性の例は、遺伝子またはポリペプチドの過剰発現;遺伝子増幅;構成的に活性な、または過活性なキナーゼ活性を提供する突然変異;遺伝子の変異、削除、置換、付加などを含むが、これに限定されない。
【0222】
本発明はまた、キナーゼ活性を阻害する方法、とりわけ有糸分裂促進因子の細胞外キナーゼのキナーゼ活性を阻害する方法を提供するものであり、有効量の本発明の化合物(その塩、多形体、代謝物、水和物、溶媒和物、プロドラッグ(例えば、エステル)、およびそのジアステレオマー形態を含む)を投与することを含む。キナーゼ活性を、細胞(例えば、インビトロ)、または該処置が必要な哺乳動物対象、特にヒト患者のその細胞において阻害できる。
【0223】
血管新生障害の処置方法
本発明はまた、過剰および/または異常な血管新生に関連する障害および疾患の処置方法も提供する。
【0224】
血管形成の不適切な、および異所性発現は、生物にとって有害であり得る。多くの病理学的症状は、異質な血管の増殖に関連している。これらは、例えば、糖尿病性網膜症、虚血性網膜静脈閉塞症および未熟網膜症[Aiello et al. New Engl. J. Med. 1994, 331, 1480; Peer et al. Lab. Invest. 1995, 72, 638]、加齢黄斑変性症[AMD; Lopez et al. Invest. Opththalmol. Vis. ScL 1996, 37, 855を参照のこと]、血管新生緑内障、乾癬、後水晶体線維増殖症、血管線維腫、炎症、リウマチ性関節炎(RA)、再狭窄、ステント内再狭窄、移植血管再狭窄などが含まれる。さらに、癌性および新生物組織に関連する血液供給の増加が増殖を促進し、急速な腫瘍の拡大および転移を導く。さらに、腫瘍における新規血管およびリンパ管の増殖は、制御されていない細胞(renegade cells)に避難経路を与え、癌の転移およびそれに続く拡散を促進する。従って、本発明の化合物は、例えば、血管形成を阻害および/または低減することにより;上皮細胞の増殖または血管新生に関連する他のタイプを、阻害、阻止、低減、減少などすることにより、ならびに、そのような細胞タイプの細胞死またはアポトーシスを引き起こすことにより、上記の何れかの血管新生障害の処置および/または予防に利用できる。
【0225】
用量および投与
過増殖障害および血管新生障害の処置に有用な化合物を評価するために公知の標準的な実験技術に基づき、哺乳動物における上記で同定される症状の処置の測定のための標準的な毒性試験および標準的な薬理アッセイにより、および、これらの結果をこれらの症状の処置に使用される既知の医薬の結果と比較することにより、本発明の化合物の有効投与量を、それぞれの所望の適応症の処置について容易に決定できる。これらの症状の一つの処置において投与されるべき有効成分の量は、用いる特定の化合物および投与量単位、投与方法、処置期間、処置される患者の年齢および性別、ならびに処置される症状の性質および重篤度などの考慮事項によって幅広く変動し得る。
【0226】
投与されるべき有効成分の総量は、一般的に、1日当たり約0.001mg/体重kgないし約200mg/体重kg、好ましくは1日当たり約0.01mg/体重kgないし約20mg/体重kgの範囲であり得る。臨床的に有用な投与スケジュールは、1日1回ないし3回の投与から、4週ごとに1回の投与までの範囲であり得る。加えて、患者が一定期間にわたり投薬を受けない“休薬”は、薬理効果と耐性の全体的バランスに有益であり得る。投与量単位は、約0.5mgないし約1500mgの有効成分を含有し、1日1回またはそれ以上、または、1日1回よりも少なく投与され得る。静脈内、筋肉内、皮下および非経腸注射を含む注射ならびに点滴技術の使用による平均の1日投与量は、好ましくは、0.01ないし200mg/総体重kgであり得る。平均の1日の直腸投与量レジメンは、好ましくは、0.01ないし200mg/総体重kgであり得る。平均の1日の膣投与量レジメンは、好ましくは、0.01ないし200mg/総体重kgであり得る。平均の1日の局所投与量レジメンは、好ましくは、1日1回ないし4回投与される0.1ないし200mgであり得る。経皮濃度は、好ましくは、0.01ないし200mg/kgの1日用量を維持するのに必要とされる濃度であり得る。平均の1日の吸入投与量レジメンは、好ましくは、0.01ないし100mg/総体重kgであり得る。
【0227】
もちろん、各患者のための具体的な開始および継続する投与量レジメンは、担当医の診断によって決定される症状の性質および重篤度、用いる特定の化合物の活性、患者の年齢および全般的状態、投与期間、投与経路、薬物の排出速度、薬物の組合せなどによって変動し得る。所望の処置方法および本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルまたは組成物の投与回数は、常套の処置試験を使用して当業者により確認され得る。
【0228】
好ましくは、該方法の疾患は、血液の癌、固形腫瘍および/またはその転移癌である。
【0229】
本発明の化合物は、特に、治療および予防、すなわち、腫瘍増殖および転移の予防、とりわけ腫瘍増殖の予備的処置を行うか、または行わない全ての適応症およびステージの固形腫瘍に使用され得る。
【0230】
特定の薬理学的または医薬的性質について試験する方法は、当業者には周知である。
【0231】
本明細書に記載の試験的実験は、本発明を説明するためのものであり、本発明は記載された例に限定されない。
【0232】
生物学的アッセイ:増殖アッセイ
培養した腫瘍細胞(MCF7、ホルモン依存性ヒト乳癌細胞、ATCC HTB22;NCI−H460、ヒト非小細胞肺癌腫細胞、ATCC HTB−177;DU 145、ホルモン依存性ヒト前立腺癌細胞、ATCC HTB−81;HeLa−MaTu、ヒト頚部癌腫細胞、EPO−GmbH、Berlin;HeLa−MaTu−ADR、多剤耐性ヒト頚部癌腫細胞、EPO−GmbH、Berlin;HeLaヒト頚部腫瘍細胞、ATCC CCL−2;B16F10マウス黒色腫細胞、ATCC CRL−6475)を、5000細胞/ウェル(MCF7、DU145、HeLa−MaTu−ADR)、3000細胞/ウェル(NCI−H460、HeLa−MaTu、HeLa)、または1000細胞/ウェル(B16F10)の密度で、10%仔ウシ血清を添加した各増殖培地(200μL)中、96ウェルマルチタイタープレートに播種した。24時間後、一枚のプレートの細胞(ゼロポイントのプレート)を、クリスタルバイオレット(以下、参照)により染色し、もう一方のプレートの該培地を新鮮な培養培地(200μl)に換え、これに試験物質を、種々の濃度で添加した(0μM、ならびに0.01−30μMの範囲;ジメチルスルホキシド溶媒の終濃度は0.5%であった)。該細胞を、試験物質の存在下で4日間インキュベートした。細胞増殖を、細胞をクリスタルバイオレットで染色することにより決定した。該細胞を、室温にて15分間、11%グルタルアルデヒド溶液(20μl)/測定ポイントを添加することにより固定した。該固定された細胞を水で洗浄するサイクルを3回行った後に、該プレートを、室温にて乾燥させた。0.1%クリスタルバイオレット溶液(pH3.0)100μl/測定ポイントを添加することにより、該細胞を染色した。染色細胞を水で洗浄するサイクルを3回行った後、該プレートを室温にて乾燥させた。染料を、10%酢酸溶液100μl/測定ポイントを添加して溶解させた。消失を、595nmの波長で測光法により決定した。細胞数の変化(%)を、ゼロポイントプレート(=0%)の消失値(extinction values)と非処理(0μm)細胞(=100%)の消失値に対する測定値の正規化により計算した。該IC50値を、自社のソフトウェアを用いて4つのパラメーターの適合度により決定した。
【0233】
Mps−1キナーゼアッセイ
ヒトキナーゼMps−1は、ビオチニル化基質ペプチドをリン酸化する。このリン酸化生成物の検出を、供与体としてユーロピウム標識された抗ホスホ−セリン/スレオニン抗体から、受容体としてストレプトアビジン標識された交差アロフィコシアニン(SA−XLent)への時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)により達成した。化合物を、該キナーゼ活性のそれらの阻害について試験した。
【0234】
N末端にGSTタグを付したヒト完全長の組み換えMps−1キナーゼ(invitrogen, Karslruh, Germany, cat. no PV4071から購入)を用いた。キナーゼ反応についての基質としては、アミノ酸配列PWDPDDADITEILG(アミド形態にあるC末端、Biosynthan GmbH, Berlinから購入)のビオチニル化ペプチドを使用した。
【0235】
このアッセイのために、DMSO中で100倍濃縮された試験化合物溶液(50nL)を、黒色の低容量の384ウェル マイクロタイタープレート(Greiner Bio−One, Frickenhausen, Germany)中へピペッティングし、アッセイ緩衝液[0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム、10mM MgCl
2、2mM DTT、 25mM Hepes pH7.7、0.05% BSA、0.001% Pluronic F−127]中でMps−1溶液(2μl)を添加し、該混合物を22℃で15分間インキュベートして、キナーゼ反応の開始前にMps−1に試験化合物を予め結合させた。その後、該キナーゼ反応を、アッセイ緩衝液中で16.7 アデノシン三リン酸(ATP、16.7μM→5μlアッセイ容量中で10μMの終濃度)およびペプチド基質(1.67μM→5μlアッセイ容量中で1μMの終濃度)の溶液(3μl)の添加により開始して、その結果得られる混合物を、22℃で60分間の反応時間インキュベートした。アッセイ中のMps−1の濃度を、酵素ロットの活性に調整して、直線範囲のアッセイとなるように好適に選択した。典型的な酵素濃度は、約1nMの範囲内であった(5μlアッセイ容量中の終濃度)。この反応を、HTRF検出試薬(100mM Hepes(pH7.4)、0.1% BSA、40mM EDTA、140nM ストレプトアビジン−XLent[# 61GSTXLB, Fa. Cis Biointernational, Marcoule, France]、1.5nM 抗ホスホ(Ser/Thr)−ユーロピウム抗体[#AD0180, PerkinElmer LAS, Rodgau−Juegesheim, Germany]溶液(3μl)の添加により停止した。
【0236】
得られる混合物を、22℃にて1時間インキュベートして、リン酸化ペプチドを抗ホスホ(Ser/Thr)−ユーロピウム抗体に結合させた。次いで、リン酸化された基質の量を、ユーロピウム−標識した抗ホスホ(Ser/Thr)抗体から、ストレプトアビジン−XLentへの蛍光共鳴エネルギー転移の測定により評価した。すなわち、350nmでの励起後の620nmおよび665nmでの該蛍光発光を、Viewlux TR−FRET reader (PerkinElmer LAS, Rodgau−Juegesheim, Germany)で測定した。“ブランク校正された正規化比”(665nmおよび622nmでの従来の発光比と類似したViewluxの特異的計測値、ここでブランクとEu供与体のクロストークは該比を計算する前に665nmシグナルから控除される)を、リン酸化基質の量についての測定値として見なした。データを、正規化した(阻害剤を含まない酵素反応=0%阻害、酵素を含まない全ての他のアッセイ成分=100%阻害)。試験化合物を、20μMないし1nMの範囲内にある10の異なる濃度で(1:3の連続希釈により、100倍濃度のストック溶液のレベルにてアッセイ前に調製した20μM、6.7μM、2.2μM、0.74μM、0.25μM、82nM、27nM、9.2nM、3.1nMおよび1nMの希釈系)、各濃度につきデュプリケートの値にて同マイクロタイタープレート上で試験し、IC
50値を、自社内のソフトウェアを用いて、4つのパラメーターの適合により計算した。
【0237】
実施例部分に記載の化合物のIC
50値を以下の表に記載する。
【表2】
【0238】
紡錘体形成チェックポイントアッセイ
紡錘体形成チェックポイントは、有糸分裂中の染色体の適当な分配を確実に行う。有糸分裂を開始する際に、染色体は、セリン10上のヒストンH3のリン酸化を伴って濃縮を開始する。セリン10上でのヒストンH3の脱リン酸化は、早期の有糸分裂終期での後期および終結を開始する。従って、セリン10上でのヒストンH3のリン酸化を、有糸分裂における細胞のマーカーとして利用できる。ノコダゾールは微小管の不安定化物質である。すなわち、ノコダゾールは、微小管動態に干渉し、紡錘体形成チェックポイントを駆動する。細胞は、G2/M遷移時の有糸分裂において停止し、セリン10上でのリン酸化ヒストンH3を示す。Mps−1阻害剤による紡錘体形成チェックポイントの阻害は、ノコダゾールの存在下では有糸分裂の遮断を無効にし、細胞は有糸分裂を途中で完了する。この変化を、セリン10上のヒストンH3のリン酸化を有する細胞の減少により検出する。この低下をマーカーとして使用して、有糸分裂の成功を誘導するための本発明の化合物の能力を決定する。
【0239】
ヒト頚部の腫瘍細胞系HeLa(ATCC CCL−2)の培養細胞を、1%(v/v)グルタミン、1%(v/v)ペニシリン、1%(v/v)ストレプトマイシンおよび10%(v/v)仔ウシ血清を添加したダルベッコ培地(w/oフェノールレッド、w/oピルビン酸ナトリウム、w 1000mg/mlグルコース、w ピリドキシン)20μl中、384ウェルマイクロタイタープレートにおいて2500細胞/ウェルの濃度で播種した。37℃で一晩インキュベーション後、0.1μg/mlの終濃度でノコダゾール(10μl/ウェル)を細胞に添加した。24時間のインキュベーション後、細胞を細胞周期進行中のG2/M相で停止させた。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した試験化合物を、種々の濃度(0μM、ならびに0.005μM−10μMの範囲;該溶媒DMSOの終濃度は0.5%(v/v)であった)で添加した。細胞を、試験化合物の存在下、37℃にて4時間インキュベートした。その後、細胞を、4℃で一晩、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中4%(v/v)のパラホルムアルデヒドにて固定し、次いで室温で20分間、PBS中0.1%(v/v) Triton X(登録商標)100で透過処理し、室温にて15分間、PBS中で0.5%(v/v)ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングした。PBSで洗浄後、抗体溶液(抗ホスホ−ヒストンH3クローン3H10、FITC;Upstate, Cat# 16−222;1:200希釈) 20μl/ウェルを細胞に添加して、室温にて2時間インキュベートした。その後、細胞をPBSで洗浄し、HOECHST33342 染色溶液(5μg/ml)20μl/ウェルを該細胞に添加し、細胞を暗所で室温にて12分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、次いでPBSで覆い、4℃で分析まで貯蔵した。画像を、Perkin Elmer OPERA(登録商標) High−Content 分析読取り機器により得た。画像を、細胞サイクルの適用モジュールを利用する画像分析用のsoftware MetaXpress(登録商標)(Molecular devices)により分析した。このアッセイにおいて、双方の標識HOECHST 33342およびセリン10でのリン酸化ヒストンH3を測定した。HOECHST 33342はDNAを標識し、細胞数を計測するために使用される。セリン10上のリン酸化ヒストンH3の染色により、有糸分裂細胞数を決定した。Mps−1の阻害は、不適切な有糸分裂の進行を示すノコダゾールの存在下では有糸分裂細胞数を減少させる。生のアッセイデータを、さらに、4つのパラメーターロジスティック回帰分析により分析し、各試験化合物についてのIC
50値を決定する。
【0240】
他のMpsキナーゼについてのアッセイを、適当な試薬を用いて同様に行い得ることは、当業者に明らかであり得る。
【0241】
すなわち、本発明の化合物は、1またはそれ以上のMps−1キナーゼを効果的に阻害し、故に、制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答の疾患の処置または予防に好適であって、特に該制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答とは、Mps−1により仲介されるものであり、より具体的には、該制御されていない細胞増殖、過増殖、不適切な細胞免疫応答、または不適切な細胞の炎症性応答の疾患とは、例えば血液の癌、固形腫瘍および/またはその転移癌、例えば白血病および骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、脳腫瘍および脳転移を含む頭頚部腫瘍、非小細胞および小細胞の肺腫瘍を含む胸部腫瘍、胃腸腫瘍、内分泌腫瘍、乳癌およびその他の婦人科系腫瘍、腎臓、膀胱および前立腺腫瘍を含む泌尿器腫瘍、皮膚腫瘍、および肉腫、ならびに/またはそれらの転移癌である。