(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固体ミリング剤の前記可溶化を、pH調整による中和と、一つ以上の更なる溶媒の前記プレミックス組成物への添加との組み合わせにより行う、請求項1又は2のいずれかに記載した方法。
前記ポリマー物質がアクリレート、メタクリレート、スチレン―アクリレート、イミド、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載した方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.定義
B.顔料粒子分散を調製する方法
1.プレミックス組成物
a.粒子
b.液体キャリア
c.分散剤
d.更なる構成成分
2.ミリング媒体の存在下におけるプレミックス組成物のミリング
a.ミリング媒体
b.粒子分散
3.ミリング媒体の可溶化
a.pH調整
b.一つ以上の溶媒の添加
c.pH調整及び一つ以上の溶媒の添加
4.典型的な方法
C. 例
[A.定義]
本明細書において提供する専門的及び科学的用語の定義は、そのときに意図された定義を含む。本発明の属する当業者によって一般に理解されるような、記述されない定義に対して他の側面がありうるため、これらの定義は限定的ではない。本明細書において全ての開示全体にわたって引用した、全ての特許、特許出願、公開された出願及び刊行物、ウェブサイト、並びに他の公開された物は、特に明記しない限り、引用によりその全体が含まれる。本明細書中に複数の用語の定義がある場合には、そのセクションにおける定義が優先する。引用がURL又はその他のそのような識別子又はアドレスになされた場合、そのような識別子は変化することができ、インターネットの特定の情報は移り変わることができるものと理解されるが、例えばインターネット及び/又は適切なデータベースを検索することにより、等価な情報は公知であり、容易にアクセスすることができる。それらへの引用は、そのような情報の入手可能性及び公の頒布を明示する。
【0016】
前述の一般的な説明、及び以下の詳細な説明は、単に例示的及び説明的であること、及び請求する発明主題を限定するものではないことを理解すべきである。本出願では、具体的に述べない限り、(原文中の)単数形の使用は複数形を含む。本出願では、「又は」の使用は、特に明記しない限り「及び/又は」を意味する。さらにまた、用語「含む」及びその他の形態、例えば「含み」及び「含まれる」等の使用は、限定的ではない。
【0017】
本明細書において、範囲及び量は、「約」特定の値又は範囲として表すことができる。「約」はその厳密な量も含む。それゆえ、「約10%」は、「約10%」及び「10%」もまた意味する。
【0018】
本明細書において、「任意の」又は「任意に」は、その後に開示された事象又は状況が発生するか又は発生しないことを意味し、また、その開示は、その事象又は状況が起こる例、及び起こらない例を含む。例えば、任意に置換された基は、基が未置換であるか、置換されていることを意味する。
【0019】
本明細書において、単数形(原文中「a」、「an」、及び「the」)は、文脈で明確に述べない限り複数形の指示物を含む。したがって、例えば、「溶媒」(原文中「a solvent」)を含む組成物の引用は、一つ又は複数の溶媒を有する組成物を含む。
【0020】
本明細書において、「組合せ」は、二つ以上の項目の間の任意の関連に関する。関連は空間的であることができ、又は一般的な目的のための二つ以上の項目の使用に関する。
【0021】
本明細書において、「組成物」は、二つ以上の製品又は化合物(例えば、溶媒、樹脂、添加物、等)の任意の混合物に関する。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性若しくは非水性の調合物、又は任意のそれらの組み合わせであることができる。
【0022】
本明細書において使用するように、組成物に関して「均一」とは、構成成分が、溶液又は懸濁液を含む混合物として液相中にあることを意味する。
【0023】
本明細書において使用する用語「ミル」、「ミリング」、又は「ミリングした」は、攪拌、研磨、粉砕、崩壊、圧縮、回転、又はそうでなければ粒子の寸法を減らす処理に関する。そのようなミリングは、例えば、顔料粒子を粉末又は小さい顆粒へと縮小することができる。
[B.顔料粒子分散を調製する方法]
【0024】
本明細書において提供するものは、インサイチュの、顔料粒子分散を調製する方法である。本方法は、ミリング処理(すなわち、粒径の縮小)の完了後に分散内に可溶化することができる固体ミリング剤、例えばアルカリに可溶、酸に可溶、又は溶媒に可溶なポリマー樹脂を利用する。加えて、本明細書において提供する方法は、一旦粒子の分散が完成したら、分散からミリング媒体を分離又は濾過する別の工程の必要性を排除する。特に、本明細書において提供する方法は、顔料粒子分散を調製するために用いることができる。これらの特徴に因って、本方法は、ミリング後に分散からの分離が必要な不溶性ミリング剤を使用した顔料粒子分散を調製する既存の従来の方法よりも有利である。
【0025】
例示的実施形態において、本方法は、一つ以上の粒子、一つ以上の液体キャリア、一つ以上の分散剤、及び、任意に一つ以上の添加物のプレミックス組成物を調製する工程;液体キャリアに実質的に不溶性の固体ミリング剤の存在下、プレミックス組成物を攪拌する工程;及び所定の粒径に縮小した後、液体キャリア中に固体ミリング剤を可溶化する工程を含む。
【0026】
例示的実施形態において、本方法は、粒子、分散剤、液体キャリア、及び、任意に他の添加物のプレミックス組成物の存在下においてミリング媒体として使用することができる固体ミリング剤、例えばアルカリに可溶な、酸に可溶な、又は溶媒に可溶なポリマー材料を含む。固体ミリング剤は、液体キャリアに実質的には溶解しない。充分な粒径の縮小が起こるまで、プレミックス及び固体ミリング剤をミリングする。更に例示的な実施形態において、ミリングは撹拌により行う。一旦プレミックスの顔料粒子が分散すると(すなわち、粒径の縮小が完了すると)、液体キャリアの性質を変え、固体ミリング剤を可溶化することによって、固体ミリング剤は顔料粒子分散の一部になることができる。例示的な実施形態において、pH調整、例えば塩基又は酸の添加によって、液体キャリアの性質を変えることができる。他の例示的な実施形態において、一つ以上の溶媒、例えばミリング剤を溶解することができる溶媒を加えることによって、液体キャリアの性質を変えることができる。更に他の例示的な実施形態において、液体キャリアの性質は、pH調整と、一つ以上の溶媒の添加との組合せによって、変えることができる。本明細書において提供する方法において、可溶化した(分散した)樹脂は、顔料粒子分散の構成成分になる。
【0027】
本明細書において提供する方法の例示的な実施形態において、プレミックス組成物用に選択される液体キャリアは、固体ミリング剤を実質的には溶解しない。例示的な実施形態において、本方法は水系で行うことができる。水系は、例えば、水であることができる。代替として、水系は、水と、固体ミリング剤を実質的には溶解しない水混和性溶媒との混合物であることができる。例示的な実施形態において、本方法は、有機溶媒ベースの系において行うことができる。
【0028】
本方法の工程の説明、及び本方法の構成成分は、以下のサブセクションにおいて開示する。
[1.プレミックス組成物]
【0029】
本明細書において提供する方法は、一つ以上の粒子、一つ以上の液体キャリア、及び一つ以上の分散剤のプレミックス組成物を調製することを含む。いくつかの実施形態において、プレミックス組成物は、一つ以上の添加物を含むことができる、
[a.粒子]
【0030】
本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物は、例えば任意の結晶質又は非晶質の固体物質等のメディアミル中でミリングすることができる任意の粒子を含むことができる。ミリングする粒子は、例えば、医薬物質、食品、顔料、産業コーティング、及び化粧品を含むことができる。一般に、化合物は固体であり、単結晶形、結晶形の混合物、非晶質固体、又はミリングする固体の混合物であってよい。化合物は、液体キャリア(溶媒)中に分散を形成することができるいくつかの非常に小さい粒子を含むサイズの範囲を含んでもよいが、少なくともいくつかの固体の構成成分のサイズは、本発明において作成される非常に小さい粒子のサイズより一般に大きい。粒子は有機固体(結晶質又は非晶質の物質のいずれか)であることができ、又はミリング処理によってサイズを縮小することができる限り、無機固体でもよい。有機固体は単一化合物、又は化合物の混合物、鏡像異性体、光学異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー、構造異性体、ブレンド、ガラス、単一物質の単独の結晶形であることができ、あるいは、複数の多形体、共晶混合物、又は例えば顔料性着色剤及び表面活性物質等の異なる化合物から構成されてもよい。粒子は、例えば、沈殿した固体、再結晶した固体、部分的にミリングした固体、例えば予めメディアミリングした固体、ジェットミリングした固体、部分的に挽いた固体、微粒状にした固体、粒子化した固体、ボールミリングした固体、粉末にした固体、昇華した固体、蒸発の残留物、合成処理から得られる固体、又は混合物からの抽出(例えば有機溶媒抽出若しくは超臨界流体抽出)から得られる固体(例えば反応生成物、又は植物若しくは組織の抽出物)であることができる。一般に、水が液体キャリア又は溶媒である場合、固体は本質的に水不溶性、又は完全に水不溶性である。
【0031】
本明細書において提供する方法に従ってミリングすることができる固体物質の例として、例えばインクジェット印刷若しくは従来の印刷のための、印刷用インクのための顔料等の固体着色剤;プラスチックのための着色剤;電子ディスプレイカラーフィルタアレイのための高透明性着色剤;固体写真材料、例えば染料;固体化粧成分;固体自動車コーティング;固体建築コーティング;固体化学製品;固体金属粉末;固体触媒物質;触媒のための固体担持材料;分析及び分取クロマトグラフィーに役立つ固体固定相粒子若しくは担持物質;例えばレーザー印刷を含む電子写真及び印刷用途に役立つ、黒色トナー材料及び着色トナー材料等の固体トナー材料;並びに、水溶性、水不溶性、本質的に水不溶性、及び貧水溶性の治療及び診断に役立つ造影剤、医薬活性剤、薬剤、植物及び草本の抽出物、薬剤、プロドラッグ、薬剤調合物、診断造影剤、並びにこれと同種のものを含む固体の医薬品が挙げられる。
【0032】
本明細書において提供する方法において使用する顔料は、任意の顔料を含むことができる。顔料は、有機又は無機顔料の形態であることができ、特殊顔料を含むことができる。顔料の例として、限定されないが、カーボンブラック、フタロシアニン、(例えば、フタロシアニンブルー、及びフタロシアニングリーン)、キナクリドン(例えばキナクリドンマゼンタ)、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロ、ピロール、チオインディゴ、アントラキノン、インダンスロン、アンスラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アントアントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、及びキノフタロン;ジアニシジンオレンジ;ジニトロアニリンオレンジ;カルバゾールバイオレット;アゾ化合物(例えば、アゾレッド及びアゾイエロー);カラーインデックスインターナショナルに見られる沈殿した染料、及びそれらの顔料、又は任意のそれらの組み合わせを含む。本明細書において提供する方法を用いて、単一の顔料、顔料の組合せ、又は顔料及び染料ベースの物質を含む組合せを分散させてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、一つ以上の顔料は、フタロシアニン(PCN)ブルーであることができる。いくつかの例において、PCNブルーのための結晶調節剤を、プレミックス組成物に加えることができる。PCNブルーのための結晶調節剤は、限定されないがアルキルピロリドン、グリコール、二塩基性エステル、及びアミンを含む。他の例において、PCNブルーのための非結晶及び非凝集の添加物、又は相乗剤を、プレミックス組成物に加えて、組成物の安定性を改善することができる。適切な添加物は、限定されないがフタルイミドメチレンフタロシアニン(Pc);ナフタルイミドメチレンPc;Pcスルホン酸と第一級、第二級、第三級、及び四級アミン、又は/及びエーテルアミンとの塩;Pcと、第一級、第二級アミン、ジアミン、ポリアミン、又はエーテルアミンとのスルホンアミド、例えばポリアルコキシCuPcスルホンアミド;Pcカルボン酸のアミド;並びに直鎖及び分岐鎖の、アルキル―又はアルカノールPcを含む。本明細書において提供する方法のプレミックス組成物は、PCNブルーのための一つ以上の結晶調節剤若しくは一つ以上の添加物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
本明細書において提供する方法で使用するプレミックス組成物において、組成物の質量(質量%)によるパーセンテージ(%)としての着色剤の総量は、例えば(約)5%〜80%、例えば(約)5%〜10%、(約)5%〜15%、(約)5%〜25%、(約)5%〜30%、(約)5%〜40%、(約)5%〜50%、(約)5%〜60%、(約)5%〜70%、(約)5%〜80%、(約)10%〜20%、(約)10%〜30%、(約)10%〜40%、(約)10%〜50%、(約)10%〜60%、(約)10%〜70%、(約)10%〜80%、(約)15%〜25%、(約)15%〜30%、(約)15%〜35%、(約)15%〜40%、(約)15%〜45%、(約)15%〜50%、(約)15%〜60%、(約)15%〜70%、(約)15%〜80%、(約)20%〜30%、(約)20%〜40%、(約)20%〜50%、(約)20%〜60%、(約)20%〜70%、(約)20%〜80%、(約)25%〜30%、(約)25%〜35%、(約)25%〜40%、(約)25%〜45%、(約)25%〜50%、(約)25%〜60%、(約)25%〜70%、(約)25%〜75%、(約)25%〜80%、(約)30%〜40%、(約)30%〜50%、(約)30%〜60%、(約)30%〜70%、30%〜75%、(約)40%〜50%、(約)40%〜55%、(約)40%〜60%、(約)40%〜65%、(約)40%〜70%、(約)40%〜75%、(約)40%〜80%、(約)45%〜50%、(約)45%〜55%、(約)45%〜60%、(約)45%〜65%、(約)45%〜70%、(約)45%〜75%、(約)45%〜80%、(約)50%〜55%、(約)50%〜60%、(約)50%〜65%、(約)50%〜70%、(約)50%〜75%、(約)50%〜80%、(約)55%〜60%、(約)55%〜65%、(約)55%〜70%、(約)55%〜75%、(約)60%〜70%、及び(約)60%〜80%とすることができる。
【0035】
一般に、組成物は、80%(質量%)未満の着色剤を含む。例えば、本明細書において提供される組成物は、少なくとも(約)5%、(約)7%、(約)10%、(約)12%、(約)15%、(約)17%、(約)19%、(約)20%、(約)21%、(約)22%、(約)23%、(約)24%、(約)25%、(約)26%、(約)27%、(約)30%、(約)35%、(約)40%、(約)42%、(約)45%、(約)48%、(約)50%、(約)55%、(約)60%、(約)65%、(約)70%、(約)75%の、ただし80%未満の全着色剤を含む。
[b.液体キャリア]
【0036】
本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物は、一つ以上の液体キャリア又は溶媒を含む。ミリング処理において、液体キャリアを最初に用いて、ミリング又は撹拌によって分散すべき粒子を懸濁させる。液体キャリアは、例えば、実質的にミリング媒体を溶解することができない等の、一つ以上の望ましい特性に基づいて選択する。
【0037】
本明細書において提供する方法において、プレミックス組成物用に選択する液体キャリアは、固体ミリング剤を実質的に溶解しない。本明細書において提供する方法は、水系において行うことができる。水系は、例えば、水であることができる。代替として、水系は、水と、固体ミリング剤を実質的には溶解しない水混和性溶媒との混合物であることができる。この水混和性溶媒は、アセトンであることができる。代替として、水混和性溶媒は、アセトニトリルであることができる。他の実施形態では、水混和性溶媒は、テトラヒドロフランであることができる。さらなる態様において、水混和性溶媒は、アルコールである。更に更なる実施形態において、水混和性溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、又はアルコールの混合物であることができる。
【0038】
本明細書において提供する方法は、有機溶媒ベースの系において行うことができる。有機溶媒ベースの系は、固体ミリング剤を実質的に溶解しない溶媒であることができる。例えば、有機溶媒ベースの系は、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、アルキルアセテート、ケトン、シクロヘキサノン、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル、エステル、又はその混合物であることができる。この有機溶媒は、アルコールであることができる。代替として、有機溶媒は、シクロヘキサノンであることができる。更なる実施形態において、有機溶媒は、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、アルキルアセテート、ケトン、シクロヘキサノン、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル、又はエステルの混合物であることができる。
【0039】
適切な液体キャリアとしては水、又は非水性溶媒、例えば脂肪族炭化水素、例えばヘプタン、ヘキサン、及びペンタン;環状炭化水素、例えばシクロヘキサノン、及び置換環状炭化水素、例えばエチルシクロヘキサン;ケトン;エーテル;エステル;石油蒸留物、例えばナフサ、石油エーテル、及び軽い脂肪族溶媒;芳香族炭化水素及び化合物、例えばキシレン及びトルエン;アルキルアセテート、例えば酢酸エチル、イソプロピルアセテート、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMアセテート)、及びn―プロピルアセテート;グリコール及びグリコールエーテル、例えばモノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1―エトキシ―2―プロパノール、1―プロポキシ―プロパノール(PROPOSOL溶媒P)、プロピレングリコールn―プロピルエーテル、n―ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、及びジアセトンアルコール;グリコールエーテルアセテート;並びにアルコール、例えばブチルアルコール、3―メトキシブタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びn―プロパノールを含む。本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物において、液体キャリアは、単一の液体キャリアであることができ、又は一つ以上の液体キャリアの混合物であることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、ミリング媒体をpH調整によって最終的な粒子分散内に可溶化する場合、液体キャリアは水であることができる。他の実施態様において、ミリング媒体をpH調整によって可溶化する場合、液体キャリアは、例えば水とミリング媒体を実質的に溶解しない水混和性溶媒との、液体キャリアの組合せであることができる。例示的な方法において、ミリング媒体をpH調整によって可溶化する場合、液体キャリアは水である。
【0041】
いくつかの実施形態において、ミリング媒体を一つ以上の溶媒の添加によって最終的な粒子分散に可溶化する場合、プレミックス組成物の液体キャリアは有機溶媒であることができる。他の実施形態において、液体キャリアは、一つ以上の液体キャリアの混合物であることができる。例示的な実施形態において、ミリング媒体を一つ以上の溶媒の添加によって最終的な粒子分散に可溶化する際に、プレミックス組成物の液体キャリアはアルコールであることができる。
[c.分散剤]
【0042】
本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物は、一つ以上の分散剤を含む。典型的に、分散剤を用いて溶媒又は液体キャリア中の顔料粒子を安定させる。また、典型的に、分散剤を用いて粒子の分離を改善し、粒子の沈殿又は凝集を妨げる。分散剤は、一つ以上の考慮点、例えばプレミックス組成物において使用する溶媒系、及び粒子等に基づいて選択する。
【0043】
適切な分散剤は、天然又は合成分散剤、例えば界面活性剤、樹脂、ポリマー、又はその混合物を含む。界面活性剤は、合成界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤、又は天然界面活性剤を含むことができる。アニオン性界面活性剤は、限定されないがリン酸エステル、カルボン酸、スルホン酸エステル、及び硫酸エステルを含むことができる。ノニオン界面活性剤は、限定されないがアセチレン系化合物、アルキルフェノールエトキシレート/プロポキシレート、EO/POブロックコポリマー、直鎖又は分岐鎖アルコールエトキシレート及びエステルを含むことができる。カチオン性界面活性剤は、第一級、第二級、第三級、及び第四級アミン及びイミドの中から選択することができる。適切な両性界面活性剤は、例えば、脂肪族第二級、及び第三級アミンの誘導体;アルキルアンホカルボキシグリシネート及びアルキルアンホカルボキシプロピオネートのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は置換アンモニウム塩;アルキルアンホジプロピオネート、アルキルアンホジアセテート、アルキルアンホグリシネート、及びアルキルアンホプロピオネート;アルキルイミノプロピオネート、アルキルイミノジプロピオネート、及びアルキルアンホプロピルスルホネートを含むことができる。天然界面活性剤は、限定されないがレシチン、脂肪酸、グルカミド、グリセリド、及び多糖類を含むことができる。例示的な界面活性剤は、オクチルフェノールエトキシレート、及びアセチレン系化合物、並びに「マカッチャンの界面活性剤及び乳化剤録」に見られる界面活性剤を含む。
【0044】
顔料の分散に効果的な樹脂又はポリマーは、溶媒又は液体キャリア中に可溶とならなければならない。本明細書において提供する方法のプレミックス組成物において使用する樹脂又はポリマーとしては、プレミックス組成物において使用する溶媒又は液体キャリア中に可溶になるよう中和又は溶解した、酸又は塩基官能性を有する、樹脂又はポリマーを含むことができる。例えば、酸又は塩基官能性を有する樹脂又はポリマーは、中和することができ、水に可溶にすることができる。樹脂又はポリマーは、プレミックス組成物において使用する溶媒又は液体キャリア中に直ちに可溶となる、酸又は塩基官能性を有しない樹脂又はポリマーを含むことができる。例えば、酸又は塩基官能性のない樹脂又はポリマーは、有機溶媒に直ちに溶解することができる。
【0045】
適切な樹脂又はポリマーは、酸性の官能性(例えばアクリル酸)を有するものを含むことができ、また、限定されないがアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレンアクリレート、スチレン無水マレイン酸、及び当業者に知られている他のコポリマーを含むことができる。適切な樹脂又はポリマーは、カチオン性樹脂、例えばイミドベースの樹脂、及び当業者に知られている他のカチオン性樹脂を含むことができる。有機溶媒又はキャリアにおいて用いることができる樹脂又はポリマーは、限定されないがアクリレート、アルデヒド、ビニル、ケトン、及びエポキシを含む。
【0046】
特定の例示的な実施形態において、樹脂又はポリマーは、塩基、例えばアンモニア;アミン、例えばモノエチルアミン(MEA)、及びトリエチルアミン(TEA);アミノ―2―メチル―1―プロパノール、例えばAMP
TM95(ダウ);水酸化物、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム;並びに当業者に知られている任意の他の塩基によって中和することができる。他の実施形態において、樹脂又はポリマーは、酸、例えば乳酸、酢酸、又は当業者に知られている任意の他の酸等によって中和することができる。
【0047】
存在する多くの市販の分散剤として、限定されないがRhodasurf(登録商標)(Rhodia)、Triton(登録商標)(ダウ)、Soprophor(登録商標)(Rhodia)、Igepal(登録商標)(Rhodia)、EFKA(登録商標)(Ciba)、Solsperse(登録商標)(Lubrizol)、BYK(登録商標)(BYK Chemie)、Tegospers(登録商標)(Tego)、Joncryl(登録商標)(BASF)、Neocryl(登録商標)(DSM)、Vancryl(登録商標)(Cytec)、Morcryl(登録商標)(ダウ)、SMA(登録商標)(CrayValley)、Acrysol(登録商標)(ダウ)、Vinnol(登録商標)(Wacker)、及び当業者に知られている他のものを含む。
【0048】
本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物において、1又は1より多い分散剤を使用することができる。本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物において、一つ以上の界面活性剤、樹脂若しくはポリマー、又はそれらの組み合わせを用いることができる。
【0049】
本明細書において提供する組成物において、プレミックス組成物(質量%)の質量によるパーセンテージ(%)としての分散剤の総量は、組成物の質量で、例えば(約)1%〜25%、例えば(約)1%〜5%、(約)1%〜10%、(約)1%〜15%、(約)1%〜20%、(約)1%〜25%、(約)5%〜10%、(約)5%〜15%、(約)5%〜20%、(約)5%〜25%、(約)10%〜15%、(約)10%〜20%、(約)10%〜25%、(約)15%〜20%、(約)15%〜25%、及び(約)20%〜25%である。一般に、プレミックス組成物は、25質量%未満の分散剤を含む。例えば、本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物は、少なくとも(約)1%、(約)3%、(約)5%、(約)7%、(約)10%、(約)12%、(約)15%、(約)17%、(約)19%、(約)20%、(約)21%、(約)22%、(約)23%、(約)24%の、ただし25%(質量%)未満の分散剤の総量を含む。
[d.更なる構成成分]
【0050】
本明細書において提供する方法において使用するプレミックス組成物は、任意に構成成分、例えば殺生物剤、消泡剤、湿潤剤、フロー剤、及び平滑化剤のいずれか、又はそれらの組み合わせを含むことができる。更なる構成成分は、溶媒系及び粒子の種類のような、プレミックス組成物及び顔料粒子分散の特性に基づいて選択する。
【0051】
殺生物剤を典型的に例えばインクジェットのインク組成物等の組成物に加え、例えばインク内の微生物(例えばカビ及び菌類)の成長を抑制する。適切な殺生物剤の例は、ナトリウムデヒドロアセテート、2―フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン―1―オキシド、エチルp―ヒドロキシベンゾアート、及び1,2―ベンズイソチアゾリン―3―オン、及びこれらの塩を含むが、これに限定されるものではない。例示的な市販の殺生物剤は、PROXEL
TM殺生物剤(Arch Chemicals)である。
【0052】
消泡剤をプレミックス組成物に加えて、組成物の調製の間、組成物の発泡を防止することができる。当業者に公知の任意の適切な消泡剤、好ましくは液体と混和できる消泡剤を用いることができる。適切な消泡剤は、限定されないがシリコーン消泡剤、及びアセチレン消泡剤を含む。いくつかの実施形態において、消泡剤は、ジプロピレングリコール、及び2,5,8,11―テトラメチル―6―ドデセン―5,8―ジオールを含むことができる。例示的な市販の消泡剤は、Surfynol DF―110D(Air Products)である。
【0053】
湿潤剤を使用することもでき、また、限定されないがプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールを含むグリコール;ソルビトール、グリセリン、トリアセチン、N―メチル―2―ピロリドン、グリセロール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素、及びジアルキルチオ尿素、並びにエタンジオール、プロパンジオール、プロパントリオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオールを含むジオール;並びにこれらの混合物及び誘導体を含む。
[2.ミリング媒体の存在下におけるプレミックス組成物のミリング]
【0054】
本明細書において提供する方法において、プレミックス組成物の粒子を、好ましくは撹拌により、液体キャリアに実質的に不溶性である不溶性固体のミリング媒体の存在下でミリングする。本明細書において提供する方法において、一旦充分な粒径の縮小が起これば、ミリング媒体がプレミックス組成物の溶媒又は液体キャリアに可溶となるよう、ミリング媒体を選択することができる。顔料粒子分散が分散した樹脂の存在に耐えるよう、ミリング媒体を選択することもできる。ポリマー樹脂、一般的に例えば酸官能性スチレンアクリルは、分散及び印刷用インクにおいて用いられる。それらは分散剤、及び衝撃に対する緩衝剤としての価値を提供することができ、そして、それらは印刷用インクの再溶解性、及びアニロックスフレキソ印刷ローラーからの改良された流れを可能にする。
[a.ミリング媒体]
【0055】
ミリング媒体は、プレミックス組成物用に選択する液体キャリア中に実質的に不溶性である、固体の非架橋ポリマー樹脂であることができる。本明細書において提供する方法において使用するポリマーミリング媒体は、粒径の縮小を完了した後、液体キャリア内に可溶化することができる。pH調整が可溶化のための機構である場合、ポリマーミリング媒体は、中和のための官能性を含むことができる。例えば、ポリマーミリング媒体は、酸性の官能性、又は塩基性の官能性を含むことができる。一つ以上の溶媒の添加が可溶化のための機構である場合、ポリマーミリング媒体は、ミリング媒体を有機溶媒に可溶化する官能基を含むことができる。
【0056】
本明細書において提供する方法において使用するポリマーミリング媒体は、液体キャリア中に不溶性であり、粒径の縮小を完了した後、可溶化することができる。本明細書において提供する方法において使用できる適切なポリマーミリング媒体は、非架橋樹脂、例えばスチレン―アクリレート、イミド、及び塩化ビニル/酢酸ビニルポリマー樹脂を含む。
【0057】
本明細書において提供する方法において使用することができる例示的な固体のポリマー樹脂としては、限定されないがアクリル樹脂、例えばスチレン―アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、酢酸セルロース樹脂(例えばセルロースアセテートブチレート)、ポリエステル樹脂、アクリレート、メタクリレート、スチレンコポリマー、ポリアクリレート(例えばポリメチルメチルアクリレート)、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル及びコポリマー、ポリウレタン類、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)及び他のフルオロポリマー、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースエーテル及びエステル、例えば酢酸セルロース、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、シリコーンを含むポリマー、例えばポリシロキサン、生分解性ポリマー、例えばポリ(ラクチド)、ラクチド及びグリコリドのポリ(グリコリド)コポリマー、ポリ無水物、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリ(N―アシルヒドロキシプロリン)エステル、ポリ(N―パルミトイルヒドロキシプロリノ)エステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ホスファゼン)、及び上記の種類の任意の変性固体ポリマー樹脂を含む。これらの樹脂は、単独あるいは二以上の組合せで用いることができる。
【0058】
固体のポリマー樹脂は、一つ以上の酸性基によって官能化した樹脂であることができる。例示的な酸性官能基は限定されないが、カルボキシル基、リン酸基、及び当業者に知られている他の酸性基を含む。いくつかの実施形態において、固体のポリマー樹脂は200以上、例えば215、220、225、230、240、250以上の酸価を有する。他の実施形態において、固体のポリマー樹脂は、100以上の、例えば105、110、115、125、135、145、150以上の酸価を有する。
【0059】
固体のポリマー樹脂は、一つ以上の塩基性基によって官能化した樹脂であることができる。例示的な塩基性の官能基は限定されないがアミノ基、及び当業者に知られている他の塩基性基を含む。
【0060】
本明細書において提供する方法において、ミリング媒体:顔料の比は、体積で20:1〜1:20である。いくつかの実施形態において、ミリング媒体:顔料の比は、約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下である。他の実施態様において、顔料:ミリング媒体の比は、約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下である。
【0061】
本明細書において提供する方法において使用する例示的な固体ポリマー樹脂は、例えばスチレン―アクリレートポリマー樹脂を含む。多くの市販のスチレン―アクリレートポリマー樹脂として、限定されないがBASF製Joncryl(登録商標)HPD―96、580、586、611、633、674、678、682、及び690を含む。
【0062】
本明細書において提供する方法において使用できる他の例示的な固体のポリマー樹脂は、例えば塩化ビニル/酢酸ビニルポリマー樹脂を含む。例示的な市販の塩化ビニル/酢酸ビニルポリマー樹脂は、Wacker製VinnolH15/50を含む。
【0063】
イミドベースの樹脂は、本明細書において提供する方法において使用できる固体のポリマー樹脂の例である。例示的な市販のイミドベースのポリマー樹脂は、CrayValley製SMA1000Iを含む。
【0064】
溶解型樹脂ビーズは、一般にペレット形態において供給される。樹脂はペレットとしてプレミックス組成物に加えることができ、又は樹脂は本明細書において提供する方法のプレミックス組成物中に使用する前に粉砕することができる。樹脂は、当業者に知られている任意の方法、例えばハンマーミリング、剪断条件下で液体キャリア中での撹拌、又はペレットをオスタライジング(Osterizing)(すなわち、オスターブレンダー内で挽くこと)によって粉砕することができる。オスタライジングは、約0.25マイクロメートル〜87.5マイクロメートルに渡るサイズの(Sympatec Laser Diffraction、乾燥した、オスタライジングした物質で行った)、約0.35マイクロメートル〜6.38マイクロメートルの範囲に90%を有するポリマー樹脂粒子を産生することができる。
[b.分散の形成]
【0065】
本明細書において提供する方法において、プレミックス組成物及びミリング媒体を共にミリングする。ミリングは、刃、ローターステーター、又は任意の他の適切な混合若しくはミリング装置による高い撹拌の下、槽内で行うことができる。ミリング装置は、高速のミキサー、又はボールミル、撹拌ボールミル、サンドミル、ペブルミル、水平メディアミル、垂直メディアミル、エアジェットミル、ローラーミル、アトリターミル、振動ミル、プラネタリーミル、若しくはビーズミルを含む任意の従来のミルの設計を備えた単純な容器であることができる。ミリングは、高速分散機、例えばカウレス分散機、ローター―ステーターミキサー、又は高い流体速度及び高剪断を提供することができる他の従来のミキサーと連動して行うこともできる。ミキサーは、限定されないが鋸歯の刃、カウレスブレード、ホモジナイザー、シルバーソンミキサー、D―ブレード、ローターステーター、又はプロペラを含むことができる。
【0066】
例示的な実施形態において、撹拌は、充分な粒径の縮小が起こり、所定の粒径の分散が形成するまで行うことができる。混合時間は典型的に5分又は約5分〜40時間又は約40時間であるが、粒子の種類及び品質パラメータに応じて他の混合時間が可能である。一般に、混合時間は、所望の粒径の縮小、例えば、マイクロメートル以下の粒径が達成されるような時間である。本明細書において提供する方法において、混合時間は、約1時間〜20時間とすることができる。
[3.ミリング媒体の可溶化]
【0067】
例示的な実施形態において、プレミックス組成物の所定の粒径が得られた後、固体ミリング剤を液体キャリア中に可溶化する。可溶化は、例えばpH調整によって液体キャリアの性質を変えることにより行うことができる。代替として、可溶化は、一つ以上の溶媒をプレミックス組成物に加えることにより行うことができる。可溶化技術の選択は、ポリマーミリング媒体の溶解特性に基づく。
【0068】
本明細書において提供する例示的な方法において、粒径の縮小が完了し、顔料粒子が組成物内に分散した後、固体ポリマーミリング剤をプレミックス組成物内に可溶化することができる。固体のポリマーミリング剤は、プレミックス組成物中に存在する液体キャリア中に実質的に不溶性であるが、溶媒系の性質を変えることによって液体キャリア内に可溶化することができるように、選択することができる。
[a.pH調整]
【0069】
いくつかの実施形態において、溶媒系の性質は、溶媒系のpHを調整することによって変えることができる。溶媒系のpHの調整は、ポリマーミリング媒体上の官能基、例えば酸性又は塩基性の基を中和することができ、ポリマー樹脂に液体キャリア中への可溶性を与えることができる。ポリマーミリング媒体は、分散の一部となる。溶媒系のpHは、例えば、酸又は塩基の添加により調整することができる。
【0070】
特定の実施形態において、酸を組成物に加えることができる。組成物のpHが低下するよう、酸を組成物に加えることができる。pHは、ポリマー樹脂が液体キャリア中に可溶化し、顔料粒子分散の一部となるレベルまで低下させることができる。使用することで溶媒系のpHを調整し、樹脂に可溶性を与えることができる適切な酸は、限定されないが酢酸、乳酸、リン酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、過マンガン酸、クロム酸、シアン化水素酸、亜硝酸、亜硫酸、及びpHの調整に使用できることが当業者に知られている任意の酸を含む。例示的な実施形態において、pH調整は、酢酸の添加によって達成することができる。
【0071】
ポリマーミリング媒体が、例えば、酸に可溶なポリマーミリング媒体である場合、酸を加えることができる。例示的な酸に可溶なポリマーミリング媒体は、カチオン性ポリマー樹脂、例えばイミドベースのポリマー樹脂である。
【0072】
他の実施態様において、塩基を組成物に加えることができる。組成物のpHが上がるよう、塩基を組成物に加えることができる。pHは、ポリマー樹脂が液体キャリア中に可溶化し、顔料粒子分散の一部となるレベルまで上昇させることができる。使用することで溶媒系のpHを調整し、樹脂に可溶性を与えることができる適切な塩基は限定されないが、アンモニア、苛性塩基、モノエチルアミン(MEA)、トリエチルアミン(TEA)、アミノ―2―メチル―1―プロパノール、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、重炭酸塩、アセテート、過マンガン酸塩、リン酸塩、クロム酸塩、シアン化物、亜硝酸塩、亜硫酸塩、及びpHを調整するために使用できることが当業者に知られている任意の塩基を含む。例示的な実施形態において、pH調整は、アンモニアの添加によって達成することができる。
【0073】
ポリマーミリング媒体が、例えば、アルカリに可溶なポリマーミリング媒体である場合、塩基を加えることができる。例示的な酸に可溶なポリマーミリング媒体は、アニオン性ポリマー樹脂、例えばスチレン―アクリレートポリマー樹脂である。
【0074】
本明細書において提供する方法において、pH調整は、希薄溶液、例えば希薄水溶液で酸又は塩基を加えることによって達成することができる。酸又は塩基は、濃縮溶液、例えば濃縮水溶液で加えることができる。pH調整による樹脂の可溶性は、当業者に知られている任意の酸又は塩基の添加方法によって影響される可能性がある。
[b.一つ以上の溶媒の添加]
【0075】
いくつかの実施形態において、溶媒系の性質は、一つ以上の溶媒を組成物に加えることにより変えることができる。加える一つ以上の溶媒は、プレミックス組成物に使用する液体キャリアと相溶性であり(混和でき)ポリマーミリング媒体を溶解するのに充分な溶解力を有する溶媒を含むことができる。ポリマーミリング媒体が可溶性である一つ以上の溶媒の添加は、ポリマー樹脂に液体キャリアへの可溶性を与えることができる。従って、ポリマーミリング媒体は分散の一部となる。
【0076】
組成物に加えることでポリマーミリング媒体を可溶化することができる適切な溶媒は、水又は非水性溶媒、例えば脂肪族炭化水素、例えばヘプタン、ヘキサン、及びペンタン;環状炭化水素、例えばシクロヘキサノン、及び置換環状炭化水素、例えばエチルシクロヘキサン;ケトン;エーテル;エステル;石油蒸留物、例えばナフサ、石油エーテル、及び軽い脂肪族溶媒;芳香族炭化水素及び化合物、例えばキシレン及びトルエン;アルキルアセテート、例えば酢酸エチル、イソプロピルアセテート、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMアセテート)、及びn―プロピルアセテート;グリコール及びグリコールエーテル、例えばモノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1―エトキシ―2―プロパノール、1―プロポキシ―プロパノール(PROPOSOL溶媒P)、プロピレングリコールn―プロピルエーテル、n―ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、及びジアセトンアルコール;グリコールエーテルアセテート;並びにアルコール、例えばブチルアルコール、3―メトキシブタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びn―プロパノールを含む。本明細書において提供する方法において、更なる溶媒は単一の溶媒であることができ、又は一つ以上の溶媒の混合物であることができる。
【0077】
本明細書において提供するポリマー樹脂に可溶性を与える例示的な方法は、一つ以上の溶媒、例えば炭化水素を、ミリングしたプレミックス組成物に添加することを含む。例えば、3―メトキシブタノール等のアルコールの液体キャリアを含むミリングしたプレミックス組成物に、シクロヘキサンのような環状炭化水素を加える。
[c.pH調整及び一つ以上の溶媒の添加]
【0078】
いくつかの実施形態において、溶媒系の性質は、pH調整と、一つ以上の溶媒をミリングしたプレミックス組成物へ加えることとの組合せによって、変えることができる。pH調整及び溶媒添加は、上記に開示した方法のいずれかに従って行うことができる。
【0079】
本明細書において提供する方法のいくつかの実施形態において、ポリマーミリング媒体は、pH調整又は溶媒添加の単独によっては組成物内に可溶化することができない。例えば200以下の低い酸価を有するポリマー樹脂は、例えば塩基の添加によるpH調整、及び例えばアルコール等の一つ以上の溶媒の添加もまた必要とする場合がある。
【0080】
[4.典型的な方法]
ここに開示するものは、一つ以上の粒子(例えば顔料)、一つ以上の液体キャリア(例えば水又は有機溶媒)、一つ以上の分散剤、及び任意に一つ以上の添加物のプレミックス組成物を調製する工程と;液体キャリアに実質的に不溶性である固体ミリング剤(例えば非架橋ポリマー樹脂、例えば、アルカリに可溶な樹脂、酸に可溶な樹脂、又は有機溶媒に可溶な樹脂)の存在下で、プレミックス組成物を攪拌する工程と;粒径の縮小が完了した後、例えばpH調整(例えば酸若しくは塩基の添加)によって、又は一つ以上の溶媒の添加によって固体ミリング剤を液体キャリア中に可溶化する工程とを含む方法である。
【0081】
以下の方法は、単に例示的で、ここから調整をすることができる基礎を提供するものである。本方法の所望の特性の、全てとまではいかないがいくつかを保持しつつ、本方法の工程に対して変更をすることができるものと理解する。各工程の工程又は構成成分を、追加又は変更することによって、更なる変更をすることができる。例えば、工程を行う順序を変更してもよい。
【0082】
例えば、本明細書において提供する例示的な方法は、ミリング媒体としてアルカリに可溶なアニオン性固体ポリマー樹脂(例えば、アニオン性スチレン―アクリルポリマー)を利用することができ、また、例えば塩基(例えばアンモニア)の添加によるpH調整によって、粒子の分散(例えば顔料の分散)の後、樹脂を可溶化することができる。例えば、本明細書において提供する方法は、組成物にアンモニアを添加することによって、顔料の分散の後、可溶化することができるアニオン性スチレン―アクリルポリマーを利用することができる。
【0083】
粒径の縮小の後に組成物内に可溶化することができる固体のポリマーミリング媒体を利用する、本明細書において提供する方法の例示は、ミリング媒体として酸に可溶なカチオン性の固体のポリマー樹脂(例えば、カチオン性イミド系ポリマー)を利用するものであり、それは、例えば酸(例えば酢酸)の添加によるpH調整によって、粒子の分散(例えば顔料の分散)の後、可溶化することができる。例えば、本明細書において提供する方法は、組成物に酢酸を添加することによって、顔料の分散の後、可溶化することができるカチオン性イミド系ポリマーを利用することができる。
【0084】
粒径の縮小の後に組成物内に可溶化することができる固体のポリマーミリング媒体を利用する、本明細書において提供する方法の例示は、ミリング媒体としてアルカリに可溶なアニオン性固体ポリマー樹脂(例えば、低酸価のアニオン性スチレン―アクリレートポリマー)を利用するものであり、これは、例えば塩基(例えばアンモニア)の添加によるpH調整、及び第二溶媒(例えばn―プロパノールのようなアルコール)の添加によって、粒子の分散(例えば顔料の分散)の後、可溶化することができる。例えば、本明細書において提供する方法は、アンモニア及びn―プロパノールを組成物に添加することによって、顔料の分散の後、可溶化することができるアニオン性スチレン―アクリレートポリマーを利用することができる。
【0085】
粒径の縮小の後で組成物内に可溶化することができる固体のポリマーミリング媒体を利用する、本明細書において提供する例示的な方法は、ミリング媒体として、溶媒に可溶な、例えば3―メトキシ―ブタノール等の有機溶媒に可溶な、固体のポリマー樹脂を利用するものである。そのようなミリング媒体は、限定されないが、第二の溶媒(例えばシクロヘキサノン等の環状炭化水素)の添加によって、粒子の分散(例えば顔料の分散)の後、可溶化することができる塩化ビニル/酢酸ビニルポリマーを含む。例えば、本明細書において提供する方法は、シクロヘキサノンを組成物に添加することによって、顔料の分散の後、3―メトキシブタノール中に可溶化することができる塩化ビニル/酢酸ビニルポリマーを利用することができる。
【実施例】
【0086】
[C.例]
以下の例は、実験及び達成した結果を含み、単に例示の目的にのみ提供し、請求された発明主題を制限するものとして解釈されない。
[例1]
【0087】
ミリング媒体としてアニオン性固体ポリマー樹脂を利用した、一連のインク組成物を調製した。顔料の粒径の縮小が完了した後(すなわち撹拌又はミリングの後)、塩基を用いて溶液のpHを調整することによって、又はpH調整及び組成物に対する第二の溶媒の添加によって、樹脂(アニオン性スチレン―アクリル樹脂)をインク組成物中に可溶にした(分散させた)。分散可能なアニオン性固体ポリマー樹脂のミリング媒体の代わりにセラミックミリング媒体(0.7mm)又はガラスミリング媒体を利用した、一連の比較のインク組成物を調製した。分散可能な固体のポリマーミリング媒体を用いて調製したインク組成物の特性(例えば色の濃度、光沢、及び粒度分布)を測定し、セラミック又はガラスミリング媒体を用いて調製したインク組成物と比較した。特に明記しない限り、比較のインク組成物は、業界標準に従ってミリングした市販の顔料を使用した。
[A.pH調整により可溶化したアルカリに可溶なアニオン性固体ポリマーミリング媒体]
[1.黄色インク組成物]
【0088】
ミリング媒体としてアルカリに可溶なアニオン性スチレン―アクリル固体ポリマー樹脂を利用した、一連の黄色インク組成物を調製した。黄色インク1〜4は、外装グレード黄色顔料74(インク1〜3;製品番号272―0723;Sun Chemical、Parsippany、NJ)、又は内装グレード黄色顔料74(インク4;製品No.472―4497、Sun Chemical)を、TritonX―100界面活性剤(ダウ、Midland、MI)、アニオン性スチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)678樹脂ペレット(酸価=215;分子量=8500;BASF、Florham Park、NJ)、DF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び水と、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混ぜ合わせることにより調製した。インク1〜3は、Proxel殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)もまた含んだ。組成物を、それぞれ2時間(インク1及び4)、又は4時間(インク2及び3)混合した。溶液のpHを次いでアンモニアによって中和し、結果として組成物中のJoncryl(登録商標)678樹脂の分散となった。処方を下記の表1に示す。
【0089】
スチレン―アクリル樹脂を含む2つの比較の黄色インク(インク5及び6)もまた調製した。スチレン―アクリル樹脂をミリング媒体として使用するのではなく、組成物に加える前にアンモニアによって最初に中和した。インク5及び6は、外装グレード黄色顔料74(インク5;製品番号272―0723;Sun Chemical)又は内装グレード黄色顔料74(インク6;製品No.472―4497、Sun Chemical)、中和したスチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)678樹脂(インク5)又はJoncryl(登録商標)674樹脂(インク6;酸価=217;分子量=13,000;BASF)、DF―110D消泡剤(Air Products)、及び水を、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混合することによって調製した。インク5は、TritonX―100界面活性剤(ダウ)及びProxel殺生物剤(Arch Chemicals)もまた含んだ。プレミックスは、30分内で完成し、その後0.7mmのセラミックミリング媒体を利用して、アイガーミニ―ミル(Engineered Mills社、Grayslake、IL)で、6分間(インク5)又は12分間(インク6)ミリングした。処方を下記の表1に示す。
【表1】
【0090】
ミリング媒体として使用するスチレンアクリル樹脂に加えて、分散したスチレンアクリル樹脂溶液を含む他の黄色インク組成物もまた調製した。インク7は、59.6%の固体で620gのC.I.黄色顔料14プレスケーキ(製品番号474―4480;Sun Chemical、Parsippany、NJ)を、30%の固体で124gのJoncryl(登録商標)674の樹脂溶液、248gのJoncryl(登録商標)674の挽いた樹脂ペレット、2gのProxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)、2gのDF―110D消泡剤(Air Products、AUentown、PA)、及び43.4gのSoprophor(登録商標)S40/70界面活性剤(Rhodia)と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、カウレスブレードを使用したHockmeyerミキサーで、6600RPMで合計15時間混合し、次いでアンモニアの28%溶液95gを加えることによって中和し、黄色インク組成物を産生した。
【0091】
29.0%の黄色顔料14、45.7%のJoncryl(登録商標)674樹脂、(アンモニアによって中和した30%の樹脂固体)、0.2%のProxelGXL殺生物剤、0.2%のDF―110D消泡剤、及び25.3%の水からなる市販の黄色14分散を、比較の黄色インク(インク8)として用いた。インク8を、スチレン―アクリル固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに1.0mmのガラスミリング媒体を使用して、Premier(登録商標)ミルでミリングした。
【0092】
インク1〜8の色の濃度を、ペイントベース:インクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)での色付けの後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。色付けのため、50グラムの白色塗料をカップ内に測定した。その白色塗料に、1.0グラムのインク組成物を加えた。カップ内の色が均一になるまで、金属スパチュラで混合した。一般に、これは約1〜2分間で、スパチュラの約50回転を必要とした。次いで、インク組成物を、#30マイヤーロッドを用いてLenetaカード(Leneta社、Mahwah、NJ)に隣り合わせで「引き下ろし」(塗布し)て、エアドライヤーで乾燥した。次いで、乾燥した色合いを、「バッチ」(インク1〜4、及び7)対「標準」(それぞれインク5〜6、及び8)について、分光光度計で測定した。光を分光光度計から塗布物の上に発し、反射率曲線を測定した。色の濃度は、「バッチ」対「標準」の最大吸収における反射率の比較の尺度である。インク1〜4は、比較インク5及び6に対して同程度、又はより高い相対的な色の濃度の値を示した。比較インク5に対して、インク1、2、及び3は、それぞれ101.64%、101.34%、及び100.71%の濃度を達成した。インク4は、比較インク6に対して98.98%の濃度を示した。インク7は、比較インク8に対して112%の濃度を示した。
【0093】
D50の平均粒度分布を、それぞれのインク組成物ごとに測定した。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。結果を、下記の表2に示す。
【0094】
インク1〜4の光沢を測定し、比較インク5、及び6の光沢値と比較した。光沢測定は、60°光沢計(BYK Gardner、Columbia、MD)を使用して得た。
【表2】
【0095】
インク1〜4は、セラミックミリング媒体を使用して調製したインク5及び6と同等又は上回る、光沢値及び平均粒径寸法を示した。インク7は、ガラスミリング媒体を使用して調製したインク組成物(インク8)より小さいD50平均粒度分布を達成することができた。これらの結果は、セラミック又はガラスミリング媒体を用いて調製したインクと同等又は優れた色の濃度、光沢、及び平均粒径値を示す、ミリング後に可溶化したアニオン性ポリマーミリング媒体を利用したインクを調製することができたことを示す。
[2.黒色インク組成物]
【0096】
黒色インク組成物(インク9)は、Regal(登録商標)660黒色顔料7(Cabot、Boston、MA)を、Triton X―100界面活性剤(ダウ、Midland、MI)、アニオン性スチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)678樹脂ペレット(酸価=215;分子量=8500;BASF、Florham Park、NJ)、DF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び水と、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混ぜ合わせることによって調製した。組成物を2時間混合し、次いでpHをアンモニアによって中和し、結果として組成物中のJoncryl(登録商標)678樹脂の分散となった。処方を下記の表3に示す。
【0097】
スチレン―アクリル樹脂を利用した比較の黒色インク(インク10)もまた調製した。アニオン性樹脂をミリング媒体として使用するのではなく、組成物に加える前にアンモニアによって最初に中和した。インク10は、Regal(登録商標)660黒色顔料7(Cabot)、中和したスチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)674樹脂(酸価=217;分子量=13,000;BASF)、DF―110D消泡剤(Air Products)、Proxel殺生物剤(Arch Chemicals)、及び水を、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混合することにより調製した。プレミックスは、30分内に完成し、続いて0.7mmのセラミック媒体を利用して、アイガーミニ―ミル(Engineered Mills社、Grayslake、IL)で、12分間ミリングした。処方を下記の表3に示す。
【表3】
【0098】
インク9及び10の色の濃度を、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。インク9は、インク10に対して94.88%の色の濃度を示した。インク9の光沢、及び平均粒径(D50)を測定し、比較インク10の光沢、及び平均粒径値と比較した。光沢測定は、60°光沢計(BYK Gardner、Columbia、MD)を使用して得た。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。インク9、及び10の光学濃度を、コーティングしていないLeneta紙上で、#3マイヤーロッドを使用して手で塗布物を作り、BYK Gardner濃度計を用いて測定することにより測定した。結果を下記の表4に示す。
【表4】
【0099】
インク9は、比較インク10に対してより高い光沢値、及び平均粒径寸法を示した。インク9の光学濃度は、インク10と同等であった。これらの結果は、セラミックミリング媒体を使用して調製した黒色インクを上回る色の濃度、光沢、及び平均粒径値を示す、ミリング後に可溶化したアニオン性ポリマーミリング媒体を利用した黒色インクを調製することができたことを証明する。
[3.青色インク組成物]
【0100】
組成物中への分散前のミリング媒体としてアニオン性スチレンアクリル固体樹脂を利用した3つの青いインク組成物を調製した。インク11及び12は、青色顔料15:3(製品番号249―9813;Sun Chemical、Parsippany、NJ)を、Triton X―100界面活性剤(ダウ、Midland、MI)、アニオン性スチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)678樹脂ペレット(インク11;酸価=215;分子量=8500;BASF、Florham Park、NJ)又はJoncryl(登録商標)HPD―96樹脂ペレット(インク12;酸価=220;分子量=16,000;BASF)、DF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び水と、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混ぜ合わせることによって調製した。青色の相乗剤(ポリアルコキシCuPcスルホンアミド(Sun Chemical))もまたインク12に加えて、それを使用しないことによる凝集又は粒径の成長に対してより高い安定性を提供した。組成物を20時間混合し、次いでpHをアンモニアによって中和して、Joncryl(登録商標)678、又はJoncryl(登録商標)HPD―96樹脂の分散を生じた。処方を下記の表5に示す。
【0101】
インク13(表に示さない)は、組成物に加える前にオスターブレンダーで挽いた(オスタライジングした)アニオン性スチレン―アクリルポリマーJoncryl(登録商標)690樹脂ペレット(酸価=240;分子量=16,500;BASF、Florham Park、NJ)を利用した。インク13は、30.0gのC.I.青色顔料15:3(製品番号249―1284;Sun Chemical、Parsippany、NJ)、6.0gのZephrym SD―1121分散剤(Croda社、エジソン、NJ)、0.4gのDF―110D消泡剤(Air Products、AUentown、PA)、及び63.6gの脱イオン水を、40.0gのオスタライジングしたJoncryl(登録商標)樹脂に加えることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で、4400RPMで9時間混合した。
【0102】
スチレン―アクリル樹脂を利用した2つの比較の青色インク(インク14及び15)を調製した。アニオン性樹脂をミリング媒体として使用するのではなく、組成物に加える前にアンモニアによって最初に中和した。比較インク14は、青色顔料15:3(Sun Chemical)、中和したJoncryl(登録商標)674樹脂(酸価=217;分子量=13,000;BASF)、Proxel殺生物剤(Arch Chemicals)、及び水を、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で混合することにより調製した。プレミックスは、30分内に完成し、続いて0.7mmのセラミックミリング媒体を利用してアイガーミニ―ミル(Engineered Mills社、Grayslake、IL)で18分間ミリングした。比較インク14の処方を表5に示す。
【0103】
比較のインク15は、上記に開示したものと同一の材料及び量のインク13を使用して調製した。比較インク15を、セラミックミリング媒体を使用してNetzsch Lab Star(登録商標)ミルでミリングした。
【表5】
【0104】
インク11〜15の色の濃度を、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。インク11及び12は、比較インク14に対してそれぞれ109.18%、及び102.66%の色の濃度を示した。インク11及び12の光沢、及び平均粒径(D50)を測定し、比較インク14の光沢、及び平均粒径値と比較した。インク13の平均粒径を測定し、比較インク15と比較した。光沢測定は、60°光沢計(BYK Gardner、Columbia、MD)を使用して得た。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。結果を下記の表6に示す。
【表6】
【0105】
インク11及び12は、セラミックミリング媒体を使用して調製した比較インク14と比較して、より高い光沢値を示し、また、より小さい平均粒径の分散を達成することが可能であった。インク13は、同じ構成成分から作成したがセラミック媒体でミリングした比較インク15より、小さい粒径寸法を達成することができた。この結果は、セラミックミリング媒体を使用して調製した青色インクと比較してより高い光沢、及びより少ない平均粒径を示すことができる青色インクを、ミリング後に可溶化したミリング媒体から調製することができることを示す。
[4.紫色インク組成物]
【0106】
組成物中への分散前のミリング媒体としてアニオン性スチレン―アクリル固体樹脂を利用した2つの紫色インク組成物を調製した。インク16及び17は、C.I.紫色顔料23(製品番号246―1671;Sun Chemical、Parsippany、NJ)を、オスタライジングしたJoncryl(登録商標)690アクリル樹脂ペレット(酸価=240;分子量=16,500;BASF、Florham Park、NJ)、Igepal(登録商標)CA―887界面活性剤(Rhodia、New Brunswick、NJ)、DF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、Proxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)、及び水と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサー(East Longmeadow、MA)中で、4400RPMで混合し、次いでpHをアンモニアによって中和して、Joncryl(登録商標)690樹脂の分散を生じた。処方を下記の表7に示す。
【表7】
【0107】
組成物中への分散前のミリング媒体としてアニオン性スチレンアクリル固体樹脂を利用した第3の紫色インク組成物(インク18)を調製した。このインク組成物は、ミリング媒体として使用したスチレンアクリル樹脂に加えて、水及びスチレンアクリル樹脂のスラリーを含んだ。スラリーは、50.6gのJoncryl(登録商標)674アクリル樹脂(酸価=217;分子量=13,000;BASF)、及び187.4gの水を、樹脂ペレットをローター/ステーターミキサーで混合して、〜40μmに縮小することによって調製した。次いで、126.5gのC.I.紫色顔料23(Sun Chemical)、30%の固体で42.0gのJoncryl(登録商標)674樹脂溶液(BASF)、40%の固体で7.9gのHLD―11を分散させた添加物(Keim Additec、Kirchberg、ドイツ)、0.3gのProxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals)、及び0.3gのDF―110D消泡剤(Air Products)をスラリーに加え、及びシルバーソンミキサーを用いて4400RPMで混合した。次いで、溶液のpHをアンモニアによって中和して、最終的なインク分散中のJoncryl(登録商標)674アクリル樹脂ペレット(ミリング媒体として使用した)の分散を生じた。
【0108】
市販の紫色インク組成物(インク20)を、インク16〜18に対する比較例として用いた。比較インク20もまたスチレン―アクリル樹脂を含むが、それは組成物に加える前にアンモニアによって中和したものであった。比較インク20は、38%のC.I.紫色顔料23(製品番号246―1671;Sun Chemical)、9.5%の中和したJoncryl(登録商標)674樹脂溶液(30%の樹脂固体)(BASF)、0.2%のProxel殺生物剤(Arch Chemicals)、0.3%のDF―110D消泡剤(Air Products)、及び52.1%の水を含んだ。組成物を、固体のポリマー樹脂の代わりに1.0mmのガラスミリング媒体を用いて、Premier(登録商標)ミルでミリングした。
【0109】
ミリング媒体として使用するスチレンアクリル樹脂に加えて、分散したスチレンアクリル樹脂溶液を含む他の紫色インク組成物もまた調製した。インク19は、48.6gのC.I.紫色顔料3(製品番号Z99CN0904;Sanhu Color社(中国))を、30%の固体で16.2gのJoncryl(登録商標)674樹脂溶液、10.0gのJoncryl(登録商標)674の挽いた樹脂ペレット、4.2gのTriton(登録商標)X―100界面活性剤(ダウ)、0.3gのProxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)、0.3gのDF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び70.4gの水と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサーで、4400RPMで合計12時間混合し、次いでアンモニアの28%溶液12.0gを加えることによって中和して、紫色インク組成物(インク19)を産生した。
【0110】
インク19と同じ構成成分を使用した比較の紫色インク(インク21)を調製したが、Joncryl(登録商標)674樹脂は、該樹脂を組成物に加える前にアンモニアによって中和したものであった。全ての物質を組成物に加えたあと、組成物を、スチレン―アクリルの固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに1.0mmのガラスミリング媒体を用いて、Premier(登録商標)ミルでミリングした。
【0111】
スチレン―アクリル樹脂ミリング媒体を使用したインク組成物(インク16〜19)ごとに、D50の平均粒度分布を測定した。ガラスミリング媒体によってミリングした比較の紫色顔料分散の平均粒度分布(D50)もまた測定した(比較インク20〜21)。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。結果を下記の表8に示す。
【表8】
【0112】
インク16〜18は全て、比較組成物(インク20)より非常に小さいD50粒径寸法を達成することができた。インク19もまた比較インク21より小さいD50粒径寸法を達成することができた。この結果は、ガラスミリング媒体によってミリングした紫色インクと比較して、より少ない平均粒径を達成することができる紫色インクを、ミリングの後に可溶化したミリング媒体から調製することができたことを示す。
【0113】
インク19、及び比較インク21の色の濃度を、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。この結果は、ポリマーミリング媒体(インク19)によって調製した紫色インク組成物が、ガラスミリング媒体を使用して調製した比較インク21と比較して104%の色の濃度を得ることができたことを示す。
[5.赤色インク組成物]
【0114】
組成物への分散前のミリング媒体としてアニオン性スチレンアクリル固体樹脂を利用した3つの赤色インク組成物を調製した。このインクもまた、ミリング媒体として使用するスチレンアクリル樹脂に加えて、分散したスチレンアクリル樹脂溶液を含んだ。インク22〜24は、C.I.赤色顔料57:1(インク22及び23;製品番号57DT819;CDR Pigments & Dispersions、Elizabethtown、KY)又は70.2%の固体のC.I.赤色顔料49:2プレスケーキ(インク24;製品番号411―4432、Sun Chemical、Parsippany、NJ)を、30%の固体のJoncryl(登録商標)674樹脂溶液(酸価=217;分子量=13,000;BASF)、30.0gのJoncryl(登録商標)674の挽いた樹脂ペレット、Proxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)、DF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び水と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサーで、4400RPMで合計12時間混合し、次いで、アンモニアの28%溶液を加えることによって中和し、インクの分散を産生した。処方を下記の表9に示す。
【0115】
それぞれインク22〜24と同じ構成成分を使用した3つの比較の赤色インク(比較インク25〜27)を調製したが、Joncryl(登録商標)674樹脂は、該樹脂を組成物に加える前にアンモニアによって中和したものであった。全ての物質を組成物に加えたあと、組成物を、アニオン性スチレン―アクリルの固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに1.0mmのガラスミリング媒体を用いて、Premier(登録商標)ミルでミリングした。処方を下記の表9に示す。
【表9】
【0116】
インク22〜27の色の濃度は、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。赤色インク22〜24は、比較の赤色比較インク25〜27に対してそれぞれ112%、106%、及び112%の色の濃度を示した。これらの結果は、スチレン―アクリルポリマーミリング媒体を用いて調製したインクは、ガラスミリング媒体を使用して調製した比較の赤いインク組成物に対して、より高い色の濃度を有することを示す。
【0117】
ポリマーミリング媒体を使用したインク組成物(インク22〜24)ごとに、D50の平均粒度分布をいくつかの時点において測定し、ガラスミリング媒体を使用した比較の赤いインク組成物(それぞれ比較インク25〜27)の平均粒度分布(D50)と比較した。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。下記の表10に示す結果は、ポリマーミリング媒体によって調製したインク組成物は、ガラスミリング媒体を使用して調製したインク組成物より小さいD50平均粒度分布を達成することができることを証明した。
【表10】
[B.pH調整、及び第二の溶媒の添加により可溶化したアニオン性固体ポリマーミリング媒体]
【0118】
顔料粒径の縮小が完了した後、分散中に可溶にしたアニオン性固体ポリマーミリング媒体を利用した、赤色インク組成物を調製した。使用したポリマーミリング媒体は、pH調整のみによっては可溶化することができない低酸性樹脂(Joncryl(登録商標)586樹脂;酸価=108;分子量=4600)であった。顔料粒径の縮小が完了した後、pH調整と、第二の溶媒の添加との組合せを使用して、固体のミリング媒体を可溶化した。
【0119】
赤色インク28は、52.5gのC.I.赤色顔料57:1(製品番号57DT819;CDR)を、30%の固体で17.5gのJoncryl(登録商標)674樹脂溶液(酸価=217;分子量=13,000;BASF)、14.7gのJoncryl(登録商標)586の挽いた樹脂ペレット、0.2gのProxel GXL殺生物剤(Arch Chemicals、Norwalk、CT)、0.2gのDF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び64.9gの水と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサーで、4400RPMで合計12時間混合した。次いで、アンモニアの28%溶液2.2g、及び7.5gのn―プロパノールを加えることによって、Joncryl(登録商標)586樹脂を中和し、最終的な組成物中に分散した。
【0120】
28.7%の赤色顔料57:1、36.4%のJoncryl(登録商標)樹脂溶液(アンモニアによって中和した30%の樹脂固体)、0.2%のProxel GXL殺生物剤、0.2%のDF―110D消泡剤、及び34.5%の水からなる市販の赤色57:1の分散を、比較赤色インク(インク29)として用いた。比較インク29を、スチレン―アクリルの固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに、1.0mmのガラスミリング媒体を用いて、Premier(登録商標)ミルでミリングした。
【0121】
赤色インク28及び29の色の濃度を、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。赤色インク28は、比較の赤色インク29に対して100%の色の濃度を示し、スチレン―アクリルポリマーミリング媒体を用いて調製したインクは、ガラスミリング媒体を使用して調製した比較の赤いインク組成物に対して、同等の色の濃度を有することを示した。
【0122】
インク28のいくつかの時点においてD50の平均粒度分布を測定し、ガラスミリング媒体を使用した比較の赤色インク29の平均粒度分布(D50)と比較した。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。インク28は、1時間後に144.0nm、3時間後に134.0nm、及び12時間後に128.0nmの平均粒径(D50)を有した。比較として、インク29は、193.0nmのD50値を有した。これらの結果は、ポリマーミリング媒体によって調製したインク組成物が、ガラスミリング媒体を使用して調製したインク組成物より小さいD50平均粒度分布を達成することができたことを示す。
[例2]
【0123】
ミリング媒体としてカチオン性固体ポリマー樹脂を利用したインク組成物を調製した。顔料の粒径の縮小が完了した後(すなわち撹拌又はミリングの後)、樹脂(カチオン性イミド系樹脂)を、酸の溶液のpHを調整することによってインク組成物に可溶にした(分散させた)。分散可能なカチオン性固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに、ガラスミリング媒体を利用した比較のインク組成物もまた調製した。例えば色の濃度及び粒度分布等の特性を測定し、比較した。
【0124】
黄色インク30は、95.5gのC.I.黄色顔料14のプレスケーキ(44%の固体;製品番号474―4480;Sun Chemical)を、30.5%の固体で13.8gのSMA(登録商標)2000Iイミド樹脂溶液(酢酸により水中で中和した;分子量=〜5000;Cray Valley、Exton、PA)、17.0gのSMA(登録商標)2000Iイミド樹脂の挽いた樹脂ペレット、0.2gのDF―110D消泡剤(Air Products、Allentown、PA)、及び10.6gの水と混ぜ合わせることによって調製した。組成物を、シルバーソンミキサーで、4400RPMで合計13時間混合した。2000Iイミド樹脂を、次いで3.5gの酢酸を加えることによって中和し、最終組成物中に分散した。
【0125】
29.0%の黄色顔料14、45.7%のJoncryl(登録商標)樹脂溶液(アンモニアによって中和した30%の樹脂固体)、0.2%のProxel GXL殺生物剤、0.2%のDF―110D消泡剤、及び25.2%の水からなる市販の黄色14分散を、比較の赤色インク(インク31)として用いた。比較インク31を、スチレン―アクリルの固体ポリマー樹脂ミリング媒体の代わりに1.0mmのガラスミリング媒体を用いて、Premier(登録商標)ミルでミリングした。
【0126】
インク30及び31の色の濃度を、ペイントベース:上記の方法によるインクの50:1の比率を用いたPorter(登録商標)ペイントベース(Pittsburgh、PA)中で色付けした後、Datacolor 600(登録商標)分光光度計(Lawrenceville、NJ)で測定した。黄色インク30は、比較黄色インク31と比較して109%の色の濃度を示し、固体のイミドミリング媒体を用いて調製したインクは、ガラスミリング媒体を使用して調製した比較の黄色インク組成物に対して同等の色の濃度を有することを示した。
【0127】
インク30についてD50の平均粒度分布を測定し、ガラスミリング媒体を使用した比較黄色インク31の平均粒度分布(D50)と比較した。平均粒径は、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を使用して決定した。インク30は、比較インク31の170.0nmの平均粒径(D50)と比較して、13時間後に170nmの平均粒径(D50)を有した。これらの結果は、イミドミリング媒体によって調製したインク組成物が、ガラスミリング媒体を使用して調製したインク組成物より小さいD50平均粒度分布を達成することができたことを証明する。
[例3]
【0128】
ミリング媒体として塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー樹脂を利用したインク組成物を調製した。顔料の粒径の縮小が完了した後(すなわち撹拌又はミリングの後)、コポリマーを溶解し、分散させることが可能な第二の溶媒を組成物に加えることによって、樹脂をインク組成物に可溶にした(分散させた)。
【0129】
インク32は、45.0gのC.I青色顔料15:4(製品番号249―1539;Sun Chemical)を、75.0gの3―メトキシ―ブタノール、15.0gのSolsperse(登録商標)39000(Lubrizol)、及び30.0gの、85%の塩化ビニル/15%の酢酸ビニルコポリマーVinnol(登録商標)H15/50の挽いた樹脂(MW=60,000〜80,000;Wacker、Carvert City、KY)と混合することにより調製した。シルバーソンミキサーで、4400RPMで混合した。次いで、顔料粒子の分散を産生するため、70.0gのシクロヘキサノンを加えることによって樹脂の可溶化を行った。
【0130】
結果として生じた粒径(D50)は、255nmであった。インク32について、D50の平均粒度分布を、Nanotrac粒径分析装置(Microtrac、Montgomeryville、PA)を用いて測定した。インク32は、255nmの平均粒径(D50)を有し、ミリング媒体として塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー樹脂を用いることにより、ミクロン以下の粒径分散を達成することができることを示した。
【0131】
本発明の精神又は範囲を逸脱しない範囲において、本発明においてさまざまな変形及び変更をすることができることは、当業者にとって明らかである。よって、本発明は、添付した請求の範囲及びその同等物の範囲内に留まる限り、本発明の改良及び変更をカバーすることが示唆される。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)インサイチュの、顔料粒子の分散を調製する方法であって:
一つ以上の顔料、一つ以上の分散剤、及び液体キャリアを含むプレミックス組成物を準備する工程と;
固体ミリング剤の存在下、前記プレミックス組成物を所定の粒径にミリングし、これによって前記固体ミリング剤が前記液体キャリアに実質的に不溶性である工程と;
前記液体キャリア中の前記固体ミリング剤を可溶化する工程とを含む、顔料粒子の分散を調製する方法。
(2)前記固体ミリング剤の前記可溶化を、前記所定の粒径を得た後で行う、(1)に記載した方法。
(3)前記固体ミリング剤の前記可溶化を、pH調整による中和によって行う、(1)又は(2)のいずれかに記載した方法。
(4)前記pHの調整が酸の添加である、(3)に記載した方法。
(5)pHの調整が塩基の添加である、(3)に記載した方法。
(6)前記酸が酢酸、乳酸、リン酸、塩酸、又はこれら組み合わせから選択される、(4)に記載した方法。
(7)前記塩基がアンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はこれら組み合わせから選択される、(5)に記載した方法。
(8)前記固体ミリング剤の前記可溶化を、一つ以上の更なる溶媒を前記プレミックス組成物に加えることにより行う、(1)又は(2)のいずれかに記載した方法。
(9)前記固体ミリング剤の前記可溶化を、pH調整による中和と、一つ以上の更なる溶媒の前記プレミックス組成物への添加との組み合わせにより行う、(1)又は(2)のいずれかに記載した方法。
(10)前記一つ以上の更なる溶媒が有機溶媒である、(8)又は(9)のいずれかに記載した方法。
(11)前記固体ミリング剤がポリマー材料を含む、(1〜10)のいずれか一項に記載した方法。
(12)前記ポリマー物質がアクリレート、メタクリレート、スチレン―アクリレート、イミド、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらの組み合わせから選択される、(11)に記載した方法。
(13)(1〜12)のいずれか一項に記載した方法によって製造したインク。
(14)インクジェット又はノン―インパクト印刷の用途に使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(15)プラスチックに使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(16)食品に使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(17)産業コーティングに使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(18)医薬に使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(19)化粧品に使用する、(1〜12)のいずれか一項に記載した顔料粒子分散。
(20)非溶性のミリング剤を実質的に含まない顔料粒子分散。
(21)いかなるミリング剤を分離する機構も不存在の下で調製した、(20)に記載した顔料粒子分散。
(22)いかなるミリング剤を分離する機構も有しない、完成したインクを作成する高効率な方法。