【実施例】
【0068】
実験の節/実施例
略号
nBu: n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3
tBu: tert−ブチル、−C(CH
3)
3
iPr: iso−プロピル、−CH(CH
3)
2
Et: エチル、−CH
2CH
3
Me: メチル、−CH
3
Hbdma: N,N’−ビス(ジメチルアミノ)アセトアミジン
Hdama: N−ジメチルアミノ−N’−メチルアセトアミジン
Hdapa: N−ジメチルアミノ−N’−イソプロピルアセトアミジンHbdmf N,N’−ビス(ジメチルアミノ)ホルムアミジン
Hmdma: N−モノジメチルアミノアセトアミジン
HMDS: ヘキサメチルジシラジド、N(SiMe
3)
2−
MHz: メガヘルツ、10
6s
−1
ppm: 百万分率、NMR分光法での化学シフトの単位
THF: テトラヒドロフラン
TMS: トリメチルシリル、−SiMe
3
TMSCl: トリメチルシリルクロリド
NMRスペクトルの多重度に関して、略号は、次のとおりである。
s: 一重線
bs: 幅広い一重線
d: 二重線
t: 三重線
m: 多重線
IRスペクトルの強度は、次のように略記される。
w: 弱い
m: 中程度に強い
s: 強い
vs: 非常に強い
【0069】
総論
中性配位子の合成は、不活性ガスの操作を必要とせず、そのうえさらに、化学品は、予備乾燥や精製を行うことなく使用される。しかしながら、ヒドラジン誘導体には毒性の可能性があるため、いかなる接触も回避しなければならない。
【0070】
配位子のリチウム塩およびカリウム塩の調製さらには本発明に係る金属錯体の合成は、酸素および湿気を排除して行わなければならず、さらに、自然発火性物質を使用するため、乾燥した無水溶媒を使用しなければならない。溶媒は、好適な乾燥剤を用いて乾燥され、窒素雰囲気下で貯蔵される。
【0071】
使用される化学品は、次のとおり市販されている。
tブチルアミン(Merck−Schuchardt)、ヘキサン溶液中の
nブチルリチウム(CheMetall)、ジメチルアミン(Merck−Schuchardt)、N,N−ジメチルヒドラジン(Aldrich)、ジメチルスルフェート(Sigma−Aldrich)、塩化鉄(II)(Aldrich)、三塩化ガリウム(Strem)、四塩化ハフニウム(Aldrich)、ヘキサメチルジシラザン(Fluka)、水素化アルミニウムリチウム(Aldrich)、水素化リチウム(Aldrich)、リチウムジメチルアミド、LiN(CH
3)
2(Aldrich)、硫酸マグネシウム(無水、Sigma−Aldrich)、N−メチルアセトアミド(Fluka)、水酸化ナトリウム(Sigma−Aldrich)、二塩化パラジウム(ABCR)、ピリジン(Gruessing)、五塩化タンタル(H.C.Starck)、チタンテトラキスジメチルアミド(ChemPur)、トリエチルアミン(Sigma−Aldrich)、トリメチルシリルクロリド(Acros)、塩化バナジウム(III)(Merck)。
【0072】
以下の出発化合物は、合成されるか、または次の指定の文献に記載の説明に従って取得可能である:
リチウムヘキサメチルジシラジド、LiN(Si(CH
3)
3)
2: U.Wannagat,H.Niederprum,Chem.Ber.1961,94,1540−1547。
カリウムヘキサメチルジシラジド、KN(Si(CH
3)
3)
2: C.Sreekumar,K.P.Darst,W.C.Still,J.Org.Chem.1980,45,4260−4262。
パラジウムジクロリドビスアセトニトリル、[PdCl
2(CH
3CN)
2]: M.A.Andres,T.C.T.Chang,C.W.F.Cheng,L.V.Kapustay,K.P.Kelly,M.J.Zweifel,Organometallics 1984,3,1479−1484。
タンタルtert−ブチルイミドトリクロロビスピリジン、[Ta(NtBu)Cl
3py
2]: J.Sundermeyer,J.Putterlik,M.Foth,J.S.Field,N.Ramesar,Chem.Ber.1994,127,1201−1212。
トリメチルアンモニウムクロリド、Me
3N−HCl: W.H.Hunter,G.D.Byrkit,Journal of the American Chemical Society 1932,54,1948−1957。
トリメチルガリウム、Ga(CH
3)
3: V.I.Bregadze,L.M.Golubinskaya,B.I.Kozyrkin,Journal of Cluster Science 2002,13,631−636。
トリメチルインジウム、In(CH
3)
3: V.I.Bregadze,L.M.Golubinskaya,B.I.Kozyrkin,Journal of Cluster Science 2002,13,631−636。
バナジウムトリクロリドトリステトラヒドロフラン、[VCl
3(THF)
3]: A.Gansaeuer,B.Rinker,Polyhedron 2002,7017−7026。
【0073】
NMRスペクトルについては、Bruker製のAVANCE300A型、AVANCE300B型、およびDRX500型の装置を使用し、質量分析試験は、Finnigan製のMAT95型の装置を用いて行い、元素分析は、CHN迅速型のHeraeus製の装置を用いて行った。IRスペクトルは、Bruker装置(ALPHA型装置)を用いて記録した。
【0074】
中性配位子の調製
a)Hbdma: 150mlのトリエチルアミン中に51g(65.4ml、0.85mol、2.33当量)のN,N−ジメチルヒドラジンを導入し、激しく攪拌しながら室温で少しずつ45g(0.36mol、1.00当量)のアセトイミドエチルエステル塩酸塩と混合すると、その後、ガスの発生が観測される。2時間の撹拌後、無色懸濁液を90℃に加熱して、この温度で4時間撹拌する。ブフナー漏斗で濾過した後、揮発性成分を大気圧下で留去する。残存する油を大気圧未満の圧力(88℃/88mbar)下で蒸留する。生成物は、無色液体として得られる。収量:39.4g(0.27mol、75%)。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.04(s,6H,NMe
2)、2.05(s,3H,MeC)、2.46(s,6H,NMe
2)、6.54(bs,1H,NH)。
HR−EI−MS:C
6H
16N
4の計算値:144.1375m/z、実測値:144.1371m/z。
IR:約3250(vw)、2978(w)、2946(w)、2853(w)、2817(w)、2771(w)、1625(vs)、1398(m)、1159(m)、1016(m)、962(m)、908(m)。
【0075】
b)Hmdma: 7.50g(60.69mmol、1.00当量)のアセトイミドエチルエステル塩酸塩を150mlのジクロロメタン中に溶解させ、0℃で4.00g(66.56mmol、1.10当量)のN,N−ジメチルヒドラジンと6.76g(66.56mmol、1.10当量)のトリエチルアミンとの混合物と滴下混合する。撹拌しながら反応混合物を徐々に室温に一晩加温し、次いで、揮発性成分を大気圧下で留去する。残存する帯黄色固体を50mlのジクロロメタンとH
2O中の4.00gのNaOHの50mlの溶液との二相混合物に導入し、混合物を激しく2時間撹拌する。有機相を分離除去し、水相を10mlのジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相をMgSO
4で脱水し、次いで、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去する。残存する固体を熱ヘキサンから再結晶し、高真空下、室温で乾燥させた後、生成物は、繊維状結晶形態で得られる。収量:4.23g(41.88mmol、69%)。融点:73℃(文献値:68〜73℃)。
【0076】
c)Hdama: 8.80g(120.40mmol、1.00当量)のN−メチルアセトアミドを15.18g(120.40mmol、1.00当量)のジメチルスルフェートと混合し、混合物を60℃で2時間加熱する。室温に冷却した後、反応混合物を20mlのジエチルエーテルで3回洗浄し、高真空を適用することによりエーテルの残留物を短時間で除去する。残存する油を50mlのメタノール中に溶解させ、0℃で7.96g(132.44mmol、1.10当量)のN,N−ジメチルヒドラジンと13.38g(132.44mmol、1.10当量)のトリエチルアミンとの混合物と混合する。撹拌しながら反応混合物を徐々に室温に一晩加温し、その後、溶液を50mlのジクロロメタンと50mlの水中の6gのNaOHの50mlの溶液との二相混合物に導入する。相の分離後、水相を25mlのジクロロメタンで4回抽出する。MgSO
4による脱水、大気圧下での蒸留、およびそれに続く65℃/50mbarでの蒸留により、無色液体として9.00g(78.26mmol、65%)の生成物を与える。
1H NMR(CDCl
3、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.79(s,3H,MeC)、2.24(s,6H,NMe
2)、2.76(s,3H,NMe)、5.89(s,1H,NH)。
13C NMR(CDCl
3、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=17.0(MeC)、29.2(NMe)、46.5(NMe
2)、159.2(MeC)。
【0077】
d)Hdapa: 10.39g(102.70mmol、1.00当量)のN−iso−プロピルアセトアミドを9.8mL(103.30mmol、1.00当量)のジメチルスルフェートと混合し、混合物を60℃で23時間加熱する。室温に冷却した後、反応混合物を10mlのジエチルエーテルで2回洗浄し、高真空を適用することによりエーテルの残留物を短時間で除去する。残存する油を100mLのiso−プロパノール中に溶解させ、室温で25mLのiso−プロパノール中の9.0mL(116.80mmol、1.14当量)のN,N−ジメチルヒドラジンと16.0mL(115.40mmol、1.13当量)のトリエチルアミンとの溶液と混合する。反応混合物を60時間攪拌し、その後、溶媒を減圧下で除去する。残存する黄色油を50mLのジクロロメタン中に溶解させ、15mLの水中の8.40g(150mmol、1.50当量)の水酸化カリウムの溶液を徐々に添加する。相の分離後、水相を15mLのジクロロメタンで2回抽出する。MgSO
4による脱水、大気圧下での蒸留、およびそれに続く52℃/5mbarでの蒸留により、無色液体として7.13g(49.90mmol、48%)の生成物を与える。
1H NMR(CDCl
3、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.14(d,
3J
HH=6.4Hz,6H,CHMe
2)、1.88(s,3H,MeC)、2.31(s,6H,NMe
2)、3.57(sept,
3J
HH=6.4Hz,1H,CHMe
2)、5.91(bs,1H,NH)。
13C NMR(CDCl
3、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=17.4(MeC)、24.4(CHMe
2)、43.9(NCHMe
2)、46.5(NMe
2)、157.8 (CMe)。
【0078】
本発明に係る金属錯体の調製
以下の実施例では、実施例1〜16は、配位子bdmaおよびH−bdmaを有する錯体を記載し、実施例17および18は、配位子mdmaを有する錯体を記載し、そして実施例19は、配位子damaを有する錯体を記載する。実施例20は、配位子bdmfを有する錯体を報告し、そして実施例21は、dapa配位子を有するGa錯体を記載する。
【0079】
実施例1
[Li−bdma]の調製
5.00g(29.88mmol、1.00当量)のLiHMDSを40mlのヘキサン中に溶解させる。それに室温で5.17g(35.85mmol、1.20当量)のHbdmaを添加すると、溶液がわずかに加温され、相分離(液/液)が観測される。反応混合物を一晩撹拌すると、その間に無色固体が生成する。上澄み溶液をデカントし、固体を20mlのヘキサンで2回洗浄する。高真空下での乾燥により、4.22g(28.09mmol、94%)の無色固体を与える。収量:2.57g(17.1mmol、94%)。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.24(s,3H,CCH
3)、2.47(s,12H,N(CH
3)
2)、2.53(s,12H,N(CH
3)
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=17.3(MeC)、48.2(NMe
2)、50.3(NMe
2)、170.1(MeC)。
元素分析:C
6H
15LiN
4:
計算値:C:47.99%、H:10.07%、N:37.31%。
実測値:C:47.46%、H:9.68%、N:36.35%。
IR:2969(w)、2934(w)、2840(w)、2803(w)、2758(w)、1521(vs)、1430(m)、1395(m)、1171(m)、1058(m)、1008(m)、954(s)、658(s)、561(s)、423(m)。
【0080】
実施例2
[K−bdma]の調製
5.00g(25.06mmol、1.00当量)のKHMDSを50mlのトルエン中に溶解させ、溶液を室温で4.01g(27.80mmol、1.11当量)のHbdmaと滴下混合する。添加時、無色固体が沈殿し始める。室温で一晩撹拌した後、それをG4フリットで濾別する。ヘキサンによる数回の洗浄および高真空下での乾燥により、4.16g(22.80mmol、91%)の無色固体を与える。
元素分析:C
6H
15KN
4:
計算値:C:39.53%、H:8.29%、N:30.73%。
実測値:C:39.25%、H:8.25%、N:30.22%。
IR:2962(w)、2924(w)、2829(w)、2792(m)、2748(m)、1511(vs)、1426(m)、1371(m)、1159(m)、947(s)、631(m)、455(m)。
【0081】
実施例3
[Ga(bdma)H
2]の調製
1.95g(245.28mmol、13.10当量)のLiHを30mlのEt
2O中に懸濁させ、灰色懸濁液を−78℃に冷却する。この懸濁液を15mlのEt
2O中の2.70g(15.33mmol、0.82当量)のGaCl
3の−78℃に冷却された溶液と滴下混合し、得られた懸濁液を撹拌しながら氷浴中で徐々に室温に一晩加温する。続いて、懸濁液をG4フリット(Celiteなし)に通してフラスコ中に濾過し、これをあらかじめ−78℃に冷却し、そして10mlのEt
2O中の0.83g(4.71mmol、0.25当量)のGaCl
3の−78℃に冷却された溶液と−78℃で滴下混合する。懸濁液を約−25℃に徐々に加温し、次いで、G4フリット(Celiteなし)に通してあらかじめ−78℃に冷却された滴下漏斗中に濾過し、そして透明溶液を20mlのEt
2O中の2.70g(18.70mmol、1.00当量)のHbdmaの−78℃に冷却された溶液に−78℃で滴下する。生成する懸濁液を撹拌しながら徐々に室温に一晩加温すると、この間、形成された無色固体がガス(H
2)の発生を伴って徐々に溶解する。得られた無色溶液をCeliteで濾過し、溶媒を高真空下、0℃で除去する。残存する無色液体を0.5mbarおよび50℃で蒸留して、低粘正液体として2.10g(9.81mmol、52%)の生成物を与える。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.00(s,3H,MeC)、2.30(s,12H,NMe
2)、5.30(bs,2H,GaH
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=15.6(MeC)、49.7(NMeMe)、51.0(NMeMe)、167.2(MeC)。
HR−EI−MS:C
6H
17G
aN4の計算値:214.0709m/z、実測値:214.0715m/z。
IR:2978(m)、2944(m)、2850(m)、2811(m)、2767(m)、1866(s)、1550(vs)、1405(vs)、957(s)、744(vs)、651(vs)。
【0082】
炭素の割合が低いため、この前駆体をCVDプロセスでGaN層の堆積に使用した場合、C不純物(たとえば炭化物の形態の)の混入を最小限に抑えることが可能である。
【0083】
実施例4
[Al(bdma)Me
2]の調製
トルエン中の1mlのAlMe
3溶液(1.43mol/l、1.43mmol、1.00当量)を30mlのヘキサン中に導入し、溶液を−78℃に冷却し、そして222mg(1.54mmol、1.08当量)のHbdmaと徐々に混合する。添加後、冷却浴を除去して、反応混合物を室温で12時間撹拌する。溶媒の除去および高真空下での残存する固体の昇華により、246mg(1.23mmol、86%)の無色固体を与える。融点:41℃。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)−0.41(s,6H,AlMe
2)、2.01(s,3H,MeC)、2.17(s,6H,NMe2)、2.36(s,6H,NMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=−8.7(AlMe
2)、15.9(MeC)、48.1(NMe
2)、49.5(NMe
2)、168.7(MeC)。
HR−EI−MS:C
8H
21N
4Alの計算値:200.1582m/z、実測値:200.1587のm/z。
元素分析:C
8H
21AlN
4:
計算値:C:47.98%、H:10.57%、N:27.98%。
実測値:C:47.69%、H:10.57%、N:27.68%。
IR:2980(w)、2944(w)、2885(w)、2850(w)、2814(w)、2772(w)、1549(m)、1403(m)、1190(m)、952(m)、663(s)、630(m)、592(m)、557(m)。
【0084】
実施例5
[Ga(bdma)(NMe
2)
2]の調製
20mlのEt
2O中の1.15g(22.55mmol、3.00当量)のLiNMe
2の懸濁液を10mlのEt
2O中の1.32g(7.50mmol、1.00当量)のGaCl
3の溶液と−78℃で混合する。添加の終了後、冷却浴を除去して、無色懸濁液を室温で30分間攪拌する。次いで、10mlのEt
2O中の1.08g(7.50mmol、1.00当量)のHbdmaの溶液を室温で添加する。懸濁液を室温で一晩攪拌し、次いで、遠心分離する。高真空下で透明遠心分離生成物から溶媒を除去し、1mbar/110℃で再濃縮する。これにより、1.22g(4.05mmol、GaCl
3基準で54%)の低融点の無色固体を与える。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.07(s,3H,MeC)、2.27(s,6H,NNMe
2)、2.35(s,6H,NNMe
2)、2.81(s,12H,Ga(NMe
2)
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=17.0(MeC)、43.2(Ga(NMe
2)
2)、48.5(NNMe
2)、48.9(NNMe
2)、168.3(MeC)。
HR−EI−MS:C
10H
27GaN
6の計算値:300.1553m/z、実測値:300.1545m/z。
IR:2944(w)、2853(w)、2810(m)、2762(s)、1552(s)、1399(s)、1178(s)、965(vs)、952(vs)、631(s)、545(s)。
【0085】
実施例6
[Ga(bdma)Cl
2]の調製
205mg(1.16mmol、1.00当量)のGaCl
3をシュレンクフラスコ中に秤取し、次いで、約10mlのEt
2Oを−196℃で凝縮導入する。混合物を室温に加温した後、Et
2O中の174mg(1.16mmol、1.00当量)のLibdmaの懸濁液を徐々に添加する。続いて、無色懸濁液を一晩撹拌し、溶媒を高真空下で除去し、そして残存する固体から昇華により生成物を取得する。これにより309mg(1.09mmol、94%)の無色固体を生じる。
【0086】
実施例7
[In(bdma)Me
2]の調製
200mg(1.25mmol、1.00当量)のInMe
3を室温で10mlのトルエン中に溶解させ、そして溶液を180mg(1.25mmol、1.00当量)のHbdmaと室温で混合する。初期のガスの発生および室温での溶液の一晩の撹拌の後、溶媒を高真空下で除去する。残存する固体を高真空下で昇華させて、292mg(1.01mmol、81%)の無色固体を生成する。融点:47℃。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=−0.02(s,6H,InMe
2)、2.14(s,3H,MeC)、2.20(bs,12H、NMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=−6.4(InMe
2)、17.4(MeC)、49.4(NMe
2)、50.8(NMe
2)、167.8(MeC)。
HR−EI−MS:C
8H
21N
4Inの計算値:288.0805m/z、実測値:288.0811m/z。
元素分析:C
8H
21InN
4:
計算値:C:33.35%、H:7.35%、N:19.45%。
実測値:C:33.20%、H:7.24%、N:19.47%。
IR:2979(w)、2939(m)、2880(w)、2841(w)、2802(w)、2755(m)、1537(s)、1392(s)、949(s)、507 (vs)。
【0087】
この錯体は、きわめて揮発性であり、0.1mbarおよび80℃で分解せずに昇華する。
図1は、この化合物のX線構造解析を示している。
【0088】
実施例8
[Ti(bdma)(NMe
2)
3]の調製
221mg(0.98mmol、1.00当量)のTi(NMe
2)
4を5mlのトルエン中に溶解させ、この溶液を284mg(1.97mmol、2.00当量)のHbdmaと0℃で混合する。続いて、透明黄色溶液を60℃で一晩撹拌し、そして室温に冷却して高真空下で溶媒を除去した後、294mg(0.91mmol、93%)の鮮黄色油を得る。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.25(s,3H,MeC)、2.74(bs,12H,N−NMe
2)、3.12(s,18H,Ti−NMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=15.0(MeC)、46.0(Ti−NMe
2)、47.3(bs,N−NMe
2)。
1H NMR(C
6D
5CD
3、500,1MHz、232K):δ(ppm単位)=2.38(s,3H,MeC)、2.57(s,6H,N−NMe
2)、2.97(s,6H,N−NMe
2)、3.12(s,18H,Ti−NMe
2)。
13C NMR(C
6D
5CD
3、125.8MHz、232K):δ(ppm単位)=15.1(MeC)、45.4(N−NMe
2)、46.0(Ti−NMe
2)、48.7(N−NMe
2)、163.1(MeC)。
HR−EI−MS:C
12H
33N
7Tiの計算値:323.2278m/z、実測値:323.2272m/z。
IR:2965(w)、2939(w)、2839(m)、2807(m)、2761(m)、1580(m)、1359(m)、1316(s)、1242(m)、1052(m)、944(vs)、583(s)、559(s)、448(m)。
【0089】
実施例9
[Hf(bdma)
2Cl
2]の調製
261mg(0.81mmol、1.00当量)のHfCl
4および245mg(1.63mmol、2.00当量)のLibdmaを一緒にシュレンクフラスコ中に導入し、30mlのTHFと室温で混合する。得られた懸濁液を沸騰温度で4時間加熱し、そして室温に冷却した後、溶媒を高真空下で除去する。残存する固体を30mlのジクロロメタンと混合して一晩撹拌する。次いで、無色懸濁液を30mlのヘキサンと混合し、そしてG4フリットに通して濾過する。高真空下での固体の乾燥により、301mg(0.56mmol、69%)の無色固体を与える。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.67(s,6H,MeC)、2.12(s,6H,NMeMe))、2.51(s,6H,NMeMe)、2.87(s,6H,NMeMe)、3.19(s,6H,NMeMe)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=16.0(MeC)、44.4(NMeMe)、45.7(NMeMe)、51.7(NMeMe)、52.0(NMeMe)、163.9(MeC)。
HR−EI−MS:C
12H
30C
l2HfN
8の計算値:536.1436m/z、実測値:536.1442m/z。
IR:2957(w)、2912(m)、2867(w)、1574(s)、1380(s)、1342(vs)、939(vs)、854(s)、823(s)、618(s)、504(s)、441(s)、408(s)。
【0090】
実施例10
[Ta(bdma)Cl
4]の調製
2.27g(3.17mmol、1.00当量)の[TaCl
5]
2を50mlのトルエン中に懸濁させ、加熱しながら溶解させ、そして溶液を撹拌しながら徐々に室温に冷却する。個別のシュレンクフラスコ中で、1.05g(7.01mmol、1.10当量)のLibdmaを5mlのトルエン中にスラリー化し、2ml(1.70g、15.65mmol、2.50当量)のTMSClと混合する。得られた懸濁液を沸騰加熱温度で短時間加熱し(約5分間)、冷却し、そしてTaCl
5懸濁液に滴下し、これを0℃で冷却し、生成するブラッドオレンジ色懸濁液を70℃に加熱する。12時間後、懸濁液をCeliteに通して濾過すると、生成物は結晶化し始める。オレンジ色溶液をその体積の半分に濃縮して−23℃で冷却した後、1.84g(3.95mmol、62%)の黄色固体を得る。
1H NMR(CDCl
3、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=2.33(s,3H,MeC)、3.25(s,6H,NMe
2)、3.50(s,6H,NMe
2)。
13C NMR(CDCl
3、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=13.6(MeC)、48.9(NMe
2)、54.2(NMe
2)、160.1(MeC)。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.25(s,3H,MeC)、2.62(s,6H,NMe
2)、3.02(s,6H,NMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=12.7(MeC)、47.9(NMe
2)、53.9(NMe
2)、160.1(MeC)。
HR−EI−MS:C
6H
15Cl
4N
4Taの計算値:463.9531m/z、実測値:463.9523m/z。
元素分析:C
6H
15Cl
4N
4Ta:
計算値:C:15.47%、H:3.24%、N:12.02%。
実測値:C:15.38%、H:3.16%、N:12.38%。
IR:2936(w)、1607(m)、1453(m)、1379(vs)、1341(vs)、953(s)、851(s)、606(s)、520(m)、444(m)。
【0091】
実施例11
[Si(bdma)Cl
3]の調製
752mg(4.43mmol、1.00当量)のSiCl
4を20mlのジクロロメタン中に導入し、460mg(4.54mmol、1.02当量)のトリエチルアミンと650mg(4.51mmol、1.02当量)のHbdmaとの混合物と室温で混合する。透明溶液を室温で3時間攪拌し、次いで、20mlのヘキサンと混合する。得られた懸濁液をCeliteに通して濾過し、続いて、透明溶液の溶媒を高真空下で除去する。残存する固体を20mlの熱ヘキサン(約40℃)中に溶解させ、再びCeliteに通して濾過する。高真空下での溶媒の除去により、350mg(1.27mmol、28%)の無色固体を生成する。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.58(s,3H,MeC)、2.54(s,12H,NMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=8.9(MeC)、46.4(NMe
2)、175.6(MeC)。
HR−EI−MS:C
6H
15Cl
3N
4Siの計算値:276.0132m/z、実測値:276.0128m/z。
元素分析:C
6H
15Cl
3N
4Si:
計算値:C:25.95%、H:5.45%、N:20.18%。
実測値:C:26.02%、H:5.62%、N:20.87%。
IR:2989(w)、2957(w)、2869(w)、2835(w)、2789(w)、1607(m)、1442(m)、1388(m)、1023(m)、965(m)、928(m)、878(m)、845(m)、609(s)、568(s)、536(vs)、446(s)、419 (vs)。
【0092】
この化合物は、0.1mbarおよび80℃で分解せずに昇華する無色のきわめて揮発性の固体である。それは、CVDプロセスを利用して窒化ケイ素層を生成するための前駆体として使用可能である。
【0093】
実施例12
[Ta(N
tBu)Cl
3(H−bdma)]の調製
873mg(1.67mmol、1.00当量)の[Ta(N
tBu)Cl
3py
2]を50mlのトルエン中に懸濁させる。黄色懸濁液を483mg(3.35mmol、2.00当量)のHbdmaと室温で混合する。短時間後、淡黄色透明溶液が形成される。一晩撹拌した後、溶媒を高真空下で除去する。淡黄色残渣を25mlのジクロロメタン中に溶解させ、シリンジフィルターを用いて無色溶液を清澄化させる。約10mlの体積に濃縮した後、溶液を撹拌しながら50mlのペンタンと混合し、そして沈殿する無色固体を遠心分離により取り出して高真空下で乾燥させる。これにより、713mg(1.42mmol、85%)の無色微結晶性固体が得られる。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.45(s,3H,MeC)、1.62(s,9H,N
tBu)、2.67(s,6H,NMe
2)、2.96(s,6H,NMe
2)、5.84(s,1H,NH)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位で)=15.6(MeC)、32.4(NCMe
3)、46.8(NMe
2)、52.6(NMe
2)、66.7(NCMe
3)、167.7(MeC)。
HR−EI−MS:C
10H
24Cl
2N
5Taの計算値:465.0889m/z、実測値:465.0885m/z。
元素分析:C
10H
26C
l3N
5Ta:
計算値:C:23.89%、H:5.01%、N:13.93%。
実測値:C:23.63%、H:5.36%、N:13.76%。
IR:3241(m)、3093(w)、2973(w)、2920(w)、2885(w)、1575(s)、1442(m)、1263(vs)、874(s)、552(m)、498(m)。
【0094】
実施例13
[V(bdma)
3]の調製
359mg(0.96mmol、1.00当量)の[VCl
3(THF)
3]を5mlのTHF中に懸濁させ、菫色懸濁液を5mlのTHF中の525mg(2.88mmol、3.00当量)のKbdmaの溶液と滴下混合する。室温で12時間撹拌した後、沈殿したKClを遠心分離により除去し、上澄み菫色溶液をデカントして分離し、そして溶媒を高真空下で除去する。残存する固体を40mlのヘキサンと混合し、そして得られた懸濁液をCeliteに通して濾過する。溶媒体積を約10mlに濃縮して−23℃で一晩貯蔵することにより、354mg(2.22mmol、77%)の濃菫色結晶性固体を与える。
HR−EI−MS:C
18H
45N
12Vの計算値:480.3330m/z、実測値:480.3336 m/z
元素分析:C
18H
45N
12V:
計算値:C:44.99%、H:9.44%、N:34.98%。
実測値:C:44.56%、H:9.32%、N:34.57%。
IR:2973(w)、2940(m)、2852(m)、2816(m)、2777(w)、1576(m)、1368(vs)、1314(vs)、1016(m)、942(s)、635(m)、534(m)、454(w)。
【0095】
実施例14
[Ni(bdma)
2]の調製
330mg(1.50mmol、1.00当量)の[NiCl
2(DME)]を20mlのトルエン中に懸濁させて、50mlのトルエン中の451mg(3.00mmol、2.00当量)のLibdmaの懸濁液と混合する。徐々に褐色着色を呈する懸濁液を60℃で4時間加熱する。室温に冷却した後、溶媒を高真空下で除去し、残存する固体を80mlのヘキサンと混合し、そして生成する懸濁液を室温で30分間攪拌する。次いで、赤褐色懸濁液をCeliteに通して濾過し、そして濾液が完全に無色になるまで、濾過ケークを少量のヘキサンで抽出する。高真空下での溶媒の除去および残渣の昇華により、緑色固体として428mg(1.24mmol、83%)の生成物を生成する。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=0.08(bs,10H)、4.48(bs,20H)。
1H NMR(C
6D
5CD
3、500.1MHz、223K):δ(ppm単位)=1.87(s,6H,MeC)、2.41(s,12H,NMe
2)、 2.70(s,12H,NMe
2)。
13C NMR(C
6D
5CD
3、125.7MHz、223K):δ(ppm単位)=15.7(MeC)、46.2(NMe
2)、49.3(NMe
2)、170.0(MeC)。
HR−EI−MS:C
12H
30N
8Niの計算値:344.1947m/z、実測値:344,1964m/z。
元素分析:C
12H
30N
8Ni:
計算値:C:41.76%、H:8.76%、N:32.47%。
実測値:C:41.24%、H:8.33%、N:32.10%。
IR:3039(w)、2980(w)、2904(m)、2848(m)、2772(m)、1566(vs)、1445(m)、1380(vs)、1340(vs)、1220(m)、1173(m)、1094(m)、950(vs)、904(s)、866(m)、838(m)、616(s)、570(s)、535(m)、455(m)、431(s)。
【0096】
実施例15
[Pd(bdma)
2]の調製
90mg(0.35mmol、1.00eq)の[PdCl
2(MeCN)
2]を10mlのTHF中に溶解させて、溶液を0℃に冷却する。この温度で、10mlのTHF中の133mg(0.73mmol、2.00eq)のKbdmaの溶液を滴下する。室温に加温した反応混合物を18時間攪拌し、次いで、遠心分離する。透明溶液からTHFを減圧下で除去して、黄色粉末として生成物を与える。103mg(0.26mmol、76%)の[Pd(bdma)
2]が回収される。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.98(s,6H,CCH
3)、2.54(s,12H,NNCH
3)、2.82(s,12H,PdNCH
3)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=15.0(CCH
3)、45.8(PdNCH
3)、51.9(NNCH
3)、169.9(NCCH
3)。
HR−EI−MS:C
12H
30N
8Pdの計算値:392.1628m/z、実測値:392.1621m/z。
元素分析:C
12H
30N
8Pd:
計算値:C:36.68%、H:7.69%、N:28.52%。
実測値:C:37.04%、H:7.58%、N:23.25%。
【0097】
実施例16
[Al(bdma)H(μ−H)]
2の調製
107mg(2.82mmol、0.75当量)のLiAlH
4を5mlのEt
2O中に溶解させ、この溶液を5mlのEt
2O中の126mg(0.94mmol、0.25当量)のAlCl
3の−78℃に冷却された溶液に添加する。冷却浴が−40℃の温度に達して顕著な曇りが観測されるまで、溶液を撹拌する。続いて、懸濁液を再び−78℃に冷却して、10mlのEt
2O中の543mg(3.76mmol、1.00当量)のHbdmaと混合する。冷却浴の除去後、混合物を室温で一晩攪拌する。次いで、無色懸濁液をCeliteに通して濾過し、濾過ケークを5mlのEt
2Oで2回抽出し、溶媒を高真空下で除去し、そして残存する無色固体を昇華させる。これにより、微結晶性無色固体として595mg(3.46mmol、92%)の生成物が得られる。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.99(s,3H,MeC)、2.26(s,6H,NMe
2)、2.40(s,6H,NMe
2)、4.54(s,2H,AlH
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=15.7(MeC)、49.2(NMe
2)、49.7(NMe
2)、169.2(MeC)。
HR−EI−MS:C
6H
17AlN
4の計算値:172.1269m/z、実測値:172.1270m/z。
元素分析:C
6H
17AlN
4:
計算値:C:41.85%、H:9.95%、N:32.53%。
実測値:C:41.53%、H:9.56%、N:32.10%。
IR:2975(w)、2934(w)、2855(w)、2818(w)、2777(w)、1831(s)、1565(s)、1390(vs)、1343(s)、950(s)、840(s)、679(s)、636(s)、553(s)、524(s)。
【0098】
実施例17
[Al(mdma)
2H]の調製
43mg(1.13mmol、1.00当量)のLiAlH
4を10mlのEt
2O中に溶解させて、108mg(1.13mmol、1.00当量)のMe
3N・HClと少しずつ−78℃で混合する。無色懸濁液を撹拌しながら−20℃に徐々に加温し、そしてガス(H
2)の発生が終了するまで、この温度で撹拌する。次いで、無色懸濁液を再び−78℃に冷却して、10mlのEt
2O中の229mg(2.26mmol、2.00当量)のHmdmaの溶液を徐々に添加する。室温への緩徐な加温を伴いながら、得られた懸濁液を一晩撹拌する。次いで、無色懸濁液から高真空下で溶媒を除去し、残存する固体を20mlのベンゼンと共に室温で2時間撹拌し、続いて、反応混合物をCeliteに通して濾過する。溶媒体積を約7mlに濃縮し、14mlのヘキサンを上側に注ぎ、そして溶媒混合物を除去した後、高真空下での残存する固体の乾燥により、90mg(0.39mmol、34%)の結晶性固体を生成する。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.70(s,6H,MeC)、2.22(s,6H,NMeMe)、2.51(s,6H,NMeMe)、3.36(bs,2H,NH)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)= 20.4(MeC)、47.2(NMeMe)、50.0(NMeMe)および166.1(MeC)。
元素分析:C
8H
21AlN
6:
計算値:C:42.09%、H:9.27%、N:36.82%。
実測値:C:41.79%、H:9.44%、N:36.79%。
IR:3338(m)、3007(w)、2987(w)、2973(m)、2922(m)、1773(m)、1584(s)、1424(vs)、1408(vs)、977(s)、620(m)、584(vs)、428(vs)。
【0099】
実施例18
[Ga(mdma)
2H]の調製
336mg(1.91mmol、1.25当量)のGaCl
3を10mlのEt
2O中に溶解させ、この溶液を236mg(29.68mmol、19.43当量)のLiHの懸濁液に−78℃で滴下混合する。懸濁液を撹拌しながら室温に徐々に一晩加温し、次いで、G4フリット(Celiteなし)に通してあらかじめ−78℃に冷却されたフラスコ中に濾過し、そして残存する濾過ケークをあらかじめ−78℃に冷却された5mlのEt
2Oで2回抽出する。透明LiGaH
4溶液を144mg(1.51mmol、1.00当量)のMe
3N・HClと少しずつ−78℃で混合し、そしてガス(H
2)の発生が終了するまで、緩徐な加温を行いながら得られた懸濁液を撹拌する。続いて、それを再び−78℃に冷却し、15mlのEt
2O中の306mg(3.02mmol、2.00当量)のHmdmaの溶液を徐々に添加する。添加の終了後、冷却浴を除去して、無色懸濁液を室温で一晩攪拌する。続いて、無色懸濁液を高真空下で乾燥させて、残存する固体を25mlのベンゼンと混合する。懸濁液をCeliteに通して濾過し、濾過ケークを5mlのベンゼンで3回抽出し、そして溶媒を高真空下で除去する。残存する固体を5mlのヘキサンでスラリー化し、そしてデカンテーションおよび残存する固体の乾燥を行った後、170mg(0.63mmol、42%)の微細無色固体を得る。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=1.75(s,6H,MeC)、2.30(s,12H,NMe
2)、3.58(bs,2H,NH)、4.97(bs,1H,GaH)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=20.7(MeC)、48.3(NMe
2)、164.7(MeC)。
HR−EI−MS:C
8H
21GaN
6の計算値:270.1084m/z、実測値:270.1083m/z。
IR:3328(m)、2961(m)、2911(m)、2879(m)、1867(s)、1580(vs)、1413(vs)、985(s)、587(s)、540(s)、503(s)。
【0100】
実施例19
[Ga(dama)Me
2]の調製
1.34g(11.65mmol、1.00当量)のGaMe
3を77Kでシュレンクフラスコ中に凝縮導入して、10mlのヘキサンと混合する。−78℃に加温した後、1.33g(11.56mmol、0.99当量)のHdamaを添加する。開始時に生成する無色固体は、室温への加温過程でガスの発生を伴って徐々に溶解する。溶媒を大気圧下で留去して、残存する油性液体を減圧下(15mbar、73℃)で蒸留する。これにより、1.40g(6.54mmol、56%)の無色液体が得られる。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=−0.21(s,6H,GaMe
2)、1.68(s,3H,MeC)、2.21(s,6H,NMe
2)、2.57(s,3H,NMe)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=−8.9(GaMe
2)、15.5(MeC)、32.0(NMe)、49.1(NMe
2)、166.1(MeC)。
HR−EI−MS:C
7H
18GaN
3の計算値:213.0757m/z、実測値:213.0766m/z。
IR:3003(w)、2927(m)、2888(m)、2810(w)、1552(vs)、1422(s)、1398(s)、1192(m)、942(m)、569(s)、536(s)。
【0101】
実施例20
[Pd(bdmf)
2]の調製
270mg(1.35mmol、4.00当量)のKHMDSを5mLのトルエン中に溶解させ、溶液を118mg(0.91mmol、2.7当量)のHbdmfと室温で滴下混合する。反応混合物を1時間撹拌し、無色沈殿物Kbdmfを分離して3mLのヘキサンで洗浄し、そして減圧下で乾燥させる。130mgのKbdmf(0.77mmol、2.3当量)を3mLのTHF中に溶解させ、この溶液を、3mLのTHF中に溶解させた88mgの[PdCl
2(MeCN)
2](0.34mmol、1.00当量)に徐々に添加し、そして25℃で12時間撹拌する。KClの帯褐色沈殿物を分離し、そして揮発性物質を橙色溶液から除去する。黄橙色固体をヘキサンで洗浄し、トルエンから再結晶させて、51mg(0.31mmol、41%)の単結晶性生成物を与える。これを単結晶XRD解析により分析する。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=3.52(s,2H CH)、2.65(s,12H,PdNMe
2)、2.47(m,12H,NNMe
2)。
13C NMR(C6D6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=157.2(CH)、52.7(PdNMe
2)、47.3(NNMe
2)。
HR−MS:C
10H
27N
8Pd、[M+H]
+の計算値:365.1389m/z、実測値:365.1389m/z。
IR:2962(w)、1569(w)、1447(m)、1259(m)、1078(m)、1012(s)、950(w)、865(w)、792(s)、702(w)、596(w)、569(w)、533(w)、470(m)、435(m)。
【0102】
実施例21
[Ga(dapa)Me
2]の調製
20mLのジエチルエーテル中の350mg(1.99mmol、1.00当量)のGaCl
3の溶液を、4.0mLのMeLi溶液(溶媒:ジエチルエーテル、c=1.555mol/L、6.22mmol、3.10当量)と混合する。添加の終了後、懸濁液を室温で2時間撹拌する。0℃に冷却した後、290mg(2.02mmol、1.02当量)のHdapaを滴下する。添加の終了後、冷却浴を除去して、無色懸濁液を室温で3日間(72時間)撹拌する。懸濁液をCelite(商標)床で濾過し、そして透明溶液を減圧下でストリッピングする。残存する無色固体の昇華後、無色結晶として368mg(1.52mmol、76%)の生成物が得られる。
1H NMR(C
6D
6、300.1MHz、300K):δ(ppm単位)=−0.10(s,6H,GaMe
2)、1.03(d,
3J
HH=6.4Hz,6H,CHMe
2)、1.77(s,3H,CMe)、2.21(s,6H,NMe
2)、3.38(sept,1H,
3J
HH=6.4Hz,CHMe
2)。
13C NMR(C
6D
6、75.5MHz、300K):δ(ppm単位)=−6.0(GaMe
2)、16.1(CMe)、25.9(CHMe
2)、47.1(CHMe
2)、48.9(NMe
2)、164.0(CMe)。
HR−EI−MS:C
9H
22GaN
3の計算値:241.1070m/z、実測値:241.1059m/z。
IR:3007(w)、2961(m)、2927(m)、1542(vs)、1471(m)、1449(vs)、1424(s)、1400(m)、1193(vs)、1004(m)、560(vs)、538(vs)。
元素分析:C
9H
22GaN
3:
計算値:C:44.67%、H:9.16%、N:17.36%。
実測値:C:43.82%、H:9.70%、N:17.68%。
【0103】
実施例22
CVD実験の実施
キャリヤーガスとして水素、アンモニア、または窒素を用いて、市販のAixtron AIX−200反応器により、再現性のある異なる量の金属および窒素を有する層を堆積させる。操作時、反応器内の圧力を50〜150mbar、好ましくは80〜120mbar、より好ましくは100mbarの一定レベルに設定する。ガス流量は、400〜700sccm、好ましくは500〜600sccmである。bdma−アルミニウムヒドリドおよびbdma−ガリウムヒドリドの場合、本発明に係る揮発性金属錯体を含有するステンレス鋼バブラー内の温度を30℃で一定に維持する。貯蔵容器の温度をbdma−金属アルキルの場合には50〜70℃に、bdma−金属アミドおよびbdma−金属ハロゲン化物の場合には70〜100℃に調整する。SiO
2表面の自然膜で被覆された(100)配向pドープシリコンウエハ上にまたはサファイアの(0001)表面上に、200〜800℃、好ましくは400〜600℃の基材温度で、堆積を行う。0.4〜40.0nm/minの一定した調整可能な成長速度で、5nmから15μmまでの厚さを有するアモルファス多結晶層またはエピタキシャル層を得ることが可能である。一例は、前駆体(bdma)GaH
2からサファイア上への窒化ガリウム(GaN)の高品質層の堆積である。
【0104】
層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて検出され、元素組成は、エネルギー分散型X線解析(EDX)を利用して解析され、品質は、フォトルミネセンス分光法(PL)を利用して評価され、そして結晶相は、XRD法を用いて解析される。