特許第5964889号(P5964889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964889
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】磁性素子
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20160721BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20160721BHJP
   H01F 5/02 20060101ALI20160721BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20160721BHJP
   H01F 27/06 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01F37/00 E
   H01F30/10 E
   H01F5/02 F
   H01F17/04 Z
   H01F15/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-125450(P2014-125450)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-79934(P2015-79934A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0122256
(32)【優先日】2013年10月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ホ ミン
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−186077(JP,A)
【文献】 実開昭61−112611(JP,U)
【文献】 特開2003−036745(JP,A)
【文献】 特開昭64−089304(JP,A)
【文献】 実開昭55−071512(JP,U)
【文献】 実開昭60−094806(JP,U)
【文献】 特開2006−237420(JP,A)
【文献】 実開平01−067712(JP,U)
【文献】 実表昭61−500001(JP,U)
【文献】 実開昭49−063421(JP,U)
【文献】 実開平05−087931(JP,U)
【文献】 特開2009−246219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 5/02
H01F 17/04
H01F 27/06
H01F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に延長される中空部を具備するボビンと、
ボビンの外側に巻かれるコイルと、
前記ボビンの外側で前記ボビンと結合されるコアと、を含み、
前記ボビンは、
外側にコイルが巻かれる第1巻取部と、
前記第1巻取部の長さ方向の一側に具備されて外側にコイルが巻かれる第2巻取部と、
前記第1巻取部と前記第2巻取部との間に具備され、前記第1巻取部と前記第2巻取部と一体に形成される公差吸収部と、
前記第1巻取部及び前記第2巻取部の外側に互いに対称に具備される締結部と、を含み、
前記公差吸収部は長さ方向に弾性変形可能な磁性素子。
【請求項2】
前記締結部は、
前記コアの長さ方向の外側面にかかるフックを含む、請求項1に記載の磁性素子。
【請求項3】
前記公差吸収部は、
前記長さ方向に垂直な幅方向に盛り上がるか凹む曲面状を有する、請求項2に記載の磁性素子。
【請求項4】
前記巻取部と前記締結部との間で前記長さ方向に交差する幅方向に外側に向かって突出される隔壁部を更に含む、請求項3に記載の磁性素子。
【請求項5】
前記隔壁部の長さ方向及び外側及び前記締結部の幅方向の外側に具備される補強部を更に含む、請求項4に記載の磁性素子。
【請求項6】
前記コアは、
前記フックがかかるエンド部と、
前記エンド部から長さ方向の内側に向かって延長される中心部と、を含み、
前記中心部が前記ボビンの中空部に挿入可能な、請求項5に記載の磁性素子。
【請求項7】
前記中心部の幅方向の外側から前記中心部と平行に延長される外側延長部を更に含む、請求項6に記載の磁性素子。
【請求項8】
前記エンド部は、
長さ方向から見ると、少なくとも一部分で中央から外側に行くほど幅がより広くなる形状を有する、請求項7に記載の磁性素子。
【請求項9】
前記コイルは第1コイル及び第2コイルを含み、
前記公差吸収部は前記長さ方向に垂直な幅方向に突出される曲面状を有し、
前記公差吸収部を間に挟んで前記第1コイルと前記第2コイルが離隔されて配置される、請求項8に記載の磁性素子。
【請求項10】
前記公差吸収部は、
前記ボビンの幅方向の周縁全体にわたって形成される、請求項9に記載の磁性素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁性素子に関し、より詳しくは、ボビンの長さが弾性変形可能に提供されて組立公差を吸収可能な磁性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ又はトランスフォーマーのような磁性素子はコアとコイルを含んで形成され、コイルの回転数に応じてインダクタンスが調整される。
【0003】
コアは一般に2つ以上が具備される。このような従来の磁性素子は、コイルとコア間の絶縁と円滑な回転数の確保のためにボビンを使用する。
【0004】
図1は、従来の磁性素子を示す図である。
【0005】
図1に示した従来の磁性素子はコア10とボビン20を含み、ボビン20の外側にコイル30を巻いてからボビン20の両側にコア10を締結することで形成される。
【0006】
この際、コアは第1コア11と第2コア12の2つが具備され、2つのコア11,12は接着剤又は接着テープによって結合される。2つのコア11,12が接する部分に接着剤を供給するか、2つのコア11,12の端部を互いに接触させてからその外側を接着テープで巻く方法が使用されていた。しかし、接着過程で2つのコアの端部間で間隙が発生すると、インダクタンス値に偏差が生じて正確な仕様の製品を製作することが難しいという限界がある。
【0007】
最近、電子機器及び電子部品が高性能化及び小型化されることにつれ、このような間隙をなくして組立正確度を向上させる構造が必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は磁性素子に関するものであり、より詳しくは、ボビンの長さが弾性変形可能に提供されて組立公差を吸収可能な磁性素子に関するものである。
【0009】
本発明は組立正確度を高め製造工程を単純化することができるため、製造原価を節減することができる磁性素子を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による磁性素子は、長さ方向に延長される中空部を具備するボビンと、ボビンの外側に巻かれるコイルと、前記ボビンの外側で前記ボビンと結合されるコアと、を含み、前記ボビンは外側にコイルが巻かれる第1巻取部と、前記第1巻取部の長さ方向の一側に具備されて外側にコイルが巻かれる第2巻取部と、前記第1巻取部と前記第2巻取部との間に具備される公差吸収部と、前記第1巻取部及び前記第2巻取部の外側に互いに対称に具備される締結部と、を含み、前記公差吸収部は長さ方向に弾性変形可能であることを特徴とする。
【0011】
前記締結部は、前記コアの長さ方向の外側面にかかるフックを含む。
【0012】
前記公差吸収部は、前記長さ方向に垂直な方法に盛り上がるか凹む曲面状を有する。
【0013】
前記コイルは第1コイル及び第2コイルを含み、前記公差吸収部は前記長さ方向に垂直な幅方向に盛り上がって突出される曲面状を有し、前記公差吸収部を間に挟んで前記第1コイルと第2コイルが離隔されて配置される。
【0014】
前記巻取部と前記締結部との間で前記長さ方向に交差する幅方向に外側に向かって突出する隔壁部を更に含む。
【0015】
前記隔壁部の長さ方向の外側及び前記締結部の幅方向の外側に具備される補強部を更に含む。
【0016】
前記コアは、前記フックがかかるエンド部と、前記エンド部から長さ方向の内側に向かって延長される中心部と、を含み、前記中心部が前記ボビンの中空部に挿入可能である。
【0017】
前記中心部の幅方向外側から前記中心部と平行に延長される外側延長部を更に含む。
【0018】
前記エンド部は、長さ方向から見る際、少なくとも一部分で中央から外側に行くほど幅がより広くなる形状を有する。
【0019】
前記公差吸収部は、前記ボビンの幅方向の周縁全体にわたって形成される。
【0020】
本発明によると組立正確度が高められて製造工程が単純化され、製造原価を節減することができながらもより高性能の磁性素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の磁性素子を概略的に示す平面図である。
図2】本発明の一実施例による磁性素子を示し斜視図である。
図3】本発明の一実施例による磁性素子の一部を示す斜視図である。
図4図3に示した磁性素子を示す分解斜視図である。
図5図3をAA線を中心に切断した側断面図である。
図6】本発明の一実施例による磁性素子に2つのコイルが具備された様子を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施例による磁性素子を示し斜視図である。
図8】本発明の他の実施例による磁性素子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して本発明の一実施例による移動端末機を説明する。
【0023】
図2は本発明の一実施例による磁性素子を示す斜視図であり、図3は本発明の一実施例による磁性素子示す斜視図であり、図4は本発明の一実施例による磁性素子を示す分解視図である。また、図5図3をAA線を中心に切断した側断面図であり、図6は本発明の一実施例による磁性素子の他の形態を示す斜視図である。
【0024】
図2乃至図6を参照すると、本発明の一実施例による磁性素子はコア100と、ボビン200と、コイル300と、ケース400を含む。
【0025】
コア100は複数個が具備される。即ち、2つ以上が具備される。本実施例では2つのコア100が含まれた場合を例に挙げて説明するが、それに限ることはない。
【0026】
コア100は長さ方向に並んで配置される第1コア110と第2コア120を含む。
【0027】
第1コア110はエンド部111、中心部112、外側延長部113を含む。
【0028】
エンド部111は長さ方向に交差する幅方向に延長されるプレート状を有し、大よそ矩形状を有する。ここで、幅方向は長さ方向に直行する方向である。
【0029】
中心部112はエンド部111の中央から長さ方向に内側に向かって延長される。
【0030】
外側延長部113はエンド部111の縁から長さ方向の内側に向かって延長される。即ち、外側延長部113は中心部112の幅方向の左右外側で中心部112と平行に延長される。外側延長部113は一つのコアに2つが具備される。
【0031】
一方、第2コア120は第1コア110と同じくエンド部121、中心部122、外側延長部123を含む。第2コア120は第1コア110と実質的に同じ構成を有し、長さ方向に互いに対称に具備される。即ち、第2コア120を構成するエンド部121、中心部122、外側延長部123が第1コアを構成するエンド部121、中心部122及び外側延長部123と実質的に同じであり、長さ方向に互いに対称である。よって、第2コア120の細部構成に対する説明は省略する。
【0032】
ボビン200は、巻取部210と、公差吸収部220と、締結部230と、隔壁部240と、補強部250を含む。そして、ボビン200の内側には長さ方向に延長される中空部260が具備される。即ち、ボビン200は中空の形状を有する。中空部260はボビン200を長さ方向に貫通するように形成される。
【0033】
巻取部210は長さ方向に長く延長される部分であり、内側は空いている。中央の空き空間にはコア100の中心部が挿入される。即ち、一側には第1コア110の中心部112が挿入され、他側には第2コア120の中心部122が挿入される。巻取部210は多角形の断面を有し、例えば、大よそ四角形の断面を有する。しかし、それに限ることはない。巻取部210は第1巻取部211と第2巻取部212を含む。この際、第1巻取部211と第2巻取部212の境界は後述する公差吸収部220によって区画される。即ち、公差吸収部220を中心に一側は第1巻取部211となり、他側は第2巻取部212となる。
【0034】
公差吸収部220は巻取部210の所定位置に具備される。即ち、第1巻取部211と第2巻取部212との間に位置する。公差吸収部220は長さ方向に弾性変形可能な素材又は形状で形成される。公差吸収部220は幅方向の周縁全体を囲むように具備される。しかし、それに限ることはなく、幅方向の周辺の一部にのみ具備されてもよい。一方、公差吸収部220は外側に盛り上がるか内側に凹む曲面状を有する。また、第1巻取部211、第2巻取部212及び公差吸収部220は一体に形成される。よって、ボビン200を長さ方向に伸ばそうとする外力が作用する場合には公差吸収部220の曲面が伸ばされ、即ち、曲率が小さくなり、ボビン200が長さ方向に延長される。よって、本発明の一実施例による磁性素子を組み立てる際、ボビン200の長さ方向の長さとコアの長さ方向との間で発生する組立公差を公差吸収部220が伸びながら吸収する。この際、公差吸収部220には伸ばされた状態でも元の形状に戻ろうとする復元力が作用する。
【0035】
一方、巻取部210の外側に巻かれるコイル300が複数個である場合、公差吸収部220がそれぞれコイル300が巻かれる位置を表示する機能をしてもよい。この場合、公差吸収部220が内側に凹んで形成されるよりは外側に突出されることがより好ましい。よって、公差吸収部220が複数のコイル300の間に位置してコイル300間の境界を分ける役割をする。
【0036】
一方、公差吸収部220が外側又は内側に突出する形状を有しない可能性もある。即ち、盛り上がるか凹む形状的な特徴によって伸ばされるのではなく、素材が有する特性によって長さ方向に弾性変形して伸ばされる可能性もある。この場合、公差吸収部220は第1巻取部211及び第2巻取部212とは異なる素材で形成されてもよく、例えば、ゴムなどの素材で形成される。
【0037】
一方、公差吸収部220は一つ以上具備されてもよい。即ち、複数個が具備されてもよい。
【0038】
締結部230は巻取部210の長さ方向の両端部に具備される。即ち、第1巻取部211の長さ方向の外側端部と第2巻取部212の長さ方向の外側端部にそれぞれ具備される。締結部230は長さ方向に延長され、その外側端部には複数のフック231が具備される。
【0039】
隔壁部240は締結部230と巻取部210の境界で幅方向の外側に向かって突出、延長される。隔壁部240は一対が互いに対称に位置する。即ち、第1巻取部211の外側と第2巻取部212の外側にそれぞれ具備される。
【0040】
補強部250は隔壁部240の長さ方向の外側及び締結部230の幅方向の外側に具備される。隔壁部240は長さ方向の内側端部が隔壁部240の長さ方向の外側面に接し、幅方向の内側端部が締結部230の幅方向の外側面に接する。補強部250は、長さ方向の外側に行くほど幅方向の高さが低くなる形状を有する。補強部250は締結部230の強度を補強する役割をする。磁性素子の結合組立過程で締結部230に大きい力が加えられる場合には締結部230が破損する恐れがあるため、補強部250が具備されて締結部230の強度を補強することで破損を防止する。
【0041】
コイル300はボビン200の外側に巻かれる。より詳しくは、巻取部210の外側に巻かれ、一対の隔壁部240の間に巻かれる。コイル300が複数個に構成される場合、公差吸収部220を境界に互いに離隔するように位置する。
【0042】
ちなみに、図6はコイル310,320が複数個具備された場合を示す。第1コイル310と第2コイル320が互いに公差吸収部220の両側に巻かれており、公差吸収部220を間に挟んで互いに離隔されている。コイル300は銅などの伝導性の優秀な素材で形成される。
【0043】
ケース400は図1に示しようにコア100の外側を囲む。ケース400はアルミニウムなどの素材で形成され、ケース400とコア100との間にはエポキシモールディング500が具備される。
【0044】
以下、前記のような構成を有する磁性素子の組立工程を説明する。
【0045】
まず、ボビン200の外側にコイル300を巻く。より詳しくは、巻取部210の外側で一対の隔壁部240の間にコイルを巻く。この際、コイル300が複数個である場合、公差吸収部220を境界に複数個のコイルを互いに離隔するように巻いてもよい。
【0046】
ボビン200の外側にコイル300が巻かれた後、ボビン200とコア100を結合させる。第1巻取部211の方に第1コア100を結合させ、第2巻取部212の方に第2コア120を結合させる。
【0047】
ボビン200とコア100を結合させる際にはボビン200の締結部230の外側端部に具備されたフック231がコア100の長さ方向の外側面にかかるようにするが、この過程で公差吸収部220の長さが伸ばされる。公差吸収部220が弾性変形して長さが伸びた状態で弾性復元力によって元の形状に戻ろうとするため、この復元力によって締結部230はコアの長さ方向の外側面を内側に加圧する。よって、コア100には常に長さ方向の内側に引っ張られる力が加えられる。
【0048】
よって、一対のコア110,120には常に互いに向かって密着しようとする力が加えられるため、コア110,120の間が広がることがなく組立が容易になる。即ち、第1コア110と第2コア120が互いに接する面に互いの接着のための別途の処理を必要としないか、接着のための処理を簡素化することができるため製造工程を簡素化することができる。
【0049】
以下、図7及び図8を参照して本発明の他の実施例による磁性素子の構成を説明する。
【0050】
図7は本発明の他の実施例による磁性素子を示す斜視図であり、図8図7に示した磁性素子の分解斜視図である。
【0051】
図7乃至図8を参照して説明する実施例による磁性素子は、図2乃至図6を参照して説明した実施例による磁性素子に比べるとコア600及びボビン700の形状面でその差がある。
【0052】
図7及び図8を参照すると、本発明の一実施例による磁性素子はコア600と、ボビン700と、コイル300を含む。また、コア600の外側を囲むケース(図示せず)を更に含む。
【0053】
コア600は複数個が具備される。即ち、2つ以上が具備される。本実施例では2つのコアが含まれた場合を例に挙げて説明するが、それに限ることはない。コア600は長さ方向に並んで配置される第1コア710と第2コア720を含む。
【0054】
第1コア610はエンド部611、中心部612、外側延長部613を含む。
【0055】
エンド部611は長さ方向に交差する幅方向に延長されるプレート状を有し、大よそ一部が中央から外側に行くほど幅が広くなる形状を有する。より詳しくは、中央部分は円形で形成され、円形の部分から幅方向の外側に向かって延長されるほどその幅が広がる形状を有する。
【0056】
中心部612はエンド部611から長さ方向に中央に向かって延長される。中心部612は大よそ円筒状を有する。中心部612はエンド部611の中央部分から延長される。よって、一対のコア610,620の中心部611,621それぞれは互いに向かって延長されるような形状を有する。
【0057】
外側延長部613は、中心部の幅方向左右外側から中心部612と平行に延長される。即ち、長さ方向に沿って延長される。外側延長部613はいずれか一つのコアに大よそ2つが具備される。外側延長部613はエンド部611の縁から長さ方向の内側に向かって延長される。外側延長部613の幅方向の外側面は、中心部612と大よそ同じ曲率中心を有する曲面で形成される。また、外側延長部613の幅方向の内側面は、中心部の幅方向の外側面と向かい合って平行に延長される曲面で形成される。
【0058】
一方、第2コア620は第1コア610と同じくエンド部621、中心部622、外側延長部623を含む。第2コア620は第1コア610と実質的に同じ構成を有し、長さ方向に互いに対称に具備されるため、第2コア620の細部構成に対する説明は省略する。
【0059】
ボビン700は、巻取部710と、公差吸収部720と、締結部730と、隔壁部740と、補強部750を含む。そして、ボビン700は長さ方向に沿って延長される大よそ円筒状を有し、その内側には長さ方向に延長される中空部760が具備される。中空部760はボビン200を長さ方向に貫通するように形成される。
【0060】
巻取部710は長さ方向に長く延長される円筒状を有し、その内側は空いている。中央の空き空間にはコア600の中心部612,622が挿入される。即ち、一側には第1コア610の中心部611が挿入され、他側には第2コア620の中心部622が挿入される。巻取部710は第1巻取部711と第2巻取部712で区分される。この際、第1巻取部711と第2巻取部712の境界は後述する公差吸収部720によって区画される。即ち、公差吸収部720を中心に一側は第1巻取部711となり、他側は第2巻取部712となる。
【0061】
公差吸収部720は巻取部710の所定位置に具備される。即ち、第1巻取部711と第2巻取部712との間に位置する。公差吸収部720は長さ方向に弾性変形可能な素材又は形状で形成される。公差吸収部720は幅方向の周縁全体を囲むように具備される。また、公差吸収部720は外側に盛り上がるか内側に凹む曲面状を有する。また、第1巻取部711、第2巻取部712及び公差吸収部720は一体に形成される。よって、ボビン700を長さ方向に伸ばそうとする外力が作用する場合には公差吸収部720の曲面が伸ばされ、即ち、曲率が小さくなり、ボビン700が長さ方向に延長される。よって、本発明の一実施例による磁性素子を組み立てる際、ボビン700の長さ方向の長さとコアの長さ方向との間で発生する組立公差を公差吸収部720が伸びながら吸収する。
【0062】
一方、巻取部710の外側に巻かれるコイル300が複数個である場合、公差吸収部720がそれぞれコイル300が巻かれる位置を表示する機能をしてもよい。この場合、公差吸収部720が内側に凹んで形成されるよりは外側に突出されることがより好ましい。よって、公差吸収部720が複数のコイル300の間に位置してコイル300間の境界を分ける役割をする。
【0063】
一方、公差吸収部720が外側又は内側に突出する形状を有しない可能性もある。即ち、盛り上がるか凹む形状的な特徴によって伸ばされるのではなく、素材が有する特性によって長さ方向に弾性変形して伸ばされる可能性もある。この場合、公差吸収部720は第1巻取部711及び第2巻取部712とは異なる素材で形成されてもよく、例えば、ゴムなどの素材で形成される。
【0064】
一方、公差吸収部720は一つ以上具備されてもよい。即ち、複数個が具備されてもよい。
【0065】
締結部730は巻取部710の長さ方向の両端に具備される。即ち、第1巻取部711の外側端部と第2巻取部712の外側端部にそれぞれ具備される。締結部730は長さ方向に延長され、その外側端部には複数のフック731が具備される。
【0066】
隔壁部740は締結部730と巻取部部710の境界で幅方向の外側に向かって突出、延長される。幅方向とは長さ方向に交差する方向をいい、より詳しくは、長さ方向に垂直の方向である。隔壁部740は一対が互いに対称に位置する。即ち、第1巻取部711の外側と第2巻取部712の外側にそれぞれ具備される。
【0067】
一方、本実施例による磁性素子は上述した実施例と同じく補強部(図示せず)を含む。補強部は締結部740の強度を補強する役割をする。
【0068】
コイル300はボビン700の外側に巻かれる。より詳しくは、巻取部710の外側に巻かれ、一対の隔壁部740の間に巻かれる。コイルは上述した実施例と同じであるため同じ図面符号を使用しており、反復的な説明は省略する。
【0069】
一方、本実施例による磁性素子は上述した実施例と同じくコア600の外側を囲むケース(図示せず)と、ケースとコアとの間に具備されるエポキシモールディングを含む。
【0070】
以下、前記のような構成を有する磁性素子の組立工程を説明する。
【0071】
まず、ボビン700の外側にコイル300を巻く。より詳しくは、巻取部710の外側で一対の隔壁部740の間にコイルを巻く。この際、コイル300が複数個である場合、公差吸収部720を境界に複数個のコイル300を巻いてもよい。
【0072】
ボビン700の外側にコイル300が巻かれた後、ボビン700とコア600を結合させる。第1巻取部711の方に第1コア110を結合させ、第2巻取部712の方に第2コア120を結合させる。
【0073】
ボビン700とコアを結合させる際にはボビン700の締結部730の外側端部に具備されたフック731がコア600の長さ方向の外側面にかかるようにするが、この過程で公差吸収部720の長さが長さ方向に伸ばされる。公差吸収部720が弾性変形して長さが伸びた状態で弾性復元力によって元の形状に戻ろうとするため、この復元力によって締結部730はコアの長さ方向の外側面を内側に加圧する。よって、コアには常に長さ方向の内側に引っ張られる力が加えられる。
【0074】
よって、一対のコアには常に互いに向かって密着しようとする力が加えられるため、コアの間が広がることがなく組立が容易になる。即ち、第1コア610と第2コア620が互いに接する面に互いの接着のための別途の処理を必要としないため、製造工程を簡素化することができる。
【0075】
一方、上述した実施例では公差吸収部220,720が巻取部210,710に具備される場合を例に挙げて説明したが、公差吸収部220,720が必ずしも巻取部210,710にのみ具備されることはなく、締結部230,730に具備されてもよい。
【0076】
上述した説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変更が可能なはずである。
【0077】
よって、本発明に開示された実施例は本発明の技術的思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。
【0078】
本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解析されるべきであり、それと同等な範囲内にある全て技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解析されるべきである。
図1
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図8