特許第5964903号(P5964903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964903
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】伸縮保護具
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B65D81/02 100
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-176975(P2014-176975)
(22)【出願日】2014年9月1日
(62)【分割の表示】特願2013-226673(P2013-226673)の分割
【原出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-3768(P2015-3768A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-242078(P2012-242078)
(32)【優先日】2012年11月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508078721
【氏名又は名称】岡葉流通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】岡山 良次
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−080865(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3181950(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00 − 81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物に装着して、この被梱包物を保護するよう、非編物製生地の素材による撥水性ある表生地と、裏生地と、これらの表生地、裏生地の間に介装された緩衝材と、裏生地の表面に緩衝材を介装させて被装された非編物製生地の素材による撥水性ある保護カバーあるいは前記表生地とが重ね合わせられてキルティング加工された五層構造の筒状の梱包保護具本体を備えて成る伸縮保護具において、裏生地は編物製生地であって、伸縮自在な糸素材が編み込まれて伸縮自在に伸張可能とされた伸縮性面素材によって形成されていて、前記保護カバーあるいは表生地、前記緩衝材、前記裏生地、前記緩衝材、前記表生地が伸長された状態で重ね合わせられてキルティング加工されて成り、被梱包物に装着するときの筒状の梱包保護具本体は、梱包保護具本体の筒方向に直交する周方向あるいは筒方向の各方向に沿った全ての面領域で伸縮自在にしてあって、筒状に形成した梱包保護具本体の少なくともいずれか一方の開口部を、所定形状の閉塞片の周縁を開口部に連設して閉塞したり、筒状部のいずれか一方の開口部を集束するよう窄めさせて閉塞したりして構成してあることを特徴とする伸縮保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移転、引越等に伴い家具、置物その他の各種物品を移動するときのこれらの物品である被梱包物を外部からの衝撃や接触による物損等から防止し、また雨水等からもこれらの被梱包物を保護でき、さらには移動時に限らず、各種物品の保管時の保護をも図ることができ、しかも軽量である伸縮保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移転、引越等に伴う各種の物品である被梱包物を保護するのに、特許文献1に示される家具運搬用保護カバーが提案されている。この保護カバーは、緩衝材を内部に封入した布製の筒状体の胴周方向にゴム紐を伸張した状態で配設すると共に、筒状体の全面にキルティング加工を施して成る。この保護カバーは、運搬すべき家具等の被梱包物に被せることで使用され、ゴム紐の弾力でフィットでき、家具の傷付きを防止し、不使用時では縮小されることで持ち運びが便利であるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−175668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1による保護カバーでは表布と裏布との間にポリエステル製白綿等を詰め、さらにゴム紐を内包状に縫製して成るキルティング材によるから、製造時において、複数本のゴム紐の全てを予め伸張させた状態で等間隔ごとに表布と裏布との間に配列させる必要がある。ただ、これらの作業は面倒であるばかりでなく、しかも複数のゴム紐を使用した分だけ保護カバー自体の価格も高いものとなる。
【0005】
また、特許文献1によれば、細い線状のゴム紐の伸縮性による1次元的な弾力でフィットさせているため、被梱包物に対する密着性およびその保護性能は十分に得られない。
【0006】
さらに、保護カバーの筒状体はその表裏による使用が一定のものとして構成してあるから、これの表裏反転の使用は困難である。このため、例えば被梱包物からの取り外し後に梱包具本体の表裏が反転した状態となった場合には、これを元通りにするのに時間がかかり非常に面倒である。
【0007】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、従来のようなゴム紐の組み込み使用を必要とせず、軽量にして安価で且つ簡易に製作でき、また梱包後の被梱包物に対する弾力フィット性を2次元的に拡張可能にすることで被梱包物に対する密着性を向上でき、移動時のみならず保管時においての被梱包物の保護はもとより、保護具自体を容易に取り扱うことができ、また表裏で反転使用できるようにした伸縮保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため本発明にあっては、被梱包物Pに装着して被梱包物Pを保護するよう表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装してキルティング加工した梱包保護具本体1を備えて成る伸縮保護具において、裏生地3は伸縮自在に編み込んで伸張可能とした伸縮性面素材によって形成されていて、この裏生地3と表生地2とを共に伸張させた状態で緩衝材4を挟み込んで重ね合わせてキルティング加工を施し、伸縮可能にしてあることを特徴とする。
表生地2、裏生地3は共に編物製生地によって、また、表生地2は織物製生地であり、裏生地3は編物製生地であるとして形成することができる。
編物製生地である裏生地3あるいは表生地2の表面には保護カバー15、好もしくは非編物製生地による素材例えば織物製生地の表生地2を伸縮可能に重ね合わせて被装することで形成することができる。
裏生地3は、伸縮自在な糸素材を編み込んで形成することができる。
梱包保護具本体1は、全方向に伸張可能に形成することができる。
梱包保護具本体1は、裏生地3の伸張方向が少なくとも胴周方向となるようにキルティング加工された筒状に形成することができる。
筒状に形成した梱包保護具本体1の少なくともいずれか一方の開口部11を、所定形状の閉塞片13の周縁を開口部11に連設して閉塞したり、筒状部のいずれか一方の開口部11を集束するよう窄めさせて閉塞したりして構成することができる。
キルティング加工により一体化して成る表生地2と裏生地3とは、例えば撥水剤の塗布等によって撥水性を有して成るものとすることができる。
また、具体的には、被梱包物Pに装着して被梱包物Pを保護するよう表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装してキルティング加工することで三層構造とした梱包保護具本体1を備えて成る伸縮保護具において、裏生地3は編物製生地であって、伸縮自在に編み込んで伸張可能とした伸縮性面素材によって形成されていて、裏生地3と表生地2とを共に伸張させた状態で緩衝材4を挟み込んで重ね合わせてキルティング加工を施して成り、被梱包物Pに装着するときの筒状の梱包保護具本体1は少なくともその胴周方向に沿って伸縮自在にしてあることを特徴とする。
あるいは、梱包保護具本体1は、表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装すると共に、裏生地3の表面に保護カバー15あるいは表生地2を被装してキルティング加工して四層構造としたり、表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装すると共に、裏生地3の表面に緩衝材4を介装させて保護カバー15あるいは表生地2を被装してキルティング加工して五層構造としたりすることができる。
また、具体的には、被梱包物Pに装着して、この被梱包物Pを保護するよう、非編物製生地の素材による撥水性ある表生地2と、裏生地3と、これらの表生地2、裏生地3の間に介装された緩衝材4と、裏生地3の表面に緩衝材4を介装させて被装された非編物製生地の素材による撥水性ある保護カバー15あるいは前記表生地2とが重ね合わせられてキルティング加工された五層構造の筒状の梱包保護具本体1を備えて成る伸縮保護具において、裏生地3は編物製生地であって、伸縮自在な糸素材が編み込まれて伸縮自在に伸張可能とされた伸縮性面素材によって形成されていて、前記保護カバー15あるいは表生地2、前記緩衝材4、前記裏生地3、前記緩衝材4、前記表生地2が伸長された状態で重ね合わせられてキルティング加工されて成り、被梱包物Pに装着するときの筒状の梱包保護具本体1は、梱包保護具本体1の筒方向に直交する周方向あるいは筒方向の各方向に沿った全ての面領域で伸縮自在にしてあって、筒状に形成した梱包保護具本体1の少なくともいずれか一方の開口部11を、所定形状の閉塞片13の周縁を開口部に連設して閉塞したり、筒状部のいずれか一方の開口部11を集束するよう窄めさせて閉塞したりして構成してあることを特徴とする。
【0009】
以上のように構成された本発明に係る伸縮保護具を構成する梱包保護具本体1にあって、伸縮自在に編み込んで伸張可能とした伸縮性面素材によって形成されている裏生地3は、これを伸張させることで筒状の梱包保護具本体1を拡張し、これの内部に被梱包物Pの収納空間を形成させる。また、梱包保護具本体1は、裏生地3を伸縮性面素材による編物製生地とすることで、従来、構成資材として必要とされていたゴム紐の組み込み使用を不要とさせる。
また、裏生地3は、伸縮自在な糸素材を編み込んで形成することで、梱包保護具本体1の伸縮性を一層増大させ、織物製生地とした表生地2を窄めさせ、伸張させる。
編物製生地である裏生地3、表生地2の表面に被装した伸縮可能な非編物製生地による素材である保護カバー15は、非梱包物Pとの接触その他でほつれ等が生じやすい編物製生地である裏生地3、表生地2を保護し、長期にわたる使用を可能にさせる。
表生地2、緩衝材4、裏生地3のキルティング加工による三層構造とした梱包保護具本体1は、軽量に構成できることで取り扱いを容易にし、表生地2、緩衝材4、裏生地3、保護カバー15(表生地2)のキルティング加工による四層構造とした梱包保護具本体1は、編物製生地の裏生地3に生じ得るほつれ等を防止し、表生地2、緩衝材4、裏生地3、緩衝材4、保護カバー15(表生地2)のキルティング加工による五層構造とした梱包保護具本体1は、被梱包物Pの保護を一層有効にさせる。
筒状の梱包保護具本体1において、裏生地3の伸張方向が少なくとも胴周方向となるようにキルティング加工されていることで、当該裏生地3を胴周方向に伸張させるだけで当該梱包保護具本体1の内部に被梱包物Pの筒状の収納空間を形成させる。
このように裏生地3の伸張方向が胴周方向となるようにキルティング加工された筒状の梱包保護具本体1は、裏生地3の胴周方向の収縮力により梱包保護具本体1内の被梱包物Pを全面にわたって緊密に被包させる。
表生地2、裏生地3の撥水性は、梱包保護具本体1の例えば屋外での使用に際し、被梱包物Pに対する雨水等による汚損を未然に防止させる。
しかも、取り外し後に梱包保護具本体1の表裏が反転した状態となった場合でも、表生地2と裏生地3とが撥水性を有しているため、被梱包物Pの移動その他に際し、例えば雨水があたることがあっても梱包保護具本体1の内外周面における撥水作用で雨水等をはじき、被梱包物Pを外部湿気から保護させる。
また、梱包保護具本体1における伸縮性、緩衝性によって、運搬移動する家具その他の被梱包物Pに限らず、各種物品の長期間あるいは一時的な保管に際する当該物品の損傷防止、保護に役立たせる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、従来のように伸縮させるためのゴム紐の付設を必要とせずに、伸縮保護具を軽量にして安価で且つ簡易に製作でき、また梱包後の被梱包物Pに対する弾力フィット性を2次元的に拡張可能にすることで被梱包物Pに対する密着性を向上でき、移動、保管時の被梱包物Pの保護はもとより、梱包保護具本体1自体の取り扱いも容易にし、また表裏を反転した使用も可能にする。
【0011】
すなわち、これは本発明に係る伸縮保護具を構成する梱包保護具本体1において、裏生地3は、伸縮自在な糸素材を編み込んで伸張可能とした伸縮性面素材によって形成されていて、この裏生地3と表生地2とを共に伸張させた状態で緩衝材4を挟み込んで重ね合わせてキルティング加工を施して成るからである。これにより、従来のように複数のゴム紐を各伸張した状態で配置してキルティング加工を施すという面倒な作業が不要となり、伸縮性面素材によって形成された1枚の裏生地3を生地面に沿って伸張させた状態でキルティング加工を施すという簡易な作業で梱包保護具本体1を安価に製作できる。しかも、梱包後の被梱包物Pに対する弾力フィット性を2次元的に拡張しているので、梱包保護具本体1の内外周面を反転して被梱包物Pを包覆するよう装着しても当該被梱包物Pに対する緊密な被包機能は損なわれず、使い勝手も向上する。
【0012】
表生地2、裏生地3を共に編物製生地によって形成したり、あるいは表生地2は織物製生地、裏生地3は編物製生地であるとして形成したりしたので、従来のようなゴム紐を不要とした梱包保護具本体1を安価に製作できる。
【0013】
編物製生地である裏生地3、表生地2の表面には、伸縮可能な非編物製生地による素材である保護カバー15を被装してあるので、非梱包物Pに被せて使用したときの被梱包物Pとの接触その他によって編物製生地である場合に生じやすいほつれ等を防止でき、長期にわたって使用できるようにする。
【0014】
また、表生地2、緩衝材4、裏生地3のキルティング加工による三層構造とした梱包保護具本体1は、軽量に構成できるので、被梱包物Pに対しての被せ、取り外す等に際しての取り扱いを容易にさせ、作業を効率的に遂行できる。
【0015】
更に、表生地2、緩衝材4、裏生地3、保護カバー15あるいは表生地2のキルティング加工による四層構造とした梱包保護具本体1は、保護カバー15等によって裏生地3を保護でき、表裏反転使用による汎用性によって取り扱いを容易にさせる。
【0016】
表生地2、緩衝材4、裏生地3、緩衝材4、保護カバー15あるいは表生地2のキルティング加工による五層構造とした梱包保護具本体1は、裏生地3の表裏に配した緩衝材4が二重になっていることで被梱包物Pの保護を一層有効にし、編物生地製の裏生地3自体の保護はもとより、表裏反転使用に際しても作業者にとって表裏を意識することなく全く同様に使用できる。
【0017】
梱包保護具本体1は、全方向に伸張可能に形成することで、梱包後の被梱包物Pに対する弾力フィット性が全面にわたって拡張され、これによって被梱包物Pに対する緊密な被包機能が得られる。
【0018】
また、梱包保護具本体1は、裏生地3の伸張方向が少なくとも胴周方向となるようにキルティング加工された筒状にして形成することで、伸縮性面素材によって形成された1枚の裏生地3を胴周方向に伸張させた状態でキルティング加工を施すという簡易な作業で梱包保護具本体1を安価に製作できると共に、裏生地3の胴周方向の収縮力により被梱包物Pを緊密に被包させることができる。
【0019】
筒状に形成した梱包保護具本体1の少なくともいずれか一方の開口部11を、所定形状の閉塞片13の周縁を開口部11に連設して閉塞したり、筒状部のいずれか一方の開口部11を集束するよう窄めさせて閉塞したりして構成したので、開放されている方の開口部11によって被梱包物Pに被せるだけで良い。こうすることで例えば被梱包物Pの上方から覆うことで上面側は完全に包覆されたものとなり、例えば上方から降り注ぐ雨水等によっても被梱包物Pが濡れることはない。そればかりでなく、被梱包物Pの上面をも包覆させていることによって上方からの衝撃等から被梱包物Pを保護できる。
【0020】
また、被梱包物Pの周囲、上下部等の全面を梱包保護具本体1によって覆うことで、あらゆる方向からの衝撃に対して被梱包物Pを保護でき、保護の安定性、安全性等を一層向上できる。
【0021】
キルティング加工により緩衝材4を挟み込んで重ね合わせて一体化されて成る表生地2と裏生地3とは撥水性を有して成るので、表生地2の撥水性によって被梱包物Pへの装着、包覆時の雨水等の浸入を阻止させ、被梱包物Pを十分に保護できる。また、梱包保護具本体1の内外周面を反転して被梱包物Pを包覆したときでも被梱包物P自体の湿気分による保護が十分に確保される。
【0022】
また、梱包保護具本体1は、緩衝材4による緩衝機能、表生地2、裏生地3自体の編物構成あるいは糸素材による伸縮機能を利用して移動、運搬する被梱包物Pのみならず、長期間あるいは一時的にでも保管する各種物品の保護カバーとしても使用可能である。例えばオートバイ用ヘルメット保管時の転動による損傷防止、ゴルフバッグ保管時の外部からの損傷防止、さらにはソファその他の家具に装着してのクッション材代用品、身体各部保護用のサポーターとしての使用等、各種用途に利用できる汎用性がある。
【0023】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を実施するための一形態を示す一部を拡大した切欠斜視図である。
図2】同じく使用状態の一例における一部を拡大した切欠斜視図である。
図3】表生地側から見た梱包保護具本体の伸縮状態を説明するもので、(a)は梱包保護具本体が収縮した状態の要部平面図、(b)は梱包保護具本体が伸張した状態の要部平面図である。
図4】同じく梱包保護具本体の伸縮状態を説明するもので、(a)は梱包保護具本体が収縮した状態の要部断面図、(b)は梱包保護具本体が伸張した状態の要部断面図である。
図5】裏生地の一例を示すもので、(a)は裏生地が収縮した状態の要部平面図、(b)は裏生地が伸張した状態の要部平面図である。
図6】裏生地の他例を示すもので、(a)は裏生地が収縮した状態の要部平面図、(b)は裏生地が伸張した状態の要部平面図である。
図7】同じく他の実施の形態における四層構造とした梱包保護具本体の伸縮状態を説明するもので、(a)は梱包保護具本体が収縮した状態の要部断面図、(b)は梱包保護具本体が伸張した状態の要部断面図である。
図8】同じく他の実施の形態における五層構造とした梱包保護具本体の伸縮状態を説明するもので、(a)は梱包保護具本体が収縮した状態の要部断面図、(b)は梱包保護具本体が伸張した状態の要部断面図である。
図9】筒状に形成した梱包保護具本体の他の例を示すもので、(a)は筒状部の一方開口部を窄めさせて面ファスナー帯で閉塞した状態の要部斜視図、(b)は筒状部の一方開口部を閉塞片で閉塞する状態の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明すると、図において示される符号1は、本発明に係る伸縮保護具を構成する梱包保護具本体であり、被梱包物Pに被せ、装着するために、例えば上下が開放された筒状(図1および図2参照)に形成されている。
【0026】
梱包保護具本体1は、例えば布帛等の織物製生地による表生地2と、後述する合成樹脂製の伸縮自在な糸素材による織物あるいは編物製生地による裏生地3とを備え、これらの表生地2、裏生地3相互間に例えばポリエステル製の綿、天然綿、スラブウレタンシート、スポンジ、綿布等の緩衝材4を介装した状態で全面をキルティング加工することで三層構造としてある。尚、表生地2は、裏生地3と同様に伸縮自在な編物製生地によって形成することも可能であり、実質的には表生地2、裏生地3の少なくともいずれか一方がそれ自体で伸縮自在に伸張されるようになっていて、その伸張に伴い、窄まっている他方が展開・展延されることで縮小傾向の弾発作用が得られるものとなっていれば良い。
【0027】
すなわち、このキルティング加工された梱包保護具本体1は、図3および図4に示すように、表生地2と裏生地3との間に緩衝材4が挟み込まれることで、緩衝材4が介装された三層構造のものとなっており、所定の方向に伸張した状態の裏生地3と、平坦状態で展延・展開されている緩衝材4、表生地2とが重ね合わせられて全面にわたって縫合されていることで形成される。梱包保護具本体1を例えば筒状に構成するとき、裏生地3は筒方向に直交する周方向である胴周方向に沿って縮小される傾向に弾発付勢されるように、胴周方向に沿って伸張された状態で表生地2と縫合され、その後に筒状に形成される。筒状の梱包保護具本体1とするには、伸縮されるようシート状に縫合された後、その辺縁同士を縫着したり、スライドファスナー、面ファスナー、釦その他によって着脱・開閉可能なものとしたりして筒状に構成される。
【0028】
この梱包保護具本体1自体は、図示のように筒状に形成する場合に限らず、平坦なシート状に形成することも可能であり、また例えば所定幅員の帯状、ベルト状に形成したり、ループ状に形成したりすることも可能であり、被梱包物Pの形態に応じて様々な態様の梱包保護具本体1とすることができる。
【0029】
緩衝材4を介装した表生地2と裏生地3との縫合状態は、図3(b)に示すように、例えば等間隔に平行となるよう直線縫い糸6が縫い付けられ、さらに斜め格子状、もしくは互いに隣接する複数の縦ジグザグ状等となるように斜縫い糸5が縫い付けられて成る。こうすることで、梱包保護具本体1は斜縫い糸5および直線縫い糸6の縫製長手方向に対して直角方向に伸縮自在となる。これにより裏生地3が伸張前の元の状態に縮小した場合には、図3(a)および図4(a)に示すように、この縮小に伴って、互いに隣接する直線縫い糸6同士が近接方向に移動するため、表生地2は緩衝材4と共に上方に向けて断面コブ状に隆起した状態となって窄められる。
【0030】
裏生地3を形成する伸縮性面素材は、全方向に伸張可能とするように構成することもでき、この場合、裏生地3は、全方向に伸張させた状態で平坦状にした表生地2と縫合されるもので、裏生地3自体の伸張状態が解放されると、梱包保護具本体1全体が窄まり状となる(図示せず)。
【0031】
また、裏生地3自体の伸縮性面素材は、伸縮自在な糸素材、例えば伸縮性ある合成樹脂製の糸素材によって織り込むことで形成でき、さらには編み込むことでその伸縮性を一層増大させることができる。すなわち、裏生地3は2次元的な平面構造であるため筒状とした梱包保護具本体1の筒方向に直交する周方向あるいは筒方向(図1中、上下方向)の各方向で例えば好ましくは均等に、すなわち全ての面領域で伸び率が一定の弾性収縮力が得られるようになる。
【0032】
具体的な裏生地3の織成用あるいは編成用の糸素材としては、例えば東レ・オペロンテックス株式会社製の高伸縮性を有するポリウレタン弾性繊維またはPTT複合繊維等の「ライクラ(登録商標)ファイバー」が使用されるが、これらに限定されるものではない。そして、例えば、図5に示すように、互いに重なり合った蛇行状のニット編み目7に沿って、透明なライクラ(登録商標)ファイバーが他の繊維と共に編み込まれて成ることで、裏生地3の2次元的な伸縮性が生まれる。すなわち、このようなニット編み目7により、図5(a)の収縮状態から、図5(b)に示すように、太字の矢印で示した4方向、さらには全ての方向に伸張させたものとすることができ、いずれにしてもその伸張状態が容易に得られるようにしてある。
【0033】
裏生地3の他例としては、図6に示すように、ライクラ(登録商標)ファイバーを織物の横糸8に、または縦糸9および横糸8の両方に使うこともできる。すなわち、ファイバーを織物の横糸8に使った場合の織込みにより、図6(a)の収縮状態から、図6(b)に示すように、太字の矢印で示した二方向に伸張した状態が容易に得られる。
【0034】
また、梱包保護具本体1の表生地2と裏生地3、すなわち筒状の梱包保護具本体1の内外周面である表裏の両面は撥水性を備えたものとしてあり、表生地2の形成素材が例えば布帛である場合にはその表面に例えば撥水剤10(図4参照)を例えば塗布、噴霧等してある。もとより、裏生地3の形成素材自体が後述するように合成樹脂製の糸素材のものであれば撥水性ある合成樹脂素材の糸素材を採用する等とすることができる。
【0035】
梱包保護具本体1は、図7あるいは図8に示すように四層構造あるいは五層構造とすることができる。図7に示す実施の形態にあっての梱包保護具本体1は、表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装すると共に、裏生地3の表面に保護カバー15あるいは表生地2を被装してキルティング加工することで形成される四層構造として成る。保護カバー15は、好もしくは非編物製生地による素材としてあって、編物製生地である裏生地3による伸縮に対応して伸縮可能に重ね合わせて裏生地3等と一体化してあり、この裏生地3が編物製生地であることによって、例えば被梱包物Pに被せられたときに僅かな凹凸部分に引っ掛かること等で生じるほつれ等を防止するようにしている。尚、この保護カバー15は、例えば織物製生地である表生地2とすることも可能である。
【0036】
図8に示す実施の形態にあっての梱包保護具本体1は、表生地2と裏生地3との間に緩衝材4を介装すると共に、裏生地3の表面に緩衝材4を介装させて保護カバー15あるいは表生地2を被装してキルティング加工することで形成される五層構造として成る。尚、保護カバー15は、図7に示される実施の形態における保護カバー15と同様で、特に異なるところはない。この実施の形態では、編物生地製の裏生地3の表裏にほぼ同一の積層構造が形成されることで、裏生地3の保護はもとより、表裏反転使用時でも同様に使用できると共に、二重の緩衝材4構造によって被梱包物Pの保護を一層確実にする。
【0037】
尚、これらの図7図8に示す実施の形態において、上記の三層構造のものと同様にこれを筒状、袋状に形成するも、シート状に形成するも被梱包物Pに応じて任意に選定でき、また、被梱包物Pの外形、その梱包形態に対応して種々な形状、態様のものとして変更可能であるのは勿論である。
【0038】
梱包保護具本体1を、被梱包物Pを例えば上方から覆うようにした袋状形態とすることができ、この場合、筒状に形成すると共にいずれか一方の開口部11を閉塞することで、例えば被梱包物Pの上面側から覆うように下部が開口された構成とする。すなわち、図9(a)に示すように、筒状部のいずれか一方の開口部11を集束するよう窄めさせ、窄めさせた周囲を巻回固定する例えば面ファスナー帯12もしくはテープ、紐材、スライドファスナー(図示せず)等にて閉塞すること等で構成する。
【0039】
あるいは、図9(b)に示すように、筒状に形成したときの梱包保護具本体1いずれか一方の開口部11を、所定形状例えば円形状、あるいは矩形状その他の多角形状の閉塞片13の周縁を開口部11に縫い合わせたり、接合したり等によって連設して閉塞する。もとより、袋状形態とする場合に、被梱包物Pに対応させて構成されるもので、被梱包物Pの上方から被せるようにしたり、あるいは梱包保護具本体1内に被梱包物Pが収納されて、開口部11に付設した提手によって持ち運びができるようにしたりすることも可能である(図示せず)。尚、閉塞片13は伸縮可能に、例えば梱包保護具本体1と同様な構成とすることもできる。
【0040】
さらには、梱包保護具本体1は、被梱包物Pの全体に装着して全面的に包覆させるよう、開閉自在な蓋片を有する袋状に形成することも可能である。いずれにしても、梱包保護具本体1自体は、シート状で適当な綴じ具で筒状に形成されるようになっていたり、それ自体で筒状に形成されていたり、また、必要に応じ閉塞可能にした開口部を備えた袋状に形成されていたり、開閉される蓋部材等を備えた袋状に形成されていたりすれば良く、これらは被梱包物Pの形態、その梱包状況、保護状況等によって適宜に選択される。
【0041】
また、筒状あるいは袋状に構成された梱包保護具本体1の表裏は反転可能に、すなわち筒状による梱包保護具本体1に対する周囲の囲繞形態あるいは袋状による被梱包物Pの包覆形態のいずれによっても、これらの配置使用形態の外周側面、内周側面相互を反転させて使用できるように、いわゆるリバーシブル形態として構成することができる。この場合、表裏面で異なる色彩となるように適宜に彩色しておくと良い。
【0042】
尚、梱包保護具本体1自体は、例えば大、中、小等の長さ、径等が各種に異なるタイプのものとして複数種で構成しておき、被梱包物Pに対応してそれらが選択されて使用されるようにしておくと良い。
【0043】
また、図示を省略したが、被梱包物Pが例えばゴルフクラブ等のスポーツ娯楽用品等である場合に、梱包保護具本体1自体がこれらを収納し保持できるような、小径で細長袋状としたり、クラブヘッドに被せるヘッドカバーとしたりすることができる。さらには、保管時に転動しやすいオートバイヘルメットを包覆して、その損傷防止を図り、ソファー・椅子等の家具類に装着して使用するときの損傷防止とクッション材代用品として、身体各部を保護するサポーターとして、また緩衝材4による緩衝機能、断熱機能を活用しての保温・保冷バッグとして等の多用途に利用でき、このようにそれぞれの用途に対応した構成とすることが可能である。さらに必要に応じ、携帯し、持ち運びやすくするための手提げ部を付設して良い。
【0044】
次にこれの使用の一例を説明すると、図2に示すように被梱包物Pに対応して所定大きさの梱包保護具本体1によって被梱包物Pに装着し、これを包覆するように、裏生地3を強制的に伸張させて被せれば良い。被せた後は、図4(b)に示すように、裏生地3自体の収縮作用で被梱包物P周囲に密着し、緩衝材4によって外部からの衝撃等に対して被梱包物Pを保護するものとなる。
【0045】
被梱包物Pの運搬後には、当該被梱包物Pから梱包保護具本体1が一端の開口部11から捲るようにして取り外されるため、取り外し後には梱包保護具本体1の表裏が反転した状態となる。このような場合であっても表生地2、裏生地3は撥水性を有しているため、被梱包物Pの移動その他に際し、例えば雨水があたることがあっても梱包保護具本体1の内外周面における撥水作用で雨水等をはじき、被梱包物Pを外部湿気から保護する。
【符号の説明】
【0046】
P…被梱包物
1…梱包保護具本体 2…表生地
3…裏生地 4…緩衝材
5…斜縫い糸 6…直線縫い糸
7…ニット編み目 8…横糸
9…縦糸 10…撥水剤
11…開口部 12…面ファスナー帯
13…閉塞片
15…保護カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9