(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2組成物が、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、請求項1に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記第2組成物が、レオロジー測定に基づいて1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、請求項1に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
活性薬剤含有層/活性薬剤不含層の重量比率が、1〜5または1.5〜3の範囲にあるか、あるいは2または2.5である、請求項5に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記医薬剤形が、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定した場合に、ゼロ次の放出速度に従って活性薬剤を放出する溶出速度を提供する、請求項1から8のいずれか一項に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記医薬剤形が、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定した場合に、時間当たりで活性薬剤の5重量%〜15重量%が放出される溶出速度を提供する、及び/又は1時間後に活性薬剤の5重量%〜15重量%が放出される溶出速度を提供する、及び/又は2時間後に活性薬剤の10重量%〜30重量%が放出される溶出速度を提供する、及び/又は4時間後に活性薬剤の20重量%〜60重量%が放出される溶出速度を提供する、及び/又は8時間後に活性薬剤の40重量%〜100重量%が放出される溶出速度を提供する、請求項1から9のいずれか一項に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記第1組成物が、前記ポリエチレンオキシドの少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チチリジン、トラマドール、これらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記オピオイド鎮痛薬が、ヒドロコドンおよびヒドロモルフォン、またはこれらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
5mg〜250mgの重酒石酸ヒドロコドンまたは1mg〜100mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む、及び/又は5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、45mg、60mg、または80mg、90mg、100mg、120mg、または160mgの重酒石酸ヒドロコドン、あるいは2mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、32mg、または64mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む、請求項1から14のいずれかに記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、医薬剤形の活性薬剤不含第2層を形成する第2組成物を含み、前記第2組成物が、少なくとも90重量%のポリエチレンオキシドを含む、請求項1から19に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
前記持続放出性マトリックス製剤が、少なくとも120N、少なくとも130N、または少なくとも140Nのクラック発生荷重、および/あるいは少なくとも1.2mm、少なくとも1.4mm、少なくとも1.5mm、または少なくとも1.6mmの「クラック発生までの侵入深さ」距離を有する、及び/又はクラックを発生させずに少なくとも0.06Jの仕事に抵抗する、請求項21に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
250〜400、または270〜350の投与後平均AUC(ng*h/mL)を提供する、または10〜30、12〜25、14〜18、または12〜17の投与後平均Cmax(ng/mL)を提供する、請求項28に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
1500〜2400、1700〜2200、1800〜2100、または1900〜2100の投与後平均AUC(ng*h/mL)を提供する、または60〜180、または80〜160の投与後平均Cmax(ng/mL)を提供する、請求項29に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
摂食状態での投与後平均AUC(ng*h/mL)が、絶食状態での投与後AUC(ng*h/mL)に比べて、20%未満、16%未満、または12%未満高い、または摂食状態での投与後平均Cmax(ng/mL)が、絶食状態での投与後Cmaxに比べて、80%未満、70%未満、または60%未満高い、または摂食状態での投与後平均Tmax(h)が、絶食状態での投与後のTmax(h)の35%以内、または30%以内にある、または摂食状態での投与後平均T1/2(h)が、絶食状態での投与後のT1/2の15%以内にある、または摂食状態での投与後平均Tlag(h)が、絶食状態での投与後のT1/2に比べて、150%未満大きい、請求項24に記載の持続放出性固形経口医薬剤形。
ステップd)で、前記持続放出性マトリックス製剤を、低くても60℃、低くても62℃、低くても68℃、低くても70℃、低くても72℃または低くても75℃の温度にさらす、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
前記オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チチリジン、トラマドール、これらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
前記オピオイド鎮痛薬が、ヒドロコドンおよびヒドロモルフォン、またはこれらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
前記剤形が、0.5mg〜1250mgの重酒石酸ヒドロコドンまたは1mg〜100mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む、及び/又は少なくとも5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、45mg、60mg、80mg、90mg、120mg、または160mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む、又は少なくとも2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg、48mg、または64mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む、請求項49に記載の方法。
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドが、レオロジー測定に基づいて2,000,000〜8,000,000または2,000,000、4,000,000、7,000,000、または8,000,000の概略分子量を有する、請求項37から50のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これより、本発明をより詳細に説明する。初めに、本明細書中で使用される種々の用語を説明する。
【0019】
用語「持続放出性」は、本発明の目的に関して、活性薬剤を含む通常の剤形(例えば、溶液または即時放出性剤形)に比較して、該活性薬物を摂取後長期にわたって利用可能にするように製剤され、それによって、投与頻度の低減を可能にする該活性薬物を含む多層剤形を指すと定義される。
【0020】
用語「即時放出性」は、本発明の目的に関して、活性薬剤の溶出または吸収の遅延または延長なしに活性薬剤が胃腸管中で放出されることを可能にするように製剤化されている、活性薬剤を含む剤形を指すと定義される。
【0021】
用語「ゼロ次の放出速度」は、剤形中に残存している活性薬剤の量と無関係であり、結果として、その期間にわたって比較的一定である、剤形からの活性薬剤の放出速度を指す。ゼロ次の放出速度を示す剤形は、その期間中の時間に対する放出された活性薬剤のパーセントのグラフ表現において比較的まっすぐな線を提示する。本発明によれば、「ゼロ次の放出方式に本質的には従う放出速度」は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中でのインビトロ溶出によって測定した場合に、2〜12時間の経過時間に対して50%、40%、または30%以内で比例する、剤形からの活性薬剤の放出速度として定義される。一実施形態において、放出速度は、2〜12時間の経過時間に対して20%以内で比例する。別の実施形態において、放出は、2〜18時間の経過時間に対して50%、40%、または30%以内で比例する。別の実施形態において、放出速度は、2〜18時間の経過時間に対して20%以内で比例する。経過時間(例えば2〜12時間)に対する特定%(例えば20%)以内での比例は、前記経過時間(例えば2〜12時間)中の放出速度を使用して計算できる時間当たり平均放出速度からのこのような特定%(例えば20%)の差異が許容されることを意味する。
【0022】
用語「多層」は、本発明の持続放出性製剤が、少なくとも3つの層を備えたサンドイッチ型構造、または2つの層を備えた半サンドイッチ型構造を有することを意味する。
【0023】
この文脈において、用語「サンドイッチ型構造」は、2つを超える層を含む任意の三次元構造を意味する(
図1のAおよびBを参照されたい)。しかし、「サンドイッチ型」構造は、層の1つが、1つまたは複数の別の層によって完全に覆われ、包まれ、または囲まれている構造を叙述するものではない(例えば、
図1のGを参照されたい)。また、殻によって包まれた芯を有する構造は、「サンドイッチ型構造」の意味に包含されない。
【0024】
「半サンドイッチ型構造」は、2つの層の配列であるが(例えば、
図1のC〜Eを参照されたい)、一方の層が、第2の層によって完全には覆われまたは囲まれていない(
図1のFのように)ことを条件とする。また、殻によって包まれた芯を有する構造は、「サンドイッチ型構造」の意味に包含されない。
【0025】
用語「層」は、本発明の文脈中で使用される場合、本質的には平面の形態を指すだけではなく、任意の形態または形状を包含することに留意されたい。
図1のDは、互いに関して非平面配向状の2つの層を描写している。
【0026】
用語「持続放出性固形経口医薬剤形」は、「持続放出性マトリックス製剤」などの持続放出性形態中に単位用量の活性薬剤、および任意選択で、保護コーティングまたはカプセルなどの当技術分野で通常的な1種または複数のその他の賦形剤、補助薬および/または添加剤、および任意選択で、該剤形中で有用であるその他の付加的な特性付与成分または成分を含む医薬の投与形態を指す。
【0027】
用語「持続放出性マトリックス製剤」は、本発明の目的に関して、それぞれ少なくとも第1および第2層を形成する第1および第2組成物を含む成形された固形形態と定義され、該組成物のどちらか一方または双方は、少なくとも高分子量ポリエチレンオキシドを含む。
【0028】
「持続放出性マトリックス多層製剤」は、少なくとも1種の活性薬剤を含む第1層(以後、「活性薬剤含有層」または「活性層」とも呼ばれる)を含む。第1層は、少なくとも1つの別の層、例えば、第1層の少なくとも1種の活性薬剤を含まない少なくとも1つの第2層(以後、「活性薬剤不含層」または「遮蔽層」とも呼ばれる)と直接的に接触している。「活性薬剤含有層」は少なくとも1種の活性薬剤を含み、「活性薬剤不含層」は前記活性薬剤の少なくとも1種を含まない。どちらの層も、その他の1種または複数の活性薬剤、遅延剤、および/または限定はされないが低分子量ポリエチレンオキシドおよび当技術分野で通常的なその他の補助薬および添加剤をはじめとするその他の材料を任意選択で含むことができる。活性薬剤含有層は、その表面領域が活性薬剤不含層(群)によって覆われていることを除けば、周囲の媒体に暴露されている。活性薬剤含有層の表面が活性薬剤不含層で覆われている場合、その活性薬剤不含層(群)は、周囲の媒体の活性薬剤含有層への直接的接近を妨げる。活性薬剤含有層の全表面領域は、いったん活性薬剤不含層が完全に溶解した場合にのみ、周囲の媒体に完全に暴露される。活性薬剤は、周囲の媒体に暴露された活性剤含有層の表面から溶出することができ、かつ、いったん活性薬剤不含層が水和すると、活性薬剤は、前記活性薬剤含有層の表面から拡散によって、活性薬剤不含層を通過することもできる。
【0029】
特別に指摘しない限り、分子量の数値は、すべてダルトンによる。
【0030】
用語「高分子量ポリエチレンオキシド」は、本発明の目的に関して、少なくとも1,000,000の概略分子量を有すると定義される。本発明の目的に関して、概略分子量は、レオロジー測定に基づく。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの2重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.1を10rpm、25℃で使用して、400〜800mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、1,000,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの2重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.3を10rpm、25℃で使用して、2000〜4000mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、2,000,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの1重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.2を2rpm、25℃で使用して、1650〜5500mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、4,000,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの1重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.2を2rpm、25℃で使用して、5500〜7500mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、5,000,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの1重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.2を2rpm、25℃で使用して、7500〜10,000mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、7,000,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの1重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.2を2rpm、25℃で使用して、10,000〜15,000mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、8,000,000の概略分子量を有すると見なされる。
【0031】
より低分子量のポリエチレンオキシドに関して、ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの5重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVT型、スピンドルNo.1を50rpm、25℃で使用して、30〜50mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、100,000の概略分子量を有すると見なされる。ポリエチレンオキシドは、前記ポリエチレンオキシドの5重量%水溶液が、ブルックフィールド粘度計RVF型、スピンドルNo.2を2rpm、25℃で使用して、8800〜17,600mPas(cP)の範囲の粘度を示す場合に、900,000の概略分子量を有すると見なされる。
【0032】
用語「低分子量ポリエチレンオキシド」は、本発明の目的に関して、上で概略を述べたレオロジー測定に基づいて、1,000,000未満の概略分子量を有すると定義される。
【0033】
用語「硬化」または「温度硬化」は、本発明の目的に関して、成形される持続放出性マトリックス製剤に対して大気圧において高められた温度を印加する処理ステップを指すと定義される。
【0034】
用語「熱成形」は、本発明の目的に関して、持続放出性マトリックス製剤の成形前および/または成形中に高められた温度を印加する処理を指すと定義され、例えば、圧力および熱は、押出し、射出成形、または例えば加熱された打錠器具を使用することによる錠剤圧縮中の加熱などの処理ステップ中に、同時的に印加される。
【0035】
用語「直接圧縮」は、本発明の目的に関して、錠剤またはその他任意の圧縮された剤形が、製剤の成分を乾式混合するステップ、および該乾式混合物を圧縮して製剤を形成するステップを含む方法によって、例えば、拡散ブレンドおよび/または対流混合法を使用して作製される打錠方法を指すと定義される(例えば、産業向けガイダンス、SUPAC−IR/MR:即時放出性および調節放出性固形経口剤形、製造装置補遺)。
【0036】
用語「自由流動錠剤床」は、本発明の目的に関して、例えば適切な回転速度に設定されたコーティングパン中または錠剤の流動床中のように、相対的な運動状態が保持されている錠剤のバッチを指すと定義される。自由流動錠剤床は、好ましくは、錠剤が互いに固着することを低減または防止する。
【0037】
用語「平坦化」および関連用語は、本発明による錠剤またはその他の剤形の平坦化の文脈で使用される場合、錠剤またはその他の剤形が、例えば錠剤の平坦面に対して圧力を印加することによって、該剤形の最大直径に実質上垂直な方向から印加される荷重にさらされることを意味する。その荷重は、(別途明白に言及しない限り)carver型ベンチプレスを用い、目標平坦度/減厚を達成するのに必要な程度まで印加することができる。本発明の特定の実施形態によれば、平坦化は、錠剤をばらばらにする破壊を起こすことはないが、端部割落およびクラックが発生する可能性がある。平坦度は、非平坦化錠剤の厚さと比較した平坦化錠剤の厚さを、非平坦化錠剤の厚さを基準にした%厚さで表現して記述され得る。錠剤だけでなく、平坦化は、任意形状の固形経口剤形に適用することができ、その荷重は、形状が球形以外である場合には該剤形の最大直径に対して実質上垂直な方向から印加され、形状が球形の場合には任意の方向から印加される。次いで、その平坦度は、非平坦化形状の厚さと比較した平坦化形状の厚さを、非平坦化形状の厚さを基準にした%厚さで表現して記述され得る。厚さは、シックネスゲージ(例えば、デジタルシックネスゲージまたはデジタルキャリパー)を使用して測定され得る。
【0038】
本発明の特定の実施形態において、錠剤/剤形を平坦化するには、ベンチプレスだけでなく、ハンマーを使用できる。このような平坦化方法では、ハンマー打撃が、錠剤の最大直径に対して実質上垂直な方向から手動で印加され得る。次いで、平坦度は、非平坦化形状の厚さと比較した平坦化形状の厚さを、非平坦化形状の厚さを基準にした%厚さで表現して記述され得る。厚さは、シックネスゲージ(例えば、デジタルシックネスゲージまたはデジタルキャリパー)を使用して測定される。
【0039】
対照的に、参照により本明細書に組み込まれるRemington's Pharmaceutical Science、第18版、1990年、第89章「Oral Solid Dosage Forms」1633〜1665頁に記載されているような、シュロイニガー装置を使用する破壊強度および錠剤硬度試験を実施する場合、錠剤/剤形は、平行に配置された一対の平板の間に置かれ、該平板を使って、荷重が、厚さに対して実質上垂直にかつ錠剤の直径と実質上一直線に印加され、それによって、その方向で直径を減じるように圧縮される。この縮小した直径は、破壊強度試験を実施する前の錠剤直径を基準にした%直径によって記述される。破壊強度または錠剤硬度は、被試験錠剤/剤形が壊れる時点での荷重として記述される。壊れないが、印加された荷重により変形する錠剤/剤形は、その特定の荷重に対して耐破壊性であると見なされる。
【0040】
錠剤/剤形の強度を定量化するためのさらなる試験は、TA−XT2テクスチャーアナライザー(Texture Technologies Corp.、18 Fairview Road、Scarsdale、ニューヨーク 10583)などのテクスチャーアナライザーを使用する圧子圧入試験である。この方法で、錠剤/剤形は、表面がわずかに凹状のステンレス鋼製スタンドの上部に置かれ、続いて、TA−8A 1/8インチ直径ステンレススチール製球状プローブなどのテクスチャーアナライザーの降下プローブによって侵入される。測定開始前に、錠剤を、プローブの下に降下プローブが錠剤を回転軸で、すなわち錠剤の中心に侵入するように、そして降下プローブの荷重が直径に対して実質上垂直にかつ錠剤の厚さと実質上一直線をなして印加されるように整列する。まず、テクスチャーアナライザーのプローブは、錠剤サンプルに向かって試験前速度で移動し始める。プローブが錠剤表面に接触し、設定されたトリガー荷重に到達すると、プローブは、試験速度でその移動を継続し、錠剤に侵入する。以後「距離」と呼ぶプローブのそれぞれの侵入深さに対して、対応する荷重を測定し、データを収集する。プローブが所望の最大侵入深さに到達したなら、プローブは方向を変えて試験後速度で元に移動し、そして、さらなるデータを収集できる。クラック発生荷重は、対応荷重/距離ダイアグラム中で到達する最初の極大点の荷重であると定義され、例えば、テクスチャーアナライザーのソフトウェア「Texture Expert Exceed、バージョン2.64英語版」を使用して計算される。何らかの理論に拘泥されるものではないが、この時点では、錠剤/剤形に対する若干の構造的損傷が、クラック発生の形態で発生すると思われる。しかし、本発明の特定の実施形態によりクラックの発生した錠剤/剤形は、降下プローブに対する継続的抵抗性によって証明されるように、凝集したままである。最初の極大点に対応する距離は、以後、「クラック発生までの侵入深さ」距離と呼ばれる。
【0041】
本発明の特定の実施形態の目的に関して、用語「破壊強度」は、シュロイニガー装置を使用して好ましくは測定され得る錠剤/剤形の硬度を指すが、用語「クラック発生荷重」は、テクスチャーアナライザーを使用する圧子圧入試験で好ましくは測定され得る錠剤/剤形の強度を反映する。
【0042】
上述のような圧子圧入試験から得ることのできる持続放出性マトリックス製剤のさらなるパラメーターは、持続放出性マトリックス製剤が、上述のような圧子圧入試験にかけられる際の仕事である。該仕事の値は、距離にわたる力の積分に相当する。
【0043】
用語「破砕に対して抵抗性のある」は、本発明の特定の実施形態の目的に関して、上述のようなベンチプレスを用いて、破壊されず少なくとも平坦化され得る剤形を指すと定義される。特定の実施形態では、剤形を、破壊せずに、約60%以下の厚さ、約50%以下の厚さ、約40%以下の厚さ、約30%以下の厚さ、約20%以下の厚さ、約10%以下の厚さ、または約5%以下の厚さまで平坦化することができる。
【0044】
本発明の特定の実施形態の目的に関して、本発明の剤形は、それぞれの剤形が、40%エタノールを含む37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、エタノールを含まない37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された対照剤形の対応するインビトロ溶出速度から後記時点のそれぞれで約30%を超えて、約20%を超えてまたは約15%の限度を超えては逸脱しない、0.5時間、0.5および0.75時間、0.5、0.75および1時間、0.5、0.75、1および1.5時間、または0.75、1、1.5および2時間の溶出で放出される活性薬剤のパーセント量を特徴とするインビトロ溶出速度をもたらす場合に、「アルコール抽出に対して抵抗性がある」と見なされる。
【0045】
用語「不正改変抵抗性のある」は、本発明の目的に関して、少なくとも上で定義したような破砕に対する抵抗性またはアルコール抽出に対する抵抗性、または双方を提供し、かつさらに不正改変抵抗特性を有することのできる剤形を指す。
【0046】
本発明の目的に関して、用語「活性薬剤」は、治療目的に関して有用な薬学的活性物質と定義される。特定の実施形態において、用語「活性薬剤」は、オピオイド鎮痛薬を指す。
【0047】
本発明の目的に関して、用語「オピオイド鎮痛薬」には、オピオイド群から選択され、かつ鎮痛効果を提供する単一化合物または化合物の組成物、例えば、ある単一のオピオイド作用薬またはオピオイド作用薬の組合せ、ある単一のオピオイド作用−拮抗混合薬またはオピオイド作用−拮抗混合薬の組合せ、またはある単一の部分オピオイド作用薬または部分オピオイド作用薬の組合せ、あるいはオピオイド作用薬、オピオイド作用−拮抗混合薬および部分オピオイド作用薬の1種または複数のオピオイド拮抗薬、その立体異性体、エーテル、エステル、塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの組成物との組合せなどが含まれる。
【0048】
本明細書中で開示される本発明は、例えばオピオイド鎮痛薬としての活性薬剤のそれらの塩基形態またはそれらの任意の薬学上許容される塩の形態での使用を包含することを明確に意味する。
【0049】
薬学上許容される塩には、限定はされないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩;およびナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩が含まれる。
【0050】
本発明により使用される、例えばオピオイド鎮痛薬としての活性薬剤は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、かつエナンチオマー、ジアステレオマー、またはその他の立体異性体の形態を生じさせることができる。本発明は、すべてのこのような考え得る形態、ならびにそれらのラセミ形態およびその分割された形態および組成物を包含することを意味する。活性薬剤が、オレフィン性二重結合またはその他の幾何的不斉中心を含む場合には、EおよびZの双方の幾何異性体を含むと解釈される。すべての互変異性体も、やはり本発明に包含されると解釈される。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「立体異性体」は、それらの原子の空間的配向のみを異にする個々の分子からなるすべての異性体に対する包括的用語である。それには、エナンチオマー、および1つを超えるキラル中心を有し互いに鏡像でない化合物からなる異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0052】
用語「キラル中心」は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
【0053】
用語「エナンチオマー」または「エナンチオマー性」は、その鏡像に重ね合わせることができず、それゆえ、光学的に活性である分子を指し、エナンチオマーは、偏光面を一方向に回転させ、その鏡像体は、偏光面をその反対方向に回転させる。
【0054】
用語「ラセミ」は、等しい割合のエナンチオマーからなり、光学的に不活性である混合物を指す。
【0055】
用語「分割」は、ある分子の2つのエナンチオマー形の中の一方を分離、濃縮、または減らすことを指す。
【0056】
血漿中薬物濃度−時間曲線を説明するC
max、T
max、AUC
t、AUC
infなどの薬物動態パラメーターは、臨床試験において、まず、健常ヒト被験者などの多くの被験者に対する活性薬剤、例えばオキシコドンの単回投与によって取得することできる。次いで、個々の被験者の薬物動態パラメーター値を平均化し、例えば平均AUC、平均C
maxおよび平均T
max値がそれぞれ得られる。本発明の文脈において、別途明確に指摘しない限り、AUC、C
maxおよびT
maxなどの薬物動態パラメーターは、平均値を指す。さらに、本発明の文脈において、AUC、C
max、T
max、および鎮痛効力に関する値などのインビボパラメーターは、ヒト被験者への定常状態または単回での投与後に得られるパラメーターまたは値を指す。
【0057】
C
max値は、活性薬剤に関して観察された最高血漿中濃度を指す。T
max値は、C
max値に到達した時点を指す。換言すれば、T
maxは、最高血漿中濃度が観察された時点である。
【0058】
AUC(曲線下面積)値は、血漿中薬物濃度−時間曲線の面積に相当する。AUC値は、全体として血液循環中に吸収された活性薬剤の量に比例し、それゆえ、バイオアベイラビリティの尺度である。
【0059】
AUC
t値は、投与時刻から血漿中薬物濃度が測定可能な最終時点までの、血漿中薬物濃度−時間曲線下面積に相当し、線形上昇/対数降下の台形法則によって計算される。
【0060】
AUC
infは、無限時間まで外挿された血漿中薬物濃度−時間曲線下面積であり、式:
【0061】
【数1】
を使用して計算され、式中、C
tは測定可能な最終時点での血漿中濃度であり、λ
zは見かけの終末相速度定数である。
【0062】
λ
zは、見かけの終末相速度定数であり、λ
zは、終末相中の対数濃度対時間プロフィールの線形回帰による勾配の大きさである。
【0063】
t
1/2zは、見かけの血漿中終末相半減期であり、一般にはt
1/2z=(In2)/λ
zとして求められる。
【0064】
遅延時間t
lagは、測定可能な最初の血漿中薬物濃度値の直前の時点と判断される。
【0065】
C
24/C
maxの比は、24時間およびC
maxの時点での血漿中薬物濃度の比率に相当する。
【0066】
用語「健常ヒト被験者」は、身長、体重、および血圧などの生理学的パラメーターに関して平均的な値を有する男性または女性を指す。本発明の目的に関して、健常ヒト被験者は、臨床試験規制調和国際会議(ICH)の勧告に基づきかつ一致した組入れおよび除外の基準に従って選択される。
【0067】
したがって、組入れ基準には、体重が50〜100kg(110〜220ポンド)の範囲、ボディマスインデックス(BMI)が18以上かつ34以下(kg/m
2)の18〜50歳(両端を含む)の男女であること;被験者は、健常であり、かつ医療歴、診察、バイタルサインおよび心電図によって判定した場合に重大な異常所見がないこと;妊娠および出産の潜在能力をもつ女性なら、追加的な殺精子薬の泡またはゼリー、子宮内器具、ホルモン避妊(ホルモン避妊薬単独は容認できない)を用いる防壁などの十分かつ信頼できる避妊法を使用していることに相違ないこと;閉経後の女性なら、1年以上月経が閉止し、かつ高められた血清中卵胞刺激ホルモン(FSH)を有することに相違ないこと;および被験者は、治験中に供給されるすべての食物を自発的に摂食することが含まれる。
【0068】
さらなる組入れ基準は、被験者が治験中を通して激しい運動を控えること;および彼らが新たな運動プログラムを開始せず、いかなる異常に激しい身体運動にも参加しないこととすることができる。
【0069】
除外基準には、女性が妊娠中(β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン検査陽性)または授乳中であること;5年間の薬物またはアルコール濫用の何らかの履歴または現状;薬物の吸収、分布、代謝または排泄を妨害する可能性のある状態の履歴または何らかの現状;過去30日間のオピオイド含有医薬の使用;ヒドロコドン、ナルトレキソンまたは関連化合物に対する既知の感受性履歴;病因とは関係なく頻繁な吐き気または嘔吐の何らかの履歴;現に後遺症を伴う発作または頭部外傷の何らかの履歴;この治験での最初の投与に先立つ30日間中での臨床薬物治験への参加;この治験での最初の投与に先立つ30日間中の何らかの重大な疾病;最初の投与に先立つ7日間中の甲状腺ホルモン補充療法(ホルモン避妊は許される)、ビタミン、生薬および/またはミネラル栄養補助食品を含む何らかの薬剤の使用;異常な心臓の状態;治験薬の投与に先立つ10時間および投与に続く4時間の間または投与に続く4時間の間、食物を絶つことの拒絶ならびに各拘束中にカフェインまたはキサンチンを完全に絶つことの拒絶;治験薬の最初の投与(1日目)の48時間以内または治験薬の最初の投与に続く任意時点でのアルコール飲料の消費;治験薬投与から45日以内の喫煙またはニコチン製品使用の履歴あるいは尿中コチニン検査陽性;臨床治験プロトコールにより必要とされる場合を除き、治験薬の投与に先立つ60日以内または治験中の任意の時点および治験の完了後30日間で献血された血液または血液製品;治験により必要とされる場合を除き、治験薬の投与に先立つ14日以内または治験中の任意の時点で提供された血漿;各期間のチェックインの時点での尿中薬物検査、アルコール検査、およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)、C型肝炎抗体(抗−HCV)に関する陽性結果;塩酸ナロキソン負荷試験陽性:ジルベール症候群または任意の既知肝胆道異常の存在;ならびに治験責任医師が、上で具体的に述べていない理由(群)により被験者が不適任であると考えることが含まれる。
【0070】
すべての組入れ基準に合致し除外基準のいずれにも合致しない被験者は、無作為化されて治験に入れられる。
【0071】
登録される集団は、インフォームドコンセントに署名する被験者からなる群である。
【0072】
無作為化される安全集団は、無作為化され、治験薬を受け入れ、かつ少なくとも1回の投与後安全性評価を有する被験者からなる群である。
【0073】
PK計測値に関する完全解析集団は、無作為化され、治験薬を受け入れ、かつ少なくとも1回の有効PK計測値を有する被験者からなる群である。投与後24時間以内に嘔吐を経験している被験者は、データベースを閉じる前にPKプロフィールの目視検査に基づいて除外される可能性もある。解析から除外される被験者およびプロフィール/計測値は、統計解析計画書中で文書化される。
【0074】
塩酸ナロキソン負荷試験の場合、塩酸ナロキソン負荷試験に先立ってバイタルサインおよびパルスオキシメトリー(SPO
2)を収得する。塩酸ナロキソン負荷は、静脈内または皮下で投与されうる。静脈内経路の場合、ニードルまたはカニューレを、投与中、腕に留めるべきである。0.2mgの塩酸ナロキソン(0.5mL)を静脈内注射で投与する。被験者を、離脱の前兆または症候の証拠に関して30秒間観察する。次いで、0.6mgの塩酸ナロキソン(1.5mL)を静脈内注射で投与する。被験者を、離脱の前兆および症候に関して20分間観察する。皮下経路の場合、0.8mgの塩酸ナロキソン(2.0mL)を投与し、被験者を、離脱の前兆および症候に関して20分間観察する。20分間の観察に続いて、塩酸ナロキソン負荷試験後のバイタルサインおよびSPO
2を収得する。
【0075】
バイタルサインには、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数、呼吸数、および口内温度が含まれる。
【0076】
「いかがですか?」(HDYF?)の質問に関して、被験者は、各バイタルサインの測定に際し「検査以来/最後に質問されて以来の健康状態に何か変化がありましたか?」などの非誘導的な「いかがですか?」の質問を受ける。被験者の応答を評価し、有害事象を報告すべきであるか否かを判定する。被験者は、また、治験中の他の任意時点で発生している有害事象を自発的に報告するように奨励される。
【0077】
摂食治療を受けている各被験者は、「Guidance for Industry:Food−Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies」(米国保健社会福祉省、食品医薬品局、医薬品評価研究センター、2002年12月)に従った標準高脂肪含有食を消費する。食事は、投与30分前に提供され、投与5分前までに食事が完了するように25分間にわたって一様な速度で摂食される。
【0078】
臨床治験の過程で実施される臨床検査評価には、生化学検査(少なくとも10時間絶食して)、血液検査、血清検査、尿検査、薬物濫用の検査、およびさらなる試験が含まれる。
【0079】
生化学検査評価(少なくとも10時間絶食して)には、アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(アラニントランスアミナーゼ、ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(アスパラギン酸トランスアミナーゼ、AST)、カルシウム、塩化物、クレアチニン、グルコース、無機リン酸塩、カリウム、ナトリウム、総ビリルビン、総タンパク質、尿素、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、直接ビリルビンおよびCO
2の測定が含まれる。
【0080】
血液検査評価には、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板数、赤血球数、白血球数、白血球分画(%および絶対値)、好塩基球、好酸球、リンパ球、単球および好中球の測定が含まれる。
【0081】
血清検査評価には、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎表面抗体(HBsAb)およびC型肝炎抗体(抗−HCV)の測定が含まれる。
【0082】
尿検査の評価には、色、外観、pH、グルコース、ケトン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、潜血、タンパク質、白血球エステラーゼ、微視的および巨視的評価、比重の測定が含まれる。
【0083】
濫用薬物の検査には、アヘン類、アンフェタミン類、カンナビノイド類、ベンゾジアゼピン類、コカイン、コチニン、バルビツレート類、フェンシクリジン、メタドンおよびプロポキシフェンに関する尿検査、ならびに血中アルコールおよび酒気検知器検査などのアルコール検査が含まれる。
【0084】
女性だけのためのさらなる検査には、血清妊娠検査、尿妊娠検査、および血清中卵胞刺激ホルモン(FSH)検査(自己報告された閉経後の女性のみに対して)が含まれる。
【0085】
これより、本発明をより詳細に説明する。
【0086】
一実施形態において、本発明は、持続放出性マトリックス多層製剤を含む持続放出性固形経口医薬剤形であって、持続放出性マトリックス製剤が、
(1)(a)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドおよび
(b)少なくとも1種の活性薬剤を含む、持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有第1層を形成する第1組成物;ならびに
(2)少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤不含第2層を形成する第2組成物を含む、上記持続放出性固形経口医薬剤形に関する。
【0087】
1つの特定の実施形態において、第2組成物は、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む。
【0088】
1つの特定の実施形態において、第2組成物は、レオロジー測定に基づいて1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む。
【0089】
活性薬剤
1つの特定の実施形態において、持続放出性固形経口医薬剤形中の活性薬剤は、オピオイド鎮痛薬から選択される。オピオイド鎮痛薬は、1種または複数のオピオイド作用薬を含むか、それらのオピオイド作用薬からなることができる。
【0090】
本発明で有用なオピオイド作用薬には、限定はされないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトフェプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物などが含まれる。
【0091】
上述のようなオピオイド作用薬と組み合わせて有用なオピオイド拮抗薬は、例えば、ナロキソン、ナルトレキソンおよびナルメフェン、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物などを含む。
【0092】
特定の実施形態において、オピオイド鎮痛薬は、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物、上記のいずれかの混合物などから選択される。
【0093】
特定の実施形態において、オピオイド鎮痛薬は、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、あるいはそれらの薬学上許容される塩、例えば、ヒドロモルフォン塩酸塩またはヒドロコドン重酒石酸塩である。剤形は、約1mg〜約100mgの塩酸ヒドロモルフォン、約0.5mg〜約1250mgの重酒石酸ヒドロコドン、または約2mg〜約200mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。その他の塩、誘導体または形態が使用されるなら、限定はされないが水和物および溶媒和物または遊離塩基を含む、等モル量の他の任意の薬学上許容される塩、誘導体または形態を使用できる。剤形は、例えば、5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、45mg、60mg、80mg、90mg、100mg、120mgまたは150mgの重酒石酸ヒドロコドン、あるいは等モル量の遊離塩基または他の任意の薬学上許容されるその塩、誘導体もしくは形態(限定はされないが、その水和物および溶媒和物を含む)を含むことができる。剤形は、例えば、2mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、32mgまたは64mgの塩酸ヒドロモルフォン、あるいは等モル量の遊離塩基または他の任意の薬学上許容されるその塩、誘導体もしくは形態(限定はされないが、その水和物および溶媒和物を含む)を含む。
【0094】
特定の実施形態では、他の活性薬剤を、唯一の活性薬剤として、またはオピオイド鎮痛薬と組み合わせて本発明により使用するために、選択することができる。このような他の活性薬剤の例には、抗ヒスタミン薬(例えば、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンおよびマレイン酸デクスクロルフェニラミン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ナプロキセン、ジクロフェナック、インドメタシン、イブプロフェン、スリンダック、Cox−2阻害薬)およびアセトアミノフェン、制吐薬(例えば、メトクロプラミド、メチルナルトレキソン)、抗癲癇薬(例えば、フェニトイン、メプロブメート(meprobmate)およびニトラゼパム)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼムおよびニカルジピン)、鎮咳薬および去痰薬(例えば、リン酸コデイン)、抗喘息薬(例えば、テオフィリン)、制酸薬、鎮痙薬(例えば、アトロピン、スコポラミン)、抗糖尿病薬(例えば、インスリン)、利尿薬(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルチアジド)、抗低血圧薬(例えば、プロパノロール、クロニジン)、抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドーパ)、気管支拡張薬(例えば、アルブテロール)、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)、抗痔疾薬、睡眠薬、向精神薬、止瀉薬、粘液溶解薬、鎮静薬、鬱血除去薬(例えば、プソイドエフェドリン)、緩下薬、ビタミン、賦活薬(フェニルプロパノールアミンなどの食欲抑制薬を含む)およびカンナビノイド、ならびにその薬学上許容される塩、水和物および溶媒和物が含まれる。
【0095】
特定の実施形態において、本発明は、単独でまたはオピオイド鎮痛薬と組み合わせた、活性薬剤としてのCox−2阻害薬の使用、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第10/056347号および11/825938号に開示されているようなメロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2N−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキサミド−1,1−ジオキシド);参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第10/056348号に開示されているようなナブメトン(4−(6−メトキシ−2−ナフチル)−2−ブタノン);参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第11/698394号に開示されているようなセレコキシブ(4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド);参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第10/057630号に開示されているようなニメスリド(N−(4−ニトロ−2−フェノキシフェニル)メタンスルホンアミド)、および参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第10/057632号に開示されているようなN−[3−(ホルミルアミノ)−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルホンアミド(T−614)などのCox−2阻害薬の使用を対象とする。
【0096】
本発明は、また、例えば、ベンゾジアゼピン類、バルビツレート類またはアンフェタミン類などの活性薬剤を利用する剤形を対象とする。
【0097】
用語「ベンゾジアゼピン類」は、ベンゾジアゼピン類、および中枢神経系を抑制することのできるベンゾジアゼピンの誘導体である薬物を指す。ベンゾジアゼピン類には、限定はされないが、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、メチルフェニデート、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物、および混合物が含まれる。本発明で使用できるベンゾジアゼピン拮抗薬には、限定はされないが、フルマゼニル、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物が含まれる。
【0098】
バルビツレート類は、バルビツール酸(2,4,6−トリオキソヘキサヒドロピリミジン)から誘導される鎮静−睡眠薬を指す。バルビツレート類には、限定はされないが、アモバルビタール、アプロバルボタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メトヘキシタール、メフォバルビタール、メタバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物、および混合物が含まれる。本発明で使用できるバルビツレート拮抗薬には、限定はされないが、アンフェタミン、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物が含まれる。
【0099】
賦活薬には、限定はされないが、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタアンフェタミン、メチルフェニデートなどのアンフェタミン類、ならびにそれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物、および混合物が含まれる。本発明で使用できる賦活薬の拮抗薬には、限定はされないが、ベンゾジアゼピン類、ならびにこれらの薬学上許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物が含まれる。
【0100】
半サンドイッチ型またはサンドイッチ型構造
図1のFおよびGに示す形状を除き、本発明の持続放出性多層マトリックス製剤は、少なくとも2つの別個の層が存在するとの条件で、任意の物理的形状、例えば、立方形、長方形、卵形、球形などの形状を有することができる。2つの層は、同一の大きさの体積(体積%で)を有することができ、あるいは異なる大きさの体積を有することができる。本発明により考えられる物理的形状の例を
図1のA〜Eに示す。
図1のFおよびGは、本発明に包含されない物理的形状を示す。
【0101】
本発明の特定の実施形態において、活性薬剤含有層および活性薬剤不含層は、肉眼で互いに区別できず、それによって、活性薬剤の濫用に対する障害を提供している。活性薬剤含有層および活性薬剤不含層の肉眼区別不能性を評価するために利用できる1つの測定は、CIE L*A*B*値によって2つの層の色を測定することである。好ましくは、2つの層のCIE L*A*B*値は互いに10%以内にある。色を評価するためのもう1つの測定は、RYBまたはRGB色相環の使用であり、その場合、2つの層は、好ましくは同一色相または隣接色相に該当する。
【0102】
活性薬剤含有層と活性薬剤不含層または遮蔽層との重量比率は、約1〜約5または約1.5〜約3の範囲でよく、約2または約2.5である。
【0103】
組成物
活性薬剤含有層の組成物は、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシド、および少なくとも1種の活性薬剤を含む。
【0104】
活性薬剤不含層の組成物は、活性薬剤含有層中に存在するいかなる活性薬剤も含まない。活性薬剤不含層の組成物は、少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む。特定の実施形態において、ポリエチレンオキシドは、レオロジー測定に基づき少なくとも1,000,000の概略分子量を有する。特定の他の実施形態において、ポリエチレンオキシドは、レオロジー測定に基づき1,000,000未満の概略分子量を有する。
【0105】
さらなる特定の実施形態において、活性薬剤含有層および活性薬剤不含層のそれぞれの組成物は、25%未満の乳糖を含む。
【0106】
さらなる特定の実施形態において、活性薬剤含有層および活性薬剤不含層のそれぞれの組成物は、乳糖を本質的に含まない。
【0107】
さらなる特定の実施形態において、活性薬剤含有層および活性薬剤不含層のそれぞれの組成物は、硬化ヒマシ油を本質的に含まない。
【0108】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層および活性薬剤不含層のそれぞれの組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを本質的に含まない。
【0109】
特定の実施形態では、組成物に、酸化防止剤、例えば、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)が添加される。
【0110】
さらなる特定の実施形態において、第1組成物(活性薬剤含有層の)は、少なくとも約60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%のポリエチレンオキシドを含む。
【0111】
さらなる特定の実施形態において、第2組成物(活性薬剤不含層の)は、少なくとも約90重量%のポリエチレンを含む。
【0112】
上記実施形態の特定の実施形態において、活性薬剤不含層を形成する組成物は、少なくとも約91重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%のポリエチレンオキシドを含む。
【0113】
特定の実施形態によれば、活性薬剤不含層を形成する組成物は、いかなる活性薬剤も含まない。他の実施形態によれば、活性薬剤不含層を形成する組成物は、いかなるオピオイド拮抗薬、嘔吐性または苦い物質も含まない。
【0114】
特定の実施形態によれば、多層/二層剤形の層は、肉眼的に区別できず、それによって、それらの目視外観に基づく少なくとも2つの層の選別を防ぐ。
【0115】
特定の実施形態において、多層/二層剤形の層は、互いに強固に固着しており、それによって、互いに層を容易に切り離すことを防ぎ、かつ剤形の活性薬剤含有層中に存在するオピオイド鎮痛薬の濫用を妨げる。
【0116】
本発明の特定の実施形態において、組成物は、活性薬剤含有層中に少なくとも約60重量%のポリエチレンオキシドを、活性薬剤不含層中に少なくとも約90重量%のポリエチレンオキシドを含む。
【0117】
さらなる特定の実施形態において、高分子量ポリエチレンオキシドは、レオロジー測定に基づいて2,000,000〜8,000,000の概略分子量を有する。
【0118】
さらなる特定の実施形態において、高分子量ポリエチレンオキシドは、レオロジー測定に基づいて2,000,000、4,000,000、7,000,000、または8,000,000の概略分子量を有する。
【0119】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載のような層化された持続放出性マトリックス製剤を、硬化されたまたは非硬化の製剤に層化された芯を取り囲んでポリエチレンオキシド粉末層を塗布すること、および任意選択で、粉末で層化された本明細書に記載のような製剤を硬化することによって、ポリエチレンオキシド粉末層でオーバーコートすることができる。このような外側のポリエチレンオキシド層は、活性薬剤の放出が始まる前の遅延時間、および/またはより緩慢な総合的放出速度を提供することができる。このような外側層は、活性薬剤含有層の特定量の活性薬剤を含んでも、含まなくてもよい。
【0120】
本発明のさらなる態様によれば、持続放出性固形経口医薬剤形中の、好ましくは活性薬剤として塩酸ヒドロモルフォンまたは重酒石酸ヒドロコドンを含む剤形中の持続放出性マトリックス製剤の密度は、約1.20g/cm
3以下である。好ましくは、密度は、約1.19g/cm
3以下、約1.18g/cm
3以下、または約1.17g/cm
3以下である。例えば、持続放出性マトリックス製剤の密度は、約1.10g/cm
3〜約1.20g/cm
3、約1.11g/cm
3〜約1.20g/cm
3、または約1.11g/cm
3〜約1.19g/cm
3の範囲にあればよい。好ましくは、密度は、約1.12g/cm
3〜約1.19g/cm
3、約1.13g/cm
3〜約1.19g/cm
3、より好ましくは約1.13g/cm
3〜約1.18g/cm
3の範囲にある。
【0121】
持続放出性マトリックス製剤の密度は、好ましくは、既知密度(ρ
0)の液体を使用し、アルキメデスの原理によって測定される。まず、持続放出性マトリックス製剤を、空気中で秤量し、次いで、液体中に浸漬し、秤量する。これらの2つの重量から、持続放出性マトリックス製剤の密度ρを、式
【0122】
【数2】
により求めることができ、式中、ρは持続放出性マトリックス製剤の密度であり、Aは空気中での持続放出性マトリックス製剤の重量であり、Bは、液体中に浸漬された場合の持続放出性マトリックス製剤の重量であり、ρ
0は、所定温度での液体の密度である。既知密度ρ
0の適切な液体は、例えば、ヘキサンである。
【0123】
好ましくは、持続放出性マトリックス製剤の密度は、Mettler Toledo上皿天秤#AB135−S/FACT、商品番号#1127430072および密度測定キット33360を使用して測定される。好ましくは、ヘキサンが、既知密度ρ
0の液体として使用される。
【0124】
密度の値は、本文書を通して、持続放出性マトリックス製剤の室温での密度に相当する。
【0125】
剤形が化粧コーティングで被覆された持続放出性マトリックス製剤を含む実施形態において、該持続放出性マトリックス製剤の密度は、好ましくは、コーティングステップを実施する前に測定するか、または被覆された持続放出性マトリックス製剤から被膜を除去し、続いて非被覆持続放出性マトリックス製剤の密度を測定することによって測定される。
【0126】
溶出プロフィール
特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出する溶出速度を提供する。
【0127】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、1時間後に約5重量%〜約15重量%の範囲の活性薬剤を放出する溶出速度を提供し、さらに本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出できる。
【0128】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、2時間後に約10重量%〜約30重量%の範囲の活性薬剤を放出する溶出速度を提供し、さらに本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出できる。
【0129】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、4時間後に約20重量%〜約60重量%の範囲の活性薬剤を放出する溶出速度を提供し、さらに本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出できる。
【0130】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、8時間後に約40重量%〜約100重量%の範囲の活性薬剤を放出する溶出速度を提供し、さらに本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出できる。
【0131】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、1時間当たり約5重量%〜約15重量%の範囲の活性薬剤を放出する溶出速度を提供し、さらに本質的にはゼロ次の方式により活性薬剤を放出できる。
【0132】
具体的なヒドロコドンおよびヒドロモルフォン組成物
さらなる特定の実施形態において、持続放出性固形経口医薬剤形は、オピオイド鎮痛薬である重酒石酸ヒドロコドンまたは塩酸ヒドロモルフォンを含み、第1組成物は、少なくとも約5重量%の重酒石酸ヒドロコドンまたは少なくとも約2重量%の塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0133】
さらなる特定の実施形態において、第1組成物は、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも約65重量%のポリエチレンオキシドを含む。
【0134】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも65重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約5mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0135】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約5mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0136】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも65重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約10mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0137】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも65重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約15mgまたは20mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0138】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも65重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約40mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0139】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも65重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約60mg、80mg、100mgまたは120mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む。
【0140】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約5mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0141】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約6mgまたは7mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0142】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約8mgまたは10mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0143】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約12mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0144】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約15mgまたは20mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0145】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約25mgまたは30mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0146】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、持続放出性マトリックス製剤を含み、該持続放出性マトリックス製剤は、
(1)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも90重量%の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む前記持続放出性マトリックス製剤の活性薬剤含有層を形成する第1組成物;および
(2)約32mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0147】
熱成形および硬化
このセクションでは、前記組成物を含む持続放出性マトリックス製剤の熱成形および硬化について説明する。
【0148】
本発明の特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、熱成形され、温度硬化ステップにかけられる。
【0149】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、低くても、該製剤中に含まれる少なくとも1種のポリエチレンオキシドの軟化温度である温度で硬化される。
【0150】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、低くても約60℃の温度で少なくとも約1分間硬化される。
【0151】
さらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、本明細書に記載の調製方法に関して説明されるようないずれかの手順により硬化される。
【0152】
調製方法
さらなる実施形態において、本発明は、前記実施形態のいずれかによる持続放出性マトリックス製剤を含む持続放出性固形経口医薬剤形の調製方法に関するものであり、該方法は、少なくとも、
(a)活性薬剤含有層を形成する第1組成物を得るために、少なくとも
(1)活性薬剤と
(2)レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドとを混合するステップ;
(b)少なくとも1つの活性薬剤不含層を形成するさらなる組成物を得るために、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000または1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む少なくとも1種のさらなる組成物を準備するステップ;
(c)少なくとも二層からなる持続放出性製剤を形成するために、(a)および(b)からの組成物を成形するステップ;ならびに
(d)低くても前記の少なくとも1種のポリエチレンオキシドの軟化温度である温度での少なくとも1つの硬化ステップを含む、前記持続放出性マトリックス製剤を硬化するステップを含む。
【0153】
硬化ステップは、一般に、大気圧で実施される。前記硬化ステップは、前記の少なくとも1種のポリエチレンオキシドの軟化温度で、例えば、適切な時間、例えば、少なくとも約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、または約15分間実施することができる。
【0154】
さらなる特定の実施形態において、前記硬化ステップは、少なくとも約5分間実施される。
【0155】
さらなる特定の実施形態において、前記硬化ステップは、少なくとも約15分間実施される。
【0156】
前記実施形態のいずれか1つの方法のさらなる特定の実施形態において、硬化ステップ(d)は、持続放出性マトリックス製剤の自由流動床中で行われる。
【0157】
前記実施形態のいずれか1つの方法のさらなる特定の実施形態において、硬化ステップは、コーティングパン中で行われる。コーティングパンは、硬化前のコーティングステップおよびその後のコーティングステップを、剤形、例えば錠剤を移送することなしに実施することを可能にする効率的なバッチ式硬化ステップを可能にする。
【0158】
上で言及した方法のさらなる特定の実施形態において、ステップ(c)で、組成物は、錠剤の形態に成形される。
【0159】
上で言及した方法のさらなる特定の実施形態において、ステップ(a)〜ステップ(c)は、直接圧縮によって持続放出性マトリックス製剤を提供する。
【0160】
前記実施形態のいずれか1つの方法のさらなる実施形態において、硬化ステップ(d)は、被覆することおよび硬化することを含む。例えば錠剤形態の持続放出性マトリックス製剤は、初めに、第1目標重量増まで被覆され、次いで、約60℃〜約90℃の温度で少なくとも約1分間硬化され、約50℃未満の温度まで冷却され、さらに第2目標重量増まで被覆される。硬化ステップ(d)は、好ましくは、コーティングパン中で実施される。特定の実施形態において、第1目標重量増は、第1コーティングステップにおいて得られる重量増加量であり、例えば、第1目標重量増は、最終錠剤重量の少なくとも0.5%、少なくとも1.0%、または少なくとも1.5%であることができる。第2目標重量増にするステップにおいて、被覆は、錠剤重量の少なくとも2.0%、少なくとも2.5%、少なくとも3.0%、少なくとも3.5%、少なくとも4.0%、少なくとも4.5%、または少なくとも5.0%の最終目標重量増をもたらす。
【0161】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態において、ステップ(d)は、低くとも約60℃、低くとも約62℃、好ましくは低くとも約68℃、低くとも約70℃、低くとも約72℃、または低くとも約75℃の温度で実施される。
【0162】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、ステップ(d)において、約60℃〜約90℃、約65℃〜約90℃、または約68℃〜約90℃の硬化温度にさらされる。
【0163】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、ステップ(d)において、低くとも約62℃、または低くとも約68℃の温度に、約1分〜約5時間、または約5分〜約3時間さらされる。
【0164】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、ステップ(d)において、低くとも約62℃、または低くとも約68℃の硬化温度に、少なくとも約15分間さらされる。
【0165】
本発明の方法のさらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、ステップ(d)において、低くとも約60℃、低くとも約62℃、低くとも約68℃、低くとも約70℃、低くとも約72℃、または低くとも約75℃、あるいは約62℃〜約85℃の硬化温度に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約60分間、または少なくとも約90分間さらされる。
【0166】
前記実施形態のいずれか1つの方法のさらなる特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、ステップ(d)において、低くとも約60℃、または低くとも約62℃であるが、約90℃未満、または約80℃未満である硬化温度にさらされる。
【0167】
本発明の上記方法の特定の実施形態において、ステップ(d)での持続放出性マトリックス製剤の硬化は、少なくとも、該持続放出性マトリックス製剤中の高分子量ポリエチレンオキシドが、少なくとも部分的に融解する硬化ステップを含む。例えば、高分子量ポリエチレンオキシドの少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%が融解する。
【0168】
他の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤の硬化は、少なくとも、持続放出性マトリックス製剤が高められた温度に一定時間さらされる硬化ステップを含む。このような実施形態において、硬化温度は、低くても高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度と同程度に高い。何らかの理論に拘泥されるものではないが、低くても高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度と同程度に高い温度での硬化により、ポリエチレンオキシド粒子は、少なくとも互いに接着し、さらには共に融解する。特定の実施形態によれば、硬化温度は、低くても約60℃または低くても約62℃、あるいは約62℃〜約90℃、約62℃〜約85℃、約62℃〜約80℃、約65℃〜約90℃、約65℃〜約85℃、または約65℃〜約80℃の範囲である。硬化温度は、好ましくは、約68℃〜約90℃、約68℃〜約85℃または約68℃〜約80℃、あるいは約70℃〜約90℃、約70℃〜約85℃または約70℃〜約80℃、あるいは約72℃〜約90℃、約72℃〜約85℃または約72℃〜約80℃の範囲である。硬化温度は、低くても約60℃または低くても約62℃、しかし約90℃未満または約80℃未満であればよい。好ましくは、それは、約62℃〜約72℃、特に、約68℃〜約72℃の範囲である。好ましくは、硬化温度は、低くても、高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限と同程度に高いか、あるいは低くても約62℃または低くても約68℃である。より好ましくは、硬化温度は、高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲内であるか、あるいは低くても約70℃である。さらにより好ましくは、硬化温度は、低くても、高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の上限と同程度に高いか、あるいは低くても約72℃である。さらなる実施形態において、硬化温度は、高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の上限よりも高く、例えば、硬化温度は、低くても約75℃または低くても約80℃である。
【0169】
持続放出性マトリックス製剤の硬化が、少なくとも、該持続放出性マトリックス製剤を高められた温度に一定時間さらす硬化ステップを含むそれらの実施形態において、この時間を、以後、「硬化時間」と呼ぶ。硬化時間を測定するために、硬化ステップの開始点および終点を定義する。本発明の目的に関して、硬化ステップの開始点は、硬化温度を到達した時点であると定義される。
【0170】
特定の実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、硬化の開始点と終点との間でプラトー様形状を示す。このような実施形態において、硬化ステップの終点は、例えば、加熱を終結するか弱めることによって、および/または後に続く冷却ステップを開始することによって、加熱を停止または少なくとも弱めた時点であると定義され、温度は、結果として硬化温度下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満に降下する。硬化温度に到達し、そのため硬化ステップが始まると、硬化ステップの過程中に、硬化温度からの逸脱が発生する場合がある。このような逸脱は、それらの逸脱が、約±10℃、好ましくは約±6℃、より好ましくは約±3℃の値を超えない限り、許容される。例えば、低くても約75℃の硬化温度を維持する予定であるなら、測定される温度は、約85℃、好ましくは約81℃、より好ましくは約78℃の値まで一時的に上昇してもよく、また、測定される温度は、約65℃、好ましくは約69℃、より好ましくは約72℃の値まで一時的に降下してもよい。温度がより大きく降下する場合および/または温度が高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満に、例えば約62℃未満に降下する場合には、硬化ステップが中断される、すなわち、終点に到達する、硬化は、再び硬化温度に達することによって再開始することができる。
【0171】
他の実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、硬化の開始点と終点との間で放物線または三角形の形状を示す。このことは、開始点、すなわち硬化温度に到達した時点の後に、温度が、さらに上昇して最大値に到達し、次いで降下することを意味する。このような実施形態において、硬化ステップの終点は、温度が硬化温度未満に降下した時点であると定義される。
【0172】
この文脈で、硬化温度を特徴付けるために、以後、硬化装置と呼ばれる硬化のために使用される装置に応じて、硬化装置内で異なる種類の温度を測定できることに留意すべきである。
【0173】
特定の実施形態において、硬化ステップは、オーブン中で行うことができる。このような実施形態では、オーブンの内部温度を測定する。それに基づき、硬化ステップがオーブン中で行われる場合、硬化温度は、オーブンの目標内部温度であると定義され、かつ硬化ステップの開始点は、オーブンの内部温度が硬化温度に到達した時点であると定義される。硬化ステップの終点は、(1)加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、オーブン内部温度が、硬化温度下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満にプラトー様温度プロフィールで降下する時点、あるいは(2)オーブン内部温度が、硬化温度未満に放物線または三角形の温度プロフィールで降下する時点であると定義される。好ましくは、硬化ステップは、オーブンの内部温度が、低くても約62℃、低くても68℃または低くても約70℃、より好ましくは低くても約72℃または低くても約75℃の硬化温度に到達した場合に始まる。好ましい実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、プラトー様形状を示し、ここで、硬化温度、すなわち、オーブンの内部温度は、好ましくは、低くても約68℃、または約70℃、約72℃、または約73℃であるか、あるいは約70℃〜約75℃の範囲内にあり、硬化時間は、好ましくは、約30分〜約20時間、より好ましくは約30分〜約15時間、約30分〜約4時間、または約30分〜約2時間の範囲である。最も好ましくは、硬化時間は、約30分〜約90分の範囲である。
【0174】
特定の他の実施形態において、硬化は、例えば、コーティングパンまたは流動床のように、気流によって加熱され、加熱空気の供給部(入口)および排出部を含む硬化装置中で行われる。このような硬化装置は、以後、対流式硬化装置と呼ばれる。このような硬化装置では、入気温度、すなわち、対流式硬化装置に入る加熱空気の温度、および排気温度、すなわち、対流式硬化装置を去る空気の温度を測定することが可能である。また、硬化ステップ中の対流式硬化装置内の製剤温度を、例えば、IRガンなどの赤外線温度測定装置を使用して、あるいは硬化装置内部で持続放出性マトリックス製剤の近くに配置された温度プローブを使用して温度を測定することによって測定または少なくとも推定することが可能である。硬化ステップが対流式硬化装置中で行われる場合には、それに基づいて硬化温度を定義することができ、硬化時間を次のように測定することができる。
【0175】
硬化時間が方法1により測定される一実施形態において、硬化温度は、目標入気温度であると定義され、硬化ステップの開始点は、入気温度が硬化温度に到達する時点であると定義される。硬化ステップの終点は、(1)加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、入気温度が、硬化温度下約10℃を下回るまで、または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満にプラトー様温度プロフィールで降下する時点、あるいは(2)入気温度が、硬化温度未満に放物線または三角形の温度プロフィールで降下する時点であると定義される。好ましくは、硬化ステップは、方法1により、入気温度が、低くても約62℃、低くても68℃、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃の硬化温度に到達した場合に始まる。好ましい実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、プラトー様形状を示し、ここで、硬化温度、すなわち、目標入気温度は、好ましくは、低くても約72℃、例えば、約75℃であり、方法1により測定される硬化時間は、好ましくは、約15分〜約2時間、例えば約30分〜約1時間の範囲である。
【0176】
硬化時間が目標排気温度に関して測定される別の実施形態において、硬化温度は、目標排気温度であると定義され、硬化ステップの開始点は、排気温度が硬化温度に到達する時点であると定義される。硬化ステップの終点は、(1)加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、排気温度が、硬化温度下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満にプラトー様温度プロフィールで降下する時点、あるいは(2)排気温度が、硬化温度未満に放物線または三角形の温度プロフィールで降下する時点であると定義される。好ましくは、硬化ステップは、方法2により、排気温度が、低くても約62℃、低くても68℃、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃の硬化温度に到達した場合に始まる。好ましい実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、プラトー様形状を示し、ここで、硬化温度、すなわち、目標排気温度は、低くても約68℃、低くても約70℃、または低くても約72℃である。例えば、目標排気温度は、約68℃、約70℃、約72℃、約75℃または約78℃であり、方法2により測定される硬化時間は、好ましくは、約1分〜約2時間、または約5分〜約90分の範囲である。例えば、硬化時間は、約5分、約10分、約15分、約30分、約60分、約70分、約75分または約90分である。より好ましい実施形態において、方法2により測定される硬化時間は、約15分〜約1時間の範囲である。
【0177】
硬化時間が方法3により測定されるさらなる実施形態において、硬化温度は、持続放出性マトリックス製剤の目標温度であると定義され、硬化ステップの開始点は、例えばIRガンによって測定できる持続放出性マトリックス製剤の温度が、硬化温度に到達する時点であると定義される。硬化ステップの終点は、(1)加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、持続放出性マトリックス製剤の温度が、硬化温度下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満にプラトー様温度プロフィールで降下する時点、あるいは(2)持続放出性マトリックス製剤の温度が、硬化温度未満に放物線または三角形の温度プロフィールで降下する時点であると定義される。好ましくは、硬化ステップは、方法3により、長期排出性マトリックス製剤の温度が、低くても約62℃、低くても68℃、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃の硬化温度に到達した場合に始まる。
【0178】
硬化時間が方法4により測定されるさらに別の実施形態において、硬化温度は、硬化装置内部で持続放出性マトリックス製剤の近くに配置されたワイヤー熱電対などの温度プローブを使用して測定される目標温度であると定義され、硬化ステップの開始点は、硬化装置内部で持続放出性マトリックス製剤の近くに配置された温度プローブを使用して測定される温度が、硬化温度に到達する時点であると定義される。硬化ステップの終点は、(1)加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、温度プローブを使用して測定される温度が、硬化温度下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満にプラトー様温度プロフィールで降下する時点、あるいは(2)温度プローブを使用して測定される温度が、硬化温度未満に放物線または三角形の温度プロフィールで降下する時点であると定義される。好ましくは、硬化ステップは、方法4により、硬化装置内部で持続放出性マトリックス製剤の近くに配置された温度プローブを使用して測定される温度が、低くても約62℃、低くても68℃、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃の硬化温度に到達した場合に始まる。好ましい実施形態において、硬化ステップ中の温度プロフィールは、プラトー様形状を示し、ここで、硬化温度、すなわち硬化装置内部で持続放出性マトリックス製剤の近くに配置された温度プローブを使用して測定される目標温度は、好ましくは、低くても約68℃であり、例えば、約70℃であり、方法4により測定される硬化時間は、好ましくは、約15分〜約2時間の範囲であり、例えば、硬化時間は、約60分、または約90分である。
【0179】
硬化が、対流式硬化装置中で行われるなら、硬化時間は、方法1、2、3または4のいずれかで測定できる。好ましい実施形態において、硬化時間は、方法2により測定される。
【0180】
特定の実施形態において、硬化温度は目標温度範囲として定義され、例えば、硬化温度は、目標入気温度範囲または目標排気温度範囲として定義される。このような実施形態において、硬化ステップの開始点は、目標温度範囲の下限に到達する時点であると定義され、硬化ステップの終点は、加熱が停止または少なくとも弱められ、かつ結果的に、温度が、目標温度範囲の下限下約10℃を下回るまで、および/または高分子量ポリエチレンオキシドの軟化温度範囲の下限未満、例えば約62℃未満に降下する時点であると定義される。
【0181】
例えば前述のような方法1、2、3または4により測定できる硬化時間、すなわち、持続放出性マトリックス製剤が硬化温度にさらされる時間は、少なくとも約1分または少なくとも約5分である。硬化時間は、具体的な組成、製剤および硬化温度に応じて、約1分〜約24時間、約5分〜約20時間、約10分〜約15時間、約15分〜約10時間、または約30分〜約5時間で変化し得る。組成、硬化時間および硬化温度のパラメーターは、本明細書に記載されるような不正改変抵抗性を達成するように選択される。特定の実施形態によれば、硬化時間は、約15分〜約30分で変化する。硬化温度が、低くても約60℃、低くても62℃、低くても約68℃、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃であるか、あるいは約62℃〜約85℃または約65℃〜約85℃で変化するさらなる実施形態によれば、硬化時間は、好ましくは、少なくとも15分、少なくとも約30分、少なくとも約60分、少なくとも約75分、少なくとも約90分または約120分である。硬化温度が、例えば、低くても約62℃、低くても約68℃、低くても約70℃、低くても72℃、または低くても約75℃であるか、あるいは約62℃〜約80℃、約65℃〜約80℃、約68℃〜約80℃、約70℃〜約80℃または約72℃〜約80℃の範囲である好ましい実施形態において、硬化時間は、好ましくは、少なくとも約1分または少なくとも約5分である。より好ましくは、硬化時間は、少なくとも約10分、少なくとも約15分、または少なくとも約30分である。特定の実施形態において、硬化時間は、好ましい不正改変抵抗性をなお達成すると同時に、できるだけ短いように選択することができる。例えば、硬化時間は、好ましくは約5時間を超えず、または約3時間を超えず、または約2時間を超えない。好ましくは、硬化時間は、約1分〜約5時間、約5分〜約3時間、約15分〜約2時間または約15分〜約1時間の範囲である。本明細書中で開示されるような硬化温度と硬化時間との任意の組合せは、本発明の範囲内に包含されている。
【0182】
特定の実施形態において、組成物は、持続放出性マトリックス製剤中に存在する高分子量ポリエチレンオキシドが、その軟化温度に到達し、かつ/または少なくとも部分的に融解するまで、硬化温度にさらされるだけである。特定のこのような実施形態において、硬化時間は、約5分未満でよく、例えば、硬化時間は、約0分〜約3時間、約1分〜約2時間、または約2分〜約1時間で変化し得る。即時硬化は、持続放出性マトリックス製剤中に存在する高分子量ポリエチレンオキシドを低くてもその軟化温度まで、該高分子量ポリエチレンオキシドが少なくとも部分的に融解するように即時加熱することを可能にする硬化装置を選択することによって実行できる。このような硬化装置は、例えば、マイクロ波オーブン、超音波装置、UV−照射装置などの光照射装置、超高周波(UHF)電界、または当業者に周知の任意の方法である。
【0183】
当業者は、持続放出性マトリックス製剤の大きさが、所望の不正改変抵抗性を達成するのに必要とされる硬化時間および硬化温度を決定する可能性があることを承知している。何らかの理論に拘泥されるものではないが、大きな錠剤のような大きな持続放出性マトリックス製剤の場合、より小さな対応製剤の場合に比べて、該製剤の内部に熱を伝導するために、より長い硬化時間が必要となると考えられる。温度が高いほど熱伝導速度が増加し、それによって必要とされる硬化時間が短縮される。
【0184】
特定の実施形態では、硬化後に、剤形を被覆することができる。剤形を被覆した後に、追加の硬化ステップを実行することができ、その追加の硬化ステップは、前記のように実施することができる。特定のこのような実施形態において、追加硬化ステップの硬化温度は、好ましくは、低くても約70℃、低くても約72℃、または低くても約75℃であり、硬化時間は、好ましくは、約15分〜約1時間の範囲、例えば約30分である。
【0185】
特定の実施形態において、硬化ステップは、硬化した持続放出性マトリックス製剤の密度が硬化ステップ以前の持続放出性マトリックス製剤の密度よりも小さいような、持続放出性マトリックス製剤の密度低下をもたらす。好ましくは、硬化した持続放出性マトリックス製剤の密度は、未硬化持続放出性マトリックス製剤の密度に比較して、少なくとも約0.5%程度まで低下する。より好ましくは、硬化した持続放出性マトリックス製剤の密度は、未硬化持続放出性マトリックス製剤の密度に比較して、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%または少なくとも約2.5%程度まで低下する。何らかの理論に拘泥されるものではないが、持続放出性マトリックス製剤は、硬化ステップ中に高められた圧力が存在しないため、膨張し、密度低下をもたらすと考えられる。
【0186】
本発明のさらなる態様によれば、持続放出性固形経口医薬剤形、好ましくは、活性薬剤として塩酸ヒドロモルフォンまたは重酒石酸ヒドロコドンを含む剤形中の持続放出性マトリックス製剤の密度は、約1.20g/cm3以下である。好ましくは、密度は、約1.19g/cm3以下、約1.18g/cm3以下、約1.17g/cm3以下である。例えば、持続放出性マトリックス製剤の密度は、約1.10g/cm3〜約1.20g/cm3、約1.11g/cm3〜約1.20g/cm3または約1.11g/cm3〜約1.19g/cm3の範囲である。好ましくは、密度は、約1.12g/cm3〜約1.19g/cm3または約1.13g/cm3〜約1.19g/cm3、より好ましくは約1.13g/cm3〜約1.18g/cm3の範囲である。
【0187】
持続放出性マトリックス製剤の密度は、好ましくは前に規定したように測定される。
【0188】
本発明の特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤の成形は、錠剤プレス、例えば、二層錠剤プレス中で実施される。しかし、錠剤を製造するための当技術分野で公知の任意のその他の方法も使用することができる。
【0189】
特定の実施形態において、本発明は、持続放出性固形経口医薬剤形の調製方法を対象とし、ここで、前記ステップ(a)は、活性薬剤および第1組成物の任意選択のその他の医薬添加剤または成分、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(ポリオキシエチレンオキシドを除く)の、造粒器、例えば高剪断造粒器中での湿式造粒を含むことができる。これらの成分を湿式造粒した後、該湿式造粒化材料を粉砕装置のスクリーンを通すことができる。この後、篩い分けた材料を、例えば流動床乾燥機を使用して乾燥することができる。乾燥された造粒化製品を、任意選択で、粉砕装置の微細スクリーンを通してさらに篩い分けることができる。続いて、材料を、第1組成物の少なくとも1種のポリエチレンオキシドと、通常的なブレンダー(例えば、「V」ブレンダー、Gemco、2立方フィート)を使用して混合して、第1組成物を得る。この後、ブレンドされた混合物に、第1層組成物のさらなる添加剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを添加することができる。
【0190】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、持続放出性固形経口医薬剤形の調製方法を対象とし、ここで、多層または二層医薬剤形の「活性薬剤不含」または「遮蔽層」を調製する際に、本発明の前記方法中のステップ(b)のさらなる(二層剤形の場合には、第2の)組成物を使用する。このステップは、ポリエチレンオキシドおよび遮蔽層の任意選択のその他の成分、例えばステアリン酸マグネシウムを、例えば、通常的な「V」ブレンダー(例えば、「V」ブレンダー、Gemco、2立方フィート)を使用してブレンドする工程を含むことができる。
【0191】
特定の実施形態において、本発明は、持続放出性固形経口医薬剤形の調製方法を対象とし、ここで、ステップ(a)および(b)でそれぞれ得られる組成物は、組み合わされて、多層または二層を形成する。組成物を、プレス、例えば錠剤プレス(例えば、Karnavati二層錠剤プレス)中で圧縮することができ、ここで、それぞれ活性層および遮蔽層を形成する組成物を、ホッパーのそれぞれの位置に仕込むことができ、次いで圧縮が実行される。続いて、得られた錠剤を、例えばOpadry(登録商標)コーティング用懸濁液を用いる噴霧コーティングを使用して、第1目標重量増まで被覆することができる。第1目標重量増まで被覆した後、錠剤を、例えばパンコーターを使用して、硬化することができる。硬化後、製造物は、例えばパンコーター中で、コーティング用懸濁液を用いる第2目標重量増を達成するための噴霧コーティングに備えて、十分に冷却される。
【0192】
本発明の方法の上述の実施形態では、レオロジー測定に基づいて2,000,000〜15,000,000、または2,000,000〜8,000,000の概略分子量を有する高分子量ポリエチレンオキシドを使用できる。特に、レオロジー測定に基づいて2,000,000、4,000,000、7,000,000または8,000,000の概略分子量を有するポリエチレンオキシドを使用できる。特に、レオロジー測定に基づいて7,000,000または4,000,000の概略分子量を有するポリエチレンオキシドを使用できる。さらに、レオロジー測定に基づいて100,000〜900,000の概略分子量を有するポリエチレンオキシドなど、レオロジー測定に基づいて1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも1種の低分子量ポリエチレンオキシドも使用できる。このような低分子量ポリエチレンオキシドの添加は、添加しなければ特定の目的のためには遅すぎる放出速度をもたらす製剤の放出速度を増すように、放出速度を特別に仕立てるのに利用できる。このような実施形態では、レオロジー測定に基づいて100,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを使用できる。例えば、本発明の方法の特定の実施形態において、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシド、およびレオロジー測定に基づいて1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む組成物を調製することができ、ここで、該組成物は、レオロジー測定に基づいて1,000,000未満の概略分子量を有する少なくとも約10重量%または少なくとも約20重量%のポリエチレンオキシドを含む。特定のこのような実施形態において、硬化温度は、約80℃未満、またはさらには約77℃未満である。
【0193】
特定の実施形態において、本発明の方法中で調製される第1「活性薬剤含有」層の組成物におけるポリエチレンオキシドの総含有量は、少なくとも60重量%である。何らかの理論に拘泥するものではないが、高いポリエチレンオキシド含有量は、本明細書に記載のような不正改変抵抗性、例えば、大きな破壊強度およびアルコール抽出に対する抵抗性を提供する。特定のこのような実施形態によれば、活性薬剤は、重酒石酸ヒドロコドンまたは塩酸ヒドロモルフォンのいずれかであり、組成物は、約5重量%を超える重酒石酸ヒドロコドンまたは約2重量%を超える塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0194】
本発明の方法中で調製される組成物に関する特定のこのような実施形態において、「活性薬剤含有」層におけるレオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドの含有量は、少なくとも約60重量%である。特定の実施形態において、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000の概略分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシドの組成物中での含有量は、少なくとも約65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%または少なくとも約90重量%である。このような実施形態では、レオロジー測定に基づいて少なくとも4,000,000または少なくとも7,000,000の概略分子量を有するポリエチレンオキシドを採用できる。特定のこのような実施形態において、活性薬剤は、重酒石酸ヒドロコドンまたは塩酸ヒドロモルフォンであるが、他の活性薬剤も本発明のこの態様により使用することができ、該組成物は、約5重量%を超える重酒石酸ヒドロコドンまたは塩酸ヒドロモルフォンを含む。
【0195】
本発明の特定の実施形態では、錠剤が互いに固着することを避けるために、硬化ステップの間または後にステアリン酸マグネシウムが添加される。特定のこのような実施形態において、ステアリン酸マグネシウムは、錠剤を冷却する前または錠剤の冷却中の硬化工程の終点で添加される。使用できる可能性のあるその他の粘着防止剤は、タルク、シリカ、ヒュームドシリカ、コロイド状二酸化シリカ、ステアリン酸カルシウム、カルナウバワックス、ステアリン酸およびステアリルアルコールなどの長鎖脂肪アルコールおよびワックス、ミネラルオイル、パラフィン、微細結晶性セルロース、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールである。追加的にまたは代わりに、固着を避けるためにコーティングを高温度で始めることができる。
【0196】
硬化ステップがコーティングパン中で実施される特定の実施形態において、硬化ステップ中または硬化ステップ後に、後者の場合、例えば、錠剤を冷却する前または冷却中にパン速度を速めることによって、錠剤の固着を回避できる(または固着している錠剤を分離することができる)。パン速度は、すべての錠剤が分離されるまたは固着が発生しない速度まで速めることができる。
【0197】
本発明の特定の実施形態において、最初のフィルムコーティングまたはフィルムコーティングの一部は、上述の硬化ステップdを実施する前に塗布される。このフィルムコーティングは、持続放出性マトリックス製剤または錠剤に対して粘着防止剤として機能するための、すなわち剤形または錠剤が互いに固着することを回避するための「オーバーコート」を提供する。特定のこのような実施形態において、硬化ステップに先立って塗布されるフィルムコーティングが、Opadryフィルムコーティングである。硬化ステップd)後に、さらなるフィルムコーティングを実施できる。
【0198】
本発明は、上述のような任意の方法による工程によって得ることのできる任意の多層/または二層の持続放出性固形経口製剤も包含する。
【0199】
本発明のさらなる特定の実施形態において、前記実施形態のいずれか1つによる持続放出性固形経口医薬剤形は、疼痛を治療するためにそれを必要とする患者に投与され、前記剤形はオピオイド鎮痛薬を含む。
【0200】
さらなる特定の実施形態において、本発明は、前記実施形態のいずれかに記載の持続放出性マトリックス製剤を含む、前に開示の持続放出性固形経口医薬剤形を使用する治療方法に関する。
【0201】
さらなる特定の実施形態において、本発明の持続放出性マトリックス製剤は、疼痛を治療するための医薬を製造する際に使用され、ここで、該持続放出性マトリックス製剤は、オピオイド鎮痛薬を含む。
【0202】
不正改変抵抗性
特定の実施形態において、本発明は、持続放出性マトリックス製剤を本明細書に記載のような多層/二層錠剤の形態で含む、持続放出性固形経口医薬剤形を対象とし、ここで、該錠剤は、破壊されることなしに少なくとも平坦化されることができ、平坦化前の錠剤厚さの約60%を超えない厚さに相当する平坦化後の錠剤厚さによって特徴付けられ、かつ前記平坦化錠剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、非平坦化対照錠剤の対応するインビトロ溶出速度から約30%の地点を超えて逸脱することのない、0.5時間の溶出時点で放出された活性薬剤のパーセント量で特徴付けられるインビトロ溶出速度を提供する。
【0203】
特定の実施形態において、本発明は、持続放出性マトリックス製剤を本明細書に記載のような多層/二層錠剤の形態で含む、持続放出性固形経口医薬剤形を対象とし、ここで、該錠剤は、破壊されることなしに少なくとも平坦化されることができ、平坦化前の錠剤厚さの約60%を超えない厚さに相当する平坦化後の錠剤厚さによって特徴付けられ、かつ平坦化または非平坦化錠剤は、40%のエタノールを含む37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、それぞれ平坦化および非平坦化参照錠剤を使用して、エタノールを含まない37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定される対応するインビトロ溶出速度から約30%の地点を超えて逸脱することのない、0.5時間の溶出時点で放出された活性薬剤のパーセント量で特徴付けられるインビトロ溶出速度を提供する。
【0204】
特定の実施形態において、本発明は、活性薬剤を含む持続放出性マトリックス製剤を多層または二層錠剤の形態で含む持続放出性固形経口医薬剤形を対象とし、該錠剤は破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約60%以下に相当する平坦化後の錠剤の厚さを特徴とし、前記平坦化錠剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、非平坦化対照錠剤の対応するインビトロ溶出速度から後記時点のそれぞれで約30%の限度を超えては逸脱しない、1時間、8時間および24時間の溶出で放出される活性薬剤のパーセント量を特徴とするインビトロ溶出速度をもたらす。
【0205】
特定のこのような実施形態において、錠剤は、破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約16%以下に相当する平坦化後の錠剤の厚さを特徴とし、前記平坦化錠剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、非平坦化対照錠剤の対応するインビトロ溶出速度から後記時点のそれぞれで約30%の限度を超えて、約20%の限度を超えて、約15%の限度を超えて、または約10%の限度を超えては逸脱しない、1時間、8時間および24時間の溶出で放出される活性薬剤のパーセント量を特徴とするインビトロ溶出速度をもたらす。
【0206】
さらなる実施形態において、前記実施形態のいずれかによる持続放出性固形経口マトリックス製剤は、圧子圧入試験にかけた場合に、少なくとも約110Nのクラック発生荷重を有する。
【0207】
本発明の特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、少なくとも約110N、少なくとも約120N、少なくとも約130N、少なくとも約140N、少なくとも約150N、少なくとも約160N、少なくとも170N、少なくとも約180N、少なくとも約190N、または少なくとも約200Nのクラック発生荷重を有する。
【0208】
さらなる実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、圧子圧入試験にかけた場合に、少なくとも約1.0mmの「クラック発生までの侵入深さ距離」を有する。
【0209】
本発明の特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.2mm、少なくとも約1.4mm、少なくとも約1.5mm、少なくとも約1.6mm、少なくとも約1.8mm、少なくとも約1.9mm、少なくとも約2.0mm、少なくとも約2.2mm、少なくとも約2.4mm、または少なくとも約2.6mmの「クラック発生までの侵入深さ」距離を有する。
【0210】
さらなる実施形態において、持続放出性固形経口マトリックス製剤は、少なくとも約120N、少なくとも約130N、または少なくとも約140Nのクラック発生荷重、ならびに/あるいは少なくとも約1.2mm、少なくとも約1.4mm、少なくとも約1.5mm、または少なくとも約1.6mmの「クラック発生までの侵入深さ」距離を有する。
【0211】
本発明の特定のこのような実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、少なくとも約110N、少なくとも約120N、少なくとも約130N、少なくとも約140N、少なくとも約150N、少なくとも約160N、少なくとも約170N、少なくとも約180N、少なくとも約190N、または少なくとも約200Nのクラック発生荷重、および/または少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.2mm、少なくとも約1.4mm、少なくとも約1.5mm、少なくとも約1.6mm、少なくとも約1.8mm、少なくとも約1.9mm、少なくとも約2.0mm、少なくとも約2.2mm、少なくとも約2.4mm、または少なくとも約2.6mmの「クラック発生までの侵入深さ」距離を有する。クラック発生荷重および「クラック発生までの侵入深さ」距離に関する前述値の任意の組合せが、本発明の範囲に含まれる。
【0212】
さらなる実施形態において、本発明の持続放出性固形経口マトリックス製剤は、クラックを発生することなしに少なくとも約0.06Jの仕事に耐える。
【0213】
特定のこのような実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、圧子圧入試験にかけた場合に、クラックを発生させずに、少なくとも約0.06J、少なくとも約0.08J、少なくとも約0.09J、少なくとも約0.11J、少なくとも約0.13J、少なくとも約0.15J、少なくとも約0.17J、少なくとも約0.19J、約0.21J、約0.23J、または少なくとも約0.25Jの仕事に抵抗する。
【0214】
パラメーター「クラック発生荷重」、「クラック発生までの侵入深さ距離」および「仕事」は、TA−XT2 Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.、18 Fairview Road、Scarsdale、ニューヨーク 10583)などのテクスチャーアナライザーを使用する前述のような圧子圧入試験で測定され得る。クラック発生荷重および/または「クラック発生までの侵入深さ」距離は、非被覆のまたは被覆された持続放出性マトリックス製剤を使用して測定できる。
【0215】
特定の実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は、多層もしくは二層錠剤または多層もしくは二層多粒子の形態であり、該錠剤は、破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約60%以下に相当する平坦化後の錠剤または個別多粒子の厚さを特徴とする。好ましくは、該錠剤は、破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約16%以下に相当する平坦化後の錠剤の厚さを特徴とする。
【0216】
好ましくは、錠剤の平坦化は、前述のように、carver式ベンチプレスなどのベンチプレス、またはハンマーを用いて実施される。
【0217】
特定のこのような実施形態において、持続放出性マトリックス製剤は多層または二層錠剤の形態であり、該錠剤は、破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約60%以下に相当する平坦化後の錠剤の厚さを特徴とし、前記平坦化錠剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、非平坦化対照錠剤の対応するインビトロ溶出速度から、後記時点のそれぞれで約30%の限度を超えては逸脱しない、0.5時間、または0.5および0.75時間、または0.5、0.75および1時間、または0.5、0.75、1および1.5時間、または0.5、0.75、1、1.5および2時間の溶出で放出される活性薬剤のパーセント量を特徴とするインビトロ溶出速度をもたらす。好ましくは、錠剤は、破壊されず少なくとも平坦化することができ、平坦化前の錠剤の厚さの約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約16%以下に相当する平坦化後の錠剤の厚さを特徴とし、前記平坦化錠剤は、37℃の酵素不含模擬胃液(SGF)900mL中、100rpmのUSP装置1(バスケット)中で測定された場合に、非平坦化対照錠剤の対応するインビトロ溶出速度から、後記時点のそれぞれで約30%の限度を超えて、約20%の限度を超えて、または約15%の限度を超えては逸脱しない、0.5時間、または0.5および0.75時間、または0.5、0.75および1時間、または0.5、0.75、1および1.5時間、または0.5、0.75、1、1.5および2時間の溶出で放出される活性薬剤のパーセント量を特徴とするインビトロ溶出速度をもたらす。
【0218】
好ましくは、持続放出性マトリックス製剤の破壊強度を測定するための錠剤硬度試験は、前述のようなシュロイニガー装置で実施される。例えば、破壊強度は、シュロイニガー2E/106装置を使用し、かつ約196Nの最大荷重を印加して、またはシュロイニガー6D型装置を使用し、かつ約439Nの最大荷重を印加して測定される。
【0219】
高分子量ポリエチレンオキシドを含む本発明の持続放出性マトリックス製剤は、平坦化されていない厚さの約15〜約18%の厚さまで平坦化され得ること、および平坦化二層錠剤は、溶出中にやはり生じる膨潤、すなわち、溶出中に二層錠剤の厚さが増大し、かつ直径が著しく減少することを無視すれば、溶出中にその初期の平坦化されていない形状またはその一部を部分的または実質的に回復することが観察されている。何らかの理論に拘泥されるものではないが、高分子量ポリエチレンオキシドは、溶出試験で使用される水性環境などのこのような復元を可能にする環境中で、変形後、例えば平坦化後に初期形状またはその一部に戻る能力をもたらす「形状記憶性」を有すると考えられる。この能力が、本発明の剤形の不正改変抵抗性、特にアルコール抵抗性に寄与していると考えられる。
【0220】
臨床治験
ヒドロコドンまたはその薬学上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物または前記のいずれかの混合物を含む、本発明による持続放出性固形経口医薬剤形は、以下のインビボパラメーターを提供することができる。
【0221】
このような持続放出性固形経口医薬剤形は、単回用量での投与後または定常状態での投与後に約0.40〜約1.0のヒドロコドンのC
24/C
max比を提供することができる。C
24/C
max比は、約0.40〜約0.85、約0.40〜約0.75、約0.45〜約0.70、約0.2〜約0.8、約0.3〜約0.7、または約0.4〜約0.6でよい。
【0222】
このような持続放出性固形経口医薬剤形は、単回用量での投与後または定常状態での投与後に約4〜約20時間、約6〜約12時間、または約4〜約10時間のヒドロコドンのT
max(h)を提供することができる。
【0223】
このような持続放出性固形経口医薬剤形は、該剤形中に含まれる各20mgのヒドロコドンにつき約250〜400の投与後平均AUC(ng*h/mL)を提供することができ、また、該剤形中に含まれる各20mgのヒドロコドンにつき約10〜約30の投与後平均C
max(ng/mL)を提供することができる。
【0224】
このような持続放出性固形経口医薬剤形が、約20mgのヒドロコドンまたはその薬学上許容される塩を含むなら、該剤形は、約250〜約400または約270〜約350の投与後平均AUC(ng*h/mL)、および約10〜約30、約12〜約25、約14〜約18、または約12〜約17の投与後平均C
max(ng/mL)を提供することができる。
【0225】
このような持続放出性固形経口医薬剤形が、約120mgのヒドロコドンまたはその薬学上許容される塩を含むなら、該剤形は、約1500〜約2400、約1700〜約2200、約1800〜約2100、または約1900〜約2100の投与後平均AUC(ng*h/mL)、および約60〜約180、または約80〜約160の投与後平均C
max(ng/mL)を提供することができる。
【0226】
このような持続放出性固形経口医薬剤形は、また、約5〜約10時間、約6〜約9時間、約7時間、または約8時間の投与後平均T
1/2(h)、および約0.01〜約0.2の投与後平均T
lag(h)を提供することができる。
【0227】
一般に、本発明の持続放出性固形経口医薬剤形は、絶食状態の対象患者に投与される。摂食状態で投与した後の平均AUC(ng*h/mL)は、絶食状態で投与した後のAUC(ng*h/mL)に比べて、好ましくは、20%未満、または16%未満、または12%未満高い。同様に、摂食状態で投与した後の平均C
max(ng/mL)は、絶食状態で投与した後のC
maxに比べて、好ましくは、80%未満、70%未満、または60%未満高い。さらに、摂食状態で投与した後の平均T
max(h)は、絶食状態で投与した後のT
max(h)の35%以内、または30%以内にあることができ、摂食状態で投与した後の平均T
1/2(h)は、絶食状態で投与した後のT
1/2の15%以内にあることができ、かつ摂食状態で投与した後の平均T
lag(h)は、絶食状態で投与した後のT
1/2に比べて、150%未満大きい可能性がある。
【0228】
本発明は、また、二層または多層剤形を、とりわけ疼痛の治療を必要とする患者の疾患または状態を治療するために投与する治療方法、およびとりわけ疼痛の治療を必要とする患者の疾患または特定の状態を治療するための医薬を製造するための本発明による多層/二層剤形の使用を包含する。
【0229】
本発明は、また、このような治療を必要とする患者の疾患または状態を治療するための医薬の製造における本発明の二層または多層剤形の使用を包含する。一実施形態において、該状態は疼痛である。
【実施例1】
【0230】
重酒石酸ヒドロコドンの二層錠剤
20mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む3種の異なる二層錠剤を調製した。各錠剤は、400mgの活性層、ならびにそれぞれ100mg(実施例1A)、200mg(実施例1B)および300mg(実施例1C)のポリエチレンオキシド遮蔽層を所持する。
【0231】
これらの錠剤の組成を表1に示す。
【0232】
【表1】
【0233】
【表2】
【0234】
【表3】
【0235】
【表4】
【0236】
遮蔽層用ブレンド物の調製
1.インテンシファイア・バーを備えた「V」ブレンダー(Gemco、「V」ブレンダー、2立方フィート)にポリエチレンオキシド(WSR−303)およびステアリン酸マグネシウムを仕込んだ。
2.インテンシファイア・バーをオフにして、ステップ1の材料を1分間ブレンドした。
3.ステップ2のブレンド物を、清浄な風袋測定済みのステンレススチール製容器またはポリエチレン張りの容器中に収納した。
【0237】
活性層用ブレンド物の調製
4.高剪断造粒機(Collette、75L)に、重酒石酸ヒドロコドン、微結晶セルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースを仕込んだ。
5.プロペラおよびチョッパーをオンにして、混合物に水を添加した。
6.ステップ5からの湿り造粒物を、Quadro Comil粉砕装置の粗いスクリーンを通過させた。
7.ステップ6からの篩い分けられた造粒物を、Vector VFC−3流動床乾燥機中で乾燥した。
8.ステップ7からの乾燥された造粒物を、Quadro Comilの微細なスクリーンを通過させた。
9.インテンシファイア・バーを備えた「V」ブレンダー(Gemco、2立方フィート)にポリエチレンオキシド(WSR−303)およびステップ8からの粉砕された造粒物を仕込んだ。
10.インテンシファイア・バーをオフにして、ステップ9の材料を7.5分間ブレンドした。
11.ステップ10からの混合物に、ステアリン酸マグネシウムを添加した。
12.インテンシファイア・バーをオフにして、ステップ11の材料を1分間ブレンドした。
13.ステップ12のブレンド物を、清浄な風袋測定済みのステンレススチール製容器またはポリエチレン張りの容器中に収納した。
【0238】
二層錠剤の調製:
14.ステップ3およびステップ13からのブレンド物を、Karnavati二層錠剤プレス(Karnavati UNIK−1)を用い、10rpmの回転速度で同時的に卵形の二層錠剤に圧縮した。活性ブレンド物を、サイド1のホッパーに仕込み、活性層の重量を400mgの目標に向けて調節した。次いで、遮蔽層用ブレンド物をサイド2のホッパーに仕込み、錠剤の総重量を目標に向けて調節した。重量調節の後、圧縮作業を開始し、錠剤プレスを10rpmで運転した。
15.Opadry(登録商標)ホワイトを渦に添加することによって、Opadry(登録商標)水性コーティング用懸濁液を調製した。Opadry(登録商標)を精製水中に組み入れたら、使用前に約1時間継続して混合した。
16.ステップ14からの芯錠剤を概略10kg秤量し、コーティング用懸濁液で約1.0重量%の目標重量増まで、穴のある24インチCompu−Labパンコーター(COMP−U−LAB24)中で噴霧被覆した。入気温度を55℃に設定して錠剤床を温めた。排気温度が39℃に到達したら、フィルムコーティングを15rpmのパン速度およびほぼ45mL/分の噴霧速度で開始した。フィルムコーティングは、目標の1%の重量増が達成されるまで継続した。
17.ステップ16からの部分的に被覆された錠剤を穴のあいたパンコーター中で硬化した。入口温度を85℃に、パン速度をほぼ10rpmに設定した。錠剤を、72℃の排気温度でほぼ30分間硬化した。
18.硬化後、錠剤を、回転しているパン中で入口温度を22℃に設定して冷却した。冷却は、排気温度が28℃未満になるまで継続した。
19.ステップ18からの硬化した錠剤を、穴のあいたパンコーター中、15rpmのパン速度およびほぼ50mL/分の噴霧速度で、コーティング用懸濁液を用いて4.0重量%の目標最終重量増まで噴霧被覆した。
20.フィルムコーティングされた錠剤を、風袋測定済みのポリエチレン張りドラム中に移送した。
【実施例2】
【0239】
重酒石酸ヒドロコドンのフィルムコーティングされた二層錠剤、120mg
実施例2では、120mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む3種の異なる二層錠剤を調製した。各錠剤は、400mgの活性層、ならびにそれぞれ100mg(実施例2A)、200mg(実施例2B)および300mg(実施例2C)のポリエチレンオキシド遮蔽層を所持する。
【0240】
実施例2A、2Bおよび2Cの組成を、それぞれ表3に示す。
【0241】
実施例2A、2Bおよび2Cの組成を、それぞれ表3に示す。
【0242】
【表5】
【0243】
実施例2A、2Bおよび2Cの全体組成から、活性層および遮蔽層の成分量(重量%)、ならびに活性層/遮蔽層のパーセント比を計算することができる。これらを、それぞれ表3A、3Bおよび3Cに示す。
【0244】
【表6】
【0245】
【表7】
【0246】
【表8】
【0247】
実施例2A、2Bおよび2Cの錠剤を製造するための処理ステップは次の通りである:
バッチサイズ
2A:13kg、25,000錠
2B:15.6kg、25,000錠
2C:18.2kg、25,000錠
【0248】
上記バッチを調製するための処理条件は、実施例1で使用したものに一致する。
【実施例3】
【0249】
塩酸ヒドロモルフォンの12mgフィルムコーティング錠剤
実施例3では、12mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む2種の異なる二層錠剤を調製した。各錠剤は、それぞれ500mg(実施例3A)および400mg(実施例3B)の活性層、ならびに200mgのポリエチレンオキシド遮蔽層を所持する。
【0250】
実施例3Aおよび3Bの組成物のそれぞれの組成を、表4に示す。
【0251】
【表9】
【0252】
実施例3Aおよび3Bの全体組成から、それぞれ活性層および遮蔽層の組成物の重量%、ならびに活性層/遮蔽層の比率を計算することができる。これらを、それぞれ表5A、5Bおよび5Cに示す。
【0253】
【表10】
【0254】
【表11】
【0255】
【表12】
【0256】
実施例3Aおよび3Bの錠剤を製造するための処理ステップは、それぞれ次の通りとした:
バッチサイズ:
3A:14.560kg、20,000錠
3B:13.728kg、22,000錠
【0257】
遮蔽層用ブレンド物の調製
1.インテンシファイア・バーを備えたGemco「V」ブレンダー(2立方フィート)にポリエチレンオキシド(WSR−303)およびステアリン酸マグネシウムを仕込んだ。
2.ステップ1の材料を、インテンシファイア・バーをオフにして1分間ブレンドした。
3.ステップ2のブレンド物を、清浄な風袋測定済みのステンレススチール製容器またはポリエチレン張りの容器中に収納した。
【0258】
活性層用ブレンド物の調製
4.インテンシファイア・バーを備えたPK「V」ブレンダー(16クォート)にポリエチレンオキシド(WSR−303)および塩酸ヒドロモルフォンを仕込んだ。
5.ステップ4の材料を、インテンシファイア・バーをオンにして10分間ブレンドした。
6.ステップ5からの混合物にステアリン酸マグネシウムを添加した。
7.ステップ6の材料を、インテンシファイア・バーをオフにして1分間ブレンドした。
8.ステップ7のブレンド物を、清浄な風袋測定済みのステンレススチール製容器またはポリエチレン張りの容器中に収納した。
【0259】
二層錠剤の調製
9.ステップ3およびステップ8からのブレンド物を、Karnavati二層プレス(Karnavati UNIK−1)を用い10rpmの回転速度で、同時的に卵形の二層錠剤に圧縮した。活性ブレンド物を、サイド1のホッパーに仕込み、活性層の重量を目標重量に向けて調節した。次いで、遮蔽層用ブレンド物をサイド2のホッパーに仕込み、錠剤の総重量を目標重量に向けて調節した。重量調節の後、圧縮作業を開始し、プレスを10rpmで運転した。
10.Opadry(登録商標)ベージュを渦に添加して、Opadry(登録商標)水性コーティング用懸濁液を調製した。Opadry(登録商標)を精製水中に組み入れたら、使用前に約1時間継続して混合した。
11.ステップ9からの芯錠剤を概略10kg秤量し、穴のあいた24インチのCompu−Labパンコーター(COMP−U−LAB24)中、コーティング用懸濁液で約1.0重量%の目標重量増まで噴霧被覆した。入気温度を55℃に設定して錠剤床を温めた。排気温度が39℃に到達したら、フィルムコーティングを12rpmのパン速度およびほぼ45mL/分の噴霧速度で開始した。フィルムコーティングは、1%の目標重量増が達成されるまで継続した。
12.ステップ11からの部分的にコーティングされた錠剤を穴のあいたパンコーター中で硬化した。入口温度を85℃、パン速度をほぼ12rpmに設定した。錠剤を、72℃の排気温度でほぼ30分間硬化した。
13.硬化後、錠剤を、回転しているパン中で入口温度を22℃に設定して冷却した。冷却は、排気温度が28℃未満になるまで継続した。
14.ステップ13からの硬化された錠剤を、穴のあいたパンコーター中、12rpmのパン速度およびほぼ45mL/分の噴霧速度で、コーティング用懸濁液を用いて4.0重量%の最終目標重量増まで噴霧被覆した。
15.錠剤を、取り出した。
【実施例4】
【0260】
塩酸ヒドロモルフォンの32mgフィルムコーティング二層錠剤
実施例3では、32mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む2種の異なる二層錠剤を調製した。各錠剤は、それぞれ500mgおよび400mgの活性層、ならびに200mgのポリエチレンオキシド遮蔽層を所持する。
【0261】
実施例4Aおよび4Bの錠剤のそれぞれの組成を、表6に示す。
【0262】
【表13】
【0263】
表6に示した情報に基づいて、実施例4Aおよび4Bの活性層組成物および遮蔽層組成物中の個々の成分量(重量%)ならびに活性層/遮蔽層の比率を計算することができる。これらの情報を、それぞれ表7A、7Bおよび7Cに示す。
【0264】
【表14】
【0265】
【表15】
【0266】
【表16】
【0267】
錠剤を製造するための処理ステップを以下で説明する。
【0268】
実施例4Aおよび4Bのバッチサイズは以下の通りである:
4A:14.560kg、20,000錠
4B:13.728kg、22,000錠
【0269】
実施例4Aおよび4Bの処理条件は、実施例3で使用したものに本質的に同様とした。
【実施例5】
【0270】
20mgまたは120mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む二層錠剤の溶出
重酒石酸ヒドロコドン錠剤の溶出を、10メッシュのバスケットを備えたUSP装置I(例えば、USPの10メッシュバスケットを備えたHanson Researchからの溶出装置I)を使用して実施した。ステンレススチール製スプリング(例えば、不動態化ステンレススチール製スプリング、外径1cm、長さ2cm、Lee Spring Co.(P/N LC036G04S316)を、錠剤を含む各バスケット中に挿入した。次いで、バスケットを、900mLの酵素不含模擬胃液(SGF)中、温度を37℃に維持しながら100rpmで回転した。例えば、駐在型サンプリングプローブおよびインライン型MinisartCAフィルター(直径28mm、1.2μm、P/N 17593Q)を備えた自動溶出サンプル採取装置を用いてサンプリングされたサンプルを、60℃に維持されたWaters SymmetryShieldRP18(4.6×100mm、3.5μm)カラムでの、31:69のアセトニトリル:(10mMドデシル硫酸ナトリウム+20mMリン酸一塩基ナトリウム一水和物)の緩衝液(pH2.1)からなる移動相、1.0mL/分の流速、230nmでのUV検出を使用する逆相高速液体クロマトグラフィー[HPLC、例えば、2487UV−Vis吸光検出器または996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を備えたWaters Alliance(商標)2690/2695HPLCシステムを使用する]によって分析した。
【0271】
試験手順は、次のステップを含む:
1.溶出装置を組み立てる。すべてのバスケットの高さを、各溶出容器の底から25±2mmに調整する。
2.900mLの溶出媒質を各容器に移す。水浴を、すべての容器中の溶出媒質の温度が37.0±0.5℃以内であるように加熱する。
3.試験開始前に、各容器中の溶出媒質の温度を温度計でチェックする。各容器中の溶出媒質の温度は、37.0±0.5℃でなければならない。
4.10メッシュの各USPバスケット中に1つの錠剤を入れ、バスケットの頂部にステンレススチール製スプリングを水平に挿入する。
5.錠剤を含むバスケットを、高さを調整したシャフトに取り付ける。
6.シャフトを100rpmで回転させ、かつバスケットの底が容器の底から25±2mmにあるように所定の高さまでシャフトを降下させる。
7.説明書中で指定された、または必要とされるような時点で、各容器から十分な量のサンプルアリコートを拭き取り、濾過する。約1mLのサンプルをそれぞれのHPLC用バイアル瓶に移す。
8.すべての溶液について10μLを注入する。標準溶液の注入の間に注入されるサンプル溶液は、12検体を超えてはならない。
9.各錠剤について、各時点で溶出された重酒石酸ヒドロコドンの%を次のように計算する:
【0272】
【数3】
式中、
Au=サンプルのクロマトグラムにおけるヒドロコドンピークの面積
A
STD=標準クロマトグラムにおけるヒドロコドンピークの面積
LC=個々の潜在量に関するラベル表示量(20mgまたは120mg)
C
STD=実際の標準溶液の純度に関して補正した重酒石酸ヒドロコドンの濃度、mg/mL
重酒石酸ヒドロコドンWRSを使用する場合:
【0273】
【数4】
乾燥重酒石酸ヒドロコドンUSP RSを使用する場合:
【0274】
【数5】
式中、
W
STD=重酒石酸ヒドロコドン RSの重量(mg)
%P
WRS=重酒石酸ヒドロコドン・2 1/2H
2O WRSのパーセント純度(現品)
%P
USP=重酒石酸ヒドロコドン無水USP RSのパーセント純度(乾基準)
1.1002=重酒石酸ヒドロコドンから重酒石酸・2 1/2H
2Oへの変換計数。
【0275】
溶出実行中に各容器から10mLを超えるアリコートのすべてを採取する場合には、計算に容積補正を適用すべきである。
【0276】
溶出試験の結果を下表8Aおよび8B(20mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む錠剤に関して)、ならびに表9(120mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む錠剤に関して)に示す。
【0277】
実施例1A〜1Cおよび実施例2A〜2Cで製造した錠剤について、測定時点およびパーセント溶出(平均値および最小または最大値)を示す。
【0278】
【表17】
【0279】
【表18】
【0280】
【表19】
【実施例6】
【0281】
12mgおよび32mgの塩酸ヒドロモルフォンを含む二層錠剤の溶出
塩酸ヒドロモルフォン錠剤の溶出は、10メッシュのバスケットを備えた変更USP装置I(例えば、USPの10メッシュバスケットを備えたHanson Researchからの溶出装置I)を使用して実施した。USP装置に対する変更は、10メッシュのUSPバスケットの頂部にステンレススチール製スプリングを挿入することからなる。ステンレススチール製スプリング(例えば、不動態化ステンレススチール製スプリング、外径1cm、長さ2cm、Lee Spring Co.P/N LC036G04S316)を、錠剤を含む各バスケット中に挿入した。次いで、バスケットを、900mLの酵素不含模擬胃液(SGF)中、温度を37℃に維持しながら75rpmで回転した。例えば、駐在型サンプリングプローブおよびインライン型ガラス繊維フィルター(直径25mm、1.0μm、Waters P/N WAT200818)または10カニューレフィルター(QLA P/N FIL010−01)を備えた自動溶出サンプリング装置によってサンプリングされたサンプルを、30℃に維持されたWaters Novapak C18カラム(3.9×150mm、4μm)での、アセトニトリル、ドデシル硫酸ナトリウム、リン酸一塩基ナトリウム緩衝液および水の混合物からなる移動相(最終pH2.9)、1.5mL/分の流速、220nmでのUV検出を使用する逆相高速液体クロマトグラフィー[HPLC、例えば、2487または2489UV−Vis吸光検出器または996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を備えたWaters Alliance(商標)2690/2695HPLCシステムを使用する]を使用して分析した。
【0282】
試験手順は、次のステップを含む:
1.溶出装置を組み立てる。すべてのバスケットの高さを、各溶出容器の底から25±2mmに調整する。
2.900mLの溶出媒質を各容器に移す。水浴を、すべての容器中の溶出媒質の温度が37.0±0.5℃以内であるように加熱する。
3.試験開始前に、各容器中の溶出媒質の温度を温度計でチェックする。各容器中の溶出媒質の温度は、37.0±0.5℃でなければならない。
4.10メッシュの各USPバスケット中に1つの錠剤を入れ、バスケットの頂部にステンレススチール製スプリングを水平に挿入する。
5.錠剤を含むバスケットを、高さを調整したシャフトに取り付ける。
6.シャフトを100rpmで回転させ、かつバスケットの底が容器の底から25±2mmにあるように所定の高さまでシャフトを降下させる。
7.説明書中で指定された、または必要とされるような時点で、各容器から十分な量のサンプルアリコートを拭き取り、濾過する。約1mLのサンプルをそれぞれのHPLC用バイアル瓶に移す。HPLC分析を実施する前にバイアル瓶にキャップを取り付ける。サンプリングする場合、サンプリング装置が、サンプル採取の前に少なくとも3mLの事前洗浄サイクルを経ていることを確認する。
8.すべての溶液について20μLを注入する。標準溶液の注入の間に注入されるサンプル溶液は、12検体を超えてはならない。
9.各錠剤について、各時点で溶出された塩酸ヒドロモルフォンの%を次のように計算する:
各錠剤について、各時点で溶出された塩酸ヒドロモルフォンの%を次式に従って計算した:
【0283】
【数6】
式中、
Au=サンプルのクロマトグラムにおけるヒドロモルフォンピークの面積
A
STD=標準クロマトグラムにおけるヒドロモルフォンピークの面積
LC=個々の潜在量(12、16、24または32mg)に関する表示量
C
STD=実際の標準溶液の純度に関して補正した重酒石酸ヒドロコドンの濃度(mg/mL)
【0284】
【数7】
各容器から10mLを超えるアリコートのすべてを採取する場合、計算に容積補正法を適用すべきである。
【0285】
結果を下表10および11に示す。測定時点およびパーセント溶出(平均値および最小または最大値)を、それぞれ実施例3Aおよび3Bで製造された錠剤について、ならびに実施例4Aおよび4Bで製造された錠剤について示す。
【0286】
【表20】
【0287】
【表21】
【実施例7】
【0288】
20mgおよび120mgの重酒石酸ヒドロコドンを含む二層錠剤の薬物動態
実施例7では、健常な成人の男性および女性被験者における無作為化、オープンラベル、単回投与、4治療、4期間の交差研究を実施して、6種のヒドロコドン製剤(20mgの重酒石酸ヒドロコドン、実施例1A、1Bおよび1Cの製剤、ならびに120mgの重酒石酸ヒドロコドン、実施例2A、2Bおよび2Cの製剤)の絶食(すべての実施例)および摂食(1Bおよび2B)状態での薬物動態特性を評価した。
【0289】
製剤は、それぞれ、絶食または摂食状態において、8オンス(240mL)の水と共に単回投与として経口投与された。
【0290】
この治験は健常ヒト被験者で実施したので、オピオイド関連有害事象を最小化するために、オピオイド拮抗薬である塩酸ナルトレキソンを投与した。
【0291】
被験者の選択
スクリーニング手順
次のスクリーニング手順を、最初の用量投与前の28日以内に実施したスクリーニング来診時に、すべての潜在的被験者に対して実施した:すなわち
− インフォームドコンセント。
− 任意選択の薬理遺伝学的サンプル採取に関するインフォームドコンセント。
− 任意選択の毛髪サンプルの採取に関するインフォームドコンセント。
− 体重、身長、ボディマスインデックス(BMI)、および人口統計データ。
− 組入れ基準/除外基準の評価。
− 医療歴および併用薬剤を含む投薬歴。
− ほぼ5分間着席した後のバイタルサイン(収縮期/拡張期血圧、脈拍数、呼吸数、口内温度)およびSpO
2。
− ほぼ2分間起立した後のさらなるバイタルサイン(収縮期/拡張期血圧、および脈拍数)。
− 「いかがですか?」(HDYF)の質問を、バイタルサインを測定すると同時に実施した。
− 定型的な診察。
− 少なくとも4時間絶食した後の臨床検査室評価(生化学検査、血液検査、および尿分析を含む)。
− 12リードのECG、QTcFは450ミリ秒を超えない。
− 肝炎の検査(B型肝炎表面抗原[HBsAg]、C型肝炎抗体[抗−HCV]を含む)。
− アルコール、コチニン、および選択された薬物の濫用に関する検査。
− 血清妊娠検査(女性被験者のみ)、血清中卵胞刺激ホルモン(FSH)(閉経後の女性被験者のみ)。
− 血清妊娠検査(女性被験者のみ)。
− 血清中卵胞刺激ホルモン(FSH)検査(閉経後の女性被験者のみ)。
【0292】
組入れ基準
− 治験には次の基準に合致する被験者を組み入れた。
− 書面でのインフォームドコンセントを提出。
− 両端を含め18〜50歳の男性および女性。
− 両端を含め50〜100kg(110〜220ポンド)の範囲の体重、および18〜34(kg/m
2)のBMI。
− 健常で、かつ医療歴、診察、バイタルサインおよびECGで判定した場合に重要な異常所見がない。
− 子供を産む潜在能力をもつ女性は、十分かつ信頼できる避妊方法(すなわち、追加的な殺精子薬の泡またはゼリー、子宮内器具を用いる防壁、ホルモン避妊)を使用していることに相違ないこと。閉経後の女性なら、1年以上月経が閉止し、かつ高められた血清卵胞刺激ホルモン(FSH)を有することに相違ないこと。
− 治験中に供給された食物を自発的に摂食する。
− 全治験中、激しい運動を控える。被験者は、新たな運動プログラムを開始せず、異常に激しいどんな身体的作業にも参加しない。
【0293】
除外基準
次の基準により、潜在的被験者を治験から除外した。
− 妊娠中(β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン検査陽性)または授乳中の女性。
− 5年間以内の薬物またはアルコール濫用の履歴または現状。
− 薬物の吸収、分布、代謝または排泄を妨害する可能性のある履歴または何らかの現状。
− この治験での最初の投与に先立つ過去30日間のオピオイド含有医薬の使用。
− ヒドロコドン、ナルトレキソンまたは関連化合物に対する既知の感受性履歴。
− 病因とは関係なく頻繁な吐き気または嘔吐の何らかの履歴。
− 後遺症を伴う発作または頭部外傷の何らかの履歴。
− この治験での最初の投与に先立つ30日間中での臨床薬物治験への参加。
− この治験での最初の投与に先立つ30日間中の何らかの重大な疾病。
− 最初の投与に先立つ7日間中の甲状腺ホルモン補充療法(ホルモン避妊は許される)、ビタミン、生薬および/またはミネラル栄養補助食品を含む何らかの薬剤の使用。
− 次のいずれかを含む心臓の異常状態:
・スクリーニング時点で、QTc間隔≧450ミリ秒(Fridericia補正を使用して計算して)。
・治療期間中に、QTc間隔≧480ミリ秒(Fridericia補正を使用して計算して)。
− 治験薬投与前の10時間および投与後の4時間食物を控えること、および各拘束中にカフェインまたはキサンチン含有飲料を完全に控えることの拒絶。
− 治験薬の最初の投与(1日目)前の48時間および治験中の任意時点でのアルコール飲料の摂取を控えることの拒絶。
− 治験薬投与の45日以内の喫煙またはニコチン製品の使用履歴、または尿中コチニン検査陽性。
− 治験薬の投与前の60日以内または治験中の任意時点、および治験完了後30日間に献血された血液または血液製品(このプロトコールにより要求される場合を除く)。
− 治験薬の投与前14日以内または治験中の任意時点に献血された血漿(この治験プロトコールにより要求される場合を除く)。
− 尿中の薬物検査またはアルコール検査の陽性結果。
− HBsAg、抗−HCVの陽性結果。
− 塩酸ナロキソン負荷試験が陽性。
− ジルベール症候群または任意の既知肝胆異常の存在。
− 治験中の任意選択の毛髪サンプリング部分に関して、適切なサンプルを提供するには不十分な量の頭髪。
− 治験責任医師が除外基準中で具体的に言及していない理由(群)により不適任であると考える被験者。
【0294】
すべての組入れ基準に合致し、除外基準のいずれにも合致しない被験者を治験中で無作為化した。
【0295】
スクリーニングでは、各被験者にただ1つの被験者番号を割り振った。被験者番号の割り振りは昇順とし、番号を抜かさないものとした。すべての治験文書で被験者番号を使用した。
【0296】
チェックインの手順
期間1の1日目のみ、被験者は、治験施設を訪問し、塩酸ナロキソン負荷試験を受けた。治験を継続する被験者であるためには、該試験の結果が陰性でなければならない。塩酸ナロキソン負荷試験の前後に、バイタルサインおよびSPO
2を測定した。
【0297】
また、各期間のチェックインの時点で、次の手順をすべての被験者に対して実施した。
− カフェインおよびキサンチン制限基準に自発的に従うことの確認を含む組入れ/除外基準の確認。
− バイタルサイン(約5分間着席した後の)およびSpO2。
− 「いかがですか?」(HDYF)の質問を、バイタルサインを測定すると同時に実施した。
− バイタルサインおよびSpO
2を測定した後に、生化学検査(少なくとも4時間絶食して)、血液検査、および尿検査;付録A)を含む臨床検査評価(期間1の1日目のみ)を収集した。
− アルコール(尿もしくは血中アルコールまたは酒気検知器検査による)、コチニン、および選択された薬物(尿検査による)の濫用に関する検査。付録A参照。
− 尿妊娠検査(すべての女性被験者について;付録A)。
− 併用薬剤の監視および記録。
− AE(有害事象)の監視および記録。
【0298】
被験者が治験への参加を継続するためには、薬物検査(アルコールおよびコチニンを含む)の結果に応じることができ、かつ投与前に陰性でなければならないこととした。さらに、チェックイン時点および治験中を通して、適切な原資料中で併用薬剤およびその他の制限への継続的遵守を確認した。
【0299】
治療期間中の手順
検討予定の治療を、各繰り返しに対して前以て決定した。繰り返しの範囲内でデータが利用可能になるにつれて、治療をコホートの間に組み入れた。組み入れられた治療を、残りの治療の反復で置き換えた。
− 期間1の初回投与に先立って、被験者を治療配列に無作為化した。
− 被験者は、治験薬投与の12時間前の時点で、240mLの水と共に塩酸ナルトレキソン錠剤(50mg)を服用する。
− 治験薬投与に先立って(期間1を除く)、被験者は、化学検査(少なくとも4時間絶食して)、血液検査、および尿検査を受けた。
− 被験者に治験薬を240mLの水と共に次のように投与した:
・絶食治療の場合:
10時間の夜間絶食の後に、被験者に治験薬を240mLの水と共に投与した。絶食治療を受ける被験者は、4時間後の投与に備えて絶食を継続した。
・摂食治療の場合:
10時間の夜間絶食の後に、240mLの水と一緒の治験薬投与の30分前に、被験者は、基準食(FDA高脂肪朝食、付録E)を摂食した。投与後の少なくとも4時間の間、食物を許されなかった。被験者に対して、すべての食事を指定の時間枠内で食べ尽くさなければならないことを十分に明確にした。
・被験者は、治験薬の投与を受ける間、立ち姿勢または直立着座姿勢とした。
・非投与の治験日には、絶食を要求しなかった。
− 被験者は、各治験薬投与の−12、0、12、24および36時間の時点で、50mg塩酸ナルトレキソン錠剤を240mLの水と共に服用した。
− 60mg以上の用量のヒドロコドンを服用する被験者については、SpO
2を、投与前に開始し、投与後の24時間にわたって継続して監視した。
− バイタルサイン(ほぼ5分間着席した後の)およびSpO
2を、各期間の投与前および投与後1、2、4、6、8、12、24、36、48および72時間の時点で取得した。
− いかがですか?(HDYF)の質問を、バイタルサインを測定すると同時に実施した。
− 被験者は、投与の24時間後に、生化学検査(少なくとも4時間絶食して)、血液検査、および尿検査を受けた。
− さらに、各被験者につき、投与前および投与のほぼ12、24および48時間後に12リードのECGを実施した。QTcFが480ミリ秒を超えたなら、有害事象の理由で被験者を休ませた。
− 血漿中オキシコドン濃度を測定するための血液サンプルを、各被験者について、各期間につき、投与前、投与後の0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、8、10、12、14、18、24、36、48および72時間の時点で採取した。
− 被験者は、チェックインから投与前日まで、48時間の手順を完了する時間まで、施設に拘束された。被験者は、72時間の手順のために、施設に戻った。
− 治験中、AE(有害事象)および併用薬剤を記録した。
【0300】
さらに、嘔吐の何らかの/すべてのエピソードを治験スタッフに直ちに報告することが極めて重要であること、およびこの情報が治験の適切な実施および結果にとって決定的に重要であることを、被験者に通知した。被験者は嘔吐の事例を報告することによっていかなる理由でも罰せられることのないことを、被験者に通知した。治験スタッフを、嘔吐の何らかの/すべての事例を注意深く詳細に文書化するように説示した。
【0301】
この治験の治療配列を以下に示す:
繰り返し1
・HYD20mg、徐放性錠剤(実施例1A)、絶食状態
・HYD20mg、中度放出性錠剤(実施例1B)、絶食状態
・HYD20mg、急速放出性錠剤(実施例1C)、絶食状態
・HYD20mg、中度放出性錠剤(実施例1B)、摂食状態
繰り返し2
・HYD20mg、徐放性錠剤(実施例2A)、絶食状態
・HYD20mg、中度放出性錠剤(実施例2B)、絶食状態
・HYD20mg、急速放出性錠剤(実施例2C)、絶食状態
・HYD20mg、中度放出性錠剤(実施例2B)、摂食状態
【0302】
繰り返し1および2におけるコホート1の被験者からの薬物動態データの再検討の後に、各繰り返しのコホート1において検討された4つの治療の中の2つ:すなわち摂食状態での中度放出性錠剤、および絶食状態での急速放出性錠剤については、コホート2でさらに検討しないことを決定した。これらの棄却された治療を、残りの2つの治療:すなわち絶食状態での徐放性錠剤および絶食状態での中度放出性錠剤の繰り返しで置き換えた。
図2を参照されたい。
【0303】
治験終了の手順
以下の手順を、すべての被験者について治験現場で、治験終了(治験完了)時点、治験薬の最終投与の受入れまたは治験の早期中止の7〜10日後に、実施した。
− 併用薬剤の評価。
− バイタルサイン(ほぼ5分間着席した後の)およびSpO
2。
− いかがですか?(HDYF)の質問を、バイタルサインを測定すると同時に実施した。
− 診察。
− 12リードのECG。
− 臨床検査評価(生化学検査[少なくとも4時間絶食して]、血液検査、および尿検査を含む)。
− AE(有害事象)の評価。
− 血清妊娠検査(女性被験者のみ)。
【0304】
この治験の薬物動態結果を表12および
図3〜6に示す。
【0305】
【表22】
【0306】
表12の結果は、例示の製剤が、本明細書に記載し特許を請求するような薬物動態特性を提供することを示している。
【0307】
本発明は、実施例中で開示される特定の実施形態による範囲内に制約されるものではなく、該実施例は、本発明のほんの少数の態様の例示と解釈され、機能的に等価であるいずれの実施形態も本発明の範囲に包含される。実際、本明細書に示し記載した実施形態に加え、本発明の種々の修正形態は、当業者にとって明らかになり、添付の特許請求の範囲に包含されると解釈される。
【0308】
多くの参考文献が引用され、そのすべての開示は、すべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0309】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/467824号に基づく優先権を主張する。