【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に係る
、結晶、特にサファイア単結晶成長用のるつぼによって解決される。有益な態様が従属請求項に示されている。
【0009】
るつぼは、W、Mo、Re、又はこれらの合金からなる基礎るつぼと、W、Mo、Re、又はこれらの合金からなる内側ライニングと、を有する。基礎るつぼはポット状に形成されており、内側ライニングは少なくとも、基礎るつぼの底部を覆うポット状の第1の部分と、基礎るつぼの側壁部を少なくとも部分的に覆うジャケット状の第2の部分と、を有する。第1の部分と第2の部分とは別々の部品によって形成されている。
【0010】
当該構成における「これらの合金」は、W−Mo合金、W−Re合金、Mo−Re合金又はW−Mo−Re合金を意味することが分かる。基礎るつぼが内側ライニングを備えていることにより、サファイア単結晶成長に基礎るつぼを繰り返し使用することが可能となり、別の単結晶を生成するためには内側ライニングを交換する必要があるだけである。この場合の内側ライニングは、基礎るつぼと比較して大幅に薄い壁厚で形成することが可能であり、その結果、かなりの材料節約が達成される。内側ライニングを組み入れておくことによって、溶融Al
2O
3により生じる基礎るつぼの少なくとも腐食を最大限に避けることができ、したがって基礎るつぼの寿命を大幅に伸ばすことができる。別部品として形成したポット状の第1の部分とジャケット状の第2の部分とを有する内側ライニングは、特に能率的且つ低費用で製造することができる。第1の部分をポット状に形成することによって、とりわけ危険性の高い底部分において、内側ライニングが溶融Al
2O
3を通さない構成が提供される。第1の部分と第2の部分とを有した構成とすることにより、ポット状の第1の部分は、金属薄片から能率的且つ低費用で製造することが可能である。すなわち例えば、該当形状への深絞り加工やプレス加工によって製造することができる。ジャケット状の第2の部分は、巻き加工によって金属薄片から能率的且つ低費用で製造することができる。この場合の第1の部分及び第2の部分は、好ましくは同じ材料から製造される。一つの部品として内側ライニングを形成する場合と比較して、より費用効率の高い製造が可能で、特に第1の部分は、能率的にポット状に形成することができる。
【0011】
さらに上記解決手段によれば、例えば内側ライニングに使用する圧延ストリップ又は金属薄板が、プレス加工又はターニング加工によって機械加工される一つの部分としてのるつぼよりも高い表面品質をもつか、又はもたせるようにできるので、溶融Al
2O
3やサファイア単結晶と接触することになる内側ライニングについてより優れた表面品質を提供することができる。したがって、サファイア単結晶のより優れた外観品質を得ることができることになり、外観品質評価に関し有益である。
【0012】
第1の部分と第2の部分とは、例えば相互に固定することができる。この場合の両部分は、内側ライニングが溶融Al
2O
3を通さず、溶融Al
2O
3が基礎るつぼの材料と接触することのないように、相互に固定される。この固定は、互いの溶接や焼結などの一体化結合によって、又は、第1の部分の一部及び第2の部分の一部の少なくともいずれかの成形と相互の嵌め合いによる結合によって、あるいは、これらの結合技術の組み合わせによって、実施することができる。固定に代えて、例えば、第1の部分と第2の部分とは、互いに当接して密封を生じるだけにすることもできる。一例をあげると、巻いた金属薄片により形成してある第2の部分の下端を第1の部分中に配置すれば、その第2の部分の残留応力、すなわち巻かれたものが広がろうとする力によって、及び、場合によってはAl
2O
3出発材料や溶融Al
2O
3からかかる圧力によって、第1の部分に対する密封を伴って第2の部分が支持される。
【0013】
基礎るつぼ及び内側ライニングは、単結晶成長後に内側ライニングをサファイア単結晶と共に基礎るつぼから取り外しできるように互いに組み合わせてあるのが好ましい。これは、基礎るつぼ及び内側ライニングの適切な材料選択、基礎るつぼ及び内側ライニングの適切な寸法調整、そして、基礎るつぼと内側ライニングとの間の接続構造によって、達成することができる。
【0014】
ポット状の第1の部分を金属薄片から成形によって形成する場合には、費用効率の良い製造方法により、るつぼの底部分における内側ライニングの漏れ防止構成を得られる。当該成形は、例えば、該当形状への深絞り加工又はプレス加工によって実施可能である。
【0015】
巻かれた金属薄片から第2の部分を形成する場合には、該第2の部分の能率的且つ低費用の製造も可能である。例えば、第2の部分は、中空円筒状を形成するように金属薄片を巻くことによって、形成することができる。その継ぎ目は、溶融Al
2O
3を通さないように形成される。
【0016】
一態様によれば、第1の部分と第2の部分とは互いに一体化結合されている。この場合、内側ライニングが溶融Al
2O
3を通さず、溶融Al
2O
3が基礎るつぼと接触しないことが、保証される。一体化結合は、例えば溶接や焼結によって実施することができる。
【0017】
一態様によれば、第1の部分と第2の部分とは、両者の互いに係合する部位を介して相互に結合される。一例として、第1の部分の一部と第2の部分の一部の少なくともいずれかを例えば折り返しの形状に折り曲げ、当該第1の部分及び第2の部分の一部を相互に係合させることができる。場合によっては、この種の結合を溶接又は焼結などによる一体化結合と組み合わせてもよい。この場合、負荷に強く高信頼性の結合が実現される。
【0018】
好ましい態様では、サファイア単結晶生成後に基礎るつぼから内側ライニングを容易に取り外せるようにする構造が組み入れられる。製造の簡素化を目的とした場合、そのような表面構造を、少なくとも内側ライニングの外側に設けることができる。該表面構造は、例えば、内側ライニング及び基礎るつぼの少なくともいずれかの材料におけるエンボス加工により導入可能である。表面構造は、サファイア単結晶生成後に内側ライニング及び基礎るつぼを容易に分解できるような形態で形成するのがよい。例えば、表面構造は、内側ライニングが一部領域でのみ基礎るつぼと接触するような形態に形成することができる。代替案では、このような構造は、基礎るつぼと内側ライニングとの間の少なくとも一部領域に配設された分離中間要素として構成することも可能である。
【0019】
上記課題は、請求項7に係る
、結晶、特にサファイア単結晶成長用のるつぼによっても解決される。有益な態様が従属請求項に示されている。
【0020】
このるつぼは、W、Mo、Re、又はこれらの合金からなる基礎るつぼと、W、Mo、Re、又はこれらの合金からなる内側ライニングと、を有する。基礎るつぼは、ポット状に形成され、内側ライニングは、基礎るつぼよりも壁厚が薄い。サファイア単結晶生成後に基礎るつぼから内側ライニングを容易に取り外せるようにする構造が組み入れられる。当該構造は、例えば、内側ライニングの材料から又は基礎るつぼの材料から形成可能であり、特に、内側ライニング及び基礎るつぼの少なくともいずれかの表面の構造として形成され得る。あるいは、当該構造は、基礎るつぼと内側ライニングとの間の少なくとも一部領域に配設した分離要素として構成することも可能である。
【0021】
一態様によれば、上記構造は、少なくとも内側ライニングの外面か又は少なくとも基礎るつぼの内面、あるいはその両方の表面構造によって形成される。この場合、るつぼの極めて簡単な構成により、生成後のサファイア単結晶を容易に基礎るつぼから取り出せるようになり、この結果、信頼性をもって繰り返しるつぼを使用することができる。
【0022】
一態様によれば、上記構造は、内側ライニングと基礎るつぼとの間に配設した分離中間要素によって形成される。該中間要素は、内側ライニングと基礎るつぼとの間の全域に組み入れることも可能であるし、内側ライニングと基礎るつぼとの間の一部領域にのみ組み入れることも可能である。一例として、中間要素は、所定の形、特に波形を付けた金属薄片を、内側ライニングと基礎るつぼとの間の少なくとも一部領域にスペーサとして配置することにより、構成することが可能である。この場合、Al
2O
3粉末を融解してサファイア単結晶を生成する間、中間要素が、基礎るつぼと内側ライニングとの間に間隔を確保する。単結晶生成後の冷却にあたり、中間要素は、例えば、その脆弱性に起因してつぶれることにより、破壊され得る。中間要素は、好ましくは、同様のW、Mo、Re、又はこれらの合金によって形成することができる。この種の中間層を組み入れておくと、異なる熱膨張率(特に、生成された単結晶の熱膨張率とるつぼの熱膨張率)に起因する応力を中間層が吸収するので、生成後の単結晶に作用する応力を抑制することができる。したがって、応力の少ない結晶を得ることができる。これにより、生成結晶の品質を高めることができる。
【0023】
製造簡素化の観点から言えば、少なくとも内側ライニングの外側において表面構造を形成するのがよい。この表面構造は、例えば、内側ライニング及び基礎るつぼの少なくともいずれかの材料におけるエンボス加工によって導入することができる。一例として、表面構造は、内側ライニングが一部領域でのみ基礎るつぼと接触する形態として形成され得る。この場合の表面構造は、広い領域における表面構造によって内側ライニングを基礎るつぼの内壁から離して保持するように、構成され得る。このようにして、単結晶を(内側ライニングと共に)基礎るつぼから容易に取り出すことが確実となる。表面構造を組み入れることによって、生成後の単結晶は、内側ライニングと共に簡単且つ能率的に基礎るつぼから取り出すことができる。基礎るつぼが内側ライニングを備えていることによって、サファイア単結晶成長に基礎るつぼを繰り返し使用することができ、この場合、別の単結晶の生成に際し内側ライニングを交換するだけでよい。内側ライニングは基礎るつぼよりも格段に薄い壁厚とすることができ、十分な材料節約が達成される。
【0024】
一態様によれば、内側ライニングは、1mmより薄い、好ましくは0.5mmより薄い、さらに好適には0.05mmから0.5mmの間の壁厚とする。この場合の内側ライニングは、例えば、対応する金属薄片からの成形によって能率的に製造することができる。さらに、このような壁の薄い構成によって、多量の材料を節約できる。好ましくは、少なくとも内側ライニングは、99%より高い、さらに言えば99.9%より高い純度とし、溶融物の汚染をより確実に回避する。この純度は、原材料又は原合金の元素以外の成分の最大割合がどの程度高いか、に関する。好ましい態様では、基礎るつぼも同様に対応する純度を有する。
【0025】
好ましい態様によれば、少なくとも内側ライニングは、99%より高い、好ましくは99.9%より高い純度をもつ純Moから形成される。この場合の内側ライニングは、満足のいく費用枠内において高い純度で提供することもできる。
【0026】
一態様によれば、内側ライニングの材料と基礎るつぼの材料とを別のものにする。例えば、内側ライニングは純Mo又はMo成分の高い合金から形成し、基礎るつぼはW又はW成分の高い合金から形成することができる。この場合、基礎るつぼは低熱膨張率で、したがって単結晶生成後の冷却時に収縮が小さく、これが単結晶の取り出し容易性に有利に働く。他方、内側ライニングは比較的費用をかけないで提供することができ、且つ、内側ライニングと基礎るつぼとの間の付着の可能性を最低限に抑えることができる。ただし、当該例示材料の他にも、内側ライニングと基礎るつぼとの付着を確実に阻止し且つ単結晶の良好な取り出しも保証し得る他の材料の組み合わせが可能である。特に、Mo、W及びReから選択した異なる材料、又はこれらの異なる合金を、内側ライニングと基礎るつぼとに使用することができる。
【0027】
上記課題は、上記のようなるつぼを使用してサファイア単結晶成長を行う方法であって、溶融物からの凝固をるつぼの底部分から進めることによりサファイア単結晶を生成する方法によっても解決される。この場合、単結晶生成は、るつぼの底部分に配置された種結晶を出発点として行われる。この方法によれば、基礎るつぼを破壊することなく、生成したサファイア単結晶をるつぼから取り出すことができる。したがって、基礎るつぼを、費用効率良く繰り返し使用することができる。
【0028】
上記課題は、溶融物からの凝固をるつぼの底部分から進めることによりサファイア単結晶を生成するようにしたサファイア単結晶成長を行う方法において、上記のようなるつぼを使用することによっても解決される。
【0029】
本発明の他の利点及び有効性は、図面を参照して説明する以下の実施形態に基づき明示される。