特許第5964965号(P5964965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964965コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)インヒビターとしての置換複素環式アミン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964965
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)インヒビターとしての置換複素環式アミン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20160721BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20160721BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20160721BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 31/435 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C07D401/12CSP
   C07D413/14
   C07D401/14
   C07D413/12
   A61K31/506
   A61K31/5377
   A61K31/4709
   A61K31/435
   A61P9/10
   A61P3/06
【請求項の数】15
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2014-525513(P2014-525513)
(86)(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公表番号】特表2014-525929(P2014-525929A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】IB2012002056
(87)【国際公開番号】WO2013024358
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】61/557,065
(32)【優先日】2011年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】2829/CHE/2011
(32)【優先日】2011年8月18日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】512276315
【氏名又は名称】ドクター レディズ ラボラトリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボルア, アニマ
(72)【発明者】
【氏名】アリクンジュ, シャナバス
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−528447(JP,A)
【文献】 特表2009−530230(JP,A)
【文献】 特表2010−509388(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/111604(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/098394(WO,A1)
【文献】 特表2008−520645(JP,A)
【文献】 特開昭63−107958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/12
C07D 401/14
C07D 413/12
C07D 413/14
A61K 31/435
A61K 31/4709
A61K 31/506
A61K 31/5377
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩:
【化45】

であって、ここで
Rは、
【化46】

を表し;
およびR−(CHRであり;
は、シクロプロピルであり
は、各存在において、独立してメチルであり
は、各存在において、独立してトリフルオロメチルであり
シアノ、ハロゲン、−C(=O)−R、−CONR−C(=O)−CH=CH−NR、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、モルホリニル、ピラゾリルおよびイソオキサゾリルから独立して選択され
は、各存在において、独立して水素であり
は、メチルであり;
、R、RおよびRは、独立して水素もしくはメチルを表し;
mは、1もしくは2であり;
nは1、2もしくは3であり;
pは、1もしくは2であり;そして
qはもしくはある、
化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
式(Ib):
【化47】

を有する、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩であって;ここで
およびR−(CHRであり
は、シクロプロピルを表し;
は、各存在において、独立してメチルであり;
は、以下:
【化53】
から選択されるを表し
mは、1もしくは2であり;
qは、1、2もしくは3を表し;そして
pは、1もしくは2を表す、
化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
式(Ic):
【化49】

を有する請求項2に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩であって;
ここでRは、
【化50】

を表す、化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
式(Ie):
【化52】

を有する請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
以下からなる群:
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)ピロリジン−2−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン;
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−(イソオキサゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミン
6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オンおよび
3−(((5−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン
から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩および少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項7】
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を妨げるかもしくは阻害するための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項8】
患者における高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増大させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項9】
患者における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項10】
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質を結合させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項11】
請求項に記載の少なくとも1種の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩、および少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を妨げるかもしくは阻害するための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項に記載の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項13】
患者における高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増大させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項に記載の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項14】
患者における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項に記載の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項15】
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質を結合させるための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の、請求項に記載の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み、該組成物は、該患者に投与されることを特徴とする、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本出願は、式(I)のシクロアルキルピリジン−2−アミン誘導体またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)は、例えば、高密度リポタンパク質(HDL)のようなリポタンパク質の代謝における重要なプレイヤーである。CETPは、HDL粒子と物理的に会合する70kDaの血漿糖タンパク質である。これは、HDLからアポリポタンパク質B含有リポタンパク質へのコレステリルエステルの輸送を促進する。この転送は、反対方向のトリグリセリドの転送が付随する。従って、CETP活性の低下は、HDLコレステロールのレベルの増大、ならびに超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)のレベルの低下を生じ得る。CETPは、従って、アテローム生成促進性リポタンパク質(例えば、LDL)および抗アテローム生成リポタンパク質(例えば、HDL)の濃度に同時に影響を及ぼし得る。
【0003】
ヒトにおける臨床研究は、CETPのインヒビターがHDLレベルを30〜110%上昇させることにおいて有効であり得ることを示した。さらに、疫学研究から、低い高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルが、冠動脈疾患(CAD)の強力なリスクファクターであることが示された。一般に、非特許文献1(Gordon et al., Circulation, 79, pp. 8−15, 1989);非特許文献2(Despres et al., Atherosclerosis 153: 263−272, 2000)を参照のこと。HDL−Cの上昇は、このリスクを低下させることが示された。そして、HDL−Cの各1mg/dl(0.02mmol/l)上昇が冠動脈性心疾患(CHD)リスクの2〜3%低下(低密度リポタンパク質(LDL)低下のものに匹敵する規模)と関連すると推定される。
【0004】
HDLの抗アテローム生成の役割は、細胞からの遊離コレステロールの流出を促進し、肝臓へとこれを輸送するその能力(コレステロール逆転送といわれるプロセス)に一部起因すると考えられる。HDLは、いくつかの他の機構によってアテローム硬化症から保護し得る。例えば、いくつかの研究から、HDLは抗酸化効果および抗炎症効果を有することが示された。脂質代謝の酸化的生成物は、脈管細胞における炎症細胞動員を誘導する。HDL粒子は、LDL酸化を遅らせる酵素(パラオキソナーゼ、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ、およびレシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼが挙げられる)を運ぶ。これら酵素は、炎症促進性酸化型リン脂質を分解し、LDLにおけるそれらの蓄積を制限する。さらに、apoA−Iは、酸化型脂質を結合し得、これらをLDLから除去し得る。さらに、HDLはまた、低分子(細菌性リポポリサッカリド(LPS)が挙げられる)のキャリアビヒクルとして作用し得るので、LPSの炎症効果を調節し得る。エンドトキシン性ショックの動物モデルにおいて、HDLは、器官損傷および接着分子発現を弱める。従って、HDLの上昇は、抗アテローム生成性のみならず、潜在的に抗炎症性でもあり得る。
【0005】
CETP阻害によるHDLの上昇は、当該分野で記載されてきた。
【0006】
しかし、CETPインヒビターは現在市場に出回っていない。さらに、他の既存の治療(例えば、HDL上昇治療および抗アテローム硬化治療)は、重篤な耐性課題を含め、制限がある。従って、リポタンパク質代謝と関連する状態もしくは疾患(例えば、アテローム硬化症)を予防もしくは処置するための方法を含め、代替療法を見いだすことが、当面のニーズである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gordon et al., Circulation, 79, pp. 8−15, 1989
【非特許文献2】Despres et al., Atherosclerosis 153: 263−272, 2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
よって、本出願は、一般式(I)のシクロアルキルピリジン−2−アミン誘導体:
【0009】
【化1】
【0010】
に関し、
ここで
Rは、
【0011】
【化2】
【0012】
を表し;
およびRは、水素、アシル、ハロアルキル、−(CHR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、アルキルもしくはシクロアルキルから選択され、ここで必要に応じた置換基は、各存在において、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールから選択される基であり、ここでRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから選択される基で必要に応じて置換され;
は、各存在において、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、各存在において、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素、シアノ、ハロゲン、−C(=O)−R、−CONR、−C(=O)−CH≡CH−NR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環から選択され、ここで上記必要に応じた置換基は、各存在において、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルから選択され;
は、各存在において、水素、アルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルから選択され;
、R、RおよびRは、独立して、水素もしくはアルキルを表し;
mは、0、1もしくは2であり;
nは、0、1、2もしくは3であり;
pは、1もしくは2であり;そして
qは、0、1、2、3、4もしくは5である。
【0013】
本出願はまた、式(I)の化合物の調製のためのプロセスに関する。
【0014】
本出願はさらに、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)インヒビターとしての式(I)の化合物を記載する。
【0015】
本出願はさらに、式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物に関する。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
式(I)を有する化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩:
【化45】


であって、ここで
Rは、
【化46】


を表し;
およびRは、水素、アシル、ハロアルキル、−(CHR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、アルキルもしくはシクロアルキルから選択され、ここで必要に応じた置換基は、各存在において、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールから選択される基であり、ここでRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから選択される基で必要に応じて置換され;
は、各存在において、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、各存在において、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素、シアノ、ハロゲン、−C(=O)−R、−CONR、−C(=O)−CH≡CH−NR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環から選択され、ここで該必要に応じた置換基は、各存在において、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、各存在において、水素、アルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
、R、RおよびRは、独立して水素もしくはアルキルを表し;
mは、0、1もしくは2であり;
nは、0、1、2もしくは3であり;
pは、1もしくは2であり;そして
qは、0、1、2、3、4もしくは5である、
化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目2)
式(Ib):
【化47】


を有する、項目1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩であって;ここで
およびRは、水素もしくは−(CHR;から独立して選択され;
は、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールを表し;
は、以下:
【化48】


から選択される必要に応じて置換された複素環式環を表し、ここで該必要に応じた置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルもしくはハロアルコキシから選択され;
qは、1、2もしくは3を表し;そして
pは、1もしくは2を表す、
化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目3)
式(Ic):
【化49】


を有する項目2に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩であって;
ここでRは、
【化50】


を表す、化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目4)
式(Id):
【化51】


を有する項目1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目5)
式(Ie):
【化52】


を有する項目1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目6)
以下からなる群:
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)ピロリジン−2−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン;
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン;
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−(イソオキサゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソプロピル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソブチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミン;
6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;および
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン
から選択される、項目1に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目7)
項目1に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目8)
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を妨げるかもしくは阻害する方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目1に記載の式(I)の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目9)
患者における高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増大させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目1に記載の式(I)の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目10)
患者における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目1に記載の式(I)の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目11)
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質を結合させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目1に記載の式(I)の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目12)
項目6に記載の少なくとも1種の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩、および少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目13)
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を妨げるかもしくは阻害する方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目6に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目14)
患者における高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増大させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目6に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目15)
患者における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目6に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目16)
患者におけるコレステリルエステル転送タンパク質を結合させる方法であって、該方法は、該患者に、治療上有効な量の、項目6に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本出願は、以下で、より詳細に記載される:
「アルキル」基とは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基をいう。例示的アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「アルコキシ」基とは、−O−(アルキル)基であって、ここでアルキル基が上記で定義されるとおりであるものをいう。例示的アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。別段特定されなければ、アルコキシ基は、1〜10個の炭素原子を有する。
【0018】
「アルコキシアルキル」とは、アルコキシ置換されたアルキル基であって、ここでアルコキシ基およびアルキル基が上記で定義されるとおりであるものをいう。代表的には、上記アルコキシ基は、1〜10個の炭素原子を有し得、上記アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有し得る。例示的アルコキシアルキル基としては、エトキシメチル、プロポキシエチル、エトキシブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
「アシル」基とは、アルキル−CO−基であって、ここでアルキル基が上記で定義されるとおりであるものをいう。アシル基とは、上記CO基に結合されたアルキルリンカー部分に言及する。アシル基の例としては、アセチル、プロピオニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アシル基は、ホルミル基もまた含む。
【0020】
「アリール」は、単環式もしくは多環式の芳香族環系である。例示的アリール基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、アリール基は、代表的には、6〜約14個の炭素原子を有する。
【0021】
「シクロアルキル」基とは、単環式、二環式、多環式、もしくは縮合/架橋環系であり得る環式アルキル基をいう。例示的シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、シクロアルキル基は、代表的には、3〜約10個の炭素原子を有する。代表的な架橋シクロアルキル基としては、アダマンチル、ノルアダマンチル、ビシクロ[1.1.0]ブタニル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルナジエニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエニル)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、ビシクロ[2.2.2]オクタジエニル、ビシクロ[5.2.0]ノナニル、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「ハロゲン」もしくは「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素を表す。
【0023】
「ハロアルキル」とは、少なくとも1個のハロゲン原子でアルキル基が置換されていることを意味する。ハロゲンおよびアルキルはともに、上記定義されるとおりの意味を有する。ハロアルキル基の代表例としては、フルオロメチル、クロロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジクロロエチル、トリクロロエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、ハロアルキル基は、代表的には、1〜10個の炭素原子を有する。
【0024】
「ハロアルコキシ」は、少なくとも1個のハロゲン原子でアルコキシ基が置換されていることを意味し、ここでアルコキシ基およびハロゲン基は、上記で定義されるとおりである。例示的ハロアルコキシ基としては、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロエトキシ、フルオロエトキシ、クロロエトキシ、トリフルオロエトキシ、ペルフルオロエトキシ(−OCFCF)、トリフルオロ−t−ブトキシ、ヘキサフルオロ−t−ブトキシ、ペルフルオロ−t−ブトキシ(−OC(CF)などが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、ハロアルコキシ基は、代表的には、1〜10個の炭素原子を有する。
【0025】
「ヘテロシクリル」とは、−O−、−N−、−S−、−SO、もしくは−COから選択される少なくとも1個のヘテロ原子もしくはヘテロ基を有する3〜10員の飽和の単環式もしくは多環式の環系である。例示的ヘテロシクリル基としては、アゼチジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル(oxazolidinonly)、イソオキサゾリジニル、イミダゾリジン−2−オニル、ピロリジニル、ピロリジン−2−オニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、シクロペンタ[b]ピリジニル、シクロペンタ[d]ピリミジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、ヘテロシクリル基は、代表的には、3〜約10個の炭素原子を有する。
【0026】
「ヘテロアリール」は、−O−、−N−、−S−、−SO、もしくは−COから選択される少なくとも1個のヘテロ原子もしくはヘテロ基を有する3〜10員の不飽和の、芳香族もしくは非芳香族の、単環式もしくは多環式の環系である。例示的ヘテロアリール基としては、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピロリル、ピリミジニル、チアジニル、ピラジニル、ピラゾリル、テトラゾリル、イミダゾチアゾリル、インドリジジニル、インドリル、キノリニル、キノキサリニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、キノキサリニル、イミダゾリル、キノリン−2(1H)−オニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されなければ、ヘテロアリール基は、代表的には、3〜約10個の炭素原子を有する。
【0027】
「(C−C10)アルコール」は、「(C−C10)アルキル−OH」であって、ここでアルキル基が上記で定義されるとおりであるものを表す。例示的(C−C10)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。
【0028】
上記コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)は、動物、または非哺乳動物もしくは哺乳動物のタンパク質(例えば、ヒトタンパク質)であり得る。
【0029】
「必要に応じて置換された」は、上記置換が選択肢的なものであることを意味し、従って、指定された原子もしくは分子が置換されていないことも可能である。置換が所望される事象において、このような置換は、指定された原子上の任意の数の水素が、指定された原子の通常の価数を超えない条件で、示された基から選択されたもので置換され、上記置換が、安定な化合物を生じることを意味する。例えば、式(I)において、置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、上記原子上の2個の水素が置換され、上記置換がフルオロである場合、上記原子上の1個の水素が置換される、などである。
【0030】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、状況が別段明確に示さなければ、複数形への言及を含む。
【0031】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0032】
式(I)の1種以上の化合物は、本出願の範囲内にある治療用組成物の形態において供給され得る。
【0033】
「塩」とは、レシピエントに投与される場合、本明細書に記載されるとおりの化合物を提供し得る(直接的もしくは間接的に)上記化合物の任意の酸もしくは塩基の塩、薬学的に受容可能な溶媒和物、または任意の錯体をいう。しかし、薬学的に受容可能ではない塩がまた、本願の範囲内にあることもまた、認識されるべきである。塩の調製は、公知の方法を使用して行われ得る。
【0034】
例えば、本明細書において企図される化合物の薬学的に受容可能な塩は、酸残基を含む親化合物を使用して、従来の化学法によって合成され得る。一般に、このような塩は、例えば、上記化合物の遊離塩基を作製し、水もしくは有機溶媒中の、または上記2つの混合物中の、化学量論的量の適切な酸(およびそのまた逆)と反応させることによって、調製され得る。一般に、非水性媒体(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールもしくはアセトニトリル)が利用され得る。酸付加塩の例としては、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)、および有機酸付加塩(例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。式(I)の化合物の異性体形態および互変異性形態および薬学的に受容可能な塩もまた、本出願に含まれる。例示的な薬学的に受容可能な塩は、以下から調製される:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸(algenic)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸。
【0035】
用語「立体異性体」は、空間におけるそれらの原子の配向においてのみ異なる個々の分子の全ての異性体について使用される一般的用語である。代表的には、それは、少なくとも1個の不斉中心に起因して通常形成される鏡像異性体(エナンチオマー)を含む。本出願に従う化合物が1個以上の不斉中心を有する場合、従って、ラセミ混合物(racemate)、ラセミ混合物(racemic mixture)、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。特定の個々の分子は、幾何異性体(シス/トランス)としても存在し得る。同様に、本出願の特定の化合物は、急速な平衡状態にある2種以上の構造的に異なる形態の混合物(一般に互変異性体として公知)において存在し得る。互変異性体の代表例としては、ケト−エノール互変異性体、フェノール−ケト互変異性体、ニトロソ−オキシム互変異性体、イミン−エナミン互変異性体などが挙げられる。全てのこのような異性体および任意の割合のそれらの混合物が本出願の範囲内に包含されることは、理解されるべきである。
【0036】
本明細書で開示される任意の特定の化合物について、提示される任意の一般構造がまた、特定の置換基セットから生じ得る全ての配座異性体、位置異性体および互変異性体を包含する。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」もしくは「患者」は、哺乳動物(例えば、ヒトおよび他の動物(ウマ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ヒツジ、ブタなどが挙げられる))を意味する。例示的実施形態において、上記被験体は、本明細書で記載される状態の処置および/もしくは予防が有益である被験体を含み得る。
【0038】
参照を容易にするために、本出願においては、ヒト被験体への投与に関して記載される。しかし、このような記載がヒトへの投与に限定されないが、別段明示されなければ、他の動物への投与をも含むことが理解される。
【0039】
「治療上有効な量」とは、具体的疾患の処置における所望の臨床結果を得るにあたって有効である化合物の量である。
【0040】
用語「処置する」もしくは「処置すること」とは、症状を緩和するか、一時的もしくは永久的のいずれかで原因を排除するか、または症状の出現を予防するかもしくは遅らせることを意味する。用語「処置」は、上記で記載される疾患もしくは障害のうちのいずれかの緩和、上記で記載される疾患もしくは障害のうちのいずれかの原因の排除、または上記で記載される疾患もしくは障害のうちのいずれかの予防を包含する。ヒトの処置に有用であることの他に、これら組み合わせはまた、他の哺乳動物(ウマ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ヒツジ、ブタなどが挙げられる)の処置に有用である。
【0041】
「約」、「実質的に」などのような用語は、用語もしくは値が絶対的なものでないようにその用語もしくは値を修飾すると解釈される。このような用語は、それらが修飾する状況および用語によって定義される。なぜなら、それら用語は、当業者によって理解されるからである。これは、少なくとも、値を測定するために使用される所定の技術に関して、予測される実験誤差、技術誤差および機器誤差の程度を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「含む、包含する(comprising)」とは、記載される要素、または構造もしくは機能におけるそれらの等価物と、記載されない任意の他の要素とを意味する。用語「有する」、「含む、包含する(including)」、および「〜から構成される」はまた、別段状況が示唆しなければ、開放系として解釈されるべきである。
【0043】
本明細書で記載される化合物は、代表的には、薬学的組成物の形態において、1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリアと混合した状態で投与される。「組成物」は、1種の化合物もしくは化合物の混合物を含み得る。「薬学的組成物」は、このような薬学的組成物が投与される被験体において少なくとも1種の生理学的応答を生じるにあたって有用なもしくは潜在的に有用な任意の組成物である。
【0044】
ここで本出願の実施形態に対して詳細に言及がなされ、そのうちの1つ以上の例が以下に記載される。各例は、本発明の例示によって提供され、本発明の限定のために提供されるのではない。実際に、種々の改変およびバリエーションが、本発明の範囲もしくは趣旨から逸脱することなく本出願において行われ得ることは、当業者に明らかである。例えば、一実施形態の一部として例示もしくは記載される特徴は、別の実施形態に対して使用されて、なおさらなる実施形態を生じ得る。従って、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にあるとして、本出願は、このような改変およびバリエーションを含むことが意図される。本出願の他の目的、特徴および局面は、以下の詳細な説明において開示されるか、またはそこから明らかである。この考察が、例示的実施形態の記載に過ぎず、本出願のより広い局面を限定するとして解釈されないことは、当業者によって理解されるべきである。
【0045】
従って、本出願によれば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され:
【0046】
【化3】
【0047】
ここで
Rは、
【0048】
【化4】
【0049】
を表し;
およびRは、水素、アシル、ハロアルキル、−(CHR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、アルキルもしくはシクロアルキルから選択され、ここで必要に応じた置換基は、各存在において、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールから選択される基であり、ここでRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから選択される基で必要に応じて置換され;
は、各存在において、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、各存在において、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素、シアノ、ハロゲン、−C(=O)−R、−CONR、−C(=O)−CH≡CH−NR、必要に応じて置換された基から独立して選択され、該必要に応じて置換された基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環から選択され、ここで上記必要に応じた置換基は、各存在において、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルもしくはハロアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルから選択され;
は、各存在において、水素、アルキルもしくはアルコキシから独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルから選択され;
、R、RおよびRは、独立して、水素もしくはアルキルを表し;
mは、0、1もしくは2であり;
nは、0、1、2もしくは3であり;
pは、1もしくは2であり;そして
qは、0、1、2、3、4もしくは5である。
【0050】
一実施形態において、式(Ia)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され:
【0051】
【化5】
【0052】
ここで
、R、R、R、R、p、m、nは、上記で定義されるとおりである。
【0053】
別の実施形態において、式(Ib)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され;
【0054】
【化6】
【0055】
ここで
およびRは、水素もしくは−(CHRから独立して選択され、ここでRは、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールを表し;
は、以下:
【0056】
【化7】
【0057】
から選択される必要に応じて置換された環を表し、ここで上記必要に応じた置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルもしくはハロアルコキシから選択され;
qは、1、2もしくは3を表し;そして
、Rおよびpは、上記で定義されるとおりである。
【0058】
別の実施形態において、式(Ic)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され:
【0059】
【化8】
【0060】
ここで
は、以下:
【0061】
【化9】
【0062】
を表し、
およびmは、上記で定義されるとおりである。
【0063】
別の実施形態において、式(Id)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され:
【0064】
【化10】
【0065】
ここで
、Rおよびmは、上記で定義されるとおりである。
【0066】
さらに別の実施形態において、式(Ie)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供され:
【0067】
【化11】
【0068】
ここで
およびmは、式(I)の上記の記載において定義されるとおりである。
【0069】
別の実施形態において、いかなる限定もなく、式(I)の具体的化合物は、以下のとおりに列挙される:
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)ピロリジン−2−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン;
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン;
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−(イソオキサゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソプロピル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソブチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミン;
6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン;
またはそれらの立体異性体もしくはそれらの薬学的に受容可能な塩である。
【0070】
上記式(I)の化合物は、立体異性体の形態において存在し得る。このような立体異性体はまた、本出願の一部である。
【0071】
上記式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態において存在し得る。このような薬学的に受容可能な塩はまた、本出願の一部である。
【0072】
別の実施形態において、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療上有効な量の1種以上の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物が提供される。
【0073】
上記実施形態の一局面は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)もしくは(Ie)から選択される1種以上の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0074】
別の実施形態において、CETPインヒビターとして、式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩が提供される。
【0075】
別の実施形態において、被験体(すなわち、患者)においてCETPインヒビターを投与する方法が提供され、上記方法は、上記被験体(すなわち、患者)に、治療上有効な量の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。本明細書で使用される場合、用語「被験体」および「患者」とは、同じであり得、交換可能に使用され得る。
【0076】
別の実施形態において、HDLコレステロールのレベルの増大、ならびに/もしくは超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)のレベルの低下、ならびに/またはHDL−C 対 LDL−Cの比の増大の方法が提供され、上記方法は、上記被験体に、有効量の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0077】
別の実施形態において、処置が必要な患者においてCETPの阻害によって処置もしくは予防され得る疾患もしくは状態を処置するため、または該疾患もしくは状態を発生させるリスクを低下させるための方法が提供され、治療上有効な量の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与を包含する。
【0078】
別の実施形態において、CETPを結合させる処置が必要な患者においてCETPを結合させる方法が提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与を包含する。
【0079】
別の実施形態において、HDLコレステロールのレベルを増大させる処置が必要な患者におけるHDLコレステロールのレベルを増大させる方法が提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与を包含する。
【0080】
別の実施形態において、LDLコレステロールを低下させる処置が必要な患者におけるLDLコレステロールを低下させる方法が提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与を包含する。
【0081】
別の実施形態において、HDLコレステロール 対 LDLコレステロールの比を上昇させる処置が必要な患者においてHDLコレステロール 対 LDLコレステロールの比を上昇させる方法が提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与の投与を包含する。
【0082】
別の実施形態において、アテローム硬化症の処置が必要な患者におけるアテローム硬化症を処置もしくは予防する方法が提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の、上記患者への投与を包含する。
【0083】
式(I)の化合物の薬学的組成物は、経腸的におよび/もしくは非経口的に投与され得る。非経口投与としては、皮下、筋肉内、皮内、乳房内、静脈内、および当該分野で公知の他の投与方法が挙げられる。経腸投与としては、液剤、錠剤、持続放出性カプセル、腸溶性コーティングされたカプセル剤、シロップ剤、飲料、食物、および他の栄養補助食品が挙げられる。投与される場合、本発明の薬学的組成物は、体温もしくは体温付近にあり得る。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、体温未満にあり得る。他の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、体温より高くにあり得る。
【0084】
本出願の化合物は、広く種々の異なる投与形態において投与され得る。例えば、それらは、錠剤、カプセル剤、菓子錠剤(lozenge)、トローチ剤(troche)、ハードキャンディー、散剤、スプレー、クリーム剤、膏薬、坐剤、ゼリー剤、ゲル、パスタ剤、ローション剤、軟膏剤、水性懸濁物、注射可能溶液、エリキシル剤、シロップ剤などの形態(しかしこれらに限定されない)において種々の薬学的に受容可能な不活性キャリアと合わされ得る。このようなキャリアとしては、固体希釈剤もしくは充填剤、無菌の水性媒体、および種々の非毒性有機溶媒などが挙げられ得る。さらに、経口用薬学的組成物は、甘味を付けられ得、そして/または香味が付けられ得る。一般に、本出願の化合物は、約0.1重量%〜約90重量%の範囲に及ぶ濃度レベルにおいて、このような投与形態に存在し得る。
【0085】
一般に、処置のための本出願の化合物は、約0.01〜約100mg/kg レシピエント体重/日の範囲、いくつかの実施形態において、約0.5〜約50mg/kg レシピエント体重/日の範囲、さらに他の実施形態において、約0.1〜約20mg/kg レシピエント体重/日の範囲の適切な有効用量で被験体に投与され得る。例示的用量は、1日1回、もしくは数回の部分用量(sub−dose)(例えば、2〜5部分用量)を適切に投与され得、1日を通して適切な間隔において、もしくは他の適切なスケジュールにおいて、投与され得る。
【0086】
本出願の一実施形態は、以下の例の手順に従って、適切な材料を使用して、式(I)の化合物の調製を提供する。当業者は、以下の調製手順の条件およびプロセスの既知のバリエーションが、これら化合物を調製するために使用され得ることを理解する。さらに、詳細に記載される手順を利用することによって、当業者は、ここで特許請求される本出願のさらなる化合物を調製し得る。全ての温度は、別段示されなければ、セルシウス度(℃)である。
【0087】
以下の頭字語、略語、用語および定義を、反応スキームおよび実験の節全体を通して使用した。
【0088】
DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)、CDCl(重水素化クロロホルム)、CuI(ヨウ化銅(I))、CNBr(臭化シアン)、DCM(ジクロロメタン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMF−DMA(N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HCl(塩酸)、H(過酸化水素)、AcOH(酢酸)、MeOH(メタノール)、NaOMe(ナトリウムメトキシド)、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、LAH(水素化リチウムアルミニウム)、NHNH・HO(ヒドラジン水和物)、NHOH.HCl(塩酸ヒドロキシルアミン)、KCO(炭酸カリウム)、KOH(水酸化カリウム)、KCN(シアン化カリウム)、Pd(パラジウム)、Pd(OAc)(酢酸パラジウム(II))、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、CNBr(臭化シアン)、POCl(オキシ塩化リン)、PCl(五塩化リン)、PdCl(塩化パラジウム(II))、Pd(PPh(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))、NaCN(シアン化ナトリウム)、NaCO(炭酸ナトリウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、Na(CN)BH(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)、NaSO(硫酸ナトリウム)、NaOBu(ナトリウムt−ブトキシド)、NaBH(水素化ホウ素ナトリウム)、Na(OAc)BH(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、NaN(アジ化ナトリウム)、SnCl(塩化スズ(II))、Ti(i−Pro)(チタン(IV)イソプロポキシド)、SOCl(塩化チオニル)、HO(水)、ZnBr(臭化亜鉛)、Zn(CN)(シアン化亜鉛)、H(水素ガス)、HSO(硫酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)。
【0089】
本出願の別の実施形態は、式(10)および(11)の化合物(これらはともに、それぞれ、式(I)の化合物の亜群を表す)の調製のためのプロセスを提供し、ここで全ての記号/変数は、別段示されなければ、先に定義されるとおりである。上記プロセスは、スキーム−1によって表される。
【0090】
【化12】
【0091】
式(1)の必要に応じて置換されたシクロアルカノン(ここでR、mおよびpは、式(I)の記載において定義されるとおりである)を、ナトリウム金属(NaOMeなど)の存在下でギ酸エステル(例えば、ギ酸エチル)と反応させて、式(2)の必要に応じて置換された2−オキソシクロアルカノンカルボアルデヒドを得る。上記化合物(2)を、塩基(例えば、ピペリジン−アセテート)の存在下でシアノアセトアミドとさらに縮合させて、式(3)の化合物を得ることができる。
【0092】
式(5)の化合物の環上のアミノ置換は、最初に、式(3)の化合物を式(4)の化合物へと、適切な試薬(例えば、SOCl、PClなど)を使用して変換させ;その後、当該分野で公知の一般的な求核置換反応を使用して、式(5)の化合物を得ることによって得られ得る。
【0093】
式(6)の化合物は、試薬(例えば、DIBAL、SnCl−HCl、リチウムN,N’−ジメチルエチレンジアミノアルミニウムヒドリド)を使用する、化合物(5)のシアノ基の、アルデヒドへの還元によって、またはH−ラネーニッケルもしくはLAHもしくは水素化ホウ素ナトリウムなどの存在下でのニトリルの還元、その後、中間体イミンのインサイチュ加水分解(in−situ hydrolysis)によって得られ得る。
【0094】
式(8)の化合物は、適切な溶媒中の適切な試薬(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、Ti(i−PrO)およびNaBH)、ピリジン−ボラン錯体などの存在下で式(6)の化合物を、式(7)の必要に応じて置換されたベンジルアミンと縮合することによって得られ得る。R、R、m、nおよびpは、式(I)の記載において定義されるとおりである。
【0095】
式(10)の化合物は、式(8)の化合物の二級アミノ基と式(9)の2−クロロ−ブロモピリミジンとを、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウムなど)の存在下で、溶媒(例えば、無水DMF、1,4−ジオキサン、DMSO、アセトニトリルなど)の中で反応させることによって、得られ得る。
【0096】
式(11a)の化合物(ここでRは、式(I)において定義されるとおりの、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環から選択される必要に応じて置換された基を表す)は、溶媒(例えば、無水トルエン、DMF、1,4−ジオキサン、DMSO、アセトニトリルなど)の存在下で塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムt−ブトキシドなど)を使用することによって、式(10)のピリミジン環上の求核置換によって得られ得る。式(I)のいくつかの化合物は、ビフェニルジ−t−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、キサントホスなどから選択される配位子の存在下で、Pd(OAc)、Pd(dba)、PdClのようなパラジウム触媒を使用することによって調製され得る。例えば、式(11b)の化合物は、Zn(CN)、KCNなどを使用して、式(8)の化合物のパラジウム触媒シアン化によって得られ得る。式(I)のいくつかの化合物は、例えば、trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン、キノリン−8−オール、ビス−(2−アミノエチル)アミンなどを含め、このような目的のために使用される種々の配位子の存在下でのCuI媒介性Buchwaldカップリングを介して調製され得る。
【0097】
さらに、式(11c)の化合物は、当該分野で公知の方法(例えば、HCl、HSOおよび他の無機酸の存在下での酸触媒加水分解、またはHおよびKCOもしくはKOHの存在下での塩基触媒加水分解)を使用して、式(11b)の化合物におけるニトリル基を加水分解することによって得られ得る。
【0098】
別の実施形態において、式(13)、(14)、(15)および(16)の化合物(これらのうちの全てが、それぞれ、式(I)の化合物の亜群を表す)の調製のためのプロセスが提供され、ここで全ての記号/変数は、別段示されなければ、先に定義されるとおりである。上記プロセスは、スキーム−2によって表される。
【0099】
【化13】
【0100】
式(13)の化合物は、式(8)の化合物の二級アミノ基と式(12)の化合物とを、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウムなど)の存在下で、溶媒(例えば、無水DMF、1,4−ジオキサン、DMSO、アセトニトリルなど)の中で反応させることによって得られ得る。
【0101】
式(13)の化合物は、適切な試薬(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、DCM、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサンなど)の存在下で、式(14)の化合物へと変換され得る。
【0102】
式(14)の化合物は、適切な試薬(例えば、NHNH・HO)の存在下で、溶媒(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)の存在下で、式(15)の化合物へと変換され得る。
【0103】
式(14)の化合物は、適切な試薬(例えば、NHOH・HCl)の存在下で、溶媒(例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなど)の存在下で、式(16)の化合物へと変換され得る。
【0104】
別の実施形態において、式(17)、(18)および(19)の化合物(そのうちの全てが、それぞれ、式(I)の化合物の亜群を表す)の調製のためのプロセスが提供され、ここで全ての記号/変数は、別段示されなければ、先に定義されるとおりである。上記プロセスは、スキーム−3によって表される:
【0105】
【化14】
【0106】
式(8)の化合物は、試薬(例えば、CNBr、NaCNなど)の存在下で、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウムなど)を伴う適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、(C−C10)アルコールなど)の中で、式(17)の化合物へと変換される。上記反応の温度は、一般に、約25C〜約55Cで維持され、上記反応の継続時間は、代表的には、約20分〜約5時間の範囲に及び得る。
【0107】
式(17)の化合物は、アジ化ナトリウムもしくはアジ化カリウムと、亜鉛塩(例えば、ZnBr)の存在下で反応させることによって、式(18)の化合物へと変換される。この反応に適切な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、(C−C10)アルコールなどから選択され得る。
【0108】
式(18)の化合物は、溶媒媒体(例えば、水、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなど)中で、相間移動触媒(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドもしくはテトラアリールアンモニウムハライド)を伴う塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなど)の存在下で、アルキル化試薬(例えば、アルキルハライドもしくはジアルキルスルフェート)と反応させることによって、式(19)の化合物へと変換され得る。
【0109】
別の実施形態において、式(20)の化合物(これは、式(I)の化合物の亜群を表す)の調製のためのプロセスが提供され、ここで全ての記号/変数は、別段示されなければ、先に定義されるとおりである。上記プロセスは、スキーム−4によって表される。
【0110】
【化15】
【0111】
式(8)の化合物は、上記に定義されるとおりの手順によって、式(17)の化合物へと変換され得る。
【0112】
式(17)の化合物を、触媒量のHを伴う塩基(例えば、KOH、NaOHなど)の存在下で、代表的には、約25〜約100℃の範囲の温度において約30分〜約6時間の期間にわたって加水分解して、式(20)の化合物を得ることができる。
【0113】
別の実施形態において、式(24)の化合物(これは、式(I)の化合物の亜群を表す)の調製のためのプロセスが提供され、ここで全ての記号/変数は、別段示されなければ、先に定義されるとおりである。上記プロセスは、スキーム−5によって表される。
【0114】
【化16】
【0115】
式(6)の化合物の、式(21)の化合物での還元的アミノ化は、酸(例えば、酢酸もしくは希塩酸)を伴う(C−C10)アルコール溶媒媒体(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)中で、還元剤(例えば、Na(CN)BH、Na(OAc)BH、NaBHなど)の存在下で行われ得、式(22)の化合物を得ることができた。上記反応の温度は、約25C〜約35Cで維持され得、上記反応の継続時間は、代表的には、約30分〜約5時間の範囲に及び得る。
【0116】
式(22)の化合物を、式(23)の化合物(ここでXは、脱離基(例えば、ハロゲン、メシルオキシ、トシルなど)である)と反応して、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムのような塩基の存在下で式(24)の化合物を得ることができる。上記反応は、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエンなど)の中で行われうる。上記反応の温度は、約25℃〜約55℃で維持され得、上記反応の継続時間は、代表的には、約20分〜約5時間の範囲であり得る。
【0117】
以下の実施例および調製において使用される場合、そこで使用される用語は、以下に示される意味を有するものとする:「g」とは、グラムをいい、「mg」とは、ミリグラムをいい、「μg」とは、マイクログラムをいい、「mol」とは、モルをいい、「mmol」とは、ミリモルをいい、「L」とは、リットルをいい、「mL」もしくは「ml」とは、ミリリットルをいい、「μL」とは、マイクロリットルをいい、「nm」とは、ナノメートルをいい、「濃(conc.)」とは、濃縮されていること(concentrated)をいい、「M」とは、モル濃度をいい、「mM」とは、ミリモル濃度をいい、「μM」とは、マイクロモル濃度をいい、「nm」もしくは「nM」とは、ナノモル濃度をいい、「TLC」とは、薄層クロマトグラフィーをいい、「HPLC」とは、高速液体クロマトグラフィーをいい、「min」とは、分をいい、「h」もしくは「hr」とは、時間をいう;「s」とは、一重線をいい、「d」とは、二重線をいい、「t」とは、三重線をいい、「q」とは、四重線をいい、「m」とは、多重線をいい、「dd」とは、「二重線の二重線(doublet of doublets)」をいい、「br」とは、広い(broad)をいい、「LC」とは、液体クロマトグラフィーをいい、「MS」とは、質量分析法をいい、「ESI」とは、エレクトロスプレーイオン化をいい、「CI」とは、化学イオン化をいい、「M」とは、分子イオンをいい、「NMR」とは、核磁気共鳴分光法をいい、「MHz」とは、メガヘルツをいう。
【実施例】
【0118】
実施例1
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0119】
【化17】
【0120】
工程−1:2,2−ジメチルシクロペンタノンの合成
【0121】
【化18】
【0122】
トルエン(50mL)中のシクロペンタノン(5g、59mmol)の溶液を、トルエン(20mL)中のナトリウムt−ペントキシド(13g、118mmol)の懸濁物に添加した。硫酸ジメチル(14.8g、118mmol)を、そのように得られた上記混合物に5℃の温度において滴下した。上記混合物を、温度約20〜35℃へと加温し、約28時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を、飽和亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物を褐色液体(5.2g)として得た。MS (ESI): 111 (M−1)
【0123】
工程−2:2−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルの合成
【0124】
【化19】
【0125】
ナトリウム金属(0.854g、0.8mol)を、ジエチルエーテル(20mL)に、透明な懸濁物が形成されるまで、連続して攪拌しながら少しずつ添加した。この懸濁物に、2,2−ジメチルシクロペンタノン(5.2g、46.4mmol)、ギ酸エチル(4.1g、55.7mmol)を滴下し、上記反応混合物を、温度約20〜35℃において約28時間にわたって攪拌した。上記混合物をメタノールで処理し、濾過した。上記濾液を減圧下で濃縮し、その残渣である3,3−ジメチル−2−オキソシクロペンタンカルボアルデヒドナトリウム塩を、次の工程において直接使用した。
【0126】
水(10mL)中の3,3−ジメチル−2−オキソシクロペンタンカルボアルデヒドナトリウム塩(5g、30.9mmol)の溶液に、シアノアセトアミド(2.5g、30.9mmol)、ピペリジン(10mL 水の中に2.6g、30.9mmol)および酢酸(1mL)を、その順序にて添加した。上記反応混合物を、100℃において約26時間にわたって攪拌し、次いで、温度約20〜35℃へと冷却した。上記反応物質を、pH値 約6に調節し、次いで、濾過して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、溶離液として石油エーテル中の10% 酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィー(60−120メッシュシリカゲル)によって精製して、所望の生成物を褐色液体(0.8g)として得た。
【0127】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 13.6 (bs, 1H), 7.75 (s, 1H), 2.73 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.02 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.40 (s, 6H). MS (ESI): 189 (M+1)+
【0128】
工程−3:2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルの合成
【0129】
【化20】
【0130】
オキシ塩化リン(1.9mL、24mmol)を、2−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル(0.8g、4.3mmol)(工程−1において得た)に、0℃において約10分間の期間にわたって添加した。上記混合物を、温度約20〜35℃へと加温し、さらに約80℃へと加熱した。上記混合物を、約80℃において約18時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を、温度約20〜35℃へと冷却し、次いで、砕いた氷の中へと注いだ。分離してきた固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、2−クロロ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル(0.7g)を得た。
【0131】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.74 (s, 1H), 2.89 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.05 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.30 (s, 6H). MS (ESI): 207 (M+1)+
【0132】
先の工程において得た2−クロロ−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル(0.7g、3.4mmol)、およびビス(シクロプロピルメチル)アミンを、100℃において約20時間にわたって、攪拌しながら加熱した。上記反応混合物を、温度約20〜35℃へと冷却し、溶離液として石油エーテル中の約10% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィー(60−120メッシュシリカゲル)によって精製して、所望の生成物を淡黄色液体(0.7g)として得た。
【0133】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.48 (s, 1H), 3.63 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 1.92 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.20 (s, 6H), 0.54-0.48 (m, 4H), 0.30-0.27 (m, 4H). MS (ESI): 296 (M+1)+
【0134】
工程−4:2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボアルデヒドの合成
【0135】
【化21】
【0136】
2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル(2.1g、7.2mmol)(工程−3において得た)を、乾燥ジクロロメタン(10mL)中に溶解し、これを、トルエン(4.2mL、14mmol)中のDIBALの1M溶液へと、約−78℃において滴下した。上記反応混合物を、同じ温度において約2時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を0℃へと加温し、希HClでpH値 約6へと調節した。上記水性物質(aqueous mass)を、酢酸エチルで抽出した(3×200mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0137】
上記粗製生成物を、シリカゲル(60−120メッシュ)および溶離液としてジクロロメタン中の約5% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記生成物を淡黄色液体(1g)として得た。
【0138】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 10.11 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 3.38 (d, J = 6.8 Hz, 4H), 2.78 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.95 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.24 (s, 6H), 1.20-1.08 (m, 2H), 0.50-0.40 (m, 4H), 0.17-0.13 (m, 4H). MS (ESI): 299 (M+1)+
【0139】
工程−5:3−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0140】
【化22】
【0141】
メタノール(10mL)中の2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(1.2g、4mmol)(工程−4において得た)およびビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン(7.1g、29.4mmol)の溶液に、氷酢酸(0.3mL)を添加し、得られた混合物を、約15分間にわたって温度約20〜35℃において攪拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.257g、4mmol)を、この反応混合物に少しずつ添加し、上記反応混合物を約3時間にわたって攪拌した。
【0142】
上記混合物を減圧下で濃縮した後、それを、水(30mL)およびジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。その有機層を集め、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、シリカゲル(60−120メッシュ)を使用し、酢酸エチル中の50% 石油エーテルで溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を淡黄色液体(0.7g)として得た。
【0143】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.83 (s, 2H), 7.75 (s, 2H), 7.30 (s, 1H), 3.87 (s, 2H), 3.80 (s, 2H), 2.98 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 2.79 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.95 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 0.84-0.78 (m, 2H), 0.31-0.28 (m, 4H), -0.01 (m, 4H). MS (ESI): 526 (M+1)+
【0144】
工程−6:3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0145】
【化23】
【0146】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(4−ブロモフェニル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(1.0g、1.9mmol)(工程−5において得た)、および無水ジメチルホルムアミド中の2−クロロ−5−ブロモピリミジン(0.735g、3.8mmol)の混合物に、炭酸カリウム(0.525g、3.8mmol)を添加した。上記反応混合物を、攪拌しながら100℃において約18時間にわたって加熱した。その後、上記反応混合物を、温度約20〜35℃へと冷却した。次いで、上記混合物を、水(20mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(3×50mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、シリカゲル(100−200メッシュ)および溶離液として石油エーテル中の約10% 酢酸エチルを使用するクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を褐色粘性液体(0.3g)として得た。
【0147】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.69 (s, 3H), 8.35 (s, 2H), 7.70-7.66 (m, 2H), 7.17 (s, 1H), 4.99 (s, 2H), 4.79 (s, 2H), 2.69 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.21 (s, 6H), 0.97-0.81 (m, 2H), 0.30-0.26 (m, 4H), -0.00 (m, 4H). MS (ESI): 684 (M+2)+, 682 (M+1)+
【0148】
実施例2
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)ピロリジン−2−オンの合成
【0149】
【化24】
【0150】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(4−ブロモフェニル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(実施例1の工程−6において得た)(0.15g、0.2mmol)、オキサゾリジン−2−オン(0.037g、0.4mmol)および無水1,4−ジオキサン(10mL)の混合物に、炭酸カリウム(0.06g、0.4mmol)、CuI(0.008g、0.04mmol)およびtrans−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.07g、0.06mmol)を順次添加した。上記反応混合物を、約10分間にわたってアルゴンで脱気し、100℃において、約70時間にわたって攪拌しながら加熱した。
【0151】
上記反応混合物を、温度約20〜35℃へと冷却し、セライトを通して濾過した。上記濾液を減圧下で濃縮して、粗製生成物を得、これを、シリカゲル(100−200メッシュ)および溶離液として石油エーテル中の約10% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を白色固体(0.02g、13%)として得た。
【0152】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.61 (s, 2H), 7.71 (s, 3H), 7.20 (s, 1H), 5.02 (s, 2H), 4.82 (s, 2H), 3.82 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.96 (d, J = 6.8 Hz, 4H), 2.69 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.26-2.18 (m, 2H), 1.91 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.21 (s, 6H), 0.88-0.70 (m, 2H), 0.29-0.27 (m, 4H). MS (ESI): 681 (M+1)+
【0153】
実施例3
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0154】
【化25】
【0155】
トルエン(10mL)中の3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(4−ブロモフェニル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(実施例1の工程−6において得た)(0.500g、0.7mmol)、モルホリン(0.013g、2mmol)およびPd(dba)(0.114g、0.2mmol)、ビフェニルジ−t−ブチルホスフィン(0.025g、0.08mmol)およびナトリウムt−ブトキシド(0.105g、1.05mmol)の混合物に、100℃において約2時間にわたって、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら加熱した。
【0156】
上記反応混合物を、温度20〜35℃へと冷却し、水(10mL)をこれに添加し、次いで、このようにして得られたその水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、シリカゲル(100−200メッシュ)および溶離液として石油エーテル中の約10% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を白色固体(0.120g)として得た。
【0157】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ 8.14 (s, 2H), 7.70 (s, 3H), 7.19 (s, 1H), 4.98 (s, 2H), 4.79 (s, 2H), 3.87 (d, J = 9.6 Hz, 4H), 3.06-3.04 (m, 4H), 2.96-2.94 (m, 4H), 2.68 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.90 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.21 (s, 6H), 0.80-0.78 (m, 2H), 0.30-0.28 (m, 4H), -0.013 (m, 4H). MS (ESI): 689 (M+1)+
【0158】
実施例4
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノンの合成
【0159】
【化26】
【0160】
DMF(10mL)中の3−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(実施例1の工程−5において得た)(0.5g、0.9mmol)に、1−(2−クロロピリミジン−5−イル)エタノン(0.14g、0.0009mmol)、炭酸カリウム(0.39g、2.7mmol)を添加した。上記反応混合物を、約70℃において約2時間にわたって攪拌しながら加熱した。上記反応混合物を、温度約20〜35℃へと冷却し、水(20mL)で希釈し、次いで、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×40mL)。その合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。次いで、上記標題化合物を、溶離液としてジクロロメタン(0.36g)を使用する分取用TLCによって単離した。
【0161】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ 8.93-8.91 (m, 3H), 7.75 (s, 3H), 5.10 (s, 2H), 4.9 (s, 2H), 2.97 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.71-2.67 (m, 2H), 2.52 (s, 3H), 1.96-1.94 (m, 2H), 0.89-0.81 (m, 2H), 0.32-0.28 (m, 4H), 0.07 (s, 6H), 0.04-0.01 (m, 4H). MS (ESI): 646 (M+1)+
【0162】
実施例5
(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オンの合成
【0163】
【化27】
【0164】
1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン(0.40g、0.6mmol)(実施例4において得た)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.073g、0.6mmol)を、トルエン(20mL)中にとり、この混合物を、攪拌しながら12時間にわたって還流した。上記反応系を、温度約20〜35℃へと冷却し、減圧下で濃縮し、水(15mL)で希釈した。次いで、そのようにして得られた水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×25mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、60−120メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の約30% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を黄色ガム状物(0.2g)として得た。MS (ESI): 701 (M+1)
【0165】
実施例6
3−(((5−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0166】
【化28】
【0167】
エタノール(15mL)中の(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン(0.1g、0.1mmol)(実施例5において得た)およびヒドラジン水和物(0.03g、0.6mmol)の混合物を、約70〜75℃において2時間にわたって攪拌しながら加熱した。上記混合物を減圧下で濃縮し、水(10mL)で希釈し、次いで、そのようにして得られた水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、60−120メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の30% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を淡黄色ペースト状物(0.04g)として得た。
【0168】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.79 (d, J = 4.7 Hz, 3H), 7.75-7.73 (dd, J = 8.8 Hz, 4H), 7.64 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.57 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.34 (s, 2H), 4.97 (s, 2H), 2.9 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.70-2.67 (m, 2H), 0.89-0.82 (m, 2H), 0.32-0.27 (m, 4H),0.07-0.01 (m, 4H). MS (ESI): 670 (M+1)+
【0169】
実施例7
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−(イソオキサゾール−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0170】
【化29】
【0171】
メタノール(15mL)中の(E)−1−(2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エン−1−オン(0.1g、0.1mmol)(実施例5において得た)および塩酸ヒドロキシルアミン(0.03g、0.6mmol)の混合物を、約70〜75℃において2時間にわたって攪拌しながら加熱した。上記反応系を、温度約20〜35℃へと冷却し、水(10mL)で希釈し、そのようにして得られた水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製物を、60−120メッシュシリカゲル溶離液として石油エーテル中の約10% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記純粋生成物を淡黄色ペースト状物(0.03g)として得た。
【0172】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.66 (s, 2H), 8.03 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.26 (s, 1H), 6.65 (s, 1H), 5.36-5.34 (m, 2H), 5.08 (s, 2H), 4.86 (s, 2H), 2.97-2.96 (m, 4H), 2.69-2.67 (m, 2H), 1.93-1.89 (m, 2H), 1.29-1.22 (m, 6H), 0.94-0.80 (m, 2H), 0.31-0.27 (m, 4H), -0.01-0.04 (m, 4H)。
【0173】
MS (ESI): 671 (M+1)+
【0174】
実施例8
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルの合成
【0175】
【化30】
【0176】
トルエン(5mL)を、シールしたチューブ中の3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(0.02g、0.03mmol)(実施例1の工程6において得た)、Zn(CN)(0.003g、0.03mmol)、Pd(PPh(0.01g、0.008mmol)およびKCO(0.008g、0.06mmol)の混合物に加えた。上記混合物をアルゴンで脱気し、約150℃へと加熱した。上記混合物を、同じ温度において約2日間にわたって攪拌した。上記反応物質を温度約20〜35Cへと冷却し、水(10mL)を添加し、その水層を酢酸エチルで抽出した(2×30mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物を得た。MS (ESI): 629 (M+1)
【0177】
実施例9
2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドの合成;
【0178】
【化31】
【0179】
水(1.0mL)中の水酸化カリウム(0.018g、0.3mmol)の溶液を、エタノール(5mL)中の2−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(0.02g、0.32mmol)(実施例8において得た)に添加し、その後、約20〜35℃において過酸化水素(0.02mL)を添加した。上記反応混合物を約40℃へと加熱し、同じ温度において約2時間にわたって攪拌した。
【0180】
上記反応混合物を約20〜35℃へと冷却し、水をこれに添加し、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を減圧下で濃縮して、粗製生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィーによって精製し、石油エーテル中の50% 酢酸エチルで溶離した。
【0181】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.80 (s, 2H), 7.74 (s, 3H), 7.18 (s, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.88 (s, 2H), 2.97 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.69 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.92 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.22 (s, 6H), 0.85-0.82 (m, 2H), 0.30-0.28 (m, 4H), 0.01-0.008 (m, 4H). MS (ESI): 647 (M+1)+
【0182】
実施例10
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0183】
【化32】
【0184】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンを、実施例3に記載されるのと実質的に類似の手順に従い、適切な材料および試薬を使用することによって、2−メチルシクロペンタノンから調製した。
【0185】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.15 (s, 2H), 7.70 (s, 2H), 7.69 (s, 2H), 7.21 (s, 1H), 5.08-4.72 (m, 4H), 3.88-3.86 (m, 4H), 3.13-3.04 (m, 4H), 2.73-2.67 (m, 2H), 2.36-2.28 (m, 2H), 1.21 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.86-0.81 (m, 2H), 0.33-0.27 (m, 4H), 0.01-0.005 (m, 4H). MS (ESI): 675 (M+1)+
【0186】
実施例11
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミンの合成
【0187】
【化33】
【0188】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(5−モルホリノピリミジン−2−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミンを、実施例3に記載されるのと実質的に類似の手順に従い、適切な材料および試薬を使用することによって、2−メチルシクロヘキサノンから調製した。
【0189】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.73 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.27 (s, 1H), 4.83 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 2.94 (d, J = 5.1 Hz, 4H), 2.70 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.92 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.56 (s, 6H), 0.79-0.75 (m, 2H), 0.29-0.25 (m, 4H), 0.02-0.006 (m, 4H). MS (ESI): 608 (M+1)+
【0190】
実施例12
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0191】
【化34】
【0192】
工程1:N−((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)−N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)シアナミドの合成
【0193】
【化35】
【0194】
メタノール(8ml)中の3−((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(0.3g、0.57mmol)(実施例1の工程−5において得た)に、CNBr(0.074g、0.6mmol)を添加し、その後、炭酸水素ナトリウム(0.1g、1.2mmol)を添加した。上記反応混合物を、約20〜35℃において約2時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を減圧下で濃縮し、その残渣を水(15ml)で希釈した。次いで、そのようにして得られた水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×25ml)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物(0.3g)を得た。MS (ESI): 551 (M+1)
【0195】
工程2:3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0196】
【化36】
【0197】
DMF(5ml)中のN−((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)−N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)シアナミド(0.3g、0.00054mmol)(工程−1において得た)の溶液に、NaN(0.18g、2.7mmol)および塩化アンモニウム(0.15g、2.7mmol)を添加し、これを、100℃において約2時間にわたって攪拌しながら加熱した。
【0198】
上記反応混合物を約20〜35℃へと冷却し、水をこれに添加し、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を真空下で乾燥させて、粗製物を得、これを、60−120メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の40% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物(0.3g)を得た。
【0199】
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.82 (s,1H),7.75(s,2H), 6.99 (s,1H), 5.04 (s,2H), 4.43 (s,2H), 3.21 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 2.71 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.96 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.22 (s, 6H), 0.95-0.88 (m, 4H), 0.19-0.06 (m,4H). MS (ESI): 594 (M+1)+
【0200】
実施例13
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0201】
【化37】
【0202】
DCM:HO(5ml; 4:1比)中の3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(0.3g、0.44mmol)(実施例12において得た)の懸濁物に、NaOH(0.035g、8.7mmol)、TBAB(0.01g、2mmol)および硫酸ジメチル(0.06ml、5.3mmol)を添加した。上記反応混合物を、約20〜35℃において約30分間にわたって攪拌した。
【0203】
水をこれに添加し、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を減圧下で乾燥させて粗製生成物を得、これを、60−120メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の5% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を黄色ガム状物(0.1g、45%)として得た。
【0204】
H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.73 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.27 (s, 1H), 4.83 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 2.94 (d, J = 5.1 Hz, 4H), 2.70 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.92 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.56 (s, 6H), 0.79-0.75 (m, 2H), 0.29-0.25 (m, 4H), 0.02-0.006 (m, 4H). MS (ESI): 608 (M+1)+
【0205】
実施例14
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソプロピル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0206】
【化38】
【0207】
DMF(5mL)中のNaH(0.002g、0.03mmol)の攪拌溶液に、3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,Nビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(0.002g、0.03mmol)(実施例12において得た)を添加し、その後、2−ブロモプロパン(0.005mg、0.3mmol)を0℃において添加し、約20〜35℃において約12〜16時間にわたって攪拌を続けた。
【0208】
氷冷水をこれに添加し、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を真空下で乾燥させて、粗製生成物を得、これを、100−200メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の約10% アセトンを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を黄色ガム状物(0.01g)として得た。
【0209】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.74-7.73 (m, 3H), 7.32 (s, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.63 (s, 2H), 2.96 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.71 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.30- 2.24 (m, 1H), 1.93 (t, 7.1 Hz, 2H), 1.60 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.22 (s, 6H), 0.83-0.80 (m, 2H), 0.31-0.26 (m, 4H), 0.01-0.006 (m, 4H)。
【0210】
MS (ESI): 636 (M+1)+
【0211】
実施例15
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−イソブチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン
【0212】
【化39】
【0213】
DMF(5ml)中のNaH(0.036g、0.15mmol)の攪拌溶液に、3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,Nビス(シクロプロピルメチル)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミン(0.09g、0.15mmol)(実施例12において得た)を添加し、その後、1−ブロモ−2−メチルプロパン(0.041mg、0.3mmol)を0℃において添加し、約20〜35℃において約12〜16時間にわたって攪拌を続けた。
【0214】
氷冷水をこれに添加し、その水性物質を、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を真空下で乾燥させて、粗製生成物を得、これを、100−200メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の4% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を黄色ガム状物(0.03g)として得た。
【0215】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.72-7.71 (m, 3H), 7.30 (s, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.94 (d, 6.3 Hz, 2H), 2.95 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.70 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.30-2.29 (m, 1H), 1.92 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 0.82-0.78 (m, 2H), 0.30-0.26 (m, 4H), 0.01-0.03 (m, 4H). MS (ESI): 650 (M+1)+
【0216】
実施例16
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミンの合成
【0217】
【化40】
【0218】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−アミンを、実施例13に記載されるとおりの手順に実質的に従い、適切な材料および試薬を使用することによって、2,2−ジメチルシクロヘキサノンから調製した。
【0219】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73(s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.09 (s, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.66 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 2.93 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 2.57 (t, J = 6.1 Hz, 2H ), 1.69-1.57 (m, 4H), 1.25 (s, 6H), 0.89-0.77 (m, 2H), 0.89-0.77 (m, 2H), 0.31-0.26 (m, 4H), 0.02-0.15 (m, 4H)。
【0220】
MS (ESI): 622 (M+1)+
【0221】
実施例17
6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン
【0222】
【化41】
【0223】
工程1:6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン
【0224】
【化42】
【0225】
メタノール(10mL)中の2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(0.2g、0.671mmol)(実施例−1の工程4において得た)および6−アミノベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン(0.1g、0.671mmol)の溶液に、氷酢酸(0.3mL)を添加し、得られた混合物を、15分間にわたって温度約20〜35℃において撹拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.042g、0.671mmol)を、この反応混合物に少しずつ添加し、上記反応混合物を、約3時間にわたって撹拌した。
【0226】
溶媒を上記混合物から減圧下でエバポレートした後、それを、水(30mL)およびジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。その有機層を集め、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製生成物を得た。上記粗製生成物を、シリカゲル(60−120メッシュ)を使用し、酢酸エチル中の約50% 石油エーテルで溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物を淡黄色液体(0.15g)として得た。MS (ESI): 433 (M+1)
【0227】
工程−2:6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン
【0228】
【化43】
【0229】
THF(10ml)中の、上記工程−1において得た6−(((2−(ビス(シクロプロピルメチル)アミノ)−7,7−ジメチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−イル)メチル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン(0.15g、0.346mmol)の溶液に、1−(ブロモメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.106g、0.346mmol)、炭酸水素ナトリウム(0.043g、0.519mmol)を添加し、これを約20〜35℃において約14時間にわたって撹拌した。
【0230】
水をそれに添加し、その水性物質を酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。その濾液を真空下で乾燥させて、粗製生成物を得、これを、60−120メッシュシリカゲルおよび溶離液として石油エーテル中の30% 酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋生成物(0.06g)を得た。
【0231】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.78 (s, 2H), 7.69 (s, 2H), 7.26 (s, 1H), 6.81 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.42 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.68 (s, 2H), 2.96 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 2.71 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.92 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.22 (s, 9H), 0.88-0.83 (m, 2H), 0.34-0.29 (m, 4H), 0.0034-0.0001 (m, 4H). MS (ESI): 659 (M+1)+
【0232】
実施例18
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンの合成
【0233】
【化44】
【0234】
3−(((3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ)メチル)−N,N−ビス(シクロプロピルメチル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−アミンを、2−メチルシクロペンタノンから、実施例13に記載されるのと実質的に類似の手順に従い、適切な材料および試薬を使用することによって調製した。
【0235】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.72 (s, 1H), 7.68 (s, 2H), 7.28 (s, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.66 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.11-3.00 (m, 4H), 3.09-2.88 (m, 4H), 2.75-2.68 (m, 2H), 2.33-2.32 (m, 2H), 1.26 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.89-0.79 (m, 4H), 0.3-0.28 (m, 4H). MS (ESI): 594 (M+1)+
【0236】
実施例19
蛍光測定技術を使用する、インビトロ活性の決定
ROAR Biomedicals,USAからの市販の蛍光測定アッセイキットを使用するインビトロコレステリルエステル転送タンパク質阻害(CETP)アッセイを使用して、本出願の化合物のCETP阻害活性を測定した。このアッセイキットは、CETP酵素の存在下でアクセプター分子に転送される蛍光自己クエンチ中性脂質を含むドナー分子を使用する。上記アクセプター分子への蛍光中性脂質の上記CETP媒介性転送は、蛍光の増大を生じる(励起:492nm;発光:516nm)。
【0237】
化合物の20mM ストック溶液を、100% DMSO中に調製し、さらなる希釈を、反応ミックス中のDMSOの最終濃度が1%になるように行った。反応を、以下のように、キット製造業者によって示唆されるように行った。上記アッセイを、96ウェルマイクロプレートにおいて各ウェルの中で行い、上記反応混合物は、190μlのアッセイ緩衝液(150mM NaCl、10mM Trisおよび2mM EDTA、pH7.4)、4μlのドナー粒子、4μlのアクセプター粒子、rCETP(50ng)および種々の最終濃度(0.1nM、1nM、10nM、100nM、1000nMおよび10000nM)の2μlの試験化合物を含んだ。2つのコントロール反応を行った(一方は、試験化合物なし(陽性コントロール)および他方は、rCETPなし(陰性コントロール))。上記反応系を37℃において90分間にわたってインキュベートし、上記反応プレートを、PCR機器MX3005Pに移し、蛍光単位(FLU)を定量した(励起:492nm;発光:516nm)。
【0238】
上記陰性コントロール値を、上記陽性コントロール値および全ての試験値から差し引きして、バックグラウンド蛍光を補正した。活性のパーセンテージ阻害を、以下の式を使用することによって計算する:
CETP活性の%阻害=[100−(100×(試験におけるFLU/陽性コントロールにおけるFLU))]。
【0239】
半数阻害濃度(IC50)を、BIOGRAPHソフトウェア(バージョン3.3)を使用して決定した。
【0240】
このプロトコルを使用したところ、本明細書に記載されるとおりの種々の化合物は、以下のように、CETPに対して阻害効果を示すことが分かった:
【0241】
【表1】
【0242】
本出願に開示されるとおりの本発明は、先の実施例のうちのあるものによって例示されてきたが、それらによって限定されるとは解釈されるべきでない;しかしむしろ、本発明は、本明細書前出で開示されるとおりの包括的範囲を包含する。種々の改変および実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われうる。