(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂部分(A)が、非脂環式の二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂、四官能性エポキシ樹脂、および脂環式多官能性エポキシ樹脂の組み合わせを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の構造用接着剤。
前記エラストマーポリマーが、カルボキシル末端ブタジエンニトリル(CTBN)、アミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)、エポキシ樹脂とカルボキシル末端ブチルニトリルエラストマーまたはATBNエラストマーとを反応させることにより形成されたエポキシ−エラストマー付加物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の構造用接着剤。
前記より小さいコアシェルゴム粒子が50〜90nmの範囲内の粒径を有し、前記より大きいコアシェルゴム粒子が150〜300nmの範囲内の粒径を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の構造用接着剤。
前記接着剤組成物が、180〜300の範囲のアミン価(mg KOH/g)、および35〜90の範囲の当量(H)を有する脂肪族アミンをさらに含む、請求項19から21のいずれか一項に記載のラミネート構造。
【発明を実施するための形態】
【0005】
二液系に関して、硬化性ペースト接着剤は、表面に接着剤を塗布する前に樹脂部分(A)を触媒部分(B)と混合することにより形成される。混合したペースト接着剤は、環境温度(20〜25°Cまたは68〜77°F)を含む93°C(200°F)以下の温度で硬化することができる。低温での硬化は、オートクレーブを使用せず、すなわちオートクレーブ外(OOA)で基板の接着剤接合を可能にする。したがって、接着剤の接合および硬化は、外部加熱を伴いまたは伴わず、接合する基板に約1〜3psi(ポンド/平方インチ)の低い接触圧力を加えることにより実行することができる。65°C〜93°C(150°F〜200°F)の範囲内で硬化すると、ペースト接着剤は、95°C(203°F)を超えるガラス転移温度(Tg)を有する構造用接着剤を得る。特定の実施形態
において、93°C(200°F)で硬化すると、硬化した接着剤は、120°C(248°F)を超える、例えば120°C〜130°C(248°F〜266°F)のTgを有する。
【0006】
樹脂部分(A)は、二官能性、三官能性および四官能性エポキシ樹脂から選択される異なる官能基を有する少なくとも2種の異なる多官能性エポキシ樹脂、ある種の強靭化成分、ならびにレオロジー/チクソトロピー(thixotrophy)修飾成分としての無機充填剤粒子を含む。強靭化成分には、100nm未満のより小さい粒径を有する第1のタイプのコアシェルゴム(CSR)粒子、および100nmを超えるより大きい粒径を有する第2のタイプのコアシェルゴム粒子が含まれる。強靭化成分には、硬化中に多官能性エポキシ樹脂と反応することができる官能基を有するエラストマーポリマーおよびポリエーテルスルホン(PES)ポリマーの少なくとも1つがさらに含まれる。一実施形態において、エラストマーポリマーおよびポリエーテルスルホンの両方が樹脂部分(A)中に存在する。触媒部分(B)には、エポキシ樹脂と反応する1種または複数のアミン硬化剤、およびレオロジー/チクソトロピー修飾成分として無機充填剤粒子が含まれる。アミン硬化剤は脂肪族または環式アミン化合物である。樹脂部分(A)と触媒部分(B)の重量比は、3:2〜10:2の範囲内にある。好ましい実施形態において、樹脂部分(A)と触媒部分(B)の重量比は、2:1である。
【0007】
樹脂部分(A)は、室温(20〜25°Cまたは68〜77°F)で500〜1000ポイズの範囲の保存粘度、および1.0〜1.2g/ccの範囲の密度(比重)を有し、触媒部分(B)は、室温20〜25°C(68〜77°F)で150〜300ポイズの範囲の保存粘度、および0.9〜1.1g/ccの範囲の密度を有する。2つの部分は長い保存寿命を有し、別々の容器中で室温で1年間まで保存することができる。部分(A)および部分(B)を混合する場合、結果として生じる生成物は、200°F(93°C)以下で硬化可能であるペースト接着剤であり、室温20〜25°C(68〜77°F)で、200〜600ポイズ、好ましくは300〜500ポイズの粘度を有し、それによって、ビーズまたはフィルム塗布などの従来法によって接着剤を表面に容易に塗布することを可能にする。この先からは、「室温」および「環境温度」という用語は、交換可能に、20〜25°C(68〜77°F)の温度範囲を指す。
【0008】
一液系に関しては、その成分を混合した後の結果として生じる接着剤が、塗布に対する準備ができている硬化可能なペースト接着剤であり、140〜300°F(60〜150°C)、または160〜200°F(71〜93°C)の温度範囲内で硬化可能である。しかし、環境温度では長い保存寿命はなく、通常約15日である。したがって、その保存寿命を延長するために冷凍が必要である。一液型接着剤は、室温で400〜1000ポイズ、好ましくは300〜500ポイズの範囲の粘度を有する。
エポキシ樹脂
【0009】
樹脂部分(A)に使用される多官能性エポキシ樹脂は、エポキシ基が末端基であり、1分子当たり平均2から4個のエポキシ基(オキシラン環)を含有するポリエポキシドである。二官能性エポキシ樹脂は、1分子当たり平均2個のエポキシ基を含むエポキシ樹脂であり、三官能性エポキシ樹脂は、1分子当たり平均3個のエポキシ基を含むエポキシ樹脂であり、四官能性エポキシ樹脂は、1分子当たり平均4個のエポキシ基を含む。二官能性エポキシ樹脂は、150〜700g/eqの範囲に平均エポキシ当量(EEW)を有することができる。エポキシ当量は、分子中のエポキシ基の数で割ったエポキシ分子の分子量である。それにより、例えば、400の分子量を有する二官能性エポキシは、200のエポキシ当量を有する。三官能性エポキシ樹脂は、90〜180g/eqの範囲に平均EEWを有することができる。四官能性エポキシ樹脂は、100〜200g/eqの範囲に平均EEWを有することができる。
【0010】
好ましい実施形態において、多官能性エポキシ樹脂の少なくとも1つは脂環式エポキシである。いくつかの実施形態において、3つのタイプすべての多官能性エポキシ樹脂(二官能性、三官能性および四官能性エポキシ樹脂)の混合物が、硬化したエポキシ樹脂混合物の架橋密度を制御し、最終硬化接着剤のTgおよび強靭性を最適化するために樹脂部分(A)に存在する。他の実施形態において、樹脂混合物には、非脂環式の二官能性エポキシ、三官能性エポキシまたは四官能性エポキシ、および複数のエポキシ官能基を有する脂環式エポキシ(すなわち脂環式多官能性エポキシ)が含まれる。二官能性樹脂は、すべての事例において、樹脂混合物の大半(50重量%を超える樹脂混合物)を構成している。3種の多官能性エポキシ樹脂がすべて使用される場合、樹脂混合物の合計重量に対して、以下の比率:50重量%を超える二官能性エポキシ樹脂、10重量%未満の四官能性エポキシ樹脂、および、残部を構成する三官能性エポキシ樹脂が好ましい。
【0011】
一般に、樹脂部分(A)に適した多官能性樹脂は、飽和、不飽和の、環式または非環式の、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環のポリエポキシドであってもよい。適切なポリエポキシドの例には、アルカリの存在下でエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンをポリフェノールと反応させることによって調製されるポリグリシジルエーテルが含まれる。したがって、適切なポリフェノールは、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA(ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールS、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、フルオレン4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビスフェノールZ(4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール)、および1,5−ヒドロキシナフタレンである。多価アルコール、アミノフェノールまたは芳香族ジアミンのポリグリシジルエーテルもまた適切である。
【0012】
使用することができる他のタイプのポリエポキシドは、芳香族または脂肪族ポリカルボン酸とエピハロヒドリンを反応させることにより調製されるグリシジルポリエステル樹脂である。別のタイプのポリエポキシド樹脂は、ポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることにより調製されるグリシジルアミンである。他の適切な多官能性エポキシ樹脂には、2〜4個のエポキシ基を有する多官能性エポキシノボラック樹脂が含まれる。有用なエポキシノボラック樹脂には、エポキシクレゾールノボラックおよびエポキシフェノールノボラックが含まれる。さらなる適切な多官能性エポキシ樹脂には、ポリグリシジルエーテル型エポキシおよびソルビトールグリシジルエーテルなどの脂肪族多官能性エポキシが含まれる。
【0013】
液状の多官能性エポキシ樹脂または固体および液状の多官能性エポキシ樹脂の組み合わせが、樹脂混合物を形成するために使用されてもよい。特に適切なものは、ビスフェノールAまたはビスフェノールFと、エピクロロヒドリンとの反応で誘導される比較的低分子量を有する液状エポキシ樹脂である。室温で液状であるビスフェノール系エポキシ樹脂は、一般に、約150〜約350g/eqのエポキシ当量を有する。室温で固体であるエポキシ樹脂は、ポリフェノールおよびエピクロロヒドリンから入手可能であり、400g/eqを超えるエポキシ当量を有する。固体エポキシ樹脂は、室温で固体であり、45°C〜130°Cの融点を有する点で液状エポキシ樹脂と異なる。
【0014】
二官能性エポキシ樹脂の例は、ビスフェノールA系物質のジグリシジルエーテル(例えばHexionからのEpon(商標)828(液状エポキシ樹脂))、Dow Chemical Co.によって供給されるDER 331、D.E.R. 661(固体エポキシ樹脂)、およびHuntsman Advanced Materialsによって供給されるTactix 123、Araldite(登録商標)184が含まれる。
【0015】
三官能性エポキシ樹脂の例には、アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、例えばHuntsman Advanced Materialsによって供給されるAraldite(登録商標)MY 0510、MY 0500、MY 0600、MY 0610が含まれる。
【0016】
四官能性エポキシ樹脂の例には、メチレンジアニリンのテトラグリシジルエーテル(例えばHuntsman Advanced Materialsによって供給されるAraldite(登録商標)MY 9655)、ジアミノジフェニルテトラグリシジルメタン(例えばHuntsman Advanced Materialsによって供給されるAraldite(登録商標)MY−721、MY−720、725、MY 9663、9634、9655)、JSI Co., Ltd.からのEJ−190、およびCVC Chemical, Inc.からのERISYS GE−60が含まれる。
【0017】
適切な脂環式エポキシは、1分子当たり少なくとも1個の脂環式基および少なくとも2個のオキシラン環を含む化合物を含む。具体的な例には、以下の構造:
【化1】
によって代表される、脂環式アルコール、水素化ビスフェノールAのジエポキシド(CVC Thermoset Specialtiesによって供給されるEpalloy(商標)5000、5001)が含まれる。
【0018】
脂環式エポキシの他の例には、Momentive Specialty Chemicalsによって供給されるEPONEX脂環式エポキシ樹脂(例えばEPONEX樹脂1510);Aditya Birla Chemicalsによって供給される脂環式Epotec(登録商標)エポキシ樹脂(例えばYDH 184、YDH3000);Dow ChemicalsからのERL−4221(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート);およびHuntsman Advanced Materialsによって供給されるAraldite(登録商標)CY179 MAが含まれる。
強靭化剤
【0019】
異なる強靭化モフォロジー領域を有する2モード粒径分布を生み出すために、異なる2つのタイプのコアシェルゴム(CSR)粒子が樹脂部分(A)中に組み込まれる。これらのCSR粒子は、硬化すると接着剤の強靭化を可能にする強靭化剤として働く。より小さい粒子は、100nm以下の、好ましくは50〜90nmの平均粒径を有することができ、より大きい粒子は、100nmを超える、好ましくは150〜300nmの平均径を有することができる。より小さいCSR粒子とより大きいCSR粒子の重量比は、3:1〜5:1の範囲とすることができる。CSR粒子は、合計で、部分(A)の合計重量に対して5重量%〜30重量%の量で樹脂部分(A)中に存在することができる。異なる粒径を有することによって、剪断強度、剥離強度および樹脂破壊靭性などの基本性質の釣り合いを制御することができる。
【0020】
コアシェルゴム粒子は、非エラストマーポリマー材料(すなわち、環境温度を超える、例えば約50°Cを超えるガラス転移温度を有する熱可塑性または熱硬化性/架橋ポリマー)で構成された硬質シェルに囲まれた、エラストマーまたはゴム状の性質(すなわち、約0°C未満、例えば約−30°C未満のガラス転移温度)を有するポリマー材料で構成
される軟質コアを有することができる。例えば、コアは、例えば、ジエンホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと、例えばビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリラートなどの1個または複数のエチレン型不飽和モノマーとのコポリマー)で構成することができ、一方、シェルは、1種または複数のモノマー、例えば(メタ)アクリラート(例えば、メタクリル酸メチル)、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン)、ビニルシアニド(例えば、アクリロニトリル)、不飽和酸および無水物(例えば、アクリル酸)、(メタ)アクリルアミドなどの、適切に高いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーで構成することができる。シェルに使用されるポリマーまたはコポリマーは、カルボン酸金属塩の形成(例えば、二価金属陽イオンの塩の形成による)によってイオン的に架橋する酸基を有することができる。シェルのポリマーまたはコポリマーもまた、1分子当たり2個以上の二重結合を有するモノマーの使用によって共有結合で架橋することができる。他のエラストマーポリマーもまた、ポリアクリル酸ブチルまたはポリシロキサンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサン)を含めて、コアに適切に使用することができる。粒子は2層以上で構成されていてもよい(例えば、1種のエラストマー材料の中心コアが、異なるエラストマー材料の第2のコアに囲まれていてもよく、または、コアは異なる組成の2種のシェルに囲まれていてもよく、または、粒子は軟質コア/硬質シェル/軟質シェル/硬質シェルの構造を有していてもよい。)。典型的には、コアは粒子の約50〜約95重量パーセントを含み、一方、シェルは粒子の約5〜約50重量パーセントを含む。
【0021】
コアシェルゴム粒子は、Kaneka Texas Corporationから商標Kane Ace MXで入手可能なものなどの液状樹脂母材系中で予備分散することができる。コアシェルゴム粒子は樹脂部分(A)に使用される、二官能性、三官能性および四官能性エポキシ樹脂の1つに予備分散することが好ましい。例として、CSR粒子を含有する適切な樹脂母材系には、MX120(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX125(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX153(約33重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX156(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX130(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールFエポキシ)、MX136(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールFエポキシ)、MX257(約37重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX416およびMX451(約25重量%のCSRを含む液状多官能性エポキシ)、MX215(約25重量%のCSRを含むエポキシ化フェノールノボラック)、およびMX551(約25重量%のCSRを含む脂環式エポキシ)が含まれる。
【0022】
CSR粒子に加えて、熱可塑性樹脂および/またはエラストマーの強靭化剤が、最終的に硬化させる接着剤の強靭性をさらに増すためにエポキシ樹脂混合物に添加される。特に好ましいものは、硬化中に多官能性エポキシ樹脂と反応することができる官能基を有するエラストマーポリマー、および8,000〜14,000の範囲の平均分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)ポリマーである。
【0023】
エポキシ官能基を有するエラストマーポリマーは特に適切である。特定の例としては、カルボキシル末端ブチルニトリルエラストマーまたはアミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)エラストマーとエポキシ樹脂とを反応させることにより形成されたエポキシ−エラストマー付加物が含まれる。特定の例はEpon58005であり、これは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとカルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリルエラストマーとの反応から形成されたエラストマー変性エポキシ官能性付加物である。さらなるエラストマー変性エポキシ樹脂には、Hexion Specialty Chemicals, Inc.からのEpon58006、Epon58042、Epon
58120、Epon58091が含まれる。
【0024】
他の適切なエラストマーポリマーには、カルボキシル末端ブタジエンニトリルポリマー(CTBN)およびアミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)エラストマー、または同様の反応性液状ポリマー化学品が含まれる。さらに、CTBNおよび/またはATBNはまた、接着剤の強靭性および弾性をさらに改善するために二液系の部分(A)もしくは部分(B)のいずれかに、または一液系に添加される。
【0025】
ポリエーテルスルホン(PES)ポリマーには、190°Cを超えるTgを有するポリエーテルスルホン−ポリエーテルエーテルスルホン(PES−PEES)コポリマー、例えば、Cytec Industries Inc.から入手可能な、約200°CのTgを有するKM170、KM180が含まれる。
【0026】
他の適切な強靭化剤には、(クロロメチル)オキシランを有するフェノール,4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスポリマーなどの、異なる分子量を有する長い直鎖のポリヒドロキシエーテルであるフェノキシ樹脂が含まれる。市販品の例には、InChem Corp.から入手可能なPhenoxy PKHP−200およびPKHB−100が含まれる。
無機充填剤
【0027】
樹脂系接着剤組成物としての難問は、それが作製される時から塗布される時までの間、接着剤のレオロジー性能を維持することである。無機充填剤は、二液系または一液系のチクソトロピーまたはレオロジーを修飾する成分として働く。適切な無機充填剤は、微粒子の形態にあるものであり、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、タルクおよびカオリンが含まれる。90〜380m
2/gの範囲の表面積を有するフュームドシリカは、二液系、一液系のいずれにも適しているとわかった。二液系に関しては、樹脂部分(A)中の無機充填剤の重量パーセントは、部分(A)の合計重量に対して1〜6重量%の範囲内にある。触媒部分(B)に関しては、無機充填剤の重量パーセントは、部分(B)の合計重量に対して3〜10重量%の範囲内にある。一液系に関しては、無機充填剤の重量パーセントは0.5〜2.5重量%の範囲内にある。
【0028】
二液系の一実施形態において、樹脂部分(A)中の無機充填剤は、Cabot Corporationから入手可能なCAB−O−SIL TS−720などの疎水性フュームドシリカであり、触媒部分(B)中の無機充填剤は、Cabot Corporationから入手可能なCAB−O−SIL M−5などの親水性フュームドシリカである。一液系の一実施形態において、無機充填剤は、CAB−O−SIL TS−720などの疎水性フュームドシリカである。フュームドシリカ系レオロジー改質剤の他の例には、Aerosil R202、およびEvonik Degussa Corp.によって供給されるVPR 2935が含まれる。フュームドシリカの存在は、塗布および硬化中に接着剤に望ましい粘度を維持するのを助け、接着剤の垂れ耐性も改善する。接着剤が鉛直または高角度の表面に塗布される場合、垂れ耐性またはスランプ耐性が望まれる。
二液系用アミン硬化剤
【0029】
1種または複数のアミン硬化剤は、二液系の触媒部分(B)に使用することができる。触媒部分(B)用のアミン硬化剤は、高度に架橋した樹脂母材を形成するために、部分(A)中の多官能性エポキシ樹脂と反応することができる脂肪族または環式のアミン化合物である。好ましい実施形態において、アミン化合物は、脂環式アミン、ポリエチレンポリアミン、アミン末端ピペラジン,イミダゾール、およびその組み合わせからなる群から選択される。アミン硬化剤の合計重量パーセントは、部分(B)の合計重量に対して80〜95重量%の範囲内にある。
【0030】
適切な脂環式アミンには、以下の構造:
【化2】
を有するビス−(パミノシクロヘキシル)メタン(bis−(paminocyclohexyl)methane)(PACM)および以下の構造:
【化3】
を有するジメチルPACMなどのジシクロヘキシルアミンが含まれる。
【0031】
適切なポリエチレンポリアミンには、以下の化学構造:
【化4】
を有するテトラエチレンペンタミン(直鎖C−8ペンタミン)が含まれる。
【0032】
ポリエチレンポリアミンの他の適切な例には、ジエチレントリアミン(直鎖C−4ジアミン)、トリエチレンテトラミン(直鎖C−6トリアミン)、およびペンタエチレンヘキサミン(直鎖C−10ヘキサミン)が含まれる。
【0033】
適切なアミン末端ピペラジンの例は、以下の構造:
【化5】
を有する1,4ビスアミノプロピルピペラジンである。
【0034】
別の例は、以下の構造:
【化6】
を有するアミノエチルピペラジンである。
【0035】
適切なイミダゾールには、以下の構造:
【化7】
を有する2−エチル−4−メチルイミダゾールが含まれる。
【0036】
このタイプのイミダゾールは、Air ProductsからのImicure EMI−2,4として市販されている。
【0037】
アミン硬化剤のさらなる例には、トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノール(Air ProductsからのAncamine K54として入手可能)、およびジエチレングリコールジ(3−アミノプロピル)エーテル(Ancamine 1922Aとして入手可能)が含まれる。
一液系用アミン硬化剤
【0038】
一液系用硬化剤には、イミダゾールおよび脂肪族アミンの少なくとも1つと組み合わせて使用することができる潜在性アミン系硬化剤が含まれる。イミダゾールおよび/または脂肪族アミンを包含すると、接着剤組成物の硬化温度がさらに低下する。160°F(71°C)を超える温度で活性化することができる潜在性アミン系硬化剤は、一液系に適している。適切な潜在性アミン系硬化剤の例には、ジシアンジアミド(DICY)、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、およびその誘導体が含まれる。特に適切な潜在性アミン系硬化剤はジシアンジアミドである。潜在性アミン系硬化剤は、2〜6重量%の範囲内の量で存在することができる。
【0039】
硬化促進剤は、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との間の硬化反応を促進するために、潜在性アミン系硬化剤と組み合わせて使用されてもよい。適切な硬化促進剤には、アルキルおよびアリール置換ウレア(芳香族または脂環式のジメチルウレアを含む);トルエンジアミン系またはメチレンジアニリン系のビスウレアを含むことができる。ビスウレアの例は、2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)(CVC ChemicalsからOmicure U−24またはCA 150として市販されている)である。別の例は、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(CVC ChemicalsからOmicure U−52またはCA 152として市販されている)であり、これはジシアンジアミドに適切な促進剤である。硬化促進剤は1〜6重量%の範囲内の量で存在することができる。一実施形態において、ジシアンジアミドは、硬化促進剤として置換ビスウレアと組み合わせて使用される。
【0040】
適切なイミダゾールには、二液系用に上に記載したような2−エチル−4−メチルイミダゾール、例えばImicure(登録商標)EMI−24が含まれる。
【0041】
適切な脂肪族アミンは、180〜300の範囲のアミン価(mg KOH/g)、および35〜90の範囲の当量(H)を有するものである。適切な脂肪族アミンの例には、Air Productsから入手可能なAncamine 2014AS(変性脂肪族アミン)、およびAncamine 2037Sが含まれる。脂肪族アミンの他の例は、H
untsmanからのAradur(商標)956−4, 943, 42、およびMomentive Specialty Chemicals.からのEPICURE(商標)3202、3223、3234である。
【0042】
一液型接着剤の一実施形態において、Air ProductsからのIntelimer(登録商標)7004(Intelimer(登録商標)ポリマーに共有結合した2−エチル−4−メチル−イミダゾール)、およびIntelimer(登録商標)7024(Intelimer(登録商標)ポリマーでカプセル化した2−エチル−4−メチル−イミダゾール)などの、母材でカプセル化したアミンは、潜在性硬化剤として使用される。これらの材料は、母材カプセル化によってIntelimer(登録商標)ポリマー内でカプセル化したイミダゾール系触媒で構成される。Intelimer(登録商標)ポリマーは、結晶性がポリマー骨格に結合している側鎖に起因する結晶性ポリアクリラートポリマーである。これらの結晶性ポリマーは、非常に鋭く、明確な融点を有する。カプセル化は、物理的なブレンドまたは慎重な共有結合反応によって実施することができる(すなわち共有結合的に変性させたポリマー)。このカプセル化の構成によって、アミン触媒の活性は、熱的活性化、例えば硬化を受けるまでポリマー網目によって遮断される。接着剤中に母材でカプセル化したアミンを包含すると、環境温度での接着剤の安定性を増加させる。
追加の添加剤
【0043】
着色用染料または顔料などの添加剤を、接着剤の色を調節するために二液系(部分A、部分Bのいずれか)に、および一液系に添加することができる。
接着剤の接合への適用
【0044】
本開示の二液型接着剤および一液型接着剤は、金属と金属、金属と複合材料、複合材料と複合材料を含むラミネート構造を形成するための様々な航空宇宙構造材料を接合するのに適切である。複合材料には、航空機複合体構造の作製のために使用されるプリプレグまたはプリプレグレイアップなどの繊維強化樹脂複合体が含まれる。本明細書において使用される用語「プリプレグ」は、母材樹脂に含浸された繊維のシートまたは薄片を指す。母材樹脂は、未硬化または部分硬化の状態で存在することができる。本明細書において使用される用語「プリプレグレイアップ」は、互いに隣接して積重ねて置かれた複数のプリプレグ層を指す。レイアップ内のプリプレグ層は、互いに関して選択された配列に位置することができる。例えば、プリプレグレイアップは、レイアップの長さなどの最大寸法に関して、0°、90°、選択された角度Θ、およびその組み合わせで配列した繊維を含む、一方向の繊維構造を有するプリプレグ層を含むことができる。加えて、特定の実施形態において、プリプレグが、一方向および多次元などの繊維構造の任意の組み合わせを有することができることは理解されるはずである。
【0045】
混合した後、二液型接着剤組成物は、接合される1つまたは複数の表面へのビーズまたはフィルム塗布などの従来の分注手段によって塗布することができるペースト接着剤を与える。金属および航空宇宙複合材料の構造接合に関しては、接着剤を10〜80ミル(0.254mm〜2.032mm)の厚さで塗布することができる。次いで、面を合わせて基板間に接着剤フィルムでラミネートを形成する。続いて、結果として生じたラミネートは、環境温度を含む93°C(または200°F)以下で硬化することができる。そのような低温硬化方法は、ラミネートのオートクレーブ外(OOA)硬化を可能にする。二液系の硬化した接着剤は、機械的性質:20°C〜25°Cで33〜37MPa、および82°Cで24〜27MPa、121°Cで15〜18MPaのASTM D3165によるラップ剪断強度、20°C〜25°Cで250〜350Nm/m(または50〜75lb/in)のASTM D3167による剥離強度が増強された構造用接着剤である。さらに、二液型接着剤が繊維強化樹脂複合基板の接合に使用される場合、650J/m
2を
超える、例えば、651〜1500J/m
2のASTM 5528による破壊靭性(またはラミネート間の強靭性、G
1c)を示す。Tgおよびラップ剪断強度は、71°Cで14日間の、または49°Cで30日間の100%の相対湿度を含有する空気への経時的曝露後も実質的に変わらない(90%を超える保持)。
【0046】
一液型接着剤に関しては、硬化させた接着剤フィルムは以下の性質:65〜93°C(150°F〜200°F)の温度範囲で硬化して100°C(212°F)を超えるガラス転移温度(Tg)、20°C〜25°Cで28〜40MPaおよび82°Cで25〜28MPa、121°Cで17〜21MPaのASTM D3165試験によるラップ剪断強さ、20°C〜25°Cで150〜250Nm/m(または30〜50lb/in)のASTM D3167による剥離強度を有する。
【0047】
ASTM D3165は、単純重ね継手積層組立体の張力負荷による接着剤の剪断強度物性の標準試験法(Standard Test Method for Strength Properties of Adhesives in Shear by Tension Loading of Single−Lap−Joint Laminated Assemblies)を指す。ラップ剪断は、単純重ね継手の試験片で試験したとき接合材料に対する接着剤の剪断強度を測定する。
【0048】
ASTM D3167は、接着剤の浮遊ローラー式剥離耐性用標準試験法(Standard Test Method for Floating Roller Peel
Resistance of Adhesives)を指す。この試験法は、調製および試験の所定条件下で試験したとき、剛直な被着体と可撓性のある被着体との間の接着剤接合の相対的な剥離耐性の測定を包含する。接着は、剛直な基板から可撓性のある被着体を剥ぐことにより測定される。剥離力は破断エネルギーの指標である。
【0049】
ASTM D5528は、繊維強化ポリマー母材複合体のモードIのラミネート間の破壊靭性の標準試験法(Standard Test Method for Mode I Interlaminar Fracture Toughness of Fiber−Reinforced Polymer Matrix Composites)を指す。
【0050】
本明細書において開示されるペースト接着剤は、接着剤の自動分注を可能にするフィルム状の性質を有し、これは迅速組立の、航空宇宙の構造接合への適用に特に有用である。さらに、開示される二液型接着剤の利点には、以下が含まれる。
− 構造用接着剤フィルム状の性質を有する低温硬化ペースト
− 金属−複合体接合のための高い強度/高い強靭性および優れた高温/耐湿特性
− 柔軟な低温硬化計画
− 安定性
− 長いポットライフ/長い組立時間
− 袋詰め不要(No Bagging)、OOA構造接合
− チクソトロピー耐性、スランプ耐性、および使い易さ、
− 自動配置能力
− 最大1年の室温保管(1年の保存寿命)
− より低い製造コスト
実施例
【0051】
以下の実施例は様々な実施形態を説明する目的のために提供されるが、本開示の範囲を限定するようには意図されない。
実施例1
二液系
【0052】
二液型接着剤系に関して、表1Aおよび1Bは、樹脂部分(A)用の例示の配合物を示す。A−1〜A−7はより好ましい配合物を表し、A−8〜A−9は比較の配合物である。表2は、触媒部分(B)用の例示の配合物を示す。ペースト接着剤を形成するために、A−1〜A−9の任意の1つを、B−1〜B−7の任意の1つと混合することができる。他に示さない限り、表中の量は部で表される。
【表1】
【表2】
【表3】
【0053】
上記配合に基づく樹脂部分および触媒部分は、加熱冷却能力を有する二連遊星式混合機へ異なる段階で必要な成分を秤量し添加することによって別々に調製した。樹脂部分のエポキシおよびCSR成分を、強火(150°F〜200°Fの間で)でまず混合して、均質な樹脂混合物が得られた。混合物を150°Fに冷却し、Epon58005を混合物に添加した。Epon 58005は、取扱いを容易にするために混合物に添加する前に120°Fで前もって加熱した。この混合物を90°Fに冷却し、次いでフュームドシリカを添加した。混合物を真空脱気しながら混合を継続した。次いで、温度が80°F未満になったとき、結果として得られた樹脂基剤を混合機から取り出した。触媒部分に関しては、アミン硬化剤およびフュームドシリカを混合機に添加し、シリカが一様に分散するまで室温で混合した。
実施例2
【0054】
部分A−1および部分B−1(実施例1中に開示)に基づく二液型接着剤、および部分A−2および部分B−3に基づく二液型接着剤(実施例1中に開示)は、表3に示す特性を有する。室温で樹脂部分を触媒部分と混合し、かつ93°C(200°F)で硬化した後、混合密度(すなわち比重)を求めた。
【表4】
実施例3
接合性能
【0055】
実施例1に開示された配合物に基づく様々な二液型接着剤の金属接合性能および複合体接合性能を測定した。Alcoa Inc.からのAl−2024−T3アルミニウムシートを金属−金属接合用基板として使用した。ASTM 3933によってアルミニウム地金を溶媒でまず拭き、続いてアルカリ脱脂、FPLエッチング(クロム硫酸エッチング)、およびリン酸陽極酸化(PAA)を行った。Cytec Industries Inc.からの溶媒系プライマーBR(登録商標)127を、アルミニウム地金に0.00015インチの厚さで噴霧した。プライマーを15分間風乾し、次いで121°C(250°F)で60分間硬化した。2枚のアルミニウムシートをシート間にペースト接着剤を塗布することにより互いに接合した。接着層厚さは約10ミル(254ミクロン)でガラスビーズを用いて制御する。接合した試料はすべて、71°C(160°F)〜93°C(200°F)の間の温度で指定の長さの時間、加熱プレスで硬化させた。0.021〜0.035MPa(3〜5psi)の接触圧力を硬化の間中加えた。ペースト接着剤の金属−金属接着強度(大面積ラップ剪断− WALS)および強靭性(浮遊ローラー式剥離−FRP、またはクライミングドラム剥離 − CDP)特性を種々の温度で試験した。試験結果は、各試験群につき5つの試験片の平均値として報告する。硬化させたペースト接着剤のガラス転移温度(Tg開始点)をTA Instrumentsからの熱機械分析計(TMA 2940)を使用して求めた。
【0056】
複合体の接合は試験基板として繊維強化したプリプレグを使用して実行した。使用したプリプレグは、Toray Composites, Inc.からの予備硬化したTorayca(登録商標)T800H/3900−2プリプレグテープであった。乾燥したポリエステルのピールプライまたは樹脂に富むピールプライのいずれかを複合体基板の表面処理として使用した。硬化はオートクレーブ外(OOA)の条件下で実行した。接合性能試験に関しては、以下の試験法を使用した。
a)大面積ラップ剪断(WALS)− ASTM D3165
b)浮遊ローラー式剥離(FR剥離)− ASTM D3167
c)複合体接合用双片持ちはり(DCB、G
1C)− ASTM D5528
【0057】
表4は、部分A−2と部分B−1を2:1(重量基準)の混合比(A:B)で混合することによって形成されたペースト接着剤の金属接合特性を示す。
【表5】
【0058】
表5は、部分A−1と部分B−1を2:1(重量基準)の混合比(A:B)で混合することによって形成されたペースト接着剤の複合体−複合体接合特性を示す。
【表6】
【0059】
表6は、部分A−2と部分B−3を2:1(重量基準)の混合比(A:B)で混合することによって形成されたペースト接着剤の金属−金属接合特性を示す。
【表7】
【0060】
表7は、部分A−1と部分B−4またはB−5のいずれかとを示した混合比(重量基準)で混合することによって形成されたペースト接着剤の金属−金属接合特性を示す。
【表8】
【0061】
部分B−4と混ぜ合わせた部分A−1(A:B重量比4:1)に基づく室温硬化可能な二液型接着剤を複合体の接合に関して試験した。結果は、4.5in−lb/in
2(788J/m
2)のG
1c値および凝集破壊モードを示す。
比較例
【0062】
比較のために、表1Bに開示された部分A−8および部分A−9のそれぞれを、表2に開示された部分B−1配合物と混合してペースト接着剤を形成した。次いで、得られた接着剤を上記のように金属−金属接合特性に関して試験した。結果を表8に示す。
【表9】
【0063】
表8は、比較例の接着剤の室温での浮遊ローラー式剥離強度が、同一の硬化温度でのより好ましい接着剤のそれより低いことを示す。
実施例4
ペースト接着剤接合性能に対するボンドライン厚さの作用
【0064】
ペースト接着剤の金属−金属接合性能に対するボンドライン厚さの作用を接合したアルミニウム試験片を使用して測定した。ここで、接着剤接合は、実施例1に開示された部分A−1および部分B−1配合物で構成される二液型接着剤を2:1の混合比で使用して行った。硬化はOOA硬化の下に93°Cで2時間実行した。ボンドライン厚さを変動させたWALSおよびFRP試験の結果を表9に示す。ペースト接着剤は、ボンドライン厚さが増すにつれて、ラップ剪断および剥離強度の両方が減少することを示した。しかし、剥離強度は、ボンドライン厚さの変動に対してはるかに安定していた(tolerant)。ボンドラインが厚いと(40〜80ミル)、ペースト接着剤は、相当高い剥離強度および主として凝集破壊モードを示した。ボンドラインが厚いと、それはまた初めの大面積ラップ剪断強度の50%超を保持した。ボンドライン厚さの変動に対するペースト接着剤の良好な安定性(tolerance)は、その本質的に高い強靭性を反映している。厚い接着層に対して安定性があるので、ボンドラインが不均一または厚くなる場合、構造接合への適用にとって非常に魅力的になる。
【表10】
実施例5
接着剤接合性能に対する湿気曝露の作用
【0065】
複合体−複合体または複合体−金属の接合構造の耐久性を保証するためには、強靭な、耐湿性の、流量制御したエポキシ系接着剤が必要である。強靭化接着剤は、高温/含湿条件および他の環境曝露条件下で良好な耐久性能を有していなければならない。個々に切断した大面積ラップ剪断試験片を71°Cおよび100%の相対湿度(RH)の空気に14日間曝露するか、またはそれらを49°Cおよび100%のRHで30日間曝露することによって、ペースト接着剤に対する接合後の湿気の作用を評価した。表10は、部分A−1および部分B−1が混合比2:1で構成される二液型接着剤を使用して形成された、接合した金属試験片の結果を示す。表10に示すように、ペースト接着剤は、接合後の湿気曝露後も剪断強度の優れた保持を示す。高温/含湿曝露した試験片の破壊モードは、材料の良好な耐湿性を反映して主として凝集破壊または弱い凝集破壊であった。
【表11】
【0066】
同一の二液型接着剤(部分A−1/部分B−1、混合比2:1)の複合体接合性能を、実施例3に記載したようにWALSおよび双片持ちはり(G
1C)試験を用いて求めた。硬化は200°Fで2時間実行した。湿気への経時的曝露後の結果を表11に示す。
【表12】
実施例6
一液系
【0067】
表12は例示の一液型接着剤配合物1A〜1Eを示す。量はすべて部で表す。
【表13】
【0068】
配合物1A〜1Eの金属接合特性を実施例3に記載したように測定した。結果は表13に示す。
【表14】
【0069】
配合物1Aの複合体接合特性を実施例3に記載したように測定した。WALS測定に関して、ポリエステルピールプライを接合前の表面処理に使用し、G
1c測定に関しては、複合体表面を接合前にプラズマによって処理した。結果は表14に示す。
【表15】
【0070】
本明細書において開示される範囲は両端を含み、独立して結合可能である(例えば、「およそ25重量%まで、または、とりわけ、およそ5重量%〜およそ20重量%」という範囲は、「およそ5重量%〜およそ25重量%」などの範囲の終点の両端およびすべての中間値を含む。
【0071】
様々な実施形態が本明細書に記載されているが、要素の様々な組み合わせ、本明細書に開示される実施形態の変形は、当業者によって作製することができること、およびこれらが本開示の範囲内であることは本明細書から理解されよう。さらに、本明細書に開示される実施形態の教示に対して具体的な状況または材料を適応させるために、その基本的な範囲から離れることなく多くの修正をすることができる。したがって、請求される発明は本明細書に開示される具体的な実施形態に限定されないが、請求される発明は添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図される。