特許第5964986号(P5964986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964986
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】混合流を用いるフローバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20160721BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01M8/18
   H01M8/02 L
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-548750(P2014-548750)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-505147(P2015-505147A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2011066143
(87)【国際公開番号】WO2013095378
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ザッフォウ,ラチッド
(72)【発明者】
【氏名】パンディ,アルン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マイケル エル.
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/067453(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/075135(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1845368(CN,A)
【文献】 特開2001−085033(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101719556(CN,A)
【文献】 国際公開第2011/089516(WO,A2)
【文献】 特開2007−305339(JP,A)
【文献】 根岸 明,レドックスフロー電池,燃料電池,2003年,VOL.2 NO.4,pp.69-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的活物質を有する液体電解質と、
液体電解質の流れを受け取る流路を備える面を有するバイポーラプレートと、
バイポーラプレートの面に接触しかつ流路の開いた上部に亘って延在する多孔質電極であって、液体電解質に関して触媒活性を有する多孔質電極と、
を備えるフローバッテリであって、
バイポーラプレートの流路は、液体電解質の流れの少なくとも一部を多孔質電極内へと押しやるよう流路の長さに沿って流路入口から流路出口へと断面積が変化するように傾斜した壁を有し、該断面積は、流路入口から流路出口の方向に対して垂直な平面で切った断面の面積であり、
各流路は、両側の側壁の間に延在する幅と、底部壁と開いた上部との間に延在する深さとを有しており、流路は、底部壁から開いた上部へと延在する複数の突部を備える流路形状を有することを特徴とするフローバッテリ。
【請求項2】
複数の突部のそれぞれは、一方の側壁からもう一方の側壁へと延在することを特徴とする請求項記載のフローバッテリ。
【請求項3】
流路を備える面を有するバイポーラプレートと、バイポーラプレートの面に接触しかつ流路の開いた上部に亘って延在する多孔質電極と、を提供し、
電気化学的活物質を有する液体電解質であって、多孔質電極が液体電解質に関して触媒活性を有する、液体電解質の流れを流路内に確立し、
バイポーラプレートの流路に、流路の長さに沿って流路入口から流路出口へと断面積が変化するように傾斜した壁を設けることで、液体電解質の流れの少なくとも一部を流路から多孔質電極内へと押しやる、
ことを含み、該断面積は、流路入口から流路出口の方向に対して垂直な平面で切った断面の面積であり、
液体電解質の流れの少なくとも一部を流路から多孔質電極内へと押しやるように、両側の側壁の間に延在する幅と、底部壁と開いた上部との間に延在する深さと、底部壁から開いた上部へと延在する複数の突部と、を有する流路形状を使用することを特徴とする、フローバッテリを作動させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気エネルギーを選択的に貯蔵および放出するフローバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
フローバッテリは、レドックスフローバッテリまたはレドックスフローセルとしても知られているが、電気エネルギーを、貯蔵して後に必要があれば放出することができる化学エネルギーに変換するように設計される。一例として、フローバッテリは、需要家の需要を上回るエネルギーを貯蔵し、後でより大きな需要がある場合にそのエネルギーを放出するように、風力発電システムなどの再生可能エネルギーシステムとともに使用されることができる。
【0003】
基本的なフローバッテリは、イオン交換膜などのセパレータを備えることができる電解質層で分離された負極と正極とを有するレドックスフローセルを備える。負極には負液体電解質が供給され、正極には正液体電解質が供給されて、電気化学的に可逆な酸化還元反応を引き起こす。充電時には、供給された電気エネルギーによって、一方の電解質内で化学的還元反応が生じ、もう一方の電解質内で酸化反応が生じる。セパレータは、電解質が混合し合うのを防止するが、選択されたイオンが通過して酸化還元反応が完結するのを可能とする。放電時には、液体電解質内に含まれる化学エネルギーが逆反応で放出されて、電気エネルギーが電極から引き出されることができる。フローバッテリは、とりわけ、外部から供給されて可逆電気化学反応にあずかる液体電解質を使用するところが、他の電気化学装置とは区別される点である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電気化学的活性種を有する液体電解質と、液体電解質の流れを受け取る流路を有するバイポーラプレートと、を備えるフローバッテリが開示される。多孔質電極は、バイポーラプレートにすぐ隣接して配置される。多孔質電極は、液体電解質に関して触媒活性を有する。バイポーラプレートの流路は、液体電解質の流れの少なくとも一部を多孔質電極内へと積極的に押しやるように構成された流路配置または流路形状のうちの少なくとも一方を有する。
【0005】
一実施例では、流路配置は、液体電解質の流れの少なくとも一部を多孔質電極内へと積極的に押しやるように、第1の流路と、リブによって第1の流路とは隔てられた隣接する第2の流路と、を備える。別の実施例では、流路形状は、液体電解質の流れの少なくとも一部を多孔質電極内へと積極的に押しやるように、流路の長さに亘って変化する断面積を有する。
【0006】
液体電解質の流れの少なくとも一部を多孔質電極内へと積極的に押しやることを含む、作動方法も開示される。
【0007】
開示の実施例のさまざまな特徴および利点は、当業者には以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明に付随する図面は、以下のように簡単に説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のフローバッテリを示す図。
図2図1のフローバッテリの実施例のセルを示す図。
図3A】流路入口から流路出口へと断面積が増加しているバイポーラプレートの流路を示す図。
図3B】流路入口から流路出口へと断面積が減少しているバイポーラプレートの流路を示す図。
図4A】交互嵌合流路配置の流路入口で取った断面を示す図。
図4B】交互嵌合流路配置の流路出口で取った断面を示す図。
図5】5Aは、突部を備えるバイポーラプレートの流路の断面を示す図、5Bは、5Aの流路の上面図を示す図。
図6】蛇行流路配置を示す図。
図7】直線流路配置を示す図。
図8】液体電解質の流れを隣接する多孔質電極内へ積極的に押しやるために幅寸法の深さ寸法に対する所定の比を有する流路の断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、電気エネルギーを選択的に貯蔵および放出する実施例のフローバッテリ20の選択された部分を示す。一例として、フローバッテリ20は、再生可能エネルギーシステム内で生成される電気エネルギーを化学エネルギーに変換するように使用されることができ、化学エネルギーは、後により大きな需要があってフローバッテリ20がその時に化学エネルギーを電気エネルギーに変換し戻すまで貯蔵される。フローバッテリ20は、例えば高圧送電線網に電気エネルギーを供給することができる。以下に説明するように、開示のフローバッテリ20は、向上した性能のための特徴を備える。
【0010】
フローバッテリ20は、電気化学的活性種24を有する液体電解質22を備えており、電気化学的活性種24は、別の液体電解質26および電気化学的活性種30に関する酸化還元対として機能する。例えば、電気化学的活性種24、30は、バナジウム、臭素、鉄、クロム、亜鉛、セリウム、鉛、またはこれらの組み合わせに基づく。実施例では、液体電解質22、26は、1つまたは複数の電気化学的活性種24、30を含む水溶液である。
【0011】
液体電解質22、26は、それぞれの貯蔵タンク32、34内に貯蔵される。図示のように、貯蔵タンク32、34は、実質的に同等の円筒形の貯蔵タンクであるが、貯蔵タンク32、34は、代替として他の形状および大きさを有することができる。
【0012】
液体電解質22、26は、それぞれの供給ライン38を通してフローバッテリ20の1つまたは複数のセル36に供給(例えばポンプ送り)され、戻りライン40を介して1つまたは複数のセル36から貯蔵タンク32、34へと戻される。
【0013】
作動時には、液体電解質22、26がセル36に供給されて、電気エネルギーを化学エネルギーに変換するか、あるいは、化学エネルギーを、放出可能な電気エネルギーに変換する。電気エネルギーは、電気経路42を通してセル36へ、およびセル36から伝達され、電気経路42は、回路を完成して、電気化学的酸化還元反応が完結するのを可能とする。
【0014】
図2は、セル36のうちの1つの一部の断面を示す。フローバッテリ20の設計容量に応じてフローバッテリ20がスタック内に複数のこのようなセル36を備えることができることは理解されたい。図示のように、セル36は、第1のバイポーラプレート50と、第1のバイポーラプレート50から離間した第2のバイポーラプレート52と、を備える。バイポーラプレート50、52は、導電性であり、例えば黒鉛プレートまたは金属プレートとすることができる。
【0015】
第1のバイポーラプレートは、複数の流路50aを備えており、複数の流路50aは、第1の流路54と、リブ58によって第1の流路54とは隔てられた隣接する第2の流路56と、を備える。この実施例では、第2のバイポーラプレート52の構成は、第1のバイポーラプレート50と実質的に同様であるが、第2のバイポーラプレート52が代替として異なる構成を有し得ることも考えられる。
【0016】
多孔質電極62、64が、それぞれ第1および第2のバイポーラプレート50、52にすぐに隣接して配置される。従って、多孔質電極62は、第1のバイポーラプレート50の面と接触し、多孔質電極64は、第2のバイポーラプレート52の面と接触する。イオン交換膜などのセパレータ66が多孔質電極62、64の間に配置される。
【0017】
多孔質電極62、64は、導電性で比較的耐食性でありかつ電気化学種に関して触媒活性を有する材料から構成される。一実施例では、多孔質電極62、64の一方または両方が、液体電解質22および/または26に関して触媒活性を有する炭素繊維紙などの炭素紙68を備える。すなわち、炭素紙68の炭素材料の表面は、フローバッテリ20内で触媒活性を有する。フローバッテリ20の酸化還元反応では、反応に対するエネルギー障壁は比較的低く、従って、貴金属または合金などのより強力な触媒材料は、酸素または水素などの気体状反応物を用いる電気化学装置のようには必要でない。一実施例では、炭素紙68は、炭素材料を清浄化し、向上した活性触媒サイトとして機能する炭素表面を生成するために、前熱および/または化学処理プロセスを用いて活性化される。
【0018】
フローバッテリにはセルを通る液体電解質の流れの圧力低下と性能との間にトレードオフがある。例えば、フローバッテリでは、流れ場を使用することができないことがある。このような設計では、液体電解質は、多孔質電極の端から端まで全体に流れる。この種の設計では、電極が多孔質媒体を通る流れの全体に適合するように比較的厚くなるために、比較的貧弱な性能と許容可能な圧力低下とが得られるか、あるいは、電極がより薄く、多孔質電極全体を通る流れ抵抗が比較的高くなる(それによって、セルを通って電解質を移動させるための寄生負荷が増大する)ために、比較的良好な性能と大きな圧力低下とが得られるとともに、電極およびイオン交換膜に対するスタック圧縮に起因して比較的低い耐久性が得られる。これに比較して、別の種類のフローバッテリでは、流れ場流路を使用することができる。このような設計では、液体電解質は流路を通って流れ、隣接する電極内へと拡散する。この種の設計では、液体電解質が比較的制限されずに流路を通って流れ、電極がより薄くなることができるために、より小さな圧力低下が得られるが、電極内での比較的急な濃度勾配(これは、高速の拡散輸送を促進するために必要である)と、電極内への電解質の不均一な拡散とに起因して、性能は比較的貧弱になる。必要とされているのは、強制対流の流れで比較的薄い電極を使用できるとともに、依然としてセルに亘る許容可能な圧力低下を可能にすることができる、セル設計である。
【0019】
以下に説明するように、フローバッテリ20のバイポーラプレート50の流路50aは、液体電解質22の流れ70の少なくとも一部を多孔質電極62内へと積極的に押しやるように構成された流路配置または流路形状のうちの少なくとも一方を有する。「積極的に押しやる」という用語、または強制対流の流れ、またはこれらの変形例は、圧力勾配の機構によって液体電解質22を流路50aから多孔質電極62内へと移動させるように構成されているバイポーラプレート50の構造のことを言う。これに比較して、拡散は、濃度駆動機構である。それによって、バイポーラプレート50は、圧力低下と性能との間の所望の均衡を達成するように、流路50aを通る流れと、電極62を通る積極的に押しやられる流れ70との組み合わせである「混合流」設計を提供する。
【0020】
バイポーラプレート50が、液体電解質22の流れ70の少なくとも一部を多孔質電極62内へと積極的に押しやるように構成されたさまざまな流路配置および/または流路形状を有することができることは理解されたい。以下のものは、そのような流路配置および/または流路形状の非限定的な実施例である。
【0021】
図2に示す実施例では、流路56は、流路54の下流に配置されており、従って、流路56内を流れる液体電解質22は、圧力損失に起因して、流路54内を流れる液体電解質22より低い圧力にある。圧力の差によって、流路54、56間に圧力勾配が生じ、この圧力勾配は、液体電解質22の少なくとも一部を、リブ58を越えて流路54から流路56内へと流れるように積極的に押しやる。いくつかの実施例では、流路54、56は、圧力勾配を提供するように、蛇行流路配置、交互嵌合流路配置、部分的交互嵌合流路配置、またはこれらの組み合わせの流路である。
【0022】
図3Aは、液体電解質22の流れの少なくとも一部を多孔質電極62内へと積極的に押しやるように構成されたバイポーラプレート150の流路150aの実施例の流路形状を示す。この開示では、適切な場合は同様の参照符号が同様の構成要素を示しており、100またはその倍数を追加した参照符号が、対応する構成要素と同じ特徴および利益を実現すると理解される修正された構成要素を示す。図示のように、流路150aは、流路入口180と流路出口182との間の長さに亘って延在する。一実施例では、流路出口180は、液体電解質22を流路150a内へと供給するように機能する共通のマニホールドに開いているオリフィスである。同様に、流路出口182は、液体電解質22を戻りライン40および貯蔵タンク32へと供給し戻すように機能する共通のマニホールドに開いているオリフィスである。
【0023】
この実施例では、流路150aは、両側の側壁(図示せず)、流路150aの底部150b、および流路150aの開いた上部150cの間に延在する断面積A1を画成する。多孔質電極62は、開いた上部150cに隣接して配置される。図示のように、断面積A1は、流路150aの長さに沿って流路入口180から流路出口182へと変化している。この実施例では、流路150aの底部150bは、断面積A1が流路入口180から流路出口182へと増加するように、傾斜している。代替として、または傾斜した底部150bに加えて、側壁がA1を変化させるように傾斜している。
【0024】
作動時には、液体電解質22は、流路150aのより狭い部分でより高い圧力となり、より高い圧力によって、液体電解質22は、隣接する多孔質電極62内へと流れるように積極的に押しやられる。
【0025】
図3Bは、別の実施例の流路150a’を示しており、そこでは、底部150bはもう一方の仕方で、断面積A2が流路入口180から流路出口182へと減少するように、傾斜している。
【0026】
図4Aは、バイポーラプレート250の流路入口280で取った断面図を示し、図4Bは、流路出口282で取ったバイポーラプレート250の断面図を示す。この実施例では、バイポーラプレート250は、図3A図3Bについて上述したように、第1の流路150aと、第2の流路150a’と、を備える。第1の流路150aは、第2の流路150a’と交互嵌合している。
【0027】
作動時には、流路形状および交互嵌合流路配置は、隣接する流路150、150a’間に圧力勾配を提供し、圧力勾配は、液体電解質22の流れ70を多孔質電極62内へと積極的に押しやる。断面積の変化は、所望の多孔質電極を通る強制流れの量を得るように設計されることができる。極端な場合は、セルから出るためには全ての電解質が多孔質電極を通過する必要があるように、1つおきの流路の入口断面積をゼロにする。
【0028】
図5の5Aは、流路350aの長さに沿って変化する断面積A3を有する別の実施例の流路350aを示す。流路350aは、複数の突部390を備えており、複数の突部390は、流路350aの底部350bから流路350aの開いた上部350cへと流路350aの両側の側壁の間に延在する。
【0029】
図示された実施例では、各突部390は、流路350aに沿って長さの関数として断面積A3が変化する。作動時には、液体電解質22が流路350aを通って流れ、突部390に遭遇する間に、液体電解質22の流れ70は、突部390を越えて、隣接する多孔質電極62内へと積極的に押しやられる。従って、各突部390は、液体電解質22を多孔質電極62内へと積極的に押しやるように液体電解質22の局所的圧力を効果的に増加させる。突部390間の谷部も、液体電解質22が多孔質電極62から流路350a内へと戻るように、局所的圧力を同様に効果的に低下させる。
【0030】
図5の5Bは、流路350aおよび突部390の上面図を示す。この実施例では、各突部390は、傾斜した側壁390a、390bを備えており、傾斜した側壁390a、390bは、流路350aの底部350bの平面に関して横方向に傾斜している。傾斜した側壁390a、390bは、上面390cで終わっている。従って、流れている液体電解質22は最初に、横方向に傾斜した側壁390aに遭遇し、側壁390aは、上部390cを越える最大圧力まで徐々に液体電解質22の圧力を増加させる。同様に、第2の横方向に傾斜した側壁390bは、底部350bまで流れている液体電解質22の圧力を徐々に低下させる。
【0031】
図6は、蛇行流路配置496を有するバイポーラプレート450を示しており、蛇行流路配置496は、液体電解質22の流れの少なくとも一部を隣接する多孔質電極62内へと積極的に押しやる。この場合、多孔質電極を通る流れの駆動力は、蛇行配置に起因して共通の入口から異なる距離にある隣接する流路間の圧力差に起因する。蛇行流路配置496は、第1の流路454と、上述したようにリブ(図示せず)によって隔てられた隣接する第2の流路456と、を含む、複数の流路450aを備える。流路450aは、X方向に延在する部分と、バイポーラプレート450に亘ってY方向に行きつ戻りつ延在する別の部分と、を備える。より少ない流路を備える蛇行配置は、電極を通る、より強制された流れを促進するが、極端な場合は、単一の蛇行流路である。代替として、セルは、各流路がプレートの限定されたXおよびY領域(図示せず)を横断する複数の蛇行流路を組み込むことができる。
【0032】
図7は、流路550aの流路配置596を有する別の実施例のバイポーラプレート550を示す。この実施例では、流路550aは、流路入口580と流路出口582との間に直線的に延在する。個々の流路550aは、図3A図3Bに示すようにテーパが付いているか、または、代替として、図5の5A、5Bに示すように突部390を備える。これらの流路は、図3A図3Bに示すような流路深さの代わり流路幅が変化するのを除き、図3A図3Bに類似した仕方でテーパが付けられることもできる。
【0033】
図8は、流路650aを有する別の実施例のバイポーラプレート650の一部を示し、流路650aは、バイポーラプレート650内のそのような複数の流路の典型である。この実施例では、流路650aは、均一な断面積を有しており、先に説明したように、流路入口と流路出口との間に延在する。流路650aはまた、流路650aの両側の側壁の間に延在する幅寸法Wと、底部650bと開いた上部650cとの間に延在する深さ寸法Dと、を有する。幅寸法Wおよび深さ寸法Dは、液体電解質22の流れを隣接する多孔質電極62内へと積極的に押しやるように選択される。例えば、幅寸法Wおよび深さ寸法Dは、所定のW:Dの比に収まるように選択される。一実施例では、比W:Dは、1.5:1〜3:1である。与えられた比によって、流路650aは、深くなっているよりは幅が広くなっている。従って、隣接する多孔質電極62は、流路650a内へ「テント張り」される傾向がある。流路650a内への多孔質電極62のテント張りによって、流路650aの空いた容積が減少し、それによって、液体電解質22の圧力が増加する。増加した圧力は、液体電解質を多孔質電極62内へと流れるように積極的に押しやる。
【0034】
例示した実施例には特徴の組み合わせが示されているとはいえ、本開示のさまざまな実施例の利益を実現するためには、これらの特徴の全てを組み合わせる必要はない。すなわち、本開示の実施例に従って設計されるシステムは、図面のうちのいずれか1つに示された特徴の全て、または図面に概略的に示された部分の全てを必ずしも備える必要はない。さらに、例示的な一実施例の選択された特徴は、他の例示的な実施例の選択された特徴と組み合わされることができる。
【0035】
上記の説明は、本質的に限定ではなく例示である。本開示の本質から必ずしも逸脱しない、開示の実施例に対する変更および修正が、当業者には明らかとなり得る。本開示に与えられる法的保護範囲は、添付の特許請求の範囲を検討することでのみ決定可能である。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8