特許第5964992号(P5964992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

特許5964992様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局
<>
  • 特許5964992-様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局 図000004
  • 特許5964992-様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局 図000005
  • 特許5964992-様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局 図000006
  • 特許5964992-様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964992
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法およびそのための基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20160721BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160721BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20160721BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20160721BHJP
【FI】
   H04W72/12 110
   H04W72/04 150
   H04W72/08
   H04W88/08
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-555988(P2014-555988)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公表番号】特表2015-511456(P2015-511456A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2013050901
(87)【国際公開番号】WO2013117406
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】12305139.3
(32)【優先日】2012年2月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】アイディン,オスマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティン,ステファン
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−057757(JP,A)
【文献】 特表2009−505573(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/039211(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケジューリング・ユニットを使用して様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末(UE11〜UE24)に対して無線リソースをスケジューリングするための方法であって、
前記スケジューリング・ユニットは、前記様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布(s)と、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループット(Tij)とに基づいて、前記無線リソースをスケジューリングするための前記様々なネットワーク・オペレータの前記ユーザ端末(UE11〜UE24)についての重みパラメータを決定し、
前記スケジューリング・ユニットは、前記重みパラメータに基づいて、前記様々なネットワーク・オペレータの前記ユーザ端末(UE11〜UE24)に対して前記無線リソースをスケジューリングする、方法。
【請求項2】
前記スケジューリング・ユニットは、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとの使用された無線リソースに基づいて、前記重みパラメータを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スケジューリング・ユニットは、ユーザ端末ごとの合意されたサービス品質または達成されたサービス品質に基づいて、前記重みパラメータを決定する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スケジューリング・ユニットは、ユーザ端末ごとの無線リンク品質(Rij)に基づいて、前記重みパラメータを決定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの前記所定の分布(s)は、前記様々なネットワーク・オペレータの前記ユーザ端末についての合意されたサービス品質に基づいて、所定の間隔の中からの値に設定される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対する前記無線リソースの前記スケジューリングは、単一のスケジューリング・ステップで実行される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1のスケジューリング・ステップにおいて、前記無線リソースは、前記様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの前記所定の分布(s)に基づいて、前記様々なネットワーク・オペレータに対してスケジューリングされ、第2のスケジューリング・ステップにおいて、前記無線リソースは、前記時間間隔におけるユーザ端末ごとの前記データ・スループットに基づいて、前記ユーザ端末(UE11〜UE24)対してネットワーク・オペレータごとにスケジューリングされる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスケジューリング・ステップについては、ラウンド・ロビン・スケジューリングが使用され、前記第2のスケジューリング・ステップについては、比例した公平なスケジューリングが使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スケジューリング・ユニットは、比例した公平なスケジューリング・ユニットである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記データ・スループットは、忘却係数に基づいて決定される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記データ・スループットは、ユーザ端末ごとの使用された無線リソースおよびユーザ端末ごとの達成されたサービス品質のグループのうちの少なくとも1つを用いて重み付けされる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
いくつかのスケジューリング間隔のタイム・スケールにおける前記無線リソースの実行されたスケジューリングについての情報は、前記重みパラメータの決定のために前記スケジューリング・ユニットによって使用される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記無線リソースの実行されたスケジューリングについての前記情報は、前記様々なネットワーク・オペレータに対して送信され、課金のために使用される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記スケジューリングは、インターネット・プロトコル・レイヤ、メディア・アクセス制御レイヤ、および物理レイヤのグループのうちの少なくとも1つにおいて実行される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末(UE11〜UE24)に対して無線リソースをスケジューリングするためのスケジューリング・ユニットを備える基地局であって、
前記スケジューリング・ユニットは、前記様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布(s)と、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループット(Tij)とに基づいて、前記無線リソースをスケジューリングするための前記様々なネットワーク・オペレータの前記ユーザ端末(UE11〜UE24)についての重みパラメータを決定するように適合されており、
前記スケジューリング・ユニットは、前記重みパラメータに基づいて、前記様々なネットワーク・オペレータの前記ユーザ端末(UE11〜UE24)に対して前記無線リソースをスケジューリングするように適合されている、
基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジューリング・ユニットを使用して様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法、および前記方法を実行するように適合された基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシップ・プロジェクトのロング・ターム・エボリューション(3GPP LTE:Third Generation Partnership Project Long Term Evolution)などのワイヤレス通信ネットワークにおいては、効率を改善し、コストを低減させるために、様々なネットワーク・オペレータ間でリソースを共用することが、ますます人気があるものになっている。リソースの共用は、様々なやり方で達成することができる。1つの可能性は、例えば、基地局またはバックホール・ネットワークとして、ワイヤレス通信ネットワークのインフラストラクチャの一部分を共用することである。さらなる一方法は、送信スペクトルを共用することである。もちろん、これらの可能性の両方もまた、組み合わせられる可能性がある。
【0003】
基地局仮想化とも呼ばれる、様々なネットワーク・オペレータ間で基地局を共用する原理は、1つの物理的基地局が、2つ以上の仮想基地局をホストすることである。中央演算処理装置(CPU:central processing unit)、メモリ、または無線ネットワーク・インターフェースおよびバックホール・ネットワーク・インターフェースのような基地局の内部構成要素は、仮想化される必要があり、または仮想化をサポートする必要がある。あらゆるネットワーク・オペレータは、1つの仮想基地局を所有しており、この仮想基地局においてそれ自体の動作ソフトウェアを実行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共同の、すなわち、仮想化された基地局の実現は、例えば、インターネット・プロトコル(IP:Internet Protocol)レイヤ、メディア・アクセス制御(MAC:Media Access Control)レイヤ、または物理レイヤのような、様々ないわゆるOSI−レイヤ(OSI=開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnections))において構想され得る。
【0005】
しかしながら、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための任意の方法により、ネットワーク・オペレータ間のある程度の公平性が保証されるべきであり、また様々なネットワーク・オペレータ間で無線リソースを共用することによる遅延はほんのわずかしか導入すべきではない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して、例えば、いわゆるリソース要素またはリソース・ブロックのような無線リソースをスケジューリングするための方法を提案することであり、これは、スケジューリング手順に対して大幅な遅延を導入することなく、ネットワーク・オペレータ間のある程度の公平性を提示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本的なアイデアは、スケジューリング・ユニットが、様々なネットワーク・オペレータの間の無線リソースの所定の分布と、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループットとに基づいて、無線リソースをスケジューリングするための様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末についての重みパラメータを決定すること、ならびにスケジューリング・ユニットが、前記重みパラメータに基づいて、ユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングすることである。
【0008】
本発明の一実施形態においては、物理レイヤ共用のために、少なくとも共用されたまたは共同で使用されたMACレイヤの場合には、MACスケジューリング・ユニットは、例えば、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末についてのスケジューリングされたデータ・レート、および関連した無線リンク品質のような、スケジューリングの追跡可能な性能パラメータと、その結果とを追跡し、またはそれらの性能パラメータと、その結果とが提供される必要がある。
【0009】
様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするためのスケジューリング・ユニットについての上記で述べられた要件を満たすために、2つの態様が、本発明の実施形態に従って対象として含められる。第1の態様は、最先端の技術によるスケジューラ・アーキテクチャが、合意された規約に従って、すなわち、様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布に従って、各ネットワーク・オペレータについてスケジューリング・パラメータを調整する新しい適応ブロックによって拡張されることである。第2の態様は、どのようにして新しいオペレータ特有のスケジューリング・パラメータが、最先端の技術によるスケジューリング・アルゴリズムへと組み込まれるかを説明することである。
【0010】
したがって、本発明の実施形態によれば、最先端の技術によるユーザ・ベースをスケジューリングするための技法が、複数のネットワーク・オペレータをスケジューリングするために、新しい原理に変換される。この目的を達成するために、様々なネットワーク・オペレータのための共用された基地局におけるMACスケジューリング・ユニットの以下の新しい規則および概念が、導入される。
【0011】
MACスケジューリング・ユニットは、例えば、以下のパラメータによって制御され得る:
・ 例えば、様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの分布の表示のような、基地局を共用する様々なネットワーク・オペレータに専用のスケジューリング・ユニットについての新しい静的入力パラメータ、
・ 例えば、無線リソースをスケジューリングするための重みパラメータを調整するユーザ端末ごとのデータ・スループットのような、スケジューリング・ユニットの新しい入力パラメータを調整するスケジューリング・ユニットの新しい出力パラメータ、
・ または単一のスケジューリングするステップにおける両方の原理、すなわち、静的入力パラメータとフィードバックを有する動的入力パラメータとの組合せ。
【0012】
本発明の一実施形態においては、共用されたスケジューリング・ユニットは、ユーザ端末ごとに、したがってネットワーク・オペレータごとにサービス品質(QoS:quality of service)を追跡し、これは、基地局の使用についてのネットワーク・オペレータについての課金に影響を及ぼすことになる。
【0013】
したがって、本発明の目的は、スケジューリング・ユニットを使用して様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための方法によって達成され、ここで、
・ スケジューリング・ユニットは、様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布と、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループットとに基づいて、無線リソースをスケジューリングするための様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末についての重みパラメータを決定し、
・ スケジューリング・ユニットは、前記重みパラメータに基づいて、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングする。
【0014】
本発明の目的は、さらに、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするためのスケジューリング・ユニットを備える基地局によって達成され、ここで、
・ スケジューリング・ユニットは、様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布と、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループットとに基づいて、無線リソースをスケジューリングするための様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末についての重みパラメータを決定するように適合されており、
・ スケジューリング・ユニットは、前記重みパラメータに基づいて、様々なネットワーク・オペレータに対して無線リソースをスケジューリングするように適合されている。
【0015】
本発明は、以下では3GPP LTEのフレームワークの範囲内で説明されているが、しかしながら、本発明は、3GPP LTEまたはその強化だけには限定されておらず、そうではなくて、例えば、WiMAXネットワーク(WiMAX=マイクロ波アクセスのためのワールドワイド・インターオペラビリティ(Worldwide Interoperability for Microwave Access))のようなスケジューリング原理を適用する他のネットワークにおいても原理的に適用され得るので、以下では、LTEにおいて使用される用語eノードB(eNodeB)の代わりに、より一般的な用語の基地局が、使用される。
【0016】
本発明のさらなる展開形態は、従属請求項および以下の説明から得られる可能性がある。
【0017】
以下では、本発明は、さらに添付の図面を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明が実施され得る通信ネットワークを概略的に示す図である。
図2】本発明が実施され得るユーザ端末および基地局の構造を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるMACスケジューリング・ユニットの入力パラメータおよび出力パラメータのフローを概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態による共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューリング・ユニットを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明が実施され得る通信ネットワークの一例として、標準3GPP LTEによる通信ネットワークCNを示すものである。
【0020】
前記通信ネットワークCNは、基地局BS1、…、BS3と、ユーザ端末UE11〜UE24と、サービング・ゲートウェイSGW(serving gateway)と、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGW(packet data network gateway)と、モビリティ管理エンティティMME(mobility management entity)とを備える。
【0021】
ユーザ端末UE11〜UE13およびUE21〜UE22は、無線接続を経由して基地局BS1に接続され、ユーザ端末UE14およびUE23は、無線接続を経由して基地局BS2に接続され、ユーザ端末UE24は、無線接続を経由して基地局BS3に接続される。LTEの将来の進化においては、ユーザ端末UE11〜UE14およびUE21〜UE24のおのおのは、無線接続を経由して複数の前記基地局BS1、…、BS3に接続される可能性もある。
【0022】
基地局BS1、…、BS3は、いわゆるS1インターフェースを経由して、順に、サービング・ゲートウェイSGWに、およびモビリティ管理エンティティMMEに、すなわち進化型パケット・コア(EPC:evolved packet core)に接続される。
【0023】
基地局BS1〜BS3は、いわゆるX2インターフェースを経由して、互いの間で接続される。
【0024】
サービング・ゲートウェイSGWは、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWに接続され、このパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWは、ひいては、外部IPネットワークIPNに接続される。
【0025】
S1インターフェースは、基地局BS1、…、BS3のうちの1つと、すなわち、この例においてはeノードBと、進化型パケット・コア(EPC)との間の標準化されたインターフェースである。S1インターフェースは、2つの特徴を、すなわち、基地局BS1、…、BS3のうちの1つとモビリティ管理エンティティMMEとの間の信号メッセージの交換のためのS1−MMEと、基地局BS1〜BS3のうちの1つとサービング・ゲートウェイSGWとの間のユーザ・データグラムの移送のためのS1−Uとを有する。
【0026】
X2インターフェースは、主として、ハンドオーバ中にユーザ・プレーン信号と制御プレーン信号とを転送するために3GPP LTE規格において追加される。
【0027】
サービング・ゲートウェイSGWは、基地局BS1、…、BS3と、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWとの間のIPユーザ・データのルーティングを実行する。さらに、サービング・ゲートウェイSGWは、様々な基地局間、または様々な3GPPアクセス・ネットワーク間のいずれかのハンドオーバ中にモバイル・アンカー・ポイントとしての機能を果たす。
【0028】
パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWは、外部IPネットワークIPNに対するインターフェースを表しており、ユーザ端末と、それぞれのサービング基地局BS1、…、BS3との間に確立されるいわゆるEPSベアラ(EPS=進化型パケット・システム(Evolved Packet System))を終了させる。
【0029】
モビリティ管理エンティティMMEは、加入者管理とセッション管理とのタスクを実行し、また様々なアクセス・ネットワーク間のハンドオーバ中にモビリティ管理も実行する。
【0030】
図2は、本発明が、実施され得るユーザ端末UEおよび基地局BSの構造を概略的に示すものである。
【0031】
基地局BSは、例として、3つのモデム・ユニット・ボードMU1〜MU3と、制御ユニット・ボードCU1とを備え、この制御ユニット・ボードCU1は、ひいては、媒体依存性アダプタMDAを備える。
【0032】
3つのモデム・ユニット・ボードMU1〜MU3は、制御ユニット・ボードCU1に接続され、またいわゆる共通公共無線インターフェース(CPRI:Common Public Radio Interface)を経由して、それぞれのリモート無線ヘッドRRH1、RRH2、またはRRH3に接続される。
【0033】
リモート無線ヘッドRRH1、RRH2,およびRRH3のおのおのは、無線インターフェースを経由したデータの送信および受信のために、例として、2つのリモート無線ヘッド・アンテナRRHA1およびRRHA2に接続される。前記2つのリモート無線ヘッド・アンテナRRHA1およびRRHA2は、簡単にするために図2においてはリモート無線ヘッドRRH1についてしか示されていない。
【0034】
媒体依存性アダプタMDAは、モビリティ管理エンティティMMEに接続され、またサービング・ゲートウェイSGWに接続され、したがってパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWに接続され、このパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWは、ひいては、外部IPネットワークIPNに接続される。
【0035】
ユーザ端末UEは、例として、2つのユーザ端末アンテナUEA1およびUEA2と、モデム・ユニット・ボードMU4と、制御ユニット・ボードCU2と、インターフェースINTとを備える。
【0036】
2つのユーザ端末アンテナUEA1およびUEA2は、モデム・ユニット・ボードMU4に接続される。モデム・ユニット・ボードMU4は、制御ユニット・ボードCU2に接続され、この制御ユニット・ボードCU2は、ひいては、インターフェースINTに接続される。
【0037】
モデム・ユニット・ボードMU1〜MU4と、制御ユニット・ボードCU1、CU2とは、以下で説明されるタスクを実行することができるようにするために、例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Arrays)と、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processors)と、マイクロプロセッサと、スイッチと、例えば、ダブル・データ・レート・シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DDR−SDRAM:Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memories)のようなメモリとを備えることができる。
【0038】
リモート無線ヘッドRRH1、RRH2、およびRRH3は、いわゆる無線機器、例えば、デルタ・シグマ変調器(DSM:delta−sigma modulators)およびスイッチ・モード増幅器のような変調器および増幅器を備える。
【0039】
ダウンリンクにおいては、外部IPネットワークIPNから受信されるIPデータは、EPSベアラにおいて、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDNGWからサービング・ゲートウェイSGWを経由して基地局BSの媒体依存性アダプタMDAへと送信される。媒体依存性アダプタMDAは、例えば、ファイバ接続または電気接続のような様々な媒体に対する接続性を可能にする。
【0040】
制御ユニット・ボードCU1は、レイヤ3において、すなわち、測定およびセル再選択、ハンドオーバ、RRCのセキュリティおよび完全性など、無線リソース制御(RRC:radio resource control)レイヤにおいてタスクを実行する。
【0041】
さらに、制御ユニット・ボードCU1は、運用および保守のためのタスクを実行し、S1インターフェースと、X2インターフェースと、共通公共無線インターフェースとを制御する。
【0042】
制御ユニット・ボードCU1は、さらなる処理のために、サービング・ゲートウェイSGWから受信されるIPデータをモデム・ユニット・ボードMU1〜MU3に対して送信する。
【0043】
3つのモデム・ユニット・ボードMU1〜MU3は、レイヤ2において、すなわち、例えば、ヘッダの圧縮および暗号化についての役割を担っているPDCPレイヤ(PDCP=パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(Packet Data Convergence Protocol))において、例えば、セグメンテーションと自動反復要求(ARQ:Automatic Repeat Request)とについての役割を担っているRLCレイヤ(RLC=無線リンク制御(Radio Link Control))において、またMAC多重化とハイブリッド自動反復要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat Request)とについての役割を担っているMACレイヤ(MAC=メディア・アクセス制御)においてデータ処理を実行する。
【0044】
さらに、3つのモデム・ユニット・ボードMU1〜MU3は、物理レイヤにおけるデータ処理を、すなわち、符号化と、変調と、アンテナおよびリソース・ブロックのマッピングとを実行する。
【0045】
符号化および変調されたデータは、アンテナおよびリソース・ブロックに対してマッピングされ、かつ送信シンボルとして、モデム・ユニット・ボードMU1〜MU3から共通公共無線インターフェースを介してそれぞれのリモート無線ヘッドRRH1、RRH2、またはRRH3へと送信され、エア・インターフェースを介する送信のために、それぞれのリモート無線ヘッド・アンテナRRHA1、RRHA2へと送信される。
【0046】
共通公共無線インターフェース(CPRI)は、分布型アーキテクチャの使用を可能にしており、この分布型アーキテクチャでは、いわゆる無線機器制御を含む基地局BSは、好ましくは、CPRIデータを搬送する無損失ファイバ・リンクを経由して、リモート無線ヘッドRRH1、RRH2、およびRRH3に接続される。このアーキテクチャは、例えば、増幅器のようないわゆる無線機器を含むリモート無線ヘッドRRH1、RRH2、およびRRH3だけを、環境的に厳しいロケーションに置けばよいので、サービス・プロバイダについてのコストを低減させる。基地局BSは、あまり厳しくないロケーションに中央に位置することができ、ここでは、設置面積、気候、および電力の使用可能性がより簡単に管理される。
【0047】
ユーザ端末アンテナUEA1、UEA2は、送信シンボルを受信し、受信データをモデム・ユニット・ボードMU4に対して供給する。
【0048】
モデム・ユニット・ボードMU4は、物理レイヤにおけるデータ処理を、すなわち、アンテナおよびリソース・ブロックのデマッピングと、復調と、復号化とを実行する。
【0049】
さらに、モデム・ユニット・ボードMU4は、レイヤ2において、すなわち、ハイブリッド自動反復要求(HARQ)についての、およびMAC逆多重化についての役割を担っているMACレイヤ(MAC=メディア・アクセス制御)において、例えば、再アセンブリと、自動反復要求(ARQ)とについての役割を担っているRLCレイヤ(RLC=無線リンク制御)において、また例えば、暗号解読と、ヘッダ圧縮とについての役割を担っているPDCPレイヤ(PDCP=パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル)においてデータ処理を実行する。
【0050】
モデム・ユニット・ボードMU4の上での処理は、制御ユニット・ボードCU2に対して送信されるIPデータをもたらし、この制御ユニット・ボードCU2は、レイヤ3において、すなわち、無線リソース制御(RRC)レイヤにおいて、測定およびセル再選択、ハンドオーバ、RRCのセキュリティおよび完全性などのタスクを実行する。
【0051】
IPデータは、出力、およびユーザとの相互作用のための制御ユニット・ボードCU2からそれぞれのインターフェースINTへと送信される。
【0052】
アップリンクにおいては、データ送信は、アナログ的なやり方で逆方向に、ユーザ端末UEから外部IPネットワークIPNに対して実行される。
【0053】
その後に、複数のネットワーク・オペレータをスケジューリングするための共用されたスケジューリング・ユニットを有する仮想基地局として上記で説明されるような基地局BSの使用は、本発明の実施形態に従って説明される。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態によるMACスケジューリング・ユニットの入力パラメータと出力パラメータとのフローを概略的に示すものである。
【0055】
少なくとも2つのネットワーク・オペレータについてのMACスケジューリングを実行するための前記方法は、例えば、図2に示され、上記で説明されるように、モデム・ユニット・ボードMU1〜MU3のうちの1つにおいて実施され得る。
【0056】
基本的な入力パラメータとして、様々なユーザ端末についてのサービス品質(QoS)要件を使用して、スケジューリング・パラメータを決定する。
【0057】
ただ1つのネットワーク・オペレータについての最先端の技術による無線リソースについてのスケジューリング方法においては、ユーザ端末の前記QoS要件をステップ1において使用して、スケジューリング・パラメータを決定し、これらのスケジューリング・パラメータは、ステップ2においてMACスケジューリング・ユニットに対して送信される。MACスケジューリング・ユニットにおいては、例えば、ユーザ端末の必要とされる送信遅延または必要とされるデータ・スループットとしての前記QoS要件は、ユーザ端末の現在の達成されている遅延およびデータ・スループットと比較され、ユーザ端末は、すべてのユーザ端末について、QoS要件が、満たされるようにしてスケジューリングされることが好ましい。
【0058】
複数のネットワーク・オペレータのための、本発明の一実施形態による無線リソースについてのスケジューリング方法においては、ユーザ端末の前記QoS要件は、ステップ3において処理ブロックへと送信され、この処理ブロックにおいては、MACスケジューリング・ユニットについてのスケジューリング・パラメータは、記憶され、または決定される。実施形態の一代替案においては、ユーザ端末の前記QoS要件を使用して、各オペレータiのユーザ端末についての動的スケジューリング・パラメータdを決定し、この動的スケジューリング・パラメータdは、1つのスケジューリング間隔から別のスケジューリング間隔へと変化する可能性がある。前記動的スケジューリング・パラメータdは、ステップ4において、MACスケジューリング・ユニットに対して送信される。
【0059】
本発明の実施形態によれば、変化しないか、または動的スケジューリング・パラメータdと比較してより長いタイム・スケールにおいて変化するだけであるかのいずれかである静的スケジューリング・パラメータsはまた、ステップ5において、MACスケジューリング・ユニットへと送信される。
【0060】
MACスケジューリング・ユニットは、動的パラメータdと、静的パラメータsとの両方を使用して、ユーザ端末に対して無線リソースをスケジューリングするための様々なオペレータのユーザ端末についての重みパラメータを決定する。したがって、各ユーザ端末についての、様々なRLCバッファの優先処理と、移送フォーマット選択、すなわち、移送ブロック・サイズの選択と、変調スキームと、アンテナ・マッピングとは、MACスケジューリング・ユニットによって実行され、それぞれのコマンドは、ステップ6において、物理レイヤに対して送信される。物理レイヤにおいて、符号化と、変調と、アンテナ・マッピングと、リソース・ブロックまたは要素の上でのマッピングと、スケジューリングされたデータのエア・インターフェースを介する送信とは、ステップ8において実行される。
【0061】
物理レイヤは、使用可能な物理レイヤ・リソースについての情報をステップ9において、MACスケジューリング・ユニットに対して供給し、このMACスケジューリング・ユニットは、使用可能な物理レイヤ・リソース、すなわち、無線リソースを上記で説明されるように、ユーザ端末対してスケジューリングする。
【0062】
本発明のさらなる一実施形態においては、ユーザ端末ごとのデータ・レート、またはネットワーク・オペレータごとのデータ・レートなど、物理レイヤ性能値は、いくつかのスケジューリング・サイクルなど、より長いタイム・スケールにおいて決定される。前記物理レイヤ性能値は、ステップ10において、スケジューリング・パラメータの決定のためのスケジューリング方法についての入力パラメータとして供給されて、ネットワーク・オペレータの間の長期間の公平性および安定性を保証する。例えば、そのようなより長いタイム・スケールの上の第1のネットワーク・オペレータについてのデータ・レートが、合意されたデータ・レートよりも低く、かつ他のネットワーク・オペレータについてのデータ・レートが、それらの合意されたデータ・レートよりも上にある場合、そのときには第1のネットワーク・オペレータのユーザ端末は、より高い優先順位でスケジューリングされる。さらに、前記物理レイヤ性能値は、基地局の使用についての課金のために使用され、様々なネットワーク・オペレータに対して送信される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末に対する無線リソースのスケジューリングは、2つのスケジューリング・ステップにおいてMACスケジューリング・ユニットの中で実行される。第1のスケジューリング・ステップにおいて、無線リソースは、様々なネットワーク・オペレータ間の無線リソースの所定の分布に基づいて様々なネットワーク・オペレータに対してスケジューリングされ、第2のスケジューリング・ステップにおいて、無線リソースは、ある時間間隔におけるユーザ端末ごとのデータ・スループットに基づいて、ユーザ端末に対してネットワーク・オペレータごとにスケジューリングされる。
【0064】
様々なネットワーク・オペレータi間の無線リソースの分布を示す静的パラメータsを使用して、様々なネットワーク・オペレータiに対して無線リソースをスケジューリングする。これらの静的パラメータsは、各ネットワーク・オペレータごとに、トランスペアレントにそれらのユーザ端末についての発生の頻度を提供し、以下で説明されるように、例えば、ラウンド・ロビン・スケジューラ、または比例した公平なスケジューラの形で使用され得る。
【0065】
スケジューリングのためのいわゆるラウンド・ロビン・スケジューラの使用:
合意されたフレーム規約に従って、ネットワーク・オペレータの間の無線リソースの使用が、均等に分布している場合、それらのうちのおのおのは、値s=1を獲得し、すなわち、2つのネットワーク・オペレータの場合では、1つのラウンド・ロビン・ループは、このように、すなわち、ループ1:オペレータ1、オペレータ2、ループ2:オペレータ1、オペレータ2、…、のように見えることになり、したがって、各ネットワーク・オペレータは、交互にスケジューリングされることになる。
【0066】
無線リソースの使用が、均等でないやり方で調整され、例えば、第1のネットワーク・オペレータについてのリソースの使用レートが2/3であり、かつ第2のネットワーク・オペレータについてのリソースの使用レートが1/3である場合、第1のネットワーク・オペレータは、値s=2を獲得し、第2のネットワーク・オペレータは、値s=1を獲得する。そのようにして、第1のオペレータのユーザ端末は、ラウンド・ロビン・ループの中で2回表現され、すなわち、1つのラウンド・ロビン・ループは、このように、すなわち、ループ1:オペレータ1、オペレータ1、オペレータ2、ループ2:オペレータ1、オペレータ1、オペレータ2…のように見えることになる。
【0067】
いわゆる比例した公平なスケジューラの使用:
古典的な比例した公平なスケジューリングは、複数のネットワーク・オペレータのスケジューリングの場合に変換される。各オペレータiについての比例した公平な重みパラメータwは、静的パラメータsを用いて拡張されて、複数のネットワーク・オペレータの場合をサポートする。静的パラメータsは、各ネットワーク・オペレータについて特有のwの分子の中に組み入れられる。
=(s・R)/T i=1、2(オペレータ1、オペレータ2) (1)
【0068】
この場合におけるパラメータRは、ネットワーク・オペレータiのユーザ端末によって平均され、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均された無線リンク品質を示している。
【0069】
この場合におけるパラメータTは、ネットワーク・オペレータiのユーザ端末によって平均され、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均されたデータ・スループットを示している。
【0070】
各ネットワーク・オペレータiについての静的パラメータsは、ネットワーク・オペレータの間の合意された規約による、無線リソースの分布を反映しており、この無線リソースの分布は、物理的移送ブロックについての効果的に使用された無線リソースのようなモバイル通信ネットワークのダイナミクスとは独立している。
【0071】
本実施形態の代替案においては、QoSの影響はまた、静的パラメータsの調整のために使用され得る:
1つのネットワーク・オペレータについての静的パラメータsは、ある与えられた間隔の中で様々な値に設定されて、特定のネットワーク・オペレータについてのユーザ端末の合意されたQoSの違いを反映することができる。パラメータsは、次式
【数1】
のように、間隔s=[0,1]の範囲内で選択される。
【0072】
この制約条件の範囲内で、それらの値は、ネットワーク・オペレータと、リソース所有者との間のビジネス合意に従って定義され、このリソース所有者は、基地局のハードウェアとスペクトルとをネットワーク・オペレータに対して貸し出しており、例えば、s=0.3、およびs=0.7である。
【0073】
要約すると、第1のスケジューリング・ステップにおいては、無線リソースは、例えば、ラウンド・ロビン・スケジューラまたは比例した公平なスケジューラを使用して、静的パラメータsに基づいて様々なネットワーク・オペレータに対してスケジューリングされる。
【0074】
次に、無線リソースは、第2のスケジューリング・ステップにおいて、様々なネットワーク・オペレータ間で分散されると、ユーザ端末に対してネットワーク・オペレータごとにスケジューリングされる。
【0075】
第2のスケジューリング・ステップにおける前記スケジューリングは、最先端の技術による比例した公平なスケジューラを用いて、すなわち、各ユーザ端末jについての重みパラメータw、すなわち、
=R/T (2)
を用いて実行され得、Rは、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均される、ユーザ端末jの無線リンク品質であり、Tは、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均されるデータ・スループットである。
【0076】
したがって、第2のスケジューリング・ステップにおいては、より高い重みパラメータwを有するユーザ端末が、最初にスケジューリングされる。
【0077】
第2のスケジューリング・ステップについての代替的な一実施形態においては、ユーザ端末jの比例した公平な重みパラメータwは、動的パラメータを用いて拡張される。動的パラメータdは、
=R/(T(d)) (3)
に従って、各ネットワーク・オペレータについて特有の重みパラメータwの分母へと組み込まれる可能性がある。
【0078】
代替的な実装形態は、分子の中にdの逆数を含むこともある。
【0079】
動的パラメータdは、各ネットワーク・オペレータについてのユーザ端末ごとの平均された使用された無線リソースに従って、無線リソースの分布を反映する。そのようにして、各ネットワーク・オペレータについてのユーザ端末のための効果的な使用された無線リソースのようなモバイル通信ネットワークのダイナミクスは、比例した公平なスケジューラにおいて、考慮される。
【0080】
動的パラメータdは、例えば、
=k・U/Uges (4)
ここで、kは、定数係数
に従って、全般的に使用可能な無線リソースUgesによって正規化された1つまたは複数のスケジューリング・サイクルUによって平均される、ユーザ端末ごとの使用された無線リソースに基づいて、決定され得る。
【0081】
動的パラメータdは、代わりに、または追加して、特定のネットワーク・オペレータについてのユーザ端末のQoSの違いに基づいて決定され得、すなわち、ユーザ端末のより高いQoSは、例えば、より低い動的パラメータdをもたらす。特定のネットワーク・オペレータについてのユーザ端末の前記のQoSの違いは、例えば、規約によって合意される所定の値、または達成された、すなわち、測定された値とすることができる。動的パラメータdは、ユーザの現在のQoS要件に従ってランタイム中に適合されている。しかしながら、このパラメータの下限および上限は、ネットワーク・オペレータと、リソース所有者との間のビジネス規約に従って決定され得る。
【0082】
比例した公平なスケジューラの場合には、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均されるデータ・スループットであるようなTは、スケジューリングされたユーザ端末についての忘却係数bを用いて、再帰的に決定され得、この忘却係数は、各ネットワーク・オペレータについてのユーザ端末ごとに特に適合されており、またこの忘却係数は、
(t,d)=(1−b(d))・T(t−1)+b(d)・R(t−1) (5)
に従って、動的パラメータdに依存しており、式中でR(t−1)は、タイム・スロットt−1中にチャネルによってサポートされるような瞬間的なデータ・レートを表している。忘却係数bは、より早期の時点、またはもっと後の時点において任意のユーザ端末jを再スケジューリングする実行手段を提供する。
【0083】
一例として、本発明者等は、1つのユーザ端末と、瞬間的なデータ・レートR(t)=R(t−1)=1と平均スループットT(t)=0.5とを有する2つのオペレータとを仮定している。動的重みパラメータは、オペレータ1については、d=0.25であり、オペレータ2については、d=0.75である。簡単にするためにd=b(d)を仮定することは、オペレータ1については、T=0.625およびw=1.6をもたらし、オペレータ2については、T=0.875およびw=1.143をもたらす。動的パラメータdは、式(3)の分母に影響を及ぼすので、より低いdを有するオペレータは、より高い重みwを受信する。したがって、オペレータ1は、次のサイクルにおいてユーザ1をスケジューリングする優先順位を受信する。
【0084】
上記で説明された実施形態の代替案においては、非線形関数fによる項Tの処理は、上記で説明された動的パラメータdと、例えば、いわゆるスケジューラ特有のパラメータαのような、さらなるパラメータとに依存する。この関数は、
=f(T,α,d) (8)
のように、定義される。
【0085】
上記で説明された実施形態においては、第1のスケジューリング・ステップにおいて、無線リソースは、様々なネットワーク・オペレータに対してスケジューリングされ、第2のスケジューリング・ステップにおいて、無線リソースは、ユーザ端末対してネットワーク・オペレータごとにスケジューリングされる。
【0086】
以下では、複数のネットワーク・オペレータのユーザ端末に合わせた無線リソースのスケジューリングが、単一のスケジューリング・ステップにおいて実行され、すなわち、一度にすべてのネットワーク・オペレータについてのユーザ端末のすべての組において動作する、共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューリングが実行される本発明の実施形態が説明されている。
【0087】
このスケジューリング原理の場合に、図4は、I個のネットワーク・オペレータと、J(I)個のユーザ端末とについての基本設計を示すものである。
【0088】
図4は、本発明の一実施形態による、共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューリング・ユニットを概略的に示すものである。
【0089】
共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューリング・ユニットは、I個のネットワーク・オペレータのおのおのについて待ち行列Qを備える。各待ち行列Qは、j(i)個のユーザ端末のおのおのについてデータ・フローFijを受信し、すなわち、待ち行列は、RLCバッファを表す。
【0090】
前記待ち行列Qのおのおのは、ネットワーク・オペレータ・パラメータ抽出OPE(operator parameter extraction)のための処理ブロックに接続され、この処理ブロックにおいては、I個のネットワーク・オペレータのおのおのについて、j(i)個のユーザ端末のおのおのについてのサービス品質要件qijが、前記データ・フローFijの中から抽出される。
【0091】
さらに、前記待ち行列Qのおのおのは、マルチプレクサを経由して様々なユーザ端末についてのそれぞれの待ち行列Qijに接続される。
【0092】
各ネットワーク・オペレータiの待ち行列Qijは、それぞれのネットワーク・オペレータiのデータ・フローFijをスケジューリングするためのそれぞれのMACスケジューラSに接続される。本実施形態の一代替案においては、様々なネットワーク・オペレータの前記MACスケジューラS1、…、SIは、すべてのI個のネットワーク・オペレータについての単一のMACスケジューラの形で実施され得る。
【0093】
共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPB(scheduler parameterization block)は、以下で詳細に説明されるような様々なネットワーク・オペレータのユーザ端末をスケジューリングするための重みパラメータwijを決定する。したがって、共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPBは、ネットワーク・オペレータ・パラメータ抽出OPEのための処理ブロックからj(i)個のユーザ端末のおのおのについてのサービス品質要件qijを受信し、物理レイヤPHYからj(i)個のユーザ端末のおのおのについての無線リンク品質Rijを受信する。共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPBはまた、いわゆるスケジューラ特有のパラメータαを受信することが好ましい。よく知られている公平性パラメータとして、αは、比例した公平性、すなわち、対数ユーティリティと、最大レートの公平性、すなわち、線形ユーティリティとの間のユーティリティ関数を選択することにより、ネットワーク・オペレータの間の公平性タイプを調整する。この静的公平性パラメータαは、リソース所有者によって指定される。
【0094】
共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPBは、重みパラメータwijの順番に、様々なMACスケジューラS1、…、SIをスケジューリングし、様々なMACスケジューラS1、…、SIは、重みパラメータwijを受信し、ひいては、やはり重みパラメータwijの順番に、様々なj(i)個のユーザ端末をスケジューリングする。
【0095】
本実施形態の一代替案においては、単一のスケジューラだけが、使用される場合に、前記スケジューラは、重みパラメータwijを受信し、すべてのI個のネットワーク・オペレータについて重みパラメータwijの順番に、様々なj(i)個のユーザ端末をスケジューリングする。
【0096】
スケジューリング・サイクルごとに、任意のネットワーク・オペレータi=1、…、Iは、J(i)個のユーザ端末にサービスする必要がある。本発明のこの実施形態においては、ネットワーク・オペレータは、別々にスケジューリングされることはない。その代わりに、ネットワーク・オペレータのスケジューリングは、スケジューリング・パラメータを調整することにより、従来のユーザ端末ベースのスケジューラの範囲内に反映される。これは、ユーザ端末Tごとのデータ・スループットと、動的パラメータdから各オペレータi=1、…、Iのために特有な、また各ユーザ端末j=1、…、J(I)のために特有なパラメータとして、上記で述べられたパラメータを拡張する。
【0097】
特に、Tijは、この場合、1つまたは複数の経過したスケジューリング・サイクルによって平均される任意のネットワーク・オペレータiに関連づけられる任意のユーザjについてのデータ・レートの移動平均であるが、dijは、この場合、任意のネットワーク・オペレータiに関連づけられる任意のユーザ端末jについてTijを算出すべき動的パラメータである。
【0098】
比例した公平なスケジューリング・ユニットの場合には、Tijは、スケジューリングされたユーザ端末についての忘却係数bを用いて再帰的に決定され得、この忘却係数bは、ユーザ端末jごとに、およびネットワーク・オペレータiごとに特に適合されており、またこの忘却係数bは、
ij(t,dij)=(1−bij(dij))・Tij(t−1)+bij(dij)・Rij(t−1) (9)
に従って動的パラメータdijに依存している。
【0099】
ij(dij)=dijが設定される場合に、dijは、任意のネットワーク・オペレータjに、および任意のユーザ端末jに関連づけられる忘却係数である。
【0100】
この場合にも、上記で説明されるように、動的パラメータdijは、ユーザ端末jごとに、およびネットワーク・オペレータiごとに平均された使用された無線リソースに従って、無線リソースの分布を反映する。そのようにして、各ネットワーク・オペレータについてのユーザ端末についての効果的な使用された無線リソースのようなモバイル通信ネットワークのダイナミクスは、比例した公平なスケジューラにおいて考慮される。
【0101】
動的パラメータdijは、例えば、
ij=k・Uij/Uges (10)
ここで、kは、定数係数
に従って、全般的な使用可能な無線リソースUgesによって正規化される1つまたは複数のスケジューリング・サイクルUijによって平均される、ユーザ端末ごとの、およびネットワーク・オペレータごとの使用された無線リソースに基づいて決定され得る。
【0102】
動的パラメータdijは代わりに、または追加して、例えば、特定のネットワーク・オペレータのユーザ端末のQoSの違いに基づいて決定され得、すなわち、ユーザ端末のより高いQoSは、例えば、より低い動的パラメータdijをもたらす。特定のネットワーク・オペレータについてのユーザ端末の前記のQoSの違いは、例えば、規約によって合意される所定の値、または達成された、すなわち、測定された値とすることができる。
【0103】
動的パラメータdijと、データ・スループットTijとを規定すること、およびオペレータiごとのユーザ端末の数J(i)と、各ユーザ端末jと各ネットワーク・オペレータiとについてのサービス品質要件qijとを取得することは、待ち行列の観察を必要とする。図4に示されるように、サービス品質要件qijは、ネットワーク・オペレータ・パラメータ抽出OPEのための処理ブロックによって抽出され、無線リンク品質Rijは、物理レイヤPHYから送信される。例えば、無線リンク品質Rij、すなわち、チャネル安定性、およびサービス契約のような、より高位のレイヤと、物理レイヤPHYとからのパラメータの送信の後に、かつ上記で説明されるように動的パラメータdijを規定した後に、データ・スループットTijは、共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPBにおいて計算され得、ひいては、無線リソースをスケジューリングするための重みパラメータwijが算出される。
【0104】
おのおののネットワーク・オペレータおよびユーザ端末について、データ・スループットTijと、ネットワーク・オペレータの間の無線リソースの分布を反映する静的パラメータsと、サービス品質要件qijと、無線リンク品質Rijとについての値を共同のオペレータおよびユーザ端末のスケジューラ・パラメータ化ブロックSPBの中で使用して、
【数2】
に従うように、無線リソースをスケジューリングするための重みパラメータwijを算出する。
【0105】
本実施形態の一代替案においては、データ・スループットTijと、ネットワーク・オペレータの間の無線リソースの分布を反映する静的パラメータsと、サービス品質要件qijと、無線リンク品質Rijとについての値は、スケジューラS1、…、SIに対して送信され、あるいは万一、ただ1つのスケジューラが、すべてのI個のネットワーク・オペレータをスケジューリングするために使用され、また上記で説明されるように、無線リソースをスケジューリングするために重みパラメータwijを算出するために使用される場合には、単一のスケジューラに対して送信される。
【0106】
図4に示される前記の重みパラメータの計算とアーキテクチャの変更とを用いて、ネットワーク・オペレータの間のスケジューリングは、追加のスケジューリング・ステージを導入することなく、既存のユーザ端末のスケジューラへと一体化されている。
【0107】
本発明の一実施形態においては、図3においてステップ10として示されるようなスケジューラS1、…、SIに対する外部制御ループが、実施される。図3に示されるように、このループは、I個のスケジューラS1、…、SIの出力をパラメータ化ブロックSPBに対して供給する。ここで、この情報は、さらなる制御サイクルを供給して、ネットワーク・オペレータの間の長期間の公平性と安定性とを保証することができる。さらに、基地局所有者は、課金するために観察されたスケジューリングの決定をネットワーク・オペレータに対して提供することができる。
図1
図2
図3
図4