特許第5964998号(P5964998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964998病理グロシングツール、カセットおよびボード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964998
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】病理グロシングツール、カセットおよびボード
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   G01N1/28 G
   G01N1/28 J
【請求項の数】26
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-261(P2015-261)
(22)【出願日】2015年1月5日
(62)【分割の表示】特願2011-524991(P2011-524991)の分割
【原出願日】2009年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-92179(P2015-92179A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/136,316
(32)【優先日】2008年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506140457
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ マイアミ
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】モラレス,アゾリデス,アール
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−516869(JP,A)
【文献】 特表2004−503766(JP,A)
【文献】 実開平02−019494(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/074769(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織サンプルを作製するための病理グロシングツールであって
(i)一対の端を有する鉗子と、
(ii)前記鉗子のそれぞれの端に設けられた一対のプレートを含
一対のプレートの少なくとも一つが、平坦切断表面、及び前記平坦切断表面から下方に広がる組織受容くぼみを含み、前記一対のプレートが組織を前記組織受容くぼみの適所に保持し、前記組織受容くぼみの深さと実質的に等しい厚さの組織サンプルが作製されるのを可能にするよう適合されている、病理グロシングツール。
【請求項2】
前記一対のプレートの一つのみが前記平坦切断表面と前記組織受容くぼみとを含む、請求項1に記載の病理グロシングツール。
【請求項3】
前記一対のプレートの他方が平坦なはさむ表面を含む、請求項2に記載の病理グロシングツール。
【請求項4】
前記組織受容くぼみが、前記平坦切断表面と実質的に平行である、より低い表面をもたらす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項5】
それぞれのプレートが、組織をかみ合わせて適所に保持するように構成された組織支持体を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項6】
前記組織支持体が、凹凸のある表面を含む、請求項5に記載の病理グロシングツール。
【請求項7】
前記平坦切断表面、前記組織が切断されるときに、グロシングナイフが進むように適合されたナイフ誘導表面を提供する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項8】
前記組織受容くぼみ、前記組織受容くぼみに配置される組織が組織の残りの部分より切断されて、おおむね均一の厚さの組織サンプルを提供することを可能にするよ適合されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項9】
前記組織受容くぼみの深さ、調整可能である、請求項1〜のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項10】
前記組織受容くぼみが約0.5mmから約6.0mmの深さを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項11】
前記少なくとも一つのプレートが、前記組織受容くぼみの末端部近接にナイフストッパを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項12】
前記一対のプレートの少なくとも一つが、前記鉗子の個々の端と前記プレートとをかみ合わせ、そして一列に並ばせるための溝を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項13】
前記鉗子がロッキングのない構成を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項14】
それぞれのプレートがそれらを通り抜ける穴を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項15】
前記一対のプレートが前記鉗子のそれぞれの端に永久的に固定されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項16】
前記一対のプレートが前記鉗子のそれぞれの端に取り外し可能に固定されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項17】
前記一対のプレートが硬プラスチック材料により構成される、請求項16に記載の病理グロシングツール。
【請求項18】
前記一対のプレートが、前記鉗子より取り外した後、その中に組織サンプルを保持するために一緒にかみ合わせられるよう適合されている、請求項16〜17のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項19】
前記一対のプレートが、外部のカラーによって、互いに固定されるよう適合されている、請求項18に記載の病理グロシングツール。
【請求項20】
前記一対のプレートが、組み込みのインターロッククリップによって、互いに固定されるよう適合されている、請求項18に記載の病理グロシングツール。
【請求項21】
前記一対のプレートの少なくとも一つの一部分が前記組織サンプルを識別するラベルを含む、請求項18〜20のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項22】
組織サンプルを作製するための病理グロシングツールであって、
(i)一対の端を有する鉗子と、
(ii)前記鉗子のそれぞれの端に設けられた一対のプレートとを含み
一対のプレートの少なくとも一つが組織カセットのベースを受容するよう構成されたカセット受容くぼみを含み、前記組織カセットのベースが、カセットチャンバ、及び前記カセットチャンバを画定する側壁の頂部表面により提供される平坦切断表面を含み、前記一対のプレートが、前記カセットチャンバ内の適所に組織を保持し、前記カセットチャンバの深さに実質的に等しい厚さの組織サンプルが作製されるのを可能にするよう適合されている、病理グロシングツール。
【請求項23】
前記平坦切断表面は、前記組織が切断されるとき、グロシングナイフが進ように適合されたナイフ誘導表面を提供する、請求項22に記載の病理グロシングツール。
【請求項24】
前記組織が前記カセットチャンバ内に配置されて、前記組織の残りの部分より切断され、概して均一な厚さの組織サンプルを提供するのを可能にされている、請求項22〜23のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項25】
前記カセットチャンバ内に設けられ、前記カセットチャンバの深さを調整するためのスペーサーをさらに含む、請求項22〜24のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
【請求項26】
組織サンプルを作製する方法であって
(a)一方のプレートが平坦切断表面と前記平坦切断表面より下方に広がる組織受容くぼみとを含む一対のプレートの間で、組織サンプルを鉗子によってはさみ、
(b)前記組織受容くぼみの適所に保持された前記組織サンプルを前記組織サンプルの残りの部分から切断し、前記組織受容くぼみの深さと実質的に等しい厚さを持つ組織試料をもたらすために、前記組織サンプルを通して前記平坦切断表面に沿ってグロシングナイフの刃を引張ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照。
本願は、2008年8月27日出願の仮特許出願番号61/136,316の権益を主張する。
【0002】
本願発明は、組織のグロシング(grossing)、および組織学、組織化学、抗体結合、遺伝子分析などの作業に好適な組織試料の作製に関する。組織のグロシングのためのツールおよびボード、グロシングを助け、試料を保持するためのカセット、ならびにそれらの使用方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
病理グロシングツールおよびボードは、当分野において、組織学、遺伝子分析、組織化学などの作業のために、臓器の切除(excision)/切除(resection)もしくはバイオプシーによって得られる組織サンプルを作製するためのものとして知られている。
【0004】
例えば、米国特許6,207,408号は、顕微鏡診断のための、固定から含浸までの組織の急速で連続的フローの組織学的加工を記述する。一実施態様において、他の従来型の鉗子の末端に平坦なプレートもしくはブロックを含む病理グロシングツールは、組織試料を作製するのに用いられてよい。組織試料のサイズは標準化できず、特に、組織試料は厚さにおける非均一性に悩まされる。ナイフもしくは外科用メスが滑ってツールを保持する人を傷つける危険性もまたある
【0005】
米国特許第6,513,803号は、そこに形成される一つもしくはそれ以上の組織受容くぼみを持つ病理グロシングボードを記述する。ナイフもしくは外科用メス刃をグロシングボードの表面に沿って誘導し、組織サンプルを、対応するくぼみの深さによって画定されるような所望の厚さに切断するためのナイフガイドアセンブリが提供される。ボードは、(1)ナイフガイドアセンブリによって刃の動きを制限する事によって、および(2)組織クランプにより切断面に対して横軸および切断面の上の方向へと力を適用する事によって人を傷つける事を避ける。
【0006】
米国特許7,219,884号は、かみ合わせて組織を所定の厚さの組織サンプルが作製されるような適所に保持する複数の歯を含む別のタイプの病理グロシングツールを記述する。組織サンプルの大きさは歯によって決められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改善された病理グロシングツールおよびボードを志向する。それらは組織学、組織化学、抗体結合、遺伝子分析などに好適な組織試料をもたらす。さらにそれは、少なくとも本発明の最適な実施態様において、個人の傷害の危険性を減ずるかもしくは消失させる。組織のグロシング(grossing)を促進し、グロス(gross)された組織を後に続く作業のために保持するように適合するカセットは単独で、またはツールもしくはボードと共に用いられ得る。本発明の更なる目的および利点は以下に記される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様は、組織サンプルを作製するための、一対の末端と鉗子のそれぞれの端へと備えられた一対のプレートとを持つ鉗子を含む病理グロシングツールに関する。少なくとも一つのプレートは平坦切断表面と平坦切断表面から下向きに広がる組織受容くぼみとを含む。プレートは、組織を適所に保持し、所定の厚さの組織サンプルが作製されるように適合している。
【0009】
他の態様は、組織サンプルを一対のプレートの間で鉗子によってはさむことと、組織受容くぼみ中に配置された組織サンプルを組織サンプルの残りの部分から切断し、そして、組織受容くぼみの深さと実質的に等しい厚さを持つ組織試料をもたらすためにナイフもしくは外科用メスの刃を組織サンプルを通して、平坦切断表面に沿って引っ張ることを含み、ここで、一対のプレートの一つが平坦切断表面と平坦切断表面から下方に広がる組織受容くぼみとを含む、組織試料を作製する(「グロシング」)方法を提供する。
【0010】
さらの他の態様は、一対の末端と、鉗子のそれぞれの末端に備えられた一対のプレートとを含む組織サンプル作製のための病理グロシングツールに関する。少なくとも一つのプレートは、組織カセットのベースを受容するよう構成されているカセット受容くぼみを含む。ベースは平坦切断表面と、平坦切断末端から下方に広がる組織受容くぼみとを含む。ベースと反対のプレートは、組織をカットのベース内の適所で保持し、所定の厚さに組織サンプルが作製されるように適合している。組織試料を作製する(「グロシング」)方法は、組織サンプルを鉗子によって、カセットのベースと反対側のプレートの間ではさむ事と、そしてベースに配置される組織サンプルを組織サンプルの残りの部分から切断し、そしてベースの深さと実質的に等しい厚さを持つ組織試料をもたらすためにナイフもしくは外科用メスの刃を組織サンプルを通して組織切断の刃に沿って引っ張る事とを含んで提供される。そのカセット内の残りの場所において、ふたがベースへと取り付けられた後に、ベースを含まないツールと異なり、薄い組織試料が作製される。
【0011】
第二の態様は、組織カセットのベースに対応するよう適合する少なくとも一つのカセット受容スロット、少なくとも一つのスロットの反対側にもたらされ、ナイフもしくは外科用メスの刃をスロット内のベースに沿って誘導するための刃のガイドを含む病理グロシングボードに関する。ベースは、平坦切断表面と平坦切断表面から下方へ広がる組織受容くぼみとを含む。
【0012】
他の態様は、組織サンプルを、平坦切断表面および平坦切断表面から下方に広がる組織受容くびれを含むベースに対して保持する事と、ベースに配置された組織サンプルを組織サンプルの残りの部分から切断し、そしてベースと実質的に等しい厚さを持つ組織試料をもたらすために、ナイフもしくは外科用メスの刃を組織サンプルを通して平坦切断表面に沿って引っ張る事とを含む、組織試料を作製する(「グロシング」)方法を提供する。組織サンプルは、指もしくはツールによって力を適用する事によってベースに対して保持され得る。
【0013】
第三の態様は、組織を受容するよう適合したチャンバを画定する側壁および底壁を持つベースと、ベースへともたらされ、チャンバを覆い組織試料をチャンバ内にとどまらせるよう適合した蓋とを含む組織カセットに関する。ベースの底壁は、側壁に対して配置され、5mm未満のチャンバの深さを提供する。本発明の任意選択の態様は、上述の病理グロシングツールもしくはボードを用いてカセットを保持する事を含む。この任意選択の態様において、カセットのベースへと直接的に組織試料を提供する事は、組織を鉗子によって操作することによるダメージを避け、連続的にグロスされた組織間のコンタミネーション(contamination)を防ぎ、組織学、組織化学、抗体結合、遺伝子分析などを意図する組織の加工を標準化する。
【0014】
上述のいずれにおいても、本発明の任意選択の態様は、組織サンプルを切断するナイフもしくは外科用メスの刃が人を傷つけることを防ぐための、平坦切断表面から上方へと延びるナイフ止めである。
【0015】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、本開示の一部であり、例示の形で本発明の本質を図示する添付の図面と併せられる時、以下の記述より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図は本発明の様々な特定の実施態様の理解を助ける。
図1図1は、本発明の一実施態様による病理グロシングツールの斜視図である。
図2図2図1の病理グロシングツールの他の斜視図である。
図3図3図1の病理グロシングツールの側面図である。
図4図4は切断前の組織サンプルを保持する図1の病理グロシングツールの斜視図である。
図5図5は切断中に組織サンプルをはさむ図1の病理グロシングツールの斜視図である。
図6図6図5の6−6線を横切る断面図である。
図7図7は組織サンプルをはさみ、それを溶液中に含浸する図1の病理グロシングツールの斜視図である。
図8A図8Aは本発明の他の実施態様による、プラスチックプレートを持つ病理グロシングツールの斜視図である。
図8B図8Bは、一緒に連結される本発明の一実施態様による図8Aのプラスチックプレートを示す概略図である。
図8C図8Cは、一緒に連結され、外部のカラーによって一緒に固定された、本発明の一実施態様による図8Aのプラスチックプレートを示す概略図である。
図8D図8Dは、一緒に連結され、一体化したヒンジ及びクリップによって一緒に固定された、本発明の一実施態様による図8Aのプラスチックプレートを示す概略図である。
図9図9は、本発明の他の実施態様による、病理グロシングツールの斜視図である。
図10図10は、図9の病理グロシングツールの他の斜視図である。
図11図11は、切断前の、組織カセットおよび組織サンプルを保持する図9の病理グロシングツールの他の斜視図である。
図12図12は、切断前の、組織カセットおよび組織サンプルを保持する図9の病理グロシングツールの断面図である。
図13A図13Aは、本発明の実施態様によるスペーサーを持つ従来のカセットの分解図である。
図13B図13Bは、閉じた状態の蓋を持つ図13Aのカセットの斜視図である。
図14A図14Aは、本発明の実施態様の組織カセットの斜視図である。
図14B図14Bは、図14Aの組織カセットの他の斜視図である。
図15図15は、閉じた状態の蓋を持つ図14Aのカセットの斜視図である。
図16A図16Aは、本発明の他の実施態様による、組織カセットの斜視図である。
図16B図16Bは、図16Aの組織カセットの他の斜視図である。
図17A図17Aは、本発明の他の実施態様による、組織カセットの斜視図である。
図17B図17Bは、図17Aの組織カセットの他の斜視図である。
図18図18は、本発明の一実施態様によるグロシングボードの斜視図であり、ここで、グロシングボードは、切断前の組織カセット及び組織サンプルを保持する。
図19図19は、図18のグロシングボードの他の斜視図であり、ここで、グロシングボードは、切断の後の組織カセット及び組織サンプルを保持する。
図20図20は、本発明の一実施態様による、カセット保持ラックに入れられ、そして溶液へと含浸される、連結されたプレートもしくは閉じられたカセットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜3は、本発明の一実施態様による、病理グロシングツール10を図示する。病理グロシングツール10は、組織を適所に保持し、所定の厚さの組織試料が作製されるようになるように構造化されている。
【0018】
図示される実施態様において、病理グロシングツール10は、一対の端22、24、端22、24の一つに備えられる第一のプレート30、ならびに端22、24の他の一つに備えられる第二のプレート40を持つ鉗子20を含む。以下に詳細に記述されるように、使用の際、切断されるべき組織はプレート30、40の間にはさまれ、組織をスライスするためにグロシングナイフもしくは外科用メスがプレート30、40の間を通過する。鉗子が任意選択で意図される鉗子が保持される部分は、描画に示される。ツールは、金属、それらの合金、もしくは他の耐食性物質によって構成される。例えば、外科用ステンレス鋼(すなわち、12〜20%クロム、0.2〜3.0%モリブデン、および8〜12%のニッケルを含有する鉄/炭素合金)または、硬プラスチックが利用され得る。機械加工などによってプロトタイプのモデルを製作するために用いられる物質(例えばアルミニウムもしくは真ちゅう)は、成型、鍛造、プレスなどによって最終型のツールを作製するために用いられるもの(例えばステンレス鋼もしくは硬プラスチック)とは異なる。
【0019】
第一のおよび第二のプレートは一般的に長方形(例えば約25〜45mm長と約15〜35mm幅)である。第一のプレート30は、平坦な挟む表面32を提供し、そして第二のプレート40は組織受容くぼみ45(例えば、円のくぼみのような他の形のものも使用してよいが、一般的に、おおよそ組織試料の二次元形である長方形もしくは正方形の形のくぼみ)を含み、所定の厚さに組織サンプルを作製するのを助ける。組織受容くぼみ45は、くぼみを囲む平坦切断表面44と実質的に平行なより低い表面42を提供する(例えば、図1および6を参照)。そのような構成は、実質的に均一な深さを持つ組織受容くぼみ45を提供する。
【0020】
組織支持体50は、作製されるべき組織をかみ合わせて保持するためにプレート30、40のそれぞれに備えられる。詳細には、組織支持体50は第一のプレート30のはさむ表面32へと備えられ、組織支持体50は第二のプレート40のくぼみ45のより低い表面42へと備えられる。図2の拡大された部分に良く示されるように、組織支持体50は、組織を適所に残し、そして保持するように適合する一連の突起53(例えば、支持体上に均一に分布する)を含む凹凸のある表面52をもたらす。使用の際、凹凸のある表面50に沿って鉗子20によってもたらされるはさむ力は、組織を適所にしっかりと保持し、組織の切断を助ける。
【0021】
図示される実施態様において、それぞれの組織支持体50は、個々のプレート30、40のそれぞれに対し、たとえば接着、溶接などのような好適な方法により固定される(例えば、食品のおろし金において用いられるものと類似の)穴を空けた、くぼみのある金属の断片の形である。代替的な実施態様において、凹凸はプレート30、40のそれぞれの表面32、42に対して直接的に切断されるかもしくはエッチングされる。
【0022】
組織受容くびれ45を囲む平坦切断表面44は、組織が切断されるとき、グロシングナイフもしくは外科用メスがそれに対して向かうナイフガイド表面を提供する。グロシングの際、サンプリングされる組織Tは第二のプレート40(図4を参照)に配置され、鉗子20は、プレート30、40の間に組織Tを概して均一の圧力分布ではさみ、そして組織Tを効果的に適所に保持するために手動で保持される(図5および6を参照)。実際、鉗子20を保持する手は、組織を切断する人を守り、そして組織のコンタミネーションを防ぐために通常は手袋をはめられるべきである。図5および6に見られるように、ナイフもしくは外科用メスの刃は、くぼみ45に配置される組織を、組織の残りの部分から切断し、概して均一な厚さ(すなわちおおよそくぼみ45の深さ)の組織試料をもたらすために、第二のプレート40の切断表面44に対して配置され、それに沿ってスライドされる。
【0023】
組織受容くぼみ45は、図6に見られるように、任意の好適な深さD、例えば、0.5mmから5.0mmであってよい。好ましい厚さは、深さ1.0mmから2.0mmもしくは約1.5mmによって得られる。代替的な実施態様において、両方のプレート30、40が組織受容くぼみを含み、異なった厚さの組織サンプルを作製するためにそれぞれが異なる深さを持つ。他の代替的な実施態様において、組織受容くぼみ45の深さは調節可能であって良く、例えば、組織支持体50が第二のプレート40に動作可能に取り付けられ、深さの選択的な調節を可能にする。
【0024】
第二のプレート40は、第一のプレート30よりもほんの少し長く、くぼみ45の末端に近接のレッジ46を含む。刃Bがくぼみ45すなわち組織Tを通って通り抜けた後、すなわち、刃Bとレッジ46とがかみあうことで、切断プロセスが完了する。使用の際、レッジ46は、刃Bが鉗子20を保持する手を切断することを防ぐための、ナイフもしくは外科用メスのストッパとして作用する。図示されるように、レッジ46は、使用の際、プレート30、40が互いに相手に向かって挟まれる時に、ぶつかることを防ぐために第一のプレート30の末端から離れている(図5および6を参照)。
【0025】
図示される実施態様において、鉗子20は従来型の手で持つ、ロッキングのない構成の鉗子(例えばスチール鋼から構成される)である。ロッキングのない鉗子20は一端において、蝶番で動く。しかしながら、当然、プレート30、40は他の好適な鉗子の構成、例えば中間で蝶番で動くもの、ロッキングを持つ鉗子の構成のものなどとともに用いるのに適合できるであろう。
【0026】
プレート30、40は、鉗子20のそれぞれの端22、24に対して永久に固定されて(例えば、接着、溶接など)も、また取り外し可能に固定されて(例えば、機械的インターロック、留め具など)もよい。例示される実施態様において、第一のプレート30は、比較的平坦な鉗子の端22のはさむ表面とかみあうための比較的平坦な後方の表面34を含み(図1を参照)、そして、第二のプレート40の後方の表面は、鉗子の端24の比較的平坦なはさむ表面とかみ合いそして一列に並ぶためにその長さ方向に沿って比較的平坦なより低い表面48を持つ溝47を含む(図2を参照)。当然、両方のプレートが比較的平坦な後方の表面もしくは溝のある後方の表面を含んで良い)。
【0027】
プレート30、40のそれぞれは、それを通る複数の穴60を含む(例えば、図1および2を参照)。さらに凹凸のある組織支持体50のそれぞれの突起53は、例えばその頂点において穴55を含む(例えば図2の拡大部分を参照)。そのような穴60、55は、プレート30、40を通る経路をもたらし、これはプレート30、40の間にはさまれる組織が適切に流体(例えば、溶液、ガスなど)へとさらされるようにする。例えば、図7に示されるように、組織を溶液と接触させるおよび/もしくは含浸させるためにツール10のプレート30、40を溶液で含浸させるかまたは旋回しても良い。
【0028】
取り外し可能なプレートの場合、それらは簡便に硬プラスチックで構成されてもよく、そしてステンレス鋼の鉗子へと取り外し可能に固定されているか、または組織が切断された後それらが鉗子よりスナップ式にはずされるまで硬プラスチックの鉗子へと一時的に固定されていても良い。図8Aは、鉗子20のそれぞれの端に固定されるプラスチックプレート230、240(例えば、従来の組織学的カセットからの蓋およびベース)を示す例示的な斜視図である。図8Bに概略的に示されるように、鉗子から取り外されたのち、プレート230、240は、プレート230、240がかみ合わされてその中に組織試料を保持できる補足的な構造を含む。プレート230、240は、外部のカラー270によって互いに固定される(図8Cを参照)。代替的に、図8Aおよび8Dに示されるように、プレート230、240は、組織学的組織カセットに似ていてもよく、そしてプレートを互いにかみ合わせるための組み込みのインターロック蝶番275およびクリップ構造276を含んでも良い。組織試料を認識するラベル280(図8Dを参照)(例えば、英数字、バーコードもしくはRFID)は、かみ合わされたプレート230、240の部分(例えばベースの角度の付いた前面壁に沿って)へと接着されて良い。
【0029】
図9〜12は、本発明の他の実施態様による病理グロシングツール310を図示する。この実施態様において、グロシングツール310は、カセット(従来のものかもしくは本発明のカセットのいずれか)を保持するように構成されており、そして組織を切断中適所に保持するようにカセットを用いる。
【0030】
図示されるように、グロシングツール310は、端22、24の一つに備えられる第一のプレート330と、端22、24の他の端に備えられる第二のプレート340とを持つ鉗子20を含む。第一のプレート330は平坦なはさむ表面332をもたらし、第二のプレート340は、カセット300のベース302を受容するよう構成される開放式のカセット受容くぼみ345を含む(図11および12を参照)。
【0031】
カセット受容くぼみ345は、カセットベースを支持するために実質的に平坦なより低い表面342を提供する。また、くぼみ345の幅はカセットベース302の幅に一致する。くぼみ345の長さは、少なくともカセットベース302の長さに一致する(例えば、くぼみの長さは少なくともカセットベース302中のチャンバ303と同じくらい長い。)。カセットベース302は、第二のプレート340と一列に並べられその中に維持される(例えば摩擦一致によって)。さらに、くぼみ345の末端壁は、カセットベース302の蝶番部分305と適合するために凹部347(例えば図12を参照)を含んでもよい。
【0032】
組織支持体350(例えば、上述のような穴のあいたくぼみのある金属の平坦な部品)は、作製されるべき組織をかみ合わせ、そして保持するためにプレート330へともたらされる。また、スペーサー315(例えば、図11、12および13A参照)は、作製されるべき組織Tをかみ合わせ、そして保持するために、ならびにチャンバ303の深さを調節し、それによって作製されるべき組織サンプルの厚さを調節するためにカセットベース302のチャンバ303中に提供される。
【0033】
特に、図13Aに示されるように、スペーサー315は、チャンバ303と同じ長さおよび幅を含み、それにより、例えば、摩擦一致によってチャンバ内で一列に並べられ保持される。スペーサー315の厚さは調整されるべき組織サンプルの所望の厚さに基づいて選択され得る。従来のカセットのチャンバ303は約5mm(例えば、チャンバの側壁の上端からチャンバのより低い表面までで測定される)の深さD(図13Aを参照)を持つ。一実施態様において、スペーサー315は約3.5mmの厚さを持ってよく、チャンバ303に挿入されるとき約1.5mmの深さのカセットをもたらす。しかしながら、当然、スペーサー315は、任意の好適なチャンバの深さを提供するために、0.1と4.5mmの間の任意の好適な厚さを持ってよく、それゆえ0.1と4.5mmの間の任意の好適な厚さの作製されるべき組織サンプルを可能にする。
【0034】
カセットチャンバを画定する側壁の頂部表面は、組織が切断されるときそれに対してグロシングナイフもしくは外科用メスが向かう平坦切断表面もしくはナイフガイド表面344を提供する。
【0035】
グロシングの際、サンプリングされる組織Tはカセットベース302中のスペーサー315上に配置され、そしてカセットベース302は第二のプレート340中のくぼみ345中に配置される(例えば図11を参照)。鉗子20は、プレート330とカセットベース302の間に組織Tをはさむために互いに保持しあい、効果的に組織Tを適所に保持する(図12を参照)。図12に示されるように、ナイフもしくは外科用メスの刃Bは、カセットベース302のチャンバ303に配置される組織を、組織の残りの部分から切断し、概して均一な厚さ(すなわち、図12に示されるような、スペーサーを持つチャンバの深さである大まかな厚さt)の薄い組織試料をもたらすためにカセットベース302によってもたらされる切断表面344に向かって配置され、そしてそれに沿ってスライドされる。上述のように、チャンバの深さ、すなわち組織試料の厚さは、スペーサー315の厚さを調節する事によって調節できる。
【0036】
図13Aは、スペーサー315を持つカセット300を描写し、そして、図13Bは、組織使用をその中に残す閉じられた状態の蓋304を持つカセットを描写する。一実施態様において、スペーサー315は、蓋304が取り付けられ組織試料を残すために閉じられる前に、カセットベース302から取り外されても良い。
【0037】
第二のプレート340は第一のプレート330よりもほんの少し長く、そして、くぼみ345の末端に近接のレッジ346含む。刃Bがカセットベース302すなわち組織Tを通って通り抜けた後、すなわち、刃Bとレッジ346とがかみあうことで、切断プロセスが完了する。使用の際、レッジ346は、刃Bが鉗子20を保持する手を切断することを防ぐための、ナイフもしくは外科用メスのストッパとして作用する。図示されるように、レッジ346は、使用の際、プレート330、340が互いに相手に向かって挟まれる時に、鉗子の端部を受容するために、凹部348を含む(図10〜12を参照)。
【0038】
プレート330、340のそれぞれは複数の通り抜ける穴360を含む(例えば図10および11)。さらに、凹凸のある組織支持体350は穴を含み、カセットベース302は通り抜けるスロットを持つスロットの構成を含み、そしてスペーサー315は、穴をあけられるかもしくは穴を含む。そのような穴/スロット/穴はプレート330、340/カセット302/スペーサー315/組織支持体350を通り抜ける経路を提供し、それはプレート330とカセットベース302の間に挟まれる組織が、適切に流体へとさらされる事を可能にする(例えば、ガス、溶液など、図7に示されるようにである)。
【0039】
本発明の他の実施態様によると、カセットは、組織サンプルの適合した厚さをもたらすために適合したチャンバの深さを提供するように構成される。すなわち、カセットはスペーサー無しで提供され従来と異なる厚さの組織サンプルをもたらすための従来型でないチャンバの深さを提供するように作製される(例えば成型される)。
【0040】
例えば、図14Aおよび14Bは、本発明の一実施態様によるカセット400を描写する。描写されるように、カセット400は、ベース402およびベース402の一端へと蝶番でつながれた蓋404を含む。蓋404の反対の端は、例えばスナップ式によりベース402に備えられる穴とかみ合わされるためのクリップ構造409を含む。
【0041】
カセットベース402は、組織サンプルのためのチャンバ403を含む。描写されるようにチャンバ403の底壁407は、ベース402の側壁408に沿って従来型でなく、非標準の深さDで提供され、カセットベース402が非標準の厚さの組織サンプルを提供するように(例えば上述のようにグロシングツール310と共に、もしくは以下に示されるようにグロシングボードと共に)用いられ得る。
【0042】
図13Aおよび13Bに示されるようなベース302および蓋304のような)標準型のもしくは従来型のカセットのベースは、約4cmの長さL、約2.9cmの幅W、約0.5cmの側壁の高さH、約0.9cmの角度の付いた前面の壁の長さA、および約0.5cmのチャンバの深さDを持つ。
【0043】
本発明の一実施態様によるカセットベース402は、従来型のカセットと同様の長さ、幅、側壁の高さ、および角度の付いた前面の壁の長さの寸法を持ち、切片化のためにミクロトームへと備えることの出来る、そこに含まれる組織試料の従来型の包埋および標準のパラフィンブロックのために用いる事が出来る。しかし、カセットベース402の底壁407は、標準の5mmの深さよりもより浅いチャンバの深さを提供するために配置できる。この構成は別の加工方法のための、作製されるべき組織の別の厚さを可能にする。
【0044】
上述の通り、従来のカセットは約5mmの厚さ、または場合によるとそれよりも厚い組織のスライスを促進し、これはより長い加工時間を必要とし、例えば、電子レンジによるもの、急速な組織加工または超急速組織加工のようないくつかの組織加工にとって好ましくない。本発明によるカセットは、特定の加工方法へと適合でき、すなわちカセットは、特定の加工方法に好適な組織試料をもたらすチャンバの深さを提供する。
【0045】
例えば、図14Aおよび14Bは、2.5mmから4.5mmの範囲のチャンバの深さD(例えば約3mm)を持つカセットベース402を例示する。そのような実施態様において、例えば図14Aを参照し、底壁407は側壁から上方へと0.5mmから4.9mmの距離d(例えば約2mm)で間隔が空く(標準のカセットベースでは底壁が側壁の底部とが平坦である)。そのようなカセットベース402は、従来の組織加工に特に有用な組織サンプルの厚さをもたらす。図15は、閉じた状態の蓋404を持つカセット400を示す。
【0046】
カセット400の蓋404が、蓋ベースと比べて寸法R、例えば約1mmで隆起する頂部壁411を含み(図14Aを参照)、カセット400に囲まれるときに組織試料に対して十分な空間を提供する。標準的なカセットの蓋は、蓋のベースと実質的に平坦な頂部壁を含み(例えば図13Aおよび13Bを参照)、これは組織試料をカセットで圧縮し、そして組織試料に蓋のくぼみを作る。
【0047】
他の実施態様において、図16Aおよび16Bに見られるように、カセットベース402は1mmから2mmの範囲のチャンバの深さD(例えば約1.5mm)を持っても良い。そのような実施態様において、底壁407は、側壁から上方へと3mmから4mmの距離d(例えば約3.5mm)で隙間があく。そのようなカセットベースは、電子レンジ用の、急速組織加工において特に有用な組織サンプルの厚さを提供できる。
【0048】
他の実施態様において、図17Aおよび17Bに示されるように、カセットベース402は0.1mmから1.0mmの範囲のチャンバの深さD(例えば約0.2mm)を持ってよい。そのような実施態様において、底壁407は、側壁から4mmから4.9mmの距離d(例えば約4.8mm)で上方に隙間があくそのようなカセットベースは、超急速組織加工に特に有用な組織サンプルの厚さを提供する。
【0049】
カセット400のそれぞれの実施態様において、組織試料を認識する(図8dにみられるラベル280のような)ラベル(例えば英数字、バーコードもしくはRFID)を、合わされたベースと蓋の部分(例えば、ベースの角度の付いた前面の壁に沿って)へと取り付けても良い。
【0050】
図18および19は、本発明の一実施態様による組織サンプルの作製に有用な病理グロシングボード590を描写する。図示されるように、グロシングボード590は二つのスロット592(1)、592(2)を含み、それぞれが(カセット400のベース402のような)カセットのベースと適合するように構成されている。一実施態様において、それぞれのスロットが、カセットのベースと類似の幅および深さの寸法(例えば、約2.9cmと約0.5cm)を含み、同じかもしくはより長い長さの寸法(例えば少なくとも約4cm)を含む。グロシングボード590はまた、例えば4mmの厚さの組織のカセットを用いるプロセスより前に組織のより大きい断片を区切るためのより大きいスロット593を含む。例えば、より大きいスロットは約4.5cmのL1、約4.5cmのL2、および約4mmのL3の寸法を持っても良い。一つもしくはそれ以上の定規594は、例えば組織の大きい断片の最初の測定のためにボードの加工表面に近接して備えられても良い。さらに刃ガイド595は、使用時のナイフもしくは外科用メスの刃を誘導するために二つのスロット592(1)、592(2)のそれぞれの側にもたらされる。
【0051】
図18はスロット592(1)中のカセットベース402を描写し、ナイフもしくは外科用メスの刃Bは、カセットベースのチャンバに配置される組織Tを組織の残りの部分より切断し、概して均一な厚さ(例えば、図16Aおよび16Bのカセットを用いて約1.5mm)の薄い組織試料をもたらすために、カセットベースによって(およびブレードガイド595中に)もたらされる切断表面に沿ってスライドするよう配置される。組織は、例えば手袋をした指もしくは平坦末端ツールのような下方の軽い力によってベースに対して保持される。例示される実施態様において、カセットの蝶番および/もしくは刃ガイド595の末端は、使用中に刃のストッパとして作用する。図19は、組織のスライスに続くカセットベース402を描写する。
【0052】
図20に示されるように、合わされたプレートもしくは閉じられたカセット(すなわち合わされたベースと蓋)はカセット保持ラック290において保管でき、溶液295中に含浸出来る。溶液は、組織を洗浄(例えば、水性溶液)するために、組織のタンパク質もしくは拡散を保存(例えば、UM−FIX)するために、または組織の組織学的加工を開始(例えば、Tissue−Tek(登録商標)Xpres(登録商標)組織加工剤もしくはTissue−Tek(登録商標)VIP(商標)減圧浸潤加工剤)するために用いられ得る。好ましい溶液は(i)緩衝食塩水、(ii)ホルマリン、(iii)80〜95%メタノールと5〜20%ポリエチレングリコール(PEG)の保存用溶液(米国特許第7,138,226号を参照)、ならびに(iv)25〜50%アセトン、30〜55%イソプロパノール、15〜25%ミネラルオイルもしくはPEG、約0.5%氷酢酸、ならびに約1%ジメチルスルホキシドの硬化溶液(米国特許第7,470,401を参照)である。
【0053】
参照により、ここに引用される全ての特許および特許出願は組み入れられる。
【0054】
数値範囲を言う場合、範囲に含まれるすべての値もまた述べられていると理解されるべきである(例えば、0.5mmから4.5mmは、その間のすべての半整数および制数値ならびにたとえば、1/2から2、1から3、2から4、および1から4のようなすべての中間の範囲を含む)。表現「約」は、当業者が本発明の実施もしくはその特許性にまったく影響を与えないことを理解するような、測定に伴う統計的不確実性もしくは数値量における変動性を指す。
【0055】
請求項の意味の範囲およびその法的な等価物の範囲に入る全ての修正および置換は、その範囲に包含される。「含有する(comprising)」を列挙する請求項は、その請求項の範囲に入る他の要素を含む事を可能にする;本発明は、「含有する(comprising)」という語の代わりに移行句「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」(すなわち、他の要素を本発明の実施に物理的に影響を与えない時に請求項の範囲内に含む事を可能にする)もしくは「〜からなる(consisting of)」(すなわち、本発明に通常伴う不純物もしくは重要でない作用以外の、請求項に列挙された要素のみを認める)を引用する請求項によってもまた記載される。それらの三つの移行句の任意のものを、本発明をクレームするのに用いる事ができる。
【0056】
本明細書に記載される要素は、請求項に明確に言及されない限り、クレームされる発明の限定と解釈されるべきではないことは理解すべきである。与えられる請求項は、明細書からの限定の代わりに法的な保護の範囲を決定する根拠となるものであり、請求項に読み込まれるものである。対照的に、従来技術は、クレームされる発明を先取りするかまたは新規性を打ち消す特定の実施態様の範囲で本発明より明確に除外される。
【0057】
さらに、請求項の限定の間の関係は、そのような関係が請求項中に明確に言及されない限りまったく意図されない(例えば、物クレームにおける成分の配列、または方法クレームにおけるステップの順序は、明確に主張されていない限りクレームの限定ではない)。ここに開示される個々の要素のすべての可能な組み合わせおよび順列は、本発明の態様とみなされる。同様に本発明の記述の一般化は本発明の一部であるとみなされる。
【0058】
上述のことから、本発明はその精神および本質的な特徴を離れることなしに他の特定の形態で具体化できることは、当業者には明らかである。本発明にもたらされる法的な保護範囲は本明細書によってではなく、添付される請求項によって示されるため、記載される実施態様は限定としてでなく、例示としてのみみなされるべきである。
【0059】
本出願は、以下の発明をも含み得る。
(1)
組織カセットであり:
(i) 組織サンプルを受容するのに適合するチャンバを画定する側壁と底壁とを含むベース:ならびに
(ii) 前記ベースにもたらされ、前記組織サンプルを前記チャンバ内に残すために前記チャンバを覆うよう適合する、蓋;
を含有し、
ここで前記ベースの前記底壁が、5mm以下のチャンバの深さをもたらすよう前記側壁に対して配置される、組織カセット。
(2)
前記チャンバの深さが2.5mmから4.5mmの範囲である、(1)に記載の組織カセット。
(3)
前記チャンバの深さが3mmである、(1)に記載の組織カセット。
(4)
前記チャンバの深さが0.5mmから2.5mmの範囲である、(1)に記載の組織カセット。
(5)
前記チャンバの深さが1.5mmである、(1)に記載の組織カセット。
(6)
前記チャンバの深さが0.2mmから1.0mmの範囲である、(1)に記載の組織カセット。
(7)
前記チャンバの深さが0.5mmである、(1)に記載の組織カセット。
(8)
前記蓋が隆起する頂部壁を含む、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の組織カセット。
(9)
前記蓋の前記頂部壁が、蓋ベースより約1mm隆起する、(8)に記載の組織カセット。
(10)
前記ベースおよび蓋が成型によって作製される、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の組織カセット。
(11)
病理グロシングボードであって:
(i)(1)〜(10)のいずれか一項に記載の組織カセットのベースと適合するようにされた一つもしくはそれ以上のカセット受容くぼみ;ならびに
(ii)ナイフもしくは外科用メスの刃を前記カセット受容くぼみ中のベースに沿って誘導するための、一つもしくはそれ以上のカセット受容くぼみの反対側に備えられる刃ガイドを含有する、
病理グロシングボード。
(12)
組織サンプルを作製するための病理グロシングツールであって:
(i) 一対の端を持つ鉗子および
(ii) 鉗子のそれぞれの端に備えられる一対のプレートを含有し、
ここで前記プレートの少なくとも一つが、平坦切断表面と前記平坦切断表面から下方に広がる組織受容くぼみとを含み、前記プレートが組織を適所に保持し、そして所定の厚さの組織サンプルが作製されるのを可能にするよう適合する、
病理グロシングツール。
(13)
前記プレートの一つのみが平坦切断表面と組織受容くぼみとを含む、(12)に記載の病理グロシングツール。
(14)
前記プレートの他方が平坦なはさむ表面を含む、(13)に記載の病理グロシングツール。
(15)
前記組織受容くぼみが、前記平坦切断表面と実質的に平行である、より低い表面をもたらす、(12)〜(14)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(16)
それぞれのプレートが、組織をかみ合わせ、そして適所に保持する組織支持体を含む、(12)〜(15)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(17)
前記組織支持体が、凹凸のある表面を含む、(16)に記載の組織グロシングツール。
(18)
前記平坦切断表面が、前記組織が切断されるときに、グロシングナイフが向かうように適合するナイフ誘導表面を提供する、(12)〜(17)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(19)
前記組織受容くぼみが、前記組織受容くぼみに配置される組織が組織の残りの部分より切断されるようにし、おおむね均一の厚さの組織サンプルを提供するように適合する、(12)〜(18)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(20)
前記組織受容くぼみが、組織受容くぼみの深さと実質的に均一な厚さを持つ組織サンプルをもたらすよう適合する、(19)に記載の病理グロシングツール。
(21)
前記組織受容くぼみが約0.5mmから約6.0mmの深さを含む、(12)〜(20)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(22)
前記少なくとも一つのプレートが、前記組織受容くぼみの末端部近接にナイフストッパを含む、(12)〜(21)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(23)
前記少なくとも一つのプレートが、前記鉗子の個々の端と前記プレートとをかみ合わせ、そして一列に並ばせるための溝を含む、(12)〜(22)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(24)
前記鉗子がロッキングのない構成を含む、(12)〜(23)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(25)
それぞれのプレートがそれらを通り抜ける穴を含む、(12)〜(24)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(26)
前記プレートが前記鉗子のそれぞれの端に永久的に固定されている、(12)〜(25)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(27)
前記プレートが前記鉗子のそれぞれの端に取り外し可能に固定されている、(12)〜(25)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(28)
前記プレートが硬プラスチック材料により構成される、(27)に記載の病理グロシングツール。
(29)
前記プレートが、前記鉗子より取り外した後、その中に組織サンプルを保持するために一緒にかみ合わせられるよう適合する、(27)〜(28)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(30)
前記プレートが、外部のカラーによって、互いに固定されるよう適合する、(29)に記載の病理グロシングツール。
(31)
前記プレートが、組み込みのインターロッククリップによって、互いに固定されるよう適合する、(29)に記載の病理グロシングツール。
(32)
前記プレートの少なくとも一つの一部分が前記組織サンプルを識別するラベルを含む、(29)〜(31)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(33)
組織サンプルを作製するための病理グロシングツールであって、
(i)一対の端を持つ鉗子;ならびに
(ii)前記鉗子のそれぞれの端へと備えられた一対のプレート;
を含有し、
ここで、前記プレートの少なくとも一つが組織カセットのベースを受容するよう構成されたカセット受容くぼみを含み、前記プレートが、前記組織カセットの前記ベース中の適所に組織を保持し、所定の厚さの組織サンプルが作製されるように適合する、病理グロシングツール。
(34)
前記組織カセットが、前記組織が切断されるとき、グロシングナイフがそれに向かって進むナイフ誘導表面を提供する、(33)に記載の病理グロシングツール。
(35)
前記組織カセットが、チャンバ内に配置された組織が前記組織の残りの部分より切断され、概して均一な厚さの組織サンプルを提供するよう適合するチャンバを含む、(33)〜(34)のいずれか一項に記載の病理グロシングツール。
(36)
前記チャンバ内に備えられ、前記チャンバの厚さより前記スペーサーの厚さを差し引いたものと実質的に等しい厚さを持つ組織サンプルをもたらすよう適合するスペーサーをさらに含有する、(35)に記載の病理グロシングツール。
(37)
組織サンプルを作製する方法であって、前記方法は:
(a)組織サンプルを、その一つが平坦切断表面と前記平坦切断表面より下方に広がる組織受容くぼみとを含む一対のプレートの間で、鉗子によってはさむステップ、ならびに
(b)前記組織受容くぼみに配置された前記組織サンプルを前記組織サンプルの残りの部分から切断し、前記組織受容くぼみの深さと実質的に等しい厚さを持つ組織試料をもたらすために、前記組織サンプルを通して前記平坦切断表面に沿ってグロシングナイフの刃を引張るステップを
含有する、方法。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20