(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5965009
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電子記録債権の支払不能通知装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20160721BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-48448(P2015-48448)
(22)【出願日】2015年3月11日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青島 克浩
【審査官】
谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−215824(JP,A)
【文献】
特開2006−343912(JP,A)
【文献】
特開2014−211711(JP,A)
【文献】
特開2012−014300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子記録債権の保証人への支払不能通知装置であって、
保証人の識別子と通知先とを格納したデータベースと、
電子債権記録機関から、支払不能となった電子記録債権の識別子を受信する手段と、
前記電子債権記録機関へ、前記受信した識別子を有する電子記録債権に関する情報を送信するよう求める要求を送信する手段と、
前記電子債権記録機関から、前記要求した電子記録債権に関する情報を受信する手段と、
前記受信した電子記録債権に関する情報から、前記支払不能通知装置が設置された金融機関で開設された決済口座を有する保証人の識別子を抽出する手段と、
前記データベース内で前記抽出した保証人の識別子に対応する通知先を抽出する手段と、
前記抽出した通知先に基づいて、前記支払不能となった電子記録債権の識別子を通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電子記録債権に関する情報には、前記保証人の識別子および決済口座が含まれ、
前記保証人の識別子を抽出する手段は、前記保証人の決済口座が前記支払不能通知装置が設置された金融機関で開設された口座であるものを抽出することを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電子記録債権に関する情報には、債務者、債権者、債権金額、支払期日の少なくも1つが含まれ、
前記通知手段は、前記債務者、前記債権者、前記債権金額、前記支払期日の少なくも1つを通知することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記通知先は、前記保証人の、メールアドレスまたは前記電子債権記録機関を利用するためのシステムのためのログインIDであり、
前記通知手段は、前記メールアドレス宛てにメールで通知すること、または、前記ログインIDでログインされた場合に画面上で表示させて通知することを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
電子記録債権の保証人への支払不能通知装置によって実施される方法であって、前記装置は、保証人の識別子と通知先とを格納したデータベースを備え、
電子債権記録機関から、支払不能となった電子記録債権の識別子を受信するステップと、
前記電子債権記録機関へ、前記受信した識別子を有する電子記録債権に関する情報を送信するよう求める要求を送信するステップと、
前記電子債権記録機関から、前記要求した電子記録債権に関する情報を受信するステップと、
前記受信した電子記録債権に関する情報から、前記支払不能通知装置が設置された金融機関で開設された決済口座を有する保証人の識別子を抽出するステップと、
前記データベース内で前記抽出した保証人の識別子に対応する通知先を抽出するステップと、
前記抽出した通知先に基づいて、前記支払不能となった電子記録債権の識別子を通知する通知ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記電子記録債権に関する情報には、前記保証人の識別子および決済口座が含まれ、
前記保証人の識別子を抽出するステップは、前記保証人の決済口座が前記支払不能通知装置が設置された金融機関で開設された口座であるものを抽出することを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電子記録債権に関する情報には、債務者、債権者、債権金額、支払期日の少なくも1つが含まれ、
前記通知ステップは、前記債務者、前記債権者、前記債権金額、前記支払期日の少なくも1つを通知することを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記通知先は、前記保証人の、メールアドレスまたは前記電子債権記録機関を利用するためのシステムのためのログインIDであり、
前記通知ステップは、前記メールアドレス宛てにメールで通知すること、または、前記ログインIDでログインされた場合に画面上で表示させて通知することを含むことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子記録債権の支払不能が生じたことを保証人へ通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全銀電子債権ネットワーク(登録商標)では、電子記録債権を譲渡する際、原則として、譲渡人を保証人とする「保証記録」も同時に行なわれる。これは、電子記録債権の譲渡に、手形の裏書譲渡と同様の効果をもたらすためである。すなわち、手形の場合、裏書人(裏書譲渡した者)は、手形が不渡りになったとき、手形の所持者に対して手形金を支払う義務を負う。電子記録債権の場合も、「譲渡記録」に随伴して「保証記録」が行なわれ、保証人(すなわち、譲渡人)は、電子記録債権の債務者の債務を担保しなければならない。
【0003】
このように譲渡が行われた電子記録債権が支払不能(電子記録債権が支払期日に決済されないこと)となった場合、現状、全銀電子債権ネットワークは、窓口金融機関を通じて、債務者と債権者に対してのみ、支払不能となったことを通知している。例えば、
図1のように、電子記録債権の譲渡が行なわれたとする。まず、A 101を債務者、B 102を債権者とする電子記録債権の発生記録が行なわれたとする(110)。次に、B 102は、C 103へ、その電子記録債権を譲渡し、B 102を保証人とする保証記録が行なわれたとする(120)。次に、C 103は、D 104へ、その電子記録債権を譲渡し、C 103を保証人とする保証記録が行なわれたとする(130)。次に、D 104は、E 105へ、その電子記録債権を譲渡し、D 104を保証人とする保証記録が行なわれたとする(140)。その後、支払期日が到来し、A 101が支払をできず、その電子記録債権が支払不能となったとする。そうすると、現状、全銀電子債権ネットワークは、窓口金融機関を通じて、債務者であるA 101と最終債権者(すなわち、支払不能時の債権者)であるE 105に対して、その電子記録債権が支払不能となったことを通知している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、譲渡人(
図1のB 102、C 103、D 104)は、保証人であるにもかかわらず、その電子記録債権が支払不能となったことが通知されない。そのため、譲渡人は、最終債権者であるE 105から、債務者であるA 101に代わって弁済するよう求められたときに、電子記録債権が支払不能となった事実を初めて知ることとなる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子記録債権の保証人が、電子記録債権の支払不能が生じたことを知ることができる、装置、方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、電子記録債権の保証人への支払不能通知装置である。この装置は、保証人の識別子と通知先とを格納したデータベースと、電子債権記録機関から、支払不能となった電子記録債権の識別子を受信する手段と、前記電子債権記録機関へ、前記受信した識別子を有する電子記録債権に関する情報を送信するよう求める要求を送信する手段と、前記電子債権記録機関から、前記要求した電子記録債権に関する情報を受信する手段と、前記受信した電子記録債権に関する情報から、特定の金融機関の決済口座を有する保証人の識別子を抽出する手段と、前記データベース内で前記抽出した保証人の識別子に対応する通知先を抽出する手段と、前記抽出した通知先に基づいて、前記支払不能となった電子記録債権の識別子を通知する手段とを備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、電子記録債権の保証人への支払不能通知装置によって実施される方法である。電子記録債権の保証人への支払不能通知装置は、保証人の識別子と通知先とを格納したデータベースを備え、この方法は、電子債権記録機関から、支払不能となった電子記録債権の識別子を受信するステップと、前記電子債権記録機関へ、前記受信した識別子を有する電子記録債権に関する情報を送信するよう求める要求を送信するステップと、前記電子債権記録機関から、前記要求した電子記録債権に関する情報を受信するステップと、前記受信した電子記録債権に関する情報から、特定の金融機関の決済口座を有する保証人の識別子を抽出するステップと、前記データベース内で前記抽出した保証人の識別子に対応する通知先を抽出するステップと、前記抽出した通知先に基づいて、前記支払不能となった電子記録債権の識別子を通知するステップとを含む。
【0008】
本発明の第3の態様は、電子記録債権の保証人への支払不能通知プログラムである。このプログラムは、電子債権記録機関とネットワークを介して接続されたコンピュータを第1の態様の支払不能通知装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子記録債権の保証人へ、電子記録債権の支払不能が生じたことを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電子記録債権の譲渡を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる支払不能通知装置を含む全体の概要図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる支払不能となった電子記録債権に関する情報を示すデータの一例である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる顧客データベースの一例である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる支払不能通知装置における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本明細書で使用する用語について説明する。本明細書において、「電子記録債権」とは、全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット(登録商標)ともいう)等の電子債権記録機関の記録原簿に電子記録がされること(「発生記録」、「譲渡記録」、「保証記録」等が行なわれること)をその発生・譲渡・保証等の要件とする金銭債権のことをいう。また、「支払不能」とは、電子記録債権が支払期日までに決済されないことをいう。すなわち、債務者の資金不足等により、支払期日までに口座間送金決済等による支払がなされなかったことをいう。また、「保証記録」には、上記のような譲渡を伴う「譲渡保証記録」と、譲渡を伴わない「単独保証記録」との2種類がある。本明細書では、「譲渡保証記録」の保証人について説明するが、本発明は、「単独保証記録」の保証人に適用することも可能である。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態にかかる支払不能通知装置210を含む全体の概要図である。概要図には、支払不能通知装置210、電子債権記録機関220、保証人端末230が含まれる。
【0014】
支払不能通知装置210は、保証人へ、電子記録債権が支払不能となったことを通知するための装置である。支払不能通知装置210は、本発明に係るサービスを提供する金融機関に設置される。支払不能通知装置210は、電子債権記録機関220および保証人端末230のそれぞれと、データの送受信をすることができる。支払不能通知装置210には、支払不能情報受信部211、電子記録債権情報要求部212、電子記録債権情報受信部213、保証人抽部214、通知先抽出部215、支払不能通知部216、顧客データベース217が含まれる。支払不能通知装置210は、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータである。また、支払不能通知装置210は、支払不能情報受信部211、電子記録債権情報要求部212、電子記録債権情報受信部213、保証人抽部214、通知先抽出部215、支払不能通知部216を動作させるためのプログラム、または、後述する処理フローを実行するためのプログラム、を格納した記憶媒体を含む。
【0015】
支払不能情報受信部211は、電子債権記録機関220から、支払不能となった電子記録債権の識別子(電子記録債権識別子ともいう)を示すデータを受信することができる。具体的には、全銀電子債権ネットワークでは、電子記録債権が支払期日までに決済されないと、支払期日の3営業日後に、支払不能が確定する。そのため、例えば、支払不能情報受信部211は、電子債権記録機関220から、支払期日の3営業日後に、支払不能となった電子記録債権の識別子を示すデータを受信することができる。電子記録債権の識別子は、例えば、全銀電子債権ネットワークが付与する「記録番号」である。このように、電子債権記録機関220は、各金融機関(すなわち、支払不能通知装置210)へ、どの電子記録債権が支払不能となったかを通知している。支払不能情報受信部211は、受信した電子記録債権の識別子を示すデータを、電子記録債権情報要求部212が参照できるように、メモリに記録することができる。
【0016】
電子記録債権情報要求部212は、電子債権記録機関220へ、電子記録債権記録機関220から受信した識別子を有する電子記録債権(すなわち、支払不能となった電子記録債権)に関する情報を送信するよう求める要求を送信することができる。具体的には、電子記録債権情報要求部212は、電子債権記録機関220へ、電子記録債権記録機関220から受信した識別子を有する電子記録債権の、電子債権記録機関220内の記録原簿(図示せず)に記録されている情報を送信するよう要求することができる。
【0017】
電子記録債権情報受信部213は、電子債権記録機関220から、要求した電子記録債権に関する情報を示すデータを受信することができる。
図3を参照しながら、電子記録債権情報受信部213が受信する、電子記録債権に関する情報の詳細を説明する。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態にかかる支払不能となった電子記録債権に関する情報を示すデータの一例である。このように、電子記録債権情報受信部213は、支払不能となった電子記録債権の「電子記録債権識別子」、「保証人(「顧客識別子」、「保証人名」、「決済口座」)」、「債務者(「顧客識別子」および「債務者名」の少なくとも1つ)」、「債権者(「顧客識別子」および「債権者名」の少なくとも1つ)」、「債権金額」、「支払期日」等を示すデータを受信することができる。
【0019】
「電子記録債権識別子」は、電子記録債権ごとに付与された識別子である。上記のとおり、「電子記録債権識別子」は、例えば、全銀電子債権ネットワークが付与する「記録番号」である。
【0020】
「保証人」、「債務者」、「債権者」のそれぞれに付与された「顧客識別子」は、電子債権記録機関220を利用する顧客ごとに付与された識別子である。「顧客識別子」は、例えば、全銀電子債権ネットワークが付与する「利用者番号」である。なお、全銀電子債権ネットワークを利用する顧客は、どの金融機関を通じて全銀電子債権ネットワークを利用する場合であっても、その顧客に付与された同一の「利用者番号」を用いる。
【0021】
「保証人」は、電子債権記録機関220内の記録原簿(図示せず)に、その電子記録債権の保証人として記録されている法人等である。1つの電子記録債権に対して、1または複数の保証人が記録されているものとする。保証人は、その電子記録債権を譲渡した譲渡人であり、その「譲渡記録」に随伴して行われた「保証記録」において保証人として記録されている。保証人の「顧客識別子」は、その保証人に付与された顧客識別子である。「保証人名」は、その保証人の名称等である。
【0022】
「決済口座」は、その電子記録債権の「保証記録」において、保証人の決済口座として記録されている口座である。顧客は、複数の金融機関を通じて、全銀電子債権ネットワークを利用することができる。また、顧客は、それぞれの金融機関において、複数の口座を「決済口座」用に登録しておくことができる。そして、それぞれの記録(「発生記録」、「譲渡記録」、「保証記録」等)において、登録しておいた複数の口座のうちの1つが「決済口座」として記録される。したがって、保証人の「決済口座」には、支払不能通知装置210が設置された金融機関とは別の金融機関で開設された口座も含まれている。
【0023】
ここで、保証人の決済口座が「保証記録」に記録される方法について説明する。例えば、
図1の場合、A 101を債務者、B 102を債権者とする電子記録債権の「発生記録」が行なわれる(110)。この「発生記録」には、A 101の決済口座およびB 102の決済口座が記録される。次に、その電子記録債権をB 102からC 103へ譲渡する「譲渡記録(1回目)」が行なわれる(120)。この「譲渡記録(1回目)」には、譲受人(すなわち、C 103)の決済口座が記録される(譲渡人であるB 102の決済口座は記録されない)。この「譲渡記録(1回目)」に随伴して、譲渡人であるB 102を保証人とする「保証記録」が行なわれる(120)。この「保証記録」には、保証人であるB 102の決済口座(すなわち、「発生記録」に記録されているB 102の決済口座)が記録される。次に、その電子記録債権をC 103からD 104へ譲渡する「譲渡記録(2回目)」が行なわれる(130)。この「譲渡記録(2回目)」には、譲受人(すなわち、D 104)の決済口座が記録される(譲渡人であるC 103の決済口座は記録されない)。この「譲渡記録(2回目)」に随伴して、譲渡人であるC 103を保証人とする「保証記録」が行なわれる(130)。この「保証記録」には、保証人であるC 103の決済口座(すなわち、「譲渡記録(1回目)」に記録されているC 103の決済口座)が記録される。その後、「譲渡記録(3回目)」以降も「譲渡記録(2回目)」と同様に行われる。このように、保証人の決済口座が「保証記録」に記録される。
【0024】
「債務者」は、電子債権記録機関220内の記録原簿(図示せず)に、その電子記録債権の債務者として記録されている法人等である。債務者の「顧客識別子」は、その債務者に付与された顧客識別子である。「債務者名」は、その債務者の名称等である。
【0025】
「債権者」は、電子債権記録機関220内の記録原簿(図示せず)に、その電子記録債権の債権者(すなわち、支払不能が確定した時点での債権者)として記録されている法人等である。債権者の「顧客識別子」は、その債権者に付与された顧客識別子である。「債権者名」は、その債権者の名称等である。
【0026】
「債権金額」は、その電子記録債権の金額である。すなわち、保証人が債務者に代わって弁済しなければならない金額である。
【0027】
「支払期日」は、債務者が債権者に支払わなければならなかった期日である。
【0028】
図2に戻る。電子記録債権情報受信部213は、電子債権記録機関220から受信した電子記録債権に関する情報を示すデータを、保証人抽出部214が参照できるように、メモリに記録することができる。
【0029】
保証人抽出部214は、電子債権記録機関220から受信した電子記録債権に関する情報の中から、「決済口座」が支払不能通知装置210が設置された金融機関で開設された口座である保証人を抽出することができる。すなわち、上記のとおり、保証人の「決済口座」には、支払不能通知装置210が設置された金融機関とは別の金融機関で開設された口座も含まれている。そのため、本発明に係るサービスを提供する金融機関(すなわち、支払不能通知装置210が設置された金融機関)で開設された口座を決済口座としている保証人を抽出して、それらの保証人に対して、電子記録債権が支払不能となったことを通知する。具体的には、保証人抽出部214は、受信した電子記録債権に関する情報を示すデータ内で、全ての電子記録債権の全ての保証人の「決済口座」のうち、支払不能通知装置210が設置された金融機関で開設された口座を特定することができる。また、保証人抽出部214は、特定した「決済口座」を有する保証人の「顧客識別子」を特定することができる。例えば、
図3の場合、支払不能通知装置210が設置された金融機関がJ銀行であるとすると、BとCとFの顧客識別子(「111111111」「222222222」「666666666」)が特定される。保証人抽出部214は、特定した「顧客識別子」、その「顧客識別子」を有する法人等が保証人となっている電子記録債権の「電子記録債権識別子」、「債務者(「顧客識別子」および「債務者名」の少なくとも1つ)」、「債権者(「顧客識別子」および「債権者名」の少なくとも1つ)」、「債権金額」、「支払期日」を示すデータを、通知先抽出部215が参照できるように、メモリに記録することができる。
【0030】
顧客データベース217は、支払不能通知装置210が設置された金融機関を通じて電子債権記録機関220を利用する契約を、その金融機関と結んでいる顧客に関する情報を格納したデータベースである。
図4を参照しながら、顧客データベース217の詳細を説明する。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態にかかる顧客データベース217の一例である。顧客データベース217には、顧客ごとの「顧客識別子」、「顧客名」、「通知先」等を示すデータが格納されている。上記のとおり、「顧客識別子」は、電子債権記録機関220を利用する顧客ごとに付与された識別子である。「顧客識別子」は、例えば、全銀電子債権ネットワークが付与する「利用者番号」である。「顧客名」は、その顧客の名称等である。「通知先」は、例えば、
図4のように、その顧客が用いているメールアドレスである。あるいは、「通知先」は、例えば、電子債権記録機関220を利用するためのシステムにログインする際に用いるIDである(図示せず)。すなわち、メールで通知することもできるし、電子債権記録機関220を利用するためのシステムのサービス画面上で通知することもできる。
【0032】
図2に戻る。通知先抽出部215は、保証人の通知先を抽出することができる。具体的には、通知先抽出部215は、顧客データベース217内で、保証人抽出部214によって抽出された「顧客識別子」(すなわち、支払不能通知装置210が設置された金融機関で開設された口座を決済口座としている保証人の「顧客識別子」)を有する顧客の「通知先」を特定することができる。通知先抽出部215は、特定した「通知先」、その「顧客識別子」を有する法人等が保証人となっている電子記録債権の「電子記録債権識別子」、「債務者(「顧客識別子」および「債務者名」の少なくとも1つ)」、「債権者(「顧客識別子」および「債権者名」の少なくとも1つ)」、「債権金額」、「支払期日」を示すデータを、支払不能通知部216が参照できるように、メモリに記録することができる。
【0033】
支払不能通知部216は、通知先抽出部215によって抽出された「通知先」に基づいて、電子債権記録機関220から受信した「電子記録債権識別子」を有する電子記録債権が支払不能となったことを通知することができる。具体的には、支払不能通知部216は、通知先抽出部215によって抽出された「通知先(メールアドレス)」宛てに、電子債権記録機関220から受信した「電子記録債権識別子」を示すデータを送信することができる。また、支払不能通知部216は、電子債権記録機関220から受信した「電子記録債権識別子」を示すデータと共に、その電子記録債権の「債務者(「顧客識別子」および「債務者名」の少なくとも1つ)」、「債権者(「顧客識別子」および「債権者名」の少なくとも1つ)」、「債権金額」、「支払期日」を示すデータの少なくとも1つを送信することができる。あるいは、支払不能通知部216は、通知先抽出部215によって抽出された「通知先(ID)」で電子債権記録機関220を利用するためのシステムにログインされた場合に、電子債権記録機関220から受信した「電子記録債権識別子」をサービス画面上で表示させることができる。また、支払不能通知部216は、電子債権記録機関220から受信した「電子記録債権識別子」と共に、その電子記録債権の「債務者(「顧客識別子」および「債務者名」の少なくとも1つ)」、「債権者(「顧客識別子」および「債権者名」の少なくとも1つ)」、「債権金額」、「支払期日」の少なくとも1つをサービス画面上で表示させることができる。
【0034】
電子債権記録機関220は、電子記録債権の発生記録、譲渡記録、保証記録等を記録原簿(図示せず)へ記録することができる。例えば、電子債権記録機関220は、全銀電子債権ネットワークである。電子債権記録機関220は、支払不能情報受信部211へ、支払不能となった電子記録債権の識別子を示すデータを送信することができる。例えば、電子債権記録機関220は、支払不能情報受信部211へ、支払期日の3営業日後に、支払不能となった電子記録債権の識別子を示すデータを送信することができる。また、電子債権記録機関220は、電子記録債権情報要求部212から、送信した識別子を有する電子記録債権(すなわち、支払不能となった電子記録債権)に関する情報を送信するよう求める要求を受信することができる。また、電子債権記録機関220は、電子記録債権情報受信部213へ、要求された電子記録債権に関する情報を示すデータを送信することができる。
【0035】
保証人端末220は、電子記録債権が支払不能となったことの通知を受けるための端末である。保証人端末220は、支払不能通知装置210から、保証人端末220を有する法人等が保証人となっている電子記録債権が支払不能となったことを通知するデータを受信することができる。保証人端末220は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態にかかる支払不能通知装置210における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0037】
ステップ501で、支払不能通知装置210は、電子債権記録機関220から、支払不能となった電子記録債権の識別子(電子記録債権識別子ともいう)を示すデータを受信する。
【0038】
ステップ502で、支払不能通知装置210は、電子債権記録機関220へ、ステップ501で受信した識別子を有する電子記録債権(すなわち、支払不能となった電子記録債権)に関する情報を送信するよう求める要求を送信する。
【0039】
ステップ503で、支払不能通知装置210は、電子債権記録機関220から、ステップ502で要求した電子記録債権に関する情報を示すデータを受信する。
【0040】
ステップ504で、支払不能通知装置210は、ステップ503で受信した電子記録債権に関する情報の中から、「決済口座」が支払不能通知装置210が設置された金融機関で開設された口座である保証人を抽出する。
【0041】
ステップ505で、支払不能通知装置210は、顧客データベース217内で、ステップ504で抽出した保証人の通知先を抽出する。
【0042】
ステップ506で、支払不能通知装置210は、ステップ505で抽出した保証人の通知先に基づいて、ステップ501で受信した電子記録債権の識別子を通知する。さらに、支払不能通知装置210は、ステップ501で受信した電子記録債権の識別子と共に、ステップ503で受信した電子記録債権に関する情報のうちの少なくとも1つを通知する。
【0043】
このように、本発明では、電子記録債権が支払不能となったことを保証人へ通知することができる。そのため、保証人も、債権者や債務者と同様に、支払不能が確定した後すみやかに、電子記録債権が支払不能となったことを知ることができる。したがって、保証人は、その電子記録債権の債権者から弁済を求められる前に、電子記録債権が支払不能となったことを把握しておくことができる。
【0044】
また、手形は紙であるため、裏書人(裏書譲渡した者)に手形が不渡りになったことを通知する術がなかったが、電子記録債権においては、本発明を実施することにより、保証人に電子記録債権が支払不能となったことを通知することができるようになる。
【0045】
ここまで、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまで一例であり、本発明は上述した実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0046】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0047】
210 支払不能通知装置
211 支払不能情報受信部
212 電子記録債権情報要求部
213 電子記録債権情報受信部
214 保証人抽出部
215 通知先抽出部
216 支払不能通知部
217 顧客データベース
220 電子債権記録機関
230 保証人端末
【要約】 (修正有)
【課題】電子記録債権の保証人が、電子記録債権の支払不能が生じたことを知ることができる、装置、方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】保証人の識別子と通知先とを格納したデータベース217と、電子債権記録機関220から、支払不能となった電子記録債権の識別子を受信する手段211と、電子債権記録機関へ、受信した識別子を有する電子記録債権に関する情報を送信するよう求める要求を送信する手段212と、電子債権記録機関から、要求した電子記録債権に関する情報を受信する手段213と、受信した電子記録債権に関する情報から、特定の金融機関の決済口座を有する保証人の識別子を抽出する手段214と、データベース内で抽出した保証人の識別子に対応する通知先を抽出する手段215と、抽出した通知先に基づいて、支払不能となった電子記録債権の識別子を通知する手段216とを備える。
【選択図】
図2