(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の電極を有する静電容量形の検出センサであって、前記電極の周辺に存在する物質の誘電率に応じて出力値が変化する検出センサの複数個を、一列に配設して構成されるレベルセンサと、
前記レベルセンサを、前記検出センサの配設方向が液体の深さ方向と一致するように、該液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位との相関を定義する相関パラメータを記憶したパラメータ記憶部と、
前記レベルセンサの各検出センサからの出力を受信し、受信した各検出センサの出力値と、前記パラメータ記憶部に記憶された相関パラメータとを基に、前記レベルセンサに対する前記液体の液位を推定する液位推定部とを備えて構成され、
前記相関パラメータは、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位とを基に、機械学習によって予め取得され、前記パラメータ記憶部に格納されていることを特徴とする液位検出装置。
前記相関パラメータは、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位とを基に、データマイニングに適用されるニューラルネットワークを用いた、バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって予め取得され、前記パラメータ記憶部に格納されていることを特徴とする請求項1記載の液位検出装置。
一対の電極を有する静電容量形の検出センサであって、前記電極の周辺に存在する物質の誘電率に応じて出力値が変化する検出センサの複数個を、一列に配設して構成されるレベルセンサを、前記検出センサの配設方向が液体の深さ方向と一致するように、該液体中に浸漬した後、
前記レベルセンサの各検出センサから出力される出力値、並びに前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位との相関を定義した相関パラメータに基づいて、前記レベルセンサに対する前記液体の液位を推定するようにし、
前記相関パラメータは、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位とを基に、機械学習によって予め取得されることを特徴とする液位検出方法。
前記相関パラメータは、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位とを基に、データマイニングに適用されるニューラルネットワークを用いた、バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって予め取得されることを特徴とする請求項4記載の液位検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した従来の静電容量形レベル測定装置では、測定対象である液体の誘電率に応じて、電極間を流れる交流電流の大きさが異なるため、正確な液位を測定するためには、測定対象の液体を変更するたびに、キャリブレーションによって、出力信号を較正しなければならないという問題があった。例えば、水とオイルの液位を測定する場合、水の誘電率(比誘電率)は約80であり、一方、オイルの誘電率(比誘電率)は略2〜3であるため、同じ液位であっても、測定対象が水の場合と、オイルの場合とでは、前記電極間で流れる交流電流の値が大きく異なるのである。
【0007】
このように、従来の静電容量形レベル測定装置においては、測定対象の液体に応じて、前記電極から出力される信号を較正する必要があり、そのキャリブレーションに相応の時間と労力を要するため、その扱い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
また、工作機械の分野では、加工領域内にクーラントを供給するクーラント供給装置が使用されているが、クーラントが水溶性のものである場合には、その液位を、上記従来の静電容量形レベル測定装置によって測定する際には、頻繁にキャリブレーションを行わなければならないという問題があった。即ち、この場合、前記水溶性のクーラントは、工作機械の稼働部で使用される潤滑油が混入することが多い環境下にあり、混入する潤滑油は時間とともに増大するため、測定対象としてのクーラントは、潤滑油の混入状態に応じて、その誘電率(比誘電率)が刻々と変化し、また、その変化の状態も一律ではなく多様性を持ったものとなる。したがって、このようなクーラントの液位を正確に測定するには、頻繁なキャリブレーションが必要であり、従来、その作業は極めて煩わしく、面倒であった。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、測定対象たる液体の種類や異物の混入状態が変化する場合でも、測定の都度キャリブレーションを行う必要がない、液位検出方法及び液位検出装置、並びにこの液位検出装置を備えた工作機械の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係る方法発明は、
一対の電極を有する静電容量形の検出センサであって、前記電極の周辺に存在する物質の誘電率に応じて出力値が変化する検出センサの複数個を、一列に配設して構成されるレベルセンサを、液体中に浸漬した後、
前記レベルセンサの各検出センサから出力される出力値、並びに前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位との相関を定義した相関パラメータに基づいて、前記レベルセンサに対する前記液体の液位を推定するようにした液位検出方法に係る。
【0011】
また、本発明に係る装置発明は、
一対の電極を有する静電容量形の検出センサであって、前記電極の周辺に存在する物質の誘電率に応じて出力値が変化する検出センサの複数個を、一列に配設して構成されるレベルセンサと、
前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位との相関を定義する相関パラメータを記憶したパラメータ記憶部と、
前記レベルセンサの各検出センサからの出力を受信し、受信した各検出センサの出力値と、前記パラメータ記憶部に記憶された相関パラメータとを基に、前記レベルセンサに対する前記液体の液位を推定する液位推定部とを備え液位検出装置に係る。
【0012】
本発明者等は、まず、前記検出センサの複数個を一列に配設したレベルセンサを作成し、このレベルセンサを液中に浸漬して、各検出センサから出力される出力値を比較することによって、液体の種類や液体への異物の混入状態に関わりなく、その液位を検出することができるものと考えた。即ち、液中に浸漬された検出センサからの出力値(即ち、液体が有する誘電率に応じた出力値)と、液外にある検出センサからの出力値(即ち、空気の誘電率に応じた出力値)とは、その値が大きく異なるものと想定され、このように出力値が大きく異なる検出センサ間に液体表面(液位)が存在すると考えたからである。
【0013】
ところが、各検出センサから出力される出力値は、液位によって全体的に変化するものの、当該出力値に、液位を識別可能な程度の顕著な差、即ち、有意差はなく、このため、前記各検出センサの出力値自体から、直ちに、液位を推定するのは困難であるとの知見に至った。尚、これは一列に配置された電極対および電極対からの配線間の相互干渉によるものと考えられ、配線間のシールド等により改善が期待されるが、完全に排除することは不可能であり、また、コストアップになる。
【0014】
その一方、各検出センサから出力される出力値は、その全体的な大きさを含め、液位に応じた出力パターンを有することが判明した。そして、この出力パターンから、液位を推定可能であると考えられた。尚、当然のことながら、上述した補助電極及び主電極の2つの電極から構成される従来の静電容量形レベル測定装置では、このような出力パターンは得られない。
【0015】
そこで、本発明では、まず、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位との相関を定義した相関パラメータを予め求めて、得られた相関パラメータに係るデータをパラメータ記憶部に記憶しておき、前記液位推定部において、前記レベルセンサを液中に浸漬した状態で前記各検出センサから出力される出力値と、前記パラメータ記憶部に記憶された相関パラメータとを基に、前記レベルセンサに対する前記液体の液位を推定するようにした。
【0016】
前記相関パラメータは、液体の種類とその液位に応じた前記各検出センサからの出力パターンと、液体に異物が混入される混入状態とその液位に応じた前記各検出センサからの出力パターンとから求められるパラメータであって、液体の種類や液体に異物が混入される混入状態に依らず、言い換えれば、どのような種類の液体であっても、また、液体に異物が混入される混入状態がどのような状態であっても、各検出センサからの出力値に対応した液位を一意的に導くためのパラメータである。
【0017】
斯くして、本発明によれば、前記液位推定部において、前記レベルセンサを液中に浸漬した状態で前記各検出センサから出力される出力値と、前記パラメータ記憶部に記憶された相関パラメータとから、液体の種類や液体に異物が混入される混入状態に依らず、測定対象の液体の液位を推定することができる。
【0018】
以上のように、本発明によれば、想定される液体の種類、また、異物の混入状態に応じた相関データを得る作業に時間を要するものの、一度、この相関データから相関パラメータを取得することができれば、後は、煩わしく面倒なキャリブレーション作業を行う必要なく、測定対象の液体の液位を推定することができる。
【0019】
尚、前記レベルセンサを液体中に浸漬させる態様としては、常識的には、その前記検出センサの配列方向を、液体の深さ方向に一致させるのが好ましいが、液位を検出することができるのであれば、多少斜めに浸漬されていても問題はない。
【0020】
前記相関パラメータは、各検出センサからの出力値と実際の液位との相関を定義するものであり、これを人間が試行錯誤で設定することは不可能に近いため、この相関パラメータは、機械学習によって設定するのが好ましい。
【0021】
また、機械学習の中でもデータマイニングによるのが好ましい。データマイニングは、多量なデータを、統計・数学技法を用いて解析することにより、有益な新しい傾向、パターン、相関関係などを発見する処理を意味し、頻出パターン抽出、クラス分類、回帰分析、クラスタリングなどの解析手法に大別される。
【0022】
そして、近年では、ディープラーニング等のニューラルネットワークモデルの学習方式の進歩によって、前記相関パラメータ、即ち、液位を推定するアルゴリズムを、機械学習によって取得することができるようになったものであり、正確な前記相関パラメータを容易に得ることができる。具体的には、前記相関パラメータは、前記レベルセンサを前記液体中に浸漬させたときに、前記各検出センサから出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサに対する前記液体の実際の液位とを基に、データマイニングに適用されるニューラルネットワークを用いた、バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって予め取得され、前記パラメータ記憶部に格納される。
【0023】
そして、上述した液位検出装置は、工作機械の、例えば、クーラント供給装置に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、想定される液体の種類、また、異物の混入状態に応じた、各検出センサからの出力値と液位との相関データを得る作業に時間を要するものの、一度、この相関データから相関パラメータを所得することができれば、後は、煩わしく面倒なキャリブレーション作業を行う必要なく、測定対象の液体の液位を推定することができる。
【0025】
また、相関パラメータを、機械学習、中でもニューラルネットワークモデルを用いたデータマイニング手法によって算出するようにすれば、液体の種類に応じて異なり、また、液体に異物が混入される場合にはその混入状態に応じて異なる、前記液体の液位と前記各検出センサからの出力値との複雑で難解な相関関係(相関パラメータ)を、正確に、しかも容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械を示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るレベルセンサを示した平面図である。
【
図3】本実施形態に係るレベルセンサの構成を示した回路図である。
【
図4】測定対象の液体が水溶性のクーラントである場合に、レベルセンサから出力される電圧値と実際の液位との関係を示した表である。
【
図6】測定対象の液体が油性のクーラントである場合に、レベルセンサから出力される電圧値と実際の液位との関係を示した表である。
【
図8】
図5のグラフと
図7のグラフとを合成したグラフである。
【
図9】本実施形態におけるニューラルネットワークモデルを示した概念図である。
【
図10】本実施形態のニューラルネットワークモデルにおける演算アルゴリズムを示した説明図である。
【
図11】本実施形態に係る相関パラメータを示した表である。
【
図12】本実施形態に係る相関パラメータを示した表である。
【
図13】本実施形態に係る相関パラメータを示した表である。
【
図14】本実施形態に係る相関パラメータを示した表である。
【
図15】液位推定について説明するための一例に係る入力電圧データを示した表である。
【
図17】入力値x
iと重み係数hw
i,j(相関パラメータ)との積を取った演算結果を示す表である。
【
図18】Σx
i・hw
i,jに従った演算結果を示す表である。
【
図19】u
j=(Σx
i・hw
i,j)+v
jに従った演算結果を示す表である。
【
図20】z
j=1/(1+exp(−u
j))に従った算出結果を示す表である。
【
図21】出力z
jと重み係数kw
j(相関パラメータ)との積を取った演算結果を示す表である。
【
図22】U=(Σz
j・kw
j)+kvに従った演算結果を示す表である。
【
図23】Z=1/(1+exp(−U))に従った演算結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態に係る工作機械について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本例の工作機械1は、運動機構部3にクーラントCを供給するクーラント供給装置2を備えている。尚、運動機構部3は、特に限定されるものではなく、旋盤、マシニングセンタ、研削盤、ホブ盤やブローチ盤などの公知のあらゆる工作機械の運動機構部が該当する。
【0028】
前記クーラント供給装置2は、クーラントCを貯留するタンク25と、一端がタンク25内に接続され、他端が前記運動機構部3の加工領域内に接続される供給管26と、この供給管26の途中に介在する供給ポンプ27と、一端が同じく運動機構部3の加工領域内に接続され、他端が前記タンク25内に接続される回収管28と、前記タンク25内のクーラントCの液位を検出する液位検出装置10とから構成される。
【0029】
このクーラント供給装置2では、前記供給ポンプ27を駆動することにより、タンク25内のクーラントCが、供給管26を通して運動機構部3の加工領域内に供給され、加工領域内に供給されたクーラントCが回収管28を通して、タンク25内に回収される。
【0030】
前記液位検出装置10は、タンク25内における前記クーラントCの液位を検出する装置であり、タンク25内に配設されるレベルセンサ11、このレベルセンサ11から出力されるデータを処理するデータ処理装置15及びこのデータ処理装置15によって処理された結果を表示する表示装置20から構成される。
以下、この液位検出装置10を構成する各部の詳細について説明する。
【0031】
[レベルセンサ]
前記レベルセンサ11は、
図2及び
図3に示すように、電極部12及び信号生成部13からなる。電極部12は、一対の電極を有する静電容量形の9個の検出センサS1〜S9を有し、これらを一対の電極の並設方向と直交する方向に一列且つ等間隔に配列して、適宜保持板に固定するとともに、全体を樹脂で被覆した構成を備えており、各検出センサS1〜S9を構成する各電極は、それぞれ信号線によって前記信号生成部13に接続されている。尚、本例では9個の検出センサS1〜S9を備えているが、検出センサを設ける個数は、液位検出する間隔に応じて適宜設定すれば良く、これより多くても少なくても良い。
【0032】
前記信号生成部13は、
図3に示すように、発振回路、アナログマルチプレクサ、倍電圧検波回路、オペアンプ及びA/D変換器から構成される。発振回路は、例えば、4[MHz]の高周波電圧(交流信号)を各検出センサS1〜S9の電極間にそれぞれ印加し、各電極間を流れた高周波電流(交流信号)が前記アナログマルチプレクサに出力される。因みに、印加する高周波電圧の周波数をf[Hz]、電圧をVc[V]とし、各電極の静電容量をC[F]とすると、各電極間を流れる電流i[A]はそれぞれ次式となる。
i=2πf×C×Vc
【0033】
前記アナログマルチプレクサは、入力された各検出センサS1〜S9からの出力信号(交流信号)を択一的に倍電圧検波回路に出力し、この倍電圧検波回路では、交流信号を直流信号に変換した後、オペアンプに出力する。尚、倍電圧検波回路から出力される各直流信号の電圧値Vo[V]は、倍電圧検波回路の負荷抵抗をR[Ω]として、次式で表わされる。
Vo=iR=2πf×C×Vc×R
【0034】
次に、オペアンプでは入力された直流信号(電圧信号)をインピーダンス変換し、ついで、A/D変換器によってアナログ信号をデジタル信号に変換した後、その電圧値のデジタルデータを出力する。
【0035】
前記信号生成部13は、以上のようにして、各検出センサS1〜S9からの出力信号を電圧信号に変換して、そのデジタル値を外部に出力する処理を行う。尚、各検出センサS1〜S9から出力される出力値は、当該各一対の電極の周辺に存在する物質、即ち、測定対象の液体と空気との誘電率に応じて変化する。
【0036】
そして、以上の構成を備えたレベルセンサ11は、
図1に示すように、前記検出センサS1〜S9の配列方向が深さ方向と一致するように、その電極部12がクーラントC中に浸漬された状態で、タンク25内に配設される。
【0037】
斯くして、このレベルセンサ11によれば、検出センサS1〜S9から、レベルセンサ11に対するクーラントCの液位に応じた出力値が得られる。即ち、液中に浸漬された検出センサからの出力値(即ち、液体が有する誘電率に応じた出力値)と、液外にある検出センサからの出力値(即ち、空気の誘電率に応じた出力値)とは、その値が異なり、各検出センサS1〜S9からの出力は、クーラントCの液位に応じた出力を示す。
【0038】
そして、本発明者等は、液中に浸漬された検出センサからの出力値と、液外にある検出センサからの出力値とは、その値が大きく異なると想定したが、実際には、各検出センサS1〜S9からの出力値に、液位を直ちに判断し得る程度の有意差は存在しなかった。尚、これは一列に配置された電極対および電極対からの配線間の相互干渉によるものと考えられ、配線間のシールド等により改善が期待されるが、完全に排除することは不可能であり、また、コストアップになる。
【0039】
図4及び
図5に、クーラントCが水溶性である場合の、各液位における前記検出センサS1〜S9に対応した出力電圧を示し、
図6及び
図7に、クーラントが油性、即ちオイルである場合の、各液位における前記検出センサS1〜S9に対応した出力電圧を示している。液位1〜液位9は、その数字に対応した検出センサが半分クーラントCに浸漬される液位を意味しており、例えば、液位9は検出センサS9が半分浸漬される液位であり、液位8は検出センサS8が半分浸漬される液位である。また、液位0は、全ての検出センサS1〜S9がクーラントC外にある、即ち、クーラントCの液位が検出センサS1よりも下方にある場合である。
【0040】
図4は、各液位0〜9における、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧を示す表であり、
図5は、これをグラフにしたものである。同様に、
図6は、各液位0〜9における、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧を示す表であり、
図7は、これをグラフにしたものである。
【0041】
図5及び
図7から分かるように、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧は、液位によって全体的に変化するものの、このデータから直ちに液位を判別するのは困難である。特に、
図7に示した油性のクーラントCの場合には、全体的な変化も小さく、より判別が困難である。
【0042】
また、
図8には、
図5に示した水溶性のクーラントCのグラフ(実線で示したグラフ)と、
図7に示した油性のクーラントCのグラフ(破線で示したグラフ)とを合成したグラフを示しているが、このグラフから分かるように、油性のクーラントCの場合には、その変化量が小さく、また、その殆どが、水溶性のクーラントCの液位0〜液位3のデータと重複しており、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧値から直ちにクーラントCの種類に応じた液位を推定することは困難である。
【0043】
また、本例のクーラント供給装置2において、クーラントCに水溶性のものを用いる場合、運動機構部3内において、当該運動機構部3で使用される潤滑油がクーラントCに混入される状態にあり、この状態でクーラントCが回収されるタンク25では、クーラントC内に混入される潤滑油の濃度が、時間とともに増大する状態にある。ところが、上述したように、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧は、測定対象の液体が水の場合とオイルの場合とで、大きく異なるため、水溶性クーラントCに混入される潤滑油の濃度が時間とともに増大すると、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧が、時間とともに減少することになり、この面でも、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧から直ちにクーラントCの液位を推定することは困難である。
【0044】
その一方、
図5及び
図7から分かるように、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧は、その全体的な大きさを含め、各液位に応じた出力パターンを有している。そして、この出力パターンから、液位を推定可能であると考えられる。
【0045】
以上のように、本例のレベルセンサ11によれば、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧から、直ちに、測定対象の液体に応じた液位を推定することは困難であるが、各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧は、測定対象の液体の種類及びその液位に応じた出力パターンを有している。したがって、本発明者等は、測定対象の液体の種類と、その液位に応じた、各検出センサS1〜S9からの出力電圧との間には、一定の相関があると考え、この相関を定義する相関パラメータを取得することによって、当該相関パラメータと各検出センサS1〜S9からの出力電圧とを基に、測定対象の液体の液位を推定可能であると考えた。
【0046】
そして、本例では、前記データ処理装置15により、ニューラルネットワークモデルを用いた機械学習によって、予め前記相関パラメータを取得し、この相関パラメータと、前記レベルセンサ11から出力される各検出センサS1〜S9に対応した出力電圧とを基に、前記タンク25内のクーラントCの液位を推定するようにした。次に、このデータ処理装置15について詳しく説明する。
【0047】
[データ処理装置]
前記データ処理装置15は、
図1に示すように、液位推定部16及びパラメータ記憶部17から構成される。
【0048】
前記パラメータ記憶部17には、前記レベルセンサ11を液体中に浸漬させたときに、各検出センサS1〜S9から出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサ11に対する前記液体の実際の液位との相関を定義する相関パラメータが予め取得され、予め取得された相関パラメータが外部から入力されて格納される。
【0049】
この相関パラメータは、様々な種類の液体や、ある液体に異物が混入される場合には、その様々な混入状態の液体について、一様に適用し得るパラメータであり、このような様々な種類の液体や、様々な異物混入状態の液体について、前記レベルセンサ11を液体中に浸漬させたときに、各検出センサS1〜S9から出力される出力値と、この出力値に応じた、前記レベルセンサ11に対する前記液体の実際の液位との相関データを予め取得しておき、取得された多数の相関データを基に、データマイニングに適用されるニューラルネットワークを用いた、バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって算出される。
【0050】
まず、相関パラメータの算出処理について、
図9及び
図10に基づいて説明する。
図9は、本例におけるニューラルネットワークモデルを示した概念図であり、図中、S1〜S9は、前記検出センサS1〜S9に対応している。また、
図10は、このニューラルネットワークモデルにおける演算アルゴリズムを示した説明図である。
【0051】
この
図10に示したアルゴリズムでは、入力層のx
1〜x
iは、それぞれ検出センサS1〜S9の出力電圧値に対応している。したがって、本例では、i=9である。また、hw
i,j及びkw
jは重み係数であり、v
j及びkvは反応感度としての閾値である。そして、中間層における出力z
jは、以下の数式1によって算出される。
(数式1)
z
j=f((Σhw
i,j・x
i)+v
j)
また、出力層における出力Zは、以下の数式2によって算出される。
(数式2)
Z=f((Σkw
j・z
j)+kv)
尚、前記出力z
j及びZは、以下の数式3によって表されるシグモイド関数によって変換される。
(数式3)
f(u)=1/(1+exp(−u))
【0052】
そして、上記のようにして予め取得した様々な種類の液体や、様々な異物混入状態の液体についての、各検出センサS1〜S9からの出力値と液位との相関データを基に、上記アルゴリズムを用い、中間層の各層の数やその階層を適宜設定した後、上記バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって、前記相関パラメータとして前記重み係数hw
i,j及びkw
j、並びに閾値v
j及びkvを算出する。そして算出した相関パラメータを、それぞれ前記パラメータ記憶部18に格納する。
図11には、このようにして算出される重み係数hw
i,jに係るデータの一例を示し、
図12には、閾値v
jに係るデータの一例を示し、
図13には、重み係数kw
jに係るデータの一例を示し、
図14には、閾値kvに係るデータの一例を示している。尚、中間層の個数jは任意であり、一般的には、中間層の個数jが多いほど感度は良くなるが、処理時間が長くなるという問題もあるので、適宜適切な値に設定するのが好ましい。
【0053】
尚、本例のバックプロパゲーションによる教師有り機械学習は、上述の予め取得された相関データである各検出センサS1〜S9からの出力値を、
図10に示したアルゴリズムの入力値x
iとして入力するとともに、適宜重み係数hw
i,j,kw
j、及び閾値v
j,kvを設定して得られる出力値と、真の値(液位)とを比較し、その差分を減らすように、即ち、収束させるように、重み係数hw
i,j,kw
j、及び閾値v
j,kvを変更する作業を繰り返すことによって、相関パラメータである重み係数hw
i,j,kw
j、及び閾値v
j,kvの最適値を設定するというものである。
【0054】
前記液位推定部16は、前記レベルセンサ11の信号生成部13から出力される各検出センサS1〜S9の出力電圧値を受信し、受信した出力電圧値と前記パラメータ記憶部17に格納された相関パラメータ、即ち、重み係数hw
i,j及びkw
j、並びに閾値v
j及びkvとを用いて、クーラントCの液位を推定する。具体的には、上述した数式1〜3を用いてクーラントCの液位を推定する。
【0055】
例えば、各検出センサS1〜S9の出力電圧値が、
図15に示すような値であるとすると、前記液位推定部16は、この値を、事前処理として、各検出センサS1〜S9の最大出力電圧値(本例では、2500mV)で除して、1以下の値にする(
図16参照)。そして、この後、液位推定部16は、
図16に示した値を入力値として、前記パラメータ記憶部17に格納された相関パラメータである重み係数hw
i,j及び閾値v
jを用い、前記数式1及び3に従って、まず、中間層における出力z
jを算出する。尚、
図15に示した出力電圧値は、クーラントCが油性であり、液位が5である場合に、各検出センサS1〜S9から出力された出力電圧値である。
【0056】
前記出力z
jを算出する各演算過程における演算結果を
図17〜
図20に示す。
図17は、
図16に示した入力値x
iと、
図11に示した重み係数hw
i,j(相関パラメータ)との積を取った値、即ち、x
i・hw
i,jの値を示している。また、
図18は、
図17の演算結果を基に、jの1から20について、それぞれx
i・hw
i,jの総和、即ち、Σx
i・hw
i,jの演算結果を示している。また、
図19は、
図18の演算結果を基に、u
j=(Σx
i・hw
i,j)+v
jに従った演算結果を示し、
図20は、
図19の演算結果を基に、z
j=1/(1+exp(−u
j))に従った演算結果を示している。
【0057】
そして、液位推定部16は、上記のようにして算出された中間層の出力z
jを基に、前記パラメータ記憶部17に格納された相関パラメータである重み係数kw
j及び閾値kvを用い、前記数式2及び3に従って、出力層の出力Zを算出する。この出力Zを算出する各演算過程における演算結果を
図21〜
図23に示す。
図21は、
図20に示した中間層の出力z
jと、
図13に示した重み係数kw
j(相関パラメータ)との積を取った値、即ち、z
j・kw
jの値を示している。また、
図22は、
図21の演算結果の総和であるΣz
j・kw
jに閾値kv(相関パラメータ)加えた値、即ち、U=(Σz
j・kw
j)+kvに従った演算結果を示し、
図23は、
図22の演算結果を基に、Z=1/(1+exp(−U))に従った演算結果を示している。
【0058】
そして、最後に、液位推定部16は、
図23で得られた値(Z=0.551210539)に9(=i)を乗じることによって、液位を推定する。この場合、液位は、
Z×9=0.551210539×9≒5
となる。
この
図15〜
図23に示した例からも分かるように、液位推定部16によって推定される液位と、実際の液位とは、同じ値であり、本例の液位検出装置10によれば、正確に液位を推定することができる。
【0059】
そして、このようにして液位推定部16によって推定された液位が、表示装置20に表示される。
【0060】
尚、
図15〜
図23に示した例は、クーラントCが油性である場合の例であるが、本例の液位検出装置10によれば、測定対象の液体が、水溶性のクーラントでも、他の液種のものでも、或いは異物が混入するような液体であっても、同時に機械学習させることにより、共通して使用できる相関パラメータを取得することができ、それを前記データ記憶部17に格納しておけば、前記液位推定部16では、対象液体を変えても、新たに相関パラメータのキャリブレーションを行うことなく液位を推定することができる。尚、液位検出装置10は、従来の液位検出装置に比べて構造が簡単であるので、その製造費用が安価である。
【0061】
斯くして、本例の液位検出装置10によれば、想定される液体の種類、また、異物の混入状態に応じた相関データを得る作業に時間を要するものの、一度、この相関データから相関パラメータを所得することができれば、後は、煩わしく面倒なキャリブレーション作業を行う必要なく、測定対象の液体の液位を推定することができる。
【0062】
また、本例の液位検出装置10では、前記液位推定部16によって推定した液位に係る値を表示装置20に表示するようにしているので、オペレータは、タンク25内のクーラントCの液位を目視することなく、当該クーラントCの液位を認識することができ、便利である。尚、液位推定部16は、推定された液位が基準液位を下回っている場合には、表示装置20にアラームを表示して、オペレータに警告するように構成されていても良い。
【0063】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、上例では、前記相関パラメータを、データマイニングに適用されるニューラルネットワークを用いた、バックプロパゲーションによる教師有り機械学習によって算出したが、相関パラメータを算出するための機械学習法は、何らこれに限定されるものではない。例えば、データマイニングに適用される手法としてのニューラルネットに代えて、SVM(サポートベクターマシン)を適用しても良く、機械学習法もこれに合わせたものを適用することができる。ニューラルネットワークを用いる場合でも、バックプロパゲーションに代えて、遺伝的アルゴリズム等の様々な機械学習法を適用することができる。
【解決手段】一対の電極を有する静電容量形の検出センサであって、電極の周辺に存在する物質の誘電率に応じて出力値が変化する検出センサの複数個を、一列に配設して構成されるレベルセンサ11と、レベルセンサ11を液体C中に浸漬させたときに、各検出センサから出力される出力値と、レベルセンサに対する液体の実際の液位との相関を定義する相関パラメータを記憶したパラメータ記憶部17と、レベルセンサ11の各検出センサからの出力を受信し、受信した各検出センサの出力値と、パラメータ記憶部17に記憶された相関パラメータとを基に、レベルセンサ11に対する液体Cの液位を推定する液位推定部16とを備える。