特許第5965045号(P5965045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965045路線図表示システム、路線図表示方法、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5965045
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】路線図表示システム、路線図表示方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20160721BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160721BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G09B29/00 A
   G01C21/26 P
   G09B29/10 A
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-201070(P2015-201070)
(22)【出願日】2015年10月9日
【審査請求日】2015年11月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】今井 信夫
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−181163(JP,A)
【文献】 特開2003−131562(JP,A)
【文献】 特開2000−020590(JP,A)
【文献】 特開2007−233882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G08G 1/00 − 1/16
G09B 29/00 − 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅又はバス停を表すノード同士を繋ぐリンクを識別するためのリンクコード、複数の前記リンクの組み合わせで構成される路線を識別するための路線コード、及び、前記路線が存在する地域を識別するための地域コードを格納したコード格納手段と、
前記地域毎に存在する複数の前記路線の各々について、当該路線に含まれる複数の前記リンクが、それぞれの地理上の位置、距離及び表示面積毎のノードの過密度に基づいて決定されたサイズの線又は帯で描画可能な路線図を、当該路線コード及び当該地域コードと関連付けて格納した路線図格納手段と、
前記地域コード又は前記路線コードの入力を契機に関連する前記路線図を前記路線図格納手段より読み出し、所定の表示装置に表示させるとともに、表示された路線図に含まれるリンクの表示態様を個別に変更可能に制御する制御手段と、
を備えてなる、路線図表示システム。
【請求項2】
前記路線図が、前記過密度に代えて、前記リンク毎の運行所要時間又は前記表示面積毎のリンク数に基づいて描画される、
請求項1に記載の路線図表示システム。
【請求項3】
前記路線図がその彩度が所定彩度以下で明度が所定明度以上となる淡色で描画されており、前記表示装置に表示される際に、いずれかの前記ノード、前記リンク、又は、前記路線だけが前記制御手段により強調表示される、
請求項1に記載の路線図表示システム。
【請求項4】
前記路線図が前記淡色で描画されており、前記表示装置に表示される際に、いずれかの前記ノード、前記リンク、又は、前記路線だけが前記制御手段により強調表示され、残部が前記淡色で再描画される、
請求項3に記載の路線図表示システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記強調表示される前記ノード、前記リンク又は前記路線を当該路線図が表示されている前記表示装置の画面上で受け付ける、
請求項1、2又は3に記載の路線図表示システム。
【請求項6】
前記強調表示されている部分の路線図だけを部分的に所定のメモリ領域に保存する、
請求項5に記載の路線図表示システム。
【請求項7】
前記路線図の一部又は全部がベクターイメージで描画されており、
前記制御手段は、前記ベクターイメージで描画された部分の表示部分を任意のタイミングで変更可能に表示する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の路線図表示システム。
【請求項8】
前記路線図のうちノード名及び路線名がWebフォントで描画されている、
請求項7に記載の路線図表示システム。
【請求項9】
前記ノード名又は前記路線名の表示領域が、当該ノード毎又は当該路線名毎に案内情報とリンクされており、
前記制御手段は、該表示領域がクリック指示されたことを検知すると前記案内情報を前記路線図に重畳表示させる、
請求項8に記載の路線図表示システム。
【請求項10】
前記表示装置に表示された路線図上の前記ノード、前記リンク、前記路線又は前記案内情報に、文字又は図形を重畳描画するための編集手段をさらに有する、
請求項9に記載の路線図表示システム。
【請求項11】
メモリを有するコンピュータが、
駅又はバス停を表すノード同士を繋ぐリンクを識別するためのリンクコード、複数の前記リンクの組み合わせで構成される路線を識別するための路線コード、及び、前記路線が存在する地域を識別するための地域コードを前記メモリの第1領域に格納する処理と、
さらに、前記地域毎に存在する複数の前記路線の各々について、当該路線に含まれる複数の前記リンクが、それぞれの地理上の位置、距離及び表示面積毎のノードの過密度に基づいて決定されたサイズの線又は帯で描画可能な路線図を、前記第1領域に格納されている当該路線コード及び当該地域コードと関連付けて前記メモリの第2領域に格納する処理と、
前記地域コード又は前記路線コードの入力を契機に関連する前記路線図を前記第2領域より読み出し、所定の表示装置に表示させるとともに、表示された路線図に含まれるリンクの表示態様を個別に変更可能に制御する処理とを実行する、
路線図表示方法。
【請求項12】
メモリを有するコンピュータを、請求項1ないし10のいずれか1項に記載された路線図表示システムとして機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば列車、バス等の公共交通機関の路線図をフレキシブルに表示することができる路線図表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車、バス等の公共交通機関における運行経路の探索技術については、本出願人によって開発された運行経路探索ソフト「駅すぱあと」(登録商標)以来、複数の企業技術者の手により幾多の改良・改善が試みられてきた。従来の経路探索技術では、ユーザにより入力される「出発駅」及び「目的駅」に応じて経路探索が行われる。例えば、特許文献1には、出発駅、目的駅、利用時刻を含む経路探索条件に従い、出発駅から目的駅までの経路探索を行う案内情報提供システムが開示されている。また、特許文献2には、経路探索の結果として得られる最適経路又は選択された候補路線経路のみを抽出した路線図を表示することで、経路探索結果を視覚的に見やすく表示する路線図表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−238980号公報
【特許文献2】特開2008−209164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、路線図表示装置やそれを用いた案内システムでは、駅間の繋がりだけを表す路線図により経路探索結果が表されており、実際の地理上の位置や運行所要時間などが考慮されていない。そのためにユーザは、経路探索結果を表す路線図から、駅間の地理上の位置や距離を直感的に認識することができない。
また、経路探索とは無関係に、公共交通機関の路線図だけを確認したいユーザも存在する。しかし、路線図は、鉄道会社毎、バス会社毎に提供されており、相互の繋がりが不明瞭である。このような路線図は、予め用意されており、ユーザからの指示に応じて特定の路線が抽出されて表示される。そのために汎用用途に向いていない。
【0005】
本発明は、上記背景のもと、路線図の表示態様をフレキシブルに変更可能な路線図表示システムを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の路線図表示システムは、駅又はバス停を表すノード同士を繋ぐリンクを識別するためのリンクコード、複数の前記リンクの組み合わせで構成される路線を識別するための路線コード、及び、前記路線が存在する地域を識別するための地域コードを格納したコード格納手段と、前記地域毎に存在する複数の前記路線の各々について、当該路線に含まれる複数の前記リンクが、それぞれの地理上の位置、距離及び表示面積毎のノードの過密度に基づいて決定されたサイズの線又は帯で描画可能な路線図を、当該路線コード及び当該地域コードと関連付けて格納した路線図格納手段と、前記地域コード又は前記路線コードの入力を契機に関連する前記路線図を前記路線図格納手段より読み出し、所定の表示装置に表示させるとともに、表示された路線図に含まれるリンクの表示態様を個別に変更可能に制御する制御手段と、を備えてなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、路線図に含まれるリンクが、それぞれの地理上の位置、距離及び表示面積毎のノードの過密度に基づいて決定されたサイズの線又は帯で描画可能であり、表示態様を個別に変更できるために、汎用性のある路線図の表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る(a)、(b)は、情報処理装置の説明図。
図2】第1実施形態における情報処理装置の機能ブロック図。
図3】路線図の表示処理を表すフローチャート。
図4】路線図の例示図。
図5】第2実施形態に係る経路探索システムの全体構成図。
図6】第2実施形態における路線図表示部の機能ブロック図。
図7】経路探索及び探索結果を表す路線図の表示処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態例を図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る路線図表示システムの一例となる情報処理装置の説明図である。図1(a)は情報処理装置1の外観図、図1(b)は情報処理装置1のハードウェア構成図である。情報処理装置1は、例えばスマートフォン、タブレット端末、フューチャーフォン、パーソナルコンピュータ等により実現される。
【0010】
情報処理装置1は、表示装置及び入力装置が組み合わされたタッチパネル2を備える。例えば、タッチパネル2は、表示装置であるフラットパネルディスプレイの表示画面上に、入力装置である透明シート状の位置入力装置が設けられて構成される。タッチパネル2は、各種の指示を入力するための指示入力画面、駅やバス停等のノードの繋がりを表す路線図を表示する。情報処理装置1は、ユーザのタッチパネル2へのタッチ操作により入力される指示に応じて処理を行う。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、ストレージ14、通信インターフェース15、IOインターフェース16を備える。これらの情報処理装置1の構成要素は、バスBを介して相互に通信可能に接続される。
【0011】
CPU11は、ROM13からコンピュータプログラムを読み込み、RAM12をワークエリアに用いて実行することで、情報処理装置1の動作を制御する。本実施形態では、CPU11は、コンピュータプログラムの実行により、汎用性のある路線図の表示態様を実現する。
【0012】
ストレージ14は、大容量の補助記憶装置であり、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等で実現される。また、ストレージ14は、USB(Universal Serial Bus)等のインターフェースや、インターネット等のネットワークを介して接続される外部記憶装置であってもよい。ストレージ14は、路線図を表示するための各種データを格納する。通信インターフェース15は、インターネット等のネットワークや公衆回線、LAN(Local Area Network)に接続するための有線或いは無線の通信機器である。IOインターフェース16は、タッチパネル2との間のインターフェース制御を行う。IOインターフェース16により、タッチパネル2から入力された指示がCPU11へ送信され、CPU11によるタッチパネル2への画像等の表示が行われる。
【0013】
図2は、このような構成の情報処理装置1で、路線図をタッチパネル2に表示するための機能ブロック図である。各機能は、CPU11がコンピュータプログラムを実行すること、他の構成要素と協働して実現される。情報処理装置1は、制御部121、データ取得部122、メモリ123、データ格納部124として機能する。
【0014】
制御部121は、入力装置101からの指示に応じて、路線図の編集及び表示のための処理を行う。本実施形態では、ユーザから指示される路線を強調表示することで視認しやすくする。強調表示とは、当該部分が周囲の表示部分に比べて直感的に視認できる表示態様にすることをいう。本実施形態では、周囲の路線図を非表示にするのではなく、淡色で表示させつつ、ユーザから指示される路線を上記表示態様にすることで、強調表示される部分の相対的な位置関係が直感的にわかるようにしている。
データ取得部122は、タッチパネル2の入力装置101からユーザの指示を取得する。ユーザの指示は、表示したい路線名或いは表示したい路線が存在する地域名を含む。メモリ123は、タッチパネル2の表示装置102の表示領域の面積(表示面積)を記憶する。また、メモリ123は、強調表示される路線及びその周囲の表示部分だけを、後で部分的に表示したり、出力することができるように、後述する各種コード等のデータを分類して保存する。
【0015】
データ格納部124は、ストレージ14に構築され、路線図の編集に用いる各種のデータを格納する。上記のように分類されたデータが保存されているときは、分類ごとに上記データを格納する。そのためにデータ格納部124には、コード格納部125、路線図格納部126、及び案内情報格納部127の各格納領域が設けられる。
【0016】
コード格納部125は、リンクコード、路線コード、地域コードを格納する。また、上記分類されたデータが存在する場合は、分類コード等なども格納する。リンクコードは、駅又はバス停を表すノード同士を繋ぐリンクを一意に識別するための情報である。例えば東京駅と神田駅とを繋ぐリンク、神田駅とお茶の水駅とを繋ぐリンク、…、といった駅間のリンクを識別するために、各リンクにリンクコードが割り当てられる。路線コードにより、複数のリンクの組み合わせで構成される路線が識別される。例えば東京駅と神田駅とを繋ぐリンク、神田駅とお茶の水駅とを繋ぐリンク、…を組み合わせることで「中央線快速」の路線が構成される。路線コードは、このように構成される路線に割り当てられる。地域コードにより、路線が存在する地域が識別される。駅又はバス停周辺、市区町村、都道府県、といった単位の地域毎に、地域コードが割り当てられる。例えば「中央線快速」の場合、「千代田区」、「新宿区」、「渋谷区」、「中野区」、「杉並区」、…の各地域にそれぞれ地域コードが割り当てられる。分類コードにより分類された各種コードの組み合わせが識別される。
【0017】
制御部121は、例えば通信インターフェース15により外部サーバから交通機関の路線網を取得し、路線網に含まれるノード名(駅名、バス停名)、路線名、路線の存在する地域名にリンクコード、路線コード、地域コードを割り当てる。そして、コード格納部125にこれらのコードを格納する。制御部121は、アプリケーションプログラムのインストールによりコード格納部125を構築してもよい。地域コードが特定されることで、該地域に存在する路線名(路線コード)が特定される。路線コードが特定されることで、該路線を構成するリンク及びノード名(駅、バス停)が特定される。
【0018】
路線図格納部126は、地域毎に存在する複数の路線の各々の路線図を、路線コード及び地域コードに関連付けして格納する。路線図は、路線及び地域毎に用意される。路線図に含まれるノード間のリンクは、地理上の位置、距離、及び情報端末30の表示領域の面積(表示面積)毎の駅の過密度に基づいて決定されるサイズの線又は帯で描画可能になっている。路線コード又は地域コードにより、該路線又は該地域の路線図が特定される。
【0019】
制御部121は、例えば通信インターフェース15により外部サーバから交通機関の路線網及び地図を取得し、路線網に含まれる路線の各々についての地図により、地理上の位置、距離に基づいた路線図を生成する。制御部121は、生成した路線図に路線コード、地域コードを割り当てて、路線図格納部126に格納する。また制御部121は、アプリケーションプログラムのインストールにより路線図格納部126を構築してもよい。
【0020】
案内情報格納部127は、ノード毎或いは路線名毎の案内情報を格納する。案内情報は、例えばノード又は路線周辺の観光スポットやおすすめ情報、広告等である。案内情報は、必要に応じて制御部121に読み出され、路線図に重畳表示される。
【0021】
制御部121は、入力装置101、或いは通信インターフェース15を介して外部サーバから、駅名、バス停名、路線名とともに案内情報を取得して、案内情報格納部127に格納する。制御部121は、通信インターフェース15により、外部サーバから取得する案内情報により、案内情報格納部127に既に格納している案内情報を更新する。これにより、常に最新の案内情報がユーザに提供される。
【0022】
図3は、このような構成の情報処理装置1を用いた路線図の表示処理を表すフローチャートである。情報処理装置1は、ユーザがタッチパネル2の入力装置101から路線図を表示したい地域又は路線の名称を入力することを契機に、この処理を開始する。
【0023】
データ取得部122は、入力装置101からユーザが入力した地域名又は路線名を取得し、取得した地域名又は路線名に割り当てられた地域コード又は路線コードを制御部121に送信する。制御部121は、データ取得部122から地域コード又は路線名を表す路線コードを取得する(S11)。制御部121は、メモリ123に記憶する表示装置102の表示面積を確認する(S12)。
【0024】
制御部121は、取得した地域コード又は路線コード、及び表示面積に基づいて、タッチパネル2の表示装置102に表示させる路線図を作成する。そのために制御部121は、まず、取得した地域コード又は路線コードに関連する路線図を、路線図格納部126から読み出す(S13)。読み出された路線図は、例えばその彩度が所定彩度以下で明度が所定明度以上となる淡色で所定のビデオメモリに描画される。すなわち、当該表示面積において表示可能な全ての路線を淡色で描画することにより、いわゆる路線図の白地図として利用できるようにする。
【0025】
制御部121は、読み出した路線図を表示面積に応じて編集する(S14)。制御部121は、路線図に含まれるリンクを、表示領域内のノード(駅及びバス停)の過密度に基づいて決定されるサイズの線又は帯で描画する。また、制御部121は、指示された地域内の路線(駅、バス停、リンク)又は指示された路線(駅、バス停、リンク)だけを強調表示し、路線図の残部を淡色のままで、ビデオメモリに再描画する。なお、制御部121は、リンクのサイズを、ノードの過密度に代えて、リンク毎の運行所要時間又は表示面積内のリンク数に基づいて決定してもよい。制御部121は、メモリ123に強調表示される路線図の部分を、部分的に保存する。制御部121は、編集により、例えば路線図上のノード、リンク、路線に、これらの名称の文字又は図形を重畳描画する。
【0026】
制御部121は、編集した路線図を表示装置102に表示する(S15)。図4は、表示装置102に表示される路線図の例示図である。図4の例では、ユーザが入力装置101により「中央線快速」を入力するために、情報処理装置1が入力された「中央線快速」を強調表示し、他の路線を淡色のまま表示する。また、ユーザが入力装置101により「東京駅」、「新宿駅」を入力することで、情報処理装置1は、入力された「東京駅」、「新宿駅」を強調表示する。
【0027】
表示された路線図は、一部又は全部がベクターイメージで描画されており、路線図に含まれるリンクの表示態様が個別かつ利用目的に応じてフレキシブルに変更可能である。そのために、制御部121は、路線図のベクターイメージで描画された部分を任意のタイミングで変更可能である。また、制御部121は、路線図にノード名及び路線名を、例えばWebフォントにより描画する。そのため、路線図が拡大表示されてもノード名及び路線名の表示サイズが一定に保たれる。
【0028】
制御部121は、表示する路線の案内情報を、路線図に重畳表示させてもよい。例えば、路線図が表示された際に、ユーザが表示された路線図のノード名又は路線名の表示領域をクリック指示する。クリック指示の内容は、入力装置101から入力される。制御部121は、クリック指示の内容からクリックされたノード名又は路線名の表示領域を検知して、案内情報格納部127から該当する案内情報を読み出す。制御部121は、読み出した案内情報を路線図に重畳描画して、表示装置102に表示する。
【0029】
以上の処理では、情報処理装置1は、淡色で表示された路線図をベースとし、ユーザの入力に応じて路線、ノードを強調表示してユーザに提供することができる。その際、リンクが地理上の実際の位置、駅間の距離、及び、表示装置における表示面積に応じた駅の過密度に基づいて決定されるサイズの線又は帯で描画される。そのために、ユーザは、ノード間(駅間、バス停間、駅−バス停間)の地理上の実際の位置や駅間の距離を直感的に認識することができる。また、路線図が複数の鉄道会社、バス会社間の路線の繋がりを統合して表示するために、相互の繋がりが明瞭になる。
【0030】
また、各種コードに基づいて描画される全ての路線図をいわゆる白地図として利用できるようにしたので、利用目的に応じて強調表示する部分を個別かつフレキシブルに変更することができる。さらに、ユーザが強調表示した部分及びその周辺部分だけを個別に保存することができるので、余分なデータを除外して、必要な部分だけを後で活用することができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る路線図表示システムについて説明する。この実施形態では、携帯情報端末向けの経路探索サービスを可能にするネットワーク型の経路探索システムに適用した場合の例を示す。
【0032】
図5は、第2実施形態の経路探索システムの全体構成図であり、特徴的な部分を掲示してある。この経路探索システムは、インターネット等のディジタルネットワークNに接続される経路探索サーバ10と、経路探索用の運行情報、例えば列車ダイヤ、駅周辺の地図情報等のデータを蓄積した運行情報DB20とを含んで構成される。ディジタルネットワークNには、スマートフォン、タブレット端末、フューチャーフォン、パーソナルコンピュータ等の情報端末30が接続可能になっている。情報端末30は、データ通信及びデータ処理機能を有する場合はダイレクトに、それぞれディジタルネットワークNに接続することができる。情報端末30は、第1実施形態の情報端末1と異なり、入力装置及び表示装置として機能する。そして、経路探索のための探索条件の入力及び経路探索結果を表す路線図の表示を行う。
【0033】
[経路探索サーバ]
経路探索サーバ10は、CPU、RAM、ROM、ストレージ、通信インターフェース、I/Oインターフェース等を備えたサーバである。経路探索サーバ10は、サーバ本体とコンピュータプログラムとの協働により実現される。すなわち、サーバ本体のCPUが、ROM、ストレージからコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、そのサーバ本体を、データ通信用インターフェース100及び経路探索ツール110として機能させ、経路探索のための情報処理を実行可能にする。
【0034】
データ通信用インターフェース100は、データ通信及びデータ処理機能を有する情報端末30との双方向通信を可能にするとともに、これらの情報端末30が閲覧可能な階層ページ画面を提供する。この階層ページ画面は、経路探索のWebサービスを行なうためのもので、経路探索条件の精緻な指定をシステム側とユーザ(利用者)との間でインタラクティブに行なうことにより、ユーザが意図する条件下による経路探索を行なう環境を提供する。経路探索の結果表示も、この階層ページ画面で行なうことができる。
【0035】
経路探索ツール110は、探索条件受付部111、路線図表示部112、及び経路探索エンジン113の機能を有する。
【0036】
探索条件受付部111は、出発駅及び目的駅を含む経路探索条件を受け付ける。出発駅と目的駅の少なくとも一方については、ユーザが直接入力(指定)したものをそのまま経路探索条件として特定してもよく、予め登録されるものを提示して選択させることで特定するようにしてもよい。予め登録される探索条件には、例えば、経路探索時にどのような条件により探索するかが含まれる。このような探索条件として、「運賃が安い」、「時間が早い」、「乗換が少ない」、「徒歩が少ない」等がある。「徒歩が少ない」を探索条件に加えることで、例えば、出発駅から目的駅までの経路が複数あり、経路毎に乗り換える駅が異なる場合に、どの駅で乗り換えるのが最も徒歩移動距離が少なくなるかを考慮した経路探索が可能になる。探索条件受付部111は、出発駅から出発駅条件、目的駅から目的駅条件を生成し、必要に応じて出入口や改札の利用制限情報、ユーザが指示する探索条件を付加する。
【0037】
経路探索エンジン113は、乗換駅を交通機関の路線網を構成するノードに含め、出発駅から目的駅に向かって各ノードに順次リンクを張ることを繰り返す。これにより、経路探索エンジン113は、経路探索条件に従う1又は複数の経路候補を探索し、経路探索条件に最も適合するものを最適経路候補とする。
経路探索エンジン113は、公知の推論エンジンも搭載している。この推論エンジンは、経路探索途中で、つまりリンクを張り付けていく過程で、所要時間が現実的でなくなる経路となることが判明した場合、その時点でその経路候補についての次のノード以降の探索を止める。例えば予めメモリに記憶された閾値と比べて大きくなった時点でその経路候補についての次のノード以降の探索を止める。
経路探索エンジン113は、また、複数の経路候補の各々について、出発駅から目的駅に至るまでの総移動コスト、例えば時間を移動コストと捉える観点からは総所要時間を算出し、算出された総所要時間の小さい順に、複数の経路をソートする。さらに、経路中にその利用が制限される出入口や改札がある場合には、当該経路を除外したうえで、経路候補を特定する。
なお、経路探索エンジン113の基本機能部分は、本出願人が提供している経路探索ソフトウェア「駅すぱあと」(登録商標)を使用することができる。
【0038】
路線図表示部112は、本発明の路線図表示システムであり、経路探索エンジン113による経路探索結果を情報端末30の表示装置に表示させるための路線図を作成する。路線図表示部112で作成された路線図は、データ通信用インターフェース100により、ディジタルネットワークNを介して、経路探索条件の入力元である情報端末30へ送信される。
【0039】
図6は、路線図表示部112の機能ブロック図である。路線図表示部112は、図2に示す制御部121、データ取得部122、メモリ123、及びデータ格納部124の機能を有している。
【0040】
制御部121は、路線図表示部112による路線図の編集、表示のための処理を行う。本実施形態では、ユーザが経路探索結果を視認しやすくなるように、経路探索の結果得られた経路を路線図中で強調表示する。データ取得部122は、経路探索エンジン113から経路探索結果を取得する。また、データ取得部122は、情報端末30から表示装置の表示面積を取得する。強調表示される路線図及びその周辺部分だけを部分的に保存できるようにする点では、第1実施形態と同じである。
【0041】
データ格納部124に格納されるデータは、図2で説明した通りである。データ格納部124は、コード格納部125、路線図格納部126、及び案内情報格納部127を備える。
制御部121は、例えば運行情報DB20から交通機関の路線網を取得し、路線網に含まれる駅、バス停、路線名、路線の存在する地域にリンクコード、路線コード、地域コードを割り当てて、コード格納部125に格納する。制御部121は、例えば運行情報DB20から交通機関の路線網及び地図を取得し、路線網に含まれる路線の各々についての地図により、地理上の位置、距離に基づいた路線図を生成し、これに路線コード、地域コードを割り当てて、路線図格納部126に格納する。制御部121は、不図示のキーボード等の入力装置、或いはディジタルネットワークNを介した外部装置から、駅名、バス停名、路線名とともに案内情報を取得して、案内情報格納部127に格納する。
なお、データ格納部124は、運行情報DB20内に構成されてもよい。また、上述した分類されたデータについては、それらを識別するためのコードをキーとして読み出すことができる形態で、情報端末30側に格納してもよい。
【0042】
図7は、このような構成の経路探索サーバ10を用いた経路探索及び探索結果を表す路線図の表示処理を表すフローチャートである。
【0043】
経路探索ツール110は、探索条件受付部111により、出発駅及び目的駅を含む経路探索条件を受け付ける(S21)。探索条件受付部111は、データ通信用インターフェース100から、ディジタルネットワークNを介して情報端末30により送信された経路探索条件を受け付ける。経路探索エンジン113は、探索条件受付部111により受け付けた経路探索条件に基づいて、運行情報DB20を用いた経路探索処理を行う(S22)。これにより、経路探索条件に合致した、出発駅と目的駅との間の最適経路を表す経路探索結果が得られる。経路探索結果は、路線コードを含む。
【0044】
路線図表示部112は、データ取得部122により経路探索エンジン113から経路探索結果を取得する。また路線図表示部112は、データ取得部122により、経路探索条件を送信した情報端末30から、該情報端末30の表示面積を取得する(S23)。なお路線図表示部112は、表示面積の取得を探索条件を受け付けるタイミングで取得して、メモリ123に格納していてもよい。この場合、情報端末30は、経路探索条件及び表示面積を一度に送信することになる。
【0045】
路線図表示部112の制御部121は、経路探索結果及び表示面積に基づいて、情報端末30の表示装置に表示させる路線図を作成する。そのために制御部121は、まず、経路探索結果に含まれる路線コードに関連する路線図を、路線図格納部126から読み出す(S24)。制御部121は、読み出した路線図を表示面積に応じて編集する(S25)。編集内容は、図3のS14の処理と同様である。路線図表示部112は、編集した路線図を経路探索条件を送信した情報端末30に表示させる(S26)。そのために路線図表示部112は、編集後の路線図を表す路線図データをデータ通信用インターフェース100及びディジタルネットワークNを介して、該情報端末30へ送信する。以上の処理により、経路探索結果となる路線が強調表示された路線図が情報端末30の表示装置に表示される。
【0046】
以上の処理では、経路探索の結果得られる路線を強調表示した路線図を表示することでユーザに経路探索結果をわかりやすく提示することができる。ユーザは、経路探索の結果の路線図から、ノード間(駅間、バス停間、駅−バス停間)の地理上の位置や距離を直感的に認識することができる。また、経路探索の結果が複数の鉄道会社、バス会社間の交通機関にまたがった路線であっても、路線図により路線の繋がりを統合して表示するために、相互の繋がりが明瞭になる。
【0047】
各種コードに基づいて描画される全ての路線図をいわゆる白地図として利用できるようにし、利用目的に応じて強調表示する部分を個別かつフレキシブルに変更することができるようにすること、及び、ユーザが強調表示した部分及びその周辺部分だけを個別に保存することができることは、第1実施形態と同じである。第2実施形態では、経路探索の結果を地理上の実際の位置や駅間の距離に応じた態様で強調表示できるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1…情報処理装置、2…タッチパネル、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…ストレージ、15…通信インターフェース、16…IOインターフェース、101…入力装置、102…表示装置、121…制御部、122…データ取得部、123…メモリ、124…データ格納部
【要約】
【課題】汎用性のある路線図の表示が可能な路線図表示システムを提供する。
【解決手段】路線図表示システムは、駅又はバス停を表すノード同士を繋ぐリンクを識別するためのリンクコード、複数のリンクの組み合わせで構成される路線を識別するための路線コード、及び、路線が存在する地域を識別するための地域コードを格納したコード格納部125と、地域毎に存在する複数の路線の各々について、当該路線に含まれる複数のリンクが、それぞれの地理上の位置、距離及び表示面積毎の駅の過密度に基づいて決定されたサイズの線又は帯で描画可能な路線図を、当該路線コード及び当該地域コードと関連付けて格納した路線図格納部126と、地域コード又は路線コードの入力を契機に関連する路線図を読み出し、表示装置102に表示させるとともに、表示された路線図に含まれるリンクの表示態様を個別に変更可能に制御する制御部121と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図5
図6
図7
図4