【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、ドラフトシステムの運転方法に関し、コントローラにより繊維機械の装置データおよび/または引き伸ばされる繊維材料のデータにもとづいて荷重の大きさを調節することで達成される。
これにより、コントローラが、後述される種々のデータを考慮して荷重を調節するため、生成されるスライバの品質を大きく改善し、特に、生成されるスライバの一様性を大きく向上させることができる。
このようにして、ローラに作用する圧力、引き伸ばされる繊維材料に作用する圧力を常に最適に制御することができる。
結果は、引き伸ばされる繊維材料がほとんどの場合に含んでいる不揃いをリアルタイムで考慮することができるため、技術水準に対する非常に大きな改善である。
結果として、ドラフトシステムのローラの荷重を連続的な最低レベルに維持することができ、引き伸ばされるべき繊維材料の上側ローラと下側ローラとの間での確実な挟み付けだけが保証されればよい。
摩擦ゆえ、低い接触圧力は、ローラの低い表面温度と同義でもあり、結果として、ドラフトシステムのローラについて、前もって定められる最高の表面温度において、従来のドラフトシステムと比べてより高い回転速度を実現することができる。
この向上は、ドラフトシステムを備える紡績準備機械(梳綿機、または、練条機、リング紡績機、空気紡績機、あるいは、フライヤの形態など)について、より高い生産速度を可能にし、製品の品質も改善することができる。
【0010】
前記装置データが、ドラフトシステムの運転時間および/または休止時間、ならびに/あるいは、温度(特には、表面温度)、もしくは、上側ローラおよび/または下側ローラの少なくとも一方の温度(特には、表面温度)を含むと、特に効果的である。
なぜならば、ドラフトシステムの長きにわたる休止期間後の引き伸ばしプロセスの開始時に製品の品質の低下を生じることが、明らかになっているからである。
これは、休止期間中にドラフトシステムのローラの温度が低下することに起因する。
なぜならば、ローラの表面の把持能力は、暖まった状態においてのみ完全な水準に達するからである。
従って、引き伸ばしプロセスの暖気段階においても繊維材料の確実な挟み付けを保証するために、ローラへの荷重、すなわち、繊維材料への荷重の大きさを増やすことが、効果的である。
ローラの摩耗に関する点からみて、運転時間またはローラの温度の関数として、荷重をより低いレベルに調節することができる。
【0011】
従って、(測定による(すなわち実際の))上側ローラの荷重、あるいは、上側ローラおよび/または下側ローラの少なくとも一方の回転速度、ドラフト領域の幅(入り口ローラペアおよび中央ローラペアを含む予備ドラフト領域や中央ローラペアおよび排出ローラペアを含む主ドラフト領域など対応するローラペアのクランプ線の間の距離)、個々のローラペアの間の引き伸ばし、全体としての引き伸ばし、ならびに/あるいは、ドラフトシステムの任意の他の可変のパラメータにもとづいて、荷重を調節することが可能であり、そのような調節をいずれの場合も連続的または階段状に実行することが可能である。
そして、装置データは、繊維機械の有形の動作パラメータを表すデータを含むだけではない。
むしろ、引き伸ばしプロセスの関数として生成されるデータも含む。
そのようなデータとして、スライバの破断などのプロセス不良を示す信号や、上流または下流の繊維機械による外部データなどの幅広くさまざまな信号が挙げられる。
【0012】
また、前記引き伸ばされる繊維材料のデータが、引き伸ばされる繊維材料の太さ、水分含有量、温度、繊維間の摩擦、(特には綿について)存在するハニーデュー(honeydew)、または、化学繊維について存在する仕上げ剤(finish)の種類および量などの表面組成、繊維長、純度、種類、直線重量(linear weight)、ならびに/あるいは、一様性を含むことが、効果的である。
上述のパラメータは、常に変化するものであるため、コントローラによって制御される荷重によって上述のパラメータを補償して、きわめて一様なスライバの品質をもたらすことができる。
【0013】
前記引き伸ばされる繊維材料のデータは、ドラフトシステムの入り口、出口、あるいは、入り口と出口との間において測定されると良い。
これにより、荷重の大きさを入り口において測定されるデータにもとづいて最初に前もって調節することができ、出口、または、入り口と出口との間で測定される更なるデータによって、細かく調節することができる。
このように、調節を開ループにて行うことができるが、閉ループにおいて行うこともできる。
【0014】
前記装置データおよび/または前記引き伸ばされる繊維材料のデータは、センサによって測定されると良い。
そのようなセンサとして、引き伸ばされる繊維材料の特性を測定するUV、IR、または、マイクロ波センサ、温度センサ、速度センサ、湿度などの周囲条件を測定するためのセンサ、あるいは、種々の圧力センサが挙げられる。
【0015】
引き伸ばしプロセスの品質は、通常、2つ以上のパラメータに依存するため、複数のセンサの測定データが、互いに相関付けられることが有効である。
実際には、測定データの任意の量を全体として可能な最高の製品品質を得るためにお互いに対して考慮することができる。
【0016】
本発明においては、ドラフトシステムが、スライバの破断後に荷重が増やされて運転される。
そのような出来事(引き伸ばされる繊維材料のデータ(太さ、または、一様性など)の変化が常に付随する)の後では、引き伸ばされる繊維材料に、再び、荷重を印加しなければならない。
従来の方法においては、繊維材料の太さの変化が、必ず最終製品の品質に悪影響を及ぼす。
しかしながら、本発明によれば、継ぎ合わせの際に太い場所または細い場所が生じても、ドラフトシステムのローラの継ぎ合わせを調節することによって、一様な引き伸ばしを保証することができる。
継ぎ合わせが通過した後で、繊維材料および機械部品の荷重を常に可能な限り低い水準に保つことができるよう、再び、荷重をより低いレベルに最終的に調節することができる。
【0017】
また、引き伸ばされる繊維材料が、少なくとも1つの供給容器からドラフトシステムに送り込まれ、ドラフトシステムが、少なくとも1つの供給容器の交換後に、継ぎ目をなくすために荷重が増やされて運転されると、きわめて効果的である。
容器が交換されるとき、繊維ストランドの組み合わせに起因して、太さの変化も生じる。
ここでも、一様な引き伸ばしを達成するために、荷重が一時的に増やされると、やはり大いに効果的である。
この荷重の増加は引き伸ばされる繊維材料のデータにもとづいて行うこともできるが、供給容器の変更時にセンサによって生成される信号など、装置データにもとづいて行うこともできる。
【0018】
さらなる利点が、各々の荷重を常に最適に調節して、ローラ表面の最小限の摩耗および可能な限り一様な引き伸ばしを保証できるように、個々の上側ローラおよび/または下側ローラの荷重が個別に調節される場合に達成される。
【0019】
また、荷重が、少なくとも1つの、個別に作動する機械式、空気圧式、油圧式、電気式、および/または、電磁気式の荷重印加部材によって調節されると、特に効果的である。
そのような部材は、小さなサイズであり、単純なやり方でドラフトシステムに統合することができる。
また、短い応答時間ゆえに、荷重の連続的かつ迅速に作用する調節を可能にする。
【0020】
ドラフトシステムのドラフト領域の幅は、上側ローラおよび/または下側ローラの荷重の関数として調節されると良い。
なぜならば、2つの隣接するローラペアの締め付け距離は、荷重に直接的に依存するからである。
荷重が増やされる場合、上側ローラのゴムは各々の下側ローラにより良好に接触するため、締め付け距離を減らされなければならない。
最適な締め付け距離が個々の繊維について決定されたならば、荷重を増加させるときにドラフト領域の幅も増やすことが効果的である。
同様に、荷重が減らされるとすぐにドラフト領域の幅を(再び)減らすことも効果的である。
また、個々のローラまたはすべてのローラの速度を荷重の関数として調節することや、ローラの過熱を防止して繊維の品質の低下を防止するためにローラの表面温度を調節することが、必要かもしれない。
【0021】
本発明によるドラフトシステムは、荷重印加装置がコントローラに接続する少なくとも1つの荷重印加部材を備えて、機械の動作中にコントローラによって荷重印加装置の荷重の大きさを調節できることを特徴とする。
これにより、引き伸ばす繊維材料の変更時などの特別な場合に限って、圧力調節器または調節ねじによる手作業で、荷重を自動的かつ連続的に調節することができる。
このように、本発明による繊維機械だけが上述の方法による運転を可能にし、利点の各々に関する説明の該当の部分が参照される。
【0022】
いずれの場合も、少なくとも1つの荷重印加部材が、機械式、空気圧式、油圧式、電気式、または、電磁気式の荷重印加部材であり、ローラに作用する圧力が、連続的または階段状に、迅速、かつ、手作業による調節を必要とせずに、調節可能である。
【0023】
上述にように、ドラフトシステムが、装置データおよび/または引き伸ばされる繊維材料のデータを捕らえるためにコントローラに連絡した少なくとも1つのセンサを備えており、このデータにもとづいて荷重の大きさが調節されると、さらに効果的である。
しかしながら、他の何らかのやり方で決定される荷重の大きさの曲線も、考えられる。
例えば、荷重を装填の手順に始まって装填の手順の後の特定の運転時間にわたって増加させることができ、基本の荷重を別のデータから導出することができる。
【0024】
特に、少なくとも1つのセンサが、ドラフトシステムの入り口、出口、または、入り口と出口との間に配置されると、効果的である。
測定されるデータをコントローラによって個別または互いに関連付けて分析し、この分析にもとづいて、1つまたはすべての荷重印加部材の荷重の大きさを調節することができる。
【0025】
複数のセンサの測定データを互いに相関付けることができると、さらに効果的である。
このやり方で、複数のパラメータをコントローラによって処理することができ、可能な限り高い製品の品質という結果を達成するために、荷重の大きさの制御ループに流すことができる。
【0026】
また、装置データが、ドラフトシステムの運転時間および/または休止時間、上側ローラおよび/または下側ローラの少なくとも一方の温度、特に、表面温度、上側ローラの荷重、上側ローラおよび/または下側ローラの少なくとも一方の回転速度、ドラフト領域の幅、個々の上側ローラおよび/または下側ローラの間の引き伸ばし、ならびに/あるいは、ドラフトシステムの全体としての引き伸ばしを含むと、効果的である。
特に、引っ張りプロセスの長い休止期間の後では、ドラフトシステムのローラの温度が下がり、ローラの把持能力が低下するため、製品の品質の低下が一般的に生じる。
従って、特に、引き伸ばしプロセスの暖気段階においても繊維材料の確実な締め付けを保証すべく、荷重の大きさを増やすことができると、効果的である。
ローラの摩耗を少なくし、あるいは、ローラの回転速度を増すことによって処理速度を高めるために、運転時間、または、ローラの温度の関数として、荷重を最終的に低いレベルに調節することができる。
【0027】
また、引き伸ばされる繊維材料のデータが、引き伸ばされる繊維材料の太さ、水分含有量、温度、繊維間の摩擦、(特には綿について)存在するハニーデュー、または、化学繊維について存在する仕上げ剤の種類および量などの表面組成、繊維長、純度、種類、直線重量、ならびに/あるいは、一様性を含むと、常に変化するこれらのパラメータを荷重の大きさの調節の際に考慮することができるため、効果的である。
【0028】
さらなる実施例においては、ドラフトシステムをスライバの破断後にコントローラによって増やされた荷重で運転することができる。
そのような出来事の後では、引き伸ばされる繊維材料が常に再装填され、いわゆる継ぎ合わせにつながる。
結果としての繊維材料の太さの変化が、従来の方法においては必ず最終製品の一様性に悪影響を及ぼす。
しかしながら、本発明のドラフトシステムによれば、継ぎ合わせの際に太い場所または細い場所が生じても、ドラフトシステムのローラの荷重を調節することによって、一様な引き伸ばしを保証することができる。
継ぎ合わせが通過した後で、ローラを許される最大温度を超えることなくより高い回転速度で再び動作させるよう、再び、荷重をより低いレベルに最終的に減らすことができる。
【0029】
効果的な態様では、繊維機械が、少なくとも1つの供給容器に作動可能に接続され、引き伸ばされる繊維材料をこの少なくとも1つの供給容器からドラフトシステムに送り込むことができ、ドラフトシステムを少なくとも1つの供給容器の交換後に、継ぎ目をなくすためにコントローラによって増やされた荷重で運転することができる。
これによる利点は、スライバの破断後の荷重の調節の場合と同じであり、上述した情報を参照することができる。
【0030】
また、個々の上側ローラおよび/または下側ローラの荷重を個別に調節できると、効果的である。
これは、引き伸ばされる繊維材料に存在する太い場所または細い場所が、ドラフトシステムにおける位置に依存して既に通過したローラペアの関数として、きわめてさまざまに生じるため、特に効果的である。
個別の荷重の調節は、この事実を考慮して、可能な限り一様な最終製品を製品およびシステムを保護しつつ迅速に製造することができる。
【0031】
本発明のさらなる利点を、以下の図面と連動して説明する。