(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965150
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】容器のキャップシール方法
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20160721BHJP
B65D 41/62 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
B65B53/02 G
B65D41/62 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-6047(P2012-6047)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-144563(P2013-144563A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】307027577
【氏名又は名称】麒麟麦酒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】山前 朗
(72)【発明者】
【氏名】児玉 安三郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 大輔
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−128115(JP,A)
【文献】
特開2010−100333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/02
B65D 41/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形平板状のシュリンクフィルムを熱収縮させて容器の口部を封緘するキャップシール方法であって、
容器の口部に設置されたシュリンクフィルムの前記口部の上面に位置する第1の領域に対して、前記第1の領域の周囲に設けられた第2の領域を収縮させるための熱から保護する保護工程と、
前記第2の領域を加熱して前記口部の下方に収縮させることにより、前記シュリンクフィルムの前記第2の領域を前記口部の側面に巻き付ける収縮工程と、を備え、
収縮前のシュリンクフィルムの一の角部に対して切込みを設け、
前記保護工程では、前記第1の領域に加えて、前記第2の領域のうち、前記切込みが設けられた角部を熱から保護し、
前記収縮工程では、前記第2の領域のうち、前記熱から保護された角部以外の部分を収縮させることにより、前記角部以外の部分を前記口部の側面に巻き付けつつ前記角部に収縮の程度が異なる収縮制限部を形成する、容器のキャップシール方法。
【請求項2】
前記保護工程では、前記収縮制限部が形成されるべき前記角部に保護部材を配置して当該角部への加熱を制限する請求項1に記載のキャップシール方法。
【請求項3】
前記保護工程の後に、前記第2の領域を前記口部の側面に沿って曲げる収縮補助工程を備え、前記収縮補助工程の後に前記収縮工程が行われる請求項1又は2に記載のキャップシール方法。
【請求項4】
前記切込みが、封緘時の前記容器の口部の前記上面及び前記側面に達しない範囲で設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャップシール方法。
【請求項5】
前記切込みが、前記口部が封緘される封緘位置における前記口部の周縁で形成される円の接線上に設けられる請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャップシール方法。
【請求項6】
前記シュリンクフィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャップシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に封をするためのキャップシール方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品、調味料、医薬品、化粧品等の容器の口部を被覆して封緘性を高めたキャップシールが知られている(例えば特許文献1参照)。容器の口部を保護する天板と熱収縮可能な筒状フィルムとで構成されるキャップシールを装着することで、容器の口部を封緘するとともに衛生的に保っている。また、シュリンクフィルムのみで容器の口を封緘するものとして、アルミ容器付うどんの包装(例えば特許文献2参照)や、ポリスチレン系熱可塑性樹脂で形成されたフィルムによる壜のキャップのシール構造(例えば特許文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168829号公報
【特許文献2】特開2008−50015号公報
【特許文献3】実公平05−020692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなキャップシールの場合、天板と筒状フィルムの2つの部材が必要となる。一方で、特許文献2のような封緘方法では、容器の側面にフィルムが密着するようにシュリンクフィルムの周囲が均等に熱収縮され、熱によりフィルムが硬くなることがある。また、特許文献3のようなシール構造の場合、収縮後のシール材が壜に密着して剥がしにくくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はキャップシールの取り扱いを容易にする容器のキャップシール方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器のキャップシール方法は、
方形平板状のシュリンクフィルム(110)を熱収縮させて容器(100)の口部(105)を封緘するキャップシール方法であって、容器の口部に設置されたシュリンクフィルムの前記口部の上面(105a)に位置する第1の領域(A)に対して、前記第1の領域の周囲に設けられた第2の領域(B)を収縮させるための熱から保護する保護工程と、前記第2の領域を加熱して前記口部の下方に収縮
させることにより、
前記シュリンクフィルム
の前記第2の領域を前記口部の側面(105b)に巻き付ける収縮工程と、を備え、
収縮前のシュリンクフィルムの一の角部に対して切込み(111)を設け、前記保護工程では、前記第1の領域に加えて、前記第2の領域のうち、前記切込みが設けられた角部を熱から保護し、前記収縮工程で
は、前記第2の領域の
うち、前記熱から保護された角部以外の部分を収縮させることにより、前記角部以外の部分を前記口部の側面に巻き付けつつ前記角部に収縮の程度が異なる収縮制限部(C)を形成する、ことにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の容器のキャップシール方法によれば、容器の口部をシュリンクフィルムで封緘する際に、第2の領域の一部に第2の領域
の他の部分とは収縮の程度が異なる収縮制限部が設けられる。収縮制限部には熱収縮がないので、指で触れても柔らかく、つまみやすい。収縮制限部をつまんで引っ張ることにより、容易にキャップシールを外すことができる。従って、キャップシールの取り扱いを容易にすることができる。また、熱収縮がないことから収縮制限部に各種の印刷をすることもできる。
第2の領域の熱収縮時には、切込みにより第2の領域の角部以外の部分と収縮制限部とが離れるので、第2の領域の角部以外の部分のみを収縮させることができる。従って、口部の封緘後に収縮制限部のみを目立たせることができる。また、収縮制限部への熱の伝わりが軽減される。
【0008】
本発明のキャップシール方法の一形態において、前記保護工程では、
前記収縮制限部が形成されるべき角部に保護部材(4)を配置して前記収縮制限部への加熱を制限してもよい。これによれば
、保護部材を配置することにより、第2の領域を収縮させる熱が収縮制限部へ伝わらないようにすることができる。
【0010】
本発明のキャップシール方法の一形態において、前記保護工程の後に、前記第2の領域を前記口部の側面に沿って曲げる収縮補助工程を備え、前記収縮補助工程の後に前記収縮工程が行われてもよい。収縮補助工程により、第2の領域を確実に収縮させることができる。
【0011】
本発明の一形態において、前記切込みは、封緘時の前記容器の口部の前記上
面(105a)及び
前記側
面(105b)に達しない範囲で設けられ
てもよい。
【0012】
上記の形態によれば、切込みが設けられていることにより、口部の封緘時に熱収縮させる領域に隣接して、熱収縮のない領域を形成することができる。容器の口部の上面部及び側面部に達しない範囲で切込みが設けられているので、封緘したときに切込みが封緘機能の妨げとならない。従って、熱収縮のない領域を指でつまんで封緘されたシュリンクフィルムを剥がしたり、熱収縮のない領域に印刷したりすることができる。
【0013】
本発明
の一形態において、前記切込みが、前記口部が封緘される封緘位置における前記口部の周縁で形成される円の接線上に設けられていてもよい。これによれば、封緘されたシュリンクフィルムの開封時に、熱収縮のない領域をつまんで引っ張ると容易にシュリンクフィルムの中央付近を裂くようにすることができる。また、本発明
の一形態において、シュリンクフィルム
が、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されていてもよい。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の容器のキャップシール方法によれば、容器の口部をシュリンクフィルムで封緘する際に、第2の領域の
一つの角部に第2の領域
の当該角部以外の部分とは収縮の程度が異なる収縮制限部が設けられる。収縮制限部には熱収縮がないので、指に触れても柔らかく、つまみやすい。収縮制限部をつまんで引っ張ることにより、容易にキャップシールを外すことができる。熱収縮がないことから収縮制限部に各種の印刷をすることもできる。また
、シュリンクフィルム
に切込みが設けられていることにより、口部の封緘時に熱収縮させる領域に隣接して、熱収縮のない領域を形成することができる。従って、熱収縮のない領域を指でつまんで封緘されたシュリンクフィルムを剥がしたり、熱収縮のない領域に印刷したりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一形態に係る容器のキャップシール方法が適用されるキャップシール装置によって封緘される容器としての樽100を示した斜視図である。樽100は、ビール等の飲料が内容物として充填される容器として市場に流通し、内容物が消費されてその後回収される。回収後は、樽100の洗浄、検査等の工程を経て新たな内容物が充填されて再び流通する。樽100は、内容物が充填される胴部101と、胴部101の上下のそれぞれに位置する上スカート部102及び下スカート部103とを有している。樽100の天面104には、口金が設けられ、口金には、口部としてのスピアバルブ105が取り付けられている。スピアバルブ105は、口金から樽100内に延びて内容物を取り出すために使用される開閉可能な周知の弁装置である。スピアバルブ105は、シュリンクフィルム110で封緘されて出荷される。
【0018】
図2は、シュリンクフィルム110の上面図である。シュリンクフィルム110は、略正方形状のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で形成されたフィルムである。シュリンクフィルム110はロール状に巻かれたフィルムロールから適宜の大きさに切り出されて使用される。シュリンクフィルム110の切り出し時に、シュリンクフィルム110には、切込み111が設けられる。シュリンクフィルム110には、スピアバルブ105を封緘する際にスピアバルブ105の天面105aに位置する第1の領域Aと、第1の領域Aの周囲に設けられる第2の領域B(
図2の無地の領域)とが設けられている。詳細は後述するが、第2の領域Bが加熱されることによりシュリンクフィルム110が収縮してスピアバルブ105が封緘される。
【0019】
第2の領域Bの一部には、加熱を制限して収縮の程度が異なる収縮制限部Cが形成される。第2の領域B
の熱収縮させるべき部分と収縮制限部C
が形成されるべき部分との境界の一部に上述した切込み111が設けられる。切込み111は、第1の領域Aの周縁、つまりスピアバルブ105の天面105aの周縁、で形成される半径aの円の接線上に設けられる。また、切込み111は、半径dの円で示された、スピアバルブ105の天面105a及び側面105bに達しない範囲に設けられる。第1の領域Aには内容物の情報等の必要な情報が印刷されている。従って、シュリンクフィルム110は、封緘機能とともにラベル機能も有している。また、シュリンクフィルム110には、第1の領域Aを覆うようにして印刷領域D(
図2の実線で示す円で囲んだ領域)が設けられている。一例として、印刷領域Dは半径dの円で示され、スピアバルブ105の天面105aとその側面105bを覆うようにして設けられる。
【0020】
図3A〜
図3Dを参照して樽100のスピアバルブ105を封緘する封緘方法を説明する。まず、
図3Cを参照してキャップシール装置1について説明する。キャップシール装置1は、樽100に取り付けられた状態のスピアバルブ105に対し、シュリンクフィルム110で封緘するための装置である。キャップシール装置1には、第1の領域Aを熱から保護する保護部材2と、スピアバルブ105に設置したシュリンクフィルム110に対して第2の領域Bをスピアバルブ105の側面に沿って曲げるリング3と、収縮制限部Cへの加熱を制限する保護部材4と、シュリンクフィルム110の第2の領域Bを加熱する加熱装置5とが設けられている。保護部材2、4は、保護すべき領域に応じて適宜の形状、材質で構成してよい。保護部材2、4はそれぞれ保護すべき第1の領域Aと収縮制限部Cとを覆う大きさに形成される。リング3は、スピアバルブ105の直径よりも大きい直径を有し、スピアバルブ105の周囲に設置される。リング3を下方に移動させることで、スピアバルブ105の天面105aに設置されたシュリンクフィルム110を側面105bに沿って曲げる。リング3は、保護部材4と連結部材6を介して連結されている。保護部材4は、一例として、スポンジ状に形成された樹脂部材である。加熱装置5は、熱風を送出する公知の装置で、シュリンクフィルム110を熱収縮させる。
【0021】
まず、スピアバルブ105の天面105aにシュリンクフィルム110を位置合わせして設置する(
図3A)。シュリンクフィルム110の第1の領域Aとスピアバルブ105の天面105aとが合わさるように設置する。次に、シュリンクフィルム110の第1の領域Aに保護部材2を被せて第1の領域Aを保護するとともに、リング3を保護部材2の周囲に設置する(
図3B)。このとき、連結部材6を介して連結される保護部材4が収縮制限部Cに設置されるようにリング3を設置する。
【0022】
リング3を下方に移動させ、シュリンクフィルム110をスピアバルブ105の側面105bに沿って曲げ、加熱装置5を動作させる(
図3C)。リング3を下方へ移動させると、保護部材4も伴って移動するが、収縮制限部Cの大部分は保護部材4によって覆われたままである。切込み111が設けられているので、保護部材4の移動に付随しやすいからである。この状態で加熱装置5によりシュリンクフィルム110に熱を加えることで、第2の領域Bが熱収縮する。加熱後は、保護部材2、4とリング3を外す。
【0023】
そして、シュリンクフィルム110によりスピアバルブ105が封緘される(
図3D)。スピアバルブ105の天面105aに位置するシュリンクフィルム110の第1の領域A、及び収縮制限部Cは、熱の作用を受けず収縮がほとんどない。従って、第1の領域Aに印刷しても熱による変化がないので十分に識別できる。また、樽100の開封時には、収縮制限部Cをつまんで引っ張ることにより、容易にシュリンクフィルム110を剥がすことができる。特に収縮制限部Cは、収縮していないので、フィルムが硬くなることもなく、指でつまみやすい。
【0024】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば
、切込み110を複数設けるようにしてもよい。
図2では、シュリンクフィルム110の角に収縮制限部Cを設けているが、収縮制限部Cを設ける位置に応じて複数の切込み111を設けるようにしてもよい。適宜の変更が可能である。また、本形態では、第1の領域Aに印刷するとして説明したがこれに限られない。例えば、収縮制限部Cに印刷してもよい。収縮制限部Cをつまんで引っ張ることを指示する文字や図案を表示させたり、各種のクーポンやバーコード等を印刷したりしてもよい。適宜の変更が可能である。また、容器は樽100に限られず、各種のペットボトルや壜等の口部の封緘に適用することができる。
【0025】
また、本形態によれば、封緘時にリング3を利用してシュリンクフィルム110をスピアバルブ105の側面105bに沿って曲げている例で説明したが、リング3で曲げる工程は必ずしも必要ない。例えば、スピアバルブ105の上方から下方向に加熱装置5で熱風を送出させることで、シュリンクフィルム110をスピアバルブ105の側面105bに沿って曲げつつ熱収縮させることもできる。熱風の送出方向は適宜設定することができる。また、加熱装置5は熱風を送出するものに限られない。例えばシュリンクフィルム110が収縮する程度に加熱された加熱部材を第2の領域Bへ接触させることにより、シュリンクフィルム110を熱収縮させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 キャップシール装置
2、4 保護部材
3 リング
5 加熱装置
100 樽(容器)
105 スピアバルブ(口部)
110 シュリンクフィルム
111 切込み