【実施例】
【0022】
以下、実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。
[試料液の調製]
鉱山から産出した鉱水を処理して得られた排水へCdCl
2を添加し、試料水を準備した。当該試料水は0.29ppmのCdと、1.3ppmのZnとが含有され、pH値は8.5であった。Cd含有排水中のFe含有量は0.1ppm、Al含有量は1.2ppmであった。
尚、Cdの分析はICP−MS(Agilent社製、7500)、Znの分析はICP−AES(SII社製、SPS5100)を用いて実施した。
【0023】
(pH調製)
当該試料水へ水酸化カルシウムを添加して、pH値を8.5とした試料水Aと、pH値を9.5とした試料水Bと、pH値を10.5とした試料水Cとを調製した。
【0024】
(撹拌・静置)
試料水A〜C1,000mLをそれぞれビーカーに採り、20分間撹拌した後、静置した。すると試料水A〜Cには、それぞれZn(OH)
2殿物が発生し、Zn(OH)
2スラリーA〜Cが生成した。
【0025】
(ろ過処理)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過して、処理後液A
0〜C
0を得た。
【0026】
[スラリーの繰り返しによる処理]
(スラリーの採取)
本実施例において用いるスラリーは、実際の鉱水処理設備で発生したものを用いた。
具体的には、鉱山から産出したCd含有鉱水に水酸化カルシウムを添加し、pH値8.5としてスラリーを生成させた。その後、生成したスラリーをシックナーにて沈降分離させ、採取したものである。
【0027】
(スラリー0.5mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー0.5mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0028】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A
0.5〜C
0.5と、スラリーA
0.5〜C
0.5とを得た。
処理後液A
0.5〜C
0.5のCd濃度を測定したところ、処理後液A
0.5は0.25ppm、処理後液B
0.5は0.129ppm、処理後液C
0.5は0.009ppmであった。
上述の結果より、処理後液C
0.5のCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0029】
(スラリー2mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー2mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0030】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A
2〜C
2と、スラリーA
2〜C
2とを得た。
処理後液A
2〜C
2のCd濃度を測定したところ、処理後液A
2は0.207ppm、処理後液B
2は0.103ppm、処理後液C
2は0.006ppmであった。
上述の結果より、処理後液C
2のCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0031】
(スラリー10mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー10mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0032】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A
10〜C
10と、スラリーA
10〜C
10とを得た。
処理後液A
10〜C
10のCd濃度を測定したところ、処理後液A
10は0.125ppm、処理後液B
10は0.043ppm、処理後液C
10は0.004ppmであった。
上述の結果より、処理後液C
10のCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0033】
(スラリー100mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー100mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0034】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A
100〜C
100と、スラリーA
100〜C
100とを得た。
処理後液A
100〜C
100のCd濃度を測定したところ、処理後液A
100は0.026ppm、処理後液B
100は0.007ppm、処理後液C
100は0.003ppmであった
上述の結果より、処理後液A
100〜C
100のCd濃度が、いずれも目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0035】
【表1】
【0036】
(まとめ)
表1の結果をグラフ化して、
図2、3とした。
図2は、横軸にZn濃度、縦軸にCd濃度をとり、pH値8.5とした処理後液A
0、A
0.5、A
2、A
10、A
100を●でプロットし、pH値9.5とした処理後液B
0、B
0.5、B
2、B
10、B
100を▲でプロットし、pH値10.5とした処理後液C
0、C
0.5、C
2、C
10、C
100を■でプロットしたものである。
【0037】
図2より、処理後液のpH値が10.5あれば、処理後液中のCd濃度はZn濃度に拘わらず0.015ppm以下であることが判明した。一方、処理後液のpH値が9.5さらには8.5であっても、Zn濃度が1000ppm以上となると、Cd濃度は0.03ppm以下となることが判明した。
【0038】
図3は、横軸にpH値、縦軸にCd濃度をとり、スラリーを添加していない処理後液A
0〜C
0を◆でプロットし、スラリーA〜C0.5mLをそれぞれ添加した処理後液A
0.5〜C
0.5を○でプロットし、スラリーA〜C2mLをそれぞれ添加した処理後液A
2〜C
2を▲でプロットし、スラリーA〜C10mLをそれぞれ添加した処理後液A
10〜C
10を■でプロットし、スラリーA〜C100mLをそれぞれ添加した処理後液A
100〜C
100を●でプロットしたものである。
【0039】
図3より、試料水へZn、Cd鉱水処理で得られるZn(OH)
2スラリーを加えることで、処理後液中のCd濃度を低減出来ることが判明した。特に、スラリー100mLを添加した場合は、pH値8.5から11においてCd濃度は、0.03ppm以下となることが判明した。
【0040】
[凝集剤を添加した場合]
(凝集剤の添加)
上述した工程で得られた処理後液A
10、および当該処理後液A
10に消石灰を添加してpH値を9とした処理後液A’
10と
、pH値を9.5とした処理後液A’’
10とを調製した。
これら、処理後液A
10、A’
10、A’’
10へ、ノニオン系凝集剤(ノニオン性高分子凝集剤)またはアニオン系凝集剤(アニオン性高分子凝集剤)を1ppm添加し、20分間撹拌後2時間静置した。そして、当該静置した処理後液から上澄みを得、当該静置した処理後液をろ過して、ろ過物を得た。当該上澄みと、ろ過物とにおけるCd濃度とZn濃度とを測定した。
当該測定結果を表2に記載する。
【0041】
【表2】
【0042】
(まとめ)
pH値8.5である処理後液A
10において、凝集剤がノニオン系である場合と、アニオン系である場合とにおいて、Cd濃度およびZn濃度差において差異は見られなかった
但し、pH値8.5である処理後液A
10においては、上澄みのCd濃度は0.046ppmを超え、ろ過物のCd濃度は0.031ppmであって、当該凝集剤使用によるCd処理は困難であった。
pH値9である処理後液A’
10、pH値9.5である処理後液A’’
10においては、凝集剤がノニオン系である方が、上澄みと、ろ過物とにおいて、Cd濃度およびZn濃度とも低く良好であった。そして凝集剤の添加により、Cd濃度を0.03ppm以下に低減できることも判明した。