特許第5965164号(P5965164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965164
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】カドミウム含有排水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/62 20060101AFI20160721BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C02F1/62 E
   C02F1/62 Z
   C02F1/56 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-53523(P2012-53523)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-184144(P2013-184144A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】507027162
【氏名又は名称】DOWAテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511052026
【氏名又は名称】卯根倉鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(72)【発明者】
【氏名】中塚 清次
(72)【発明者】
【氏名】上原 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 武
(72)【発明者】
【氏名】晴山 智
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−232374(JP,A)
【文献】 特開平7−214073(JP,A)
【文献】 特開平8−229571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/52−64
B01D 21/01
C22B 1/00−61/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カドミウムと亜鉛と鉄とアルミニウムとを含有し、前記鉄含有量が0.5ppm以下、前記アルミニウム含有量が2ppm以下であるカドミウム含有排水からのカドミウムの除去方法であって、
前記カドミウム含有排水のpH値を8.5以上に調整する工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、水酸化亜鉛スラリーを生成させる工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、前記水酸化亜鉛スラリーを採集し、カドミウム含有排水処理後の処理後液を得る工程と、
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える工程とを有する、ことを特徴とするカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項2】
前記カドミニウム含有排水のpH値を調整した後、撹拌を行い、その後静置して、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする、請求項1に記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項3】
前記撹拌されたカドミウム含有排水へ凝集剤を添加し、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする請求項2に記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項4】
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える際、当該加える量を制御することで、前記カドミウム含有排水処理後の処理後液中のカドミウム濃度を0.03ppm以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項5】
前記カドミウム含有排水のカドミウム濃度が、0を超え3ppm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【請求項6】
前記カドミニウム含有排水の亜鉛含有量が15ppm以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カドミウムを含有する排水から、当該カドミウムを除去する処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カドミウムは環境負荷の大きな物質であり、その安定的な処理は環境保全の観点から重要である。鉱山排水や工場排液のように、カドミウムの他に鉄、銅、アルミニウム、亜鉛等を含む排水の処理方法として、例えば特許文献1が開示されている。
特許文献1には、カドミウムの他に鉄、銅、アルミニウム、亜鉛等を含む排水処理方法として、当該排水をばっ気下におき、炭酸カルシウム添加によりpH値6とし、さらに苛性ソーダ添加にてpH値8〜8.6にし、その後キレート剤またはキレート樹脂添加により、当該排水中のカドミウムを吸着除去する処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−99688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境基準の見直しに伴い、排水における、より低濃度のカドミウム(本発明においてCdと記載する場合がある。)除去処理が求められつつある。
ここで、上述した特許文献1の排水処理方法は、pH値を多段階で上昇させながら金属の沈降処理を行うことにより排水処理を行うものである。しかし特許文献1に記載するように、通常pH値8〜10の領域においてCdは水酸化物沈殿を形成しない。そこで特許文献1は、Cdの濃度を低減する為、キレート添加による吸着処理を行っているが、殿物量の増加、処理薬剤コストの増大を招いている。
【0005】
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、中和剤消費量を最小限に留めながら、殿物量を増加させずに、排水中のCd濃度を低減することの出来る、Cd含有排水の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決する為、本発明者等は研究を行った。その結果、下記のCd含有排水の処理方法に想到した。
具体的には、Cdおよび亜鉛(本発明においてZnと記載する場合がある。)を含有する排水にアルカリを添加し、当該Cd含有排液のpH値(水素イオン指数値)を8.5以上に調整して撹拌し、さらに静置して水酸化亜鉛(本発明においてZn(OH)と記載する場合がある。)を析出させ、沈殿形成させる。そして、当該Zn(OH)沈殿の生成によりスラリーとなった排水をろ別分離して、Zn(OH)殿物を回収する。そして、当該回収されたZn(OH)殿物を、上述したpH値を8.5以上に調整したCd含有排水へ繰り返すことで、Cd含有排水処理後の処理後液のCdの濃度を0.03ppm以下としながら、殿物量を増加させず、かつ中和薬剤消費量を低減することが出来ることを知見し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
カドミウムと亜鉛と鉄とアルミニウムとを含有し、前記鉄含有量が0.5ppm以下、前記アルミニウム含有量が2ppm以下であるカドミウム含有排水からのカドミウムの除去方法であって、
前記カドミウム含有排水のpH値を8.5以上に調整する工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、水酸化亜鉛スラリーを生成させる工程と、
前記pH調整されたカドミウム含有排水から、前記水酸化亜鉛スラリーを採集し、カドミウム含有排水処理後の処理後液を得る工程と、
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える工程とを有する、ことを特徴とするカドミウム含有排水の処理方法である。
【0008】
第2の発明は、
前記カドミニウム含有排水のpH値を調整した後、撹拌を行い、その後静置して、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする、第1の発明に記載のカドミウム含有排水の処理方法である。
第3の発明は、
前記撹拌されたカドミウム含有排水へ凝集剤を添加し、水酸化亜鉛スラリーを生成させることを特徴とする第2の発明に記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【0009】
第4の発明は、
前記採集された水酸化亜鉛スラリーを、前記pH値を8.5以上に調整されたカドミウム含有排水へ加える際、当該加える量を制御することで、前記カドミウム含有排水処理後の処理後液中のカドミウム濃度を0.03ppm以下とすることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法。
【0010】
第5の発明は、
前記カドミウム含有排水のカドミウム濃度が、0を超え3ppm以下であることを特徴とする、第1から第4の発明のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法である。
第6の発明は、
前記カドミニウム含有排水の亜鉛含有量が15ppm以上であることを特徴とする、第1から第5の発明のいずれかに記載のカドミウム含有排水の処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカドミウム含有排水の処理方法によれば、生成する殿物量を抑制し、かつカドミウム含有排水処理後の処理後液への中和剤消費量を抑制しながら、当該処理中のカドミウムの濃度を0.03ppm以下とすることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るCd含有排水の処理方法のフローチャートである。
図2】処理後液のpH値と、処理後液中のCd濃度、スラリー中のZnとの関係を示すグラフである。
図3】試料水に対するスラリーの添加量と、処理後液中のCd濃度、処理後液のpH値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るCd含有排水の処理方法のフローチャートである。
[Cd含有排水]
本発明は、Cd濃度が3ppm以下である低濃度のCd含有排水に対しても適用可能である。さらには、Cd濃度が0ppmを超え、1ppm以下、さらには0.3ppm以下であっても適用可能である。
本発明に係るCd含有排水のZn含有量は15ppm以上であることが好ましい。また、本発明に係るCd含有排水中の鉄(本発明においてFeと記載する場合がある。)の含有量が0.5ppm以下、アルミニウム(本発明においてAlと記載する場合がある。)の含有量が2ppm以下であっても適用可能である。
尚、処理対象とするCd含有排水において、Zn含有量が15ppm未満である場合は、Znを補充添加することが好ましいが、後述するZnを含有するスラリーの繰り返し量の調整にて、Zn含有量を調整してもよい。
【0014】
[処理方法]
本発明は、Cd含有排水の処理方法を実施するに際し、連続処理、バッチ処理(処理単位を1バッチとして、逐次処理をするもの。)のいずれにも適用可能である。
【0015】
〈1.pH調整工程〉
Cd含有排水へアルカリを添加し、pH値を8.5以上に調整する工程である。Cdとの共沈性に優れた、Znを含有するスラリーを発生させるためである。
尤も、Cd含有排水のpH値を10.5を超える値に調整することによっても、Cd含有排水からのCdの除去は容易になる。しかし、Cd含有排水のpH値を10.5を超える値に調整してしまうと、後工程において、当該Cd含有排水処理後の処理後液のpH値を低下させる為に中和薬剤が必要で、薬剤コストが増大したり、処理が煩雑になり工数が増加する。
従って、本発明においては、Cd含有排水のpH値は10.5以下、さらには10以下であることが好ましい。最も好ましくはCd含有排水のpH値を8.5〜9.5の範囲に設定しても、安定した管理状態にて実施可能である。
尚、Cd含有排水のpH調整の際、添加するアルカリについて特に制限はないが、発生殿物の処理が比較的容易であるカルシウム(本発明においてCaと記載する場合がある。)系のアルカリが好ましく、アルカリ金属系アルカリ、マグネシウム(本発明においてMgと記載する場合がある。)系アルカリであっても構わない。
【0016】
〈2.撹拌・静置工程〉
前記Cd含有排水のpH値の調整後、10〜30分間の攪拌を行った後に静置し、スラリーを沈降させる工程である。
当該工程において、通常用いられるシックナーなどの装置を用いれば、撹拌と沈降を同時できるため、撹拌、静置、沈降の各段階が連続的に実施可能である。
尚、当該撹拌の際、後述する凝集剤を添加するのも好ましい構成である。
さらに詳細は後述するが、当該工程において、後工程で採取されたスラリーを前記pH値を調整後のCd含有排水へ加え、繰り返されることになる。
【0017】
〈3.凝集剤の添加〉
上述したように、Cd含有排水の撹拌に際し、凝集剤を添加することも好ましい構成である。
当該凝集剤としては、ノニオン系凝集剤またはアニオン系凝集剤を使用することが出来る。本発明者らの検討によると、Cd含有排水のpH値が高い場合は、ノニオン系凝集剤の方が処理後液のCd濃度低減およびスラリーの沈降速度の観点から、若干有利であった。
当該凝集剤の添加量は、沈降状況に応じて適宜設定される。
本発明においては、スラリーの沈降性が優れているので、凝集剤の使用量も抑制できる。
【0018】
〈4.ろ過処理・スラリーの採取工程〉
スラリーが沈降したCd含有排水をろ過処理して、当該スラリーを採集し、Cd含有排水処理後の処理後液を分離して得る工程である。
【0019】
〈5.スラリーの繰り返し工程〉
前記採集されたスラリーを、上述したpH値を調整後のCd含有排水へ繰り返す工程である。
繰り返し量はスラリーに含有されるZn量に応じ、適宜調整すれば良い。具体的には、少なくとも、pH値を調整後のCd含有排水に含有されるCdのモル数以上のZnモル数が繰り返されることとなるスラリー量とする。また、繰り返されるスラリー量が増加することで、Cd含有排水処理後の処理後液中のCd濃度がより低いpH値であっても低減さ
れるので、当該観点も考慮して、繰り返し量を決めれば良い。
本発明では、当初のCd含有排水から生成するスラリーをCdの共沈物質として活用することで、高コストな沈殿剤やキレート剤の使用が不要となる。
【0020】
[処理後液]
本発明に係るCd含有排水の処理方法によれば、Cd含有排水処理後の処理後液中のCd濃度を0.03ppm以下とすることが出来た。
また、得られる処理後液のpH値も、10.5以下、さらには8.5〜9.5の範囲であることから、後工程における処理後液ヘの中和薬剤コストを抑制することが出来た。さらに、処理工程自体も簡易な構成であり、設備コストや作業工数も抑制することが出来た。
【0021】
[バッチ処理]
以上、本発明を、Cd含有排水の連続処理方法を例として説明した。勿論、本発明は、バッチ処理によるCd含有排水の処理方法にも適用可能である。
バッチ処理の場合は、前記採集されたスラリーを、次バッチ以降におけるpH値を8.5以上としたCd含有排水へ、繰り返すこととすれば良い。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。
[試料液の調製]
鉱山から産出した鉱水を処理して得られた排水へCdClを添加し、試料水を準備した。当該試料水は0.29ppmのCdと、1.3ppmのZnとが含有され、pH値は8.5であった。Cd含有排水中のFe含有量は0.1ppm、Al含有量は1.2ppmであった。
尚、Cdの分析はICP−MS(Agilent社製、7500)、Znの分析はICP−AES(SII社製、SPS5100)を用いて実施した。
【0023】
(pH調製)
当該試料水へ水酸化カルシウムを添加して、pH値を8.5とした試料水Aと、pH値を9.5とした試料水Bと、pH値を10.5とした試料水Cとを調製した。
【0024】
(撹拌・静置)
試料水A〜C1,000mLをそれぞれビーカーに採り、20分間撹拌した後、静置した。すると試料水A〜Cには、それぞれZn(OH)殿物が発生し、Zn(OH)スラリーA〜Cが生成した。
【0025】
(ろ過処理)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過して、処理後液A〜Cを得た。
【0026】
[スラリーの繰り返しによる処理]
(スラリーの採取)
本実施例において用いるスラリーは、実際の鉱水処理設備で発生したものを用いた。
具体的には、鉱山から産出したCd含有鉱水に水酸化カルシウムを添加し、pH値8.5としてスラリーを生成させた。その後、生成したスラリーをシックナーにて沈降分離させ、採取したものである。
【0027】
(スラリー0.5mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー0.5mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0028】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A0.5〜C0.5と、スラリーA0.5〜C0.5とを得た。
処理後液A0.5〜C0.5のCd濃度を測定したところ、処理後液A0.5は0.25ppm、処理後液B0.5は0.129ppm、処理後液C0.5は0.009ppmであった。
上述の結果より、処理後液C0.5のCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0029】
(スラリー2mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー2mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0030】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A〜Cと、スラリーA〜Cとを得た。
処理後液A〜CのCd濃度を測定したところ、処理後液Aは0.207ppm、処理後液Bは0.103ppm、処理後液Cは0.006ppmであった。
上述の結果より、処理後液CのCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0031】
(スラリー10mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー10mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0032】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A10〜C10と、スラリーA10〜C10とを得た。
処理後液A10〜C10のCd濃度を測定したところ、処理後液A10は0.125ppm、処理後液B10は0.043ppm、処理後液C10は0.004ppmであった。
上述の結果より、処理後液C10のCd濃度が、目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0033】
(スラリー100mL繰り返しの場合)
上述した試料水A〜Cを調製した。
それぞれの試料水A〜C1000mLへ、前記採取したスラリー100mLを添加した。そして、20分間撹拌した後、静置した。
【0034】
(ろ過処理・ろ液測定)
当該スラリーが生成した試料水A〜Cを、ろ紙(No.5C)を用いてろ過し、処理後液A100〜C100と、スラリーA100〜C100とを得た。
処理後液A100〜C100のCd濃度を測定したところ、処理後液A100は0.026ppm、処理後液B100は0.007ppm、処理後液C100は0.003ppmであった
上述の結果より、処理後液A100〜C100のCd濃度が、いずれも目標の0.03ppm以下を満足することが判明した。
当該結果を表1に記載した。
【0035】
【表1】
【0036】
(まとめ)
表1の結果をグラフ化して、図2、3とした。
図2は、横軸にZn濃度、縦軸にCd濃度をとり、pH値8.5とした処理後液A、A0.5、A、A10、A100を●でプロットし、pH値9.5とした処理後液B、B0.5、B、B10、B100を▲でプロットし、pH値10.5とした処理後液C、C0.5、C、C10、C100を■でプロットしたものである。
【0037】
図2より、処理後液のpH値が10.5あれば、処理後液中のCd濃度はZn濃度に拘わらず0.015ppm以下であることが判明した。一方、処理後液のpH値が9.5さらには8.5であっても、Zn濃度が1000ppm以上となると、Cd濃度は0.03ppm以下となることが判明した。
【0038】
図3は、横軸にpH値、縦軸にCd濃度をとり、スラリーを添加していない処理後液A〜Cを◆でプロットし、スラリーA〜C0.5mLをそれぞれ添加した処理後液A0.5〜C0.5を○でプロットし、スラリーA〜C2mLをそれぞれ添加した処理後液A〜Cを▲でプロットし、スラリーA〜C10mLをそれぞれ添加した処理後液A10〜C10を■でプロットし、スラリーA〜C100mLをそれぞれ添加した処理後液A100〜C100を●でプロットしたものである。
【0039】
図3より、試料水へZn、Cd鉱水処理で得られるZn(OH)スラリーを加えることで、処理後液中のCd濃度を低減出来ることが判明した。特に、スラリー100mLを添加した場合は、pH値8.5から11においてCd濃度は、0.03ppm以下となることが判明した。
【0040】
[凝集剤を添加した場合]
(凝集剤の添加)
上述した工程で得られた処理後液A10、および当該処理後液A10に消石灰を添加してpH値を9とした処理後液A’10pH値を9.5とした処理後液A’’10とを調製した。
これら、処理後液A10、A’10、A’’10へ、ノニオン系凝集剤(ノニオン性高分子凝集剤)またはアニオン系凝集剤(アニオン性高分子凝集剤)を1ppm添加し、20分間撹拌後2時間静置した。そして、当該静置した処理後液から上澄みを得、当該静置した処理後液をろ過して、ろ過物を得た。当該上澄みと、ろ過物とにおけるCd濃度とZn濃度とを測定した。
当該測定結果を表2に記載する。
【0041】
【表2】
【0042】
(まとめ)
pH値8.5である処理後液A10において、凝集剤がノニオン系である場合と、アニオン系である場合とにおいて、Cd濃度およびZn濃度差において差異は見られなかった
但し、pH値8.5である処理後液A10においては、上澄みのCd濃度は0.046ppmを超え、ろ過物のCd濃度は0.031ppmであって、当該凝集剤使用によるCd処理は困難であった。
pH値9である処理後液A’10、pH値9.5である処理後液A’’10においては、凝集剤がノニオン系である方が、上澄みと、ろ過物とにおいて、Cd濃度およびZn濃度とも低く良好であった。そして凝集剤の添加により、Cd濃度を0.03ppm以下に低減できることも判明した。
図1
図2
図3