特許第5965165号(P5965165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965165
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】差圧発信器
(51)【国際特許分類】
   G01L 13/00 20060101AFI20160721BHJP
   G01L 19/06 20060101ALI20160721BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G01L13/00 Z
   G01L19/06 Z
   G01L19/14
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-56754(P2012-56754)
(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公開番号】特開2013-190325(P2013-190325A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】東條 博史
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−242027(JP,A)
【文献】 特開平8−139339(JP,A)
【文献】 特開平4−301731(JP,A)
【文献】 特開平3−95425(JP,A)
【文献】 特表昭61−500633(JP,A)
【文献】 特開昭60−061637(JP,A)
【文献】 特開昭55−103440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L27/00−27/02
H01L27/20
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、このセンサダイアフラムの一方の面にその凹部を対峙させて設けられ当該センサダイアフラムの他方の面に過大圧が印加された時の過度な変位を阻止する第1のストッパ部材と、前記センサダイアフラムの他方の面にその凹部を対峙させて設けられ当該センサダイアフラムの一方の面に過大圧が印加された時の過度な変位を阻止する第2のストッパ部材とを備えたセンサチップと、
前記センサチップを収容したボディと、
前記ボディの側面に設けられプロセスからの第1の測定圧を受ける第1の受圧ダイアフラムと、
前記ボディの側面に設けられプロセスからの第2の測定圧を受ける第2の受圧ダイアフラムと、
前記ボディの内部に形成された第1の連通路に封入され、前記第1の受圧ダイアフラムが受けた圧力を前記センサダイアフラムの一方の面に伝達する第1の圧力伝達媒体と、
前記ボディの内部に形成された第2の連通路に封入され、前記第2の受圧ダイアフラムが受けた圧力を前記センサダイアフラムの他方の面に伝達する第2の圧力伝達媒体とを備え、
前記センサチップ、前記第1および第2の受圧ダイアフラム、前記ボディの全てが半導体材料で構成され、
前記ボディは、前記第1の連通路に連通する第1の封入孔および前記第2の連通路に連通する第2の封入孔を側面に有し、
前記第1の封入孔は、前記ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、
前記第2の封入孔は、前記ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、
前記第1の封入孔の前記ボディの側面に開口する孔は、前記メタルが成膜された面に加熱溶解された第1の溶融金属によって塞がれ、
前記第2の封入孔の前記ボディの側面に開口する孔は、前記メタルが成膜された面に加熱溶解された第2の溶融金属によって塞がれ、
前記第1の溶融金属によって塞がれた前記第1の封入孔には、前記第1の連通路の一部として前記第1の圧力伝達媒体が封止されており、
前記第2の溶融金属によって塞がれた前記第2の封入孔には、前記第2の連通路の一部として前記第2の圧力伝達媒体が封止されている
ことを特徴とする差圧発信器。
【請求項2】
請求項1に記載された差圧発信器において、
前記センサチップ、前記第1および第2の受圧ダイアフラム、前記ボディの熱膨張係数が近似している
ことを特徴とする差圧発信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧発信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業用の差圧発信器(伝送器)として、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧発信器が用いられている。この差圧発信器は、高圧側および低圧側の受圧ダイアフラムに加えられる各測定圧を、圧力伝達媒体としての封入液によってセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に導き、そのセンサダイアフラムの歪みを例えば歪抵抗ゲージの抵抗値変化として検出し、この抵抗値変化を電気信号に変換して取り出すように構成されている。
【0003】
このような差圧発信器は、例えば石油精製プラントにおける高温反応塔等の被測定流体を貯蔵する密閉タンク内の上下2位置の差圧を検出することにより、液面高さを測定するときなどに用いられる。
【0004】
なお、差圧発信器のボディおよび受圧ダイアフラムは、耐食性や耐環境性、内部のセンサダイアフラムの保護のために、剛性の高い金属(例えば、ステンレス)が用いられる。
【0005】
図5に従来の差圧発信器の概略構成を示す。この差圧発信器100は、センサダイアフラム(図示せず)を有するセンサチップ1をメータボディ2に組み込んで構成される。センサチップ1におけるセンサダイアフラムは、シリコン(Si)やガラスなどの半導体材料よりなり、薄板状に形成されたダイアフラムの表面に歪抵抗ゲージが形成されている。メータボディ2は、金属製の本体部3とセンサ部4とからなり、本体部3の側面に一対の受圧部をなす金属製のバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)5a,5bが設けられ、センサ部4にセンサチップ1が組み込まれている。
【0006】
メータボディ2において、センサ部4に組み込まれたセンサチップ1と本体部3に設けられたバリアダイアフラム5a,5bとの間は、大径のセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介してそれぞれ連通され、センサチップ1とバリアダイアフラム5a,5bとを結ぶ連通路8a,8bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体9a,9bが封入されている。
【0007】
なお、シリコーンオイル等の圧力媒体が必要となるのは、センサダイアフラムに対する計測媒体中の異物付着を防ぐこと、センサダイアフラムを腐食させないため、耐食性を持つ受圧ダイアフラムと応力(圧力)感度を持つセンサダイアフラムとを分離する必要があるためである。
【0008】
この差圧発信器100では、図6(a)に定常状態時の動作態様を模式的に示すように、プロセスからの第1の測定圧Paがバリアダイアフラム5aに印加され、プロセスからの第2の測定圧Pbがバリアダイアフラム5bに印加される。これにより、バリアダイアフラム5a,5bが変位し、その加えられた圧力Pa,Pbがセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介し、圧力伝達媒体9a,9bを通して、センサチップ1のセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、センサチップ1のセンサダイアフラムは、その導かれた圧力Pa,Pbの差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0009】
これに対して、例えば、バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わると、図6(b)に示すようにバリアダイアフラム5aが大きく変位し、これに伴ってセンタダイアフラム6が過大圧Poverを吸収するように変位する。そして、バリアダイアフラム5aがメータボディ2の凹部10aの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5aを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、バリアダイアフラム5bがメータボディ2の凹部10bの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5bを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加によるセンサチップ1の破損、すなわちセンサチップ1におけるセンサダイアフラムの破損が未然に防止される。
【0010】
この差圧発信器100では、金属製のメータボディ2にセンサチップ1を内包させているので、プロセス流体など外部腐食環境からセンサチップ1を保護することができる。しかしながら、センタダイアフラム6やバリアダイアフラム5a,5bの変位を規制するための凹部10a,10bを備え、これらによってセンサチップ1を過大圧Poverから保護する構造をとっているので、その形状が大型化することが避けられない。
【0011】
そこで、センサチップに第1のストッパ部材および第2のストッパ部材を設け、この第1のストッパ部材および第2のストッパ部材の凹部をセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に対峙させることによって、過大圧が印加された時のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止し、これによってセンサダイアフラムの破損・破壊を防止する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
図7に特許文献1に示された構造を採用したセンサチップの概略を示す。同図において、11−1はセンサダイアフラム、11−2および11−3はセンサダイアフラム11−1を挟んで接合された第1および第2のストッパ部材である。センサダイアフラム11−1やストッパ部材11−2,11−3はシリコンやガラスなどの半導体材料より構成されている。
【0013】
このセンサチップ11において、ストッパ部材11−2,11−3には凹部11−2a,11−3aが形成されており、ストッパ部材11−2の凹部11−2aをセンサダイアフラム11−1の一方の面に対峙させ、ストッパ部材11−3の凹部11−3aをセンサダイアフラム11−1の他方の面に対峙させている。凹部11−2a,11−3aは、センサダイアフラム11−1の変位に沿った曲面(非球面)とされており、その頂部に圧力導入孔11−2b,11−3bが形成されている。
【0014】
図8にこのセンサチップ11をメータボディ12に組み込んで構成した差圧発信器200の概略構成を示す。この差圧発信器200において、メータボディ12は、金属製の本体部13とセンサ部14とからなり、本体部13の側面に一対の受圧部をなすバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)15a,15bが設けられ、センサ部14にセンサチップ11が組み込まれている。
【0015】
メータボディ12において、センサ部14に組み込まれたセンサチップ11と本体部13に設けられたバリアダイアフラム15a,15bとの間は、センサダイアフラム11−1の一方の面(第1のストッパ部材11−2の凹部11−2aが対峙している面)とバリアダイアフラム15aとの間が連通路16aによって連通され、センサダイアフラム11−1の他方の面(第2のストッパ部材11−3の凹部11−3aが対峙している面)とバリアダイアフラム15bとの間が連通路16bによって連通され、連通路16a,16bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体17a,17bが封入されている。
【0016】
なお、本体部13の側面(下面)には、圧力伝達媒体17aを連通路16aに封入するための第1の封入孔18aと、圧力伝達媒体17bを連通路16bに封入するための第2の封入孔18bとが形成されている。この封入孔18aおよび18bは、連通路16aおよび16bへの圧力伝達媒体17aおよび17bの封入後、ネジ止め、抵抗溶接、プラズマ溶接などの手法で封止されている。この例では、図9に拡大して示すように、封入孔18a,18bに金属球19a,19bを溶接することによって、封入孔18a,18bを封止している。
【0017】
この差圧発信器200では、プロセスからの第1の測定圧Paがバリアダイアフラム15aに印加され、プロセスからの第2の測定圧Pbがバリアダイアフラム15bに印加される。これにより、バリアダイアフラム15a,15bが変位し、その加えられた圧力Pa,Pbが連通路16a,16b中の圧力伝達媒体17a,17bを通して、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1の一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1は、その導かれた圧力Pa,Pbの差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0018】
これに対して、例えば、バリアダイアフラム15aに過大圧Poverが加わると、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1が大きく変位し、その変位面の全体が第2のストッパ部材11−3の凹部11−3aの曲面(非球面(過大圧保護面))によって受け止められ、センサダイアフラム11−1のそれ以上の過度な変位が阻止される。バリアダイアフラム15bに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム15aに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1の変位面の全体が第1のストッパ部材11−2の凹部11−2aの曲面(非球面(過大圧保護面))によって受け止められ、センサダイアフラム11−1のそれ以上の過度な変位が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加によるセンサチップ11の破損、すなわちセンサチップ11におけるセンサダイアフラム11−1の破損が未然に防止される。
【0019】
このような構造の差圧発信器200とすることにより、図5に示した差圧発信器100で必要としていたセンタダイアフラムや圧力緩衝室を不要として、またバリアダイアフラムの変位を規制するための凹部の作り込みを考慮する必要性をなくして、メータボディ12の小型化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−69736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、この種の差圧発信器では、耐環境性は厳しくないが、設置場所が狭いような現場やアプリケーションにも使用可能なように、さらなるボディの小型化が要求される。
【0022】
そこで、本出願人は、図8に示した差圧発信器200において、センサ部14にバリアダイアフラム15a,15bを設けることによって、メータボディ12の本体部13をなくすことを考えた。この場合、バリアダイアフラム15a,15bの小型化が必要となる。
【0023】
しかし、バリアダイアフラム15a,15bは金属製(例えば、ステンレス)であり、この金属製のバリアダイアフラム15a,15bの径を小さくするには、バネ強度を等しくするために、その厚みを薄くする必要がある。しかし、金属製のバリアダイアフラム15a,15bの厚みを薄くすると、測定流体によっては水素透過を生じる可能性がある。すなわち、金属製のバリアダイアフラムを持つボディでの小型化には必然的に限界がある。
【0024】
なお、バリアダイアフラムを水素透過を起こしにくいSiN,サファイア,Si,SiC,石英,硼珪酸ガラスなどの半導体材料で構成することも考えられるが、ボディが金属製であるために、熱膨張係数などの差により、割れなどの問題が発生する。
【0025】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、水素透過や割れなどの問題を発生させることなく、受圧ダイアフラム(バリアダイアフラム)の径を小さくし、ボディのさらなる小型化を図ることが可能な差圧発信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
このような目的を達成するために、本発明に係る差圧発信器は、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、このセンサダイアフラムの一方の面にその凹部を対峙させて設けられ当該センサダイアフラムの他方の面に過大圧が印加された時の過度な変位を阻止する第1のストッパ部材と、センサダイアフラムの他方の面にその凹部を対峙させて設けられ当該センサダイアフラムの一方の面に過大圧が印加された時の過度な変位を阻止する第2のストッパ部材とを備えたセンサチップと、センサチップを収容したボディと、ボディの側面に設けられプロセスからの第1の測定圧を受ける第1の受圧ダイアフラムと、ボディの側面に設けられプロセスからの第2の測定圧を受ける第2の受圧ダイアフラムと、ボディの内部に形成された第1の連通路に封入され、第1の受圧ダイアフラムが受けた圧力をセンサダイアフラムの一方の面に伝達する第1の圧力伝達媒体と、ボディの内部に形成された第2の連通路に封入され、第2の受圧ダイアフラムが受けた圧力をセンサダイアフラムの他方の面に伝達する第2の圧力伝達媒体とを備え、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディの全てが半導体材料で構成され、ボディは、第1の連通路に連通する第1の封入孔および第2の連通路に連通する第2の封入孔を側面に有し、第1の封入孔は、ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、第2の封入孔は、ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、第1の封入孔のボディの側面に開口する孔は、メタルが成膜された面に加熱溶解された第1の溶融金属によって塞がれ、第2の封入孔のボディの側面に開口する孔は、メタルが成膜された面に加熱溶解された第2の溶融金属によって塞がれ、第1の溶融金属によって塞がれた第1の封入孔には、第1の連通路の一部として第1の圧力伝達媒体が封止されており、第2の溶融金属によって塞がれた第2の封入孔には、第2の連通路の一部として第2の圧力伝達媒体が封止されていることを特徴とする。
【0027】
この発明において、第1および第2の受圧ダイアフラムは、半導体材料で構成されている。半導体材料(例えば、SiN,サファイア,Si,SiC,石英,硼珪酸ガラスなど)は水素透過を起こしにくい。これにより、水素透過の問題を発生させることなく、受圧ダイアフラムの径を小さくして、ボディの小型化を図ることが可能となる。
【0028】
また、この発明において、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディの全ては、半導体材料で構成されている。これにより、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディの熱膨張係数を近似させるなどして、割れなどの問題を生じさせないようにすることが可能となる。
【0029】
なお、本発明において、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディは半導体材料で構成されていればよく、第1および第2の受圧ダイアフラムとボディとが異種の材料で構成されていたりしてもよい。例えば、第1および第2の受圧ダイアフラムがサファイアで構成され、ボディがシリコンで構成されていたりしてもよい。
また、本発明において、第1の封入孔は、ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、この第1の封入孔のボディの側面に開口する孔は、メタルが成膜された面に加熱溶解された第1の溶融金属によって塞がれている。また、この第1の溶融金属によって塞がれた第1の封入孔には、第1の連通路の一部として第1の圧力伝達媒体が封止されている。
また、本発明において、第2の封入孔は、ボディの側面に開口する孔の縁面およびこの縁面につながる内壁面にメタルが成膜されており、この第2の封入孔のボディの側面に開口する孔は、メタルが成膜された面に加熱溶解された第2の溶融金属によって塞がれている。また、この第2の溶融金属によって塞がれた第2の封入孔には、第2の連通路の一部として第2の圧力伝達媒体が封止されている。
このような封止構造とすることで、機械的負荷や高熱負荷を与えずに、第1および第2の封入孔を封止することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディの全てを半導体材料で構成するようにしたので、水素透過の問題を発生させることなく、受圧ダイアフラムの径を小さくすることが可能となり、また、センサチップ、第1および第2の受圧ダイアフラム、ボディの熱膨張係数を近似させるなどして、割れなどの問題を生じさせないようにすることが可能となり、ボディのさらなる小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る差圧発信器の一実施の形態の概略構成を示す図である。
図2】この差圧発信器における圧力伝達媒体の封入孔に対する封止構造を拡大して示す図である。
図3】封止強度を補強するために半田プリフォームと金属プレートとを併用した構造を示す図である。
図4】メータボディ(ボディ)の上下面にバリアダイアフラムを設けるようにした例を示す図である。
図5】従来の差圧発信器の概略構成を示す図である。
図6】この差圧発信器の動作態様を模式的に示す図である。
図7】特許文献1に示された構造を採用したセンサチップの概略を示す図である。
図8】このセンサチップをメータボディに組み込んで構成した差圧発信器の概略構成を示す図である。
図9】この差圧発信器における圧力伝達媒体の封入孔に対する封止構造を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る差圧発信器の一実施の形態の概略構成を示す図である。同図において、図8と同一符号は図8を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0033】
図1において、20はセンサチップ11が組み込まれたメータボディであり、SiN,サファイア,Si,SiC,石英,硼珪酸ガラスなどの半導体材料で構成されている。本実施の形態において、メータボディ(以下、単にボディと呼ぶ)20は、シリコンによって構成されているものとする。
【0034】
ボディ20の大きさは、図8に示した差圧発信器200におけるセンサ部14と同程度の大きさとされており、このボディ20の側面(下面)に一対の受圧部をなすバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)21a,21bを設けている。
【0035】
本実施の形態において、バリアダイアフラム21a,21bは、ボディ20を加工することによって、ボディ20に対して一体的に設けられている。すなわち、本実施の形態において、バリアダイアフラム21a,21bはボディ20の一部として設けられ、ボディ20と同じシリコンによって構成されている。
【0036】
また、本実施の形態において、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1、第1のストッパ部材11−2、第2のストッパ部材11−3は、何れもシリコンによって構成されているものとする。すなわち、本実施の形態において、センサチップ11、バリアダイアフラム21a,21b、ボディ20は全て半導体材料で構成され、しかもその半導体材料は同じシリコンとされている。
【0037】
ボディ20において、センサチップ11とバリアダイアフラム21a,21bとの間は、センサダイアフラム11−1の一方の面(第1のストッパ部材11−2の凹部11−2aが対峙している面)とバリアダイアフラム21aとの間が連通路22aによって連通され、センサダイアフラム11−1の他方の面(第2のストッパ部材11−3の凹部11−3aが対峙している面)とバリアダイアフラム21bとの間が連通路22bによって連通され、連通路22a,22bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体23a,23bが封入されている。
【0038】
なお、ボディ20の側面には、圧力伝達媒体23aを連通路22aに封入するための第1の封入孔24aと、圧力伝達媒体23bを連通路22bに封入するための第2の封入孔24bとが形成されている。
【0039】
この差圧発信器300では、プロセスからの第1の測定圧Paがバリアダイアフラム21aに印加され、プロセスからの第2の測定圧Pbがバリアダイアフラム21bに印加される。これにより、バリアダイアフラム21a,21bが変位し、その加えられた圧力Pa,Pbが連通路22a,22b中の圧力伝達媒体23a,23bを通して、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1の一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1は、その導かれた圧力Pa,Pbの差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0040】
これに対して、例えば、バリアダイアフラム21aに過大圧Poverが加わると、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1が大きく変位し、その変位面の全体が第2のストッパ部材11−3の凹部11−3aの曲面(非球面(過大圧保護面))によって受け止められ、センサダイアフラム11−1のそれ以上の過度な変位が阻止される。バリアダイアフラム21bに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム21aに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、センサチップ11のセンサダイアフラム11−1の変位面の全体が第1のストッパ部材11−2の凹部11−2aの曲面(非球面(過大圧保護面))によって受け止められ、センサダイアフラム11−1のそれ以上の過度な変位が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加によるセンサチップ11の破損、すなわちセンサチップ11におけるセンサダイアフラム11−1の破損が未然に防止される。
【0041】
この差圧発信器300では、受圧ダイアフラム21aおよび21bがシリコンで構成されているので、水素透過を起こしにくい。これにより、本実施の形態では、水素透過の問題を発生させることなく、受圧ダイアフラム21aおよび21bの径を小さくして、ボディ20の小型化を図ることができている。
【0042】
また、この差圧発信器300では、センサチップ11、受圧ダイアフラム21aおよび21b、ボディ20の全てがシリコンで構成されている。この場合、センサチップ11、受圧ダイアフラム21aおよび21b、ボディ20の熱膨張係数が等しいので、割れなどの問題が生じないものとなる。
【0043】
また、受圧ダイアフラム21aおよび21bとセンサダイアフラム11−1とが同じシリコンで構成されているので、両者の熱膨張係数が等しくなり、差圧の測定精度に対する熱の影響を小さくすることも可能となる。
【0044】
この差圧発信器300では、ボディ20をシリコンで構成しているので、封入孔24a,24bからの連通路22a,22bへの圧力伝達媒体23a,23bの封入後、封入孔24a,24bをネジ止め・抵抗溶接・プラズマ溶接などで封止するという手法をとることができない。
【0045】
そこで、本実施の形態では、図2に拡大して示すように、封入孔24aの縁面24a1およびこの縁面24a1につながる内壁面(入口付近の側壁部)24a2にTi−Pt−AuやNb−Pt−Auなどの密着性の高いメタルを成膜し(図2参照)、連通路22aへの圧力伝達媒体23aの封入後、そのメタルが成膜された面(メタル成膜面)24a3にボール状の半田(半田プリフォーム)25aを置いて加熱溶解させ、かつ入口のメタルの薄膜になじませることによって、封入孔24aを封止している。封入孔24bについても封入孔24aと同様にして半田プリフォーム25bを用いて封止している。
【0046】
このような封止構造とすることで、機械的負荷や高熱負荷を与えずに、封入孔24a,24bを封止することが可能となる。なお、図3に示すように、封止強度を補強するために、半田プリフォーム25a(25b)と金属プレート26a(26b)とを併用する構造としてもよい。また、必ずしも半田プリフォームを用いなくてもよく、他の溶融金属を用いて封止するようにしてもよい。
【0047】
上述した実施の形態では、ボディ20の側面としてボディ20の下面にバリアダイアフラム21a,21bを設けた構造としたが、図4に示すように、ボディ20の上下面にバリアダイアフラム21a,21bを設けた構造とするなどしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態では、バリアダイアフラム21a,21bとボディ20とを同じシリコンで構成するようにしたが、例えば、バリアダイアフラム21a,21bをサファイアで構成し、ボディ20をシリコンで構成するなどとしてもよい。シリコンとサファイアでは熱膨張係数が異なるが、同じ半導体材料であるので熱膨張係数は近似しており、熱膨張係数の差は小さく、割れなどの問題が発生する虞はない。
【0049】
また、上述した実施の形態において、バリアダイアフラム21a,21bに対するボディ20の凹部27a,27bの底面を過大圧保護面として機能させ、過大圧が加わった時のバリアダイアフラム21a,21bの変位を規制するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態では、センサダイアフラム11−1を圧力変化に応じて抵抗値が変化する歪抵抗ゲージを形成したタイプとしているが、静電容量式のセンサチップとしてもよい。静電容量式のセンサチップは、所定の空間(容量室)を備えた基板と、その基板の空間上に配置されたダイアフラムと、基板に形成された固定電極と、ダイアフラムに形成された可動電極とを備えている。ダイアフラムが圧力を受けて変形することで、可動電極と固定電極との間隔が変化してその間の静電容量が変化する。
【0051】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0052】
11…センサチップ、11−1…センサダイアフラム、11−2,11−3…ストッパ部材、11−2a,11−3a…凹部、11−2b,11−3b…圧力導入孔、20…メータボディ(ボディ)、21a,21b…バリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)、22a,22b…連通路、23a,23b…圧力伝達媒体、24a,24b…封入孔、24a1,24b1…縁面、24a2,24b2…内壁面、24a3,24b3…メタル成膜面、25a,25b…ボール状の半田(半田プリフォーム)、26a,26b…金属プレート、27a,27b…凹部、300…差圧発信器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9