(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965166
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20160721BHJP
E05F 1/12 20060101ALI20160721BHJP
E05F 3/14 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
B60R7/04 Z
E05F1/12
E05F3/14
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-57981(P2012-57981)
(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公開番号】特開2013-189148(P2013-189148A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 充
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−152813(JP,A)
【文献】
特開2009−249945(JP,A)
【文献】
特開2010−247565(JP,A)
【文献】
特開2007−313983(JP,A)
【文献】
特開2006−182149(JP,A)
【文献】
特開2006−218941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
E05F 1/12, 3/14
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する箱状のケースと、前記開口を開閉する開閉体とを有する収納装置であって、
前記ケースの側壁に、所定の直線に沿って延設されたガイド手段と、
前記直線に沿ってスライド可能に前記ガイド手段に支持されたスライダと、
前記開閉体から延出し、前記スライダに所定の軸線回りに回転可能に支持されると共に、前記軸線を中心とする第1ギアを備えたアームと、
前記側壁に前記直線と平行に延設され、前記第1ギアが噛み合うラックと
を有し、
前記開閉体が前記ケースに対して前記軸線回りに回転するときに、前記第1ギアと前記ラックとの噛み合いによって、前記スライダと共に前記開閉体が前記直線に沿って移動することを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記スライダを前記ケースに対して前記直線に沿って一側へと付勢するべく、前記ケースと前記スライダとの間に設けられた付勢手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記スライダに対する前記アームの回転を減衰するべく、前記スライダと前記アームとの間に設けられたダンパ手段を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記ダンパ手段は、粘性流体が封入されたハウジングと、一端が前記ハウジングに回転可能に受容される一方、他端が前記ハウジングから突出したロータと備え、
前記アームは、前記軸線を中心とする第2ギアを備え、
前記ハウジング及び前記ロータの一方が前記スライダに結合され、前記ハウジング及び前記ロータの他方の外周面に前記第2ギアに噛み合う第3ギアが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の収納装置。
【請求項5】
前記ケースは、前記側壁の外面側との間に空隙を形成するように前記側壁を覆うカバーを備え、
前記アームが前記空隙に配置され、
前記カバーの前記側壁側を向く部分に前記ガイド手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記ケースは、前記側壁の外面側との間に空隙を形成するように前記側壁を覆うカバーを備え、
前記アームが前記空隙に配置され、
前記カバーの前記側壁側を向く部分に前記ガイド手段が設けられ、
前記付勢手段は、捻りコイルばねであり、一端が前記カバーに係止される一方、他端が前記スライダに係止されたことを特徴とする請求項2に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用のカップホルダとして使用される収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、インストルメントパネルやセンターコンソール等に飲料容器や小物を収容するための収納装置を組み込んだものがある。この種の収納装置は、上方に向けて開口する箱形のケースと、ケースの開口を開閉するリッドとを有している(例えば、特許文献1)。リッドは、その左右側部にケースの左右側壁の外面側に延出する一対のアームを有し、これらのアームにおいてケースの左右側壁に所定の軸線回りに回転自在に支持されている。この収納装置では、リッドは軸線を中心とした円弧軌跡を描いて回転するため、回転時にリッドとケースとが干渉しないように回転軸の位置を定めると、開位置においてリッドの端縁がケースよりも上方に突出するという問題がある。また、リッドの端縁がケースよりも上方に突出しないように回転軸の位置を定める場合には、アームが長くなり、全開位置においてリッドがケースから離間した位置に配置され、収納装置の周りにリッドのための広い空間が必要になるという問題がある。
【0003】
以上の問題に対して、ケースの側壁に、円弧状かつ内歯形の第1固定ギアと、第1固定ギアの内側に配置された円形状かつ外歯形の第2固定ギアとを設け、アームに第1固定ギアと噛み合う第1アームギアを設けると共に、アームに第1アームギアと同軸かつ回転可能に支持され、第2固定ギアに噛み合う第2アームギアを設けた収納装置がある(例えば、特許文献2)。この収納装置は、リッドが開閉する際に、第1アームギアが第1固定ギア上を移動することによって、リッドの回転軸線がケースに対して移動する。そのため、リッドは、ケースとの干渉を避けつつ、ケースに近接した位置を回り込みながら移動し、全開位置においてもケース近傍に位置する。そのため、収納装置のコンパクト化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3314903号
【特許文献2】特許第3833925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に係る収納装置のアーム(リッド)は、第1アームギアと第1固定ギアと噛み合いと、第2アームギアと第2固定ギアとの噛み合いとによって、その回転軸の位置が定められており、軸部が直接に他の部材に回転可能に支持されているわけでない。そのため、リッド及びアームに荷重や振動が加わった際に、回転軸にずれや倒れが発生し、動作が不安定になる虞がある。また、特許文献2に係る収納装置は、ケースとアームとの間に引張コイルばねを有し、リッドを開方向に付勢しているが、第1固定ギアが円弧状に形成されているため、リッドの開閉位置に応じて第1固定ギアと第1アームギアとの噛み合い方向が変化する。そのため、バックラッシュの方向と引張コイルばねの付勢方向とが一致せず、ギアの噛み合い部分にがたつきが生じる虞がある。このような収納装置を車両等の振動源を有する装置に取り付けた場合には、バックラッシュに起因する振動音(低級音)が発生する虞がある。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、移動する回転軸線回りに回転可能な開閉体を有する収納装置において、開閉体を安定性良く支持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、開口(2)を有する箱状のケース(3)と、前記開口を開閉する開閉体(4)とを有する収納装置(1)であって、前記ケースの側壁(30)に、所定の直線(B)に沿って延設されたガイド手段(34)と、前記直線に沿ってスライド可能に前記ガイド手段に支持されたスライダ(35)と、前記開閉体から延出し、前記スライダに所定の軸線(A)回りに回転可能に支持されると共に、前記軸線を中心とする第1ギア(24)を備えたアーム(19)と、前記側壁に前記直線と平行に延設され、前記第1ギアが噛み合うラック(46)とを有し、前記開閉体が前記ケースに対して前記軸線回りに回転するときに、前記第1ギアと前記ラックとの噛み合いによって、前記スライダと共に前記開閉体が前記直線に沿って移動することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ケースに支持されたスライダにアームが回転自在に支持されているため、アームのケースに対する位置が所定の範囲に規制され、第1ギアとラックとの噛み合いが常時維持されると共に、開閉体が所定の軸線回りに回転するようになる。
【0009】
また、上記の発明において、収納装置は、前記スライダを前記ケースに対して前記直線に沿って一側へと付勢するべく、前記ケースと前記スライダとの間に設けられた付勢手段(52)を更に有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、スライダを介して第1ギアが常時直線に沿った一側に付勢されているため、第1ギアとラックとが常時当接し、がたが生じない。これにより、収納装置に振動が加わる場合にも、低級音の発生が抑制される。
【0011】
また、上記の発明において、収納装置は、前記スライダに対する前記アームの回転を減衰するべく、前記スライダと前記アームとの間に設けられたダンパ手段(40)を更に有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、開閉体の回転動作が緩やかになり、収納装置の商品性を向上させることができる。
【0013】
また、上記の発明において、前記ダンパ手段は、粘性流体が封入されたハウジング(41)と、一端が前記ハウジングに回転可能に受容される一方、他端が前記ハウジングから突出したロータ(42)と備え、前記アームは、前記軸線を中心とする第2ギア(25)を備え、前記ハウジング及び前記ロータの一方が前記スライダに結合され、前記ハウジング及び前記ロータの他方の外周面に前記第2ギアに噛み合う第3ギア(44)が設けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、回転ダンパのハウジング及びロータの一方をスライダに設けたため、第2ギアと第3ギアとの相対位置が一定し、第2ギアと第3ギアとの噛み合いが常に維持される。
【0015】
また、上記の発明において、前記ケースは、前記側壁の外面側との間に空隙を形成するように前記側壁を覆うカバーを備え、前記アームが前記空隙に配置され、前記カバーの前記側壁側を向く部分に前記ガイド手段が設けられているようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、ケースの側壁の一部をカバーとして別部材に構成し、カバーにガイド手段を設けるようにしたため、収納装置の成形及び組み付けが容易になる。
【0017】
また、上記の発明において、
前記付勢手段は、捻りコイルばねであり、一端が前記カバーに係止される一方、他端が前記スライダに係止される
ようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、収納装置の成形及び組み付けが容易になる。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成によれば、移動する回転軸線回りに回転可能な開閉体を有する収納装置において、開閉体を安定性良く支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るカップホルダの閉状態を示す斜視図
【
図2】実施形態に係るカップホルダの開状態を示す斜視図
【
図4】実施形態に係るカップホルダの右側部を示す斜視図
【
図5】実施形態に係るカップホルダの右側部を示す分解斜視図
【
図6】実施形態に係るサイドカバーを内面側から見た斜視図
【
図7】実施形態に係るスライダを内面側から見た斜視図
【
図8】実施形態に係るスライダをサイドカバーに組み付けた状態を示す斜視図
【
図9】実施形態に係るカップホルダの全閉状態を示す概略図
【
図10】実施形態に係るカップホルダの半開状態を示す概略図
【
図11】実施形態に係るカップホルダの全開状態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のセンターコンソールに組み込まれるカップホルダに適用した実施形態について説明する。以下、説明の便宜上、
図1に示すように、カップホルダ1の各方向を定める。
【0022】
図1〜
図3に示すように、カップホルダ1は、上方を向く開口2(
図3参照)を有するケース3と、開口2を開閉するリッド4と、リッド4をケース3に対して支持する左右一対のスライダ5(
図3参照)とを主要構成要素として備えている。カップホルダ1は、自動車のセンターコンソール(図示しない)に形成された上下方向に貫通する開口と開口2とが一致するように、ケース3がセンターコンソールの裏面に結合される。
【0023】
図3に示すように、ケース3は、後縁側が前縁側に対して左右方向に延出した(すなわち、左右側縁が段違いに形成された)底板11を有している。底板11の前縁には上方に向けて前壁12が突設され、底板11の後縁には上方に向けて後壁13が突設され、底板11の左右側縁の前側部分のそれぞれには上方に向けて前部側壁14が突設され、底板11の左右側縁の後側部分のそれぞれには上方に向けて後部側壁15が突設されている。後部側壁15は、前部側壁14に対して左右外側に偏倚した位置に設けられ、前部側壁14の後縁と後部側壁15の前縁との間には、前後方向に開口すると共に上方に開口したスリット16が形成されている。一対の前部側壁14はそれぞれの前縁において前壁12の左右側縁に連続しており、一対の後部側壁15はそれぞれの後縁において後壁13の左右側縁に連続している。開口2は、前壁12、後壁13、左右の前部側壁14及び左右の後部側壁15の上縁によって画成されている。後壁13の内面は、基部が段違いに前方へと突出して、上方を向く段部17を形成している。
【0024】
リッド4は、略長方形の蓋板18と、蓋板18の左右側縁のそれぞれから下方に垂直に突出した左右一対のアーム19とを有している。蓋板18は、左右方向の長さが、左右の前部側壁14間の距離よりも長く、かつ左右の後部側壁15間の距離よりも短く形成されており、左右一対のアーム19は左右方向において前部側壁14と後部側壁15との間にそれぞれ配置されている。
【0025】
図2に示すように、蓋板18の下面の中央部には凹部27が形成されており、凹部27の後縁にはヒンジを介して仕切り板20が所定の範囲で回動自在に支持されている。仕切り板20は、凹部27内に嵌り込む収納位置と、凹部27から突出して蓋板18の下面に対して略直交する突出位置との間で回動可能となっている。リッド4が開かれた状態において、仕切り板20は、突出位置に配置されて開口2を2つの容器が挿入されるように区画する。仕切り板20の側縁は、容器の形状に対応して例えば円弧状等に形成されてよい。
【0026】
左右一対のアーム19は、互いに左右対称形をなす。
図3及び
図5に示すように、一対のアーム19の互いに相反する側の面(外面)のそれぞれには、左右方向に延在する軸線Aを中心として扇形の第1凸部21及び第2凸部22が段違いに突設されている。第1凸部21は、第2凸部22に比べて、半径が小さく、かつ高さ(左右方向における突出長さ)が大きく設定されている。第1凸部21の突出端面には、軸線Aを軸線とした断面円形の支持孔23が形成されている。支持孔23は、貫通孔でも有底孔でもよい。第1凸部21の外周部には、軸線Aを中心とした外歯の平歯車である第1アームギア24が形成されている。第2凸部22の外周部には、軸線Aを中心とした外歯の平歯車である第2アームギア25が形成されている。
【0027】
図3〜
図5に示すように、ケース3の前部側壁14及び後部側壁15の外面側には、前部側壁14及び後部側壁15の外面を側方から覆うように、サイドカバー30がそれぞれ設けられている。左右一対のサイドカバー30は、互いに左右対称形をなす。サイドカバー30は、前部側壁14との間に空隙31(
図3及び
図9〜
図11参照)を形成するように、後部側壁15の外面及び前部側壁14の外面の前側に結合されている。サイドカバー30と前部側壁14及び後部側壁15との結合は、前部側壁14及び後部側壁15の外面に突設された結合片32を、サイドカバー30の内面(ケース3側を向く面)に形成された結合孔33(
図6参照)に嵌め込み、ねじ止めすることによって行われている。ここでの結合構造は、弾性爪と係止孔との係止構造やねじによる締結構造等を利用してもよい。サイドカバー30の下縁は、前部側壁14から離間しており、前部側壁14と間に空隙31とサイドカバー30の外方とを連通する開口(図示しない)を形成している。
【0028】
図6に示すように、サイドカバー30の内面には、直線Bに沿って延在するガイド溝34が凹設されている。直線Bは、前後方向軸に対して0°〜90°の角度をなすように設定されており、例えば30°〜80°の角度をなすように後傾(すなわち、下方に進むにつれて前方に進むように傾斜)していることが好ましい。
【0029】
図3、
図5及び
図7に示すように、左右一対のスライダ5は、互いに左右対称形をなす。スライダ5は、主面が左右を向く板片状をなし、段部を介して下部が上部よりも左右方向における内側に偏倚して配置されている。
【0030】
図6に示すように、ガイド溝34の直線Bに沿った側壁の基部には直線Bに沿って延在する係止溝35が形成されている。
図7に示すように、スライダ5の上部の前後縁には、前後に突出する突片37が延設されている。
図8に示すように、ガイド溝34には、スライダ5が直線Bに沿ってスライド移動可能に受容されている。このとき、スライダ5の突片37は、ガイド溝34の係止溝35に係止され、スライダ5はガイド溝34に左右方向に移動不能となっている。
【0031】
図5及び
図7に示すように、スライダ5の上部の内面(ケース3側を向く面)には、ケース3側へと突出した円筒形状の支持軸38が形成されている。左右一対のアーム19の各支持孔23に各支持軸38が挿入されることによって、リッド4は左右一対のスライダ5に回転可能に支持されている。
【0032】
スライダ5の下部には、左右方向に貫通するダンパ取付孔39が形成されている。ダンパ取付孔39には、回転ダンパ40が支持されている。回転ダンパ40は、シリコーンオイルやグリース等の粘性流体が封入された円筒状のハウジング41と、一端がハウジング41に回転可能に受容される一方、他端がハウジング41から突出したロータ42とを有している。ロータ42の一端にはロータ翼(図示しない)が設けられており、このロータ翼がハウジング41内を回転する際に、粘性流体の流体抵抗がロータに回転抵抗として加わる。ロータ42の他端(突出端)には、平歯車であるダンパギア44が形成されている。ハウジング41は、スライダ5の外面側(サイドカバー30側)からダンパ取付孔39に挿入されて図示しないねじによってスライダ5に締結されている。ダンパギア44は、スライダ5の内面側に突出し、アーム19の第2アームギア25に噛み合っている。これにより、リッド4がスライダ5に対して支持軸38回りに回転する際には、回転ダンパ40の抵抗力がリッド4の回転を減衰する方向に作用する。
【0033】
図6に示すように、サイドカバー30の内面であって、ガイド溝34よりも前側の部分には、ラック46が形成されている。ラック46は、ケース3側に突出すると共に直線Bと平行に延在し、歯が後方を向き、アーム19の第1アームギア24と噛み合っている。これにより、アーム19がサイドカバー30に対して軸線A回りに回転する際には、第1アームギア24とラック46との噛み合い部分がラック46に沿って移動し、アーム19及びスライダ5がサイドカバー30及びケース3に対して直線Bに沿って移動する。
【0034】
図3〜
図6に示すように、サイドカバー30の下部には筒状のばね支持軸51が突設され、ばね支持軸51に捻りコイルばね52のコイル部が支持されている。捻りコイルばね52は、一端がサイドカバー30に係止され、他端がスライダ5に係止され、スライダ5をサイドカバー30に対して直線Bに沿って前側下方に付勢している。
【0035】
図1〜
図5に示すように、アーム19の下端(突出端)には、後方へと突出するストライカ54が設けられている。後部側壁15の外面の下部であって、サイドカバー30の下方には、ストライカ54が係合可能なラッチ装置55が設けられている。ストライカ54とラッチ装置55とは、リッド4がケース3の開口2を閉塞する全閉時に、互いに係合するように配置されている。ラッチ装置55は、ストライカ54を受容する開口が前方を向くように配置され、ストライカ54がラッチ装置55に挿入された際にストライカ54を係止し、ストライカ54を係止した状態からストライカ54を再度、挿入方向に押し込むことによってストライカ54の係止を解除する公知のプッシュ・プッシュ機構として構成されている。ラッチ装置55は、例えばハートカム式や回転カム式のプッシュ・プッシュ機構であってよい。
【0036】
図1〜
図3に示すように、前壁12、後壁13、一対の前部側壁14及びサイドカバー30の上縁には、前後又は左右方向に突出した板片状の結合片58が突設されている。各結合片58は、貫通孔を有し、貫通孔に挿入されるファスナ又はねじによってインストルメントパネルの裏面に結合される。
【0037】
以上のように構成したカップホルダ1の作用について説明する。
図9〜
図11は、カップホルダ1を右側部の断面を示す概略図である。
図9に示すように、カップホルダ1の全閉状態では、リッド4は、蓋板18が開口2を覆うように略水平に延在している。蓋板18の縁部は、前壁12及び左右一対の前部側壁14の上端面と上下方向に所定の距離をおいて対向している。一対のアーム19は、スリット16を通過して前部側壁14の外面側及び後部側壁15の内面側に配置され、上下方向に延在している。スライダ5はガイド溝34内の上部に配置され、第1アームギア24はラック46の上部に噛み合っている。アーム19に設けられたストライカ54はラッチ装置55に係止されており、リッド4の回転及びスライダ5の移動は規制されている。この状態で、捻りコイルばね52は、スライダ5を直線Bに沿った斜め下方へと付勢している。
【0038】
全閉状態において、指等によって蓋板18の前縁部を下方に押し込むと、リッド4は軸線A(支持軸38)を中心として、右方から見て反時計回り(
図9参照、以下、
図9を基準として回転方向を定める)に回転する。これにより、ストライカ54はラッチ装置55に挿入方向に押し込まれ、ラッチ装置55によるストライカ54の係止が解除される。指等による蓋板18の下方への押し込みを解除すると、
図10に示すように捻りコイルばね52に付勢されたスライダ5が直線Bに沿って前側下方へと移動し、第1アームギア24がラック46との噛み合いによって時計回りに回転しながらラック46上を前側下方へと移動する。これにより、リッド4が軸線Aを中心として時計回りに回転して開口2を開きながら、下方へと移動する。このとき、蓋板18は、後壁13の前側において下方へと移動する。また、第2アームギア25が回転ダンパ40のダンパギア44に噛み合っているため、リッド4のスライダ5及びケース3に対する回転が減衰され、リッド4の開作動は緩やかになる。
【0039】
図11に示すように、蓋板18の後縁が後壁13の段部17に突き当たることによって、リッド4のケース3に対する回転が規制され、カップホルダ1は全開状態となる。
【0040】
カップホルダ1を全開状態から全閉状態への変化させる際には、捻りコイルばね52の付勢力に抗して、指等によって蓋板18の前縁部を前方へと押す、又は引っ張るとよい
。蓋板18の前縁部が前方に移動することによって、第1アームギア24が軸線Aを中心として反時計回りに回転しつつ、ラック46上を斜め上方へと進み、蓋板18が開口2を閉塞する。このとき、ストライカ54がラッチ装置55に係止され、リッド4は捻りコイルばね52の付勢力に抗して全閉位置に保持される。
【0041】
以上のように構成したカップホルダ1は、全閉状態から全開状態へと変化するときに、リッド4の回転軸となる軸線Aが下方かつ前方へと移動するため、蓋板18がケース3の内方へと変位し、蓋板18がケース3の輪郭に与える影響を小さくすることができる。すなわち、カップホルダ1のコンパクト化が図れる。
【0042】
また、カップホルダ1では、ラック46と平行にスライド移動可能なスライダ5の支持軸38にリッド4が回転可能に支持されているため、第1アームギア24の回転軸となる軸線Aとラック46との距離が常に一定に保たれ、第1アームギア24とラック46との噛み合いが維持される。また、リッド4及び回転ダンパ40は、共にスライダ5に回転可能に支持されているため、軸線Aと回転ダンパ40の軸線間の距離は常に一定であり、第2アームギア25とダンパギア44との噛み合いが維持される。
【0043】
また、スライダ5を介して、第1アームギア24が捻りコイルばね52によって常に直線Bに沿った斜め下方に付勢されているため、第1アームギア24の歯とラック46の歯とは直線Bと平行な方向において当接している。すなわち、第1アームギア24とラック46の間にがたつきがなくなる。そのため、カップホルダ1に振動が加わっても、第1アームギア24とラック46との噛み合い部から低級音(がたつき音)が発生することが抑制される。
【0044】
カップホルダ1を搭載した車両が路面上の障害物に乗り上げ、上向きの加速度である下突Gがカップホルダ1に発生した場合、リッド4の重心位置によっては、蓋板18の前縁を下方に移動させる方向の慣性力が生じる場合がある。しかしながら、カップホルダ1では、同時にスライダ5に下方へと慣性力が加わると共に、捻りコイルばね52によってスライダ5が常時付勢されているため、第1アームギア24及びアーム19に時計回りの回転力が生じ、蓋板18の前縁の下方への移動が抑制される。そのため、下突G発生時に、ストライカ54とラッチ装置55の係合が意図せず解除することが抑制されている。
【0045】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本実施形態では、サイドカバー30を前部側壁14及び後部側壁15に対して別部品として形成し、前部側壁14及び後部側壁15に結合する構成としたが、当初より一体に形成(成形)してもよい。また、実施形態では、回転ダンパ40のハウジング41をスライダ5に結合し、ロータ42にダンパギア44を形成したが、ロータ42をスライダ5に結合し、ハウジング41の外周面にダンパギア44を形成してもよい。また、回転ダンパ40にワンウェイ機能を組み込み、第2アームギア25が時計回りに回転する際には抵抗力(減衰力)を発生し、反時計回りに回転する際には抵抗力を発生しないようにしてもよい。また、ダンパ手段は、回転ダンパ40として支持軸38と支持孔23との間に介装してもよいし、ピストンダンパとしてスライダ5とケース3との間に介装してもよい。また、スライダ5を付勢する手段として、捻りコイルばね52に代えて、引張コイルばねや圧縮コイルばね等の公知の付勢手段を適用してもよい。本実施形態ではスライダ5をガイド溝34にスライド移動可能に支持させたが、ガイド溝34に代えてガイドレールにスライダ5をスライド移動可能に支持させるようにしてもよい。また、実施形態では、本発明の収納装置を車載用のカップホルダ1に適用した一例について説明したが、本発明はカップを収納するものに限らず、例えばグローブボックスや衣装ケース等の様々な物品を収納する装置に適用することができ、開閉体はリッドに限らず扉やドアであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…カップホルダ(収納装置)、3…ケース、4…リッド(開閉体)、5…スライダ、17…段部、18…蓋板、19…アーム、21…第1凸部、22…第2凸部、23…支持孔、24…第1アームギア(第1ギア)、25…第2アームギア(第2ギア)、30…サイドカバー(側壁)、31…空隙、34…ガイド溝(ガイド手段)、38…支持軸、40…回転ダンパ(ダンパ手段)、41…ハウジング、42…ロータ、44…ダンパギア(第3ギア)、46…ラック、51…支持軸、54…ストライカ、55…ラッチ装置、A…軸線、B…直線