特許第5965204号(P5965204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965204
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】基礎補強構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   E02D27/01 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-105087(P2012-105087)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-231339(P2013-231339A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592129246
【氏名又は名称】三栄商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】松下 克也
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−181445(JP,U)
【文献】 特開2006−112041(JP,A)
【文献】 特開2006−169732(JP,A)
【文献】 特開2006−233671(JP,A)
【文献】 特開2002−030781(JP,A)
【文献】 特開平09−151613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎立ち上がりを補強する基礎補強構造であって、
一方向に伸びる補強部を有し該補強部を水平方向に延設させた状態で前記基礎立ち上がりの側壁面に沿って貼り付けられるラス網と、
前記ラス網を引っかけて支持するための引っかけ部を有し前記基礎立ち上がりの側壁面に固定されるランナと、
前記ラス網と共に前記ランナに支持されて、前記ラス網における前記補強部として機能する鉄筋と、
前記ラス網上に塗り付けられるモルタルとを備え、
このモルタルによる壁部によって前記基礎立ち上がり側壁面を補強するように構成されていることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項2】
請求項1記載の基礎補強構造において、
前記ラス網は、前記鉄筋に被さった状態となっていることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の基礎補強構造において、
前記ラス網は、前記補強部として機能するリブを備え、当該リブが前記引っかけ部に引っかけられていることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項4】
請求項3記載の基礎補強構造において、
前記ランナは前記引っかけ部を複数有し、前記ラス網は前記リブを複数備えることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の基礎補強構造において、
前記鉄筋と前記リブが上下方向に隣り合っていることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の基礎補強構造において、
前記ランナは上下方向に長尺に形成され、その長さ方向に間隔をあけた複数の箇所が前記基礎立ち上がりの側壁面に対して固定具を介して固定されていることを特徴とする基礎補強構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の基礎補強構造において、
前記基礎立ち上がりの前記側壁面に前記ランナと前記鉄筋と前記ラス網が密接して設けられ、これらを埋め込むようにして前記モルタルによる壁部が前記側壁面に密着して形成されていることを特徴とする基礎補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物において、例えば布基礎、べた基礎等の基礎を補強する基礎補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アラミド繊維シート等といった帯状の高強度繊維シートを木造建造物、鉄筋コンクリート構造物等に用いることにより耐震補強工法が注目を集めている。
【0003】
例えば特許文献1には、住宅などの建物の基礎を補強するにあたって、布基礎等の基礎の外側面等にアラミド繊維等による帯状の高強度繊維シートを接着して貼り付けるようにした構造等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−121236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1による補強構造では、高強度繊維シートという素材として価格が高い材料を用いているから、耐震補強のための費用が嵩むという問題があった。
【0006】
また、上述した高強度繊維シートによれば、該シートを基礎立ち上がりの外側面に均一に貼り付けるために、施工時における作業性が面倒かつ煩雑である等の問題もあった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、既設の布基礎等における基礎立ち上がりの耐震補強を、一般的な素材や一般的な作業により簡単かつ安価に行えるようにする基礎補強構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る基礎補強構造は、基礎立ち上がりを補強する基礎補強構造であって、一方向に延びる補強部を有し該補強部を水平方向に延設させた状態で前記基礎立ち上がりの側壁面に沿って貼り付けられるラス網と、前記ラス網を引っかけて支持するための引っかけ部を有し前記基礎立ち上がりの側壁面に固定されるランナと、前記ラス網と共に前記ランナに支持されて、前記ラス網における前記補強部として機能する鉄筋と、前記ラス網上に塗り付けられるモルタルとを備え、このモルタルによる壁部によって前記基礎立ち上がり側壁面を補強するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項2記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項1において、前記ラス網は、前記鉄筋に被さった状態となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明(請求項3記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項1または請求項2において、前記ラス網は、前記補強部として機能するリブを備え、当該リブが前記引っかけ部に引っかけられていることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項4記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項3において、前記ランナは前記引っかけ部を複数有し、前記ラス網は前記リブを複数備えることを特徴とする。
【0012】
本発明(請求項5記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項3または請求項4において、前記鉄筋と前記リブが上下方向に隣り合っていることを特徴とする。
【0013】
本発明(請求項6記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記ラス網は補強部としてリブおよび鉄筋を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明(請求項7記載の発明)に係る基礎補強構造は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記基礎立ち上がりの前記側壁面に前記ランナと前記鉄筋と前記ラス網が密接して設けられ、これらを埋め込むようにして前記モルタルによる壁部が前記側壁面に密着して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明に係る基礎補強構造によれば、一方向に延びる補強部を有し該補強部を水平方向に延設させた状態で基礎立ち上がりの側壁面に沿って貼り付けられるラス網と、このラス網上に塗り付けられるモルタルによる壁部とを用いて、基礎立ち上がりの側壁面を補強するようにしたので、簡単な構成であるにもかかわらず、素材として一般的なものでよく、コストを安価に抑えることができるとともに、施工としても一般的なものであり、簡単に作業でき、施工性の面で優れ、しかも基礎立ち上がりの耐震性を向上させることができる等の種々優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る基礎補強構造の一実施例を示し、要部構成を説明するための概略斜視図である。
図2図1の基礎補強構造を示す概略断面図である。
図3】本発明に係る基礎補強構造の変形例を示す概略断面図である。
図4】本発明に係る基礎補強構造の別の実施例を示す概略斜視図である。
図5図4の基礎補強構造を示す概略断面図である。
図6】本発明に係る基礎補強構造の他の実施例を示す概略斜視図である。
図7図6の基礎補強構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
補強すべき基礎立ち上がりの側壁面に、一方向に延びる補強部を有するラス網を、該補強部を水平方向に延設させた状態で貼り付けるとともに、このラス網を埋設する状態でモルタルを塗り付けることにより、基礎立ち上がりの側壁面を耐震補強する。
【実施例1】
【0018】
図1および図2は本発明に係る基礎補強構造の一実施例を示す。
これらの図において、符号1は布基礎で、この布基礎1は、基部と立ち上がり1aとによって逆T字状を呈して形成されている。なお、この布基礎1やその上部に構築される建物は従来から周知の構造をもつものであり、ここでの具体的な構造は省略する。
【0019】
本発明は上述した構成による布基礎1の立ち上がり1aを耐震補強するにあたって、一方向に延びる補強部としての複数のリブ状部分11を有し該リブ状部分11を水平方向に延設させた状態で前記基礎立ち上がり1aの側壁面に沿って貼り付けられるラス網10と、このラス網10上に塗り付けられるモルタルによる壁部20とを用いている。すなわち、本発明によれば、従来から一般的に用いられている素材としてのラス網10やモルタルを用い、このモルタルによる壁部20によって基礎立ち上がり1aの側壁面を補強するように構成したところを特徴としている。
【0020】
ここで、前記ラス網10は多数の切れ目を設けた鋼板(鋼帯)を引伸して網目を形成する従来から周知の構造をもつものである。この実施例では、鋼板(鋼帯)の一方向に延びかつ一定の間隔をおいて形成された複数の帯状部分(リブ状部分11となる部分)には切れ目を設けず、その他の部分には切れ目を設けた後に、上記リブ状部分11の方向と直交する方向に引伸して網目状の部材を形成したものである。また、上述したように切れ目を設けずに形成した複数の帯状部分は、その幅方向において略U字状に呈するように折り曲げ形成することにより、リブ状部分11として形成されている。
【0021】
そして、上述したラス網10は、そのリブ状部分11の長手方向を水平方向に沿わせた状態で、鉄筋釘12で前記基礎立ち上がり1の側壁面に組付け固定されている。その後、該ラス網10を埋設するようにしてモルタルを基礎立ち上がり1aの側壁面に塗り付けることにより該モルタルによる壁部20を、基礎立ち上がり側壁面に重ね合わせて形成する。
【0022】
このような構成によれば、ラス網10のリブ状部分11を基礎立ち上がり1aの方向に突出させた状態で、このリブ状部分11を、基礎立ち上がり1aの側壁面上で水平方向に沿って配置し、これを埋設した状態でモルタルによる壁部20を該側壁面に一体化させて設けることにより、基礎立ち上がり1aの強度を確保し、所要の耐震性を確保することができる。しかも、このような構成では、素材として一般的なものでよく、コストを安価に抑えることができるとともに、施工としても一般的なものであり、簡単に作業でき、施工性の面で優れており、基礎立ち上がりの耐震性を簡単かつ安価に向上させることができる。
【0023】
ここで、この実施例では、一方向に延びた補強部(リブ状部分11)を有するラス網10を用いた場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、たとえば図3に示すように、リブ状部分のような補強部がないラス網10Aを用い、鉄筋40を補強部としてラス網10Aの上側および下側部分に沿わせた状態で付設し、これらを一体的にモルタル内に埋設することで、壁部20を形成するように構成してもよい。
【0024】
この場合、ラス網10Aや鉄筋40を、基礎立ち上がり1aの側壁部に沿って貼り付け保持させるために、ラス網10Aの複数個所を引っかけて支持するための引っかけ部31を有し前記基礎立ち上がり1aの側壁面に鉄筋釘32で組み付け固定されるランナ30を用いている。
【0025】
すなわち、このランナ30を基礎立ち上がり1aの側壁面に固定し、その複数の引っかけ部31に前記ラス網10Aを引っかけ支持する。このとき、鉄筋40も水平方向に延設させた状態で、該ラス網10Aと共にランナ30に引っかけ部31に引っかけ支持する。
【0026】
そして、この状態でラス網10Aと補強部としての鉄筋40とを埋め込むようにしてモルタルを塗り付け、壁部20を形成し、これにより基礎立ち上がり1aの側壁面を耐震補強することができる。
【0027】
なお、上述した図1ないし図3の斜視図や断面図では、構造を解り易くするために、基礎立ち上がり1aの側壁部と、ラス網10、さらにランナ30、鉄筋40、モルタルによる壁部20が離れているように見える部分もあるが、実際には、基礎立ち上がり1aの側壁部にラス網10、さらにランナ30、鉄筋40が密接して設けられ、これらを埋め込むようにしてモルタルによる壁部20が、側壁面1aに密着して形成されることは勿論である。また、壁部20を形成するモルタルの厚さは、ラス網10、ランナ30、鉄筋40に対して所定のかぶり厚が確保できるように設定されている。
【0028】
図4および図5は本発明に係る基礎補強構造の他の実施例を示す。
この実施例では、補強部として複数のリブ状部分11を有するラス網10を、基礎立ち上がり1aの側壁面に固定したランナ30の引っかけ部31にリブ状部分11を引っかけることで貼り付けし、モルタルを塗りつけることで壁部20を形成している。
このようにしても、上述した実施例と同等の作用効果を得ることができる。
【0029】
図6および図7は本発明に係る基礎補強構造のさらに別の実施例を示す。
この実施例では、リブ状部分11を有するラス網10を用いるとともに、これに加えて補強部としての鉄筋40を並設し、これらをランナ30の引っかけ部31により引っかけ支持することにより、ラス網10を基礎立ち上がり1aの側壁面に貼り付けるようにしている。そして、モルタルを塗りつけて壁部20を形成することで、基礎立ち上がり1aを補強することができる。
【0030】
ここで、この実施例でも、鉄筋40は、ラス網10の上側部分、下側部分に沿うように設けられている。勿論、この鉄筋40の本数はこれに限定されず、基礎立ち上がり1aの補強すべき大きさなどに応じて適宜設定されることは言うまでもない。
【0031】
なお、本発明は上述した実施例で説明した構造には限定されず、ラス網10やその補強部としてのリブ状部分11、補強部としての鉄筋40等を初めとする各部の形状、構造、配設状態等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【0032】
また、上述した実施例では、基礎として布基礎を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばべた基礎等であっても適用し得ることは容易に理解される。
【符号の説明】
【0033】
1 布基礎(基礎)
1a 基礎立ち上がり
10 ラス網
10A ラス網
11 リブ状部分(補強部)
12 鉄筋釘(鋲)
20 モルタルによる壁部
30 ランナ
31 引っかけ部
32 鉄筋釘(鋲)
40 鉄筋(補強部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7