(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965211
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】セメント板
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20160721BHJP
C04B 14/14 20060101ALI20160721BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20160721BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20160721BHJP
C04B 111/28 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B14/14
C04B14/18
C04B20/00 B
C04B111:28
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-113686(P2012-113686)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-241282(P2013-241282A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】城本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】樫田 雅弘
【審査官】
佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−247651(JP,A)
【文献】
特開平03−242357(JP,A)
【文献】
O.A.EI Bary Ibrahim et al.,Effect of the Addition of Perlite on the Physical, Mecanical and Thermal Properties of Refractory Insulating Concrete,SILICATES INDUSTRIELS,2009年 3月,vol.74,No.3-4,PP.75-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと真珠岩とを含有する成形材料から形成されたセメント板であって、
前記真珠岩の粒径は、0.5mmより大きく1.0mm以下の範囲、1.0mmより大きく2.0mm以下の範囲、2.0mmより大きく2.8mm以下の範囲うちのいずれか一つであり、
前記真珠岩の割合は、3〜20質量%である、
ことを特徴とするセメント板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外装材や内装材など、建築板として使用されるセメント板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメント板は不燃性の材料を主成分とするので、耐火性の建築板として使用されている。しかし、火災時に火炎に曝されるなど、セメント板が加熱されると、セメント板に含有されている補強用の木質繊維や有機繊維など有機物の燃焼、セメントや無機充填材の縮合水の脱水、セメントマトリックスの焼結などによって、セメント板が収縮することがある。このようにセメント板が収縮すると、セメント板間の接合部に隙間が生じて、この隙間から火炎が外壁などの内部に侵入するおそれがあり、また収縮によってセメント板にクラックが発生して、このクラックから火炎が同様に侵入するおそれがある。このような火炎の侵入によって、火災時に延焼が起こることがあった。
【0003】
そこで、セメント板が加熱されても、セメント板が収縮することを抑制し、耐火性を向上する試みが従来から行なわれている。
【0004】
例えば特許文献1では、セメント板が加熱されることで膨張する真珠岩粉末等の膨張性材料を含有させることによって、温度上昇に伴なって基材の収縮応力が大きくなっても、基材の収縮を抑制している。しかし近年、建築板には更なる耐火性の向上が求められている。そのため、セメント板の加熱による収縮を更に抑制することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−247651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、火災時などに高温が作用しても収縮しにくく、耐火性に優れたセメント板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセメント板は、セメント
と真珠岩とを含有する成形材料から形成されたセメント板であって、前記真珠岩の粒径は、0.5mmより大きく
1.0mm以下の範囲、1.0mmより大きく2.0mm以下の範囲、2.0mmより大きく2.8mm以下の
範囲のうちのいずれか一つであり、前記真珠岩の割合は、3〜20質量%であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セメント板が加熱されて、その収縮応力が大きくなっても、セメント板が含有する真珠岩の粒径を特定の範囲に調整することで、セメント板の収縮を効果的に抑制することができるものである。この結果、セメント板の耐火性を高めることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
セメント板は、セメントを含有する成形材料から形成される。成形材料は、例えば、セメントを主原料とし、更にケイ酸質物質、補強繊維、混和剤などを含有する。この成形材料を板状に成形し、養生・硬化させることによりセメント板が得られる。このセメント板は、例えば建築物の外装材や内装材など、建築板として使用される。
【0012】
セメント板には、真珠岩を含有させる。真珠岩は、灰白色の軟らかい岩石であり、岩石内部に多くの水分を含有している。真珠岩は、高温で熱せられると、その内部に含有している水分が水蒸気となって膨張する。
【0013】
従来、セメント板が火災時などに加熱されると、セメント板が収縮したり、変形したりする場合がある。
【0014】
しかし、本実施形態ではセメント板が真珠岩を含有するため、セメント板が加熱されると、真珠岩内部の水分が膨張する。このため、セメント板の収縮が低減され、そのためセメント板が変形しにくくなる。この結果、セメント板に隙間や割れ目が生じにくくなり、このような隙間や割れ目からの火災の侵入が防止され、このためセメント板の耐火性が向上する。
【0015】
セメント板に配合する真珠岩の粒径は、0.5mmより大きく2.8mm以下の範囲に設定される。このように本実施形態では、真珠岩の粒径が0.5mmより大きく2.8mm以下であることで、セメント板の加熱時の収縮が効果的に抑制される。すなわち、粒径が0.5mmより大きい場合は、セメント板が加熱されて真珠岩内の水が膨張する際に、真珠岩から水が抜け難くなる。そのため、真珠岩が膨張しやすくなり、その結果、セメント板の収縮及び変形が効果的に抑制される。また、粒径が2.8mmより大きい場合は、真珠岩内部の水分が蒸発しても真珠岩が膨張し難くなってしまう。粒径の測定は、JIS Z8801に規定された金属製網ふるいを用いて、JIS A1102に規定された骨材のふるい分け試験方法に準拠して行われる。粒径が0.5mmより大きく2.8mm以下の真珠岩とは、目開き0.5mmのふるいを通過せず、且つ目開き2.8mmのふるいを通過する真珠岩である。真珠岩の粒径の望ましい範囲は、0.5mmより大きく2.8mm以下であり、より最適な範囲は、1.0mmより大きく2.8mm以下である。
【0016】
さらに、セメント板の真珠岩の配合量は、3〜20質量%の範囲に設定するのが好ましい。真珠岩の配合量が、3質量%以上であると、加熱時の収縮が効果的に抑制される。また、20質量%以下であると、セメント板の良好な曲げ強度が維持される。真珠岩の配合量の更に望ましい範囲は、5〜20質量%であり、より最適な範囲は、15〜20質量%である。
【0017】
次に、セメント板の製造方法について説明する。
【0018】
セメント板の主原料となるセメントとしては、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントなどを用いることができる。
【0019】
またケイ酸質物質は、養生を行う際に強固なマトリックス構造を得るために配合される。ケイ酸質物質としては、例えば、ケイ砂、ケイ石粉、高炉スラグなどを用いることができる。補強繊維としては、木材パルプ、金属繊維、合成樹脂繊維などを用いることができる。混和剤としては、ケイ酸ソーダ等のセメント硬化促進剤などを用いることができる。
【0020】
成形材料中のCaOの量は、全固形分原料の総量のうち20〜50質量%の範囲であることが望ましい。また、成形材料中のSiO
2の量は、全固形分原料の総量のうち15〜70質量%の範囲であることが好ましい。この場合、養生を行うことにより、ケイ酸カルシウム水和物である、トバモライトを生成することができる。尚、成形材料中のCaOの量とは、成形材料中の原料に含まれるCaOの総量であり、成形材料中のSiO
2の量とは、成形材料中の原料に含まれるSiO
2の総量である。
【0021】
成形材料は、例えばセメント、ケイ酸質物質、補強繊維、混和剤などと水をミキサーなどで混合・混練することによって調製される。
【0022】
成形材料が、押出成形、プレス成形、抄造等の適宜の手法により成形されることで、成形体が得られる。この成形体が養生・硬化されることでセメント板が得られる。
【0023】
成形体を養生・硬化するにあたっては、セメント板の強度、耐久性、水密性などの品質が充分に確保されるよう、温度及び湿度等の条件が適宜設定される。
【0024】
養生方法としては、湿潤養生、保水養生、給熱養生などを用いることができる。湿潤養生は、セメントが水和するのに必要な水分が逸散しないよう、セメント板を湿潤状態に保つ養生方法である。保水養生は、セメントの水和に必要な水を保持するためにセメント板の表面を水密性の大きい膜やシートで覆う養生方法である。給熱養生は、セメント板を加熱し、セメントの水和を促進する養生方法である。
【0025】
このようにして作られるセメント板は、例えば、建築物の外装材や内装材など、建築板として使用される。
【実施例】
【0026】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0027】
表1に示す原料を使用して、成形材料を調製した。成形材料の主成分となるセメントとしては、普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント製)を使用した。ケイ酸質物質としては、珪石粉を使用した。また、真珠岩としては、表1に示す粒径範囲で分級されたものを用いた。分級は、JIS Z8801に規定された金属製網ふるいを用いて、JIS A1102に規定された骨材のふるい分け試験方法に準拠して行った。さらに、添加剤として、メチルセルロース(信越化学工業製)を使用した。
【0028】
また、表1に成形材料中のCaO及びSiO
2の量を示す。
【0029】
前記原料を表1に示す割合で配合し、さらに水を40質量部の割合で配合し、それらをミキサーで混合することで成形材料を得た。この成形材料を押出機にて成形して成形体を得た。そしてこの成形体を湿熱養生し、さらに160℃で4時間、オートクレーブ養生して、養生硬化させることによって、厚み10mmのセメント板を作製した。
【0030】
このセメント板について、加熱時の収縮と曲げ強度を測定し、結果を表1に示す。
【0031】
加熱時の収縮試験では、セメント板から50×50mmの試験片を切り出し、試験片を900℃の電気炉内で20分間加熱し、試験前後の寸法収縮率を測定し、真珠岩を配合しない比較例1の結果を100として相対的に評価した。
【0032】
曲げ強度の試験は、JIS A1408に準拠して行い、真珠岩を配合しない比較例1の結果を100として相対的に評価した。
【0033】
【表1】
表1にみられるように、粒径が0.5mmより大きく2.8mm以下の真珠岩を配合した実施例1〜9はいずれも、セメント板の加熱時の収縮を抑制することができた。さらに、真珠岩の配合量が3質量%以上20質量%以下である実施例1〜3及び5〜8は、加熱時の収縮を効果的に抑制することができ、且つ、良好な曲げ強度が維持された。
【0034】
一方、粒径が0.5mm未満である真珠岩を配合した比較例2および粒径が2.8mmより大きい真珠岩を配合した比較例3では、加熱時の収縮を抑制することができなかった。