【実施例1】
【0050】
図1は、本発明のネジ送り機構の雌ネジ部材の縦断面図、
図2は、
図1のA方向の端面図、
図3は、本発明のネジ送り機構の雌ネジ部材の分解斜視図、
図4は、本発明のネジ送り機構の雌ネジ部材の雌ネジ部材本体の
図1のA方向の端面図、
図5は、発明のネジ送り機構の雌ネジ部材の雌ネジ側ストッパー部材の
図1のA方向の端面図、
図6は、本発明のネジ送り機構の作動を説明する概略図、
図7は、
図6のネジ送り機構のネジ締め付け時の部分拡大図である。
【0051】
図1〜
図7において、符号10は、全体で本発明のネジ送り機構を示している。
【0052】
図6に示したように、ネジ送り機構10は、雄ネジ部材12と、雌ネジ部材14とから構成されている。
【0053】
そして、雌ネジ部材14は、
図1〜
図5に示したように、略筒状の雌ネジ部材本体16を備えており、この雌ネジ部材本体16の内部には、内周側に雌ネジ18が形成されている。また、雌ネジ部材本体16の雄ネジ部材12側の一端には、雌ネジ部材本体16よりも小径の嵌合部20が形成されている。
【0054】
この嵌合部20には、
図2〜
図4に示したように、雌ネジ側位置合わせ部22が形成されており、雌ネジ側位置合わせ部22は、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2に対応した位置に形成されている。
【0055】
すなわち、この実施例では、雌ネジ側位置合わせ部22は、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2に合致する位置に形成されている。
【0056】
なお、この実施例の場合には、
図3に示したように、雌ネジ側位置合わせ部22は、スリット形状の雌ネジ側切欠部24から構成されている。
【0057】
また、
図1〜
図3、
図5に示したように、雌ネジ部材14は、雌ネジ部材本体16の嵌合部20の外周に装着される雌ネジ側ストッパー部材26を備えている。この雌ネジ側ストッパー部材26には、
図3、
図5に示したように、外方に略扇形状に突設した雌ネジ側ストッパー28が外方に突設するように形成されている。
【0058】
そして、雌ネジ側ストッパー部材26には、雌ネジ部材本体16の雌ネジ側位置合わせ部22に対応して、雌ネジストッパー側位置合わせ部30が形成されている。この実施例の場合、雌ネジストッパー側位置合わせ部30は、雌ネジ側位置合わせ部22の雌ネジ側切欠部24に嵌合する突設形状の雌ネジストッパー側突設部32から構成されている。
【0059】
また、
図5に示したように、雌ネジストッパー側位置合わせ部30、すなわち、雌ネジストッパー側突設部32が、雌ネジ側ストッパー28のストッパー当接面28aの位置に対して、一定の中心角となるように形成されている。
【0060】
すなわち、実施例の場合には、雌ネジストッパー側位置合わせ部30、すなわち、雌ネジストッパー側突設部32が、雌ネジ側ストッパー28のストッパー当接面28aの位置P1に対して、一定の中心角αとなるように形成されている。
【0061】
このように構成される本発明の雌ネジ部材14は、
図3の矢印で示したように、雌ネジ部材本体16の雌ネジ側位置合わせ部22(雌ネジ側切欠部24)と、雌ネジ側ストッパー部材26の雌ネジストッパー側位置合わせ部30(雌ネジストッパー側突設部32)との位置が合致した状態で、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16に装着する。
【0062】
すなわち、雌ネジ側ストッパー部材26の雌ネジストッパー側位置合わせ部30(雌ネジストッパー側突設部32)が、雌ネジ部材本体16の雌ネジ側位置合わせ部22(雌ネジ側切欠部24)に嵌合するように、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16の小径の嵌合部20の外周に装着して固定する。
【0063】
なお、この場合、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16に装着して固定する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、圧入、溶着、成形、かしめ加工などによって行うことができる。
【0064】
また、
図1、
図2に示したように、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16に装着した状態では、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた雌ネジ側ストッパー28のストッパー当接面28aの位置P1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2が、中心角度αが一定の角度になるように設定されている。
【0065】
また、
図1、
図3に示したように、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた
雌ネジ側ストッパー28の高さ位置Q1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め高さ位置Q2との距離Sが、一定の距離になるように設定している。
【0066】
すなわち、この実施例の場合には、
図1、
図3に示したように、雌ネジ側ストッパー部材26の端部26aが、雌ネジ部材本体16の小径の嵌合部20の段部20aに当接した状態で、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた
雌ネジ側ストッパー28の高さ位置Q1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め高さ位置Q2との距離Sが、一定の距離になるように設定されている。
【0067】
なお、この場合、図示しないが、雌ネジ部材本体16の雌ネジ側位置合わせ部22(雌ネジ側切欠部24)と、雌ネジ側ストッパー部材26の雌ネジストッパー側位置合わせ部30(雌ネジストッパー側突設部32)との当接高さ位置を調節することによって、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた
雌ネジ側ストッパー28の高さ位置Q1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め高さ位置Q2との距離Sが、一定の距離になるように設定することも可能である。
【0068】
一方、
図6に示したように、雄ネジ部材12は、略円柱形状であり、大径の基端部34と、この基端部34の先端に形成されたフランジ36を備えている。また、フランジ36の先端側には、雌ネジ部材本体16の内周に挿入される小径部38を備えている。さらに、小径部38の先端側の外周には、雌ネジ部材本体16の雌ネジ18と螺合する雄ネジ40が形成されている。
【0069】
そして、雄ネジ部材12のフランジ36には、先端側に突設するように形成された雄ネジ側ストッパー42が形成されている。
【0070】
このように構成されるネジ送り機構10では、図示しないステッピングモーターにより、
雄ネジ部材12が、
図6の矢印Bで示したように回転することによって、雄ネジ部材12の先端に形成された雄ネジ40が、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18に螺合する。
【0071】
これによって、
雄ネジ部材12が、
図6の矢印C方向に移動することによって、例えば、電動弁などの制御弁において、流量を制御するようになっている。
【0072】
ところで、従来のネジ送り機構100について説明したように、
図12に示したように、ネジ締め付け時、例えば、弁閉時において、雄ネジ部材102の雄ネジ側ストッパー124と、雌ネジ部材104の雌ネジ側ストッパー114との当接距離R、すなわち当接面積が、小さい場合には、耐久性が低下して繰り返しの使用によって、雄ネジ側ストッパー124と、雌ネジ側ストッパー114とが摩耗損傷してしまう。
【0073】
これによって、
図13に示したように、雄ネジ部材102の雄ネジ側ストッパー124と、雌ネジ部材104の雌ネジ側ストッパー114とが当接しない状態となって、ストッパーとして機能せず、雄ネジ部材102が過剰に回転して、締結状態となり、ネジ送り機構100が正常に作動しないおそれがある。
【0074】
また、不適切な状態で組まれた場合に、当初から
図13に示したように、雄ネジ部材102の雄ネジ側ストッパー124と、雌ネジ部材104の雌ネジ側ストッパー114とが当接しない状態となって、ストッパーとして機能せず、雌ネジ部材104が過剰に回転して、締結状態となり、ネジ送り機構100が正常に作動しない場合もある。
【0075】
さらに、
図14に示したように、ネジ締め付け時、例えば、弁閉時において、雄ネジ部材102の雄ネジ側ストッパー124と、雌ネジ部材104の雌ネジ側ストッパー114とが当接する前に、雄ネジ部材102が過剰に回転して、締結状態となり、ネジ送り機構100が正常に作動しないおそれがある。
【0076】
このため、前述したように、
図1、
図2に示したように、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16に装着した状態では、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた雌ネジ側ストッパー28のストッパー当接面28aの位置P1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2が、中心角度αが一定の角度になるように設定されている。
【0077】
また、前述したように、
図1、
図3に示したように、雌ネジ側ストッパー部材26の端部26aが、雌ネジ部材本体16の小径の嵌合部20の段部20aに当接した状態で、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた
雌ネジ側ストッパー28の高さ位置Q1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め高さ位置Q2との距離Sが、一定の距離になるように設定されている。
【0078】
このように構成することによって、
図7に示したように、ネジ締め付け時、例えば、弁閉時において、ネジの過剰の回転による締結を防止するために、雄ネジ部材12と雌ネジ部材14とが締結してしまう直前に、雄ネジ部材12の雄ネジ側ストッパー42が、雌ネジ部材14の雌ネジ側ストッパー28に当接して、ネジ送り機構10の駆動範囲を規制することができるようになる。
【0079】
これにより、
図7に示したように、ネジ締め付け時、例えば、弁閉時において、雄ネジ部材12の雄ネジ側ストッパー42と、雌ネジ部材14の雌ネジ側ストッパー28との当接距離R、すなわち、当接面積が常に一定で、雄ネジ部材12が過剰に回転して、締結状態となることがなく、ネジ送り機構10を正常に作動することができ、しかも、部品点数が少なく、複雑な工程が不要でコストも低減できる。
【0080】
例えば、雌ネジ部材14の雌ネジ部材本体16、雌ネジ側ストッパー部材26の材質としては、特に限定されるものではなく、金属、樹脂などを採用することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記実施例では、雌ネジ側位置合わせ部22は、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2に対応した位置に形成されている。
【0082】
すなわち、上記実施例では、雌ネジ側位置合わせ部22(雌ネジ側切欠部24)は、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2に合致する位置に形成したが、図示しないが、雌ネジ側位置合わせ部22を、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2に対応して一定の中心角ずらした位置に形成することも可能である。
【0083】
この場合には、雌ネジストッパー側位置合わせ部30(雌ネジストッパー側突設部32)が、雌ネジ側ストッパー28の位置に対して、一定の中心角となるように形成して、雌ネジ側ストッパー部材26を雌ネジ部材本体16に装着した状態で、雌ネジ側ストッパー部材26に設けた雌ネジ側ストッパー28のストッパー当接面28aの位置P1に対して、雌ネジ部材14に形成された雌ネジ18のネジ切始め位置P2が、中心角度αが一定の角度になるように設定すればよい。
【0084】
また、上記実施例では、雌ネジ側位置合わせ部22をスリット形状の雌ネジ側切欠部24とし、雌ネジ側ストッパー部材26の雌ネジストッパー側位置合わせ部30を突設形状の雌ネジストッパー側突設部32とした。しかしながら、その逆に、雌ネジ側位置合わせ部22を突設形状とし、雌ネジストッパー側位置合わせ部30をスリット形状にすることも可能である。また、スリット形状とする他にも、凹部、凹溝形状とすることも可能である。
【0085】
さらに、本発明は、電動弁以外にも、雄ネジ部材と雌ネジ部材との相対的な回転角度を規制するように構成した様々なネジ送り機構に適用することができるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。