(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
旧来、演劇と演奏は、それぞれ専用のホールなどで行われていたが、近年では、多機能ホール(多目的ホールあるいは多用途ホールと称されることもある)で演劇も演奏も行われることが多い。
【0003】
そして、多機能ホールでの演奏に際しては、音響効果を良くするために、演劇のための舞台に音響反射板装置を設けるが、この音響反射板装置としては、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示の提案がある。
【0004】
特許文献1の音響反射板装置にあっては、音響反射板である正面反射板を吊る梁部材で同じく音響反射板である天井反射板をも吊り、梁部材を吊り上げて正面反射板を舞台の奥の上方に吊り上げた状態に格納するときに、天井反射板も一緒に吊り上げて格納するとしている。
【0005】
ちなみに、音響反射板を使用する場合には、正面反射板を降ろして舞台床に立設させると共に、この立設された正面反射板に対して天井反射板の客席に対向する先端部を持ち上げるようにして使用状態にする。
【0006】
特許文献2の音響反射板装置にあっては、天井反射板および正面反射板が分離された状態でそれぞれ吊られ、正面反射板が舞台の奥の上方に吊り上げた状態に格納された後に、天井反射板も舞台の奥の上方に吊り上げた状態に格納されるとしている。ちなみに、音響反射板を使用する場合には、先に天井反射板を降ろして使用状態にし、その後に正面反射板を降ろして使用状態にする。
【0007】
したがって、上記したいずれの提案にあっても、舞台の上に作業員を待機させることなく、また、作業員の手助けを要することなく、言わば自動的に音響反射板、つまり、正面反射板および天井反射板を舞台に設け、また、舞台の奥の上方に格納することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、人口が多い都市部を抱える自治体だけでなく、比較すると人口が少ない、たとえば、地方の自治体などでも、多機能ホールを新設して、多用途に供する傾向にある。
【0010】
一方、新設される多機能ホールが建築物の規模などから、上記した言わば全自動の音響反射板装置の設置ができず、したがって、たとえば、天井反射板については、その昇降だけは機械力によるが、その他は、舞台に居る作業員の手助けによるとする場合がある。
【0011】
すなわち、舞台の客席側位置の上方に専用の反射板用索で先端部から吊り上げて格納状態にある天井反射板を舞台まで降ろし、この天井反射板の後端部に、舞台の中央部より奥寄り位置の上方から降ろされる別の索、つまり、吊り用索の下端部を連結部材たるチェーンの利用で連結し、その後、吊り用索を巻き上げて天井反射板の後端部を持ち上げ、天井反射板をほぼ水平状態となる使用状態に維持する。そして、天井反射板の格納時には、上記と逆の手順を辿って格納場所に吊り上げる。
【0012】
つまり、天井反射板の使用および格納の際には、天井反射板の後端部と吊り用索の下端部との間でチェーンを着脱するが、天井反射板が降ろされる場所と吊り用索の下端部が降ろされる場所とが離れているためにチェーンが長く形成されて重量も大きくなり、また、天井反射板の重量も数トンにも及ぶため、チェーンを着脱する作業員の肉体的負担が大きくなり、また、舞台床がチェーンの引き摺りで傷付き易くなる不具合がある。
【0013】
この発明は、上記した現状を鑑みて創案されたものであって、多機能ホールへの設置に向く音響反射板装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、この発明の構成を、反射板用索によって先端部で吊られて昇降自在とされる天井反射板と、
上記天井反射板から水平方向に離れた位置で下端部を昇降自在にする吊り用索とを備える音響反射板装置において、基端部が
水平方向で上記反射板用
索の近くの部位に位置決めされて先端部が上記吊り用索の下端部に連結される固定用索を有し、
上記固定用索が上記吊り用索の巻き下げで降ろされた上記吊り用索の下端部を吊り下げると共に振り子運動で上記吊り用索の下端部の
上記固定用索の基端部の下方に向けての移動を可能にし、上記反射板用索の巻き下げで降ろされている上記天井反射板の後端部への上記吊り用索の下端部の着脱自在な連結を可能にするとする。
【発明の効果】
【0015】
それゆえ、音響反射板装置にあって、吊り用索の巻き下げで降ろされる吊り用索の下端部が、この下端部に先端部を連結する固定用索に吊られて、この固定用索の基端部の下方に向けて移動し、反射板用索の巻き下げで降ろされている天井反射板の後端部に近づくから、作業員の手助けで吊り用索の下端部を天井反射板の後端部に連結する作業を容易にすると共に、その後の天井反射板の格納時に、作業員の手助けで吊り用索の下端部を天井反射板の後端部から取り外す作業を容易にする。
【0016】
天井反射板の後端部に連結された吊り用索の下端部を所定の高さ位置にまで巻き上げると、天井反射板がほぼ水平状態となる所定の使用状態になり、その際、固定用索は、天井反射板の上方で撓んで吊り用索の巻き上げを妨げない。
【0017】
天井反射板を格納するときには、天井反射板の後端部から吊り用索の下端部を取り外し、天井反射板を吊り上げると共に、吊り用索を巻き上げることで足り、吊り用索が所定の高さ位置、つまり、格納場所に巻き上げられると、固定用索が舞台の上方にループ状に吊られる。
【0018】
その結果、この発明の音響反射板装置にあっては、天井反射板を使用し、また、格納するについて、吊り用索の下端部を天井反射板の後端部に連結する作業およびその後の取り外し作業を容易にして、手助けする作業員の負担を軽減させると共に、天井反射板をいわゆる全自動で使用状態にし、また、格納する場合に比較して、設置コストや維持費の低廉化を可能にし、言わば小規模な多機能ホールへの設置に向くことになる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による音響反射板装置は、詳しくは図示しないが、多機能ホールなどの舞台に設けられ、図示するところでは、可動型で吊り下げ式に設定されている。
【0021】
ちなみに、以下の説明において、舞台なる語は、舞台床S(
図1乃至
図6参照)を指す場合と、この舞台床Sの上方の空間(符示せず)を指す場合と、舞台床Sとこの舞台床Sの上方の空間とを合体して指す場合とがあるが、必要な場合を除き、明確に区別することなく使用する。
【0022】
また、
図1乃至
図6中の右側に符号Gで示すのは、客席であって、この客席Gから見る舞台の左右方向が間口方向であり、この舞台の間口方向の端部に袖と称されて、基本的には、客席Gからの視界の外となる空間A(
図6参照)が設けられる。
【0023】
ちなみに、袖と称される舞台の両端部を除く舞台の上方には、後述する格納時の天井反射板1や正面反射板2の他に、図示しないが、いわゆるバトン装置が多数設けられている。つまり、舞台の袖の上方には、基本的には、バトン装置が設けられない。
【0024】
そして、この種の舞台にあっては、舞台の最上端となる図示しない天井の下方に、
図1乃至
図5に示すように、支持棚たる簀の子Tを有し、この簀の子Tが備える隙間を通じて、簀の子Tにあるいは簀の子Tの上方の部位に設けたバトン装置(図示せず)における索たるワイヤ(図示せず)が吊り下げられ、また、吊り上げられる。
【0025】
ところで、可動型で吊り下げ式に設定される音響反射板装置にあっては、基本的には、
図1乃至
図5に示すように、天井反射板1と、正面反射板2と、
図6に示す側面反射板3とを有する。
【0026】
そして、音響反射板装置にあって、天井反射板1は、
図1に示すように、格納時には、舞台の客席G側位置の上方、つまり、舞台の上方と客席Gの上方とを分ける舞台の前壁Wの客席Gから見た裏側に反射板用索たるワイヤW1で吊り上げられ、使用時には、ワイヤW1の巻き下げで、
図2に示すように、舞台床Sに向けて降ろされる。
【0027】
また、正面反射板2は、格納時には、
図1に示すように、舞台の奥の上方に専用の索たるワイヤW2で吊り上げられ、使用時には、ワイヤW2の巻き下げで、
図2に示すように、舞台床Sに向けて降ろされる。
【0028】
そして、側面反射板3は、図示しないが、格納時には、舞台の袖の上方に専用の索たるワイヤで吊り上げられ、使用時には、ワイヤの巻き下げで、舞台床Sに向けて降ろされて所定の場所に設置される。
【0029】
戻って、天井反射板1および正面反射板2は、所定の音響効果を発揮できる限りには、任意に形成されて良く、たとえば、吊り上げ動作の際に変形などしない強度を備えるフレーム構造に形成され、このフレーム構造に音響反射面をプラスターなどの硬く質量に富む部材で仕上げて形成される。
【0030】
天井反射板1を吊るワイヤW1は、
図1中で上端側となる基端側が簀の子Tやその上方の部位に配設のウインチ(図示せず)に巻かれており、ウインチの駆動で巻き上げられ、あるいは、巻き下げられて、天井反射板1を吊り上げ、あるいは、降ろすとしている。
【0031】
そして、上記のワイヤW1については、簀の子Tに設けられた滑車(符示せず)で舞台の客席G側位置から舞台の奥寄り位置に方向転換されるとし、また、前記した前壁Wの裏面に設けられた押し出し手段10で前壁Wの裏面寄り位置から舞台の奥寄り位置に向けて押し出され(
図2参照)、天井反射板1が舞台床Sに向けて降ろされるときに、また、降ろされている状態から上方に吊り上げられるときに、前壁Wの下方側部の裏面に設けた昇降プロセニアム20に干渉させないとしている。ちなみに、詳しくは図示しないが、昇降プロセニアム20も簀の子Tなどに配設のウインチに巻かれたワイヤで吊られている。
【0032】
ところで、ワイヤW1の下端部は、連結具1aを介して天井反射板1の先端部(符示せず)に連結されるとし、この連結具1aについては、この天井反射板1にあっては、
図6に示すように、天井反射板1の軸線方向に適宜の間隔で複数配置とされる。
【0033】
一方、この発明の音響反射板装置にあって、天井反射板1を
図5に示す使用状態にするのに際しては、吊り用索たるワイヤWbと固定用索たるワイヤ5の利用、および、舞台に居る作業員の手助けを必須とする。
【0034】
そして、図示する実施形態では、ワイヤWbの下端部に連結されるバトンB、および、このバトンBが有する連結部材の利用で、ワイヤWbの天井反射板1に対する着脱作業を実現するとしている。
【0035】
ちなみに、
図5に示すように、使用時に舞台に降ろされた天井反射板1は、ほぼ水平状態におかれるが、正確には、客席Gに対向する先端部が後端部に比較して高く位置決められ、図中で下面となる音響反射面を客席Gに向けて言わば仰向け傾向にする。
【0036】
戻って、図示する実施形態にあっては、ワイヤWbの下端部にバトンBが連結されるとしている。つまり、図示する実施形態では、
図1,
図2および
図6に示すように、バトンBが舞台の奥側寄り位置の上方にあって間口方向に設けられるとしている。
【0037】
このバトンBは、たとえば、鋼管で形成され、
図6に示すように、舞台の間口方向にほぼ一杯になる長さを有し、両端部(符示せず)にこの後吊りバトンBを吊るワイヤWbの下端部(符示せず)を連結させている。
【0038】
つまり、バトンBの両端部は、舞台の袖にまで及んで、天井反射板1および正面反射板2とで挟まれる領域を舞台の間口方向に外れる部位にまで及び、図示するところでは、側面反射板3が格納される領域を間口方向に超える部位にまで及ぶとしている。
【0039】
そして、ワイヤWbの下端部がバトンBの両端部に連結されるから、バトンBを舞台の奥側と舞台の客席側との間で移動させるときに、併せて移動するワイヤWbが他の装置類に干渉することを防止できる。
【0040】
一方、バトンBを吊るワイヤWbの上端側は、簀の子Tに、あるいは、簀の子Tの上方の部位に設けられたウインチ(図示せず)に巻かれており、このウインチの駆動でワイヤWbが送り出され、あるいは、巻き上げられ、バトンBを吊り上げ、あるいは、降ろすとしている。
【0041】
なお、ワイヤWbは、バトンBを下降させるときに巻き下げられるが、バトンBが後述する固定用索たるワイヤ5に連結されて巻き下げられるほどに客席G側に引かれるようになるので、簀の子Tに設けた滑車Pに当接して、方向転換を可能にしている。
【0042】
戻って、バトンBは、両端部の間に適宜の間隔で複数の連結部材たるチェーンJ(
図3および
図4参照)を有している。このチェーンJは、天井反射板1の後端部に設けた連結腕1bに対する着脱を自在にするもので、この観点からすれば、チェーンJに代えてワイヤとされるなど、任意に構成されて良い。
【0043】
ちなみに、チェーンJについては、あらかじめバトンBに連結されているのに代えて、バトンBを天井反射板1の後端部に連結する際に両者に連結されるとしても良い。また、連結腕1bは、天井反射板1の後端部に枢着されて、この天井反射板1の背面側で起伏可能とされる(
図3および
図4参照)。
【0044】
そして、この発明にあっては、後述するように、バトンBが天井反射板1の後端部に限りなく近づくことになるので、チェーンJの長さは、たとえば、50センチメートル程度に抑えられ、従前であれば、2〜3メートルになるとして重量も15キログラムを超えるとしていたことに比較して、軽量にして、作業員の手助けを阻害しないことになる。
【0045】
固定用索たるワイヤ5は、
図1乃至
図5に示すように、舞台における客席G側位置の上方にある基端部(符示せず)が簀の子Tに設けたブラケットT1に連結され、
図1および
図2に示すように、先端部(符示せず)が舞台の奥寄り位置の上方にあるワイヤWb、つまり、ワイヤWbが巻き上げられて言わば格納状態にあるバトンBの両端部に連結されている。ちなみに、ワイヤ5の基端部は、簀の子Tに設けたブラケットT1に連結されるのに代えて、図示しないが、天井などの固定部に連結されるとしても良い。
【0046】
戻って、ワイヤ5は、定尺に形成されて、
図2に示すように、ワイヤW1の巻き下げで天井反射板1の後端部が舞台床Sに接触しないまでも、極めて近くなるほどに降ろされるとき、
図4に示すように、言わば真直ぐに伸ばされたワイヤ5の先端部が、つまり、ワイヤ5の先端部に連結されたバトンBが天井反射板1の後端部に近づく状態になることを可能にする長さを有するように設定されている(
図4参照)。
【0047】
つまり、
図3に示すように、ワイヤWbによってバトンBが降ろされて舞台床Sに近づくようになるとき、この時点では、ワイヤ5が緊張していないから、バトンBがワイヤWbで吊られている状態で言わば真下に降りるようになる。
【0048】
ついで、バトンBが降りきるまでにはならないその前状態にあるときには、バトンBにワイヤ5の先端部が連結されているから、ワイヤ5も伸びきるまでにはならないその前状態になり、さらに、ワイヤWbが巻き下げられると、図示しないが、バトンBは、緊張してV字状になるワイヤWbおよびワイヤ5で吊られる状態になり、このとき、
図3中に二点鎖線矢印aで示すように、バトンBが弧を描きながら天井反射板1の後端部に近づくように移動することになる。
【0049】
このV字状になったワイヤWbおよびワイヤ5でバトンBを吊る状態から、
図4中に実線図で示すように、ワイヤWbが緩められると、ワイヤ5が優先的にバトンBを吊るようになり、最終的には、バトンBがワイヤ5に吊られて振り子運動でワイヤ5の基端部の下方に、つまり、
図4中に
破線矢印bで示すように、天井反射板1の後端部に近づくように移動することになる。
【0050】
したがって、
図4に示すように、この状態でバトンBが有する複数のチェーンJを天井反射板1の後端部に、つまり、連結腕1bに連結すれば良く、この連結作業をする作業員にチェーンJを舞台床Sで引き摺らせるようにすることもなく、作業員に肉体的な負担をかけないようにすることが可能になる。
【0051】
なお、
図3は、バトンBを有するワイヤWbが巻き下げられるときにこれに追従するようにワイヤ5が伸びる状態を示し、
図4は、ワイヤ5が伸び切ってワイヤWbが緩められている状態を示すが、それぞれの状態を解り易くするために図を分けているだけであり、実際には、上記したように、
図3の状態から
図4の状態に連続した挙動になる。
【0052】
また、
図4中に二点鎖線図で示すワイヤWbの状態は、バトンBに連結のチェーンJを天井反射板1の後端部に連結した状態でワイヤWbを僅かに巻き上げてワイヤWbを緊張させた状態である。
【0053】
ちなみに、天井反射板1を使用状態にするのには、
図4中に二点鎖線図で示すワイヤWbの状態からこのワイヤWbを巻き上げることで、
図5に示すように、天井反射板1の後端部が所定の高さ位置に上昇する。その際に、天井反射板1の先端部は、後端部の高さ位置に相応するように、ワイヤW1の巻き上げあるいは巻き下げで適宜に昇降することがある。
【0054】
一方、音響反射板装置の不使用時に天井反射板1を格納するのに際しては、上記したところと逆の手順を辿れば良い。すなわち、先ずは、ワイヤWbを巻き下げてバトンBを下降させ、要する場合に、ワイヤW1も巻き下げて、
図4に示すように、天井反射板1を立て、後端部を舞台床Sに近づけるようにする。
【0055】
つぎに、舞台床Sに近づいている天井反射板1の後端部からチェーンJを取り外して、ワイヤW1を巻き上げることで、
図1に示すように、天井反射板1が舞台の客席側で上方に吊り上げられ、格納状態におかれる。
【0056】
チェーンJが天井反射板1の後端部から取り外されたバトンBにあっては、ワイヤWbを巻き上げることで、
図1および
図2に示すように、簀の子Tの直ぐ下まで吊り上げられ、停止状態におかれる。
【0057】
以上のように、天井反射板1の昇降に際しては、作業員の手助けによるチェーンJの着脱が必須になるが、
図4に示すように、ワイヤWbの下端部が天井反射板1の後端部に近づくこともあって、ワイヤWbの下端部、つまり、バトンBと天井反射板1とを連結するチェーンJを短くして軽量にすることが可能になるから、作業員の肉体的負担を軽減するのはもちろんのこと、作業員を使う時間や作業員の数の削減を可能にして、経費の削減を可能にする。
【0058】
なお、ワイヤWbの下端部、つまり、バトンBと天井反射板1の後端部との連結を解除したチェーンJについては、バトンBに連結したままでいわゆる格納されるとしても良いが、バトンBからも外されて、所定の格納場所に格納されるとしても良く、その際にも、チェーンが軽量に形成されることで、作業員の肉体的負担を軽減し得ることになる。
【0059】
ちなみに、正面反射板2は、言わば自動的に使用状態におかれ、また、格納状態におかれるが、正面反射板2を吊るワイヤW2については、簀の子Tに設けられた滑車(符示せず)で舞台の奥側から舞台の客席G側に方向転換され、また、この正面反射板2には、この正面反射板2が最終的に舞台床Sに起立する状態に設置されるときの位置を設定する位置決め用の索たるワイヤ6が連結される。
【0060】
なお、この位置決め用のワイヤ6は、
図1に示すように、正面反射板2が吊り下げられる位置より客席G寄りとなる位置に垂下され、簀の子Tの上方に位置決めされる基端側が簀の子Tに、あるいは、簀の子Tの上方の部位に設けられるウインチ(図示せず)に連結され、ウインチの駆動で巻き上げられ、あるいは、巻き下げられる。