(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
閉じた状態の前記一対の把持部材について、該一対の把持部材の自重に抗する力が作用しても容易に開くことを防止できるように、該一対の把持部材の間に弾性部材を装着したことを特徴とする請求項1に記載の固形燃料供給装置。
前記把持部材保持部が筒体に設けられ、該筒体の内部及び前記開口部を通って垂下された前記昇降チェーンが、前記枢着軸の中央部に設けられた前記貫通部を通って前記昇降開放部材に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固形燃料供給装置。
前記固形燃料の貯留部における前記一対の把持部材の昇降位置を、前記駆動制御手段によって異なる複数の位置とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固形燃料供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る固形燃料供給装置における主要構成を共通とする一つの形態例を添付図面(
図1〜
図8)に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る固形燃料供給装置の概略を示す模式図である。木質チップ等のバイオマス固形燃料(以下、具体例として「チップ」として説明する。)を搬送する前の状態を示すものである。本実施形態における固形燃料供給装置の概要は、操作モータ35及び昇降モータ36が固定された吊り下げ基部30から把持部材保持部15を介して吊り下げた把持部材1、1を閉じることでチップの貯留部200からチップを掴み上げ、移動用駆動装置50で吊り下げ基部30ごと燃料投入口部110の上部まで搬送した後、把持部材1、1を広げてチップを落下させ、落下後吊り下げ基部30が元の位置に戻る動作を繰り返すものである。以下、更に詳述する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、符号1、1は固形燃料を掴むための一対の把持部材である。この把持部材1、1は、枢支軸5に軸着されて下方に向いた状態で開閉できるように回動可能に後述する把持部材保持部15で吊り下げられている。把持部材1、1は、チップの搬送開始前の初期位置では側面視で下に開口したコ字状を形成している。
図2で示すように、把持部材1、1はそれぞれチップを掬い上げるために帯状に形成されている。この把持部材1、1の下部2は、チップの山の隙間に食い込んでチップの掬い上げを容易にするためギザギザの歯状に形成されている。なお、把持部材1、1の形状は、同一幅の帯状でなくてもその下部2の幅を上部より広くしたり逆に狭くしたりすることも可能である。また、把持部材1、1の形状は、
図1、
図2等ではコ字状に開口しているが、半円形状に開口するように湾曲していてもよい。また、このギザギザの歯の数は、把持部材1、1の幅やチップの大きさ等に応じて任意の数、例えば2本から10本程度まで選択することができる。
【0015】
把持部材1、1は把持部材保持部15によって吊り上げる際に自重により下方向へ回動する。このとき、把持部材1、1の自重がチップに比し軽いときはチップへの食い込みが不足するため、上面に重り4、4を載せることもできる。把持部材1、1は、掴んだチップが把持部材の自重に抗する力が作用することで開いて移動中に落ちないように、また把持力を強めるため、スプリングやゴムなどの弾性部材を装着させることができる。この実施形態ではスプリング3が用いられている。また、
図1、
図2等では把持部材1、1の回動方向で無い面は開口しているが、チップの掬い上げに障害とならない程度に該面にネットなどの覆いを形成してもよい。
【0016】
図1、
図2等に示すように、一対の把持部材1、1の上部に、内側へ回動された際には該把持部材を開き、外側へ回動された際には該把持部材1、1を閉じるように作動する上部立設部10、10が枢支軸5付近からそれぞれ立設されている。この上部立設部10、10の上部は、把持部材保持部15の上下方向の中央付近に届く位置にある。なお、上部立設部10、10は、側出用孔17、17付近に上部が位置するものであれば矩形状の他、半円状、棒状などのような形状を採用できる。
【0017】
把持部材保持部15は上下に延びる桿状であり、その内部に後述する操作ワイヤ16が通っている。この操作ワイヤ16が内部で二股に分かれて把持部材保持部15の側部に形成された側出用孔17、17を通って把持部材保持部に対して横方向へ向きを変えて上部立設部10、10の上部に固定されている。これらの操作ワイヤ16、16の繰り出し及び巻き上げによって上部立設部10、10は前記把持部材保持部15に対して内側と外側へ回動し、同時に把持部材1、1の開閉が行われる。
【0018】
操作ワイヤ16、16は、上部立設部10、10の上部に下端が固定される。これにより、把持部材1、1を開くとき、枢支軸が支点となって、操作ワイヤ16、16を把持部材1、1に直接連結して引いて開く力よりも軽い力で把持部材1、1を開くことができる。
【0019】
把持部材保持部15の上端は、上部停止位置では
図1、
図3等に示すとおり、後述する規制部20の下端と接している。把持部材保持部15は昇降ワイヤ18の下端が固定されて把持部材1、1を昇降させるように上下方向に作動する。把持部材保持部15と規制部20との接合部には接触圧等を感知して後述する移動用駆動装置50を駆動させるためのセンサAが備えられている。なお、把持部材保持部15は棒状体であってもよく、この場合の側出用孔17、17は、例えば水平なリングとして操作ワイヤ16、16をそのリングの内側を通過させて把持部材保持部15から横方向へ向きを変えて上部立設部10、10に固定される。
【0020】
規制部20は、後述する吊り下げ基部30の底面から下方に伸びた筒体で形成されている。規制部20は、把持部材保持部15の上端部が接することで把持部材保持部15の上昇を所定位置で停止したり、後述する移動ガイド部60に設けたスリット(図示せず)に把持部材保持部15が接することを防いだりする機能を持つ。この規制部20は、把持部材保持部15の上昇を停止することができれば棒状体であってもよい。
【0021】
吊り下げ基部30は、その底面より規制部20が下方に形成され、さらにその下方に昇降ワイヤ18で固定された把持部材保持部15が吊り下げられている。吊り下げ基部30の上には、操作モータ35と昇降モータ36とがプーリーを突き合わすように固定されている。吊り下げ基部30は、後述のように水平移動されるが、移動を滑らかにするため
図1に示すように車輪39a、39bが備えられている。
【0022】
操作モータ35は、把持部材1、1の上部立設部10、10にそれぞれ下端が固定され該把持部材1、1を開閉させるように上下方向に作動する操作ワイヤ16の繰り出しと巻き上げを行う。
【0023】
昇降モータ36は、把持部材保持部15に下端が固定され該把持部材保持部15を介して把持部材1、1を昇降させるように上下方向に作動する昇降ワイヤ18の繰り出しと巻き上げを行う。
【0024】
これら操作モータ35と昇降モータ36は、駆動制御手段(図示せず)によって駆動される。
【0025】
駆動制御手段は、把持部材1、1が開いた状態で所定の上部停止位置から下降できるように昇降モータ36及び操作モータ35を同期させて昇降ワイヤ18及び操作ワイヤ16を繰り出すように駆動させる。次に、把持部材1、1が固形燃料の貯留部などの所要の下方位置で停止すると把持部材1、1の自重によって閉じるように操作モータ35によって操作ワイヤ16を繰り出すように駆動させる。そして、この操作ワイヤ16の繰り出しが終わると、把持部材1、1が閉じた状態で上昇できるように昇降モータ36及び操作モータ35を同期させて昇降ワイヤ18及び操作ワイヤ16を巻き取るように駆動させる。把持部材1、1が規制部20によって把持部材保持部15を介して上昇が停止され、後述の移動用駆動装置50によって吊り下げ基部30が燃料投入口部110の上部に移動した際、把持部材1、1が開くように操作ワイヤ16をさらに巻き取るように操作モータ35を駆動させる。なお、具体的駆動制御手段としては従来からあるアナログ制御又はマイコンを用いたデジタル制御によりセンサやタコジェネレータ、サーボモータ等などを用いて操作モータ35と昇降モータ36の回転数や回転速度を同期させたり、駆動タイミングを調整したりすることができる。
【0026】
次に、吊り下げ基部30を支持し、水平移動させるための構成について説明する。
【0027】
移動用駆動装置50は、吊り下げ基部30とともに後述の移動ガイド部60に位置される。移動用駆動装置50の例としては駆動モータ、シリンダ装置等を用いることができる。移動用駆動装置50は、把持部材保持部15が昇降モータ36によって吊り上げられてモータ規制部20の下端に当接してセンサAが感知することに基づいて後述の移動ガイド部に案内させて吊り下げ基部30を燃焼装置方向へ移動させるように駆動がなされる。吊り下げ基部30を移動させるに際しては、吊り下げ基部30に駆動モータを固定してギヤによって移動させたり、駆動モータを移動ガイド部60に固定してチェーンなどで移動させたり、エアシリンダの水平方向の動きによって移動させることができる。
【0028】
移動ガイド部60は、長手方向に伸びたスリット(図示せず)が形成されており、吊り下げ基部30に形成した規制部20が該スリットの間を水平方向へ移動する。なお、移動ガイド部60は、柱で支えてもよいし、天井から吊るしてもよい。また、移動ガイド部60は、1本又は2本のレールであってもよい。
この移動ガイド部60には吊り下げ基部30の位置を感知するセンサB、Cが設置されている。センサBは、吊り下げ基部30が上部停止位置にあることを感知して、駆動制御手段を作動させ操作モータ35及び昇降モータ36の駆動を行う。センサCは、吊り下げ基部30が燃料投入口部110の位置に到達又は接近したことを感知して駆動制御手段を作動させるとともに一定時間経過後、吊り下げ基部30が上部停止位置に戻るように移動駆動装置50を駆動させる手段となる。なお、操作モータ35の巻き取り終了を感知して移動用駆動装置50を駆動させるように制御してもよい。
【0029】
次に、チップの燃焼装置100の燃料収納部101の収納蓋102及び遮断蓋105の開閉についての実施形態について
図1及び
図8に基づいて説明する。本実施形態における吊り下げ基部30による燃料収納部101の収納蓋102及び遮断蓋105の開閉は、移動用駆動装置50の働きによる水平方向への動作によって行われるものである。これにより特別の装置を用いることなく収納蓋102及び遮断蓋105の開閉等を行うことができる。以下、更に詳述する。
【0030】
図1に示すように、移動ガイド部60には、吊り下げ基部30がチップの落下位置に近づくにつれて吊り下げ基部30の一部が接することで回転する回転バー70を保持する保持部71が形成されている。この保持部71の下部には、前記回転バー70と軸着され該回転バーが吊り下げ基部30の接近で押されて回転するにつれて下方向に移動する水平バー72と、この水平バー72の下方向への位置の変化を伝える垂直バー74が形成されている。なお、水平バー72の動作は平行四節リンクの機構を応用することで容易に実現できる。燃料収納部101の収納蓋102は、この垂直バー74の下方向への移動により、該収納蓋102の開閉軸より斜め上方にかけて形成されている押し下げ部103が押し下げられて開くように軸支されている(
図8)。収納蓋102は、水平バー72と移動ガイド部60との間に連結されたバネ76によって吊り下げ基部30が初期位置方向へ移動することで水平バー及び垂直バーが元の位置に戻ることで閉じた状態が維持される。
【0031】
吊り下げ基部30には、
図1及び
図8に示すように、燃焼装置100の燃料収納部101の遮断蓋105に固定されている開閉ワイヤ106が連結されている。この遮断蓋105は、吊り下げ基部30がチップの落下位置に移動するにつれて下がって燃料収納部101と燃焼室104とを遮断し、一方、吊り下げ基部30が初期位置へ移動するにつれて上がって燃料収納部101のチップを燃焼室104へ投下させることができるように動作する。なお、燃焼室104の火が収納蓋102より外へ出ないように収納蓋102が閉じてから遮断蓋105が開くように開閉ワイヤ106の長さや回転バーの位置等を調整することが望ましい。
【0032】
次に、以上の構成からなる固形燃料供給装置の動作を説明する。
【0033】
まず、スイッチ(図示せず)を入れると、チップの貯留部200の上部停止位置にある吊り下げ基部30の存在をセンサAが感知した段階で、吊り下げ基部30上に備えた操作モータ35と昇降モータ36が回転し、それぞれのモータに固定された操作ワイヤ16と昇降ワイヤ18を同じスピードで繰り出す。これにより把持部材保持部15が把持部材1、1を広げた状態のままで下降する。把持部材1、1の下部2、2がチップの貯留部200に接する位置で停止すると操作モータ36は引き続き操作ワイヤ16を把持部材保持部15に設けた側出用孔17、17から外側へ繰り出す。これにより操作ワイヤ16、16が側出用孔17、17の外側で弛んだ状態となる。操作ワイヤ16、16が、上部立設部10、10が外側へ開いて把持部材1、1が閉じられる状態となる程度に側出用孔17、17より繰り出された後で操作モータ35が一旦停止すると、操作モータ35と昇降モータ36が同じスピードで操作ワイヤ16と昇降ワイヤ18の巻き取りを開始する。把持部材保持部15が徐々に引き上げられると、把持部材1、1がその自重と必要に応じて載せられた重り4とによって把持部材1、1の下部2同士が接するように閉じられて、チップが把持される。
【0034】
把持部材保持部15がチップを掴んだ状態で上昇し、支柱20の下端と接するとセンサAが感知すると移動用駆動装置50が吊り下げ基部30を燃料投入口部110へ移動させるように動作を開始する。吊り下げ基部30がセンサCで感知される位置まで移動すると、操作モータ35が操作ワイヤ16の巻き取りを開始し、操作ワイヤ16、16が側出用孔17、17から把持部材保持部15の内側へ取り込まれる。これに伴って、把持部材保持部15に対して外方向へ広がっていた上部立設部10、10は把持部材保持部15に平行となるように直立する。上部立設部10、10が直立するにつれて把持部材1、1が開き、把持していたチップは落下する。操作ワイヤ16が全て巻き取られるための一定時間が経過後吊り下げ基部30が上部停止位置に戻るように移動用駆動装置50の動作が開始される。
【0035】
次に、吊り下げ基部30による収納蓋102と遮断蓋105の動作について説明する。
【0036】
吊り下げ基部30が移動用駆動装置50により燃料投入口部110に近づくと吊り下げ基部30の一部により傾斜していた回転バー70の上部が直立方向へ押し上げられ回転バー70が徐々に直立するにつれて回転バー70に軸着されている水平バー72が徐々に押し下げられ、この水平バー72の下降に伴って垂直バー74が下降する。この垂直バー74の下降により収納蓋102より斜め上方に形成されている押し下げ部103が押し下げられて収納蓋102が開く(
図8)。収納蓋102が開いた状態では燃焼室104と燃料収納部101とは遮断蓋105によって遮蔽されているが、吊り下げ基部30が初期位置へ戻るにつれてバネ76の力で回転バー70と水平バー72が元の位置に戻り収納蓋102が閉じると同時以降に吊り下げ基部30に連結されている開閉ワイヤ106で遮断蓋105が徐々に開き、燃料収納部101に収納されたチップが燃焼室104に投下される。
【0037】
吊り下げ基部30は上部停止位置まで戻るとセンサBが感知しふたたび操作モータ35と昇降モータ36の動作が駆動制御手段によって開始される。
【0038】
以下、本発明にかかる固形燃料供給装置における最良の形態例を添付図面(
図9〜
図13)に基づいて詳細に説明する。図中、
図1〜8と同一符号で示す部分は先の形態例と同一の構成であるので、その説明は省略する。
図9は、本発明に係る固形燃料供給装置の概略を示す模式図である。掴み上げたチップを把持して搬送している状態を示すものである。本実施形態における固形燃料供給装置の概要は、昇降モータ(図示せず)が内設された吊り下げ基部130から昇降チェーンの一例である昇降チェーン19を介して吊り下げた把持部材1、1をチップの貯留部200で閉じることでチップを掴み上げて上昇させ、移動用駆動装置(図示せず)で吊り下げ基部30ごと燃料投入口部110の上部まで搬送した後、把持部材1、1を広げてチップを落下させ、次に吊り下げ基部130がチップの貯留部200の上部に戻る動作を繰り返すものである。以下、更に詳述する。
【0039】
図10は、一対の把持部材1、1が開いた状態を示す斜視図である。本形態例では、垂直方向に伸びた昇降チェーン19の下端部に、一対の把持部材1、1を受けて昇降させると共に一対の把持部材1、1を開くように下方から当接して押し上げる昇降開放部材6が設けられている。この昇降チェーン19は、一対の把持部材1、1に設けられた貫通部7内を通って上下する。吊り下げ部材としての昇降チェーン19について、チェーンを採用したことで捻れや巻き上げによる変形を防止することができ、安定的な繰り返し作動を実現できる。
【0040】
図10及び
図11に示すように、本形態例の昇降開放部材6は、一対の把持部材1、1が開いて略水平状態となった部分の下面を支持するように形成された矩形板状である。そして、一対の把持部材1、1のそれぞれの下面に接するように枢支軸5に沿う一対の端部から上方に筋状に突出した突起部6a、6aが形成されている。このように昇降開放部材6を上向きのコ字状とすることで、上昇した際、枢支軸5と干渉することを防ぎ、昇降開放部材6に働く力を一対の把持部材1、1の下面にバランスよく及ぼすことができる。なお、突起部6aの形状は、本形態例のような筋状ではなく、例えば矩形の昇降開放部材6の四つの角部に点状に設けてもよい。
【0041】
昇降チェーン19は、昇降開放部材6の中央部に下端部が固定され、昇降開放部材6から枢支軸5の中央部に形成された貫通部7及び後述する把持部材保持部115の中心部を通り、上端部が吊り下げ基部30に内設された昇降モータ(図示せず)に連結されている。
【0042】
昇降チェーン19は、昇降モータの巻き上げ繰り出しによって上昇及び下降する。この動きに伴って昇降開放部材6が一対の把持部材1、1を
図11に示す開放状態と
図12に示す閉状態において、上昇又は下降させることができる。また、昇降開放部材6は、
図13に示すように、把持部材保持部115が規制部20によって上昇を停止した後に昇降チェーン19が巻き上げられることによってさらに引き上げられる。すなわち、
図12に示す閉じた状態の一対の把持部材1、1が突起部6a、6aを介して上方へ押し上げられて開かれる。このように昇降開放部材6によって一対の把持部材1、1の上昇又は下降をさせることができるだけでなく、一本の昇降チェーン19を巻き上げることで把持部材1、1を同時に開放させることができる。従って、構造と共に制御についても、よりシンプルな構成とすることができる。
【0043】
昇降開放部材6は、一対の把持部材1、1のそれぞれに昇降チェーン19の巻き上げによって生じる力を作用させることが出来るものであれば、その形状は適宜選択できる。円盤状、楕円板状や棒状であってもよい。突起部6a、6aも昇降開放部材6に作用する力を一対の把持部材1、1に伝達できるものであれば各種の形状を採用できる。例えば、突起部6aの代わりに耐熱性のあるローラを備えたりすることができる。このような形状とすることで一対の把持部材1、1と昇降開放部材6との抵抗を減らし一対の把持部材1、1の開閉動作を滑らかにさせることができる。
【0044】
図10〜
図13に示すように、把持部材保持部115は、一対の把持部材1、1の枢支軸5の両端を保持する脚部115aと貫通部7の上方に昇降チェーン19が通って上下する筒部115bを備え、この筒部115bの上部は円筒状の開口部115cを形成して直立している。円筒状の開口部115cを形成することで内側に規制部20の下端が当接する段部115dが形成されている。この把持部材保持部115は、昇降開放部材6によって閉じている一対の把持部材1、1が上昇し、規制部20に段部115dが当接して上昇を停止させた後、その位置でさらに昇降開放部材6が引き上げられることで把持部材1、1を開放させるためのものである。
【0045】
把持部材保持部115は、枢支軸5の位置で一対の把持部材1、1を保持し、昇降チェーン19が通って規制部20と当接する開口部115cが設けられた上縁部が形成されていれば、その形状を適宜選択できる。脚部115aは1本でもよく、枢支軸5の中央部付近に固定してもよい。筒状部を有さずに開口部115cを円形のリングとして棒状の脚部で支えるものであってもよい。
【0046】
吊り下げ基部130は、
図9に示すように箱状であり、昇降チェーン19の繰り出しと巻き上げの基部になると共に、把持部材保持部115の開口部115cの上縁部が当接することで把持部材保持部115の上昇を所定位置で停止させるように規制する規制部20を備えている。また、吊り下げ基部130の内部には、昇降チェーン19を昇降させる昇降モータ(図示せず)と移動用駆動装置(図示せず)とを備えている。移動用駆動装置は、吊り下げ基部130を支持して固形燃料の貯留部200と固形燃料を燃焼装置100へ供給する燃料投入口部110との間での移動を案内する移動ガイド部160に案内させて吊り下げ基部130を移動させるように駆動させる。なお、この移動用駆動装置としては、自走式としてもよいし、ワイヤで引く方式としてもよい、
【0047】
吊り下げ基部130の上部には、非接触型のセンサの受け部131、例えば静電容量センサの受け部が備えられている。このセンサの受け部131は、移動ガイド部160に一定間隔で設けたセンサ部P1、P2、P3、S1及びS2によって感知されて移動用駆動装置、昇降モータ及び燃料投入口110の収納蓋102と遮断蓋105の開閉装置(図示せず)等を動作させる。なお、吊り下げ基部130の上部にセンサ部を、移動ガイド部160の上記の位置にセンサの受け部を備えてもよい。
【0048】
センサ部P1、P2及びP3は、固形燃料の貯留部200の上部で吊り下げ基部130の位置を感知する。S1及びS2は、チップを搬送している状態とチップを落下させた後の状態の吊り下げ基部130の位置を感知する。各センサによって吊り下げ基部130の位置が感知されると、それぞれの位置に応じた制御がなされる。
【0049】
センサ部P1、P2及びP3の位置では、吊り下げ基部130の停止順、停止回数等を制御し、昇降モータが作動し、一対の把持部材1、1を一定時間降下させ、その後後述する電磁石の電源を切り、その後上昇するように作動させることができる。P1、P2、P3の順番で一回ずつ停止するとか、P1で5回停止したら、次はP2で5回停止するといった制御も可能である。このような制御により、固形燃料の貯留部200のチップを大きな偏りがない状態で掴み取ることができる。これにより、固形燃料を燃焼装置へ安定的に供給することができる。
【0050】
センサ部S1及びS2では、吊り下げ基部130の停止及び移動、チップの燃焼装置100の燃料収納部101の収納蓋102及び遮断蓋105等の開閉が制御される。例えば、チップを掴んだ一対の把持部材1、1を吊り下げている吊り下げ基部30がS1の位置で感知されると遮断蓋105が閉まり、その後収納蓋102が開くように動作させる。上記吊り下げ基部30がS2の位置で感知されると吊り下げ基部30の水平移動が停止し、昇降モータによって昇降チェーン19が巻き上げられ昇降開放部材6が上昇し、一対の把持部材1、1が開放されてチップが投下されるように動作させる。一対の把持部材1、1が全開すると再び一対の把持部材1、1の下降位置となるP1、P2又はP3によって検出される位置へ吊り下げ基部130が移動を開始する。移動が開始すると収納蓋102が閉められる。吊り下げ基部130がS1で感知されると遮断蓋105が開くように動作をさせることができる。
【0051】
移動ガイド部160は、固形燃料の貯留部200とチップの燃焼装置100の上部の間に架け渡された梁部材であって、例えば
図9に示す実施例ではその下面の長手方向にスリット(図示せず)が形成されている。このスリットに沿って、自走用の駆動モータやワイヤを巻き取る駆動モータなどの移動用駆動装置の動力によって、吊り下げ基部130が、移動ガイド部160に沿って水平方向へ移動される。
【0052】
図13に示すように、把持部材保持部115の上昇が停止した後、さらに昇降チェーン19を巻き上げることで昇降開放部材6によって開かれた一対の把持部材1、1の開放状態を維持するために一対の把持部材1、1の上面における枢着軸5の上部で作動する電磁石8aを備えた開放維持装置9が備えられている。この開放維持装置9は、把持部材1、1の一方に電磁石8aを設け、他方の把持部材に電磁石の受け8bを設けている。この開放維持装置9が作動している限り、一対の把持部材1、1の自重や、その上面に載せた重り4、4及び一対の把持部材1、1に架設されたスプリング3による一対の把持部材1、1の閉方向の力に抗して開放状態を維持することができる。そして、
図12に示すように、電磁石8aへの電流を切ることで直ちに上記の力によって一対の把持部材1、1を閉方向に向かわせてチップを把持することができる。
【0053】
作動制御手段は、例えば次のように制御できる。先ず、一対の把持部材1、1を開いた状態でセンサ部P1、P2又はP3の上部停止位置から下降できるように昇降モータによって昇降チェーン19を繰り出すように作動させる(
図11)。次に、一対の把持部材1、1が下降してチップに接することができる位置に到達した際に開放維持装置9を構成する電磁石8aへの電流を切り、把持部材1、1の自重や重り及びスプリング3によって一対の把持部材1、1を閉じるように作動させる(
図12)。そして、一対の把持部材1、1が閉じると一対の把持部材1、1を昇降開放部材6によって上昇できるように昇降モータを動作させて昇降チェーンを巻き取るように作動させる。一対の把持部材1、1が把持部材保持部150の開口部150aで規制部20と当接することで上昇を停止させるように作動させる。一対の把持部材1、1が閉じた状態で上昇を停止させた後、移動用駆動装置を作動させて吊り下げ基部130が燃料投入口部110の上部に移動するように作動させる。吊り下げ基部130がS1で感知されると、遮断蓋105が閉まり、その後収納蓋102が開くように作動させる。吊り下げ基部130がS2で感知されると吊り下げ基部30の移動が停止し、昇降モータによって昇降チェーン19が巻き上げられ昇降開放部材6が上昇し、一対の把持部材1、1が開放されてチップが降下するように作動させる(
図13)。一対の把持部材1、1が全開すると再びその下降位置となるP1、P2又はP3の位置へ移動するよう作動させる。移動が開始されると収納蓋102が閉められ、吊り下げ基部130がS1で感知されると遮断蓋105が開くように駆動される。
【0054】
次に、
図14に基づいて、一対の把持部材1、1によって構成される固形燃料の掴み機構にかかる他の形態例について説明する。
本形態例では、把持部材1に別体としての重り4を固定するというものではなく、把持部材1自体を重量のある材料で設けてある。すなわち、
図14に示すように、把持部材1の全体を厚い材料で構成することで、その自重によって、L字状に形成された把持部材1が閉じる方向へ自動的により強い力で回動するように付勢される。これによれば、不揃いな大きさの固形燃料をより確実且つ適切に把持して保持することができる。
【0055】
さらに、
図14に示す形態例では、一対の把持部材1、1が最大に開いた際に、スプリング3が枢支軸5よりも若干上方で張られた状態となるように設けられている。これによれば、スプリング3の張力が一対の把持部材1、1が開いた状態を維持するように作用し、安定的にその状態を保持することを補助できる。また、反対に一対の把持部材1、1が閉じるように回動した際には、その閉じた状態を維持するように作用し、安定的にその状態を保持することを補助できる。すなわち、このスプリング3によれば、一対の把持部材1、1の動作を安定化させることができ、装置の作動効率を向上できる。
【0056】
次に、
図15に基づいて、一対の把持部材1a、1b及びその動作を制御するために設けられるセンサの設置にかかる形態例について説明する。
120は電磁石OFF用センサであり、一方の把持部材1aの上面突起部1asに固定されて配置されている。この電磁石OFF用センサ120としては、例えば、リミットスイッチを用いることができる。また、121はスライドピンであり、一方の把持部材1aの根元部に設けられた貫通孔に挿通されて上下方向にスライドできるように配されている。このスライドピン121は、電磁石OFF用センサ120の下側に配されている。
【0057】
これによれば、
図15に示すように、スライドピン121が昇降開放部材6によって上方へ押されてスライドされている場合は、そのスライドピン121が電磁石OFF用センサ120のボタンを押す状態となっている。そして、一対の把持部材1a、1bが下降して貯留されたチップ燃料の上に接触してさらに昇降チェーン19が繰り出された際に、昇降開放部材6による一対の把持部材1a、1bに対する支持が緩んで、昇降開放部材6が対の把持部材1a、1bから離れる(
図15の二点鎖線で示した昇降開放部材を参照)。この際には、スライドピン121が重力と前記のボタンの復帰用バネ力によって下方へスライドされ、電磁石OFF用センサ120によって信号が出力される。その電磁石OFF用センサ120の信号を受けて、昇降チェーン19の繰り出しが停止されるように、昇降モータ36が停止されると共に、電磁石8aの磁力による吸着力が解除される。
【0058】
以上のように、電磁石OFFセンサ120が設けられているため、昇降チェーン19の繰り出しを停止するタイミングを適切に判断することができ、効率的にチップ燃料を燃焼装置100へ供給することができる。つまり、一定の時間間隔で制御する場合に比較して、無駄な昇降チェーン19の繰り出し動作などを排除でき、駆動動作を最小限として効率よく且つ確実に稼働できる。また、電磁石8aの吸着力をタイミングよく解除でき、一対の把持部材1a、1bを昇降チェーン19で引き上げる際に、その一対の把持部材1a、1bは、その自重で適切に閉じる方向へ回動し、チップ燃料を好適に把持できるように動作できる。
【0059】
140は電磁石ON用センサであり、他方の把持部材1bの上面突起部1bsに固定されて配置されている。この電磁石ON用センサ140としては、例えば、リミットスイッチを用いることができる。この電磁石ON用センサ140は、一方の把持部材1aの上面突起部1asと対面する位置関係にあり、一対の把持部材1a、1bが開閉する回動動作に伴って、電磁石ON用センサ140と上面突起部1asとは接離する位置関係になっている。
【0060】
これによれば、昇降チェーン19が巻き上げられて、電磁石ON用センサ140のボタンが前記の上面突起部1asによって押されることによって、その電磁石ON用センサ140から信号が出力される。その信号によって、電磁石8aを作動させ、一対の把持部材1a、1bが、チップ燃料を保持するために下降する際に開いた状態を確実に維持できるようになっている。これによれば、一対の把持部材1a、1bの開閉動作を適切にコントロールでき、チップ燃料を把持して確実且つ適切に送ることができる。
【0061】
また、150は高さセンサであり、吊り下げ基部130の下面に固定され、規制部20下面とセンサ面が同等の高さに配置されている。この高さセンサ150としては、例えば、静電容量センサを用いることができる。151はセンサの受け部であり、把持部材保持部115の上端部に設けられており、高さセンサ150に近接すると、その高さセンサ150が信号を出力できるように設けられている。
これによれば、一対の把持部材1a、1bがチップ燃料を把持した状態を維持して燃料装置100へ移動できるように、一対の把持部材1a、1bが所定の高さ位置に上昇した際に、昇降チェーン19の巻き取り動作をストップさせることができる。
【0062】
ところで、本形態例の一対の把持部材1a、1bは、
図15に示すように最も開いた際に、一対の把持部材1a、1bの下端側の間隔が下方へ向かって徐々に広くなるように形成されている。つまり、一対の把持部材1a、1bが開いてチップ燃料に接触する爪の部分がテーパ状に広がっている。
これによれば、チップ燃料を好適に掻き込み易くなり、適切に掬い上げて把持でき、確実且つ適切にチップ燃料を燃焼装置100へ送ることができる。
【0063】
次に、以上の固形燃料供給装置の形態例に付随する構成の形態例について、簡単に説明する。
先ず、この固形燃料供給装置を用いる燃焼装置100については、そのロストルをカゴ状の形態とし、そのカゴ状のロストル内へチップ燃料を投入する形態とすることができる。以上に説明した本発明の形態例では、チップ燃料を例えば平均的な長さが10cm程度の細長い形態であることを想定できる。そのようにチップ燃料が比較的大きなものである場合、そのカゴ状の形態は、粗い目の格子状に設けることができる。そのようなカゴ状のロストルを用いることによれば、燃焼用空気の通気性を高めることができるため、燃焼効率を好適に向上できる。
【0064】
また、燃焼装置100の燃料投入口110について、例えば、遮蔽蓋105は、鉛直方向に開閉することに限らず、水平方向にスライドさせて開閉させるようにしてもよい。 そして、この遮蔽蓋105や収納蓋102は、一枚の扉で開閉する方式でなく、二枚の扉で開閉する観音開き方式や、さらに多くの遮蔽板を有するものとしてロータリー方式などを利用してもよい。すなわち、煙が流れ出ることや逆火を防止できるように適切に遮断できる形態であれば、特に限定されるものではない。
【0065】
さらに、チップ燃料が貯留された固形燃料の貯留部200については、本形態例のように一対の把持部材1、1がその位置を変位できるもの(
図9参照)限定されるものではない。すなわち、固形燃料の貯留部200と、一対の把持部材1、1が降下する位置とを相対的に変化させるようにすればよく、固形燃料の貯留部200を移動させる方式としてもよい。例えば、固形燃料の貯留部200を、有底円筒状の貯留槽として間欠的若しくは連続的に回転させるものとしてもよい。これによっても、固形燃料の貯留部200のチップ燃料が堆積された平面全面について、より均一に一対の把持部材1、1を降下させて、より均一にチップ燃料を掴んで燃焼装置100へ供給することができる。
【0066】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得る。