特許第5965243号(P5965243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965243矢板継手部の止水構造及び矢板継手部の止水方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965243
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】矢板継手部の止水構造及び矢板継手部の止水方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/14 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   E02D5/14
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-179653(P2012-179653)
(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-37699(P2014-37699A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北村 精男
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−146772(JP,A)
【文献】 特開2000−192451(JP,A)
【文献】 特開2004−353405(JP,A)
【文献】 特開2003−293362(JP,A)
【文献】 特開2008−202400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/14
E02D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の鋼矢板の継手と他の鋼矢板の継手を嵌め合わせた矢板継手部の止水構造であって、
前記鋼矢板は矢板本体の両側に一対の継手を有し、前記継手はそれぞれ前記矢板本体に向けて屈曲した鈎状部を有しており、
前記矢板継手部には、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体の間に差し入れられた他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧し、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させる押圧部材と、
他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させて形成した空間に充填された止水材が設けられていることを特徴とする矢板継手部の止水構造。
【請求項2】
前記一の鋼矢板の継手には、前記空間に通じる注入口が設けられており、
前記止水材は、前記注入口から注入されたことを特徴とする請求項1に記載の矢板継手部の止水構造。
【請求項3】
前記押圧部材には、前記矢板継手部の外側と前記空間を繋ぐ貫通口が形成されており、
前記止水材は、前記貫通口から注入されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の矢板継手部の止水構造。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記鋼矢板の長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の矢板継手部の止水構造。
【請求項5】
一の鋼矢板の継手と他の鋼矢板の継手を嵌め合わせた矢板継手部の止水方法であって、
前記鋼矢板は矢板本体の両側に一対の継手を有し、前記継手はそれぞれ前記矢板本体に向けて屈曲した鈎状部を有しており、
前記矢板継手部における、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体の間に差し入れた他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧して、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させて形成した空間に、止水材を充填させることを特徴とする矢板継手部の止水方法。
【請求項6】
前記空間に通じるように一の鋼矢板の継手に形成された注入口から、前記止水材を注入することを特徴とする請求項5に記載の矢板継手部の止水方法。
【請求項7】
前記他の鋼矢板の継手の鈎状部を、前記一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧する押圧部材を用いて、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させ、
前記押圧部材に設けられた貫通口から前記空間に前記止水材を注入することを特徴とする請求項5又は6に記載の矢板継手部の止水方法。
【請求項8】
前記空間内を洗浄した後に、前記止水材を注入することを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の矢板継手部の止水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矢板継手部の止水構造及び矢板継手部の止水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の継手を有する鋼矢板を連設して土留壁などを構築する際、隣接する鋼矢板の継手同士を嵌め合わせる。その継手同士を嵌め合わせた継手部100には、図10に示すように隙間がある。継手部100にこのような隙間があることで、継手の嵌め合わせをスムーズに行うことが可能になっているが、隙間を埋める処理を施さなければ十分な止水性能が得られない。
これまでの一般的な止水処理としては、鋼矢板打設前に吸水性樹脂を含んだ塗料を継手に塗布しておき、打設後に周囲の水分を吸収した樹脂が膨張して、継手部の隙間が樹脂で満たされることによって止水性を高める方法や、鋼矢板の打設後に継手部の隙間にグラウトなどの止水材を注入する方法がある。
【0003】
また、矢板の継手同士を嵌め合わせた継手部に、グラウトを注入するための空間を形成することができる止水用矢板が知られており、その空間にグラウトを注入することで止水性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−280122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合、予め継手に吸水性樹脂を含んだ塗料を塗布することでは、鋼矢板の打設時に樹脂塗膜が損傷したり脱落したりしてしまい、継手部の隙間を膨張した樹脂で十分に満たすことができないことがあった。また、継手部の隙間は閉じられた空間ではないので、止水材を注入しても漏れが生じてしまい、継手部の隙間を止水材で満たすことができないことがあった。
【0006】
また、上記特許文献1の場合、継手部に形成されたグラウト注入空間にグラウトを注入する際、矢板上端側の開口から注入がなされるため、矢板の下端までグラウトを充填できていないことが懸念される。また、グラウト注入空間を形成するために矢板(継手)の形状が大型化することで、矢板を打設する際の抵抗が増大することなどにより、施工効率の悪化が懸念される。
【0007】
本発明の目的は、矢板間の止水を確実に行うことができる矢板継手部の止水構造及び矢板継手部の止水方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
一の鋼矢板の継手と他の鋼矢板の継手を嵌め合わせた矢板継手部の止水構造であって、
前記鋼矢板は矢板本体の両側に一対の継手を有し、前記継手はそれぞれ前記矢板本体に向けて屈曲した鈎状部を有しており、
前記矢板継手部には、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体の間に差し入れられた他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧し、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させる押圧部材と、
他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させて形成した空間に充填された止水材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の矢板継手部の止水構造において、
前記一の鋼矢板の継手には、前記空間に通じる注入口が設けられており、
前記止水材は、前記注入口から注入されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の矢板継手部の止水構造において、
前記押圧部材には、前記矢板継手部の外側と前記空間を繋ぐ貫通口が形成されており、
前記止水材は、前記貫通口から注入されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の矢板継手部の止水構造において、
前記押圧部材は、前記鋼矢板の長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
一の鋼矢板の継手と他の鋼矢板の継手を嵌め合わせた矢板継手部の止水方法であって、
前記鋼矢板は矢板本体の両側に一対の継手を有し、前記継手はそれぞれ前記矢板本体に向けて屈曲した鈎状部を有しており、
前記矢板継手部における、一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体の間に差し入れた他の鋼矢板の継手の鈎状部を、一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧して、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させて形成した空間に、止水材を充填させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の矢板継手部の止水方法において、
前記空間に通じるように一の鋼矢板の継手に形成された注入口から、前記止水材を注入することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の矢板継手部の止水方法において、
前記他の鋼矢板の継手の鈎状部を、前記一の鋼矢板の継手の鈎状部に向けて押圧する押圧部材を用いて、他の鋼矢板の継手の鈎状部を一の鋼矢板の継手の鈎状部と矢板本体に当接させ、
前記押圧部材に設けられた貫通口から前記空間に前記止水材を注入することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7の何れか一項に記載の矢板継手部の止水方法において、
前記空間内を洗浄した後に、前記止水材を注入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、矢板間の止水を確実に行うことができる矢板継手部が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】鋼矢板の端面を示す上面図である。
図2】鋼矢板を連結した矢板継手部を示す斜視図である。
図3図2のIII−III線における断面図であり、ボルト部分を示している。
図4図2のIV−IV線における断面図であり、注入口(ノズル)部分を示している。
図5】矢板継手部の止水構造であり、密閉空間に止水材を充填した状態を示す断面図である。
図6】ボルトの変形例を示す説明図である。
図7】矢板継手部の止水構造の変形例であり、ボルト部分を示す断面図である。
図8】矢板継手部の止水構造の変形例であり、注入口(ノズル)部分を示す断面図である。
図9】矢板継手部の止水構造の変形例であり、密閉空間に止水材を充填した状態を示す断面図である。
図10】従来の継手部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る矢板継手部の止水構造および止水方法の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
鋼矢板10は、図1に示すように、例えば、一対の継手を有するハット型の鋼矢板であって、矢板本体3の両側に第1の継手1と第2の継手2がそれぞれ設けられている。
第1の継手1は、先端側を矢板本体3に向けて屈曲した鈎状部1aを有しており、第2の継手2は、先端側を矢板本体3に向けて屈曲した鈎状部2aを有している。また、矢板本体3における第1の継手1の近傍には、突起部3aが設けられている。
そして、第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3(突起部3a)の間の嵌入溝に、第2の継手2の鈎状部2aを差し入れるように嵌め合わせることや、第2の継手2の鈎状部2aと矢板本体3の間の嵌入溝に、第1の継手1の鈎状部1aを差し入れるように嵌め合わせることで、鋼矢板10同士が連結されるようになっている。
こうして隣接する鋼矢板10が連結された部分であって、第1の継手1と第2の継手2が嵌め合わされた部分が矢板継手部12となる(図2参照)。
なお、鈎状部は継手のなかでも比較的厚く形成された部分であり、その鈎状部の根元に相当する継手の屈曲部分は、継手のなかでも比較的薄く形成された部分となっている。また、継手の鈎状部と矢板本体の間の嵌入溝は、溝の奥側の幅よりも開口部分の幅が狭くなっている。
【0020】
矢板継手部12には、図2図3に示すように、一方の鋼矢板10の継手1の鈎状部1aと矢板本体3の間に差し入れられた他方の鋼矢板10の継手2の鈎状部2aを、一方の鋼矢板10の継手1の鈎状部1aに向けて押圧する押圧部材としてのボルト20が、第1の継手1に螺入されて設けられている。
このボルト20が第2の継手2の鈎状部2aを押圧して、第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3(突起部3a)に当接させて密着させることで、第1の継手1の内面と鈎状部2aの間に密閉空間Rを形成することができる。
ここで、第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3(突起部3a)の間の嵌入溝の形状が、溝の奥側よりも第2の継手2の鈎状部2aを差し入れる差し込み口が狭くなっているため、その嵌入溝に差し込まれた第2の継手2の鈎状部2aを、差し込み口側の第1の継手1の鈎状部1aに向けてボルト20で押圧することで、第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3に当接させることができ、第1の継手1と鈎状部2aの間に密閉空間Rを形成することが可能になっている。
なお、ボルト20は、鋼矢板10の長手方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
【0021】
さらに、図2図4に示すように、矢板継手部12における一方の鋼矢板10の継手1には、ボルト20が第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧したことで形成された密閉空間Rに通じる注入口1bが設けられている。この注入口1bにノズル30を取り付けるなどして、第1の継手1と第2の継手2の間の密閉空間Rに止水材などを注入することが可能になっている。
【0022】
そして、図5に示すように、鋼矢板10の継手1の注入口1bに取り付けられたノズル30の貫通口30aを通じて所定の止水材5を注入し、第1の継手1と第2の継手2の間の密閉空間Rを満たすように止水材5を充填することができる。
止水材5には、当初流動性を有し、所定時間経過後に固化する硬化性材料である各種高分子樹脂材料やグラウトなどを用いることができる。
なお、注入口1bを設ける位置や数は任意であり、鋼矢板10の長さや注入する止水材5の流動性に応じて注入口1bの位置や数を適宜調整し、密閉空間Rを止水材5で満たすようにすればよい。
こうして第1の継手1と第2の継手2の間の密閉空間Rに充填された止水材5が固化することで、第1の継手1と第2の継手2の間の僅かな隙間も埋まるので、継手間の止水を確実に行うことができる。
なお、止水材5を注入する前に、ノズル30の貫通口30aを通じて密閉空間Rに高圧水を噴射するなどして、密閉空間R内を洗浄した後に、止水材5を注入することが好ましい。密閉空間R内を洗浄して異物などを除去した後に止水材5を注入するようにすれば、密閉空間Rの隅々まで止水材5を行き渡らせ易くなり、密閉空間Rに止水材5を好適に充填することができる。
【0023】
上述したように、鋼矢板10の継手を連結した箇所の止水性を高める矢板継手部12の止水方法は、下記の手順(1)〜(3)に従ってなされる止水方法である。
(1)隣接する鋼矢板10において、一方の鋼矢板10の継手1の鈎状部1aと矢板本体3の間の嵌入溝に、他方の鋼矢板10の継手2の鈎状部2aを差し入れるように嵌め合わせる。
(2)第1の継手1に螺入されているボルト20を締め付けて、嵌入溝内の第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧し、第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3に当接させて、第1の継手1の内面と鈎状部2aの間に密閉空間Rを形成する。
(3)ボルト20の締め付けによって形成した密閉空間R内に止水材5を充填し、止水材5を固化させる。
【0024】
このような矢板継手部の止水方法によって得られる矢板継手部12の止水構造は、一方の鋼矢板10の継手1の鈎状部1aと矢板本体3の間に差し入れられた他方の鋼矢板10の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧するボルト20と、そのボルト20が第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3に当接させることで形成した密閉空間Rと、その密閉空間Rに充填された止水材5と、を備えている。
そして、ボルト20が第2の継手2の鈎状部2aを、第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧することで、第2の継手2の鈎状部2aを第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3に密着させて密閉空間Rを形成するとともに、そのボルト20による押圧が密閉空間Rをより大きく広げるように作用しているので、その密閉空間Rに止水材5を注入し易く、注入された止水材5は密閉空間Rから漏れないようになっている。
【0025】
このように、この止水構造における止水材5を充填する密閉空間Rは、第2の継手2の鈎状部2aが嵌入溝の差し込み口を塞ぐように密着して形成された空間であり、その密閉空間Rに充填された止水材5が漏れ出すことはないので、継手間の止水を行うことが可能になっている。
また、この止水構造において密閉空間Rに止水材5を注入するための注入口1bを任意の位置に設けることができるので、例えば、密閉空間Rにおける鋼矢板10の下端側など、止水材5が流れ込み難い箇所にも注入口1bを設けることで、密閉空間Rの隅々まで止水材5を行き渡らせて満たすことができる。
【0026】
以上のように、本発明に係る矢板継手部の止水構造、矢板継手部の止水方法によれば、第1の継手1の鈎状部1aと矢板本体3の間に差し入れられた第2の継手2の鈎状部2aを、ボルト20によって第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧することで、第1の継手1と第2の継手2の間に密閉空間Rを形成でき、その密閉空間Rに止水材5を充填させることで第1の継手1と第2の継手2の間の止水を行うことができ、鋼矢板10間の止水を確実に行うことができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
【0028】
例えば、図6に示すように、嵌入溝に差し込まれた第2の継手2の鈎状部2aを、第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧する押圧部材として、貫通口22aが形成されているボルト22を用いるようにしてもよい。
このように、押圧部材であるボルト22に、矢板継手部12の外側と密閉空間Rを繋ぐ貫通口22aが形成されていれば、その貫通口22aから密閉空間Rへ止水材5を注入することが可能になるので、鋼矢板10の継手1に注入口1bを形成することを省くことができる。
なお、ボルト22の貫通口22aを通じて密閉空間Rに高圧水を噴射するなどして、密閉空間R内を洗浄することもできる。
【0029】
また、図7に示すように、鋼矢板10の第2の継手2の鈎状部2aと矢板本体3の間に差し入れられた鋼矢板10の第1の継手1の鈎状部1aを第2の継手2の鈎状部2aに向けて押圧するボルト20を備える構成の矢板継手部12の止水構造であってもよい。
この場合、ボルト20が第1の継手1の鈎状部1aを押圧して、第1の継手1の鈎状部1aを第2の継手2の鈎状部2aと矢板本体3に当接させて密着させることで、第2の継手2の内面と鈎状部1aの間に密閉空間Rを形成する。
そして、図8に示すように、第2の継手2に密閉空間Rに通じる注入口2bを設けて、その注入口2bにノズル30を取り付けるようにする。
こうして、図9に示すように、ノズル30を通じて第1の継手1と第2の継手2の間の密閉空間Rに止水材5を注入して充填することで、鋼矢板10間の止水を確実に行うことができる止水構造を得ることができる。
【0030】
また、本発明に係る矢板継手部の止水構造、矢板継手部の止水方法は、新たに構築する土留壁などにおける矢板継手部の止水に適用することに限らず、既設の鋼矢板列における矢板継手部の止水に適用することもできる。
例えば既設の土留壁であって、複数の鋼矢板10を連結してなる既設の鋼矢板列において、矢板継手部12からの水漏れが確認された際、継手1に穿孔を施し、その穿孔にボルト20を螺入して、嵌入溝に差し込まれている継手2の鈎状部2aを、第1の継手1の鈎状部1aに向けて押圧する。次いで、継手1に穿孔を施して形成した注入口1bから、ボルト20の押圧によって継手間に形成された密閉空間Rに、止水材Rを注入して充填する。
このような矢板継手部の止水方法を実行することで、水漏れが発生した既設の鋼矢板列であっても好適に止水処理を施すことができ、鋼矢板間の止水を行うことができる。
【0031】
なお、以上の実施の形態においては、第1の継手1の注入口1bや第2の継手2の注入口2bまたはボルト22の貫通口22aから、密閉空間Rに止水材5を注入したり高圧水を噴射したりするとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、鋼矢板10上端側の密閉空間Rの上方からも、密閉空間R内に止水材5を注入したり高圧水を噴射したりしてもよい。
【0032】
また、本発明の技術は鋼矢板に限定されるものではなく、本発明を適用できる継手を有する矢板であれば、その矢板の継手を嵌め合わせた矢板継手部の止水を図ることもできる。
【0033】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 第1の継手
1a 鈎状部
1b 注入口
2 第2の継手
2a 鈎状部
2b 注入口
3 矢板本体
3a 突起部
5 止水材
10 鋼矢板
12 矢板継手部
20 ボルト(押圧部材)
22 ボルト(押圧部材)
22a 貫通口
30 ノズル
R 密閉空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10