(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の効果を発現する機構は、以下のように推定される。
【0015】
通常、セメントは以下の成分を含んでいる。
C
3S:3CaO・SiO
2 エーライト
C
2S:2CaO・SiO
2 ビーライト
C
3A:3CaO・Al
2O
3 カルシウムアルミネート
C
4AF:4CaO・Al
2O
3・Fe
2O
3 カルシウムアルミノフェライト
CaSO
4:硫酸カルシウム 石膏
CaCO
3:炭酸カルシウム
CaO:酸化カルシウム
MgO:酸化マグネシウム
【0016】
セメントが強度を発現する機構の1つとして、C
4AFとセメントに含まれる硫酸イオンからエトリンガイトが生成され、特定のアミン化合物は、エトリンガイトの水和を促進し、強度発現因子のC
4AFの反応物の結晶を緻密化すると考えられる。一方、水酸基を有する芳香族化合物は強度発現因子のC
3Sの水和物の結晶を緻密化すると考えられる。C
4AFの水和物の結晶とC
3Sの水和物の結晶の緻密化が同時に促進され、それぞれの反応生成物が絡み合った緻密な構造が形成されるため、24時間強度が向上すると考えられる。
【0017】
<水硬性組成物>
本発明の水硬性組成物は、アミン化合物と、水酸基を有する芳香族化合物と、セメントと、水とを含有する。
【0018】
アミン化合物は、アルカノールアミンから選ばれる1種以上の化合物である。アミン化合物は、分子量が300以下の化合物が好ましく、200以下の化合物がより好ましく、そして、分子量が100以上の化合物が好ましい。
【0019】
アミン化合物として、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等の炭素数1以上5以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、トリエタノールアミン及びジエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物を用いることができる。
【0020】
アミン化合物は、水硬性組成物の24時間後及び7日後の強度向上の観点から、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。アミン化合物は、水硬性組成物の24時間後及び7日後の強度向上の観点から、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンが好ましく、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンがより好ましく、炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンが更に好ましく、炭素数1のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミン、即ちN−メチルジエタノールアミンがより更に好ましい。
【0021】
炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンとしては、具体的には、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、及びN−イソプロピルジエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物が挙げられ、N−メチルジエタノールアミンが好ましい。なお、炭素数3のアルキル基は直鎖アルキル基が好ましい。
【0022】
本発明の水硬性組成物において、アミン化合物の含有量は、セメント100重量部に対して、0.01重量部以上0.45重量部以下であり、水硬性組成物の24時間後の強度向上の観点から、0.04重量部以上が好ましく、そして、0.35重量部以下が好ましく、0.18重量部以下がより好ましい。また、本発明の水硬性組成物において、アミン化合物の含有量は、セメント100重量部に対して、0.03〜0.45重量部が好ましく、0.04〜0.35重量部がより好ましく、0.04〜0.18重量部が更に好ましい。
【0023】
水酸基を有する芳香族化合物は、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物である。これらの化合物は複数を用いることができる。得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、レゾルシノールが好ましい。
【0024】
本発明の水硬性組成物において、水酸基を有する芳香族化合物の含有量は、セメント100重量部に対して0.03重量部以上0.45重量部以下であり、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、0.04重量部以上が好ましく、そして、0.35重量部以下がより好ましく、0.25重量部以下が更に好ましく、0.18重量部以下が更に好ましい。
【0025】
本発明の水硬性組成物において、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の合計量は、セメント100重量部に対して0.06重量部以上0.60重量部以下であり、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、0.10重量部以上が好ましく、0.15重量部以上がより好ましく、そして、0.50重量部以下が好ましく、0.45重量部以下がより好ましく、0.30重量部以下が更に好ましく、0.25重量部以下がより更に好ましい。
【0026】
アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の組み合わせは、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンから選ばれる1種以上のアミン化合物と、レゾルシノールの組み合わせが好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンから選ばれる1種以上のアミン化合物と、レゾルシノールの組み合わせが好ましく、炭素数1のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンとレゾルシノールの組み合わせがより好ましい。
【0027】
アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の重量比は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で、10/90以上が好ましく、20/80以上がより好ましく、そして、90/10以下が好ましく、85/15以下が更に好ましく、75/25以下がより更に好ましく、55/45以下がより更に好ましい。また、当該重量比は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜85/15がより好ましく、20/80〜75/25が更に好ましく、20/80〜55/45がより更に好ましい。
【0028】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントが好ましく、普通ポルトランドセメント及び耐硫酸性ポルトランドセメントがより好ましく、耐硫酸性ポルトランドセメントが更に好ましい。
【0029】
また、セメントには、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてよい。セメントと混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
【0030】
水硬性組成物は、得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、水/セメント比〔スラリー中の水とセメントの重量比(水の重量/セメントの重量×100)、通常W/Cと略記される。〕が65%以下、更に60%以下、更に55%以下であることが好ましい。また、水硬性組成物の混練のしやすさ、打設時の型枠への充填性の向上等の作業性を向上する観点から、20%以上、更に30%以上が好ましい。また、同様の理由により、W/Cの範囲は、20〜65%、更に20〜60%、更に30〜55%が好ましい。
【0031】
本発明の水硬性組成物には、さらに骨材を含有することができる。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
【0032】
骨材は、コンクリートやモルタルなどの調製に用いられる通常の範囲で用いることができる。水硬性組成物がコンクリートの場合、粗骨材の使用量は、水硬性組成物の強度の発現とセメント等の水硬性粉体の使用量を低減し、型枠等への充填性を向上する観点から、嵩容積50%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、そして、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。また、同様の理由により、粗骨材の使用量は、嵩容積50〜100%が好ましく、55〜90%がより好ましく、60〜80%が更に好ましい。また、水硬性組成物がコンクリートの場合、細骨材の使用量は、型枠等への充填性を向上する観点から、500kg/m
3以上が好ましく、600kg/m
3以上がより好ましく、700kg/m
3以上が更に好ましく、そして、1000kg/m
3以下が好ましく、900kg/m
3以下がより好ましい。また、同様の理由により、細骨材の使用量は、好ましくは500〜1000kg/m
3、より好ましくは600〜900kg/m
3、更に好ましくは700〜900kg/m
3である。水硬性組成物がモルタルの場合、細骨材の使用量は、800kg/m
3以上が好ましく、900kg/m
3以上がより好ましく、1000kg/m
3以上が更に好ましく、そして、2000kg/m
3以下が好ましく、1800kg/m
3以下がより好ましく、1700kg/m
3以下が更に好ましい。また、水硬性組成物がモルタルの場合、細骨材の使用量は、好ましくは、800〜2000kg/m
3、より好ましくは900〜1800kg/m
3、更に好ましくは1000〜1700kg/m
3である。
【0033】
本発明の水硬性組成物は、流動性を上げる観点から、分散剤を含有することができる。分散剤としては、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体等の分散剤が挙げられる。分散剤は他の成分を配合した混和剤であっても良い。
【0034】
分散剤としては、得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、ポリカルボン酸系共重合体が好ましい。ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
【0035】
分散剤の含有量は、水硬性組成物の流動性の向上と硬化遅延を抑制する観点から、セメント100重量部に対して、0.005重量部以上、更に0.05重量部以上、更に0.01重量部以上、そして、2.5重量部以下、更に、1.0重量部以下、更に0.5重量部以下であることが好ましい。
【0036】
本発明の水硬性組成物は、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。
【0037】
本発明の水硬性組成物は、コンクリート、モルタルであってよい。本発明の水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の何れの分野においても有用である。水硬性組成物調製後24時間程度で強度を発現し、早期に型枠から脱型が可能になる観点から、コンクリート振動製品や遠心成形品等のコンクリート製品に用いることが好ましい。
【0038】
本発明の水硬性組成物は、アミン化合物と、水酸基を有する芳香族化合物と、セメントと、水とを混練することで製造できる。
【0039】
<硬化体の製造方法>
本発明の硬化体の製造方法は、本発明の水硬性組成物を型枠に充填し養生し硬化させる工程と、硬化した前記水硬性組成物を脱型する工程、とを有する。
【0040】
水硬性組成物の調製は、アミン化合物と、水酸基を有する芳香族化合物と、セメントとを円滑に混合する観点から、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物と水とを予め混合し、セメントと混合することが好ましい。さらに、水酸基を有する芳香族化合物を水に効率よく溶解させる観点から、水酸基を有する芳香族化合物の水溶液を調製した後にアミン化合物を混合することが好ましい。セメントと水(好ましくはアミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物と水の混合物)との混合は、モルタルミキサー、強制二軸ミキサー等のミキサーを用いて行うことができる。また、好ましくは1〜5分間、より好ましくは2〜3分間混合する。水硬性組成物の調製にあたっては、水硬性組成物で説明した材料や薬剤及びそれらの量を用いることができる。
【0041】
水硬性組成物を型枠に充填し養生し硬化させる工程では、得られた水硬性組成物を型枠に充填し養生する。型枠として、建築物の型枠、コンクリート製品用の型枠等が挙げられる。型枠への充填方法として、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。
【0042】
養生として、オートクレーブ養生、蒸気等の加熱養生、室温での気中養生などを行うことができる。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法では、水硬性組成物の養生の際、硬化を促進するために蒸気加熱等の追加的なエネルギーを必要とせず、加熱養生をしないでコンクリート製品等の水硬性組成物の硬化体を製造することも可能となる。例えば、養生条件として水硬性組成物が養生温度50℃以上に保持される時間を1時間以下、更に0.5時間以下とすることができる。蒸気養生をしないでコンクリート製品を製造する場合の水硬性組成物の調製でセメントに水を接触させてから脱型するまでの時間は、脱型に必要な強度を得る観点と製造サイクルを向上する観点から、4時間以上48時間以下が好ましい。この場合、温度は0℃以上、更に10℃以上が好ましく、そして、40℃以下、更に30℃以下が好ましい。また、この場合の温度は0〜40℃が好ましく、10〜40℃が更に好ましく、10〜30℃がより更に好ましい。
【0043】
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、加熱養生を行わなくても24時間後の硬化体強度を向上させることができるので、コンクリート製品の製造に好適に用いることができる。コンクリート製品の製造等、本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法では、本発明の水硬性組成物用添加剤を添加した水硬性組成物を型枠に充填して養生して硬化させる工程と、硬化した水硬性組成物を型枠から脱型する工程を有することができる。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、水硬性組成物の硬化が促進されるため、水硬性組成物の調製から脱型するまでの時間を短縮することが可能である。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、セメントに水を接触させて前記水硬性組成物を調製する工程を有することができる。本発明では、水硬性組成物の調製を開始してから脱型するまでの時間、すなわち、セメントに水を接触させてから脱型を開始するまでの時間は、脱型に必要な強度を得る観点と製造サイクルを向上する観点とから、4時間以上、更に6時間以上が好ましく、そして、48時間以下、更に30時間以下が好ましい。また、4〜48時間が好ましく、6〜30時間がより好ましい。
【0044】
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、加熱養生を行なわなくてもコンクリート製品等の水硬性組成物の硬化体の生産性を向上できることから、環境に対する負荷軽減の点でも優れたものである。コンクリート製品である型枠を用いる水硬性組成物の硬化体としては、土木用製品では、護岸用の各種ブロック製品、ボックスカルバート製品、トンネル工事等に使用されるセグメント製品、橋脚の桁製品等が挙げられ、建築用製品では、カーテンウォール製品、柱、梁、床板に使用される建築部材製品等が挙げられる。
【0045】
<水硬性組成物用早強剤>
本発明の水硬性組成物用早強剤は、アルカノールアミンから選ばれる1種以上のアミン化合物と、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の水酸基を有する芳香族化合物とからなる。アミン化合物は、分子量が300以下の化合物が好ましく、200以下の化合物がより好ましく、そして、分子量が100以上の化合物が好ましい。アミン化合物として、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びジエタノールアミンが挙げられる。水硬性組成物の24時間後及び7日後の強度向上の観点から、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上のアミン化合物が好ましい。
【0046】
本発明の水硬性組成物用早強剤において、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の重量比は、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で10/90以上90/10以下であり、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で、20/80以上が好ましく、そして、85/15以下がより好ましく、75/25以下が更に好ましく、55/45以下がより更に好ましい。また、当該重量比は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、20/80〜85/15が好ましく、20/80〜75/25がより好ましく、20/80〜55/45がより更に好ましい。本発明の水硬性組成物用早強剤は、他の早強剤を併用することができる。
【0047】
本発明の水硬性組成物用早強剤は、セメントと水とを混合する水硬性組成物の調製時に添加して用いることができる。本発明の水硬性組成物用早強剤は、セメントとの混合性を向上する観点から、セメントと水とを混合する際に予め水と混合することが好ましい。また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、早強剤の添加等との作業性の観点から、予め水と混合して水溶液として用いることもできる。
【0048】
本発明の水硬性組成物用早強剤は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、セメント100重量部に対して、アミン化合物が0.01重量部以上0.45重量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、セメント100重量部に対して0.04重量部以上が好ましく、そして、0.35重量部以下が好ましく、0.18重量部以下がより好ましい。
【0049】
また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、セメント100重量部に対して、水酸基を有する芳香族化合物の含有量が、0.03重量部以上0.45重量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、0.04重量部以上が好ましく、0.35重量部以下がより好ましく、0.25重量部以下が更に好ましく、0.18重量部以下が更に好ましい。
【0050】
また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、セメント100重量部に対して、0.06重量部以上0.60重量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、0.10重量部以上が好ましく、0.15重量部以上がより好ましく、そして、0.50重量部以下が好ましく、0.45重量部以下がより好ましく、0.30重量部以下が更に好ましく、0.25重量部以下がより更に好ましい。
【0051】
本発明の水硬性組成物用早強剤を用いて、室温(例えば10〜30℃)での気中養生で水硬性組成物の硬化体を得ることができる。本発明では、40℃以上の加熱下での養生、すなわち、いわゆる加熱養生を行わなくても24時間後の硬化体の強度を向上させることができる。
【0052】
本発明により、本発明の水硬性組成物用早強剤と、分散剤とを含有する水硬性組成物用早強剤組成物であって、
分散剤が、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上の分散剤、更にポリカルボン酸系共重合体である、水硬性組成物用早強剤組成物が提供される。この水硬性組成物用早強剤組成物における水硬性組成物用早強剤の好ましい態様は、前記した本発明の水硬性組成物用早強剤と同じである。
【0053】
分散剤は、水硬性組成物の流動性の向上と硬化遅延を抑制する観点から、セメント100重量部に対して、0.005重量部以上、更に0.05重量部以上、更に0.01重量部以上、そして、2.5重量部以下、更に、1.0重量部以下、更に0.5重量部以下となるように添加されることが好ましく、水硬性組成物用早強剤組成物中、早強剤と分散剤の重量比(早強剤/分散剤)は、得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、10/90以上が好ましく、25/75以上がより好ましく、50/50以下が好ましく、45/55以下がより好ましく、40/60以下が更に好ましい。
【0054】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の水硬性組成物、水硬性組成物の製造方法、早強剤、或いは使用方法を開示する。
【0055】
<1>
アミン化合物と、水酸基を有する芳香族化合物と、セメントと、水とを含有する水硬性組成物であって、
アミン化合物が、アルカノールアミンから選ばれる1種以上の化合物、更に、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物であり、
水酸基を有する芳香族化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
セメント100重量部に対して、アミン化合物の含有量が0.01重量部以上0.45重量部以下、水酸基を有する芳香族化合物の含有量が0.03重量部以上0.45重量部以下、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の合計量が0.06重量部以上0.60重量部以下である、
水硬性組成物。
【0056】
<2>
アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の重量比が、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で、10/90以上、更に20/80以上であり、そして、90/10以下、更に85/15以下、更に75/25以下、更に55/45以下である、<1>の水硬性組成物。
【0057】
<3>
セメント100重量部に対して、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の合計量が、0.10重量部以上、更に0.15重量部以上であり、そして、0.50重量部以下、更に0.45重量部以下、更に0.30重量部以下、更に0.25重量部以下である、<1>又は<2>の水硬性組成物。
【0058】
<4>
セメント100重量部に対して、アミン化合物の含有量が、0.04重量部以上であり、そして、0.35重量部以下、更に0.18重量部以下である、<1>から<3>のいずれかの水硬性組成物。
【0059】
<5>
セメント100重量部に対して、水酸基を有する芳香族化合物の含有量が、0.04重量部以上であり、そして、0.35重量部以下、更に0.25重量部以下、更に0.18重量部以下である、<1>から<4>のいずれかの水硬性組成物。
【0060】
<6>
アミン化合物が、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、更にN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、更に炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物である、更に炭素数1のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミン、すなわちN−メチルジエタノールアミンである、<1>から<5>のいずれかの水硬性組成物。
【0061】
<7>
さらに分散剤を含有し、分散剤が、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上である、更にポリカルボン酸系共重合体である、<1>から<6>のいずれかの水硬性組成物。
【0062】
<8>
<1>〜<7>のいずれかに記載の水硬性組成物を型枠に充填し養生し硬化させる工程と、硬化した前記水硬性組成物を脱型する工程、とを有する水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0063】
<9>
セメントに水を接触させて前記水硬性組成物を調製する工程を有し、セメントに水を接触させてから脱型を開始するまでの時間が、4時間以上、更に6時間以上であり、そして、48時間以下、更に30時間以下である、<8>の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0064】
<10>
養生し硬化させる工程で水硬性組成物が温度50℃以上に保持される時間が、1時間以下、更に0.5時間以下である、<8>又は<9>の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0065】
<11>
アミン化合物と、水酸基を有する芳香族化合物とからなる水硬性組成物用早強剤であって、
アミン化合物が、アルカノールアミンから選ばれる1種以上の化合物、更に、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物であり、
水酸基を有する芳香族化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の重量比が、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で、10/90以上90/10以下である、
水硬性組成物用早強剤。
【0066】
<12>
アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物の重量比が、アミン化合物/水酸基を有する芳香族化合物で、20/80以上であり、そして、85/15以下、更に75/25以下、更に55/45以下である、<11>の水硬性組成物用早強剤。
【0067】
<13>
アミン化合物が、N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、更にN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン及び炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、更に炭素数1以上2以下のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物である、更に炭素数1のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミン、すなわちN−メチルジエタノールアミンである、<11>又は<12>の水硬性組成物用早強剤。
【0068】
<14>
<11>から<13>のいずれかの水硬性組成物用早強剤と、分散剤とを含有する水硬性組成物用早強剤組成物であって、
分散剤が、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上の分散剤、更にポリカルボン酸系共重合体である、
水硬性組成物用早強剤組成物。
【実施例】
【0069】
モルタル配合を表1に、また、評価結果を表2及び3に示した。表中の化合物は以下のものである。
・MDEA:N−メチルジエタノールアミン、日本乳化剤(株)製、アミノアルコールMDA
・EDEA:N−エチルジエタノールアミン、日本乳化剤(株)製、アミノアルコールMED
・TiPA:トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業(株)製、試薬
・THEED:N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、シグマアルドリッチジャパン(株)製、試薬
・TEA:トリエタノールアミン、和光純薬工業(株)製、試薬
・DEA:ジエタノールアミン、和光純薬工業(株)製、試薬
・BDEA:N−ブチルジエタノールアミン、和光純薬工業(株)製、試薬
・フェノール:シグマアルドリッチジャパン(株)製、試薬
・レゾルシノール:和光純薬工業(株)製、試薬
【0070】
また、セメント分散剤として以下を用いた。
・ポリカルボン酸系分散剤:花王(株)製、マイテイ21ES
・ナフタレン系分散剤:花王(株)製、マイテイ150
【0071】
【表1】
【0072】
水とセメントの重量比(W/C)は0.50(セメント100重量部に対して50重量部)である。細骨材はセメント100重量部に対して200重量部である。また、用いた成分は以下のものである。
・W:練り水(アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物とを含む水道水)
・C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)、密度3.16g/cm
3
・S:細骨材、城陽産、山砂、FM=2.67、密度2.56g/cm
3
【0073】
<モルタルの調製及び評価>
(1)モルタル調製工程
表1に示す配合条件で、モルタルミキサー((株)ダルトン製 万能混合撹拌機 型式:5DM-03-γ)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りを10秒行い、セメント分散剤と早強剤を含む練り水(W)を加えた。この際、空気連行量が2%以下になるよう消泡剤を添加した。そして、モルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて60秒間、更に高速回転(128rpm)にて120秒間本混練りしてモルタルを調製した。
【0074】
なお、早強剤は、水酸基を有する芳香族化合物を水100重量部に10重量部溶解させた水溶液を調製し、アミン化合物と水酸基を有する芳香族化合物とが表2〜5の添加量になる比率で、アミン化合物を、前記水酸基を有する芳香族化合物の水溶液と混合して調製した。アミン化合物のみを添加する場合は、アミン化合物を直接練り水に添加して用いた。
【0075】
また、セメント分散剤と、表2及び3の添加量の早強剤を練り水と混合した。練り水中の早強剤の量は微量であるため、早強剤と練り水の合計で表1のWの量にした。セメント分散剤は、実施例1−18以外は、ポリカルボン酸系分散剤をセメント100重量部に対して0.12重量部、実施例1−18はナフタレン系セメント分散剤をセメント100重量部に対して0.40重量部、添加した。
【0076】
(2)型枠充填、養生工程
JIS A 1132に基づき、円柱型プラモールド(底面の直径:5cm、高さ10cm)の型枠3個に、それぞれ二層詰め方式によりモルタルを充填し、20℃の室内にて気中(20℃)養生を行い硬化させた。モルタル調製から24時間後に硬化した供試体を型枠から脱型し供試体を得た。7日の強度を測定する場合は、型枠5個にそれぞれ二層詰め方式によりモルタルを充填し、モルタル調製から24時間後に硬化した供試体を型枠から脱型し供試体を得、これらの内3個の供試体を24時間後の圧縮強度の測定に用い、残りの2個の供試体を7日まで水槽に入れた20℃の水中で水中養生を行い、7日後の圧縮強度の測定に用いた。
【0077】
(3)脱型工程
モルタル調製から24時間後又は7日後に硬化した供試体を型枠から脱型し供試体を得た。
【0078】
(4)硬化強度の評価
供試体の24時間強度又は7日後の強度(以下、7日強度と表記する)をJIS A1108に基づいて測定し、供試体3個又は2個の平均値を求めた。結果を表2及び表3に示した。
【0079】
表2及び3中、重量部は、セメント100重量部に対する重量部である。また、表2及び3中、24時間強度、7日強度の「比」は、各セメントに、早強剤を添加しない場合の強度を100とした比率である。
【0080】
【表2】
【0081】
表2から、本発明に係る所定のアミン化合物や本発明に係る所定の水酸基を有する芳香族化合物を組み合わせることによって高い強度向上効果が得られることがわかる。更に、本発明に係る所定のアミン化合物と本発明に係る所定の水酸基を有する芳香族化合物の合計量がセメント100重量部に対して0.06〜0.60重量部の範囲で高い強度向上効果が得られることがわかる。
【0082】
【表3】
【0083】
表3から、本発明に係る所定のアミン化合物や本発明に係る所定の水酸基を有する芳香族化合物を組み合わせることによって、7日後の強度についても、高い強度向上効果が得られることがわかる。