特許第5965275号(P5965275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5965275-吸水処理材 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965275
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】吸水処理材
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/28 20060101AFI20160721BHJP
   A01K 1/015 20060101ALI20160721BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20160721BHJP
   B01J 20/24 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B01J20/28 A
   A01K1/015 B
   B01J20/26 D
   B01J20/24 B
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-224065(P2012-224065)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76408(P2014-76408A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】畑中 忍
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】 松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−087125(JP,A)
【文献】 特開2007−129975(JP,A)
【文献】 特開昭64−085025(JP,A)
【文献】 特開2008−253156(JP,A)
【文献】 特開2010−252783(JP,A)
【文献】 特開平06−237661(JP,A)
【文献】 特開平07−033644(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0251027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00−20/34
A01K 1/00− 3/00
31/00−31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
粒状芯部と、
前記粒状芯部を覆うように設けられ、紙粉及び接着性材料を含有するとともに、厚みが1mm未満である被覆層部と、を備え、
当該吸水処理材は、前記液体を吸収した時に崩壊し、
崩壊した当該吸水処理材は、前記被覆層部の前記接着性材料によって塊状化されることを特徴とする吸水処理材。

【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部は、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の粉砕物を含有している吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
前記粉砕物の粒度は、1mm未満である吸水処理材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部における前記粉砕物の含有率は、90重量%以上である吸水処理材。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部は、前記粉砕物と共に、水溶性又は水解性の材料を含有している吸水処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部における前記材料の含有率は、10重量%以下である吸水処理材。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の吸水処理材において、
前記材料は、澱粉類、CMC、PVA又は吸水性ポリマーである吸水処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や動物の尿その他の液体を吸収する吸水処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材においては、粒状芯部と、それを覆う被覆層部とが設けられている。被覆層部は、使用時に尿等の液体を吸収した排泄物処理材どうしを付着させて塊状にする機能を有する。かかる被覆層部は、接着性材料を含んで構成されている。
【特許文献1】特開2006−333773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように被覆層部に接着性材料を含有させることにより、使用時に吸水処理材どうしを付着させて塊状にする機能を高めることができる。しかしながら、充分な塊状化機能(固まり強度)を得るためには、相当量の接着性材料が必要であり、それに伴い被覆層部に相当程度の厚みをもたせる必要があった。このことは、吸水処理材の製造時に、被覆層部を構成する材料(被覆材料)の使用量を増大させ、ひいては製造コストの上昇につながる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後の固まり強度が高く、かつ低コストで製造することが可能な吸水処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による吸水処理材は、液体を吸収する吸水処理材であって、粒状芯部と、上記粒状芯部を覆うように設けられ、接着性材料を含有するとともに、厚みが1mm未満である被覆層部と、を備え、当該吸水処理材は、上記液体を吸収した時に崩壊し、崩壊した当該吸水処理材は、上記被覆層部の上記接着性材料によって塊状化されることを特徴とする。
【0006】
この吸水処理材は、液体を吸収した時に崩壊するように構成されている。かかる構成により、被覆層部中の接着性材料は、広範囲に行き渡るようになるため、効率良く塊状化機能を発揮することができる。このため、少量の接着性材料であっても、充分な塊状化機能が発揮される。それゆえ、被覆層部を1mm未満という薄さにしても、充分な固まり強度が得られる。したがって、製造時における被覆材料の使用量を節約し、それにより製造コストの低減を図ることができる。
【0007】
上記粒状芯部は、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の粉砕物を含有していてもよい。この場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の強力な消臭・脱臭効果により、使用済みの吸水処理材からの悪臭の放出を効果的に抑制することができる。
【0008】
上記粉砕物の粒度は、1mm未満であることが好ましい。この場合、液体の吸収時に崩壊し易い吸水処理材を実現することができる。
【0009】
上記粒状芯部における上記粉砕物の含有率は、90重量%以上であることが好ましい。この場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の含有率が高くなるため、特に優れた防臭効果を得ることができる。
【0010】
上記粒状芯部は、上記粉砕物と共に、水溶性又は水解性の材料を含有していてもよい。この場合、使用時に吸水処理材が崩壊するのを妨げることなく、吸水処理材に様々な機能をもたせることができる。
【0011】
上記粒状芯部における上記材料の含有率は、10重量%以下であることが好ましい。この場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の含有率を高くすることが可能なため、特に優れた防臭効果を得ることができる。
【0012】
上記材料は、澱粉類、CMC、PVA又は吸水性ポリマーであってもよい。これらの材料は、充分な水溶性又は水解性を有するので、使用時に吸水処理材が崩壊するのを妨げないという点で好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用後の固まり強度が高く、かつ低コストで製造することが可能な吸水処理材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明による吸水処理材の実施形態について詳細に説明する。
[構成]
【0016】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材であり、粒状芯部10、及び被覆層部20を備えている。この吸水処理材1は、尿等の液体を吸収した時に崩壊するように構成されている。
【0017】
粒状芯部10は、小塊の形状に形成されていればよく、完全な球形等である必要はない。粒状芯部10の形状としては、例えば、柱状体(細長形)、扁平形等が考えられる。この粒状芯部10は、尿等の液体を吸収した時に崩壊する。粒状芯部10を構成する材料(芯部材料)としては、例えば、コーヒー豆(抽出前のもの)の粉砕物、インスタントコーヒーの粉砕物、又は茶葉(抽出前のもの)の粉砕物を用いることができる。インスタントコーヒーとしては、賞味期限切れのものを用いることが好ましい。粉砕物の粒度は、1mm未満であることが好ましい。
【0018】
粒状芯部10は、上記粉砕物と共に、水溶性又は水解性の材料を含有していてもよい。かかる材料としては、例えば、澱粉類、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)又は吸水性ポリマーを用いることができる。澱粉類としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉若しくはデキストリン、又はこれらをα化したものが挙げられる。粒状芯部10における上記粉砕物の含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。また、粒状芯部10における上記材料の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0019】
被覆層部20は、粒状芯部10を覆っている。本実施形態において被覆層部20は、粒状芯部10の表面全体を覆っている。被覆層部20の厚みd1は、1mm未満である。
【0020】
被覆層部20は、接着性材料22を含有している。接着性材料22は、尿等の液体を吸収して崩壊した吸水処理材1どうしを付着させて塊状にする。被覆層部20は、例えば、接着性材料22及び紙粉の混合物により構成される。
【0021】
接着性材料22としては、公知の各種の物質を用いることができ、例えば、糊料、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、吸水性樹脂等が存在する。具体的には、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、デキストリン、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ビニルエステル、ベントナイト、プルラン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0022】
紙粉としては、例えば、薄葉紙、薄葉紙廃材、衛生用紙、衛生用紙廃材、トイレットペーパー用紙、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー用紙、ティッシュペーパー廃材、化粧紙用紙、化粧紙廃材、ちり紙用紙、ちり紙廃材、紙綿、紙綿廃材、紙タオル、紙タオル廃材、便座シート廃材、機械パルプ、機械パルプ廃材、化学パルプ、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ、綿状パルプ廃材、木材パルプ、木材パルプ廃材、古紙パルプの粉砕物、フラッフパルプ、吸水性繊維廃材、吸水性樹脂を含む紙粉、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、衛生材料製造時に発生する紙粉等を用いることができる。これらの2種類以上の材料を混合して使用してもよい。何れも、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の粒度の粒状物に粉砕されて使用される。
[作用効果]
【0023】
吸水処理材1は、尿等の液体を吸収した時に崩壊するように構成されている。かかる構成により、被覆層部20中の接着性材料22は、広範囲に行き渡るようになるため、効率良く塊状化機能を発揮することができる。このため、少量の接着性材料22であっても、充分な塊状化機能が発揮される。それゆえ、被覆層部20を1mm未満という薄さ(通常、被覆層部の厚みは1mm以上である)にしても、充分な固まり強度が得られる。したがって、製造時における被覆材料の使用量を節約し、それにより製造コストの低減を図ることができる。このように、使用後の固まり強度が高く、かつ低コストで製造することが可能な吸水処理材1が実現されている。
【0024】
また、被覆層部20が1mm未満と薄いため、粒状芯部10による吸水、ひいてはその崩壊が促進される。このように、吸水処理材1においては、その崩壊性が被覆層部20の薄化を可能にする一方で、被覆層部20の薄さが吸水処理材1の崩壊性を促進するという相互的作用により、製造コストの低減が実現されている。
【0025】
コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の粉砕物を粒状芯部10に含有させた場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の強力な消臭・脱臭効果により、使用済みの吸水処理材1からの悪臭(尿の臭い)の放出を効果的に抑制することができる。そのため、防臭効果の優れた吸水処理材1を実現することができる。
【0026】
粒状芯部10における上記粉砕物の含有率を90重量%以上とした場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の含有率が高くなるため、特に優れた防臭効果を得ることができる。
【0027】
粒状芯部10に含有される粉砕物の粒度を1mm未満とした場合、尿の吸収時に崩壊し易い吸水処理材1を実現することができる。
【0028】
上記粉砕物と共に、水溶性又は水解性の材料を粒状芯部10に含有させた場合、使用時に吸水処理材1が崩壊するのを妨げることなく、吸水処理材1に様々な機能をもたせることができる。
【0029】
粒状芯部10における上記材料の含有率を10重量%以下とした場合、コーヒー豆、インスタントコーヒー又は茶葉の含有率を高くすることが可能なため、特に優れた防臭効果を得ることができる。
【0030】
上記材料として、澱粉類、CMC、PVA又は吸水性ポリマーを用いた場合、これらの材料は、充分な水溶性又は水解性を有するので、使用時に吸水処理材1が崩壊するのを妨げないという点で好ましい。
[製造方法]
【0031】
吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、成形工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0032】
成形工程においては、芯部材料を破砕機で所定の大きさに粉砕し、当該粉砕された芯部材料を所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、加水した後、当該混合物をエクストルーダその他の押出成形機によって押出成形することにより、粒状芯部10を形成する。
【0033】
被覆工程においては、コーティング装置等を用いて、粒状芯部10の周囲に、接着性材料22を含む被覆材料を散布又は噴霧することにより、被覆層部20を形成する。このとき、被覆層部20の厚みd1が1mm未満になるようにする。
【0034】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させることにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみを抽出する。
【0035】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。粒状芯部10の含水率が高過ぎると、吸水処理材1の保存時にカビ等が生じる原因となる。乾燥により、その含水率を適宜調整することにより、カビ等の発生を防ぐことができる。
【0036】
なお、乾燥工程の後に、香料添加工程を実行してもよい。この工程においては、吸水処理材1の袋詰めに用いられる包装袋内に、香料が入れられる。香料は、例えば、空気と共に包装袋内に噴射される。かかる空気の噴射は、包装袋を拡開するために行われるものである。この工程は、吸水処理材1を包装袋に詰める工程(袋詰め工程)よりも先に行われることが好ましい。
【0037】
上記香料は包装袋内で吸水処理材1に付着するため、芳香性を有する吸水処理材1が得られる。このように包装袋内に香料を入れることにより、それよりも前の工程において製造装置に香料が付着するのを防ぐことができる。したがって、製造後の装置の清掃が容易になる。
【0038】
香料が空気と共に包装袋内に噴射される場合、包装袋内に空気を噴射するための装置と別に、包装袋内に香料を入れるための装置を設ける必要がない。そのため、製造設備の複雑化を回避しつつ、芳香性を有する吸水処理材1を得ることができる。
【0039】
香料添加工程が袋詰め工程よりも先に行われる場合、包装袋内の全体に香料が行き渡った状態で吸水処理材1を詰めることができる。そのため、包装袋内の複数の吸水処理材1に万遍なく香料を付着させ易くなる。
【0040】
また、香料を包装袋内に噴射しているため、香料を包装袋の外で噴射する場合(例えば、包装袋に詰められる前の吸水処理材1に噴射する場合)に比べて、無駄になる香料の量を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 吸水処理材
10 粒状芯部
20 被覆層部
22 接着性材料
図1