(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965277
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/18 20060101AFI20160721BHJP
H02H 3/08 20060101ALI20160721BHJP
G05F 1/70 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
H02J3/18 128
H02H3/08 S
G05F1/70 F
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-225062(P2012-225062)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-79080(P2014-79080A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博
(72)【発明者】
【氏名】田上 和之
【審査官】
永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−087628(JP,A)
【文献】
特開平02−096816(JP,A)
【文献】
特開昭61−98117(JP,A)
【文献】
特開平5−121161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F1/12−1/44
1/45−7/00
H02H3/08−3/253
H02J3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を出力する電源と接続されるコンデンサ部(10)と、このコンデンサ部(10)と直列接続されるリアクトル部(20)とを備えたコンデンサ装置であって、上記コンデンサ部(10)は、交流電力の周波数が第1の周波数及び第2の周波数であるときに接続状態とされる共用コンデンサ(11)と、交流電力の周波数が第1の周波数であるときに接続状態とされ、第2の周波数であるときに非接続状態とされる第1の切換器(40)を介して共用コンデンサ(11)に接続され、周波数の切り換えに伴う設備容量の変動分を補填する調整用コンデンサ(15)とを備え、該コンデンサ装置は、さらに、上記コンデンサ部(10)又はリアクトル部(20)に流れる過電流を検出する過電流継電器(30)を備え、この過電流継電器(30)は、第1の周波数及び第2の周波数に応じて巻き線(31)の巻数を切り換えるよう構成されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、負荷の力率を調整する進相用や高調波を低減するフィルタ用として使用されるコンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷の力率を調整する進相用や高調波を低減するフィルタ用として、電源と負荷との間にコンデンサ装置を設けることは、例えば特許文献1に開示されているように従来から行われている。また、過電流による装置の劣化や損傷を防止するために、過電流を検知する過電流継電器を設けることについても、例えば特許文献2に開示されているように従来から行われている。なお、
図2は、上記コンデンサ装置を例示したものであり、図において、Cはコンデンサ、SRは直列リアクトル、CTは変流器、OCRは過電流継電器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−145976号公報
【特許文献2】特開平7−255122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンデンサ装置は、周波数の変化に伴って設備容量やリアクタンス値が変化する。従って、例えば60Hzでの使用を想定して製造されたコンデンサ装置を50Hzで使用すると、意図していた力率改善効果や高周波低減効果を得ることができない。
【0005】
周波数毎に専用のコンデンサやリアクトルを設けるとともに、周波数に応じて、コンデンサやリアクトルを切り換えることで、意図した通りの効果を得ることも可能ではあるが、この場合、装置の大型化を招くとともに、コスト増にも繋がることから現実的ではない。
【0006】
また、周波数が変わると電流値も変動することから、周波数の切り換えに伴って過電流継電器の設定を調整し直す必要があるが、作業が煩雑であるとともに、調整し忘れることもあり、誤作動や装置の劣化、損傷を招く虞もある。
【0007】
そこで、この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、装置の大型化やコスト増の抑制を図りながらも、異なる周波数での共用が可能なコンデンサ装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のコンデンサ装置は、交流電力を出力する電源と接続されるコンデンサ部10と、このコンデンサ部10と直列接続されるリアクトル部20とを備えたコンデンサ装置であって、上記コンデンサ部10は、交流電力の周波数が第1の周波数及び第2の周波数であるときに接続状態とされる共用コンデンサ11と、交流電力の周波数が第1の周波数であるときに接続状態とされ、第2の周波数であるときに非接続状態とされる第1の切換器40を介して共用コンデンサ11に接続され、周波数の切り換えに伴う設備容量(進相容量)の変動分を補填する調整用コンデンサ15とを備え、該コンデンサ装置は、さらに、上記コンデンサ部10又はリアクトル部20に流れる過電流を検出する過電流継電器30を備え、この過電流継電器30は、第1の周波数及び第2の周波数に応じて巻き線31の巻数を切り換えるよう構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明のコンデンサ装置によれば、周波数の切り換えに伴う設備容量の差を補填する調整用コンデンサを備えているため、コンデンサ装置に印加される周波数が第1の周波数から第2の周波数へ、または第2の周波数から第1の周波数へと切り換えられた場合でも、それに応じてコンデンサ部の容量を変えることでリアクタンス値を一定に保つことができる一方、リアクトル部を共用化できる。このため、交流電力の周波数が第1の周波数であるか、第2の周波数であるかに関らず、力率改善効果や高調波低減効果を発揮させることができる。このように、共用コンデンサ及びリアクトル部を常用し、周波数の切り換えに伴う設備容量の差を調整用コンデンサでカバーすることで、周波数毎に専用のコンデンサやリアクトルを設ける必要はなくなり、結果、装置の大型化やコスト増の抑制を図ることができる。
【0010】
また、過電流継電器が、周波数に応じて巻き線の巻数を切り換える構成とされていることで、周波数の切り換えによって電流値が変動したとしても、巻き線によって生じる移動磁界の値を一定に保つことが可能となり、過電流継電器の動作電流値等の設定を調整し直す必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るコンデンサ装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明のコンデンサ装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。このコンデンサ装置1は、3相交流電力を出力する電源と負荷との間に接続されることで、力率の改善や高調波の低減を行うものである。具体的には、
図1に示すように、電源と接続されるコンデンサ部10と、このコンデンサ部10と直列接続されるリアクトル部20と、コンデンサ部10やリアクトル部20に流れる過電流を検出する過電流継電器30とを備えており、印加される周波数が50Hz(第1の周波数)から60Hz(第2の周波数)に、または60Hzから50Hzに切り換えられた場合であっても、同様の力率改善効果や高調波低減効果を得られるよう構成されたものである。以下、コンデンサ装置1の構成部品について個々に説明していく。
【0013】
コンデンサ部10は、
図1に示すように、共用コンデンサ11と、調整用コンデンサ15とから構成されている。
【0014】
共用コンデンサ11は、
図1に示すように、各相毎に設けられたコンデンサ12をΔ結線するとともに、各々のコンデンサ12に対して並列に放電抵抗13を設け、さらに3相のうちの2相にヒューズ14を介することで構成されている。
【0015】
また、調整用コンデンサ15においても、
図1に示すように、各相毎に設けられたコンデンサ16をΔ結線するとともに、各々のコンデンサ16に対して並列に放電抵抗17を設け、さらに3相のうちの2相にヒューズ18を介することで構成されている。そして、調整用コンデンサ15は、第1の切換器40を介して、共用コンデンサ11に並列接続されている。
【0016】
なお、調整用コンデンサ15の容量は、調整用コンデンサ15が非接続とされた状態における、交流電力の周波数が50Hzとされたときの装置の設備容量と、交流電力の周波数が60Hzとされたときの装置の設備容量との間に生じる差(変動分)と等しくされている。具体的には、交流電力の周波数が60Hzとされたときの装置の設備容量を1とした場合、交流電力の周波数が50Hzとされたときの装置の設備容量は1/1.2(50/60)に減少するため、この差を補填することのできる容量、すなわち、0.2/1.2(1−50/60)が50Hz時における調整用コンデンサ15の容量とされている。
【0017】
共用コンデンサ11と調整用コンデンサ15との間に介在された第1の切換器40は、各相にそれぞれ設けられた遮断機41を連動させることで、3相同時に接続と、非接続とを切り換えできるように構成されている。この第1の切換器40は、装置外部からの切換信号により、交流電力の周波数が50Hzであるときに接続状態となり、交流電力の周波数が60Hzであるときに非接続状態となるように切り換えがなされる。従って、交流電力の周波数が60Hzであるときには、共用コンデンサ11のみが機能し、交流電力の周波数が50Hzであるときには、共用コンデンサ11に加えて調整用コンデンサ15が機能することとなり、リアクタンス値を50Hzであるときと60Hzであるときとで同じにすることができる。なお、第1の切換器40の切り換えは、例えば周波数計を別途設け、この周波数計の測定結果に基づいて自動的に入力される切換信号により切り換えがなされることが望ましいが、手動で切り換えを行っても良い。
【0018】
リアクトル部20は、
図1に示すように、電源とコンデンサ部10との間に介在するようにして設けられている。具体的には、リアクトル部20は、各相にそれぞれ設けられたリアクトル21から構成されており、これらリアクトル21は、各コンデンサ12、16とそれぞれ直列接続されている。なお、リアクトル部20においても、周波数の切り換えによってリアクタンス値が変動することになるが、上述の通り、周波数に応じてコンデンサ部10の容量が調整されるため、装置のリアクタンス値が維持されるとともに、リアクトル部20を50Hzと60Hzとで共用することができる。
【0019】
このように、上記構成のコンデンサ装置1では、周波数の切り換えに伴う装置の設備容量の変動分を補填する調整用コンデンサ15を備えているため、コンデンサ装置1に印加される周波数が60Hzから50Hzに、または50Hzから60Hzに切り換えられた場合でも、装置のリアクタンス値を同じに保つことができる。また、リアクトル部20を共用することができ、交流電力の周波数が60Hzのときと、50Hzのときとで同様の力率改善効果や高調波低減効果を発揮させることができる。また、共用コンデンサ11やリアクトル部20を常用し、周波数の切り換えに伴う設備容量の変動分を調整用コンデンサ15でカバーする構成であることから、周波数毎に専用のコンデンサやリアクトルを設ける必要はなく、装置の大型化やコスト増の抑制を図ることができ、さらに環境負荷の低減をも図ることが可能となる。
【0020】
また、本発明のコンデンサ装置1においては、
図1に示すように、リアクトル部20と電源との間に変流器50を介して過電流継電器(静止型)30が設けられている。この過電流継電器30は、巻き線31と鉄心32を貫通させてなる貫通型とされ、変流器50からの二次電流を巻き線31に流すことによって、図示しない整流平滑回路及び判定回路を通じて、過電流である旨の信号を発する。そして、過電流信号は、図示しない遮断器を作動させて、電源と装置とを切り離し、過電流による装置の劣化や損傷を防止するのである。
【0021】
ところで、巻き線31は、
図1に示すように、鉄心32の周りを6回転(6ターン)することで形成されている。また、図において上から5ターン目のところに、最下部の1ターンを迂回するバイパス路33が形成されている。そして、そのバイパス路33は、変流器50と巻き線31との間に設けられた第2の切換器60に接続されている。
【0022】
第2の切換器60は、2個のスイッチ61を連動させることで、一方の経路を接続状態とした場合に、他方の経路が非接続状態となるといったラップ接点スイッチであって、上記切換信号により、交流電力の周波数が50Hzであるときには、巻き線31の巻数が5ターンとなるように、また、交流電力の周波数が60Hzであるときには、巻き線31の巻数が6ターンとなるように切り換えられる。なお、この構成は、周波数の切り換えにより生じる電流値の変動に対応するためである。具体的に説明すると、交流電力の周波数が60Hzであるときの電流値を1とすると、交流電力の周波数が50Hzであるときの電流値は1.2(60/50)となり、その結果、鉄心32側に流れる電流値も1.2倍となる。そこで、50Hz時での巻き線31の巻数を、60Hz時の1/1.2(50/60)倍とし、整流平滑回路に流れる電流値を一定に保っているのである。
【0023】
このように構成することで、交流電力の周波数が60Hzから50Hzに、または50Hzから60Hzに切り換えられたとしても、過電流継電器30に流れる電流値を一定に保つことができる。そのため、電流値に合わせて変流器50を交換したり、過電流継電器30の動作電流値等の設定を調整し直す必要がない。なお、第2の切換器60の切り換えは、手動での切り換えの他に、調整用コンデンサ15の切り換えに使用される切換信号により行うことも可能である。この場合、切り換えのし忘れを防止することができ、誤作動や装置の劣化、損傷を抑制することにも繋がる。
【0024】
以上に、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、第1の周波数を50Hz、第2の周波数を60Hzとしていたが、第1の周波数を60Hzとし、第2の周波数を50Hzとする、すなわち、60Hzのときに調整用コンデンサ15を接続し、50Hzのときに非接続とする構成としても良い。この場合、共用コンデンサ11と調整用コンデンサ15とを直列接続することで、コンデンサ部10の容量を調整することが可能である。
【0025】
また、上記実施例においては、60Hz時の巻き線31の巻数が6ターンとされ、50Hz時の巻き線31の巻数が5ターンとされていたが、60Hz:50Hz=6:5の関係を維持するものであれば、適宜巻数を変更しても良い。さらに、上記実施例では、3相回路であったが、単相回路であっても同様の作用効果を奏する。また、変流器50の位置は、電源とリアクトル部20との間に限らず、他の部分でも良く、さらにその個数も適宜変更可能である。また、コンデンサ12、16の結線方法としては、Δ結線に限られることはなく、Y結線やV結線等、種々の公知なものであって良い。
【符号の説明】
【0026】
1・・コンデンサ装置、10・・コンデンサ部、11・・共用コンデンサ、15・・調整用コンデンサ、20・・リアクトル部、30・・過電流継電器、31・・巻き線、40・・第1の切換器