【実施例】
【0030】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車のシートベルト装置取付構造を示し、
図1は該シートベルト装置取付構造を備えた自動車の側面図(但し、
図1は
図2のB−B線矢視断面図に相当)、
図2は
図1のA−A線矢視に沿う正面図である。
図1,
図2において、車両の前後方向に延びるフロントフロアパネル1の後部には、前低後高状に立上がるキックアップ部2を介してリヤフロア3(車体リヤフロアパネル)を一体的に連設し、該リヤフロア3後部の車幅方向中間部には下方に段下げ形成された収納凹部4を一体的に形成している。
【0031】
リヤフロア3の後端部には、収納凹部4をその後方から塞ぐように、リヤエンドパネル5を立設固定し、このリヤエンドパネル5の後部にはリヤエンドクロスメンバ6を接合固定し、該リヤエンドクロスメンバ6とリヤエンドパネル5との間に、車幅方向に延びるリヤエンド閉断面7を形成して、後部車体剛性の向上を図っている。
また、リヤフロア3の下部左右両サイドには、車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム8,8を接合固定し、リヤフロア3と車体強度部材であるリヤサイドフレーム8との間には、車両の前後方向に延びる閉断面9を形成して、下部車体剛性の向上を図っている。
【0032】
一方、
図1に示すように、フロントフロアパネル1上には1列目シート11を配設し、リヤフロア3前部上方には2列目シート12を配設し、リヤフロア3後部上方には3列目シート13を配設している。
上述の1列目シート11は、シートクッション11Cとシートバック11Bとヘッドレスト11Hとを有するセパレート構造の運転席と助手席とを備えている。
【0033】
3列目シート13は、
図1,
図2に示すように、ベンチシート構造のシートクッション13Cと、左右に4:6に分割されたシートバック13B,13Bと、複数のヘッドレスト13H,13H,13Hとを有しており、
図2の中央に位置するヘッドレスト13Hに対応する部分が3列目中央席となる。
【0034】
2列目シート12は、3列目シート13と同様に形成されている。すなわち、2列目シート12は
図1のみに示すように、ベンチシート構造のシートクッション12Cと左右に4:6分割されたシートバック12B,12Bと、複数のヘッドレスト12H,12H,12Hとを有しており、複数のヘッドレストのうち中央に位置するヘッドレスト12Hに対応する部分が2列目中央席となる。
なお、
図1,
図2において仮想線αは2列目シート12に着座する乗員の頭部であり、仮想線βは3列目右側のシート13に着座する乗員の頭部である。
【0035】
図1,
図2に示すように、リヤフロア3上には、2列目シート12と3列目シート13とに共用される長尺のシートスライドレール14,14を設けると共に、2列目シート12用のシートスライドレール15,15を設けている。ここで、シートスライドレール14はリヤサイドフレーム8の位置に対応すべくリヤフロア3の左右両サイドに設けられており、シートスライドレール15はリヤフロア3の車幅方向中間部に設けられている。
【0036】
ところで、車体上部前端において車幅方向に延びる閉断面構造のフロントヘッダ(図示せず)と、車体上部後端において車幅方向に延びる閉断面構造のリヤヘッダ16(
図1参照)とを設け、フロントヘッダとリヤヘッダ16との左右両端部を車両前後方向に連結する閉断面構造の左右のルーフサイドレール17,17を設けている(
図2参照)。
【0037】
図2に示すように、ルーフサイドレール17は、ルーフサイドレールアウタ18とルーフサイドレールインナ19とを接合固定して、車両の前後方向に延びるルーフサイド閉断面20を形成した車体強度部材である。
上述のフロントヘッダ、リヤヘッダ16、左右のルーフサイドレール17,17で囲繞された天井スペースを覆うルーフパネル21を設け、ルーフパネル21の左右の車幅方向両端部は、
図2に示すように、ルーフサイドレールアウタ18とルーフサイドレールインナ19のそれぞれの車幅方向内側のフランジ部相互間で挟持固定されている。
【0038】
一方、
図1に示すように車体側部には、1列目シート11のシートバック11Bの位置と略対応して上下方向に延びる閉断面構造のセンタピラー22と、2列目シート12のシートバック12Bと3列目シート13のシートクッション13C前端部との間の位置に略対応して上下方向に延びる閉断面構造の中間ピラー23(いわゆるCピラー)と、車両後端位置に対応して上下方向に延びる閉断面構造のリヤピラー24(いわゆるDピラー)と、が設けられている。
【0039】
また、
図1に示すように、ルーフパネル21の下面には、該ルーフパネル21の下面に沿って車幅方向に延設される複数のルーフレイン25,26,27,28,29,30,31が配設されている。これらの各ルーフレイン25〜31は左右のルーフサイドレール17,17間に横架されてルーフパネル21を支えるものである。
【0040】
ルーフレイン26はセンタピラー22と対応する位置に設けられており、ルーフレイン29は中間ピラー23と対応する位置に設けられており、ルーフレイン30は中間ピラー23の直後近傍位置と対応するように設けられており、ルーフレイン31は該ルーフレイン30とリヤヘッダ16との間に対応する位置に設けられている。
さらに、
図1,
図2に示すように、フロントヘッダ、リヤヘッダ16および各ルーフレイン25〜31を含んで、ルーフパネル21を下方から覆うトップシーリング32を設けている。
【0041】
図3は
図1の要部拡大側面図、
図4はシートベルト装置取付構造を示す平面図、
図5はシートベルト装置取付構造を示す底面図、つまり車室内から上方を見上げた状態で示す図、
図6はアンカブラケットを下方から見上げた状態で示す斜視図、
図7は
図3の要部拡大側面図、
図8は
図2の要部拡大正面図である。
【0042】
図3に示すように、上述のリヤヘッダ16はリヤヘッダアッパ16Aとリヤヘッダロア16Bとリヤヘッダレインフォースメント16Cとの三者を接合固定して、車幅方向に延びるヘッダ閉断面16Dを形成した車体強度部材である。
図3に示すように、中間ピラー23の直後近傍に対応する位置に設けられたルーフレイン30は、ルーフレインアッパ30Aとルーフレインロア30Bとを接合固定して、車幅方向に延びる閉断面30Cを有するもので、このルーフレイン30(2列目アンカブラケット支持用のルーフレイン)は、他のルーフレイン25〜29,31の断面よりも、その断面を上下方向に拡大し、強度が大となるように形成されている。
【0043】
図2,
図5,
図8に示すように、ルーフレイン30の下面に沿って該ルーフレイン30の下面を補強する補強部材としてのガセット33を設けている。このガセット33の車幅方向内端は、後述するアンカブラケット40よりも車両の車幅方向中央部近傍まで内方に延びており、該ガセット33の車幅方向内端部はボルト、ナット34を用いてルーフレイン30に締結されている。また、該ガセット33の車幅方向外側端部はルーフレイン30のルーフレインロア30Bよりも下方でルーフサイドレール17におけるルーフサイドレールインナ19に、ボルト、ナット35を用いて締結固定されている。
【0044】
そして、
図8に示すように、ルーフレインロア30Bと、ルーフサイドレールインナ19と、ガセット33の車幅方向外側部との三者でトライアングル構造を形成し、強度の向上を図っている。ここで、上述の各ボルト、ナット34,35は何れもそのボルトを車室内側から締付けるように、ナットが予めルーフレインロア30B上面、ルーフサイドレールインナ19の閉断面20側の面に溶接固定されたものである。
【0045】
図4,
図5に示すように、2列目中央席用のリトラクタ36(以下単に2ndリトラクタ36と略記する)と3列目中央席用のリトラクタ37(以下単に3rdリトラクタ37と略記する)との両方を取付けた単一のリトラクタブラケット38を設け、このリトラクタブラケット38を
図1,
図4,
図5に示すように、3列目シート13上方のルーフサイドレール17とリヤヘッダ16との間に架設している。
上述のリトラクタブラケット38は、2列目シート12よりも後方の車体側構成部材としてのルーフサイドレール17およびリヤヘッダ16に連結されたもので、2ndリトラクタ36も該リトラクタブラケット38を介して2列目シート12よりも後方の車体側構成部材(ルーフサイドレール17、リヤヘッダ16参照)に連結されている。
【0046】
図4,
図5に示すように、2ndリトラクタ36と前方に離間して、ルーフの所定位置(好ましくは、2列目シート12に着座する乗員の位置よりも上部後方の位置)には、2列目中央席3点式シートベルトのアンカ部39を有するアンカブラケット40が設けられている。
このアンカブラケット40は、2列目シート12の上方後部でルーフパネル21の下面に沿って車幅方向に延設された上述のルーフレイン30の車幅方向2ヶ所(ボルト、ナット41,42の位置参照)と、該ルーフレイン30よりも後方位置のルーフサイドレール17の1ヶ所(ボルト、ナット43の位置参照)とに、ボルト、ナット41,42,43を用いて連結されており、上述のアンカ部39はルーフレイン30よりも後方に配置されている。
【0047】
上述のアンカブラケット40は、
図4,
図5,
図6に示すように、前部内側連結部40Aと、前部外側連結部40Bと、後部外側連結部40Cとを備えた三つ又構造に形成されており、
図8に示すように、アンカブラケット40の前部内側連結部40Aはガセット33と共に、上述のボルト、ナット41を用いて、ルーフレイン30のルーフレインロア30Bに共締め固定されており、アンカブラケット40の前部外側連結部40Bはガセット33と共に、上述のボルト、ナット42を用いて、ルーフレイン30のルーフレインロア30Bに共締め固定されている。
つまり、上述のガセット33がアンカブラケット40と共にルーフレイン30に共締め固定されたものである。
【0048】
また、
図4に示すように、ルーフサイドレールインナ19の閉断面20側の面には、補強部材44が設けられており、アンカブラケット40の後部外側連結部40Cは該補強部材44と共に、上述のボルト、ナット43を用いて、ルーフサイドレール17のルーフサイドレールインナ19に共締め固定されている。
ここで、上述の各ボルト、ナット41,42,43は何れもそのボルトを車室内側から締付けるように、ナットが予めルーフレインロア30B上面、補強部材44における閉断面20側の面に溶接固定されたものである。
また、上述のアンカ部39は、シートベルト45を挿通するベルト挿通孔39aをもったベゼル39bを備えている。
【0049】
さらに、
図7に側面図で示すように、アンカブラケット40の後部は後傾するルーフパネル21に近接するように取付けられている。すなわち、ルーフパネル21の後部は前高後低状に傾斜しており、一方、アンカブラケット40の後部外側連結部40Cに対応する後部は略水平状になるように取付けられていて、これにより、後部外側連結部40Cのレイアウトスペースおよびヘッドクリアランスを確保するように構成している。
しかも、アンカブラケット40に対して後方に位置する2ndリトラクタ36は、
図7に示すように、その上部にシートベルト45をルーフパネル21下面に沿ってアンカ部39に導く引出し部36a(
図9参照)を備えている。これにより、シートベルト45配索位置をルーフパネル21面に近接させて、該シートベルト45をルーフパネル21に沿って、アンカブラケット40とルーフパネル21との間の狭い空間に通して、アンカブラケット40と2ndリトラクタ36との間において、3列目シート13乗員のヘッドクリアランスX(
図2参照)改善を図るように構成している。
【0050】
また、
図8に示すように、ルーフレイン30のルーフレインロア30Bにおけるボルト、ナット41,42間の下面部と、ボルト、ナット41,42間に位置するガセット33の下面部とには、上方に窪んで車両前後方向に延びる凹部46が設けられており、同図に示すように、この凹部46にシートベルト45を配索している。これにより、アンカブラケット40でルーフレイン30の凹部46を補強して、ルーフレイン30の剛性を確保しつつ、ベルトクリアランスとヘッドクリアランスX(
図2参照)とを確保すべく構成している。
【0051】
さらに、
図7に示すように、ルーフレイン30はアンカ部39よりも中間ピラー23に近くなるように配置されており、アンカ部39前方に設けたルーフレイン30が、側突時の中間ピラー23荷重を効果的に受け持って、2列目シート12の乗員空間の変形を効果的に抑制すべく構成している。
【0052】
図6にアンカブラケット40の斜視図を示すように、該アンカブラケット40には車室側に膨出する複数のビード40a,40b,40c,40d,40eが一体形成されており、一対のビード40a,40bは前部内側連結部40Aから後方に延びて、これら2本のビード40a,40bによりアンカ部39を前後から挟み込むように形成されており、一対のビード40d,40eは後部外側連結部40Cから前方に延びて、これら2本のビード40d,40eによりアンカ部39を左右から挟み込むように形成されている。これにより、各ビード40a,40b,40d,40eにて前部内側連結部40Aとアンカ部39との間、並びに、後部外側連結部40Cとアンカ部39との間の捩れを防止すると共に、アンカブラケット40それ自体の剛性向上を図り、かつ、アンカ部39に入力される荷重を前後の車体締結部(前部内側連結部40A、後部外側連結部40C参照)に良好に伝達すべく構成している。
【0053】
また、アンカブラケット40の後部外側連結部40Cからビード40eに沿って前方に延びる下向きのリブ40fと、後部外側連結部40Cからビード40dに沿って斜め前方に延びた後に、ビード40aの車幅方向内側に沿うように前方に延びる下向きのリブ40gと、を一体形成し、これら各リブ40f,40gによりアンカブラケット40それ自体の強度向上を図るように構成している。
【0054】
さらに、アンカブラケット40の中間部には軽量化用の開口部40hを形成し、この開口部40hのうち応力集中が見込まれる車幅方向内側の口縁には下向きのフランジ40iを一体形成して、アンカブラケット44の剛性の向上を図っている。
加えて、上述のアンカ部39および凹部46の下方には、
図7に示すように、中間タング47を係止保持するガイド部49aと、先端タング48を係止保持するガイド部49bと、を備えたタングホルダ49が設けられている。
【0055】
ところで、
図4,
図5に示すように、2ndリトラクタ36と3rdリトラクタ37とを取付けた単一のリトラクタブラケット38は、3列目シート13(
図1参照)上方のルーフサイドレール17とリヤヘッダ16との間に架設されている。
【0056】
図9は
図1のC−C線に沿う要部の正面図、
図10は
図4のD−D線矢視断面図であって、
図9に示すように、上述のリトラクタブラケット38は、ルーフサイドレール17側の低い位置に2ndリトラクタ36を配置し、車室中央部側の高い位置に3rdリトラクタ37を配置している。すなわち、
図9に示すように、ルーフサイドレール17側は3列目シート13に着座する乗員の肩部に相当するので、このように設定することで、該3列目シート13に着座する乗員のヘッドクリアランス向上を図ることができる。
【0057】
図4,
図5,
図9,
図10に示すように、上述のリトラクタブラケット38は前部内側連結部38A、後部内側連結部38B、前部外側連結部38C、後部外側連結部38Dを備えており、
図4,
図5,
図9に示すように、前部外側連結部38Cは、ボルト、ナット50およびブラケット51を介してルーフサイドレールインナ19に連結固定している。なお、この実施例では、
図9に示すように、ルーフサイドレール17の後端部におけるルーフサイドレールインナ19の車幅方向内側面には、リヤピラー24の上部24aが一体的に接合されるので、上述の前部外側連結部38Cは、各要素50,51,24aを介してルーフサイドレールインナ19に連結されることになる。
また、他の連結部38A,38B,38Dは、
図5,
図10に示すように、ボルト、ナット52,53,54を介してリヤヘッダ16のリヤヘッダロア16Bに連結固定されている。ここで、上述のボルト、ナット50,52,53,54のうちのボルトを車室内側から締付けるように、ナットは予めボディ側に溶接固定されている。
【0058】
さらに、
図4,
図5,
図9に示すように、リトラクタブラケット38の2ndリトラクタ36の取付部36Bと、3rdリトラクタ37の取付部37Bとの間に、平面視でL字状の段差部38Eが形成され、取付部36Bに対して取付部37Bの位置が高くなるように形成されている。この段差部38Eの前部はルーフサイドレール17と略平行に形成されており、また段差部38Eの後部はリヤヘッダ16と略平行に形成されている。そして、上述の段差部38Eによりリトラクタブラケット38の剛性を向上しつつ、片持ち状態に近く剛性的に不利な3rdリトラクタ37の支持剛性向上を図ると共に、リトラクタブラケット38の振動を抑制すべく構成している。
【0059】
図4に示すように、3列目中央席用のシートベルト55のアンカ部56がリトラクタブラケット38の後部に配置されるが、このアンカ部56は単一のリトラクタブラケット38の後部左右2点の車体締結部(ボルト、ナット53,54の位置参照)を通る線Lよりも後方に配置されている。これにより、3rdリトラクタ37を車体締結部側に近付けて、その支持剛性向上を図りつつ、アンカ部56の位置を、後部左右2点の車体締結部(ボルト、ナット53,54参照)の後方配置限界に関係なく、3列目シート13のシートバック13Bよりも後方の効果的な位置に配設して、シートベルト55にて安定した乗員拘束を行なうように構成している。
上述のシートベルト55の荷重は、3rdリトラクタ37に対して後方に作用する。またアンカ部56に対しては前下方向にベルト荷重がかかる。ボルト、ナット53,54を結ぶ線Lの設定により、アンカ部56の荷重が前方に伝わるのを可及的に遮断すると共に、ボルト、ナット53,54を結ぶ線Lを支点としてリトラクタブラケット38が回動しようとするのを防止する目的で、ボルト、ナット52による車体締結部を設けている。
図4,
図5に示すように、上述のアンカ部56はベルト挿通孔56aをもったベゼル56bを備えている。
【0060】
図11は、リトラクタおよびタングホルダが組付けられたリトラクタブラケットを、車室内側から見上げた状態で示す斜視図であって、
図4,
図5,
図10においては、便宜上、その図示を省略したが、
図11に示すように、リトラクタブラケット38には、車室内側へ膨出する縦横のビード38a,38bが一体形成されている。
【0061】
また、
図4,
図5,
図11に示すように、上述のリトラクタブラケット38の前端部および車幅方向内端部には上方に延びるリブ38c,38dが一体形成されている。さらに、
図5,
図11に示すように、アンカ部56の後部におけるリトラクタブラケット38には、下方に延びるリブ38eが一体形成されている。そして、これらのビード38a,38b、リブ38c,38d,38eにより、リトラクタブラケット38それ自体の剛性向上を図っている。
さらに、
図11に示すように、上述のリトラクタブラケット38には、3rdリトラクタ37とアンカ部56との間にタング収容孔としてのホルダ用開口60が設けられている。
【0062】
詳しくは、該ホルダ用開口60は、ボルト、ナット53,54の2点間で、かつ、ボルト、ナット52,53の2点間に対応するように設けられており、該ホルダ用開口60が3rdリトラクタ37とアンカ部56との間に位置することで、後述する先端タング66および中間タング69が、3rdリトラクタ37やアンカ部56と上下方向に重なることを回避して、シートベルト装置取付構造が上下方向にコンパクトとなり、ヘッドクリアランスX(
図2参照)に対して有効となるように構成している。
上述のホルダ用開口60には、タング係止ベゼルとしての合成樹脂製のタングホルダ61が取付けられている。
【0063】
図12はタングホルダ61の斜視図、
図13は該タングホルダ61の車幅方向中央で縦断した断面図であって、該タングホルダ61の前部左右には係止爪62,63を設け、左右の係止爪62,63間にはクリップ64を設ける一方、タングホルダ61の後部には嵌合溝65を形成している。
また、タングホルダ61の車幅方向中央前部において、先端タング66(
図11参照)のガイドスリット67を後側下部に、フック部68を前側上部にそれぞれ設けている。さらに、タングホルダ61の車幅方向中央後部において、中間タング69(
図11参照)のガイドスリット70を後側上部に、フック部71を前側下部にそれぞれ設けている。
【0064】
そして、タングホルダ61がホルダ用開口60に対し、後部の嵌合溝65と、前部左右の係止爪62,63と、前部中央のクリップ64とで係合されており、これによりタングホルダ61の組付け性向上を図ると共に、組付け後にはタングホルダ61がリトラクタブラケット38に支持されることで、その剛性向上を図っている。
また、先端タング66のガイドスリット67を下部(フック部68より下部)に、フック部68を上部(ガイドスリット67より上部)に設け、中間タング69のガイドスリット70を上部(フック部71よりも上部)に、フック部71を下部(ガイドスリット70よりも下部)に設けることにより、タングホルダ61の上下方向寸法のコンパクト化を図っている。
【0065】
ところで、
図10,
図11に示すように、車幅方向内側に位置するリトラクタ、すなわち、3rdリトラクタ37とリヤヘッダ16との間には緩衝材72が挟持されている。この実施例では、
図10,
図11に示すように、緩衝材72の支持部を、3rdリトラクタ37のタイバー73で一体形成しており、このタイバー73に緩衝材72を取付け、該緩衝材72の後面側にスリットを形成して、このスリットにリヤヘッダアッパ16A、リヤヘッダロア16B、リヤヘッダレインフォースメント16Cのそれぞれの前側フランジ部を差込んでいる。
【0066】
上述の緩衝材72としてはウレタンスポンジやシーラなどを用いることができ、上記構成により、片持ち状態に近くなる車幅方向内側のリトラクタ(3rdリトラクタ37)とリヤヘッダ16との間で、必要最小限の緩衝材72により効果的にリトラクタブラケット38全体の振動を抑制すべく構成している。
【0067】
ここで、
図10に示すように、緩衝材72を支持するタイバー73(支持部材)がリヤヘッダ16の前側フランジ部と近い位置に存在し、これら両者間(タイバー73とリヤヘッダ16の前側フランジ部との間)に緩衝材72が介設されているので、3rdリトラクタ37が何等かの原因により変動しようとするのを、該緩衝材72で防止することができる。
【0068】
図10に示す構成に代えて、次の構造を採用してもよい。
すなわち、リヤヘッダ16の前側フランジ部とタイバー73(支持部材)の後方へ突出させた水平部とを上下方向に近接させて、これら両者間に、粘着テープや薄肉の防振ゴム部材をストッパ部材(緩衝材)として用いて、接着または介設してもよい。
なお、
図3,
図7,
図9において、74はリトラクタブラケット38とトップシーリング32との間に介設したクッション材である。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0069】
このように上記実施例の自動車のシートベルト装置取付構造は、1列目シート11、2列目シート12、3列目シート13を備えた自動車において、2列目中央席用のリトラクタ(2ndリトラクタ36参照)と、3列目中央席用のリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)との両方を取付けた単一のリトラクタブラケット38を設け、該リトラクタブラケット38を、上記3列目シート13上方のルーフサイドレール17とリヤヘッダ16の間に架設したものである(
図1,
図4,
図5参照)。
【0070】
この構成によれば、単一のリトラクタブラケット38で、2つのリトラクタ36,37をルーフサイドレール17とリヤヘッダ16との間のルーフパネル21下部隅部のスペースに組付け作業性よくコンパクトに配置することができ、両方のリトラクタ36,37の支持剛性の向上と、3列目シート13に着座する乗員のヘッドクリアランスX(
図2参照)の向上とを図ることができる。
また、上記単一のリトラクタブラケット38は、ルーフサイドレール17側の低い位置に2列目中央席用のリトラクタ(2ndリトラクタ36参照)を配置し、車室中央部側の高い位置に3列目中央席用のリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)を配置したものである(
図9参照)。
【0071】
この構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、ルーフサイド側は主として乗員の肩部分に相当するので、上述の如く設定することにより、3列目シート13に着座する乗員のヘッドクリアランスX(
図2参照)を、より一層向上させることができる。
さらに、上記単一のリトラクタブラケット38の2列目中央席用のリトラクタ(2ndリトラクタ36参照)取付部36Bと、3列目中央席用のリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)取付部37Bとの間に、段差部38Eが形成されたものである(
図4,
図5,
図9参照)。
【0072】
この構成によれば、リトラクタブラケット38の剛性を向上しつつ、片持ち状態に近く剛性的に不利な3列目中央席のリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)の支持剛性を向上することができると共に、リトラクタブラケット38の振動を抑制することができる。
また、上記段差部38Eが平面視でL字状に形成されたものである(
図4、
図5、
図9参照)。
この構成によれば、リトラクタブラケット38が2方向に補強されるので、リトラクタブラケット38の振動抑制の点で、さらに好ましい。
なお、平面視L字状の段差部は、ルーフサイドレールとリヤヘッダに沿うように形成されることが好ましい。
さらにまた、3列目中央席用のシートベルト55のアンカ部56が、上記単一のリトラクタブラケット38の後部左右2点の車体締結部(ボルト、ナット53,54の位置参照)を通る線Lよりも後方に配置されたものである(
図4参照)。
【0073】
この構成によれば、3列目中央席用のリトラクタ37を車体締結部側に近付けて、その支持剛性向上を図りつつ、アンカ部56の位置を、後部左右2点の車体締結部(ボルト、ナット53,54参照)の後方配置限界に関係なく、3列目シート13のシートバック13Bよりも後方の効果的な位置に配設することができ、シートベルト55にて安定した乗員拘束ができる。
加えて、上記単一のリトラクタブラケット38には、上記3列目中央席用のリトラクタ37と上記アンカ部56との間にタング収容孔(ホルダ用開口60参照)が設けられたものである(
図11参照)。
【0074】
この構成によれば、タング収容孔(ホルダ用開口60参照)をアンカ部の近傍に配して、タング66,69の垂れ下がりを防止することができると共に、後部左右2点の車体締結部(ボルト、ナット53,54参照)に近い位置にタング収容孔(ホルダ用開口60)を設けるので、該タング収容孔(ホルダ用開口60)を形成したにもかかわらず、リトラクタブラケット38の剛性を確保することができる。
また、上記タング収容孔(ホルダ用開口60参照)にタング係止ベゼル(タングホルダ61参照)が取付けられたものである(
図11参照)。
【0075】
この構成によれば、別途タング係止用のケースを設ける構造と比較して、タング収容孔(ホルダ用開口60)にタング係止ベゼル(タングホルダ61参照)を取付けることで、軽量コンパクト、かつ安価で、ヘッドクリアランスXの向上を図ることができる。
因に、リトラクタブラケットと平面視でずれた位置にタング係止用のケースを設けることも考えられるが、この場合には、上下方向のクリアランスが確保できる反面、アンカ部からのシートベルト引出し量が多くなるので、好ましくない。
さらに、車幅方向内側に位置するリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)と、上記リヤヘッダ16との間に緩衝材72が挟持されたものである(
図10参照)。
【0076】
この構成によれば、片持ち状態に近くなる車幅方向内側のリトラクタ(3rdリトラクタ37参照)と車体(リヤヘッダ)との間で、必要最小限の緩衝材72により効果的にリトラクタブラケット38全体の振動を抑制することができる。
【0077】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の2列目中央席用のリトラクタは、実施例の2ndリトラクタ36に対応し、
以下同様に、
3列目中央席用のリトラクタは、3rdリトラクタ37に対応し、
リトラクタ取付部は、取付部36B,37Bに対応し、
車体締結部は、ボルト、ナット53,54に対応し、
タング収容孔は、ホルダ用開口60に対応し、
タング係止ベゼルは、タングホルダ61に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。