(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1主梁に第2主梁を固定した主梁部を2組備え、その2組の主梁部の長手方向側面側を対向させた状態で、一定間隔離反して形成されており、当該間隔には、主梁部の長手方向に対して交差する方向に延びた小梁が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水処理施設用覆蓋。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理施設には、施設の目的や用途に応じて、その水路や水槽等に覆蓋が設けられている。例えば、浄水施設における水槽等(ろ過池など)の覆蓋は、主に水槽内における藻類の発生防止や、鳥類の糞やゴミの飛来防止等を目的として設置されている。また、下水処理施設における水槽等(沈砂池など)の覆蓋は、主に防臭や水槽内への転落防止を目的として設置されている。
【0003】
ところで、この種の覆蓋は、水槽等の内部の状態(濾過状態や沈殿状態)を確認する場合や、水槽内部の保守点検を行う場合、あるいは一般の見学者が水処理施設内を見学する場合などがあり、移動させて水槽等を開放する必要がある。特に、見学者が施設内を見学する場合には、対象となる水槽等が一時的に開放されるだけなので、覆蓋は容易に開閉できる構成が望ましい。そこで、近年においては、この種の覆蓋は、この種の作業の作業性を向上させるべく、コンクリート製のものから樹脂製のものへと推移してきている。すなわち、近年の覆蓋は、樹脂成形体の採用によって軽量化が進み、作業者の負担の軽減が図られている。
【0004】
また、近年においては、浄水施設や下水処理施設などの設備の大型化が進んでおり、それに伴い、覆蓋自身も大型化(少なくとも一辺の長さが6m以上)のものが製造される傾向にある。一方、樹脂製の覆蓋は、大型化によって、覆蓋の天板が自重やクリープ現象(例えば、長期に渡って掛かる積雪等の荷重)などの影響を受け易くなる懸念があった。すなわち、この種の覆蓋は、大型化された水槽等に採用された場合、天板が自重等によって大きく撓み、天板の中央付近に下方に凹んだ窪みを形成してしまうおそれがあった。さらに、このような状態で、雨が降ったり、風が吹いたりすると、天板に形成された窪みに土砂やゴミが堆積し、美観を損なってしまう問題が懸念されていた。
【0005】
そのため、この種の覆蓋は、天板の裏面に梁を設け、その天板の撓みに抗する補強が施された構成が一般化している。例えば、その技術が特許文献1に開示されている。
しかしながら、大型化した樹脂製の覆蓋を、単に梁によって補強したとしても、天板における経時的な撓みの進行を十分に阻止することはできず、根本的な解決策とはならなかった。
【0006】
そこで、最近の市場では、前記した梁補強が施されると共に、天板をアーチ型や山形等に配置した覆蓋が提供されている。この種の覆蓋は、梁補強のみのものに比べると、撓みの影響が少なく、大型化に起因した不具合を効果的に抑えることができる。特に、山形状に配置した天板を備えた覆蓋は、直線状に成形した部材を組み合わせて生産できるため、アーチ型のものに比べると、前記効果に加えて、生産効率が高く、比較的安価に提供できるという利点も備えている。
例えば、このような山形状の天板を備えた覆蓋が、特許文献2に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の山形状の覆蓋は、構造上、重力による水平方向に働く分力(以下、水平分力という)を外部に作用させてしまうため、単純に、水槽等の上部に置いて設置するということができなかった。すなわち、この種の覆蓋を採用した場合、設置部に、覆蓋の水平分力に耐え得る強度を備えた固定部材(例えば断面形状「L」字型の金属製部材)を設ける必要があり、またその固定部材に当該覆蓋を確実に固定する必要性があったため、覆蓋の設置に相当な手間を要していた。
【0009】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、撓みに起因した外観の不具合の発生を防止できつつも、設置手間を発生さない水処理施設用覆蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく提供される請求項1に記載の発明は、梁によって支持された天板が水槽又は水路の上部に形成された開口の一部又は全部を覆う水処理施設用覆蓋であって、前記梁は、
少なくとも2組の主梁部を有し、主梁部は、ほぼ水平方向に延びた第1主梁と、上方に向けて山形状に傾斜した第2主梁とを有し、第2主梁は、第1主梁によって支持されるものであり、さらに当該第2主梁は、前記天板を固定するべく、その上部の少なくとも一部を第1主梁よりも上方に露出させた状態にして、第1主梁の長手方向側面側に固定されて
おり、第2主梁は、直線状の2つの板状部材の端部を突き合わせた構造であり、少なくとも当該板状部材の上辺側が山形状を呈していることを特徴とする水処理施設用覆蓋である。
本発明は、梁によって支持された天板が水槽又は水路の上部に形成された開口の一部又は全部を覆う水処理施設用覆蓋であって、前記梁は、主梁部を有し、主梁部は、ほぼ水平方向に延びた第1主梁と、上方に向けて山形状に傾斜した第2主梁とを有し、第2主梁は、第1主梁によって支持されるものであり、さらに当該第2主梁は、前記天板を固定するべく、その上部の少なくとも一部を第1主梁よりも上方に露出させた状態にして、第1主梁の長手方向側面側に固定されている水処理施設用覆蓋に関連する。
【0011】
本発明の水処理施設用覆蓋は、ほぼ水平方向に延びた第1主梁に、山形状に傾斜した第2主梁を支持させ、その第2主梁に天板を固定した構成にしたため、第2主梁及び天板の自重等によって働く水平方向の分力(水平分力)を、全て第1主梁に作用させることができる。つまり、本願発明の水処理施設用覆蓋は、外部に水平分力を作用させない構成であるため、第1主梁のみで形成された単純梁構造と同様の構造とみなすことができる。そして、本発明では、単純梁構造でありつつも、第2主梁で形成した傾斜部を確保することができる。このため、本発明によれば、天板に撓みが発生したとしても、第2主梁の傾斜に沿うようにして、堆積し得る土砂等を除去することができるため、土砂等によって外観を損なうことがない。さらに、本発明では、従来の山形状の覆蓋のように、設置に際して、水平分力を考慮する必要性がないため、設置の手間が殆ど発生しない。
【0012】
このように、請求項1に記載の発明は、上部に山形の傾斜部を設けつつも、単純梁構造にしたところに特徴がある。そして、そのような構造にするべく、本発明では、第1主梁と第2主梁を用いて主梁部が形成されている。例えば、第1主梁と第2主梁に、直線状の板状部材を用いることができ、それによって主梁部を形成することができる。しかしながら、単純に考えれば、第1主梁と第2主梁を一体的にして、ホームベースのような五角形に成形した方が、生産効率が高く、合理的であるようにも思える。ところが、実際の生産現場においては、所定の規格の板体(例えば、部材厚が一定の長方形状の板体)が用いられ、その板体を所望の大きさにカットして生産が行われるため、五角形のような多角形状にカットすれば、板体の残スペースが歪な形状となり、歩留まりが著しく悪くなるおそれがあった。したがって、本発明では、所定の規格の板体を用いて主梁部を生産する場合において、別々にカットされた第1主梁と第2主梁を組み合わせて使用することができるため、前記したように、多角形状にカットされた主梁を使用するような場合に比べて、生産上の歩留まりを高めることができる。
【0013】
また、本発明は、第2主梁を、その上部の少なくとも一部が第1主梁よりも上部に露出した状態で、第1主梁の長手方向側面側に固定したため、経済的且つ合理的な構造を有した主梁部を形成することが可能である。すなわち、水処理施設用覆蓋の設置状態を基準に、第1主梁と第2主梁の合計高さ(部材の合計幅)を、撓みの影響が大きくなる箇所だけに特化して増大させることができる。つまり、本発明では、撓みの影響が大きくなる箇所の断面係数(一般的に、断面が長方形であれば高さの2乗に比例する)を重点的に増大させることができる。これにより、本発明では、従来のように、断面係数を均一にするべく、高さ成分(部材幅)にほぼ変化がない部材を採用して主梁部を構成する場合に比べると、主梁部に要する部材量を大幅に削減することが可能となる。すなわち、本発明によれば、経済的且つ合理的な構造の水処理施設用覆蓋を提供することが可能である。
【0014】
請求項
1に記載の発明は、第2主梁は、直線状の2つの板状部材の端部を突き合わせた構造であり、少なくとも当該板状部材の上辺側が山形状を呈していることを特徴とす
る。
【0015】
かかる構成によれば、予め山形状に成形した部材で第2主梁を形成するのではなく、直線状の板状部材を組み合わせて山形状の第2主梁を形成するため、山形の角度に応じた複数の金型等を用意することなく、目的等に応じた山形の角度に変更することができる。
【0016】
請求項
2に記載の発明は、第1主梁と第2主梁は、側面同士を当接して接着剤によって面接合されていることを特徴とする請求項
1に記載の水処理施設用覆蓋である。
【0017】
かかる構成によれば、第1主梁と第2主梁を、側面同士を当接した状態で、接着剤によって面接合したため、単にピンやボルト等でスポット的に接合した場合よりも、高い接合強度を発揮させることができる。
【0018】
ところで、山形状に突き合わせた板状部材の継ぎ目には、板状部材に作用する重力によって、圧縮方向(突き合わせ方向)の力が作用する。すなわち、この状態の第2主梁は、他の外力等が作用しなければ、板状部材同士が離反してしまうおそれはほぼない。しかしながら、保守点検等を行う場合において、板状部材同士の継ぎ目にその継ぎ目に沿った方向の力(せん断力)等が掛かる可能性は否定できない。
そこで、そのような可能性に対応させるべく提供される請求項
3に記載の発明は、第2主梁の突き合わせ部には、2つの板状部材同士の継ぎ目を補強する継ぎ目補強材が接続されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の水処理施設用覆蓋である。
【0019】
かかる構成によれば、第2主梁を形成する2つの板状部材同士の継ぎ目を、別部材たる継ぎ目補強材で補強するため、継ぎ目における継ぎ目に沿った方向に対する強度(せん断強度)を高めることができる。また、継ぎ目補強材は、2つの板状部材同士が離反方向に移動してしまう不具合を抑制する手段としても機能させることができる。
【0020】
請求項
4に記載の発明は、第1主梁に第2主梁を固定した主梁部を2組備え、その2組の主梁部の長手方向側面側を対向させた状態で、一定間隔離反して形成されており、当該間隔には、主梁部の長手方向に対して交差する方向に延びた小梁が設けられていることを特徴とする請求項1〜
3のいずれかに記載の水処理施設用覆蓋である。
【0021】
かかる構成によれば、2組の主梁部の間に、主梁部の長手方向に対して交差方向に延びた小梁を設けたため、主梁部に生
じ得るねじれ方向の力を抑制することができる。これに伴い、第2主梁に固定された天板に生じ得るねじれ方向の力の影響を軽減することができる。したがって、本発明によれば、主梁部や天板に、ねじれ方向の力が過剰に掛かってしまうおそれがない。
【0022】
ここで、仮に、第1主梁と第2主梁に直線状の板状部材を用いて、その第1主梁の長手方向側面に山形状の第2主梁を固定した場合を想定すると、水処理施設用覆蓋を設置した状態を基準に、第2主梁は、主に第1主梁の上部側に集中した配置となる。つまり、前記条件に基づいて主梁部を形成した場合、第1主梁の下部側においては、第2主梁が重なる領域が殆どなくなる。その結果、第1主梁の下部側では、その上部側よりも、ねじれ方向の力に対抗する強度が弱くなる。
そこで、かかる不具合を解消するべく提供される請求項
5に記載の発明は、第1主梁の長手方向側面の下部寄りに補強梁を固定したことを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載の水処理施設用覆蓋である。
【0023】
かかる構成によれば、第1主梁の長手方向側面の下部寄りに補強梁を固定したため、第1主梁における、ねじれ方向の力に抗する強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の水処理施設用覆蓋は、単純梁構造でありつつも、その上部に傾斜部が確保されているため、水平分力を考慮する必要性がなく、設置の手間が殆ど発生しない上、土砂等が天板に堆積して外観を損なうことがない。また、主梁部を、あえて別々に生産した第1主梁と第2主梁とを組み合わせて形成したため、生産上の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係る水処理施設用覆蓋について説明する。
本実施形態の水処理施設用覆蓋1は、浄水場や下水場等の水処理施設に使用されるもので、
図1に示すように、それらの施設に設けられた沈殿池等の水槽30(
図4)の開口部31(
図4)の上側を覆うように設置されるものである。より詳細には、本実施形態の水処理施設用覆蓋1は、1つの水槽30に対して、同一構造の覆蓋1を複数並べて、その開口部31を閉塞状態にするものである。
【0027】
水処理施設用覆蓋1は、
図2、3に示すように、外観が山形状を呈しており、主要な構成部材として、天板2と、梁部材3とを有する。
【0028】
天板2は、主に水槽30に向かい合うような姿勢で、水槽30の開口部31を閉塞する部分であり、平面視した形状が長方形を呈している。そして、本実施形態では、この天板2に、ガラス製の長繊維で強化されたポリウレタン発泡樹脂(FFU:Fiber reinforced Foamed Urethane)を用いて成形されたものが採用されている。なお、ここで言う「FFU」は、薄肉の繊維強化樹脂発泡体たる積層板を、所定の厚みに達するまで積層して形成されたポリウレタン発泡樹脂のことである。
【0029】
また、天板2は、長繊維の配向が、当該天板2の長手方向に向くように揃えられている。すなわち、天板2は、その長手方向と交差方向に作用する力の曲げモーメントに対する剛性、つまり撓みに対する剛性が強化された構造である。また、FFU製の天板2は、金属やコンクリート製の覆蓋等に比べて、十分に軽量化されており、さらに耐腐食性が高い性質を兼ね備えている。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、2枚の天板2が使用されている。
【0030】
梁部材3は、水処理施設用覆蓋1の骨格を担う部材であり、主梁部5と、副梁部7と、小梁部10と、補強梁部11とで構成されている。なお、梁部材3は、前記したFFUで構成されており、いずれの梁部5、7、10、11も、その長繊維の配向が、各部材の長手方向に揃えられている。
【0031】
主梁部5は、主に天板2の支持体として機能する部材であり、土台としての機能を担う第1主梁12と、天板2が直接的に固定される第2主梁13とを有する。
【0032】
第1主梁12は、直線状に延びた長尺状の第1主梁形成体(板状部材)20により構成されており、その長手方向の長さの全長(以下、単に全長という)が、
図4に示す水処理施設用覆蓋1を水槽30の上部に設置した状態を基準に、その水槽30の開口部31の一辺(水処理施設用覆蓋1と同方向に延びる開口部の一辺)よりも若干長くなるように設計されている。すなわち、第1主梁12は、水槽30の上部に設置した状態において、その長手方向両端部側の一定範囲が水槽30の開口部31から逸脱する程度の長さを有する。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、2本の第1主梁12が使用されている。
【0033】
第2主梁13は、
図3に示すように、直線状に延びた長尺状の第2主梁形成体(板状部材)21、22を2本有し、その第2主梁形成体21、22の長手方向一方の端部同士を突き合わせて、接着剤等で接合して形成されている。2本の第2主梁形成体21、22は、いずれも同一の大きさ及び形状であるため、以下においては、一方のみを説明し、他方の説明を省略する。
【0034】
第2主梁形成体21は、前記したように、直線状に延びた長尺状のものであるが、その長手方向長さの全長(以下、単に全長という)が、第1主梁12の全長よりも短く設定されている。具体的には、第2主梁形成体21の全長は、第1主梁12の全長の概ね1/2倍であり、より詳細には、
図4に示すように、2つの第2主梁形成体21、22を端部で突き合わせた状態におけるその全長が、第1主梁12の全長と同一となるように設計されている。
【0035】
また、第2主梁形成体21は、
図5に示すように、側面視した形状が平行四辺形を呈している。すなわち、本実施形態の第2主梁形成体21は、長手方向に延びる辺(以下、長手側辺という)fに対して、短手方向に延びる辺(以下、短手側辺という)gが、若干傾斜している。具体的には、その短手側辺gは、長手側辺fに対して直交した方向から一定の勾配(例えば2〜3°の勾配)で傾いている。これにより、
図4に示すように、第2主梁形成体21、22は、端部同士を突き合わせたときに、長手側辺fが前記一定の勾配で傾斜した山形状の姿勢を呈する。そして、その端部同士の突き合わせ部に、接着剤等を塗布して、第2主梁形成体21、22同士を連結している。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、2本の第2主梁形成体21、22によって形成された第2主梁13が2組使用されている。
【0036】
副梁部7は、2本の主梁部5a、5bを繋ぐものであり、副梁形成体15により構成されている。副梁形成体15は、正面視した形状が長方形を呈した板体であり、その長手方向長さの全長(単に、全長という)が、前記した第1主梁12や第2主梁の全長よりも短く設計されている。また、副梁形成体15は、水処理施設用覆蓋1を設置した状態を基準に、その高さが、主梁部5の第1主梁12と同一の高さとなるように設計されている。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、2つの副梁部7が使用されている。
【0037】
小梁部10は、副梁部7と同様、2本の主梁部5a、5bを繋ぐものであり、第1主梁12に接続される第1小梁17と、第2主梁13に接続される第2小梁18とを有する。
【0038】
第1小梁17は、細長い長尺体たる第1小梁形成体25により構成されている。第1小梁形成体25は、その長手方向長さの全長(単に、全長という)が、副梁部7とほぼ同一の長さとなるように設計されている。そして、本実施形態では、第1小梁形成体25は、その部材厚が主梁部5や副梁部7よりも薄くされ、またその幅は主梁部5や副梁部7よりも狭くされている。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、3本の第1小梁17が使用されている。
【0039】
第2小梁18は、第1小梁17と同様、細長い長尺体たる第2小梁形成体26により構成されている。第2小梁形成体26は、その長手方向長さの全長(単に、全長という)が、副梁部7とほぼ同一の長さとなるように設計されている。そして、本実施形態では、第2小梁形成体26は、その部材厚が主梁部5や副梁部7よりも薄くされ、またその幅は主梁部5や副梁部7よりも狭くされている。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、13本の第2小梁18が使用されている。
【0040】
補強梁部11は、主梁部5を補強するものであり、細長い長尺体たる補強梁形成体16により構成されている。補強梁形成体16は、その長手方向長さの全長(単に、全長という)が、主梁部5の第1主梁12とほぼ同一の長さとなるように設計されている。そして、本実施形態では、補強梁形成体16は、その部材厚が主梁部5や副梁部7よりも薄くされ、またその幅は主梁部5や副梁部7よりも狭くされている。
なお、本実施形態では、1つの水処理施設用覆蓋1に対して、2本の補強梁部11が使用されている。
【0041】
続いて、本実施形態の水処理施設用覆蓋1を構成する各部材の位置関係について説明する。
本実施形態の水処理施設用覆蓋1は、
図2に示すように、支持体たる梁部材3上に、2枚の天板2が固定されている。具体的には、
図4に示すように、2枚の天板2は、上向き方向に山形状の第2主梁13の上部において、その姿勢に沿うように配されている。すなわち、2枚の天板2のうちの一方(天板2a)を、第2主梁形成体21の上部に配し、他方(天板2b)を第2主梁形成体22の上部に配している。そして、この2枚の天板2は、第2主梁13上における山形状の姿勢を維持させるべく、図示しないボルト・ナット等の締結要素及び接着剤等を介して、第2主梁形成体21、22に固定されている。
【0042】
一方、その天板2を固定した山形状の第2主梁13は、山形の頂部を上方に向けた姿勢で第1主梁12に固定されている。すなわち、第2主梁13は、その長手方向側面の一部を、第1主梁12の長手方向側面に当接した状態で、第1主梁12に固定されている。より詳細には、第2主梁13は、長手方向両端部側の上端を、第1主梁12の上端と同一の高さ位置に合わせ、当該第2主梁13の長手方向中途の部分が第1主梁12の上端から上方に露出するような姿勢にし、そして第1主梁12の長手方向側面に当接した部分において面接合されている。すなわち、主梁部5は、第1主梁12と第2主梁13の側面同士を面接合して形成されたものであり、第1主梁12を土台として機能させることができる構造である。つまり、主梁部5は、所謂単純梁構造であり、第1主梁12の長手方向を水平にし、その状態の第1主梁12の上部に、山形状の傾斜を設けた構成である。
なお、この第1主梁12と第2主梁13とを面接合するための手段としては、所定の接着剤が使用されている。
【0043】
そして、このようにして形成された単純梁構造を備えた2組の主梁部5a、5bが、
図6に示すように、その長手方向側面側が向き合うような姿勢で、一定距離離間して配されている。そして、
図2、4に示すように、その2つの主梁部5a、5bの長手方向両端部のそれぞれに、副梁部7a、7bを配し、両者を接着剤等で接合している。すなわち、2つの副梁部7a、7bは、2つの主梁部5a、5bの対向方向と直交する方向に対向した姿勢で、主梁部5a、5bに固定されている。
【0044】
こうして、主梁部5と副梁部7の4面で囲繞された囲繞空間Sが形成され、その囲繞空間S内に小梁部10及び補強梁部11とが配されて固定されている。具体的には、小梁部10たる3本の第1小梁17と13本の第2小梁18が、
図7、8に示すように、その長手方向が主梁部5の長手方向と直交する姿勢で配され、補強梁部11が、
図9に示すように、その長手方向が主梁部5の長手方向と平行になるように配されている。
【0045】
より詳細には、3本の第1小梁17a〜17cは、
図10に示すように、主梁部5の長手方向に等間隔で並べられており、そのうちの1つの第1小梁17bは、主梁部5の長手方向のほぼ中央に固定されている。また、各第1小梁17a〜17cは、主梁部5の下部側であって、第1主梁12に接続されている。つまり、本実施形態では、3本の第1小梁17a〜17cは、第1主梁12の長手方向中央に配された第1小梁17bを基準に、第1主梁12の長手方向一方の端部側に1つ(第1小梁17a)配され、第1主梁12の長手方向他方の端部側に別の1つ(第1小梁17c)が配されている。そして、各第1小梁17a〜17cは、
図7に示すように、その両端部を対向姿勢の第1主梁12の内側側面に突き合わせて、接着剤等を用いて、第1主梁12に接合されている。
【0046】
13本の第2小梁18a〜18mは、
図10に示すように、主梁部5の長手方向に等間隔(第1小梁17a〜17cの間隔よりも小さい)で並べられており、そのうちの1つの第2小梁18gは、主梁部5の長手方向のほぼ中央に固定されている。また、各第2小梁18a〜18mは、主梁部5の上部側であって、第2主梁13に接続されている。つまり、本実施形態では、13本の第2小梁18a〜18mは、第2主梁13の長手方向中央に配された第2小梁18gを基準に、第2主梁13の長手方向一方の端部側に6つの第2小梁18a〜18fが等間隔で配され、第2主梁13の長手方向他方の端部側に別の6つの第2小梁18h〜18mが等間隔で配されている。そして、各第2小梁18a〜18mは、
図8に示すように、その両端部を対向姿勢の第2主梁13の内側側面に突き合わせて、接着剤等を用いて、第2主梁13に接合されている。
なお、本実施形態では、第2主梁13に接合された各第2小梁18a〜18mは、その上端が第2主梁13の上端とほぼ同一面上となる位置に設定されている。
【0047】
また、補強梁部11は、
図9、10に示すように、主梁部5の下部側であって、その主梁部5の長手方向に内側側面に沿わすようにして固定されている。すなわち、補強梁部11は、その長手方向を、第1主梁12の長手方向に沿わした状態で配し、接着剤等を用いて、当該第1主梁12の内側側面に接合されている。より具体的には、補強梁部11は、その部材の幅方向端部を第1主梁12の内側側面に接合している。
【0048】
以上のように、本実施形態では、ほぼ水平方向に延びた第1主梁12に、山形状に傾斜した第2主梁13を支持させ、その第2主梁13に天板2を固定した構成にしたため、第2主梁13及び天板2の自重等によって働く水平方向の分力(水平分力)を、全て第1主梁12に作用させることができる。つまり、本実施形態の水処理施設用覆蓋1は、外部に水平分力を作用させない構成であるため、第1主梁12のみで形成された単純梁構造と同様の構造とみなすことができる。そして、本実施形態では、単純梁構造でありつつも、第2主梁13で形成した天板2の傾斜部を確保することができる。このため、本実施形態によれば、天板2に撓みが発生したとしても、第2主梁13の傾斜に沿うようにして、堆積し得る土砂等を除去することができるため、土砂等によって外観を損なうことがない。さらに、本実施形態では、従来の山形状の覆蓋のように、水槽30への設置に際して、水平分力を考慮する必要性がないため、設置の手間が殆ど発生しない。
【0049】
上記実施形態では、第2主梁13を、長手方向側面を対向するように配置した第1主梁12の内側に配置した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、第2主梁13を、長手方向側面を対向するように配置した第1主梁12の外側に配置しても構わない。
【0050】
上記実施形態では、複数の水処理施設用覆蓋1を用いて、1つの水槽30の開口部31を閉塞できる水処理施設用覆蓋1の構成を示したが、本発明はこれに限定されず、1つの水槽の開口部を、1つの水処理施設用覆蓋で閉塞できる構成であっても構わない。
【0051】
上記実施形態では、第2主梁13は、第2主梁形成体21、22の長手方向端部を単に突き合わせて接着剤で接合した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、接着剤に替えてあるいは加えて、板状の継ぎ目補強材を用いて、第2主梁形成体21、22同士を接合した構成であっても構わない。この構成によれば、第2主梁形成体21、22との継ぎ目に、せん断力が掛かったとしても、継ぎ目補強材が対抗できるため、一定以上のせん断力に対する強度を付与することができる。
【0052】
上記実施形態では、FFUによって形成された水処理施設用覆蓋1の構成を示したが、本発明はこれに限定されず、FFU以外の材料、つまり木材や、その他の樹脂(カーボン製の樹脂等)によって形成された水処理施設用覆蓋の構成であっても構わない。
【0053】
上記実施形態では、第1主梁12と第2主梁13とを接着剤によって面接合した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、接着剤に加えてあるいは替えて、ボルト・ナットや結束バンド等を、第1主梁12と第2主梁との接合手段として使用しても構わない。