特許第5965294号(P5965294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965294
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H02K13/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-247723(P2012-247723)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-96941(P2014-96941A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】会田 聡士
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−163662(JP,A)
【文献】 特開2010−154659(JP,A)
【文献】 特開2000−197317(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0047377(US,A1)
【文献】 米国特許第04638203(US,A)
【文献】 特開平10−201184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部を有するモータケース内に、アーマチュアが回転自在に支持されているモータ部と、
前記筒部の開口部を閉塞するように、前記モータケースが固定される被固定部材と、からなるモータハウジングと、
前記被固定部材内に設けられ、前記アーマチュアに給電を行うためのブラシ装置とを備え、
前記被固定部材の前記モータケース側に、前記ブラシ装置を配置可能なブラシ装置取付部を形成すると共に、このブラシ装置取付部の周縁部に、前記筒部と係合して前記モータケースの位置決めを行う複数の位置決め突起を設け、
前記ブラシ装置は、
前記ブラシ装置取付部に配置されるブラシホルダと、
このブラシホルダに支持され、前記アーマチュアのコンミテータに摺接するブラシとを備え、
前記ブラシホルダは板状のベース部を有し、
このベース部の側面は、前記モータハウジングの内側面に沿うように、前記アーマチュアの回転中心を挟んで両側に対向配置され直線状に延びる2つの直線側面と、これら2つの直線側面を連結し弧状に延びる2つの弧状側面とにより構成され、
前記直線側面の前記複数の位置決め突起に対応する箇所に、これら位置決め突起との干渉を回避するための段差部を形成し、
少なくとも前記直線側面の前記段差部を避けた箇所に、前記モータハウジングの内側面に沿う直線壁を立ち上がり形成すると共に、この直線壁の前記コンミテータ側の前記段差部を避けた箇所に、前記ブラシを配置したことを特徴とするモータ装置。
【請求項2】
前記ブラシ装置取付部は、前記ブラシ装置を収納可能な断面長円形状の凹部からなり、前記ベース部の前記直線壁は前記凹部の内周面に沿うように構成されることを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
前記ブラシは、前記ブラシホルダに固定された板ばねを介して支持されており、
前記板ばねの基端が前記ブラシホルダに固定されている一方、自由端とされている先端に前記ブラシが固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記複数の位置決め突起は、前記ベース部の前記直線側面と前記弧状側面との接続部周辺に形成されており、
前記直線壁は、
前記直線側面の前記段差部を避けた箇所に形成された第1壁部と、
この第1壁部の周方向両端から前記位置決め突起を避けるように、前記コンミテータ側に向かって屈曲延出する一対の第2壁部とを有していることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のモータ装置。
【請求項5】
前記直線壁は、前記第2壁部から前記段差部に沿うように前記弧状側面に向かって延出形成された第3壁部を有していることを特徴とする請求項4に記載のモータ装置。
【請求項6】
前記板ばねの基端は、前記ブラシホルダの前記弧状側面の近傍に固定されていることを特徴とする請求項3〜請求項5の何れか1項に記載のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両に搭載される各種電装品を駆動するためのモータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるモータ装置として、ブラシ付き直流モータで構成されたモータ部と、このモータ部に固定されるブラケットとを備えたものが知られている。モータ部は、有底円筒形状のモータケース内にアーマチュアが回転自在に支持されたものである。アーマチュアは、回転軸に、巻線が巻装されたアーマチュアコアと、コンミテータとが外嵌固定されたものである。
【0003】
また、モータ部には、ブラシ装置が設けられている。ブラシ装置は、コンミテータに摺接する複数のブラシと、これら各ブラシを支持するブラシホルダ(ブラシホルダステー)とを備えている。そして、有底円筒形状のモータケース内に、ブラシホルダが収まるように構成されている。各ブラシは外部電源に電気的に接続されており、ブラシ及びコンミテータを介して外部電源の電力が巻線に供給されるようになっている。
【0004】
さらに、モータ部のモータケースとブラケットとの間には、ブラケットとブラシ装置との絶縁を図るためのブラシカバーが設けられている。ブラシカバーは、ブラシ装置の周囲を取り囲むように円筒状に形成されており、ブラシとの間に十分なスペースが確保されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−201184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両へ搭載されるモータ装置の配置スペースを省スペース化する対策として、モータ装置を偏平化することが考えられる。より具体的には、モータケースの断面形状を、円筒形状から断面長円形状に変更し、モータケースを偏平化させることが考えられる。このように、モータケースを偏平化させると、ブラシホルダやブラシカバーも偏平化する必要がある。
ここで、ブラシホルダの偏平部分にブラシを配置すると、ブラシとブラシカバーとの間隔が短くなる。このため、ブラシカバーにブラシが接触し、ブラシ装置が正常に動作しなくなる恐れがあるという課題がある。
【0007】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ブラシ装置の絶縁を図りつつ、ブラシ装置を確実に正常動作させることができるモータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るモータ装置は、筒部を有するモータケース内に、アーマチュアが回転自在に支持されているモータ部と、前記筒部の開口部を閉塞するように、前記モータケースが固定される被固定部材と、からなるモータハウジングと、前記被固定部材内に設けられ、前記アーマチュアに給電を行うためのブラシ装置とを備え、前記被固定部材の前記モータケース側に、前記ブラシ装置を配置可能なブラシ装置取部を形成すると共に、このブラシ装置取付部の周縁部に、前記筒部と係合して前記モータケースの位置決めを行う複数の位置決め突起を設け、前記ブラシ装置は、前記ブラシ装置取付部に配置されるブラシホルダと、このブラシホルダに支持され、前記アーマチュアのコンミテータに摺接するブラシとを備え、前記ブラシホルダは板状のベース部を有し、このベース部の側面は、前記モータハウジングの内側面に沿うように、前記アーマチュアの回転中心を挟んで両側に対向配置され直線状に延びる2つの直線側面と、これら2つの直線側面を連結し弧状に延びる2つの弧状側面とにより構成され、前記直線側面の前記複数の位置決め突起に対応する箇所に、これら位置決め突起との干渉を回避するための段差部を形成し、少なくとも前記直線側面の前記段差部を避けた箇所に、前記モータハウジングの内側面に沿う直線壁を立ち上がり形成すると共に、この直線壁の前記コンミテータ側の前記段差部を避けた箇所に、前記ブラシを配置したことを特徴とする。
【0009】
このように、ブラシホルダのベース部の直線側面に、位置決め突起との干渉を回避するための段差部を形成することにより、段差部を避けた直線側面の位置を、位置決め突起の位置とは無関係に、コンミテータから径方向外側に離間させることができる。このため、ブラシと直線壁との間隔も十分確保できる。この結果、直線壁によって、ブラシとモータハウジングとの間の絶縁性を確保できると共に、直線壁とブラシとが接触してしまうことを防止できる。よって、ブラシ装置の絶縁を図りつつ、ブラシ装置を確実に正常動作させることができる。
【0010】
本発明に係るモータ装置は、前記ブラシ装置取付部は、前記ブラシ装置を収納可能な断面長円形状の凹部からなり、前記ベース部の前記直線壁は前記凹部の内周面に沿うように構成されることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、凹部の内周側面とブラシとが接触してしまうことを防止できる。よって、ブラシ装置の絶縁を図りつつ、ブラシ装置を確実に正常動作させることができる。
【0012】
本発明に係るモータ装置は、前記ブラシは、前記ブラシホルダに固定された板ばねを介して支持されており、前記板ばねの基端が前記ブラシホルダに固定されている一方、自由端とされている先端に前記ブラシが固定されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、ブラシとブラシホルダの直線壁との間隔が狭くても、コンミテータに向かってブラシを確実に付勢することができる。このため、より確実にブラシ装置を正常動作させることができる。
【0014】
本発明に係るモータ装置は、前記複数の位置決め突起は、前記ベース部の前記直線側面と前記弧状側面との接続部周辺に形成されており、前記直線壁は、前記直線側面の前記段差部を避けた箇所に形成された第1壁部と、この第1壁部の周方向両端から前記位置決め突起を避けるように、前記コンミテータ側に向かって屈曲延出する一対の第2壁部とを有していることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、第2壁部が第1壁部の剛性を高めるためのリブとして機能し、第1壁部の倒れを防止することができる。このため、より確実に壁部とブラシとが接触してしまうことを防止できる。
【0016】
本発明に係るモータ装置は、前記直線壁は、前記第2壁部から前記段差部に沿うように前記弧状側面に向かって延出形成された第3壁部を有していることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、さらに直線壁の剛性を高めることができる。また、直線壁の面積が拡がる分、ブラシホルダ上の導通部材と被固定部材との間の絶縁性を高めることができる。
【0018】
本発明に係るモータ装置は、前記板ばねの基端は、前記ブラシホルダの前記弧状側面の近傍に固定されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、板ばねの支点(固定点)と作用点(自由端)との間の距離を十分確保することができ、コンミテータにブラシを確実に付勢することができる。また、ブラシホルダの弧状側面の近傍で板ばねを固定することにより、直線壁とコンミテータとの間における板ばねの占有スペースを最小限に抑えることができる。このため、ブラシと直線壁との間隔を十分確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ブラシホルダのベース部の直線側面に、位置決め突起との干渉を回避するための段差部を形成することにより、段差部を避けた直線側面の位置を、位置決め突起の位置とは無関係にコンミテータから径方向に離間させることができる。このため、ブラシと直線壁との間隔も十分確保できる。この結果、直線壁によってブラシと被固定部材との間の絶縁性を確保できると共に、直線壁とブラシとが接触してしまうことを防止できる。よって、ブラシ装置の絶縁を図りつつ、ブラシ装置を確実に正常動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態におけるモータ装置のモータ部及び減速機構の一部を切欠いた平面図である。
図2】本発明の実施形態におけるモータケースを示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態における減速機構の側面図である。
図4】本発明の実施形態におけるブラシ装置の平面図である。
図5】本発明の実施形態におけるブラシホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(モータ装置)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、モータ装置のモータ部及び減速機構の一部を切欠いた平面図である。
同図に示すように、モータ装置1は、例えば、四輪車の駆動を二輪駆動と四輪駆動とに切り替える駆動切替装置に用いられるものであって、モータ部2と、モータ部2のモータケース3が取り付けられ、モータ部2の回転が伝達される減速機構4とを備えている。
【0023】
(モータ部)
図2は、モータケースを示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1図2(a)、図2(b)に示すように、有底筒状のモータケース3内にアーマチュア5が回転自在に設けられ、モータケース3の開口部3aに、ブラシ装置6が設けられたものである。
【0024】
ここで、モータケース3は、モータハウジングの一部として構成されており、金属板をプレス加工等によって深絞り成型したものである。モータケース3の筒部103は断面略長円形状(所謂、小判型形状)に形成されており、アーマチュア5の回転中心を挟んで両側に対向配置された2つの平坦壁103a,103aと、アーマチュア5の回転中心を挟んで両側に対向配置され2つの平坦壁103a,103aを連結する2つの弧状壁103b,103bと、モータケース3の軸方向一端側を閉塞する底壁3bにより構成されている。
2つの弧状壁103b,103bの内面側には、それぞれ瓦状の永久磁石7が接着等の固定手段により取付けられている。つまり、モータケース3の平坦壁103a及び弧状壁103bは、それぞれ永久磁石7の磁路を形成する役割を有している。尚、永久磁石7としては、フェライト、ネオジボンド、ネオジ焼結等のさまざまな材料を採用することが可能である。
【0025】
モータケース3の底壁3bには、径方向略中央に、軸方向外側に向かって突出する軸受部8が一体成形されている。軸受部8は、アーマチュア5の回転軸9の一端を回転自在に支持するものであって、段付きの有底円筒状に形成されている。
軸受部8の底部8aの内面側には、スラストプレート10が収納されている。また、軸受部8の周壁8bの内面側には、すべり軸受11が固定されている。さらに、軸受部8には、スラストプレート10とすべり軸受11との間に、回転軸9の一端側に固定された樹脂製の摺接部材12が設けられている。この摺接部材12を介し、回転軸9のスラスト荷重を、スラストプレート10が受けるようになっている。
【0026】
また、モータケース3の開口部3aは、断面略長円形状を維持しつつ、僅かに拡径形成されている。この拡径形成された部位は、減速機構4に設けられた後述の位置決め突起32がインロー嵌合されるインロー嵌合部13として機能している。
【0027】
このインロー嵌合部13の開口縁には、外フランジ部14が形成されている。外フランジ部14は、モータケース3を減速機構4に締結固定するためのものであって、軸方向平面視略五角形状に形成され、且つ頂点となる部分が開口部3aの長手方向に位置するように形成されている。
外フランジ部14の頂点となる部分には、ボルト孔15が1つ形成されている。また、外フランジ部14の頂点とは、インロー嵌合部13を挟んで反対側には、ボルト孔15が線対称となる位置に2つ形成されている。
【0028】
図1に示すように、モータケース3内に回転自在に設けられたアーマチュア5は、回転軸9と、回転軸9の永久磁石7に対応する位置に外嵌固定されたアーマチュアコア16と、アーマチュアコア16に巻装されたアーマチュアコイル17と、回転軸9の減速機構4側で、且つブラシ装置6に対応する位置に外嵌固定されたコンミテータ18とを備えている。
アーマチュアコア16は、例えば、リング状の金属薄板を軸方向に複数枚積層することにより形成される。尚、軟磁性粉を加圧成形することにより、アーマチュアコア16を形成してもよい。
【0029】
アーマチュアコア16には、軸方向平面視でT字型の複数のティース19が径方向外側に向かって放射状に突出形成されている。また、周方向に隣接する各ティース19間には、蟻溝状のスロット20が形成されている。
このように形成されたアーマチュアコア16には、絶縁性の樹脂からなる不図示のインシュレータが装着されている。このインシュレータの上から、各ティース19にエナメル被覆のアーマチュアコイル17が複数巻装される。各アーマチュアコイル17の端末部は、コンミテータ18側に引き出され、それぞれコンミテータ18に接続されている。
【0030】
コンミテータ18の外周面には、導電材で形成された複数のセグメント21が取り付けられている。セグメント21は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
各セグメント21のアーマチュアコア16側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ22が一体成形されている。そして、複数のセグメント21のライザ22に、各アーマチュアコイル17の端末部が掛け回され、ヒュージングにより固定されている。これにより、コンミテータ18とアーマチュアコイル17とが接続される。
このように構成されたアーマチュア5には、回転軸9の減速機構4側に、この減速機構4の一部を構成するウォーム軸23が一体回転可能に設けられている。
【0031】
(減速機構)
図3は、モータ部側からみた減速機構の側面図である。
図1図3に示すように、減速機構4は、ウォーム軸23や、このウォーム軸23と噛合される不図示の歯車により構成される歯車部24と、歯車部24を収納するモータハウジングの一部としてのギヤハウジング(被固定部材、ブラケット)25とを有している。
【0032】
ギヤハウジング25の外周部には、このギヤハウジング25を外部機器に固定するための台座部38が3か所形成されている。台座部38には、不図示のボルトを挿通可能なボルト孔38aが形成されている。
また、ギヤハウジング25のモータ部2側の側面は、モータ部2の取付面25aとされており、モータケース3の外フランジ部14が当接するようになっている。取付面25aは、外フランジ部14の形状に対応するように、平面視略五角形状に形成されている。そして、外フランジ部14のボルト孔15に対応する部位に、ボルト100が螺入される雌ネジ部31が刻設されている。そして、各ボルト孔15を介して3つのボルト100を雌ネジ部31に螺合することによって、ギヤハウジング25にモータケース3が締結固定される。尚、符号101は外フランジ部14と取付面25aとの間に挟持されるシール部材である。
【0033】
また、ギヤハウジング25の取付面25aには、モータケース3の開口部3aに対応するように、ブラシ装置取付部としてのブラシ収納凹部30が形成されている。ギヤハウジング25にモータケース3を取り付けた状態では、ブラシ収納凹部30に、モータ部2のコンミテータ18が臨まされている。
【0034】
ブラシ収納凹部30には、ブラシ装置6が収納される。このため、ブラシ収納凹部30は、モータケース3の開口部3aに対応するように、断面略長円形状に形成されている。より詳しくは、ブラシ収納凹部30の内側面は、アーマチュア5の回転軸9を挟んで両側に対向配置された2つの平坦面130a,130aと、アーマチュア5の回転軸9を挟んで両側に対向配置され2つの平坦面130a,130aを連結する2つの弧状面130b,130bと、底面130dとにより構成されている。
【0035】
また、ブラシ収納凹部30の開口縁には、平坦面130aと弧状面130bとの接続部130cの周辺に、それぞれ4つの位置決め突起32がモータ部2側に向かって突出形成されている。すなわち、ブラシ収納凹部30の開口縁の4隅に、それぞれ位置決め突起32が突出形成されている。この位置決め突起32は、モータケース3のインロー嵌合部13の内周面にインロー嵌合されてモータケース3の位置決めを行うためのものであって、平坦面130aから突出する平坦突起部32aと、弧状面130bから突出する弧状突起部32bとにより構成されている。
【0036】
そして、モータケース3の平坦壁103aの内面に、平坦突起部32aが当接すると共に、モータケース3の弧状壁103bの内面に、弧状突起部32bが当接するようになっている。これにより、ブラシ収納凹部30に対するモータケース3の位置決めが行われる。
また、位置決め突起32には、先端の角部に丸面取り部33が形成されている。丸面取り部33を形成することにより、モータケース3のインロー嵌合部13に位置決め突起32をインロー嵌合する際、位置決め突起32の角部が引っ掛かることがなく、スムーズにインロー嵌合させることが可能になる。
【0037】
また、ブラシ収納凹部30の底面130dには、2つの弧状面130b,130bのうちの一方側に、配線用凹部34が没設されている。この配線用凹部34は、不図示の外部電源から延びるハーネス35をブラシ収納凹部30内に引き込むためのものである。配線用凹部34には、この配線用凹部34とギヤハウジング25の外部とを連通する連通孔36が形成されている。連通孔36にはグロメット37が装着されており、このグロメット37を介してハーネス35がブラシ収納凹部30内に引き込まれるようになっている。
【0038】
さらに、ブラシ収納凹部30の底面130dには、中央部分にウォーム軸23を挿通可能なウォーム挿通孔26が形成されている。このウォーム挿通孔26を通って、ギヤハウジング25内にウォーム軸23が収納される。
ウォーム軸23は、軸本体23aを有しており、この軸本体23aの一端が回転軸9と一体回転可能に設けられていると共に、他端がギヤハウジング25に回転自在に軸支されている。また、軸本体23aには、歯部23bが刻設されている。この歯部23bが、他の不図示の歯車に噛合される。尚、本実施形態においては、回転軸9と軸本体23aとは一体成形されているが、それぞれの軸を個別に形成し、所望の連結手段を用いて一体回転可能に連結するようにしてもよい。
【0039】
ギヤハウジング25のウォーム挿通孔26には、ウォーム軸23の軸本体23aの一端を回転自在に支持するためのすべり軸受27が圧入固定されている。また、ギヤハウジング25には、ウォーム軸23の軸本体23aの他端に対応する箇所に、軸受凹部28が形成されている。この軸受凹部28に、軸本体23aの他端を回転自在に支持するためのすべり軸受29aが圧入固定されている。また、軸受凹部28の底面28aには、スラストプレート29bが設けられている。このスラストプレート29bは、ウォーム軸23のスラスト荷重を受けるためのものである。
【0040】
(ブラシ装置)
図4は、ブラシ装置の平面図、図5は、ブラシ装置のブラシホルダの斜視図である。
図1図4図5に示すように、ブラシ装置6は、コンミテータ18に摺接される2つのブラシ41,41と、これら2つのブラシ41,41を支持する樹脂製のブラシホルダ42とを備え、このブラシホルダ42がギヤハウジング25のブラシ収納凹部30に収納されている。
【0041】
ブラシホルダ42は、一面に開口部42aを有する箱状に形成されており、板状のベース部43と、ベース部43の側面から立ち上がる周壁44とにより構成されている。そして、ブラシホルダ42は、ブラシ収納凹部30の底面130d側にベース部43を向けた状態で、ブラシ収納凹部30に嵌め込むようにして収納されている。
【0042】
ベース部43は、ブラシ収納凹部30の断面形状に対応するように平面視略長円形状に形成されている。すなわち、ベース部43の側面は、ブラシ収納凹部30の平坦面130aに沿うように直線状に形成された2つの直線側面45と、ブラシ収納凹部30の弧状面130bに沿うように弧状に形成された弧状側面46とにより構成されている。
そして、ブラシ収納凹部30にブラシホルダ42を収納した状態では、直線側面45と弧状側面46との接続部140の外周側に位置決め突起32が位置する状態になっている。
【0043】
直線側面45には、ギヤハウジング25に形成されている位置決め突起32の平坦突起部32aに対応する部位に、この平坦突起部32aとの干渉を回避すると共に、ブラシホルダ42をブラシ収納凹部30に装着する際のガイドとなる直線段差部47aが形成されている。また、弧状側面46には、位置決め突起32の弧状突起部32bに対応する部位に、この弧状突起部32bとの干渉を回避すると共に、ブラシホルダ42をブラシ収納凹部30に装着する際のガイドとなる弧状段差部47bが形成されている。
【0044】
さらに、ベース部43の中央部には、回転軸9を挿通可能な挿通孔48が形成されている。また、ベース部43には、2つの直線側面45のうちの一方(図4においては紙面の下側に位置している直線側面45)側に、平面視略四角形状の開口窓49が形成されている。この開口窓49には、後述する端子部61の先端部が配置されるようになっており、不図示の外部電源から延びてブラシ収納凹部30内に引き込まれたハーネス35(図1参照)と接続可能に構成されている。
【0045】
このように形成されたベース部43の各側面45,46から立ち上がる周壁44は、各側面45,46に対応するように形成されている。すなわち、周壁44は、ブラシ収納凹部30の平坦面130aに沿うように直線状に形成された2つの直線壁51と、ブラシ収納凹部30の弧状面130bに沿うように弧状に形成された弧状壁52とにより構成されている。
【0046】
直線壁51は、ギヤハウジング25に形成されている位置決め突起32の平坦突起部32aに対応する部位に、この平坦突起部32aとの干渉を回避するための直線段差部53aが形成されている。また、弧状壁52には、位置決め突起32の弧状突起部32bに対応する部位に、この弧状突起部32bとの干渉を回避するための弧状段差部53bが形成されている。
【0047】
直線壁51に直線段差部53aを形成することにより、直線壁51は、直線段差部53aを避けた箇所に形成された第1直壁部51aと、この第1直壁部51aの周方向両端から延出される第2直壁部51bと、この第2直壁部51bから延出される第3直壁部51cとにより構成される。
第2直壁部51bは、第1直壁部51aから位置決め突起32の平坦突起部32aを避けるように径方向内側に向かって、つまり、第1直壁部51aからコンミテータ18側に向かって屈曲延出されている。第3直壁部51cは、第2直壁部51bから直線段差部53aに沿うように、弧状壁52に向かって延出形成されている。
【0048】
また、直線壁51の大部分には、ギヤハウジング25の取付面25a(図1参照)に至るまで延出するように、延出部54が形成されている。この延出部54も第1直壁部51a、第2直壁部51b及び第3直壁部51cにより構成されている。延出部54により、ブラシホルダ42の直線壁51を挟んだ内側と外側との間を確実に絶縁できる。
【0049】
一方、弧状壁52も、弧状段差部53bを形成することにより、弧状段差部53bを避けた箇所に形成された第1弧壁部52aと、この第1弧壁部52aの周方向両端から延出される第2弧壁部52bと、この第2弧壁部52bから延出される第3弧壁部52cとにより構成される。
第2弧壁部52bは、第1弧壁部52aから位置決め突起32の弧状突起部32bを避けるように径方向内側に向かって、つまり、第1弧壁部52aからコンミテータ18側に向かって屈曲延出されている。第3弧壁部52cは、第2弧壁部52bから弧状段差部53bに沿うように、直線壁51に向かって延出形成されている。
【0050】
また、第1弧壁部52a及び第2弧壁部52bには、ギヤハウジング25の取付面25a(図1参照)に至るまで延出するように、延出部55が形成されている。この延出部55も第1弧壁部52a及び第2弧壁部52bにより構成されている。延出部55及び第3弧壁部53bにより、ブラシホルダ42の弧状壁52を挟んだ内側と外側との間を確実に絶縁できる。
【0051】
さらに、延出部55の先端には、径方向外側に向かって外フランジ部56が形成されている。一方、ギヤハウジング25の取付面25aには、外フランジ部56に対応する箇所に、この外フランジ部56を受け入れる凹部57が形成されている。この凹部57に外フランジ部56が載置されることにより、モータケース3とギヤハウジング25とを締結固定する際に、外フランジ部56が挟持され、ブラシ収納凹部30の深さ方向に対するブラシホルダ42の位置決めが行われる。
【0052】
このように構成されたブラシホルダ42に支持される2つのブラシ41は、それぞれブラシホルダ42の第1直壁部51aの径方向内側、つまりコンミテータ18側に配置されている。換言すれば、2つのブラシ41は、ブラシホルダ42の直線壁51のうち、直線段差部53aを避けた位置に存在する第1直壁部51aの径方向内側に配置されている。そして、板ばね58の先端に、ブラシ41が取り付けられている。
【0053】
板ばね58は、弧状壁52の第2弧壁部52bの径方向内側から直線壁51に沿うように屈曲延出し、第1直壁部51aの近傍に至るまで延在している。板ばね58のブラシ41が取り付けられている先端58a側には、板ばね58の剛性を高めるために切起し部59が設けられている。
【0054】
一方、板ばね58の基端58b側は、ベース部43に固定された固定端子60とスポット溶接等の固定手段によって電気的に接続されている。固定端子60は、金属板材を折曲して形成され、ブラシホルダ42のベース部43に固定される固定ベース60aと、固定ベース60aから立ち上がり形成された支持板60bとが一体成形されたものである。そして、固定端子60は、ブラシホルダ42のベース部43の第1弧壁部52aと挿通孔48との間に、固定ベース60aが配置されると共に、支持板60bの先端側に板ばね58の基端58bが取り付けられる。
【0055】
このように、板ばね58は、基端58b側が固定端となり、ブラシ41が取り付けられている先端58a側が自由端となる。そして、板ばね58により、コンミテータ18側に向かってブラシ41が付勢された状態になる。板ばね58の先端58a側には、切起し部59が設けられているので、板ばね58の先端58a側の撓みを防止できる。このため、コンミテータ18のセグメント21に、ブラシ41を確実に摺接させることができる。
【0056】
ここで、ブラシ41は、ブラシホルダ42の直線壁51のうち、第1直壁部51aの近傍、つまり、第1直壁部51aの径方向内側に配置されている。第1直壁部51aは、直線段差部53aを避けた位置に存在していることから位置決め突起32の平坦突起部32aと同一平面上に位置している。このため、ブラシ41と第1直壁部51aとの間の距離L1を十分確保することができる。
【0057】
また、固定端子60の固定ベース60aには、この固定ベース60aからブラシホルダ42の開口窓49に至るまで屈曲延出する端子部61が一体成形されている。この端子部61の先端が開口窓49に臨まされている。
ここで、ブラシホルダ42のベース部43には、端子部61に対応する箇所に、この端子部61を受け入れる凹部43aが形成されている。この凹部43aに端子部61が収納されることにより、ベース部43上に端子部61が突出せず、近接して配置されたコンミテータ18との不用意な接触を防止できる上、ベース部43上のスペースを有効活用できるようになっている。
【0058】
また、開口窓49において、端子部61の先端と、ブラシ収納凹部30内に引き込まれたハーネス35とが接続されるようになっている(図1参照)。すなわち、固定端子60は、板ばね58を支持しつつ、この板ばね58とブラシ収納凹部30内に引き込まれたハーネス35とを電気的に接続する役割を有している。
【0059】
このような構成のもと、不図示の外部電源の電流がハーネス35、固定端子60、板ばね58を伝ってブラシ41に供給され、さらに、このブラシ41と摺接するコンミテータ18のセグメント21を介し、アーマチュアコイル17に供給される。すると、アーマチュアコイル17が巻装されているアーマチュアコア16に磁界が形成される。そして、アーマチュアコア16とモータケース3に設けられている永久磁石7との間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、アーマチュア5が回転する。
アーマチュア5が回転すると、アーマチュア5の回転軸9に連結されているウォーム軸23が回転し、このウォーム軸23を含む歯車部24を介してアーマチュア5の回転力が、例えば、駆動切替装置へと出力される。
【0060】
ここで、ブラシ41は、板ばね58によってセグメント21に摺接するように支持されているので、アーマチュア5の回転に伴って僅かに振動する。この際、ブラシ41とブラシホルダ42の第1直壁部51aとの間の距離L1が十分確保されているので、ブラシ41が第1直壁部51aに接触することが防止される。
【0061】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、ブラシホルダ42のベース部43の直線側面45に、位置決め突起32との干渉を回避するための直線段差部47aを形成することにより、直線段差部47aを避けた直線側面45の位置を、位置決め突起32の位置とは無関係に、コンミテータ18から径方向外側に離間させることができる。
より具体的には、直線段差部47aを避けた直線側面45の位置は、位置決め突起32の平坦突起部32aと同一平面上に位置している。このため、ベース部43の直線側面45から立ち上がる第1直壁部51aとブラシ41との間の距離L1を十分確保することができる。よって、第1直壁部51aにブラシ41が接触することを防止できる。
【0062】
また、第1直壁部51aは、延出部54を形成することにより、ベース部43からギヤハウジング25の取付面25aに至る間に延在しているので、第1直壁部51aを挟んで両側に存在するブラシ41とブラシ収納凹部30の平坦面130aとの間を確実に絶縁できる。このため、ブラシ収納凹部30が形成されているギヤハウジング25に対するブラシ装置6の絶縁を図りつつ、ブラシ装置6を確実に正常動作させることができる。
【0063】
さらに、ブラシホルダ42の直線壁51は、直線段差部53aを避けた箇所に形成された第1直壁部51aと、この第1直壁部51aの周方向両端から延出される第2直壁部51bと、この第2直壁部51bから延出される第3直壁部51cとにより構成されている。そして、第2直壁部51bは、第1直壁部51aから位置決め突起32の平坦突起部32aを避けるように径方向内側に向かって、つまり、第1直壁部51aからコンミテータ18側に向かって屈曲延出されている。さらに、第3直壁部51cは、第2直壁部51bから直線段差部53aに沿うように、弧状壁52に向かって延出形成されている。
【0064】
このため、第2直壁部51bが直線壁51の剛性を高めるリブとして機能し、樹脂成型時における第1直壁部51aの倒れを防止できる。よって、より確実に、第1直壁部51aとブラシ41との間の距離L1を十分確保することが可能になり、第1直壁部51aにブラシ41が接触してしまうことを防止できる。
また、第1直壁部51a、第2直壁部51b及び第3直壁部51cの3つの直壁部51a,51b,51cにより、広範囲に亘ってブラシ41とブラシ収納凹部30との間を隔てることができる。このため、ギヤハウジング25に対するブラシ装置6の絶縁性を高めることができる。
【0065】
さらに、ブラシホルダ42内に、ブラシ41を支持する手段として板ばね58を用いている。このため、ブラシ41と直線壁51との間隔が狭くても、コンミテータ18に向かってブラシ41を確実に付勢することができる。よって、より確実にブラシ装置6を正常動作させることができる。
【0066】
そして、板ばね58は、ブラシホルダ42における弧状壁52の第2弧壁部52bの径方向内側から直線壁51に沿うように屈曲延出し、第1直壁部51aの近傍に至るまで延在するように形成されている。このため、板ばね58の支点(固定点)と作用点(自由端)との間の距離を十分確保することができ、コンミテータ18にブラシ41を確実に付勢することができる。
また、ブラシホルダ42の弧状壁52の径方向内側で、固定端子60に板ばね58を固定するように構成しているので、直線壁51とコンミテータ18との間における板ばね58の占有スペースを最小限に抑えることができる。このため、ブラシ41と直線壁51との間隔を十分確保することが可能になる。
【0067】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、モータ装置1は、四輪車の駆動を二輪駆動と四輪駆動とに切り替える駆動切替装置に用いられるものであって、モータ部2と、モータ部2の回転が伝達される減速機構4とを備えている場合について説明した。そして、減速機構4のギヤハウジング25に、モータ部2のモータケース3が取り付けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ装置1は、モータ部2と、モータケース3の開口部3aを閉塞するように、モータケース3を固定可能な部材(例えば、中間ブラケット等)とにより構成されていればよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、ブラシホルダ42を、ベース部43と、ベース部43の側面から立ち上がる周壁44とにより構成した場合について説明した。さらに、この周壁44を、アーマチュア5の回転軸9を挟んで対向配置された2つの直線壁51と、アーマチュア5の回転軸9を挟んで対向配置され、2つの直線壁51を連結する2つの弧状壁52とにより構成した場合について説明した。
しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダ42は、少なくともベース部43と直線壁51とにより構成されていればよい。これは、弧状壁52側に配置されている固定端子60の剛性が板ばね58よりも高いので、固定端子60が撓んでブラシ収納凹部30の弧状面130bに接触する可能性が低いからである。
【0069】
また、上述の実施形態では、ブラシホルダ42の直線壁51を、第1直壁部51a、第2直壁部51b及び第3直壁部51cの3つの直壁部51a,51b,51cで構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくとも第1直壁部51aが形成されていればよい。この第1直壁部51aにより、ブラシ41とブラシ収納凹部30の平坦面130aとの間を絶縁することができる。
【0070】
さらに、上述の実施形態では、ブラシ収納凹部30の開口縁の4隅に、それぞれモータケース3の位置決めを行うための位置決め突起32を突出形成した場合について説明した。しかしながら、位置決め突起32の形成箇所は、ブラシ収納凹部30の開口縁の4隅に限られるものではなく、ギヤハウジング25に対するモータケース3の位置決めを行える箇所に形成されていればよい。また、位置決め突起32の個数も4つに限られるものではなく、任意の個数に設定することが可能である。尚、このような場合、ブラシ41の配置箇所は、位置決め突起32の形成箇所を避けるように配置する。
【0071】
さらに、上述の実施形態では、位置決め突起32を、ブラシ収納凹部30の平坦面130aから突出する平坦突起部32aと、弧状面130bから突出する弧状突起部32bとにより構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくとも、平坦面130aから突出する平坦突起部32aを有していればよい。
【0072】
そして、上述の実施形態では、板ばね58の基端58bを、ブラシホルダ42のベース部43に取り付けられている固定端子60を介して固定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、直接ベース部43に、板ばね58の基端58bを固定するように構成してもよい。さらに、コンミテータ18とブラシホルダ42の直線壁51との間隔を十分確保することができる場合、板ばね58の固定位置を、ブラシホルダ42の弧状壁52の径方向内側に設定せずに、直線壁51の径方向内側に設定することも可能である。
【0073】
さらに、上述の実施形態では、ブラシ装置取付部をブラシ収納凹部30とした場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータハウジングとブラシ41との間の絶縁を図れる構成であればよい。例えば、ギヤハウジング25の取付面25aは平坦状の取付面とする一方、モータケース3の開口部3aの内面側にブラシ装置6を配置するように構成してもよい。この場合、モータケース3の内周側面とブラシ41とが接触してしまうことを防止できる。よって、ブラシ装置6の絶縁を図りつつ、ブラシ装置6を確実に正常動作させることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 モータ装置
2 モータ部
3 モータケース(モータハウジング)
3a 開口部
4 減速機構
5 アーマチュア
6 ブラシ装置
9 回転軸
18 コンミテータ
25 ギヤハウジング(被固定部材、ブラケット、モータハウジング)
30 ブラシ収納凹部(凹部、ブラシ装置取付部)
32 位置決め突起
32a 平坦突起部
32b 弧状突起部
41 ブラシ
42 ブラシホルダ
43 ベース部
44 周壁
45 直線側面
46 弧状側面
47a 直線段差部(段差部)
47b 弧状段差部(段差部)
51 直線壁
51a 第1直壁部(第1壁部)
51b 第2直壁部(第2壁部)
51c 第3直壁部(第3壁部)
58 板ばね
58a 先端
58b 基端
100 ボルト
101 シール部材
103 筒部
103a 平坦壁
103b 弧状壁
130a 平坦面(内側面)
130b 弧状面(内側面)
140 接続部
図1
図2
図3
図4
図5