(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のユニット建物1の分解斜視図である。このユニット建物1は、1階建物ユニット1aと2階建物ユニット1bとが上下に組み付けられて構成されている。
【0018】
2階建物ユニット1bは、四つの小建物ユニット202〜205が前後左右に連設して構成されている。各小建物ユニット202〜205の上面には、それぞれ屋根(第1屋根21、第2屋根31、第3屋根241、第4屋根251)が組み付けられる。各屋根は勾配が異なる。
【0019】
図2は、
図1の2階建物ユニット1bの左側上部の斜視図である。本発明の屋根間の防水構造は、第1屋根21と第2屋根31の隣接する端部21a,31a間(S部)を防水するために使用される。このS部では、右側が水上側に設定され、左側が水下側に設定されている。また、第3屋根241と第4屋根251の隣接する端部間にも同様の屋根間の防水構造が使用される。本実施の形態では、第1屋根21と第2屋根31間の防水構造について説明する。
【0020】
図3は、第1屋根21と第2屋根31間の防水構造を示す断面図である。第1屋根21は、下から上へ配置された第1野地板22、第1ルーフィング23、第1屋根材24を備えている。第2屋根31は、下から上へ配置された第2野地板32、第2ルーフィング33、第2屋根材34を備えている。また、図示しないが、双方の野地板22,32はそれぞれ垂木で支持されている。各垂木はそれぞれ垂木受けで支持されており、垂木受けは梁に結合されている。
【0021】
第1野地板22は、第2野地板32よりも低い位置に配置されている。第1ルーフィング23は、第2野地板32の第1野地板22との隣接側の端部の上面から野地板22,32間を塞いで第1野地板22の上面に配置されている。
【0022】
第2ルーフィング33は、第1ルーフィング23に重ねて配置されている。具体的には第2ルーフィング33は、第1野地板22の第2野地板32との隣接側の端部の上面側から野地板22,32間を塞いで第2野地板32の上面側に配置されている。
【0023】
第1屋根材24は平板状に形成されており、第2屋根材34よりも低い位置に配置されている。
図4を用いて第1屋根材24の構成を説明する。この第1屋根材24は、二枚の面材241,242と、面材241,242を結合するアンカークリップ243と、面材241,242間の目地部を止水する目地カバー部材244とを備えている。
【0024】
二枚の面材241,242は平板状に形成されている。左側の面材241の左右端には略直角に折り曲げられた端部2411,2411が形成されている。右側の面材242は第2屋根材34(
図2参照)と隣接する側の面材である。この右側の面材242の左右端には、左側の面材241と同様に略直角に折り曲げられた端部2411,25が形成されている。
【0025】
アンカークリップ243は、上方が開口された断面略コ字形に形成されている。アンカークリップ243の左右端部2431,2431は外側に折り曲げられている。このアンカークリップ243は、面材241,242の対向する端部2411,2411間に挿入される。このときに左右端部2431,2431が端部2411,2411に係合して面材241,242が結合される。
【0026】
また、アンカークリップ243の底部にはビス孔2432が形成されている。このビス孔2432にはビス(図示せず)が挿入される。ビス孔2432に挿入されたビスは野地板22を貫通し、垂木(図示せず)にねじ込まれる。これによって、アンカークリップ243は野地板22に圧着され、面材241,242が野地板22に固定される。
【0027】
目地カバー部材244は、下方が開放された長手方向略円筒形に形成されている。この目地カバー部材244の左右下端部2441,2441は外側に折り曲げられている。左右下端部2441,2441は、面材241,242の対向する端部2411,2411に係合される。これにより目地カバー部材244は、対向する端部2411,2411に嵌着される。
【0028】
目地カバー部材244の内部には防水材245が取り付けられている。この防水材245は目地カバー部材244で押圧されて、対向する端部2411,2411に強固に密着・接着される。これにより、対向する端部2411,2411間とアンカークリップ243とが水密になり、面材241,242間の目地部が止水される。
【0029】
次に、
図3を用いて、第1屋根材24(
図4の右側の面材242)の第2屋根材34と隣接する側の端部25について説明する。この端部25は上方且つ内側へL字状に折り曲げられており、垂直部25aと、水平部25bとを備えている。
【0030】
垂直部25aは、第1屋根材24の基部24aにおいて、第2屋根材34との隣接側の端から上方へ垂直に折り曲げられて形成されている。なお、基部24aは、ルーフィング23,33を介して第1野地板22の上面に配置される部分である。水平部25bは、垂直部25aの上端から内側へ水平に折り曲げられて形成されている。
【0031】
第2屋根材34は平板状に形成されている。第2屋根材34の構成は第1屋根材24と同様の構成なので説明を省略する。第2屋根材34の第1屋根材24と隣接する側の端部35は上方且つ内側へL字状に折り曲げられており、垂直部35aと、水平部35bとを備えている。
【0032】
垂直部35aは、第2屋根材34の基部34aにおいて、第1屋根材24との隣接側の端から上方に垂直に折り曲げられて形成されている。また垂直部35aは、第1屋根材24の垂直部25aよりも高い位置に配置されている。なお、基部34aは、ルーフィング23,33を介して第2野地板32の上面に配置される部分である。水平部35bは、垂直部35aの上端から内側へ水平に折り曲げられて形成されている。
【0033】
次に、屋根21,31間の防水構造を説明する。この防水構造は、スペーサ4、シール部材5(止水材)、カバー材6を備えている。
【0034】
スペーサ4は、双方の屋根21,31間に配置されて第1野地板22に固定されており、この状態でスペーサ4の上端が第2屋根材34の上端と同一の高さになるように形成されている。言い換えるとスペーサ4は、第2屋根材34と勾配且つ高さが同じなるように形成されている。
【0035】
また、スペーサ4は、平板状で第1屋根材24の上部を覆うように形成されている。スペーサ4の構造を具体的に説明する。スペーサ4は、水平に延びる基部41と、基部41の左端から上方且つ内側へL字状に折り曲げられたL字部42とを備えている。
【0036】
基部41は、第1屋根材24の下側に配置され、双方のルーフィング23、33を介して第1野地板22にビス9で固定されている。基部41の左側部41a(外側部)は双方の屋根21,31間に位置している。
【0037】
L字部42は、基部41の左側部41aから上方に延びる垂直部42aと、垂直部42aの上端から第1屋根21の内側へ延びる水平部42bとを備えている。
【0038】
垂直部42aは、第2屋根材34と同一の高さになるように形成されている。水平部42bは、第1屋根材24の水平部25bを覆うように接触して形成されている。
【0039】
シール部材5は平板状に形成されている。このシール部材5は、スペーサ4の水平部42bと、第2屋根材34の水平部35bとに接着して双方の水平部42b、35bを繋いで双方の水平部42b、35b間を塞いでいる。
【0040】
カバー材6は、シール部材5の上面にシール部材5を覆うように設けられている。このカバー材6は平板状に形成されており、シール部材5の上面に配置された基部61と、基部61の左右端(双方の屋根側端)から下方に折り曲げられた左折曲部62および右折曲部63とを備えている。
【0041】
基部61の左側部分(第2屋根31側部分)は、ブラインドリベット7を用いて、第2屋根材34の水平部35bにシール部材5を介して固定されている。水平部35bの内面にはブラインドリベット7との間にコーキング材8が入れられている。
【0042】
右折曲部63(第1屋根21側部分)は、スペーサ4および第1屋根材24の水平部42b、水平部25bに引っ掛けるようにL字状に形成されている。
【0043】
次に、
図5〜
図7を用いて防水構造の施工方法を説明する。
【0044】
(ステップS1、
図6の(a))
最初に、双方の野地板22,32の上面にルーフィング23,33を配置する。配置方法を説明すると、まず、第1野地板22の上面に第1ルーフィング23を配置し、第2野地板32の上面に第2ルーフィング33を配置する。
【0045】
このときに、第1ルーフィング23の第2ルーフィング33と隣接する端部23aを第2野地板32の方へ出す。また、第2ルーフィング33の第1ルーフィング23と隣接する端部33aを第1野地板22の方へ出す。
【0046】
続いて、第1ルーフィング23の端部23aを第2ルーフィング33の下へもぐりこませ、第2ルーフィング33の端部33aを第1ルーフィング23の上に重ねる。最後に第2ルーフィング33の端部33aと第1ルーフィング23との継ぎ目をテープ(図示せず)で塞いで双方のルーフィング23,33を固定する。
【0047】
(ステップS2、
図6の(b))
次に、第2屋根材34の組み付けを行う。まず、第2屋根材34の基部34aをルーフィング23,33を介して第2野地板32の上面に配置する。この状態で、基部34aを固定部材(図示せず)で第2野地板32に固定する。
【0048】
(ステップS3、
図6の(c))
次に、スペーサ4の組み付けを行う。まず、スペーサ4の垂直部42aを双方の野地板22,32間に配置して第2屋根材34の垂直部35aと対向させる。この状態で基部41をルーフィング23,33を介して第1野地板22の上面にビス9で固定する。これによりスペーサ4の上端と第2屋根材34の上端が同一の高さになる。
【0049】
(ステップS4、
図7の(d))
次に、第1屋根材24の組み付けを行う。まず、第1屋根材24をスペーサ4の内側に配置する。この状態で、基部24aを固定部材(図示せず)で第1野地板22に固定する。これにより、第1屋根材24の水平部25bはスペーサ4で覆われる。
【0050】
(ステップS5、
図7の(e))
次に、シール部材5の組み付けを行う。組み付け方法は、シール部材5を、スペーサ4の水平部42bと第2屋根材34の水平部35bとに接着して双方の水平部42b、35bを繋ぐ。これにより、双方の水平部42b、35b間はシール部材5で塞がれる。
【0051】
(ステップS6、
図7の(e)〜(f))
最後に、カバー材6の組み付けを行う。まず、カバー材6の右折曲部63を、スペーサ4および第1屋根材24の水平部42b、25bに引っ掛けて、カバー材6全体でシール部材5に被せる。次に、基部61の左側部分を第2屋根材34の水平部35bにシール部材5を介してブラインドリベット7で固定する。最後に、水平部35bの内面でブラインドリベット7との間にコーキング材8を入れる。この結果、カバー材6は、シール部材5を覆った状態になる。
【0052】
以上説明したように本実施の形態の屋根21,31間の防水構造では、第1野地板22に、第2屋根材34の上端と同一の高さになるスペーサ4を設け、スペーサ4の上部(水平部42b)と第2屋根材34の上部(35b)とに上部間を塞ぐシール部材5を繋いだ。
【0053】
したがって、シール部材5に対して従来のように双方の屋根21,31の隣接する端部21a,31aの高さを意識した折り曲げ加工を行う必要がないので、折り曲げ加工に高い精度を必要としない。よって、本実施の形態の屋根21,31間の防水構造は、シール部材5の加工に手間をかけずに施工を行うことができる。
【0054】
また、スペーサ4を第1屋根材24の上部を覆うように形成したので、スペーサ4と第1屋根材24の間に雨水が浸入するのを防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根21,31間の防水構造は、防水機能を高めることができる。
【0055】
また、シール部材5の上面にカバー材6を設けたので、屋根21,31間に雨水が浸入するのを確実に防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根21,31間の防水構造は、防水機能をより高めることができる。
【0056】
また、カバー材6の第1屋根21側部分(右折曲部63)をスペーサ4および第1屋根材24の上部(水平部42b,25b)に引っ掛けるように形成したので、カバー材6の取付作業を容易に行うことができる。
【0057】
さらに、カバー材6の第2屋根31側部分(基部61の左側部分)を、ブラインドリベット7を用いて、第2屋根材34の上部(水平部135b)にシール部材5を介して固定した。これによりカバー材6をシール部材5に密着させることが可能になり、屋根21,31間に雨水が浸入するのをより確実に防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根21,31間の防水構造は、防水機能をより高めることができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態の屋根121,131間の防水構造の斜視図である。
図9は
図8の分解斜視図である。
【0059】
まず、屋根121,131の構成を説明する。右側の屋根121を第1屋根121と称し、左側の屋根131を第2屋根131と称する。
【0060】
第1屋根121は、下から上へ配置された第1野地板122、第1ルーフィング(図示せず)、第1屋根材124を備えている。第2屋根131は、下から上へ順に配置された第2野地板132、第2ルーフィング(図示せず)、第2屋根材134を備えている。
【0061】
第1野地板122は、第2野地板132よりも低い位置に配置されている。双方の野地板122,132の水下側にはそれぞれ軒樋11,12が配置されている。双方の野地板122,132はそれぞれ垂木(図示せず)で支持されている。各垂木はそれぞれ垂木受け160,170で支持されており、垂木受け160,170は梁161,171に結合されている。第1ルーフィングと第2ルーフィングは、第1の実施の形態のルーフィング23,33と同様に配置されているので詳しい説明は省略する(
図3参考)。
【0062】
第1屋根材124は平板状の部材から形成されており、第2屋根材134よりも低い位置に配置されている。この第1屋根材124の水下側の端部126は軒樋11の上方に位置するように形成されている。
【0063】
第1屋根材124の第2屋根材134と隣接する端部125は、基部124aから上方且つ内側へL字状に折り曲げられている。これにより、端部125は、基部124aから上方へ垂直に折り曲げられた垂直部125aと、垂直部125aの上端から内側へ水平に折り曲げられた水平部125bとを備えている。なお、基部124aは、双方のルーフィングを介して第1野地板122の上面に配置される部分である。
【0064】
また、水下側の端部126の先端部127は、基部124aから上方且つ外側へL字状に折り曲げられている。これにより先端部127は、基部124aから上方へ垂直に折り曲げられた垂直部127aと、垂直部127aの上端から外側へ水平に折り曲げられた水平部127bとを備えている。水平部127bの下端にはフランジ部127cが形成されている。
【0065】
また、水下側の端部126の第2屋根材134と隣接する側と反対側の端には切り欠き128(排水部)が設けられている。この切り欠き128は、水下側から長さ方向にL字状に切り欠かれて形成されている。切り欠き128の下端にはフランジ128aが形成されている。また、この反対側の端には切り欠き128よりも水上側にフランジ128bが起立して形成されている。
【0066】
第2屋根材134は平板状の部材から形成されている。この第2屋根材134の水下側の端部136は軒樋12の上方に位置するように形成されている。
【0067】
水下側の端部136の先端部137は、基部134aから上方且つ外側へL字状に折り曲げられている。これにより先端部137は、基部134aから上方へ垂直に折り曲げられた垂直部137aと、垂直部137aの上端から外側へ水平に折り曲げられた水平部137bとを備えている。水平部137bの下端にはフランジ部137cが形成されている。基部134aは、双方のルーフィングを介して第2野地板132の上面に配置される部分である。
【0068】
水下側の端部136の第1屋根材124と隣接する端部138は、基部134aから反対側にL字状に折り曲げられた第1折曲部139と、基部134aから水上側にL字状に折り曲げられた第2折曲部140とを備えている。これにより水下側の端部136の第1屋根材124と隣接する側の端はL字状に形成されている。
【0069】
第1折曲部139は、基部134aから幅方向に上方へ垂直に折り曲げられた垂直部139aと、垂直部139aの上端から外側方(第1屋根材124の方)へ水平に折り曲げられた水平部139bとを備えている。水平部139bの下端にはフランジ部139cが形成されている。
【0070】
第2折曲部140は、基部134aから長さ方向に上方へ垂直に折り曲げられた垂直部140aと、垂直部140aの上端から水下側へ水平に折り曲げられた水平部140bとを備えている。水平部140bの下端にはフランジ部140cが形成されている。
【0071】
双方の垂直部139a,140aは、先端部137の垂直部137aと連続して形成されている。双方の水平部139b,140bは、先端部137の水平部137bと連続して形成されている。双方のフランジ部139c、140cは、先端部137のフランジ部137cと連続して形成されている。
【0072】
水下側の端部136の第1屋根材124と隣接する側と反対側の端には切り欠き130(排水部)が設けられている。この切り欠き130は、基部134aの水下側の端から長さ方向に端部136の半分までL字状に切り欠かれて形成されている。
【0073】
また、第2屋根材134において第2折曲部140よりも水上側にある端部135は、基部134aから上方且つ内側へL字状に折り曲げられている。これにより、この端部135は、基部134aから上方へ垂直に折り曲げられた垂直部135aと、垂直部135aの上端から内側へ水平に折り曲げられた水平部135bとを備えている。
【0074】
ここで、双方の屋根材124,134の隣接する端部125,135は、第1屋根材124の端部135の方が低い位置に配置されている。
【0075】
次に、屋根121,131間の防水構造を説明する。この防水構造は、第1の実施の形態と同様に、スペーサ104、シール部材105、カバー材106を備えている。
【0076】
スペーサ104は、双方の屋根121,131の間に配置されて第1野地板122に固定されており、この状態でスペーサ104の上端が第2屋根材134の水平部135bの上端と同一の高さになるように形成されている。言い換えるとスペーサ104は、第2屋根材134と勾配且つ高さが同じなるように形成されている。
【0077】
また、スペーサ104は、平板状で第1屋根材124の上部を覆うように形成されている。スペーサ104の構造は、第1の実施の形態のスペーサ4と同様に、水平に延びる基部141と、基部141の左端から上方且つ内側へL字状に折り曲げられたL字部142とを備えている。
【0078】
基部141は、第1屋根材124の下側に配置され、双方のルーフィング(図示せず)を介して第1野地板122にビス(図示せず)で固定されている。基部141の左側部41a(外側部)が双方の屋根21,31間に位置している。
【0079】
L字部142は、基部141の左側部141aから上方に延びる垂直部142aと、垂直部142aの上端から第1屋根121の内側へ延びる水平部142bとを備えている。
【0080】
垂直部142aは、第2屋根材134と同一の高さになるように形成されている。水平部142bは、第1屋根材124の水平部125bを覆うように接触して形成されている。
【0081】
シール部材105は平板状に形成されている。このシール部材105は、スペーサ104の水平部142bと、第2屋根材134の水平部135bとに接着して双方の水平部142b,135bを繋いで双方の水平部142b、135b間を塞いでいる。
【0082】
カバー材106は、シール部材105の上面にシール部材105を覆うように設けられている。このカバー材106は平板状に形成されており、シール部材105の上面に配置された基部161と、基部161の左右端(双方の屋根側端)から下方に折り曲げられた左折曲部162および右折曲部163とを備えている。
【0083】
基部61の左側部分(第2屋根131側部分)は、ブラインドリベット(図示せず)を用いて、第2屋根材134の水平部135bにシール部材105を介して固定されている。水平部135bの内面にはブラインドリベットとの間にコーキング材(図示せず)が入れられている。
【0084】
右折曲部163(第1屋根121側部分)は、スペーサ104および第1屋根材124の水平部142b,125bに引っ掛けるようにL字状に形成されている。
【0085】
次に、防水構造の施工方法を説明する。この施工方法の流れは、第1の実施の形態で説明した施工方法の流れと同じである。第1の実施の形態で使用した
図5のフローチャートを用いて施工方法の内容を説明する。
【0086】
(ステップS1)
最初に、双方の野地板122,132の上面に双方のルーフィングを配置する。この配置方法は第1の実施の形態で説明した方法と同じなので説明を省略する。
【0087】
(ステップS2)
次に、第2屋根材134の組み付けを行う。まず、第2屋根材134の基部134aを双方のルーフィングを介して第2野地板132の上面に配置する。このときに、水下側の端部136を軒樋12の上方に位置させる。この状態で、基部134aを固定部材(図示せず)により第2野地板132に固定する。
【0088】
(ステップS3)
次に、スペーサ104の組み付けを行う。まず、スペーサ104の垂直部142aを双方の野地板122,132間に配置して第2屋根材134の垂直部135aと対向させる。この状態で基部141を双方のルーフィングを介して第1野地板122の上面にビス9で固定する。これによりスペーサ104の上端と第2屋根材34の上端が同一の高さになる。
【0089】
(ステップS4)
次に、第1屋根材124の組み付けを行う。まず、第1屋根材124をスペーサ104の内側に配置する。このときに、水下側の先端部127を第2屋根材134の水下側の端部136の第2折曲部140の先端と合わせ、水下側の端部126を軒樋11の上方に位置させる。この状態で、基部124aを固定部材(図示せず)で第1野地板122に固定する。これにより、第1屋根材124の水平部25bはスペーサ104で覆われる。
【0090】
(ステップS5)
次に、シール部材105の組み付けを行う。組み付け方法は、シール部材105を、スペーサ104の水平部142bと第2屋根材134の水平部135bとに接着して双方の水平部142b,135bを繋ぐ。これにより、双方の水平部142b、135b間はシール部材で塞がれる。
【0091】
(ステップS6)
最後に、カバー材106の組み付けを行う。まず、カバー材106の右折曲部163を、スペーサ104の水平部142bおよび第1屋根材124の水平部125bに引っ掛けて、カバー材106全体でシール部材105に被せる。この状態で、基部161の左側部分を第2屋根材134の水平部135bにシール部材105を介してブラインドリベットで固定する。最後に、水平部135bの内面でブラインドリベットとの間にコーキング材を入れる。この結果、カバー材106は、シール部材105を覆った状態になる。
【0092】
以上説明したように本実施の形態の屋根121,131間の防水構造では、第1野地板122に、第2屋根材134の上端と同一の高さになるスペーサ104を設け、スペーサ104の上部(水平部142b)と第2屋根材134の上部(135b)とに上部間を塞ぐシール部材105を繋ぐようにした。
【0093】
したがって、第1の実施の形態と同様にシール部材105に対して従来のように双方の屋根21,31の隣接する端部121a,131aの高さを意識した折り曲げ加工を行う必要がないので、折り曲げ加工に高い精度を必要としない。よって、本実施の形態の屋根121,131間の防水構造は、シール部材155の加工に手間をかけずに施工を行うことができる。
【0094】
また、スペーサ104を第1屋根材124の上部を覆うように形成したので、スペーサ104と第1屋根材124の間に雨水が浸入するのを防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根121,131間の防水構造は、防水機能を高めることができる。
【0095】
また、シール部材105の上面にカバー材106を設けたので、屋根121,131間に雨水が浸入するのを確実に防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根121,131間の防水構造は、防水機能をより高めることができる。
【0096】
また、カバー材106の第1屋根21側部分(右折曲部163)をスペーサ104および第1屋根材124の上部(水平部142b,125b)に引っ掛けるように形成したので、カバー材106の取付作業を容易に行うことができる。
【0097】
さらに、カバー材106の第2屋根131側部分(基部161の左側部分)を、ブラインドリベット7を用いて、第2屋根材134の上部(水平部135b)にシール部材105を介して固定した。これによりカバー材106をシール部材105に密着させることが可能になり、屋根121,131間に雨水が浸入するのをより確実に防ぐことができる。よって、本実施の形態の屋根121,131間の防水構造は、防水機能をより高めることができる。
【0098】
さらに本実施の形態では、双方の屋根材124,134の水下側の端部126,136をそれぞれ軒樋11,12の上方に位置するように形成した。さらに、双方の端部126,136に軒樋11,12へ雨水を送る切り欠き128,130を設けた。これにより、屋根材124,134を流れる雨水を軒樋11,12に効率良く送ることが可能になるので、雨水の排出を効率良く行うことができる。
【0099】
以上、本発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0100】
例えば、第2の実施の形態では、屋根材124,134の水下側の端部127,137に本発明の排水部として切り欠き128,130を設けたが、その他に穴や排水管を水下側の端部に設けても良い。
【0101】
また、第1の実施の形態と第2の実施の形態では、カバー材の双方の屋根側部分の一方を、スペーサおよび対応する屋根材の上部に引っ掛けるように形成したが、双方の屋根側部分をスペーサおよび双方の屋根材の上部に引っ掛けるように形成しても良い。また、スペーサの上部が屋根材の上部よりも水平方向に長い場合は、スペーサの上部に引っ掛けるように形成しても良い。
【0102】
また、第1の実施の形態と第2の実施の形態では、締結材を用いてカバー材の双方の屋根側部分の他方を対応する屋根材の上部にシール部材を介して固定したが、双方の屋根側部分を双方の屋根材にシール部材を介して固定しても良い。
【0103】
また、第1の実施の形態と第2の実施の形態では、スペーサを双方の屋根材間に配置したが、第1屋根材の内側に配置して第2屋根材の上端と同一の高さになるように形成しても良い。