(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された基板処理装置のように、スプレーノズルから処理液を噴出する構成を採用した場合には、スプレーノズルから噴出された処理液が基板の表面に回り込み、そこに付着するという問題が生ずる。また、処理液の噴出時間を制御して処理液の回り込みを防止したとしても、処理室内に浮遊した霧状の処理液が基板の表面に付着するおそれもある。
【0007】
このため、例えば、貯留槽に貯留された処理液の表面付近の高さ位置で基板を搬送し、基板の裏面のみを貯留槽内の処理液に接触させることにより、基板の裏面に処理液を塗布することも考えられるが、この場合には、液面の制御が極めて困難となり現実的でない。また、その前後の工程に併せて基板を傾斜させた状態で搬送する場合には、このような処理方法を適用することは不可能である。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、基板を傾斜させて搬送する場合においても、基板の裏面のみに適切に処理液を塗布することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、このように基板の裏面のみに特定の目的の処理液を塗布するとともに、基板の表面にこの処理液が付着することを防止する必要がある場合には、基板の裏面に処理液を塗布する前に、基板の表面に対して、処理液が基板の表面に付着することを防止するための純水等の付着防止液を供給することが好ましい。この場合、基板の裏面に塗布される処理液は高価であり回収して再利用されるが、純水等の付着防止液はそのまま廃棄される。このため、処理液と付着防止液とを個別に回収する必要がある。
【0010】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、処理液と付着防止液とを確実に分離して、個別に回収することが可能な塗布装置を提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、矩形状の基板の裏面に処理液を塗布する塗布装置において、 前記基板の主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される
傾斜した基板の裏面に当接して回転する塗布ローラと、長手方向が前記搬送機構による基板の搬送方向と交差する方向で、かつ、前記搬送機構により搬送される
傾斜した基板の裏面と平行に配設されるとともに、長手方向に沿って処理液の吐出口が複数個列設され、前記搬送機構により搬送される基板の下方側で、かつ、前記搬送機構による基板の搬送方向の上流側から、前記塗布ローラの表面に向けて処理液を吐出する処理液吐出パイプと、前記搬送機構により搬送される基板の表面に、前記処理液が基板の表面に付着することを防止する付着防止液を供給する付着防止液吐出手段と、前記搬送機構により搬送される基板の裏面から流下した処理液を回収する処理液回収部と、前記搬送機構により搬送される基板の表面から流下した付着防止液を回収する付着防止液回収部と、前記処理液吐出パイプより吐出された処理液を前記処理液回収部に案内するための処理液案内部材と、を備え
、前記処理液案内部材は、前記処理液吐出パイプに対して前記搬送機構による基板の搬送方向の上流側において、傾斜する前記処理液吐出パイプと平行に延びる第1の案内面と、前記処理液吐出パイプの傾斜方向の下端部と対向する位置において、前記第1の案内面から前記第1の案内面と交差する方向に前記搬送方向の下流側に向けて延びる第2の案内面と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記処理液回収部に回収された処理液を、再度、前記処理液吐出パイプに供給する処理液循環機構を備える。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1または請求項2に記載の発明において、前記付着防止液吐出手段より吐出された付着防止液を前記付着防止液回収部に案内するための付着防止液案内部材をさらに備える。
【0014】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載の発明において、前記付着防止液案内部材は、前記処理液案内部材に対して前記搬送機構による基板の搬送方向の上流側において、前記処理液案内部材に近接して配置される。
【0015】
請求項
5に記載の発明は、請求項1から請求項
4のいずれかに記載の発明において、前記処理液吐出パイプは、その長手方向に対して分割された複数の貯留部を有し、当該複数の貯留部の各々に対して処理液を供給する処理液供給機構を備える。
【0016】
請求項
6に記載の発明は、請求項1から請求項
5のいずれかに記載の発明において、前記搬送機構により搬送される基板の先端の位置と後端の位置とを認識する基板位置認識手段と、前記基板位置認識手段により認識した基板の先端の位置と後端の位置とに基づいて、前記処理液吐出パイプから前記塗布ローラの表面への処理液の吐出動作を、前記搬送機構により搬送される基板の先端が前記塗布ローラに到達する前に開始し、前記基板搬送機構により搬送される基板の後端が前記塗布ローラに到達する前に停止する塗布制御手段とを備える。
【0017】
請求項
7に記載の発明は、請求項1から請求項
6のいずれかに記載の発明において、前記搬送機構により搬送される基板の裏面の下端部付近に当接することにより、当該基板の裏面に付着した処理液を除去して処理液が基板の表面に回り込むことを防止する液切り手段を有する。
【0018】
請求項
8に記載の発明は、請求項
7に記載の発明において、前記搬送機構は、基板の裏面の複数箇所に当接して回転することにより当該基板の主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送する複数の支持ローラを有する搬送ローラを備え、前記液切り手段は、傾斜状態にある基板の裏面の下端部付近に一定の幅を持って当接するとともに、前記搬送ローラに配設され前記複数の支持ローラと同期して回転する円柱状ローラから構成される。
【0019】
請求項
9に記載の発明は、請求項
7に記載の発明において、前記液切り手段は、傾斜状態にある基板の裏面の下端部付近に一定の幅を持って当接するブレードである。
【0020】
請求項
10に記載の発明は、請求項
7から請求項
9のいずれかに記載の発明において、前記液切り手段に向けて付着防止液を吐出する付着防止液吐出ノズルをさらに備える。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、処理液吐出パイプを利用して、基板の下方側で、かつ、基板の搬送方向の上流側から、塗布ローラの表面に向けて処理液を吐出することから、基板を傾斜させて搬送する場合においても、基板の裏面のみに適切に処理液を塗布することが可能となる。そして、処理液吐出パイプより吐出された処理液を処理液回収部に案内する処理液案内部材の作用により、処理液を基板の表面に供給された付着防止液から分離して、個別に回収することが可能となる。
また、第1の案内面と第2の案内面の作用により、処理液が付着防止液回収部に浸入することを防止することができ、処理液を付着防止液から確実に分離して、個別に回収することが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、付着防止液と分離して回収した処理液を循環して、再利用することが可能となる。
【0023】
請求項
3および請求項
4に記載の発明によれば、付着防止液案内部材の作用により、付着防止液が処理液回収部に浸入することを防止することができ、付着防止液を処理液から確実に分離して、個別に回収することが可能となる。
【0024】
請求項
5に記載の発明によれば、処理液吐出パイプを、搬送機構により搬送される基板の裏面と平行となるように水平方向に対して傾斜して配置した場合においても、各吐出口から吐出される処理液の量を、処理液吐出パイプの長手方向全域に対して略均一なものとすることができる。このため、基板の裏面に塗布される処理液の量を基板の全域にわたって均一にすることが可能となる。
【0025】
請求項
6に記載の発明によれば、処理液の吐出動作を、基板の先端が塗布ローラに到達する前に開始し、基板の後端が塗布ローラに到達する前に停止することから、基板の表面側に処理液が回り込むことを防止することが可能となる。
【0026】
請求項
7から請求項
10に記載の発明によれば、搬送機構により搬送される基板の裏面の下端部付近に当接することにより当該基板の裏面に付着した処理液を除去する液切り手段の作用により、処理液が基板の表面に回り込むことをさらに有効に防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る塗布装置の正面概要図である。また、
図2は、この発明に係る塗布装置の平面概要図である。さらに、
図3は、この発明に係る塗布装置の塗布ローラ20付近における側断面概要図である。
【0029】
この塗布装置は、矩形状の基板100を純水により洗浄する洗浄装置61と、基板100を乾燥する乾燥装置62との間に配設されるものであり、搬送される基板100の搬入口54と搬出口55とが形成された塗布チャンバー53を有する。このチャンバー53内には、基板100を、その主面が水平方向に対して傾斜した状態で搬送するための複数の搬送ローラ10が配設されている。また、この塗布装置は、複数の搬送ローラ10により搬送される基板100の裏面に当接して回転する塗布ローラ20を備える。
【0030】
図4は、搬送ローラ10により基板100を搬送する状態を示す概要図である。
【0031】
搬送ローラ10は、基板100の裏面の複数箇所に当接して回転することにより基板100を搬送するための複数の支持ローラ12と、基板100の裏面の下端部付近に当接可能に配設された液切り手段としての円柱状ローラ11と、複数の支持ローラ12と円柱状ローラ11とを連結し回転軸として機能する連結軸13とを備える。支持ローラ12は、その断面が楕円状の形状を有し、その頂点領域において基板100の裏面と点接触する。また、円柱状ローラ11は、円柱形状を有し、基板100の裏面の下端部付近に一定の幅を持って線接触状態で当接する。これらの複数の支持ローラ12と円柱状ローラ11とは、互いに同期して回転する。一方、
図2に示すように、塗布チャンバー53内には、搬送ローラ10により搬送される基板100の下方の端縁と当接して回転するガイドローラ14が配設されている。このため、基板100は、搬送ローラ10およびガイドローラ14の作用により、その主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送される。そして、後述する塗布ローラ20は、搬送ローラ10により搬送される基板100の裏面に当接した状態で、搬送ローラ10による基板100の移動速度と同期する速度で回転する。
【0032】
図5は、搬送ローラ10により搬送される基板100と塗布ローラ20との配置を示す概要図である。
【0033】
この塗布ローラ20は、長手方向が搬送ローラ10による基板100の搬送方向と交差する方向で、かつ、搬送ローラ10により搬送される基板100の裏面と平行に配設されている。これにより、塗布ローラ20は、後述するように、搬送ローラ10により搬送される基板100の裏面に当接して回転することにより、基板100の裏面に処理液を塗布する。なお、塗布ローラ20は、基板100の裏面における有効範囲の全面に処理液を塗布するため、基板100の裏面における有効範囲の全面と当接して回転する構成を有する。なお、後述する基板100の表面への処理液の回り込みを防止するため、搬送ローラ10によりその主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送される基板100の上端部および下端部には、基板100の裏面と塗布ローラ20とが当接しない領域を形成することが好ましい。
【0034】
再度、
図1から
図3を参照しつつ説明する。この塗布装置は、塗布ローラ20の表面に向けて処理液を吐出するための処理液吐出パイプ30と、この処理液吐出パイプ30に処理液を供給するための処理液供給機構を備える。この処理液供給機構は、処理液を貯留する処理液タンク41と、処理液タンク41内の処理液を圧送するための管路46に配設されたポンプ42と、処理液を処理液吐出パイプ30に送液するために管路48に配設された電磁弁43と、処理液を循環するための管路47に配設された電磁弁44と、塗布ローラ20から滴下した処理液を回収する処理液回収部45と、処理液回収部45により回収された処理液を処理液の排出口40を介して処理液タンク41に送液する管路49とを備える。処理液回収部45には、処理液吐出パイプ30より吐出された処理液を処理液回収部45に案内するための処理液案内部材70が付設されている。
【0035】
また、この塗布装置は、搬送ローラ10により搬送される基板100の表面に、処理液が基板100の表面に付着することを防止する付着防止液としての純水を供給するための、一対の純水吐出パイプ58を有する。これらの純水吐出パイプ58は、塗布チャンバー53における基板100の搬入口54と搬出口55付近に配設されている。この純水吐出パイプ58は、図示しない純水の供給源と接続されており、長手方向が搬送ローラ10による基板100の搬送方向と交差する方向に配設されている。この純水吐出パイプ58は、両端が閉鎖された筒状の形状を有し、その内部に純水の貯留部が形成されるとともに、その長手方向に沿って純水の貯留部と連通する純水の吐出口が複数個列設されている。
【0036】
純水吐出パイプ58から基板100に供給された純水は、塗布チャンバー53の底部に流下し、塗布チャンバー53の底部に形成された純水の排出口56および管路57を介して図示しないドレインに排出される。このため、この塗布チャンバー53の底部は、純水吐出パイプ58より吐出された純水を回収するための純水回収部として機能する。なお、純水に代えて、純水中に二酸化炭素を溶解させた液体を付着防止液として使用してもよい。
【0037】
さらに、この塗布装置は、前段の洗浄装置61において基板100の洗浄に供せられ、基板100の裏面に付着した純水を除去するためのエア吐出ノズル51と、搬送ローラ10により搬送される基板100の先端と後端とを認識するためのマイクロスイッチ等から成るセンサ52とを備える。
【0038】
図6は、処理液吐出パイプ30の概要図である。
【0039】
この処理液吐出パイプ30は、塗布ローラ20と平行な方向、すなわち、長手方向が搬送ローラ10による基板100の搬送方向と交差する方向で、かつ、搬送ローラ10により搬送される基板100の裏面と平行に配設されている。この処理液吐出パイプ30は、両端が閉鎖された筒状の形状を有し、その内部に処理液の貯留部が形成されている。
【0040】
この処理液の貯留部は、筒状の処理液吐出パイプ30内を仕切る3個の仕切板33により、その長手方向に対して4つの領域に分割され複数の貯留部を構成している。そして、各領域には、処理液の供給口32が配設されている。
図1に示す管路48から供給される処理液は、各供給口32から、分割された4個の処理液の貯留部内に供給される。
【0041】
そして、処理液吐出パイプ30には、長手方向に沿って各貯留部と連通する処理液の吐出口31が複数個列設されている。各供給口32から分割された4個の処理液の貯留部内に供給された処理液は、処理液の吐出口31から吐出される。
【0042】
図7は、塗布ローラ20と処理液吐出パイプ30を、搬送ローラ10により搬送される基板100とともに示す説明図である。
【0043】
図7(a)に示すように、処理液吐出パイプ30は、搬送ローラ10により搬送される基板100の下方側で、かつ、搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側(
図7における左側)から、塗布ローラ20の表面に向けて処理液を吐出する。
【0044】
図8は、処理液回収部45に付設された処理液案内部材70を純水案内部材71とともに示す正面側からの断面図である。また、
図9は、塗布ローラ20と処理液案内部材70との配置関係を示す説明図である。なお、
図9(a)は、塗布ローラ20と処理液案内部材70との平面図であり、
図9(b)は、塗布ローラ20と処理液案内部材70との側面図である。
【0045】
この処理液案内部材70は、処理液吐出パイプ30より吐出された処理液を処理液回収部45に案内するためのものである。この処理液案内部材70は、処理液吐出パイプ30に対して搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側において、処理液吐出パイプ30と平行に延びる第1の案内面70aと、処理液吐出パイプ30の下端部と対向する位置において、第1の案内面70aと直交する方向に延びる第2の案内面70bとを有する。第1の案内面70aは、処理液吐出パイプ30に対して搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側における処理液吐出パイプ30の長手方向全域にわたって配設されており、この第1の案内面70aの下端部は、処理液回収部45内に侵入している。
【0046】
この処理液案内部材70は、処理液吐出パイプ30および純水案内部材71とともに、支持部材72に対して一対のねじ73により固定されている。また、支持部材72は、処理液回収部45に対して、一対のねじ74により固定されている。ここで、純水案内部材71は、純水吐出パイプ58より吐出された純水を、純水回収部として機能する塗布チャンバー53の底部に案内するためのものである。この純水案内部材71は、処理液案内部材70に対して搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側において、処理液案内部材70に近接して配置されることになる。
【0047】
さらに、この塗布装置は、
図4に示すように、基板100の裏面に塗布された処理液が基板100の表面に回り込むことを防止するために利用される一対の純水吐出ノズル18、19を備える。これら一対の純水吐出ノズル18、19は、
図1に示す4本の搬送ローラ10のうち、基板100の搬送方向の下流側(
図1に示す搬出口55側)の2本の搬送ローラ10と対向する位置に配置されている。
【0048】
図4に示すように、これら一対の純水吐出ノズル18、19のうち、一方の純水吐出ノズル18は、搬送ローラ10によりその主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送される基板100の下端部付近に付着防止液としての純水を供給する。なお、純水吐出ノズル18と対向する位置に基板100が存在しない場合には、純水吐出ノズル18から吐出された純水は、搬送ローラ10における円柱状ローラ11に供給される。これにより、円柱状ローラ11上に基板100が存在しない間、純水吐出ノズル18から吐出された純水により円柱状ローラ11の表面を洗浄することができ、清浄な状態を維持することができる。また、他方の純水吐出ノズル19は、円柱状ローラ11に対して付着防止液としての純水を供給する。なお、一対の純水吐出ノズル18、19はいずれか一方の純水吐出ノズルのみでもよい。
【0049】
図10は、この発明に係る塗布装置の制御系を示すブロック図である。
【0050】
この塗布装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM91と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM92と、論理演算を実行するCPU93とから成る制御部90を備える。この制御部90は、インターフェース94を介して、各搬送ローラ10を回転駆動するためのモータ59と接続されている。また、この制御部90は、インターフェース94を介して、上述したセンサ52、ポンプ42および電磁弁43、44と接続されている。なお、この制御部90は、後述するように、処理液吐出パイプ30から塗布ローラ20の表面への処理液の吐出動作を、搬送ローラ10により搬送される基板100の先端が塗布ローラ20に到達する前に開始し、搬送ローラ10により搬送される基板100の後端が塗布ローラ20に到達する前に停止する塗布制御手段として機能する。
【0051】
以上のような構成を有する塗布装置において基板100に処理液を塗布するときには、
図10に示す制御部90の制御によりモータ59を駆動し、搬送ローラ10を回転させる。そして、基板100が洗浄装置61を通過して塗布チャンバー53の搬入口54に進入する直前に、センサ52が基板100の先端を検出する。センサ52が基板100の先端の位置を検出すると、その後、制御部90は、センサ52による基板100の先端の検出信号とモータ59の回転速度から、基板100の先端の位置を監視する。
【0052】
一方、センサ52による基板100の先端の検出時点では、処理液吐出パイプ30に処理液を供給するための処理液供給機構においては、電磁弁43は閉止されており、電磁弁44は開放されている。このため、ポンプ42の駆動により、処理液タンク41内の処理液は、管路46、ポンプ42、管路47および電磁弁44から成る循環路中を循環している。
【0053】
搬送ローラ10により搬送される基板100が塗布チャンバー53内に搬送されると、純水吐出パイプ58から基板100の表面に向けて純水が供給される。一方、基板100の表面から裏面に回り込んだ純水や、洗浄装置61による洗浄処理時に基板100の裏面に付着した純水は、エア吐出ノズル51から吐出される圧縮空気の作用により除去される。これにより、基板100の裏面に残存する純水が、基板100の裏面への処理液の塗布の障害となることが防止される。なお、基板100から流下した純水は、純水回収部として機能する塗布チャンバー53の底部から、塗布チャンバー53の底部に形成された排出口56および管路57を介してドレインに排出される。
【0054】
そして、搬送ローラ10により搬送される基板100の先端が塗布ローラ20に到達する前に、制御部90の制御により、電磁弁43が開放され、電磁弁44が閉止される。これにより、ポンプ42の駆動により、処理液タンク41内の処理液は、管路46、ポンプ42、電磁弁43、管路48を介して処理液吐出パイプ30に送液される。そして、この処理液は処理液吐出パイプ30の各供給口32から、一旦、4個の貯留部に貯留された後、各吐出口31から塗布ローラ20の表面に向けて吐出される。塗布ローラ20の表面に吐出され、滴下した処理液は、処理液回収部45により回収され、管路49を介して処理液タンク41に戻される。
【0055】
一方、上述の通り、処理液吐出パイプ30内の処理液の貯留部は、3個の仕切板33によりその長手方向に対して4つの領域に分割されており、管路48から供給される処理液は、各供給口32から、分割された4個の処理液の貯留部内に貯留された後に、処理液の吐出口31から吐出される。このため、各吐出口31から吐出される処理液の吐出量を、処理液吐出パイプ30が傾斜している場合であっても、略均一に維持することが可能となる。
【0056】
続いて、基板100の先端が塗布ローラ20と当接する位置まで搬送されると、基板100の裏面全域に当接する塗布ローラ20の作用により、基板100の裏面に処理液が塗布される。このときには、
図7(a)に示すように、処理液吐出パイプ30は、搬送ローラ10により搬送される基板100の下方側で、かつ、搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側から、塗布ローラ20の表面に向けて処理液を吐出する構成となっていることから、基板100の表面に処理液が回り込むことを有効に防止することが可能となる。
【0057】
この状態で基板100が継続して搬送されることにより、基板100の裏面全域に処理液が塗布される。そして、搬送ローラ10により搬送される基板100の後端がセンサ52により検出される。センサ52が基板100の後端の位置を検出すると、その後、制御部90は、センサ52による基板100の後端の検出信号とモータ59の回転速度から、基板100の後端の位置を監視する。
【0058】
そして、搬送ローラ10により搬送される基板100の後端が塗布ローラ20に到達する前に、制御部90の指令により、電磁弁43が閉止されるとともに、電磁弁44が開放される。これにより、処理液吐出パイプ30からの処理液の吐出が停止され、処理液タンク41内の処理液は、管路46、ポンプ42、管路47および電磁弁44から成る循環路中を循環する。これにより、
図7(b)に示すように、基板100の後端が搬送ローラ10に到達する前に、処理液吐出パイプ30からの処理液の吐出を停止することから、処理液吐出パイプ30から吐出された処理液が、搬送ローラ10により搬送される基板100の上面に供給されることを有効に防止することが可能となる。
【0059】
基板100の裏面に塗布された処理液は、基板100がその主面を水平方向に対して傾斜させた状態で搬送されることから、その裏面の下端部付近に流下する。これに対して、この塗布装置においては、基板100の裏面の下端部付近に一定の幅を持って線接触状態で当接する円柱状ローラ11の作用により、基板100の裏面の下端部付近に付着する処理液が液切りされる。このため、基板100の裏面下端部に付着した処理液を除去することができ、処理液が基板100の表面に回り込むことを有効に防止することが可能となる。
【0060】
なお、処理液が基板100の表面に回り込むことを防止するためには、円柱状ローラ11の下端部の位置は、基板100の下端部から数mm程度離隔していることが好ましい。すなわち、基板100の下端部には、数mm程度、円柱状ローラ11とは当接しない領域が形成されることが好ましい。このような領域を形成することにより、処理液が円柱状ローラ11を介して基板100の表面に回り込むことを防止することが可能となる。
【0061】
塗布ローラ20を通過してその裏面に処理液を塗布された基板100は、後段の2本の搬送ローラ10によりさらに搬送される。このときには、基板100の表面には、純水吐出パイプ58から純水が供給される。また、傾斜させた状態で搬送される基板100の下端部付近には純水吐出ノズル18から純水が供給され、搬送ローラ10における円柱状ローラ11には純水吐出ノズル19から純水が供給される。このため、基板100の裏面に塗布された処理液が基板100の表面側に回り込むことを、さらに有効に防止することが可能となる。
【0062】
ところで、上述したように、基板100の表面に純水を供給し、基板100の裏面に処理液を供給する場合において、処理液を再利用するためには、処理液を純水と確実に分離して回収する必要がある。この実施形態に係る塗布装置においては、処理液案内部材70および純水案内部材71の作用により、処理液を純水と確実に分離して回収することを可能にしている。
【0063】
すなわち、処理液吐出パイプ30に対して搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側において、処理液吐出パイプ30と平行に延びる処理液案内部材70の第1の案内面70aにより、処理液吐出パイプ30から吐出された処理液を処理液回収部45の内部に案内することができる。このため、処理液吐出パイプ30から吐出された処理液が支持部材72等を伝って、処理液回収部45よりも基板100の搬送方向の上流側の塗布チャンバー53の底部に流下することを防止することができる。
【0064】
また、傾斜配置された処理液吐出パイプ30の下端部と対向する位置において、第1の案内面70aと直交する方向に延びる処理液案内部材70の第2の案内面70bにより、処理液吐出パイプ30から吐出された処理液を処理液回収部45の内部に案内することができる。このため、処理液吐出パイプ30から吐出された処理液が傾斜配置された処理液回収部45の傾斜下端部を越えて、処理液回収部45より傾斜下端部側の塗布チャンバー53の底部に流下することを防止することができる。
【0065】
さらに、純水案内部材71の作用により、搬送ローラ10により搬送される基板100に付着した純水が、基板100の搬送に伴って処理液回収部45に浸入することを防止することができる。このため、処理液と純水とを確実に分離することが可能となる。
【0066】
以上のように、この実施形態に係る塗布装置によれば、処理液吐出パイプ30が、搬送ローラ10により搬送される基板100の下方側で、かつ、搬送ローラ10による基板100の搬送方向の上流側から、塗布ローラ20の表面に向けて処理液を吐出する構成であり、かつ、搬送ローラ10により搬送される基板100の後端が塗布ローラ20に到達する前に、処理液吐出パイプ30からの処理液の吐出が停止されることから、基板100の表面に処理液が回り込むことなく、基板100の裏面のみに正確に処理液を塗布することが可能となる。
【0067】
また、処理液吐出パイプ30内の処理液の貯留部が3個の仕切板33によりその長手方向に対して4つの領域に分割されており、処理液が分割された4個の処理液の貯留部内に貯留された後に、処理液の吐出口31から吐出されることから、処理液吐出パイプ30が傾斜して配置されていた場合においても、各吐出口31から吐出される処理液の吐出量を、略均一に維持することが可能となる。
【0068】
さらに、処理液案内部材70および純水案内部材71の作用により、処理液を純水と確実に分離して回収することができる。このため、処理液を効率的に再利用することが可能となる。
【0069】
図11は、液切り手段の他の実施形態を示す概要図である。
【0070】
図4に示す実施形態においては、処理液が基板100の表面に回り込むことを防止するための液切り手段として、搬送ローラ10における支持ローラ12と同期して回転する基板100の裏面の下端部付近に当接可能に配設された円柱状ローラ11を使用している。これに対して、
図11に示す実施形態においては、基板100の裏面の下端部付近に一定の幅を持って当接するブレード16を使用している。このブレード16は、搬送ローラ10とは個別に設けられた支持板17により支持されている。一対の純水吐出ノズル18、19は、このブレード16に向けて純水を吐出する。
【0071】
この実施形態においても、基板100の裏面の下端部付近に一定の幅を持って当接するブレード16の作用により、基板100の裏面の下端部付近に付着する処理液が液切りされる。このため、基板100の裏面下端部に付着した処理液を除去することができ、処理液が基板100の表面に回り込むことを有効に防止することが可能となる。なお、この実施形態においても、ブレード16の下端部の位置は、基板100の下端部から数mm程度離隔していることが好ましい。