特許第5965305号(P5965305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965305
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】水硬性組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20160721BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20160721BHJP
   C04B 103/14 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
   C04B28/02
   C04B24/02
   C04B103:14
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-279387(P2012-279387)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122139(P2014-122139A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】川上 博行
(72)【発明者】
【氏名】長澤 浩司
(72)【発明者】
【氏名】佐川 桂一郎
(72)【発明者】
【氏名】下田 政朗
(72)【発明者】
【氏名】濱井 利正
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−260844(JP,A)
【文献】 特開昭57−175765(JP,A)
【文献】 特開昭56−059656(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/081115(WO,A1)
【文献】 特開2013−091583(JP,A)
【文献】 特開2014−122138(JP,A)
【文献】 特開2014−122137(JP,A)
【文献】 特開2013−252999(JP,A)
【文献】 特開2014−118331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
DWPI(Thomson Innovation)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを含有する水硬性組成物であって、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
水硬性組成物。
【請求項2】
フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比が、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上20以下である、請求項1記載の水硬性組成物。
【請求項3】
フェノール化合物と置換カテコール化合物の合計量が、セメント100質量部に対して0.03質量部以上1.80質量部以下である、請求項1又は2記載の水硬性組成物。
【請求項4】
水硬性組成物を調製する工程、調製された前記水硬性組成物を型枠に充填、養生、硬化させる工程、及び、硬化した前記水硬性組成物を脱型する工程、を有する硬化体の製造方法であって、
水硬性組成物の調製を、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを混合して行い、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
型枠に充填した水硬性組成物の養生を、加熱養生をせずに行うか、又は養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が1時間以下である養生条件で行う、
硬化体の製造方法。
【請求項5】
フェノール化合物と、置換カテコール化合物とからなる水硬性組成物用早強剤であって、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比が、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上20以下である、
水硬性組成物用早強剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、セメント等の水硬性粉体と水とを混練した後、1日程度である程度の強度を発現することが要求される場合がある。例えば、コンクリート二次製品は、セメント、骨材、水、及び分散剤等の材料を混練し、様々な型枠に打設し、養生(硬化)工程を経て製品化される。型枠は同じものを何度も使用するので、初期材齢に高い強度を発現することは、生産性、即ち型枠の回転率の向上の観点から重要である。そのために、(1)セメントとして早強セメントを使用する、(2)混和剤として各種ポリカルボン酸系化合物を使用してセメント組成物中の水量を減少させる、(3)養生方法として蒸気養生を行う、などの対策が講じられている。
【0003】
コンクリート製品の製造では、接水(水硬性粉体と水が最初に接触した時点)から脱型するまで、現在一般的に16〜24時間程度で行われており、脱型の際の硬化強度を確保するために、蒸気等による加熱養生が行われている。一方、今日では、環境に対する意識の向上から、養生工程のエネルギーの削減が望まれる。加熱養生に伴うエネルギーの削減、すなわち加熱養生の温度や時間の低減、さらには加熱養生を行わない方法が切望されている。
【0004】
特許文献1には、(1)少ない硬石膏量で高い強度を得ること、(2)他の石膏類でも硬石膏に匹敵する高強度を得ること課題として、石膏類とフェノール類とを含有することを特徴とする加熱養生用セメント混和剤が記載されている。
【0005】
特許文献2には、コンクリートにカテコール等の多価フェノールを添加することにより、コンクリートのワーカビリティが改良されることが開示されている。そして実施例では、多価フェノールを増やすにつれてワーカビリティの指標である2時間後のフロー相対値は向上するが、7日圧縮強度は低下することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−260844号公報
【特許文献2】特開昭57−175765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、加熱養生のエネルギーを削減しても初期強度の高い硬化体が得られる水硬性組成物を提供することである。初期強度として、24時間後の強度(24時間後の圧縮強度等を含む)を、以下、24時間強度と記述する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを含有する水硬性組成物であって、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
水硬性組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、水硬性組成物を調製する工程、調製された前記水硬性組成物を型枠に充填、養生、硬化させる工程、及び、硬化した前記水硬性組成物を脱型する工程、を有する硬化体の製造方法であって、
水硬性組成物の調製を、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを混合して行い、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
型枠に充填した水硬性組成物の養生を、加熱養生をせずに行うか、又は養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が1時間以下である養生条件で行う、
硬化体の製造方法に関する。
【0010】
また、本発明は、フェノール化合物と、置換カテコール化合物とからなる水硬性組成物用早強剤であって、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である、
フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比が、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上20以下である、
水硬性組成物用早強剤に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱養生のエネルギーを削減しても、24時間強度等の初期強度の高い硬化体が得られる水硬性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の効果を発現する機構は、以下のように推定される。
【0013】
通常、セメントは以下の成分を含んでいる。
3S:3CaO・SiO2 エーライト
2S:2CaO・SiO2 ビーライト
3A:3CaO・Al23 カルシウムアルミネート
4AF:4CaO・Al23・Fe23 カルシウムアルミノフェライト
CaSO4:硫酸カルシウム 石膏
CaCO3:炭酸カルシウム
CaO:酸化カルシウム
MgO:酸化マグネシウム
【0014】
本発明により水硬性組成物が強度を発現する機構の詳細は不明であるが、以下の様に推定される。セメント成分のC3Sは水和反応して、その反応物の結晶が増加することで強度が発現する。しかし、水和反応の過程でC3S表面にゲル状層を形成し、通常はこのゲル状層によってC3Sの反応が阻害される。本発明で選定した特定の置換カテコール化合物は、C3Sに含まれるシリケートをキレートし、シリケートを水へ溶解させることでこのゲル状層の水への溶解を促進し、C3Sの水和反応が阻害されることなく進行すると推定される。そして、本発明で選定した特定のフェノール化合物は、水和反応により生じる結晶の発生を促進し、多くの微細な結晶を生じさせると考えられる。置換カテコール化合物とフェノール化合物を用いることで、C3Sの水和反応の速度と水和により生じる結晶の数が増大し、緻密な結晶組織が形成されるため、加熱養生のエネルギーを削減しても24時間強度が向上すると考えられる。
【0015】
<水硬性組成物>
本発明の水硬性組成物は、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを含有する。
【0016】
フェノール化合物は、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物である。これらの化合物は複数を用いることができる。得られる硬化体の24時間強度向上の観点から、レゾルシノールが好ましい。
【0017】
本発明の水硬性組成物において、フェノール化合物の含有量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.08質量部以上が更に好ましく、そして、0.30質量部以下が好ましく、0.25質量部以下がより好ましい。
【0018】
置換カテコール化合物は、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物であり、得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、シアノカテコールが好ましい。ニトロカテコールとしては、4−ニトロカテコール等が挙げられる。また、シアノカテコールとしては、4−シアノカテコール等が挙げられる。ニトロカテコール及び/又はシアノカテコールは市販品を用いることができる。
【0019】
本発明の水硬性組成物において、置換カテコール化合物の含有量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が更に好ましく、0.18質量部以上がより更に好ましく、そして、1.50質量部以下が好ましく、1.20質量部以下がより好ましく、0.60質量部以下が更に好ましい.0.30質量部以下がより更に好ましい。
【0020】
本発明の水硬性組成物において、フェノール化合物と置換カテコール化合物の合計量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.03質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましく、0.18質量部以上が更に好ましく、0.25質量部以上がより更に好ましく、そして、1.80質量部以下が好ましく、1.00質量部以下がより好ましく、0.50質量部以下が更に好ましい。
【0021】
フェノール化合物と置換カテコール化合物の組み合わせは、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、レゾルシノールと、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物との組み合わせが好ましく、レゾルシノールとシアノカテコールの組み合わせがより好ましい。
【0022】
フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.60以上が更に好ましく、そして、20以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.0以下がより更に好ましい。
【0023】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
【0024】
また、セメントには、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてよい。セメントと混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
【0025】
水硬性組成物は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、水/セメント比〔スラリー中の水とセメントの質量比(水の質量/セメントの質量×100)、通常W/Cと略記される。〕が65%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、55%以下であることが更に好ましい。また、水硬性組成物の混練のしやすさ、打設時の型枠への充填性の向上等の作業性を向上する観点から、該質量比は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
【0026】
本発明の水硬性組成物には、さらに骨材を含有することができる。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
【0027】
骨材は、コンクリートやモルタルなどの調製に用いられる通常の範囲で用いることができる。水硬性組成物がコンクリートの場合、粗骨材の使用量は、水硬性組成物の強度の発現とセメント等の水硬性粉体の使用量を低減し、型枠等への充填性を向上する観点から、嵩容積50%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、そして、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。また、水硬性組成物がコンクリートの場合、細骨材の使用量は、型枠等への充填性を向上する観点から、500kg/m3以上が好ましく、600kg/m3以上がより好ましく、700kg/m3以上が更に好ましく、そして、1000kg/m3以下が好ましく、900kg/m3以下がより好ましい。水硬性組成物がモルタルの場合、細骨材の使用量は、800kg/m3以上が好ましく、900kg/m3以上がより好ましく、1000kg/m3以上が更に好ましく、そして、2000kg/m3以下が好ましく、1800kg/m3以下がより好ましく、1700kg/m3以下が更に好ましい。
【0028】
本発明の水硬性組成物は、流動性を上げる観点から、分散剤を含有することができる。分散剤としては、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体等の分散剤が挙げられる。分散剤は他の成分を配合した混和剤であっても良い。
【0029】
分散剤としては、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、ポリカルボン酸系共重合体及びナフタレン系重合体から選ばれる分散剤が好ましく、ポリカルボン酸系共重合体がより好ましい。ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
【0030】
ポリカルボン酸系共重合体としては、下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体〔以下、ポリカルボン酸系共重合体(I)という〕を用いることができる。
【0031】
【化1】
【0032】
〔式中、
1、R2:水素原子、又はメチル基
l:0以上2以下の数
m:0又は1の数
AO:炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基
n:AOの平均付加モル数であり、5以上150以下の数、
3:水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基
を表す。〕
【0033】
【化2】
【0034】
〔式中、
4、R5、R6:水素原子、メチル基、又は(CH2m1COOM2
1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又は置換アルキルアンモニウム
m1:0以上2以下の数
を表す。なお、(CH2m1COOM2はCOOM1と無水物を形成していてもよい。〕
【0035】
一般式(1)中、AOは、水硬性組成物の流動性の観点から、好ましくは炭素数2又は3、より好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基(エチレンオキシ基)である。
【0036】
nは、水硬性組成物の24時間後の強度向上の観点から、好ましくは9以上、更に20以上、より更に50以上、より更に70以上の数である。nは、水硬性組成物の初期流動性の観点から、好ましくは150以下、更に130以下の数である。また、nは、好ましくは9〜150、更に20〜150、より更に50〜130、より更に70〜130の数である。
【0037】
mが0の場合は、lは好ましくは1又は2である。mが1の場合は、lは好ましくは0である。共重合体の重合時の重合性の観点から、mは1が好ましい。mが0の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は水素原子が好ましい。mが1の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、さらに水溶性の観点からメチル基がより好ましい。
【0038】
単量体(1)として、例えば、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル及びアルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテル等を用いることができる。単量体(1)は、共重合体の重合時の重合性の観点から、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましい。
【0039】
ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとして、片末端封鎖されたアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を用いることができる。具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の1種以上を用いることができる。
【0040】
また、アルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテルとして、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。具体的には、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
【0041】
単量体(2)としては、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸等から選ばれる1種以上を用いることができる。単量体(2)は、単量体(1)のmが1の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、メタクリル酸又はその塩が好ましく、単量体(1)のmが0の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸が好ましい。
【0042】
ポリカルボン酸系共重合体(I)において、単量体(1)と単量体(2)のモル比は、水硬性組成物の初期流動性の向上の観点から、単量体(1)/単量体(2)が、3/97以上、更に5/95以上、より更に10/90以上、そして、70/30以下、更に50/50以下、より更に30/70以下が好ましい。また、単量体(1)と単量体(2)のモル比は、3/97〜70/30、更に5/95〜50/50、より更に10/90〜30/70が好ましい。
【0043】
また、ポリカルボン酸系共重合体(I)が含む全単量体中、単量体(1)と単量体(2)の合計の割合は、水硬性組成物の初期流動性の向上の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、そして、好ましくは100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。また、ポリカルボン酸系共重合体(I)が含む全単量体中、単量体(1)と単量体(2)の合計の割合は、水硬性組成物の初期流動性の向上の観点から、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは100モル%である。なお、単量体(1)、単量体(2)以外の構成単量体として、不飽和カルボン酸のアルキルエステル等から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0044】
また、ポリカルボン酸系共重合体(I)の重量平均分子量は、水硬性組成物の初期流動性の向上の観点から、10000以上が好ましく、35000以上がより好ましく、50000以上が更に好ましい。ポリカルボン酸系共重合体(I)の重量平均分子量は、水硬性組成物の粘性低減の観点から、100000以下が好ましく、80000以下がより好ましく、70000以下が更に好ましい。また、ポリカルボン酸系共重合体(I)の重量平均分子量は、水硬性組成物の初期流動性の向上と粘性低減の観点から、10000〜100000が好ましく、35000〜80000がより好ましく、50000〜70000が更に好ましい。この重量平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されたものである。
[GPC条件]
装置:高速GPC装置 HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー(株)製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:示差屈折検出器(RI)
サンプルサイズ:0.5mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算
【0045】
分散剤の含有量は、水硬性組成物の流動性の向上と硬化遅延を抑制する観点から、セメント100質量部に対して、0.005質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、そして、2.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。
【0046】
本発明の水硬性組成物は、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の水硬性組成物は、コンクリート、モルタルであってよい。本発明の水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の何れの分野においても有用である。加熱養生のエネルギーを削減しても水硬性組成物調製後24時間程度で強度を発現し、早期に型枠から脱型が可能になる観点から、コンクリート振動製品や遠心成形品等のコンクリート製品に用いることが好ましい。
【0048】
本発明の水硬性組成物は、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを混練することで製造できる。
【0049】
<硬化体の製造方法>
本発明の硬化体の製造方法は、水硬性組成物を調製する工程、調製された前記水硬性組成物を型枠に充填、養生、硬化させる工程、及び、硬化した前記水硬性組成物を脱型する工程、を有する。水硬性組成物の調製により得られたものが本発明の水硬性組成物であることが好ましい。
【0050】
水硬性組成物を調製する工程では、水硬性組成物の調製を、フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントと、水とを混合して行う。また、これらと、分散剤とを混合して行うことができる。フェノール化合物は、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、置換カテコール化合物は、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物である。フェノール化合物と、置換カテコール化合物と、セメントとを円滑に混合する観点から、フェノール化合物と置換カテコール化合物と水、又はフェノール化合物と置換カテコール化合物と水と分散剤とを予め混合し、セメントと混合することが好ましい。さらに、置換カテコール化合物を水に効率よく溶解させる観点から、置換カテコール化合物の水溶液を調製した後にフェノール化合物を混合して、フェノール化合物と置換カテコール化合物と水とを含有する混合物を得ることが好ましい。セメントと水(好ましくはフェノール化合物と置換カテコール化合物と水の混合物、又はフェノール化合物と置換カテコール化合物と分散剤と水の混合物)との混合は、モルタルミキサー、強制二軸ミキサー等のミキサーを用いて行うことができる。また、好ましくは1分間以上、より好ましくは2分間以上、そして、好ましくは5分間以下、より好ましくは3分間以下混合する。水硬性組成物の調製にあたっては、水硬性組成物で説明した材料や薬剤及びそれらの量を用いることができる。
【0051】
水硬性組成物を型枠に充填し養生し硬化させる工程では、得られた水硬性組成物を型枠に充填し養生する。型枠として、建築物の型枠、コンクリート製品用の型枠等が挙げられる。型枠への充填方法として、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。
【0052】
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法では、水硬性組成物の養生の際、硬化を促進するために蒸気加熱等の追加的なエネルギーを必要とせず、加熱養生をしないでコンクリート製品等の水硬性組成物の硬化体を製造することが可能となる。ここで、加熱養生は、50℃以上100℃以下の温度で水硬性組成物を保持して行うものとすることができ、本発明では、この条件での加熱養生を行わなずに実施できる。本発明では、型枠に充填した水硬性組成物の養生温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上が好ましく、そして、50℃未満が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。養生として室温での気中養生などを行うことができる。
【0053】
オートクレーブ養生、蒸気等の加熱養生をする場合でも、エネルギーを削減する観点から、加熱養生の時間は短いことが好ましく、具体的な養生条件として、水硬性組成物が養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が1時間以下で行うことが好ましく、0.5時間以下で行うことがより好ましい。また、この加熱養生の時間は0時間以上であるが、0時間(つまり前記温度条件の加熱養生を行わない)であってもよい。すなわち、本発明は、型枠に充填した水硬性組成物の養生を、養生温度50℃以上100℃以下に保持される時間が0時間以上1時間以下である養生条件で行うことができる。
【0054】
本発明では、水硬性組成物の調製でセメントに水を接触させてから脱型するまでの時間は、脱型に必要な強度を得る観点と製造サイクルを向上する観点から、4時間以上48時間以下が好ましい。
【0055】
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、加熱養生を行わなくても24時間後の硬化体強度を向上させることができるので、コンクリート製品の製造に好適に用いることができる。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、水硬性組成物の硬化が促進されるため、水硬性組成物の調製から脱型するまでの時間を短縮することも可能である。
【0056】
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、加熱養生を行なわなくてもコンクリート製品等の水硬性組成物の硬化体の生産性を向上できることから、環境に対する負荷軽減の点でも優れたものである。コンクリート製品である型枠を用いる水硬性組成物の硬化体としては、土木用製品では、護岸用の各種ブロック製品、ボックスカルバート製品、トンネル工事等に使用されるセグメント製品、橋脚の桁製品等が挙げられ、建築用製品では、カーテンウォール製品、柱、梁、床板に使用される建築部材製品等が挙げられる。
【0057】
本明細書において、水硬性組成物の項で説明した事項は、本発明の硬化体の製造方法にも適用することができる。その場合、水硬性組成物の項におけるフェノール化合物、置換カテコール化合物、分散剤の「含有量」は「配合量」ないし「添加量」と読み替えることができる。
【0058】
<水硬性組成物用早強剤>
本発明の水硬性組成物用早強剤は、フェノール化合物と、置換カテコール化合物とからなる水硬性組成物用早強剤であって、
前記フェノール化合物が、フェノール及びレゾルシノールから選ばれる1種以上の化合物であり、
前記置換カテコール化合物が、ニトロカテコール及びシアノカテコールから選ばれる1種以上の化合物であり、
フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比が、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上20以下である、
水硬性組成物用早強剤である。
【0059】
本発明の水硬性組成物用早強剤において、フェノール化合物と置換カテコール化合物の質量比は、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上20以下であり、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、フェノール化合物/置換カテコール化合物で、0.05以上であり、0.30以上が好ましく、0.60以上がより好ましく、そして、20以下であり、6.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下が更に好ましい。
【0060】
本発明の水硬性組成物用早強剤は、セメントと水とを混合する水硬性組成物の調製時に添加して用いることができる。本発明の水硬性組成物用早強剤は、セメントとの混合性を向上する観点から、セメントと水とを混合する際に予め水と混合することが好ましい。また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、早強剤の添加等との作業性の観点から、予め水と混合して水溶液として用いることもできる。
【0061】
本発明の水硬性組成物用早強剤は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、フェノール化合物が0.01質量部以上0.30質量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.03質量部以上がより好ましく、0.08質量部以上が更に好ましく、0.19質量部以上がより更に好ましく、そして、0.25質量部以下がより好ましい。
【0062】
また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、置換カテコール化合物が、0.01質量部以上1.50質量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が更に好ましく、0.18質量部以上がより更に好ましく、そして、1.20質量部以下がより好ましく、0.60質量部以下が更に好ましい.0.30質量部以下がより更に好ましい。
【0063】
また、本発明の水硬性組成物用早強剤は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.03質量部以上1.80質量部以下となるように添加されることが好ましい。当該添加量は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、セメント100質量部に対して、0.10質量部以上が好ましく、0.18質量部がより好ましく、0.25質量部以上が更に好ましく、そして、1.00質量部以下が好ましく、0.50質量部以下がより好ましい。
【0064】
本発明の水硬性組成物用早強剤を用いて、室温(例えば10〜40℃)での気中養生で水硬性組成物の硬化体を得ることができる。本発明では、50℃以上の加熱下での養生、すなわち、いわゆる加熱養生を行わなくても24時間後の硬化体の強度を向上させることができる。
【0065】
本発明により、本発明の水硬性組成物用早強剤と、分散剤とを含有する水硬性組成物用早強剤組成物であって、
分散剤が、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上の分散剤、更にポリカルボン酸系共重合体である、
水硬性組成物用早強剤組成物が提供される。分散剤は、ポリカルボン酸系共重合体及びナフタレン系重合体から選ばれる1種以上の分散剤、更にポリカルボン酸系共重合体、より更にポリカルボン酸系共重合体(I)が好ましい。
【0066】
この水硬性組成物用早強剤組成物における水硬性組成物用早強剤の好ましい態様は、前記した本発明の水硬性組成物用早強剤と同じである。
【0067】
分散剤は、水硬性組成物の流動性の向上と硬化遅延を抑制する観点から、セメント100質量部に対して、0.005質量部以上、更に0.05質量部以上、更に0.1質量部以上、そして、2.5質量部以下、更に、1.0質量部以下、更に0.5質量部以下となるように添加されることが好ましく、水硬性組成物用早強剤組成物中、早強剤と分散剤の質量比(早強剤/分散剤)は、加熱養生のエネルギーを削減しても得られる硬化体の24時間強度を向上する観点から、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、12以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、4.0以下が更に好ましい。
【0068】
本明細書において、水硬性組成物の項で説明した事項は、本発明の水硬性組成物用早強剤又は水硬性組成物用早強剤組成物にも適用することができる。
【実施例】
【0069】
モルタル配合を表1に、また、評価結果を表2に示した。表中の化合物は以下のものである。
・フェノール:シグマアルドリッチジャパン(株)製、試薬
・レゾルシノール:和光純薬工業(株)製、試薬
・4−シアノカテコール:和光純薬工業(株)製 試薬
・4−ニトロカテコール:和光純薬工業(株)製 試薬
・カテコール:和光純薬工業(株)製、試薬
カテコールは本発明の置換カテコール化合物には含まれないが、便宜上、表中の置換カテコール化合物の欄に記載した。
【0070】
また、セメント分散剤として以下を用いた。
・ポリカルボン酸系分散剤:以下の製造例1により得られたもの
・ナフタレン系分散剤:花王(株)製、マイテイ150
【0071】
製造例1(ポリカルボン酸系分散剤の製造)
攪拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水114gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。60質量%のω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数120:エステル純度100%)水溶液300g、メタクリル酸(試薬:和光純薬工業株式会社製)11.5g、及び3−メルカプトプロピオン酸1.2gを混合溶解した水溶液と、過硫酸アンモニウム1.9gを水45gに溶解した水溶液の2者を、それぞれ1.5時間かけて上記反応容器中に滴下した。その後、80℃で1時間熟成し、更に過硫酸アンモニウム0.8gを水15gに溶解した水溶液を30分かけて滴下し、引き続き80℃で1.5時間熟成した。熟成終了後に40℃以下に冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液9.6gで中和し、重量平均分子量54000の共重合体(ポリカルボン酸系分散剤)を得た(中和度0.7)。その後、水を用いて固形分40質量%に調整し、ポリカルボン酸系分散剤の40質量%水溶液を得た。単量体(1)/単量体(2)のモル比は20/80である。この水溶液を共重合体の添加量が表2の値となるように用いた。
【0072】
【表1】
【0073】
水とセメントの質量比(W/C)は50%(セメント100質量部に対して水50質量部)である。細骨材はセメント100質量部に対して200質量部である。また、用いた成分は以下のものである。
・W:練り水(セメント分散剤と、フェノール化合物及び/又は置換カテコール化合物とを含む水道水)
・C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)、密度3.16g/cm3
・S:細骨材、城陽産、山砂、FM=2.67、密度2.56g/cm3
【0074】
<モルタルの調製及び評価>
(1)モルタル調製工程
表1に示す配合条件で、モルタルミキサー((株)ダルトン製 万能混合撹拌機 型式:5DM-03-γ)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りを10秒行い、セメント分散剤と早強剤を含む練り水(W)を加えた。この際、空気連行量が2%以下になるよう消泡剤を添加した。そして、モルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて60秒間、更に高速回転(128rpm)にて120秒間本混練りしてモルタルを調製した。
【0075】
なお、早強剤は、置換カテコール化合物を水100質量部に10質量部溶解させた水溶液を調製し、フェノール化合物と置換カテコール化合物とが表2の添加量になる比率で、フェノール化合物を、前記置換カテコール化合物の水溶液と混合して調製した。フェノール化合物のみを添加する場合は、フェノール化合物を直接練り水に添加して用いた。
【0076】
また、セメント分散剤と、表2の添加量の早強剤を練り水と混合した。練り水中のセメント分散剤及び早強剤の量は微量であるため、セメント分散剤及び早強剤と練り水の合計で表1のWの量にした。
【0077】
(2)型枠充填、養生工程
JIS A 1132に基づき、円柱型プラモールド(底面の直径:5cm、高さ10cm)の型枠3個に、それぞれ二層詰め方式によりモルタルを充填し、20℃の室内にて気中(20℃)養生を行い硬化させた。モルタル調製から24時間後に硬化した供試体を型枠から脱型し供試体を得た。
【0078】
(3)脱型工程
モルタル調製から24時間後に硬化した供試体を型枠から脱型し供試体を得た。
【0079】
(4)硬化強度の評価
供試体の24時間強度をJIS A1108に基づいて測定し、供試体3個の平均値を求めた。結果を表2に示した。
【0080】
表2中、質量部は、セメント100質量部に対する質量部である。また、表2中、24時間強度の「比」は、セメントに、早強剤を添加しない場合(比較例1)の強度を100とした比率である。
【0081】
【表2】
【0082】
表2から、本発明に係る所定のフェノール化合物や本発明に係る所定の置換カテコール化合物を組み合わせることによって、養生温度が20℃であっても高い24時間強度の向上効果が得られることがわかる。