特許第5965310号(P5965310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965310
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】車両貸出返却機
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/00 20060101AFI20160721BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20160721BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20160721BHJP
【FI】
   G07F17/00 A
   G07F9/00 110Z
   G06Q30/06 350
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-287993(P2012-287993)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130485(P2014-130485A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502388677
【氏名又は名称】無人レンタカーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】八上 光良
(72)【発明者】
【氏名】川間 正文
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3421300(JP,B2)
【文献】 特開平11−197002(JP,A)
【文献】 特開2001−182387(JP,A)
【文献】 特許第2967856(JP,B2)
【文献】 特開平10−124461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 17/00 − 17/42
G06Q 30/06
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵の保持部を備える車両貸出返却機であって、
保持部には、鍵の有無を検出する検出手段が設けられているとともに、検出手段により鍵の有無を検出可能な検出位置に向かって斜面が形成されており、
前記斜面は、すり鉢状に形成され、前記保持部の底部に構成されている
車両貸出返却機。
【請求項2】
手書き文字取得手段を更に備え、前記保持部に保持される鍵を取り出す際に手書き文字取得手段から入力された手書き文字が所定の書面にそのまま印字される請求項1に記載の車両貸出返却機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両貸出返却機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の利便性を向上させてレンタカーのニーズを増大させることを目的としてレンタカーの貸出業務と返却業務とを24時間体制で行う24時間営業のレンタカー営業所が設けられている。このようなレンタカー営業所において、運営コストを低減するために無人営業システムの構築が提案されている。車両貸出返却機を用いることで無人で車両の貸出業務と返却業務を行うものである。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の車両貸出返却機は、車両貸出情報の入出力手段と車両の鍵貸出返却手段(保持手段)とを備える。車両貸出返却機は、利用者が自ら操作することにより鍵の貸出業務、決済業務、返却業務等を行い、レンタカー営業所の省力化や無人店舗化を実現するものである。しかし、車両貸出返却機において鍵の検出不良が生じた場合や車両貸出返却機によって自動的に手続きが行われることに利用者が不安を感じることがあり問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2967856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、無人店舗等における貸出返却業務に対する信頼性を向上させることができる車両貸出返却機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、請求項1においては、鍵の保持部を備える車両貸出返却機であって、保持部には、鍵の有無を検出する検出手段が設けられているとともに、検出手段により鍵の有無を検出可能な検出位置に向かって斜面が形成されており、前記斜面は、すり鉢状に形成され、前記保持部の底部に構成されているものである。
【0007】
請求項2においては、手書き文字取得手段を更に備え、前記保持部に保持される鍵を取り出す際に手書き文字取得手段から入力された手書き文字が所定の書面にそのまま印字されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
即ち、請求項1に係る発明によれば、鍵の返却時に鍵が保持部に投入された際、鍵の検出位置に鍵が案内され、鍵の返却についての誤検出が抑制される。これにより、無人店舗等における貸出返却業務に対する信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、鍵の返却時に鍵が保持部にどのように投入されても鍵の検出位置に鍵が案内され、鍵の返却についての誤検出が抑制される。また、鍵の貸し出し時に、鍵が保持部の略中央にあるので利用者によって確実に鍵の存在が認識される。これにより、無人店舗等における貸出返却業務の信頼性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、重要書類に利用者の自筆サインが添付されることで利用者に車両貸出返却機の重要書類に対する取り扱いが丁寧であることを認識させる。これにより、無人店舗等における貸出返却業務の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る車両貸出返却機を含む車両貸出返却システムの構成を示した概略図。
図2】本発明に係る車両貸出返却機を示す斜視図。
図3】本発明に係る車両貸出返却機の制御構成を示す図。
図4】(a)本発明に係る車両貸出返却機のディスプレイ装置に表示される受付画面を示す図(b)本発明に係る車両貸出返却機のディスプレイ装置に表示される手書き文字を取得する際の画面を示す図。
図5】本発明に係る車両貸出返却機の鍵貸出返却装置における図2のA矢視断面を示す図。
図6】本発明に係る車両貸出返却機の鍵貸出返却装置における図5のB矢視断面を示す図。
図7】本発明に係る車両貸出返却機の業務選択における制御態様を表すフローチャートを示す図。
図8】本発明に係る車両貸出返却機の貸出業務における制御態様を表すフローチャートを示す図。
図9】本発明に係る車両貸出返却機の返却業務における制御態様を表すフローチャートを示す図。
図10】本発明に係る車両貸出返却機の忘れ物対応業務における制御態様を表すフローチャートを示す図。
図11】(a)本発明に係る車両貸出返却機のディスプレイ装置に表示される予約内容選択画面を示す図(b)本発明に係る車両貸出返却機のディスプレイ装置に表示される利用規約の同意画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る車両貸出返却機1を具備する車両貸出返却システム100について説明する。
【0014】
車両貸出返却システム100は、複数の営業所101・101・・・において車両貸出返却機1を用いた車両(レンタカー)の貸出業務と返却業務とを運用管理するものである。
【0015】
図1に示すように、車両貸出返却システム100は、複数の営業所101・101・・・にそれぞれ置かれる車両貸出返却機1・1・・・と本部102に置かれる中央制御装置2とが情報通信回線103を介して接続されて構成されている。
【0016】
営業所101は、車両貸出返却システム100において、車両の貸出及び返却を行う機関である。営業所101には、車両貸出返却機1が配置されている。営業所101には、車両を待機させておくための駐車スペース等が設けられている。営業所101は、車両貸出返却機1と一台の車両が駐車できる駐車スペースとがあれば営業を行うことが可能である。
【0017】
車両貸出返却機1は、中央制御装置2と情報通信回線103により接続されている。営業所101の車両貸出返却機1で処理された情報と、車両貸出返却機1の不具合に関する情報と、車両貸出返却機1の操作状態に関する情報とは、本部102の中央制御装置2において集中管理されるように構成されている。そして、車両貸出返却システム100は、利用者が車両貸出返却機1を通じて本部102に駐在しているオペレーターと通信可能に構成されている。
【0018】
本部102は、車両貸出返却システム100の統率を行い、また、制御を行うための機関であり、これらの機能を本部102に備えられた中央制御装置2が果たしている。中央制御装置2では、車両の貸出を予約するための予約システム、会員の管理や登録を行う会員管理システム、未精算の料金を計算し不足分をカード決済会社に報告する未精算請求システム、車両の管理を行う在庫管理システム、必要な営業所101に必要な台数の車両を配送し、また、不要な車両を回収するために回送・清掃業者に回送を注文する回送指示システム、貸し出され返却された車両の清掃を行う清掃指示システム、損傷を受けた車両を修理するために修理業者に修理・修繕を注文する修理・修繕システムが構築されている。これらの各システムによって、車両貸出返却システム100が構成されている。
【0019】
これにより、車両貸出情報及び利用者情報を一元的に管理することが可能となり、レンタカーサービスを利用する利用者の管理や、車両の管理が容易となるとともに、広域的なサービスの提供が可能となる。また、中央制御装置2において車両の全てを集中管理するため、予定返却営業所101以外の営業所101に車両が返却されたとしても、車両の状況を把握しているので追加費用の精算が可能である。
【0020】
次に、図2から図6を用いて、車両貸出返却機1について説明する。
【0021】
車両貸出返却機1は、利用者自らが車両の貸出業務と返却業務とを行うためのものである。車両貸出返却機1は、有人または無人の営業所101に設置されている(図1参照)。
【0022】
図2および図3に示すように、車両貸出返却機1は、受付機3と鍵収納機4とから構成されている。車両貸出返却機1は、受付機3の下側に鍵収納機4が配置され、受付機3を支持するように構成されている。また、車両貸出返却機1は、受付機3と鍵収納機4とが分離可能に構成され、受付機3と鍵収納機4とが離間するように配置することが可能である。さらに、車両貸出返却機1は、受付機3のみを設置して受付業務のみを行うことが可能である。
【0023】
受付機3は、車両の鍵の貸出と返却とに関する情報の入出力や決済等を行う。受付機3は、タッチスクリーン機能を備えたディスプレイ装置5と、カメラ装置6と、印字装置7と、カード読取装置8と、通信装置9と、制御装置10等とが備えられている。受付機3は、所定の位置に立つ利用者と対向するようにディスプレイ装置5が配置されている。受付機3は、ディスプレイ装置5の上側にカメラ装置6が配置され、ディスプレイ装置5の下側にカード読取装置8と印字装置7とが配置されている。また、受付機3の背面には、通信装置9が、受付機3の内部には制御装置10等( 図3参照) が備えられている。
【0024】
鍵収納機4は、鍵の貸出しと返却とを行う。鍵収納機4は、鍵貸出返却装置11が備えられている。鍵収納機4は、略直方体状に形成されて受付機3の支持フレームとしての機能を有する。鍵収納機4には、鍵貸出返却装置11が配置されている。
【0025】
ディスプレイ装置5は、情報の入力及び表示出力を行うものである。ディスプレイ装置5は、タッチパネル機能を有し、車両の貸出業務と返却業務に伴って必要な情報を利用者自身が入力および伝達可能に構成されている。ディスプレイ装置5には、画面上に各種の選択ボタン等が表示される。制御装置10は、利用者が触れたりなぞったりしたディスプレイ装置5の画面上の位置情報から該当する情報や画像を取得する。また、ディスプレイ装置5は、通信装置9を介して伝達される情報や本部102に駐在しているオペレーターの画像を画面上に表示可能に構成されている。
【0026】
図4(a)に示すように、ディスプレイ装置5には、受付画面において「貸出」ボタン5aと、「返却」ボタン5bと、「忘れ物」ボタン5cとが表示される。「貸出」ボタン5aは、車両の貸出時に選択されるものである。「返却」ボタン5bは、車両の返却時に選択されるものである。「忘れ物」ボタン5cは、返却後の車内の忘れ物等を回収するなどのために車両の解錠が必要な場合に選択されるものである。
【0027】
また、ディスプレイ装置5には、「呼出」ボタン5dが表示される。「呼出」ボタン5dは、本部102のオペレーターを呼び出すものである。ディスプレイ装置5の「呼出」ボタン5dは、車両貸出返却機1の使用方法がわからないときや、故障時、緊急事態発生時等にオペレーターと連絡を取る必要があるとき等に選択される。この際、ディスプレイ装置5は、別途設けられるカメラ装置6、マイク等と連動して本部102のオペレーターと会話可能に構成される。
【0028】
図4(b)に示すように、ディスプレイ装置5は、画面上に利用者が専用ペン等で記した手書き文字をそのまま取得可能な手書き文字取得手段としての機能を有する。ディスプレイ装置5には、画面に署名枠5eが表示される。ディスプレイ装置5は、署名枠5e内に記された文字を画像情報または座標情報として処理可能に構成される。つまり、制御装置10は、ディスプレイ装置5の署名枠5e内に記された文字を画像情報または座標情報として取得することができる。そして、ディスプレイ装置5には、入力された文字情報や演算結果を画面上に表示する。なお、利用者の手書き文字を入力する専用の入力装置を別途も設ける構成でもよい。
【0029】
図2および図3に示すように、カメラ装置6は、画像を取得するものである。カメラ装置6は、ディスプレイ装置5を見ながら操作する利用者を撮影可能に構成されている。カメラ装置6で撮影された映像の情報(利用者像情報)は、通信装置9を介して本部102に伝達され、本部102に駐在しているオペレーターが確認することができる。また、車両貸出返却機1の利用者をカメラ装置6にて撮影することにより、車両貸出返却機1の破壊行為等の抑止効果が期待される。
【0030】
印字装置7は、文字等を印字するものである。印字装置7は、本部102の中央制御装置2から伝達された情報やディスプレイ装置5から入力された情報を所定の書類に印字可能、および利用者に受け渡すために排出可能に構成されている。また、図4(b)に示すように、ディスプレイ装置5から入力された利用者の手書き文字(例えば署名)を賃貸契約書等の重要書類にそのまま印字可能に構成されている。
【0031】
図2および図3に示すように、カード読取装置8は、各種カードや免許証の情報を読み取るものである。カード読取装置8は、受付機3の正面に設けられたカード挿入口から挿入されたカードの情報を図示しないOCR等の画像認識装置や磁気情報の読取り装置によって取得可能に構成されている。なお、OCR等の画像認識装置と磁気情報の読取り装置とをそれぞれ設け、OCR等の画像認識装置で免許証の情報を読み取り、磁気情報の読取り装置によって各種カードの情報を読み取るように構成してもよい。
【0032】
通信装置9は、双方向の情報伝達を行うものである。通信装置9は、ディスプレイ装置5によって入力された情報、カード読取装置8によって取得された情報、カメラ装置6によって撮影された画像、車両貸出返却機1の不具合に関する情報および車両貸出返却機1の操作状態に関する情報を情報通信回線103を介して本部102の中央制御装置2に伝達可能に構成されている。また本部102の中央制御装置2からの情報を情報通信回線103を介して車両貸出返却機1に伝達可能に構成されている(図1参照)。すなわち、本部102は、車両貸出返却機1の不具合状態や操作状態と利用者の情報とに基づいて、ディスプレイ装置5を介して利用者の操作補助を行うことができる。
【0033】
図3に示すように、制御装置10は、車両貸出返却機1を制御するものである。制御装置10には、車両貸出返却機1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納されている。制御装置10は、CPU、ROM、RAMがバスで接続されている構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。各営業所101に複数の車両貸出返却機1が設置されている場合は、単一の制御装置10によって各車両貸出返却機1を一括して制御する構成とすることも可能である。
【0034】
制御装置10は、ディスプレイ装置5と接続され、ディスプレイ装置5から入力される情報を取得し、ディスプレイ装置5に情報を表示するように制御することが可能である。
【0035】
制御装置10は、カメラ装置6と接続され、カメラ装置6が撮影した画像を取得し、カメラ装置6を制御することが可能である。
【0036】
制御装置10は、印字装置7と接続され、印字装置7に情報を送信し、印字装置7を制御することが可能である。
【0037】
制御装置10は、カード読取装置8と接続され、カード読取装置8が検出した情報を取得し、カード読取装置8を制御することが可能である。
【0038】
制御装置10は、通信装置9と接続され、通信装置9から情報を取得し、通信装置9によって情報を伝達するように制御することが可能である。
【0039】
制御装置10は、鍵貸出返却装置11と接続され、鍵貸出返却装置11の施錠と解錠との制御をすることが可能である。
【0040】
図2および図3に示すように、鍵貸出返却装置11は、車両貸出返却機1における鍵の保持部として鍵を保持するものである。鍵貸出返却装置11は、鍵収納機4の筐体内部が複数の小部屋11a・11a・・に仕切られて構成される。鍵貸出返却装置11は、各小部屋11aに施錠可能な開閉扉12が設けられる(図5黒塗り矢印参照)。
【0041】
図5および図6に示すように、鍵貸出返却装置11は、各小部屋11aの底面に略中央部に向かうように斜面11bが形成されている。つまり、鍵貸出返却装置11の各小部屋11aの底面は、すり鉢状に形成されている。鍵貸出返却装置11は、その内部に鍵の有無を検出する検出手段である鍵検出センサー13が設けられる。鍵検出センサー13は、投受光型の光電センサーから構成される。鍵検出センサー13は、すり鉢状の斜面11bの最低部に鍵の検出位置Pが設定される。これにより、鍵貸出返却装置11は、斜面11bが鍵の検出位置Pに向かって傾斜するように構成される。こうすることで、鍵貸出返却装置11に投入された鍵は、斜面11bによって検出位置Pに案内される。鍵貸出返却装置11は、鍵が検出センサー13の光軸Lをさえぎることで鍵を検出することができる(図5図6白塗矢印参照)。鍵貸出返却装置11は、制御装置10からの制御信号によって開閉扉12の施錠または解錠可能に構成されている。なお、鍵検出センサー13は、投受光型の光電センサーに限定されるものではない。
【0042】
以下では、図7から図11を用いて、本発明の一実施形態に係る車両貸出返却機1の貸出業務と返却業務における制御の態様について説明する。
【0043】
制御装置10は、ディスプレイ装置5に表示されている受付画面の「貸出」ボタン5aまたは「返却」ボタン5bが選択されると(図4(a)参照)、会員カードまたは免許証の情報から利用者と貸し出し対象の車両を特定し、所定の手続きに従って対象車両の鍵の貸出業務または返却業務を遂行する。制御装置10は、ディスプレイ装置5に表示されている「忘れ物」ボタン5cが選択されると、会員カードまたは免許証との情報から利用者と貸し出し対象の車両を特定し、車両の返却がされたときから第1所定時間T1が経過していない場合に限り、対象車両の鍵を第2所定時間T2の間だけ無償で貸し出す。
【0044】
次に、車両貸出返却機1の貸出業務と返却業務における制御の態様について具体的に説明する。
【0045】
図7に示すように、ステップS110において、制御装置10は、受付画面(図4(a)参照)としてディスプレイ装置5に表示される「貸出」ボタン5aまたは「返却」ボタン5bが選択されたか否か判定する。その結果、「貸出」ボタン5aまたは「返却」ボタン5bが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS120に移行させる。一方、「貸出」ボタン5aまたは「返却」ボタン5bが選択されていないと判定した場合、すなわち「忘れ物」ボタン5cが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS400に移行させる。
【0046】
ステップS120において、制御装置10は、受付画面としてディスプレイ装置5に表示される「貸出」ボタン5aが選択されたか否か判定する。その結果、「貸出」ボタン5aが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS200に移行させる。一方、「貸出」ボタン5aが選択されていないと判定した場合、すなわち「返却」ボタン5bが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS300に移行させる。
【0047】
ステップS200において、制御装置10は、貸出業務制御Aを開始し、ステップをステップS210に移行させる(図8参照)。
【0048】
図8に示すように、ステップS210において、制御装置10は、カード読取装置8によって免許証と各種カードとの情報を取得し、ステップをステップS220に移行させる。
【0049】
ステップS220において、制御装置10は、カード読取装置8によって取得した免許証と各種カードとの情報に基づいて中央制御装置2から車両貸出情報を取得し、該当する予約情報をディスプレイ装置5に表示し、ステップをステップS230に移行させる。
【0050】
ステップS230において、制御装置10は、表示した予約情報の中から特定の予約情報が選択され、その予約内容を確認した意思表示である「確認」ボタン5f(図11(a)参照)が選択されたか否か判定する。その結果、特定の予約情報が選択され、その予約内容を確認した意思表示である「確認」ボタン5fが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS240に移行させる。一方、その予約内容が確認できていないと判定した場合、例えば、「戻る」ボタン5gが選択されたと判定された場合、制御装置10はステップをステップS220に移行させる。
【0051】
ステップS240において、制御装置10は、選択された予約情報についての料金をディスプレイ装置5に表示し、ステップをステップS250に移行させる。
【0052】
ステップS250において、制御装置10は、ディスプレイ装置5に利用規約を表示し、その内容について了承した意思表示である「同意します」ボタン5h(図11(b)参照)が選択されたか否か判定する。その結果、「同意します」ボタン5hが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS260に移行させる。一方、その内容について了承した意思表示である「同意します」ボタン5hが選択されていないと判定した場合、すなわち「同意しません」ボタン5iが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS220に移行させる。
【0053】
ステップS260において、制御装置10は、利用者にディスプレイ装置5の画面の署名枠5e(図4(b)参照)に署名を行うように促し、署名枠5eで行われた利用者の署名の手書き文字情報を取得し、ステップをステップS270に移行させる。
【0054】
ステップS270において、制御装置10は、カード読取装置8によって免許証と各種カードとの情報から取得した利用者の各種情報と、中央制御装置2から取得した車両貸出情報とに基づいて料金精算処理を行い、ステップをステップS280に移行させる。
【0055】
ステップS280において、制御装置10は、印字装置7によって所定の書類にカード読取装置8等によって取得した利用者の情報と、中央制御装置2から取得した車両貸出情報と、ディスプレイ装置5によって取得した利用者の手書き文字情報(署名)とを印刷し、その書類を印字装置7から排出して利用者に引渡し、ステップをステップS290に移行させる。
【0056】
ステップS290において、制御装置10は、カード読取装置8等によって取得した利用者の情報と中央制御装置2から取得した車両貸出情報とから対応する鍵が保持されている鍵貸出返却装置11の小部屋11aの開閉扉12を解錠し、貸出業務制御Aを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0057】
図7に示すように、ステップS300において、制御装置10は、返却業務制御Bを開始し、ステップをステップS310に移行させる(図9参照)。
【0058】
図9に示すように、ステップS310において、制御装置10は、カード読取装置8によって免許証と各種カードとの情報を取得し、ステップをステップS320に移行させる。
【0059】
ステップS320において、制御装置10は、カード読取装置8によって取得した免許証と各種カードとの情報に基づいて中央制御装置2から車両貸出情報を取得し、該当する車両貸出情報をディスプレイ装置5に表示し、ステップをステップS330に移行させる。
【0060】
ステップS330において、制御装置10は、カード読取装置8によって取得した利用者の情報と中央制御装置2から取得した車両貸出情報とから対応する鍵が保持されるべき所定の鍵貸出返却装置11の小部屋11aの開閉扉12を解錠し、ステップをステップS330に移行させる。
【0061】
ステップS340において、制御装置10は、鍵検出センサー13の検出値によって鍵貸出返却装置11の内部に鍵が返却されたか否か判定する。その結果、鍵貸出返却装置11の内部に鍵が返却されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS350に移行させる。一方、鍵貸出返却装置11の内部に鍵が返却されていないと判定した場合、制御装置10はステップをステップS340に移行させる。
【0062】
ステップS350において、制御装置10は、車両の利用時間を算出し、ディスプレイ装置5に表示される図示しない走行距離入力画面から入力された走行距離を取得し、ステップをステップS360に移行させる。
【0063】
ステップS360において、制御装置10は、ディスプレイ装置5に表示される図示しない「未給油」ボタンが選択されたか否か判定する。その結果、「未給油」ボタンが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS370に移行させる。一方、「未給油」ボタンが選択されていないと判定した場合、すなわち図示しない「給油」ボタンが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS380に移行させる。
【0064】
ステップS370において、制御装置10は、取得した走行距離に基づいて燃料の代金を算出し、ステップをステップS380に移行させる。
【0065】
ステップS380において、制御装置10は、車両の利用時間、燃料の代金等の追加料金を算出し、ディスプレイ装置5の画面に追加料金の表示をし、ステップをステップS390に移行させる。
【0066】
ステップS390において、制御装置10は、料金精算処理を行い、印字装置7によって所定の書類にカード読取装置8によって取得した利用者の情報と、中央制御装置2から取得した車両貸出情報と、算出した追加料金とを印刷し、その書類を印字装置7から排出して利用者に引渡し、返却業務制御Bを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0067】
図7に示すように、ステップS400において、制御装置10は、忘れ物対応制御Cを開始し、ステップをステップS410に移行させる(図10参照)。
【0068】
図10に示すように、ステップS410において、制御装置10は、カード読取装置8によって免許証と各種カードとの情報を取得し、中央制御装置2から車両貸出情報を取得し、該当する車両貸出情報をディスプレイ装置5に表示し、ステップをステップS420に移行させる。
【0069】
ステップS420において、制御装置10は、表示した車両貸出情報の中から選択された車両貸出情報における対象車両が返却されてから経過した時間が第1所定時間T1以内か否か判定する。その結果、対象車両が返却されてから経過した時間が第1所定時間T1以内であると判定した場合、制御装置10はステップをステップS430に移行させる。一方、対象車両が返却されてから経過した時間が第1所定時間T1以内でないと判定した場合、制御装置10はステップをステップS421に移行させる。
【0070】
ステップS421において、制御装置10は、車両の返却から第1所定時間T1が経過しており鍵の貸出しが出来ない旨と、本部102に駐在するオペレーターに連絡をとることを勧める旨との記載をディスプレイ装置5に表示し、忘れ物対応制御Cを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0071】
ステップS430において、制御装置10は、鍵の無償貸出時間が第2所定時間T2以内に限られる旨と、鍵の貸出時間が第2所定時間T2を超えると追加料金が発生する旨の記載をディスプレイ装置5に表示し、その内容を確認した意思表示である「確認」ボタン5f(図11(a)参照)が選択されたか否か判定する。その結果、その内容を確認した意思表示である「確認」ボタン5fが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS440に移行させる。一方、その内容が確認できていないと判定した場合、例えば、「戻る」ボタン5g(図11(a)参照)が選択されたと判定された場合、忘れ物対応制御Cを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0072】
ステップS440において、制御装置10は、カード読取装置8によって取得した利用者の情報と中央制御装置2から取得した車両貸出情報とから対応する鍵が保持されている所定の鍵貸出返却装置11の小部屋11aの開閉扉12を解錠し、ステップをステップS450に移行させる。
【0073】
ステップS450において、制御装置10は、開閉扉12を解錠してからの経過時間Tの計測を開始するとともに、ディスプレイ装置5に受付画面を表示してステップをステップS460に移行させる。この際、制御装置10は、貸出業務制御Aまたは返却業務制御Bを並行して実行することができる。
【0074】
ステップS460において、制御装置10は、受付画面としてディスプレイ装置5に表示される「忘れ物」ボタン5cが選択されたか否か判定する。その結果、「忘れ物」ボタン5cが選択されたと判定した場合、制御装置10はステップをステップS470に移行させる。一方、「忘れ物」ボタン5cが選択されていないと判定した場合、すなわち「貸出」ボタン5aまたは「返却」ボタン5bが選択されたと判定した場合、制御装置10は貸出業務制御Aまたは返却業務制御Bを実行するためにステップをステップS110に移行させる(図8または図9参照)。
【0075】
ステップS470において、制御装置10は、カード読取装置8によって免許証と各種カードとから取得した利用者の情報に基づいて車両を特定し、対応する鍵が保持される予定の鍵貸出返却装置11の小部屋11aの開閉扉12を解錠し、鍵検出センサー13によって鍵の返却を検出すると、ステップをステップS480に移行させる。
【0076】
ステップS480において、制御装置10は、鍵の鍵検出鍵貸出返却装置11の開閉扉12を解錠してからの経過時間Tが第2所定時間T2を超えているか否か判定する。その結果、鍵貸出返却装置11の開閉扉12を解錠してからの経過時間Tが第2所定時間T2を超えていると判定した場合、制御装置10はステップをステップS490に移行させる。一方、鍵貸出返却装置11の開閉扉12を解錠してからの経過時間Tが第2所定時間T2を超えていないと判定した場合、制御装置10は忘れ物業務制御Cを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0077】
ステップS490において、制御装置10は、第2所定時間T2よりも超過した時間から追加料金を算出し、ディスプレイ装置5の画面に追加料金の表示し、料金精算処理を行うとともに印字装置7によって追加料金等が印字された所定の書類を排出して利用者に引渡し、忘れ物業務制御Cを終了してステップをステップS110に戻す(図7参照)。
【0078】
以上の如く、本発明の第一実施形態に係る車両貸出返却機1は、鍵の保持部である鍵貸出返却装置11を備える車両貸出返却機1であって、鍵貸出返却装置11には鍵の有無を検出する検出手段である鍵検出センサー13が設けられているとともに、鍵検出センサー13により鍵の有無を検出可能な検出位置Pに向かって斜面11bが形成されているものである。このように構成することにより、鍵の返却時に鍵が鍵貸出返却装置11に投入された際、鍵の検出位置Pに鍵が案内され、鍵の返却についての誤検出が抑制される。これにより、無人店舗等における貸出返却業務に対する信頼性を向上させることができる。
【0079】
また、斜面11bは、すり鉢状に形成され、鍵貸出返却装置11の底部に構成されているものである。このように構成することにより、鍵の返却時に鍵が鍵貸出返却装置11にどのように投入されても鍵の検出位置Pに鍵が案内され、鍵の返却についての誤検出が抑制される。また、鍵の貸し出し時に、鍵が鍵貸出返却装置11の略中央にあるので利用者によって確実に鍵の存在が認識される。これにより、無人店舗等における貸出返却業務の信頼性を向上させることができる。
【0080】
また、前手書き文字取得手段を有するディスプレイ装置5を更に備え、鍵貸出返却装置11に保持される鍵を取り出す際にディスプレイ装置5の署名枠5eから入力された手書き文字が所定の書面にそのまま印字されるものである。このように構成することにより、重要書類に利用者の自筆サインが添付されることで利用者に車両貸出返却機1の重要書類に対する取り扱いが丁寧であることを認識させる。これにより、無人店舗等における貸出返却業務の信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両貸出返却機
11 鍵貸出返却装置
11b 斜面
13 鍵検出センサー
図1
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図5
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図7
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図10
図11