特許第5965312号(P5965312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965312
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】制御された量子ドット成長
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20160721BHJP
   B82B 1/00 20060101ALI20160721BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20160721BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20160721BHJP
   C30B 29/66 20060101ALI20160721BHJP
   H01L 21/203 20060101ALI20160721BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01L29/06 601D
   B82B1/00
   B82Y20/00
   B82Y40/00
   C30B29/66
   H01L21/203 M
   H01L21/205
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-509880(P2012-509880)
(86)(22)【出願日】2010年5月3日
(65)【公表番号】特表2012-526395(P2012-526395A)
(43)【公表日】2012年10月25日
(86)【国際出願番号】US2010033428
(87)【国際公開番号】WO2010129482
(87)【国際公開日】20101111
【審査請求日】2011年12月27日
【審判番号】不服2014-22123(P2014-22123/J1)
【審判請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】12/435,213
(32)【優先日】2009年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509348786
【氏名又は名称】エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109586
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】クラグリック,エゼキール
【合議体】
【審判長】 河口 雅英
【審判官】 加藤 浩一
【審判官】 鈴木 匡明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−91427号公報(JP,A)
【文献】 特開2005−197701号公報(JP,A)
【文献】 特開平11−150261号公報(JP,A)
【文献】 Zhenyang Zhong,A.Halilovic,T.Fromherz,F.Schaffler,and G.Bauer,Two−dimensional periodic positioning of self−assembled Ge islands on prepatterned Si(001) substrates, Applied Physics Letters, 米国, American Institute of Physics,2003年 6月30日, 82, p.4779−4781
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L29/00-29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドットを成長させる方法であって、
基板に、第1の縁部および第2の縁部を有するトレンチを形成することと、
前記トレンチに第1の材料を充填して、前記基板の表面上で前記第1の材料と前記基板との間の界面に沿って欠陥領域を形成することと、
エピタキシャル成長法のSK成長モードを用いて前記欠陥領域が形成された前記基板の前記表面上に第2の材料を堆積することにより、前記トレンチの前記第1の縁部および前記第2の縁部に沿って量子ドットを成長させることと、
を含む方法
【請求項2】
前記基板がシリコンを有し、前記第1の材料がGeSi又はポリシリコンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板がシリコンウェハを有し、前記第2の材料がゲルマニウムシリコンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トレンチに前記第1の材料が充填された後に前記基板を平滑化することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
堆積した前記第2の材料を覆って薄膜層を形成することと、前記薄膜層上に別の材料を堆積することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板および前記薄膜層が、同じ材料から形成される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記薄膜層が、.25μm〜0.5μmの厚さを有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記トレンチを形成することが、直線状のトレンチを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の材料がポリシリコンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記欠陥領域のパターンを形成することをさらに含み、前記パターンがグリッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基板を備え、前記基板は、その表面に第1の縁部と第2の縁部とを有するトレンチが形成され、
前記トレンチに充填される第1の材料と、
前記基板上に堆積される第2の材料と、
前記基板の表面上で、前記第1の材料と前記基板との間の界面で、トレンチの第1の縁部と第2の縁部とに沿ってパターンに形成された欠陥領域と、
前記欠陥領域の第1の縁部と第2の縁部とに沿った相対的配置で優先的に位置する複数の量子ドットとを含み、
前記量子ドットの位置が、少なくとも部分的に、前記パターンに基づき、
前記量子ドットは前記第2の材料により構成されている量子ドットデバイス。
【請求項12】
前記基板がシリコンを有し、前記第1の材料がGeSi又はポリシリコンを有する、請求項11に記載の量子ドットデバイス。
【請求項13】
前記欠陥が、グリッド状に配置された欠陥を含む、請求項11に記載の量子ドットデバイス。
【請求項14】
量子ドットを成長させる手順を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータアクセス可能媒体であって、前記手順が、
基板に第1の縁部と第2の縁部とを有するトレンチを形成することと、
前記トレンチに第1の材料を充填して、前記基板の表面上で前記第1の材料と前記基板との間の界面に沿って欠陥領域を形成することと、
エピタキシャル成長法のSK成長モードを用いて前記欠陥領域が形成された前記基板の前記表面上に第2の材料を堆積することにより、前記トレンチの前記第1の縁部および前記第2の縁部に沿って量子ドットを成長させることと、
を含む、コンピュータアクセス可能媒体。
【請求項15】
前記手順が、前記トレンチに前記第1の材料が充填された後に前記基板を平滑化することをさらに含む、請求項14に記載のコンピュータアクセス可能媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、量子ドット成長技術に関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットは、励起子が3つ全ての空間次元に閉じ込められている半導体である。量子ドットは、バルク半導体の特性と離散的な分子の特性の間にある特性を有する。量子ドットは、無数の応用例において使用することができ、例えば、トランジスタ、太陽電池、LED、ダイオードレーザにおいて使用することができ、医用画像用の造影剤として使用することができ、キュービット用として、およびメモリ用として使用することができる。
【0003】
量子メモリは、とても高い密度およびとても低い電力で動作することができ、多くの応用例に使用される。しかし、そのようなメモリの製造は、依然として課題である。一般的な製造の仕方の1つは、基板上に薄膜を堆積することを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、量子ドットを成長させる方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの例は、基板の表面に沿って欠陥領域をパターンに形成することと、基板の表面上に第1の材料を堆積することとを含む。次いで、量子ドットを、基板の表面に沿って欠陥領域内に形成することができ、量子ドットの形成が、少なくとも一部、パターンに基づくことができるようになっている。
【0006】
本開示は、基板の表面に沿ってパターンに形成された欠陥領域を有する基板を備えることができる量子ドットデバイスも説明している。複数の量子ドットが、欠陥領域の縁部に沿って優先的に位置することができ、量子ドットの位置が、少なくとも一部、パターンに基づくようになっている。
【0007】
また、量子ドットを成長させる手順を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータアクセス可能媒体が、開示されている。この手順の一部の例は、基板の表面に沿って欠陥領域をパターンに形成することと、基板の表面上に第1の材料を堆積することとを含む。第1の材料は、基板上に堆積することができ、量子ドットが、基板の表面に沿って欠陥領域内に形成されるようになっており、量子ドットの形成は、少なくとも一部、パターンに基づいている。
【0008】
前述の概要は、例示に過ぎず、限定をするようなものではない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の前述の特徴および他の特徴は、添付図面を併せて用いて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになろう。この図面は、本開示によるいくつかの例を示すに過ぎず、したがって、特許請求の範囲を限定するとみなされるべきではなく、本開示は、添付図面を使用することによってさらに具体的および詳細に説明されることを理解されよう。
図1】本開示のいくつかの例による制御された量子ドットを成長させる一般的な方法の一例を示す図である。
図2】本開示のいくつかの例による線状欠陥を有する基板の上面図である。
図3】本開示のいくつかの例によるシーム欠陥およびディボット欠陥を有する基板を示す図である。
図4a】本開示のいくつかの例による複数の線状欠陥を有する基板を示す図である。
図4b】本開示のいくつかの例による、広いトレンチ欠陥、堆積ライン欠陥、および狭いトレンチ欠陥を有する表面であって、欠陥が、広いトレンチ欠陥および堆積ライン欠陥上に形成されている基板の上面図である。
図5】本開示のいくつかの例によるグリッド欠陥を有する基板の上面図である。
図6】本開示による量子ドットを成長させるために構成されるコンピューティング装置の一例を示すブロック図である。
図7】本開示によるコンピュータプログラム製品の一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面の参照がなされる。添付図面では、文脈上別段の定めがない限り、典型的には、同様の符号は、同様の構成要素を特定する。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載した例示的な実施形態は、限定するものではない。本明細書に提示した主題の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更がなされてもよい。本明細書に全体的に記載すると共に、図に示した本開示の態様は、幅広い種類の様々な構成にアレンジ、置換、組み合わせ、分離および設計されてもよく、それらの全ては、本明細書において明示的および黙示的に熟考されていることが容易に理解されよう。
【0011】
本開示は、とりわけ、制御された量子ドットの成長に関連した方法、装置、コンピュータプログラム、およびシステムに関する。より具体的には、ストランスキー・クラスタノフ(Stranski−Krastanov)型量子ドット成長を制御するために歪みおよび欠陥のパターンを制御する様々な方法およびシステムが提供される。一般に、いくつかの例では、欠陥(または線状無秩序領域(linear disorder region))が、所定の幾何形状に沿って生成されて、これらの幾何形状に量子ドットを形成することができる。いくつかの例では、応力を受けた材料層を用いて量子ドット成長部位を発生させることができる。他の例では、基板に材料欠陥を発生させて、量子ドット成長部位を発生させることができる。本開示は、記憶または計算用の量子ドットの成長について特に言及し得るが、本明細書に開示したシステムおよび方法は、述べたように局部応力がパターン形成され得る任意の材料システムに使用できることを理解されたい。
【0012】
結晶表面または界面でエピタキシャルに薄膜を成長させるのに使用できるいくつかのモードがある。3つの主要な堆積モードは、フォルマー・ウェーバー(Volmer−Weber:VW)、フランク・ファンデルメルヴェ(Frank−van der Merwe:FM)成長、およびストランスキー・クラスタノフ(Stranski−Krastanov:SK)成長である。VW成長は、島形成を伴い、続いて島を併合して層を形成するものであり、薄い均質な金属膜の特徴である。FM成長は、一度に一層で生じ、典型的には、高い表面移動性の化学的性質の堆積と共に発生する。SK成長は、「層プラス島成長(layer−plus−island growth)」とも呼ばれ、吸着物膜の成長、その後に続く吸着物の島の核形成および合体を含む2段階のプロセスからもたらされる。典型的には、第1段階、吸着物膜の成長は、吸着物膜を成長させることを含み、数単分子層厚さまで、結晶基板上にレイヤーバイレイヤー法で成長される。ある層厚さ(その高さは、堆積膜の歪みおよび化学ポテンシャルに依存する)を超えると、第2段階、吸着物の島の核形成および合体が、継続的成長の間引き起こされる。このようにして、SK成長は、移動性化学種が層を形成するが、十分に均一性となるほどに移動度は高くなく、堆積中に島が生じる混合した堆積の形成となる。
【0013】
SK成長中のコヒーレントな島形成は、量子ドットなどのエピタキシャルなナノスケール構造を製造する手段として用いることができる。典型的には、基板上の島の組織、密度、および大きさの制御は、例えば、ナノリソグラフィ、その後の深堀り反応性イオンエッチングを用いて、部分をエッチング除去または壁で仕切ることに頼る。一般に、量子ドットの生成をパターン形成しようとするためには、層がランダムドットで形成され、層の一部を除去または層にピットを形成する。次いで、典型的には各ピットに2つ以上のドットが形成されている状態でドットをピットに成長させる。
【0014】
単結晶表面上のエピタキシャル(ホモまたはヘテロ)薄膜成長は、吸着原子と表面の間の相互作用強度に依存する。大部分のエピタキシャル成長は、分子線エピタキシ(MBE)などの気相法によって生じる。VW成長は、島から層への成長として特徴付けられ、FM成長は、層状成長として特徴付けられ、SK成長は、VW成長とFM成長の間の中間プロセスとして特徴付けられる。VW成長では、吸着原子−吸着原子相互作用は、吸着原子と表面の相互作用よりも強く、3次元の吸着原子クラスタまたは島の形成をもたらす。結晶粒粗大化を伴うこれらのクラスタの成長により、粗い多層膜が基板表面上に成長する。対照的に、FM成長時は、吸着原子は、優先的に表面部位に付着し、原子的に滑らかな完全に形成された層になる。このことは、完全な膜がそれに続く層の成長前に形成する場合の2次元成長であると考えられる。SK成長は、VW成長とFM成長の中間のプロセスであり、2次元層成長と3次元島成長の両方によって特徴付けられる。層状成長(layer−by−layer growth)から島ベースの成長への移行は、基板および膜の表面エネルギーや格子定数などの化学的特性および物理的特性に依存し得る層厚さで生じる。初期の膜成長は、フランク・ファンデルメルヴェ(FM)のメカニズムに従い得るものであり、すなわち、少なからぬ量の正の差異の歪みエネルギーが、堆積層に蓄積する。ある高さ(または膜厚)で、この歪みは、化学ポテンシャルの符号逆転、すなわち、負の差異を引き起こし、成長モードの変化をもたらし得る。ここで、島を核にして、フォルマー・ウェーバー(VW)型のメカニズムによってさらなる成長が生じることが、エネルギー的に好ましいものであり得る。
【0015】
この移行は、グリンフェルト(Grinfeld)不安定性とも呼ばれるATG(Asaro−Tiller Grinfield)不安定性によって引き起こされ得る。ATG不安定性は、弾性不安定性である。成長膜の格子サイズと支持結晶の格子サイズの間に不整合がある場合、弾性エネルギーが成長膜に蓄積することになる。膜が隔絶した島に分かれる場合、ある高さで、この膜の自由エネルギーは下がり得ることになり、そこで張力が横方向に緩和し得る。隔絶した島に分かれることによって膜のエネルギーが下がり得る高さは、ヤング率、不整合のサイズ、および表面張力に依存する。この移行を空間的または時間的に制御する能力は、幾何形状およびサイズのようなナノ構造の物理的パラメータの操作を可能にし、これによりナノ構造の電気的特性またはオプトエレクトロニクス特性(すなわち、バンドギャップ)を変えることができる。
【0016】
SK成長は、力のバランスがあまりにデリケートなので、プロセスが敏速に止められる場合、堆積している材料との格子整合が良くない状態で表面上に成長することが、量子ドットの島の疑似ランダム成長をもたらす可能性があり、そのために量子ドットの堆積にとって興味深い。そのような島の位置は、制御可能または予測可能ではないかもしれない。しかし、応力の予測可能なレベルは、ほぼ所定の位置にSK成長される量子ドットの核形成を促進することができる。凝集力および拡散力がほぼ同じである条件においてSKプロセスが生じるので、そうしたことは、局部応力または欠陥エネルギーが島形成を選択するのに十分であるように起こる。
【0017】
本明細書に述べた様々な例によれば、空間的な予測性を制御しまたは空間的な予測性を層成長から島成長への移行に加えるために、応力および/または欠陥(線状無秩序領域とも呼ばれる)を、基板に沿って配置することができる。例えば、予め応力を受けた堆積要素が、制御された歪みおよび欠陥のパターンに設けられてもよい。そのような所定の欠陥を用いて、量子ドットの位置を指示し、閉じ込めることができる。したがって、様々な例において、本明細書に記載した方法は、特定の量子ドットおよび/または量子ドットの積み重ね(スタック)をリソグラフィにより与えることができる。
【0018】
具体的な例では、本明細書に記載した方法は、シリコン(Si)上にゲルマニウム/シリコン(GeSi)量子ドットを成長させるために使用することができる。代替例では、他の基板および材料が使用され得る。本明細書に記載したプロセスは、標準的な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセスの温度要求および材料適合性の要求の範囲内で、例えば超高密度記憶または計算に適し得るような、リソグラフィにより特定化される量子ドットまたは量子ドットの積み重ねを促進することができる。
【0019】
図1は、本開示のいくつかの例による制御された量子ドットを成長させる一般的な方法10の一例を示す。図示するように、操作12において、基板を用意することができる。操作14において、欠陥を基板に形成することができ、このことは、以下により十分に説明する。いくつかの例では、操作16において、基板およびこの基板上に形成された欠陥を平滑化することができる。操作18において、基板上に薄膜層を成長することができる。
【0020】
いくつかの例では、成長は、分子線エピタキシ(MBE)を用いてなされてもよい。分子線エピタキシは、高真空または超高真空(10−8Pa)で行うことができる。MBEは、一般に、遅い堆積速度(典型的には、1000nm未満/時間)を有し、この遅い堆積速度は、エピタキシャル膜成長を促進することができる。遅い堆積速度は、一般に、他の堆積技法と同じ不純物レベルを達成するために、比例してより良い真空を要求する。固体原料MBEでは、ガリウムおよびヒ素などの超高純度の元素は、分離した準クヌーセン蒸着セル(separate quasi−knudsen effusion cells)内で、それらの元素がゆっくり昇華し始めるまで加熱することができる。次いで、ガス状元素が、ウェハ上に凝縮することができ、そこでガス状元素は、互いに反応することができる。
【0021】
ガリウムおよびヒ素の例では、単結晶ヒ化ガリウムが形成され得る。MBE(または他の量子ドット成長)中、基板温度は制御され得る。基板温度の一例は、620℃である。具体的な一例では、この基板はシリコンであってもよく、薄膜層はゲルマニウムであってもよい。量子ドットは、基板に形成された欠陥に沿って生じ得る。
【0022】
量子ドットの製法は、温度と表面化学量論の組み合わせを用いることができる。(薄膜層用の)堆積される化学種は移動性であってもよいが、形成される欠陥に打ち勝つほど移動性ではない温度および表面特性が、決定されてもよい。したがって、化学種は、欠陥で蓄積することができる。本明細書に記載したプロセスを用いて、サイズおよび形状ならびに基板上の量子ドット同士の空間関係の予測性を含む高度の空間秩序化を有する量子ドットナノ構造を形成することができる。量子ドットの位置に影響を及ぼす欠陥を形成することを含む本明細書に記載したプロセスは、任意の適当な量子ドットの製法と共に使用することができる。
【0023】
いくつかの例では、欠陥は、応力を受けた材料層を配置することによって形成することができる。応力を受けた材料層は、マスクを用いてエッチングによって設けることができる。製造中、エッチングを微細加工に使用してウェハの表面から層を化学的に除去することができる。エッチングは、例えば、液相(「ウェット」)またはプラズマ相(「ドライ」)エッチングによって行うことができる。エッチング段階の間、基板の一部を、エッチングで侵されないマスキング材料によってエッチング剤から保護することができる。任意の適当なマスキング材料を使用することができる。いくつかの例では、マスキング材料は、フォトリソグラフィを用いてパターン形成されているフォトレジストであり得る。他の例では、シリコン窒化物などのより耐久性のあるマスクが使用されてもよい。使用されるエッチング剤は、エッチングされる基板に基づいて選択されてもよく、ウェットエッチング剤、プラズマエッチング剤、または他のものを含み得る。例えば、適当なウェットエッチング剤は、シリコン基板に対しては硝酸およびフッ化水素酸、窒化ケイ素基板に対しては180℃の85%のリン酸、あるいはインジウムスズ酸化物に対しては塩酸および硝酸を含む。したがって、マスクは、基板のエッチングのために所望の幾何形状を反映するように形成され得る。いくつかの例では、単一のマスクを、大量の量子ドットをリソグラフィによって定めた位置に発生させるために使用することができる。縁部(または欠陥)の配置は、きっちりした直線配列またはグリッド(格子)配列の製造を容易にする。
【0024】
図2は、本開示のいくつかの例による線状欠陥を有する基板の上面図を示す。この時、エッチングした範囲は、例えば、シリコンで充填することができる。したがって、図2に示すように、シリコンウェハなどの基板20は、応力を受けたポリシリコンのトレンチ22を含むことができる。トレンチ22は、シリコン24で充填することができる。基板は、化学機械平坦化/研磨(CMP)、または他の適当技法を用いて平滑化することができる。エッチングおよび充填された範囲に対応する小範囲は、高い応力(および結晶の無秩序性)が残り得る。次いで、薄膜層を、例えばMBEシリコン成長を用いて基板上に成長させることができる。この成長は、0.25〜2.5ミクロン程度であり得るものであり、表面に、堆積部分にわたって欠陥および応力を除いて概して均一な結晶幾何形状を与える。量子ドット26は、欠陥部分に沿って生じ得る。図2では、量子ドット26は、大変誇張されており、典型的には、欠陥、応力、および量子ドットは、人間の目には見えないことを理解されたい。
【0025】
他の例では、クラック、シーム、またはディボットなどの欠陥が、下地基板に形成され得る。MBE成長は、基板上になされ得る。結果として生じる構造は、平らであるが、欠陥のある表面である。
【0026】
図3は、本開示のいくつかの例によるシーム欠陥32およびディボット欠陥34を有する基板30を示す。欠陥は、従来の基板加工を用いて所定の幾何形状に沿って形成され得る。例えば、欠陥は、従来のシリコン加工を用いてシリコン基板に形成され得る。例えば、ある実施では、ほぼ線状欠陥が、量子ドットのラインが、欠陥を覆って成長できるように形成され得る。一般に、量子ドットは、欠陥の縁部に優先的に位置することになる。
【0027】
図4aは、本開示のいくつかの例による複数の線状欠陥を有する基板40を示す。ほぼ線状欠陥は、トレンチ42として形成されてもよく、または堆積ライン44として形成されてもよい。いくつかの実施では、トレンチ42は、比較的浅いものであり得るが、欠陥がトレンチの中間縁部に形成されない十分に深いものであり得る。例えば、いくつかの実施では、トレンチ42は、約100nmを上回り得る。トレンチの幅は、任意の適当な幅であり得る。一般に、量子ドットは、トレンチの両縁部に沿って生じ得る。したがって、トレンチの幅は、2本のラインの量子ドットの相対的配置を定め得る。とても狭いトレンチ46は、例えば、2ミクロン程度であり得るものであり、ただ1本のラインの量子ドットが形成され得るとても狭いトレンチ46が形成され得る。深さおよび幅に関わらず、トレンチは、例えば、GeSiまたはポリシリコンで充填され得る。表面を平らにするために、従来の化学研磨が使用されてもよい。代替の実施では、トレンチは、充填されなくてもよい。いくつかの例では、堆積ライン44を含む欠陥は、ポリシリコンのラインであってもよい。ライン44の高さは、その縁部で表面的特徴を形成し、この表面的特徴はSK成長を促進する。一般に、そのような欠陥は、基板の表面に堆積した材料と呼ばれ得る。
【0028】
図4bは、本開示のいくつかの例による広いトレンチ欠陥、堆積ライン欠陥、および狭いトレンチ欠陥を有する基板であって、欠陥が、広いトレンチ欠陥および堆積ライン欠陥上に形成されている基板の上面図を示す。欠陥は、図4bのライン48aおよび48bに沿って形成され得る。堆積した高所48aは、トレンチ42に沿って設けられ、エッチングまたは他の方法で与えられてもよく、ディボット48bは、堆積ライン44に沿って設けられてもよい。代替として、ディボットは、トレンチより深い深さにトレンチに沿って設けられてもよく、堆積物は、堆積ラインより大きい高さに堆積ラインに沿って設けられてもよい。したがって、トレンチまたは堆積ライン、あるいは他の欠陥は、不均一であり得る。さらなる例では、メモリグリッド用の幾何形状を形成するために、ラインは、適切な間隔でパターン形成されてもよい。
【0029】
図5は、本開示のいくつかの例によるグリッド欠陥を有する基板の上面図を示す。グリッド欠陥は、複数の垂直方向に延びる線状欠陥52および複数の水平方向に延びる線状欠陥54によって形成され得る。正方形56は、垂直方向に延びる線状欠陥52と水平方向に延びる線状欠陥54との交差点に形成され得る。正方形56は、量子ドットが、この正方形の隅に形成されるように成形され得る。
【0030】
したがって、複数の幾何形状を使用して量子ドットを所定のパターンに設けることができる。例えば、上述の通り、ほぼ線状欠陥が形成されてもよく、グリッド欠陥が形成されてもよく、正方形欠陥が形成されてもよい。様々な幾何形状の欠陥の組み合わせが、形成されてもよい。
【0031】
これらの例のいずれかを用いると、当業界で知られているまたは今後開発される製法を用いて、欠陥を多く含む基板上に量子ドットを成長させることができる。この製法は、従来の自己形成したSK成長における密度およびサイズと同様の密度およびサイズであるが、本明細書に記載した方法を用いて付与される幾何形状に基づいて予測したパターンに沿って量子ドットを生成するように選択することができる。量子ドットのサイズは、例えば、約2nm〜10nm、約10nm〜約50nm、または約50nm〜約100nmの範囲であり得る。結果として生じる構造は、ほぼ平らであり得、したがって、さらにエッチングをすることなく量子ドットの周囲に電子機器回路を構築することができる。
【0032】
ある実施では、シリコン基板は、少なくとも1つの欠陥を備えてもよく、ゲルマニウム量子ドットがその上に成長させられる。様々な実施において、本明細書に記載したような方法を用いて窒化ガリウム量子ドット、InGaAs量子ドット、または他の材料の量子ドットを成長させることができる。一般に、本明細書に記載した方法は、任意の形態の量子ドットの堆積のために用いることができる。
【0033】
さらなる実施では、量子ドットをそれぞれ有する複数の層が、成長されてもよい。このようにして、堆積の反復によって、量子ドットの積み重ね(スタック)をもたらすことができる。例えば、シリコンの層が、ゲルマニウム量子ドットの上部にエピタキシャルに成長されてよく、量子ドットプロセスを繰り返して連続して垂直方向に積み重なった量子ドットを互いの上部に形成する。いくつかの例では、各シリコン層は、約0.25μm〜約0.5μmであり得る。一般に、量子ドットの初期成長後、量子ドットは、続く薄い(例えば、10〜12nmの)層の堆積を通じて欠陥を広める。シリコン中間層厚さは、ある埋まった島の層から次の島の層へのシリコン中間層厚さ、島の位置合わせ、および島の結晶粒粗大化の影響を見るルーチン実験によって最適化することができる。
【0034】
代替例では、回路を基板上に置き、次いで量子ドットを成長させてもよい。そのような例は、極端な温度が使用されない場合に使用することができる。したがって、本明細書に記載したプロセスおよび方法は、アニーリング、イオン注入などを含む任意の適当な処理作業における電子機器回路を製造する間の熱履歴に結び付けることができる。
【0035】
図6は、本開示による量子ドットを成長させるために構成されるコンピューティング装置900の一例を示すブロック図である。とても基本的な構成901では、典型的には、コンピューティング装置900は、1つまたは複数のプロセッサ910と、システムメモリ920とを備える。メモリバス930が、プロセッサ910とシステムメモリ920の間の通信のために使用されてもよい。
【0036】
所望の構成に応じて、プロセッサ910は、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の種類のものであってもよいが、これらに限定されない。プロセッサ910は、一次キャッシュ911や二次キャッシュ912などの1つまたは複数のレベルのキャッシュと、プロセッサコア913と、レジスタ914とを含むことができる。プロセッサコア913の一例には、演算論理装置(ALU)、浮動小数点演算ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。メモリコントローラ915の一例は、プロセッサ910と共に使用することもでき、またはいくつかの実施では、メモリコントローラ915は、プロセッサ910の内部部品であり得る。
【0037】
所望の構成に応じて、システムメモリ920は、揮発性メモリ(RAMなど)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等など)、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の種類のものであってもよいが、これらに限定されない。システムメモリ920は、オペレーティングシステム921、1つまたは複数のアプリケーション922、プログラムデータ924を含むことができる。アプリケーション922は、量子ドットを成長させる方法のためのプロセスパラメータを制御するプロセスパラメータ論理923を含むことができる。プログラムデータ924は、例えば、材料堆積速度、温度制御、欠陥形成プロトコルなどが含まれるプロセスパラメータデータ925を含む。いくつかの例では、温度制御は、基板温度を制御することができる。いくつかの例では、欠陥形成プロトコルは、エッチングパラメータを含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション922は、コンピュータシステムが、量子ドットを成長させるシステムと動作可能に関連でき、量子ドットを成長させるシステムのプロセスパラメータを制御できるように、オペレーティングシステム921上のプログラムデータ924を用いて動作するように構成されてもよい。この説明した基本的な構成は、破線901内のこれらの構成要素によって図6に示されている。
【0038】
コンピューティング装置900は、追加の特徴または機能、ならびに基本的な構成901と任意の必要な装置およびインタフェースとの間の通信を助けるための追加のインタフェースを有することができる。例えば、バス/インタフェースコントローラ940は、記憶装置インタフェースバス941を介して基本的な構成901と1つまたは複数のデータ記憶装置デバイス950の間の通信を助けるために使用することができる。データ記憶装置デバイス950は、リムーバブル記憶装置デバイス951、ノンリムーバブル記憶装置デバイス952、またはそれらの組み合わせであってもよい。リムーバブル記憶装置デバイスおよびノンリムーバブル記憶装置デバイスの例には、いくつか例を挙げると、フレキシブルディスクドライブおよびハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、およびテープドライブが含まれる。コンピュータ記憶媒体の例には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術において実装される揮発性および不揮発性のリムーバブルおよびノンリムーバブル媒体が含まれ得る。
【0039】
システムメモリ920、リムーバブル記憶装置951、およびノンリムーバブル記憶装置952は、いずれもコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置デバイス、あるいは所望の情報を記憶するために使用できると共にコンピューティング装置900によってアクセスできる他の任意の媒体が含まれるが、これらに限定されない。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、装置900の一部であり得る。
【0040】
コンピューティング装置900は、様々なインタフェース装置(例えば、出力インタフェース、周辺インタフェース、および通信インタフェース)からバス/インタフェースコントローラ940を介して基本的な構成901への通信を助けるためにインタフェースバス942を備えることもできる。出力装置960の例には、グラフィック処理装置961および音声処理装置962が含まれ、グラフィック処理装置961および音声処理装置962は、1つまたは複数のA/Vポート963を介してディスプレイまたはスピーカなどの様々な外部装置と通信するように構成することができる。周辺インタフェース970の例には、シリアルインタフェースコントローラ971またはパラレルインタフェースコントローラ972が含まれ、シリアルインタフェースコントローラ971またはパラレルインタフェースコントローラ972は、入力装置(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置等)、または他の周辺機器(例えば、プリンタ、スキャナ等)などの外部装置と1つまたは複数のI/Oポート973を介して通信するように構成することができる。通信装置980の例には、ネットワークコントローラ981が含まれ、ネットワークコントローラ981は、1つまたは複数の通信ポート982を介してネットワーク通信回線によって1つまたは複数の他のコンピューティング装置990と通信するのを助けるように配置することができる。
【0041】
ネットワーク通信回線は、通信媒体の一例であり得る。典型的には、通信媒体は、搬送波または他の移送機構などの変調データ信号中のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータによって具体化することができ、任意の情報送達媒体を含み得る。「変調データ信号」は、信号特性のうちの1つまたは複数を、情報を信号に符号化するように設定または変更させた信号であり得る。限定するものではない一例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、ならびに音響、高周波(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、および他の無線媒体などの無線媒体を含み得る。本明細書において用いられる場合のコンピュータ可読媒体なる用語は、記憶媒体と通信媒体の両方を含み得る。
【0042】
コンピューティング装置900は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルメディアプレイヤ装置、無線ウェブウォッチ装置(wireless web−watch device)、パーソナルヘッドセット装置、特定用途向け装置、または上記機能のうちのいずれかを含むハイブリッド装置などの小さいフォームファクタのポータブル(またはモバイル)電子装置の一部として実現することができる。コンピューティング装置900は、ラップトップコンピュータと非ラップトップコンピュータの両方の構成を含むパーソナルコンピュータとして実現することもできる。
【0043】
図7は、本開示によるコンピュータプログラム製品500の一例のブロック図を示す。いくつかの例では、図7に示すように、コンピュータプログラム製品500は、コンピュータ実行可能命令505を含むこともできる信号搬送媒体502を含む。コンピュータ実行可能命令505は、量子ドットを成長させる手順に関する命令を与えるように構成することができる。そのような命令は、例えば、基板の表面に沿って欠陥領域をパターンに形成することに関連する命令を含むことができる。そのような命令は、例えば、量子ドットが、基板の表面に沿って欠陥領域内に形成されるように、基板の表面上に第1の材料を堆積することに関連する命令をさらに含むことができ、量子ドットの形成は、少なくとも一部、パターンに基づいている。一般に、コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載した量子ドットを成長させる方法のいずれかのステップを実行するための命令を含むことができる。
【0044】
図7にやはり示されるように、いくつかの例では、コンピュータ製品500は、コンピュータ可読媒体506、記録可能媒体508、および通信媒体510のうちの1つまたは複数を含むことができる。これらの要素を囲む点線枠は、信号搬送媒体502に含まれ得るが、それらに限定されない種々のタイプの媒体を表し得る。これらのタイプの媒体は、そのような命令を実行するためのプロセッサ、ロジック、および/または他の機能を含むコンピュータ装置によって実行されるコンピュータ実行可能命令505を配布することができる。コンピュータ可読媒体506および記録可能媒体508には、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等が含まれ得るが、これらに限定されない。通信媒体510には、デジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)が含まれ得るが、それらに限定されない。
【0045】
概して、本明細書に記載した方法およびシステムは、高密度RAM、他のメモリ応用例、光学装置、生物学的応用例、および他の応用例に役立ち得る。量子ドットは、その理論的に高い量子収量により光学的応用例に役立ち得る。電子応用例では、量子ドットは、単電子トランジスタのように動作し、クーロン閉塞効果を示すことができる。量子ドットは、量子情報処理用のキュービットの実施に役立つものであり得る。
【0046】
量子ドットのサイズを調整する能力は、多くの用途にとって有利であり得る。したがって、本明細書に与えられたいくつかの例による所定の幾何形状に沿った配置に加えて、量子ドットのサイズが、特定の用途のために選択されてもよい。例えば、より大きい量子ドットは、より小さいドットに比べて赤方に偏移したスペクトルを有し、それほど顕著でない量子特性を示す。反対に、より小さい粒子は、量子特性を利用することを可能にする。量子ドットは、優れた輸送特性および光学特性を有することができ、ダイオードレーザ、増幅器、および生物学的センサに使用することができる。高品位の量子ドットは、量子ドットが幅広い励起プロファイルおよび狭い/対称形の発光スペクトルであることによって、光学的符号化および多重化の用途に使用することができる。量子ドットは、単一分子レベルでの細胞内プロセス、高分解能細胞イメージング、細胞輸送の長期にわたる生体内観察、腫瘍標的、および診断法の研究に対して広範囲の可能性を有する。
【0047】
本開示は、本出願に記載した特定の例の用語に限定されるものではなく、種々の態様を例示するものと意図される。当業者に明らかであるような多くの修正形態および変更形態が、本開示の精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。本開示の範囲内の機能的に均等な方法および装置が、本明細書に列挙されたものに加えて、前述の記載から当業者に明らかであろう。そのような修正形態および変更形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきであり、均等の全範囲とともに、それらに対してそうした特許請求の範囲は権利付与される。本開示は、特定の方法、反応物、化合物、組成物または生体系に限定されるものではなく、それらは当然ながら変更可能であることを理解されたい。本明細書において使用される専門用語は、特定の例を説明するためのものに過ぎず、限定するものではないことも理解されたい。
【0048】
本開示は、一般に、制御された量子ドットを成長させるシステムおよび方法に関する。一例では、量子ドットを成長させる方法が提供される。この方法は、基板を用意することと、基板上に欠陥を形成することと、基板上に第1の材料を堆積することと、欠陥に沿って量子ドットを形成することとを含む。様々な実施において、基板上に欠陥を形成することは、基板にトレンチを形成すること、基板上にラインを堆積すること、基板上に正方形を形成すること、または基板上にグリッドを形成することを含んでもよい。
【0049】
欠陥がトレンチである例では、トレンチは、エッチングによって形成することができ、方法は、トレンチに材料を充填することと、トレンチが材料で充填された後に基板を平滑化することとをさらに含んでもよい。様々な例において、基板はシリコンであってもよく、第1の材料はゲルマニウムであってもよく、第2の材料はゲルマニウム−シリコンであってもよい。さらなる例では、第1の材料は、分子線エピタキシを用いて堆積されてもよい。
【0050】
よりさらなる例では、薄膜層は、堆積した材料を覆って形成されてもよく、方法は、薄膜層を覆って第1の材料を堆積することを含んでもよい。いくつかの例では、薄膜層および基板は、同じ材料であってもよい。いくつかの例では、薄膜層は、約0.25μm〜約0.5μmであり得る。
【0051】
システムの態様に関してハードウェア実施とソフトウェア実施との間に区別はほとんどなく、ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、(常にではないが、ある文脈において、ハードウェアとソフトウェアの間の選択が重要になり得るという点で)一般に、費用対効率のトレードオフを表す設計上の選択である。本明細書中に説明したプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を実行することができる(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)様々な伝達手段があり、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を導入する事情に応じて好ましい伝達手段は様々である。例えば、実施者が速度および精度が最も重要であると判断する場合、実施者は、主にハードウェアおよび/またはファームウェアの伝達手段を選択することができ、柔軟性が最も重要な場合、実施者は、主にソフトウェア実施を選択することができ、またはさらなる代替として、実施者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのある組み合わせを選択することができる。
【0052】
前述の詳細な説明では、ブロック図、流れ図、および/または例を用いることによって装置および/またはプロセスの様々な実施形態を説明してきた。そのようなブロック図、流れ図、および/または例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限りにおいて、そのようなブロック図、流れ図、または例内の各機能および/または動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらのほぼあらゆる組み合わせにより、個々におよび/または集合的に実施できることが当業者によって理解されよう。一実施形態では、本明細書に記載した主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または他の集積フォーマットによって実施することができる。しかし、本明細書に開示した実施形態のいくつかの態様は、全体的または部分的に、1つまたは複数のコンピュータで実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピュータシステムで実行する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサで実行する1つまたは複数のプログラムとして(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサで実行する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいはこれらのほぼあらゆる組み合わせとして、集積回路に同等に実装することができ、本開示に鑑みて、回路を設計すること、ならびに/あるいはソフトウェアおよび/またはファームウェアのコードを記述することは、十分に当業者の技術の範囲内であることを当業者は認識するであろう。さらに、本明細書に記載した主題のメカニズムは、様々な形態のプログラム製品として配布可能であり、本明細書に記載した主題の例示的な一実施形態は、使用される特定のタイプの信号搬送媒体に関係なく、実際に配布を実行するために適用されることを当業者は理解するであろう。信号搬送媒体の例には、以下のもの、すなわち、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等などの記録可能タイプ媒体、ならびにデジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)などの伝送タイプ媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書に説明したように装置および/またはプロセスを記述し、その後、工学的手法を用いてそのような説明した装置および/またはプロセスをデータ処理システムに統合することが当分野では一般的であることを当業者は、認識するであろう。すなわち、本明細書中に説明した装置および/またはプロセスの少なくとも一部分は、十分な量の経験によってデータ処理システムに統合することができる。典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、映像表示装置、揮発性メモリおよび不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェース、およびアプリケーションプログラムなどの計算実体、タッチパッドまたはタッチスクリーンなどの1つまたは複数の対話装置、ならびに/あるいはフィードバックループおよび制御モータ(例えば、位置および/または速度を感知するためのフィードバック、構成要素および/または数量を移動および/または調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1つまたは複数を含むことを当業者は認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データ計算/通信システム、および/またはネットワーク計算/通信システムに典型的に見られるもののように、任意の適当な市販の構成要素を利用して実施することができる。
【0054】
本明細書に記載した主題は、他の異なる構成要素内に含まれる異なる構成要素、または他の異なる構成要素に接続した異なる構成要素を示す場合がある。そのように示したアーキテクチャは例示に過ぎず、実際には、同じ機能を達成する他の多くのアーキテクチャを実施することができることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を達成する構成要素の任意の構成が、所望の機能が達成されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するように結合された本明細書中の任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」ものとして見ることができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されているものとして見ることもでき、そのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に結合可能」であるものとして見ることもできる。動作可能に結合可能な具体的な例には、物理的に対合可能であるおよび/または物理的に相互作用する構成要素、ならびに/あるいは無線で相互作用可能であるおよび/または無線で相互作用する構成要素、ならびに/あるいは論理的に相互作用するおよび/または論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書中の実質的にあらゆる複数形および/または単数形の用語の使用に関しては、当業者は、文脈および/または用途に合うように、複数形から単数形へおよび/または単数形から複数形へ変換することができる。種々の単数/複数の置換が、理解しやすいように本明細書に明示的に記載され得る。
【0056】
一般に、本明細書中、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)中で使用する用語は、一般に、「オープン(open)」な用語として意図される(例えば、用語「含む、備える(including)」は、「を含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも〜を有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む、備える(includes)」は、「を含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことが当業者によって理解されよう。さらに、クレームの記載の導入が特定の個数を意図する場合、そうした意図は、当該クレームにおいて明示的に記載され、そのような記載がない場合、そうした意図も存在しないことが当業者によって理解されよう。例えば、理解を助けるものとして、後述の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(少なくとも1つの)」および「1つまたは複数の(one or more)」の使用を含んでクレームの記載を導入する場合がある。しかし、そうした句の使用は、同一のクレームが、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」、および「a」または「an」などの不定冠詞を含むときでも、不定冠詞「a」または「an」によるクレームの記載の導入が、そのようなクレームの記載の導入を含む任意の特定のクレームを、そのような記載事項をただ1つ含む実施形態に限定することを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、定冠詞を使用してクレームの記載を導入する場合にも当てはまる。加えて、クレームの記載の導入においてある特定の数が明示的に記載されている場合でも、そうした記載は、少なくとも記載した数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語を用いずに「2つの記載事項」をただ記載するときは、少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、BおよびCなどのうち少なくとも1つ」に類する慣例表現が使用されている場合には、一般に、そのような構成は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、BおよびCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、および/またはAとBとCとを全て、などを有するシステムを含むが、これらに限定されるものではない)。さらに、2つ以上の択一的用語を表す実質的にあらゆる離接語および/または離接句は、詳細な説明、特許請求の範囲、図面のどこにあっても、これら用語の一方(one of the terms)、これら用語のどちらか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A」または「B」という句は、「A」または「B」、あるいは「AかつB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0057】
さらに、本開示の特徴または態様が、マーカッシュ群の観点で記載されている場合、本開示は、マーカッシュ群の複数の要素のうちの任意の個々の要素またはサブグループの観点でもそれによって記載されていることを当業者は理解するであろう。
【0058】
当業者に理解されるように、記述を行う観点など、いずれかおよび全ての目的のため、本明細書に開示した全ての範囲は、任意のおよび全部の可能性がある部分的範囲およびその部分的範囲の組み合わせも包含する。任意の挙げた範囲は、同一の範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに分解されることを十分に説明し、それらを十分に可能にするものとして容易に認識できよう。限定されない例として、本明細書に述べた各範囲は、3分の1の下側、3分の1の中央、および3分の1の上側などに容易に分解することができる。また、当業者に理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」等などの全ての文言は、記載した数を含むと共に、上記の部分的範囲に続いて分解できる範囲を指している。最後に、当業者によって理解されるように、ある範囲は、各個々の要素を含む。したがって、例えば、1〜3個のセルを有する群は、1個、2個または3個のセルを有する群を指す。同様に、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個または5個のセルを有する群を指すなどである。
【0059】
本明細書中に様々な態様および実施形態が開示されたが、当業者には他の態様および実施形態が明らかであろう。本明細書中に開示した様々な態様および実施形態は、例示のためのものであり、限定であることを意図しておらず、本来の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7