【実施例】
【0167】
実施例1
pcDNA3中のGタンパク質Gα
oA及びGα
oBのcDNAを、UMR cDNA Resource Center(Rolla, MO)から購入した。pcDNA3中の完全長ヒトPS-1とPS-2のcDNAを、既に記載されているようにPCRによりクローニングした。最後のTM-ドメインの直後のPS-1又はPS-2の細胞質ドメインのみが欠如したPS-1及びPS-2のテイルレス構築物をpcDNA3中に構築した(この構築物は、PS-1のアミノ酸1〜430及びPS-2の1〜410からなる)。
【0168】
細胞培養:ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞を、公表されたプロトコールに従って培養した。
【0169】
トランスフェクション:ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)を、15μgの、全長ヒトPS-1又はPS-2のpcDNA構築物と、所望のGタンパク質のcDNAを用いてリポフェクタミン(Invitrogen)法を使用して一過的にトランスフェクトした。簡単に説明すると、リポフェクタミン−DNA溶液を室温に30分放置し、充分量の血清無含培地と混合し、細胞に加えた。細胞を37℃でCO
2インキュベーター中で5時間インキュベートし、次に培地に血清を補充し、トランスフェクションの12〜24時間後に細胞を回収した。
【0170】
免疫沈降:トランスフェクションの24時間後、培養培地を除去し、細胞を200μlの抽出バッファー中で剥がした。Smineらの可溶化条件(50mM HEPES/NaOH、pH 7.4、1mM EDTA、1mM DTT、1% Triton X-100、60 mMオクチルクリコシド、及びプロテアーゼインヒビター)を使用して超音波処理により、全細胞抽出物を作製した。PS-1(MAB5232)又はPS-2(MA1〜754)のラージループに対するモノクローナル抗体を使用して、100μgの各抽出物を免疫沈降した。次に免疫沈降タンパク質を12% SDS-PAGEで分離し、膜に転移した。次にGタンパク質G
oに対する抗体(K-20、Santa Cruz Biotechnology製のsc-387、親和性精製した;このポリクローナル抗体はG
oAとG
oBの両方を認識する)によるウェスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。
【0171】
ウェスタンブロットハイブリダイゼーション:免疫沈降したタンパク質をローディングバッファー(50 mM Tris、pH 6.8、0.1 M DTT、2% SDS、0.1% ブロモフェノールブルー、10% グリセロール)中で5分間沸騰させ、SDS-PAGE(12%)ゲル上で電気泳動により分離し、タンパク質をニトロセルロースフィルターに移した。フィルターを1次ポリクローナルウサギGタンパク質抗体と共にインキュベートし、次に西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート型ヤギ抗ウサギIgGと共にインキュベートした。フィルター結合ペルオキシダーゼ活性を化学発光により検出した。
【0172】
PS-1 ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞へのGタンパク質G
oの結合を、全長ヒトPS-1に対するcDNAとGタンパク質G
oA又はG
oBのcDNA(UMR cDNA Resource Center, Rolla, MO)を用いて一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、Smineらの可溶化条件(50mM HEPES/NaOH、pH 7.4、1mM EDTA、1 mM DTT、1% Triton X-100、60 mMオクチルクリコシド、及びプロテアーゼインヒビター)を使用して超音波処理により、全細胞抽出物を作製した。ラージループ[7-TMモデルで細胞外である(Mab #5232、Chemicon、これはすでに公表された研究で使用された]に対するモノクローナル抗体を使用して、100μgの各抽出物を免疫沈降した。次に免疫沈降したタンパク質を12% SDS-PAGEで分離し、膜に転移した。次に、PS-1とG
oの両方に対する抗体(K-20、Santa Cruz Biotechnology製のsc-387、親和性精製した;このポリクローナル抗体はG
oAとG
oBの両方を認識する)によりウェスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。
【0173】
PS-2に対するGタンパク質Goの結合:ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞を、全長ヒトPS-2のcDNAとGタンパク質G
oA又はG
oBのcDNA(UMR cDNA Resource Center, Rolla, MO)を用いて一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、Smineらの可溶化条件(50mM HEPES/NaOH、pH 7.4、1mM EDTA、1 mM DTT、1% Triton X-100、60 mMオクチルクリコシド、及びプロテアーゼインヒビター)を使用して超音波処理により、全細胞抽出物を作製した。PS-2のラージループ(Affinity BioReagentsからのMA1-754)に対するマウスモノクローナル抗体を使用して、100μgの各抽出物を免疫沈降した。次に免疫沈降したタンパク質を12% SDS-PAGEで分離し、膜に転移した。次にPS-2とG
oの両方に対する抗体によるウェスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。
【0174】
百日咳毒素処理:PTxプロトマーを10mM DTTと共に37℃で10分間インキュベートして、これを酵素活性型に変換した。PS-1又はPS-2及びGタンパク質のcDNAでES細胞をトランスフェクトした5時間後、1 mM NAD、2 mM MgCl
2、及び1 mM EDTAの存在下で培養培地中の細胞に500ng/mlの活性化PTxを加え、細胞を5% CO
2の存在下で37℃、12時間インキュベートした。次に細胞を回収し、後述するように[
35S]-GTPγS取り込みを調べた。
【0175】
GTPγS結合:細胞を回収し、タンパク質を可溶化バッファー(50mM HEPES/NaOH、pH 7.4、1mM EDTA、1 mM DTT、1% Triton X-100、60 mMオクチルクリコシド、1Xプロテアーゼインヒビターミックス)を使用して超音波処理により可溶化した。100μgのタンパク質を等量のBuffer B(50mM HEPES/NaOH pH 7.4、40μM GDP、50mM MgCl
2、100mM NaCl)と200μlの容量で混合した。50nMの[
35S]-GTPγS(1250Ci/mmol)を用いて反応を開始し、室温で60分間インキュベートした後、20μlの10X停止バッファー(100 mM Tris-HCl、pH 8、25mM MgCl
2、100 mM NaCl、20 mM GTP)を加えて反応を停止させた。次にサンプルを抗PS-1ループモノクローナル抗体(5μl)で免疫沈降させた。抗体−タンパク質複合体をプロテインA/Gアガロースに室温で90分間結合させ、洗浄バッファー1(50 mM HEPES、pH 7.4、1 mM EDTA、pH 8.0、1% Triton X-100、1Xプロテアーゼインヒビターミックス、150 mM NaCl、及び60 mM オクチル-β-D-グルコピラノシド)で2回洗浄し、洗浄バッファー2(50 mM HEPES、pH 7.4、1 mM EDTA、pH 8.0、0.5% Triton X-100、1Xプロテアーゼインヒビターミックス、及び50 mM NaCl)と3(50 mM HEPES、pH 7.4、1 mM EDTA、pH 8.0 及び1Xプロテアーゼインヒビターミックス)でそれぞれ1回洗浄した。次に洗浄したアガロースビーズをシンチレーション液(CytoScint, ICN)(5ml)中に懸濁し、Beckman Coulter LS 6000 SCシンチレーションカウンターで3分間計測した。
【0176】
全長ヒトPS-1及びGタンパク質Gα
oA又はGα
oBのcDNAで共トランスフェクトしたES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞の抽出物100μgをPS-1の親水性ラージループに対するMAbで免疫沈降させ、次にG
oに対する親和性精製したポリクローナル抗体(これは両方のアイソフォームG
oAとG
oBを認識する)を用いてウェスタンブロットハイブリダイゼーションを行ったとき、PS-1/G
oA共トランスフェクト細胞のみが約45kDaでG
oの明確なシグナルを生じており(
図1、レーン3)、これはG
oBではなく、G
oAがPS-1に結合することを示唆している。対照の非トランスフェクト細胞又はPS-1のみでトランスフェクトした細胞は、同様に処理したとき、ウェスタンブロット上でG
oバンドを示さなかった(
図1)。
【0177】
PS-1の細胞質カルボキシル末端へのGタンパク質G
oの結合の証明。最後のTM-ドメインの直後のPS-1の細胞質ドメインのみが欠如したPS-1のテイルレス構築物をpcDNA3中に構築した(この構築物は、アミノ酸1〜430を含む)。この構築物を使用してES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞をトランスフェクトした。テイルレスPS-1は、膜中に組み込まれ、細胞表面上に発現されることが示されている。全長PS-1について上記したものと同じ方策で、ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞を、テイルレスPS-1とGタンパク質Gα
oA又はGα
oBのcDNAでトランスフェクトした。次に細胞抽出物を、PS-1ループMAb #5232で免疫沈降させ、SDS-PAGEで分離し、G
oに対する抗体でウェスタンブロットした。
【0178】
テイルレスPS-1及びGタンパク質Gα
oA又はGα
oBのcDNAで共トランスフェクトしたES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞の抽出物100μgをPS-1の親水性ラージループに対するMAbで免疫沈降させ、次にG
oに対する親和性精製したポリクローナル抗体(これは両方のアイソフォームG
oAとG
oBを認識する)を用いてウェスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。結合が検出され(
図1、レーン6)、これは、結合ドメインであることが先に同定されたカルボキシル末端39アミノ酸は、G
oAのPS-1の全結合ドメインを構成しないことを示している。G
oBはテイルレスPS-1への結合を示さなかった(
図1、レーン7)。
【0179】
PS-1へのG
oA結合の大部分を排除したテイルレス構築物を使用した結果は、PS-1テイル以外にPS-1の別の領域への一部のPS-1:G
oA結合の特異性を示す。これらはまた、G
oAがPS-1 β−セクレターゼ複合体の他の成分に結合し、PS-1抗体で共免疫沈降した可能性を排除する。
【0180】
完全なPS-2へのGタンパク質G
oの結合を解明するためにさらに試験を行った。結合ドメインであることが同定された39アミノ酸のPS-1 C末端領域は、PS-2のC末端テイルに完全に保存されている。従って、PS-2のC末端ドメインもGαoに結合されると考えられた。PS-1と同様に、G
oはPS-2に結合するが顕著な差があることが示された。G
oAとG
oBの両方を認識するG
o抗体は、PS-2及びG
oAならびにPS-2及びG
oBcDNAで共トランスフェクトした細胞の抽出物のPS-2免疫沈降物のウェスタンブロットで二重縞を示した。二重縞はおそらく、G
oの両方のアイソフォームのPS-2への結合を示す(
図2、レーン2と4)。これに対してPS-1はG
oBに結合せず(
図1、レーン4)、同じG
o抗体とのウェスタンブロットで単一のバンドを示したのみであった(
図1、レーン3)。
【0181】
PS-2の細胞質カルボキシル末端へのGタンパク質G
oの結合を調べた。PS-1のように、最後のTM-ドメインの直後のPS-2の細胞質ドメインのみが欠如したPS-2のテイルレス構築物をpcDNA3中に構築した(この構築物は、アミノ酸1〜410を含む)。この構築物をES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞をトランスフェクトするのに使用すると、膜中に組み込まれ、細胞表面上に発現されることが示された。全長PS-1とPS-2について上記したものと同じ方策で、ES(PS-1
-/-/PS-2
-/-)細胞を、テイルレスPS-2とGタンパク質Gα
oA又はGα
oBのcDNAでトランスフェクトした。次に細胞抽出物を、PS-2ループMAb #MA1-754で免疫沈降させ、SDS-PAGEで分離し、G
oに対する抗体でウェスタンブロットした。
【0182】
G
oAと共に共発現したテイルレスPS-2を、PS-1の結果のように、PS-2 MAbで免疫沈降し、抗G
o抗体でウェスタンブロットすると、バンド強度が低下したが、バンドが全く存在しないことはなかった。一方、G
oB/PS-2共トランスフェクションサンプル中のバンドの強度はテイルレスサンプルについては変化は無く、これはG
oBがカルボキシル末端テイル以外の細胞内ドメインでPS-2に結合することを示唆する(
図2、レーン3と5)。従ってPS-1とPS-2は、これらが結合するG
oアイソフォームによってのみでなく、互いに相同的ではないPS-1とPS-2上の結合部位でも区別される。従って、PS-1とPS-2の機能的研究は全く異なる結果を与え、すなわちPS-1とPS-2は単に機能的に重複するタンパク質ではない、可能性がある。
【0183】
Gα
oA及びGα
oB PS-1とGタンパク質G
oA及びG
oBとのPS介在型の機能活性化をさらに試験した。以前の試験は、PS-1のカルボキシル末端へのG
o結合を評価するためのいくつかの独立したアプローチの1つとして、GTP加水分解とGTPγS結合とを使用した。しかしこれらは、3つの対照ペプチドとともに、PS-1のC末端の残基429〜467の合成ペプチドを用いてこのアッセイを行っていた。一方、このアプローチは、細胞抽出物中の35S-GTPγS取り込みについてアッセイすることにより、共トランスフェクト細胞中の完全なPS-1及びPS-2へのGタンパク質G
oA及びG
oBの結合の機能的結果を評価するためであった。
【0184】
PS-1とGタンパク質G
oAのcDNAで共トランスフェクトしたES細胞の抽出物における
35S-GTPγSの取り込みは、対照の非トランスフェクトES(PS
-/-)細胞について得られた値の700%以上であることが示された(
図3、カラム2)。この増加は、PS-1及びG
oA cDNAでトランスフェクトした細胞を最初にPTxで処理したときはみられず(
図3、カラム3)、これは毒素の存在下での機能の阻害を示している。一方、PS-1とG
oBのcDNAでトランスフェクトした細胞は
35S-GTPγSの取り込みを示さず(
図3、カラム4)、これはPS-1へのG
oBの結合が欠如した以前の結果に一致する。
【0185】
PS-1と同様に、G
oAと共に共発現させ、
35S-GTPγS結合についてアッセイしたとき、PS-2は非トランスフェクトの対照ES(PS
-/-)抽出物よりも
35S-GTPγS結合について700%を超える増加を示した(
図4、カラム2)。これはPTxの存在下で阻害された(
図4、カラム3)。PS-1の場合と異なり、PS-2へのG
oB結合は
35S-GTPγS取り込みを増加した。この新規知見は、G
oBはPS-2に結合するがPS-1には結合しないという本明細書に記載の他のデータと一致する。
35S-GTPγS取り込みにおけるこの増加は、G
oAで観察されたもの(約300%)より小さい(
図4、カラム4)。この増加はPTxの存在下で阻害される。
図4に示した結果は、少なくとも3つの独立した実験の代表例である。
【0186】
実施例2
ES PSダブルヌル細胞を培養し、一晩プレーティングした。細胞を、全長ヒトβ-APP cDNAのpcDNA3構築物により、リポフェクタミン(Invitrogen)を製造業者のプロトコールに従って使用してトランスフェクトした。DAMI細胞を培養し、pcDNA3又は全長ヒトPS-1もしくはPS-2 cDNAのpcDNA3構築物のいずれかでトランスフェクトした。
【0187】
親和性精製したポリクローナルウサギ抗PTyr抗体(Maher et al., 1985)をウェスタンブロットで使用した。マウスモノクローナル抗PTyr抗体(4G10;Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)をELISA分析で使用した。ヒトpp60c-srcに対するマウスモノクローナル抗体(抗Src、クローンGD11)と、Lynに対するウサギポリクローナル抗体(抗Lyn)はUpstate Biotechnologyから購入した。Fynに対するウサギポリクローナル抗体(抗Fyn、sc-16)はSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA)から購入した。PS-1のN末端ドメインに対する1次ラット抗ヒトPS-1モノクローナル抗体MAb #1563は、Chemicon International(Temecula, CA)から購入した。これは、GSTと融合したヒトPS-1(残基21〜80)のN末端ドメインの融合タンパク質抗原含有部分に対して作製された。ヒトβ-APP細胞外ドメインに対する1次マウスモノクローナル抗体MAb #348はChemicon Internationalから購入した。
【0188】
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)-コンジュゲート型親和性精製ヤギ抗ラットIgGとテトラメチルローダミンBイソシアネート(TRITC)-コンジュゲート型親和性精製ロバ抗マウスIgG 2次抗体は、Jackson ImmunoResearch(West Grove, PA)から購入した。免疫蛍光標識用のトランスフェクトDAMI細胞と非トランスフェクトDAMI細胞とをPBS中4%パラホルムアルデヒドで10分間固定化し、浸透処理することなく使用した。細胞を、1% BSA含有PBS中でPS-1に対する抗血清(1:200希釈)及びβ-APPに対する抗血清(1:500希釈)で懸濁液中、室温で30分標識した。PBSを用いて遠心分離により3回洗浄した後、細胞を1% BSA/PBS中に再懸濁し、適切な蛍光2次抗体と共にインキュベートした。インキュベーションを室温で20分間行い、次に細胞をPBSで洗浄し、封入剤(Vector Laboratories, Burlingame, CA)の存在下でスライド上にのせた。
【0189】
X60対物レンズにより、油浸を使用して免疫蛍光顕微鏡観察を行った。フルオレセインイソチオシアネートとテトラメチルローダミンBイソシアネートフィルターと、Zeiss Photoscope III装置とを用いるか、又はNomarski光学系を使用してスライドを調べた。
【0190】
PS-1とPS-2のN末端ドメインはPCRにより取得し、FLAG発現ベクター(Scientific Imaging Systems, IBI 13100)のTth111I部位とXhoI部位にクローニングして、PS-1もしくは-2のN末端ドメインのいずれかのN末端で結合したFLAGとの融合タンパク質を製造した。2種のFLAG-融合タンパク質をDH5α細菌で別々に増殖させ、製造業者のプロトコールに従って親和性精製した。精製した組換えタンパク質を、両FLAGに対する抗体と、PS-1又はPS-2のN末端ドメインのいずれかに対する抗体とを使用してウェスタンブロットによりチェックした。
【0191】
DAMI:ES細胞:同数(0.5x10
6/ml)のβ-APP695(Selkoe and Podlisny, 2002)トランスフェクトESダブルヌル細胞とPS-1トランスフェクトDAMI細胞とを、37℃で種々の時間(0〜20分)共培養した。
【0192】
実験は、適切にトランスフェクトしたDAMI細胞のみを使用して行った。同数(0.5x10
6/ml)のβ-APP-トランスフェクトDAMI細胞と、PS-1もしくはPS-2トランスフェクトDAMI細胞のいずれかとを、記載されたように(Dewji and Singer, 1998)正確に室温で静かに混合した。対照実験では、β-APPトランスフェクト細胞の代わりにpcDNA3のみでトランスフェクトしたDAMI細胞を使用した。
【0193】
混合後0〜20分のいくつかの時点で、各細胞混合物のアリコートを迅速に遠心分離し、培養培地を除去し、細胞ペレットを、プロテアーゼインヒビター(1mM 4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)/1μg/mlアンチパイン/0.1μg/mlペプスタチンA/0.1μg/mlロイペプチン)とホスファターゼインヒビターであるオルトバナジウム酸ナトリウム(0.1mM)とを含有する200μlの抽出バッファー(50mM Tris, pH 8.0/150mM NaCl/0.5% Nonidet-P40)中に懸濁した。混合物を20秒間のバーストを3回行うことで超音波処理し、その後遠心分離した。次にこれらの抽出上清を、後述するようにウェスタンブロットとELISA分析に使用した。
【0194】
細胞抽出物中のタンパク質チロシンキナーゼのSrcファミリーについてのアッセイを行った。基質ペプチドである{[Lys19]cdc2(6-20)-NH2}及び、対照ペプチドである{[Lys19Ser14Val12]cdc2(6-20)}と{[Lys19Phe15]cdc2(6-20)}とは、Upstate Biotechnology Inc.から購入した。PS-1トランスフェクト細胞と混合したトランスフェクトDAMI細胞(β-APP又はpcDNA3でトランスフェクトした);及びPS-2トランスフェクト細胞と混合したβ-APP-もしくはpcDNA3-トランスフェクト細胞、の抽出物において、3つ全てのペプチドを使用してSrcキナーゼ活性を測定した。対照は、反応混合物中で基質を使用せずに行った実験を含んだ。
【0195】
基質ペプチド(10μl中1.5mM)、Srcキナーゼ反応バッファー(100mM Tris−HCl、pH7.2、125mM MgCl
2、25mM MnCl
2、2mM EGTA、0.25mM オルトバナジウム酸ナトリウム、2mM DTT)(10μl)、Srcキナーゼ(アッセイ当たり2〜20Uの精製酵素、又は10μl中10〜200μgのタンパク質溶解物)、及びMn
2+/ATPカクテルで希釈した[γ-
32P]ATP(NEN Dupont, Boston, MA)(10μl)を、30℃で15〜20分インキュベートした。
【0196】
上記抽出物上清のアリコート(100μgタンパク質/レーン)をローディングバッファー(50 mM Tris, pH 6.8, 0.1 M DTT, 2% SDS, 0.1% ブロモフェノールブルー, 10% グリセロール)中で5分沸騰し、SDS-PAGE(10%)ゲル上で電気泳動により分離し、タンパク質をニトロセルロースフィルターに転移した。フィルターを1次ポリクローナルウサギ抗PTyr抗体と共にインキュベートし、次に西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート型ヤギ抗ウサギIgGと共にインキュベートした。フィルター結合ペルオキシダーゼ活性を化学発光により検出した。
【0197】
抽出バッファー中で細胞溶解物を調製し、4℃で15分間マイクロ遠心分離によって清澄化した。
【0198】
抽出物をc-Src、Lyn、又はFynのいずれかに特異的な4μgの抗体と共にインキュベートし、次にプロテインA又はGセファロース(40μlのスラリー)と共にインキュベートした。抗原抗体−プロテインA(又はG)セファロース複合体を、300mM NaClを含有するRIPA(50 mM Tris−HCl, pH 7.2, 150 mM NaCl, 1% Triton X-100, 1% デオキシコール酸ナトリウム, 0.1% SDS, 1% トラジロール, 25 μM ロイペプチン)で3回洗浄し、10mM NaClを含有するRIPAで1回洗浄し、40mM Tris−HCl(pH7.2)で2回洗浄し、25mM HEPES(pH6.9)、3mM MnCl
2、及び200μMオルトバナジウム酸ナトリウムを含有するキナーゼバッファーで1回洗浄した。
【0199】
反応は公表されたプロトコール(Zisch et al., 1998)に従って、5μCi[g32P]ATP(3000Ci/mmol)を含有する40μlのキナーゼバッファー(25 mM Hepes, pH 6.9, 3 mM MnCl
2 及び 200μM オルトバナジウム酸ナトリウム)中37℃で30分行った。反応ビーズをキナーゼバッファーで3回洗浄し、75μlのSDSゲルローディングバッファー(250mM Tris−HCl, pH 6.8, 4% SDS, 10% 2-メルカプトエタノール, 0.02% ブロモフェノールブルー、及び75% グリセロール)中に再懸濁した。自己リン酸化反応物をSDS-PAGEにかけ、次にタンパク質をPVDF膜に移しオートラジオグラフィーを行った。
【0200】
チロシンキナーゼアッセイキット(Upstate Biotechnology)を使用し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により、ELISAタンパク質チロシンキナーゼ活性を測定した。ポリ(Glu4-Tyr)のタンデムリピートを含有するビオチン化基質ペプチドを、製造業者のプロトコールに従って、非放射性ATPとMn
2+/Mg
2+補助因子カクテルとの存在下で異なる時間混合したトランスフェクト細胞の抽出液の上清(20μgタンパク質/ウェル)と共にインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたホスホチロシン特異的マウスモノクローナル抗体(4G10)を使用して、ELISAによりリン酸化基質を検出した。
【0201】
非トランスフェクトDAMI細胞及びPS-1トランスフェクトDAMI細胞中のβ-APPの細胞表面発現の欠如。最初の試験セットは、PS-1でトランスフェクション後にDAMI細胞がその表面に無視できる量のβ-APPのみを発現し続けるという仮定に依存するため、まず以下の実験を行った。固定化状態であるが非透過性状態の非トランスフェクト及びPS-1トランスフェクトDAMI細胞を、β-APP及びPS-1について2重に免疫蛍光標識した。既に記載されているように(Querfurth and Selkoe, 1994)、トランスフェクトしていない固定化非透過性DAMI細胞は、細胞表面上に多量のβ-APPを発現しない(
図5a、パネル2)が、β-APPのpcDNA3構築物でトランスフェクトしたDAMI細胞は、固定化非透過性細胞中で顕著な細胞表面発現を示す(
図5b、パネル2)。しかし
図5aとbのパネル1は、非トランスフェクト固定化非透過性DAMI細胞が内因性細胞表面PS-1を発現することを示す。
図5cのパネル1では、固定化非透過性PS-1トランスフェクト細胞中でPS-1のこの細胞表面発現が増加している。
図5cのパネル2は、DAMI細胞をPS-1でトランスフェクトすることは、トランスフェクトしていない細胞でみられる無視できるレベルを超えてβ-APPの細胞表面発現を顕著には増加しないことを示す(
図5a、パネル2)。
図5dのパネル2は、β-APPでトランスフェクトしたESダブルヌル固定化非透過性細胞中でβ-APPの細胞表面発現を示すが、PS-1発現は示していない(
図5d、パネル1)。
【0202】
非トランスフェクト固定化非透過性ESダブルヌル細胞では、予想されたように、細胞表面PS-1の標識はない(
図5e、パネル1)が、内因性β-APPの少量の表面発現がある(
図5e、パネル2)。これらの結果は、β-APPトランスフェクトESダブルヌル細胞とPSトランスフェクトDAMI細胞の相互作用において、ES細胞のみが細胞表面β-APPを発現し、PSを発現しないが、PSトランスフェクトDAMI細胞のみが細胞表面でPSを発現し、β-APPを発現しないことを証明する。従って、細胞の混合後にβ-APP:PS相互作用が起きるなら、これは細胞間相互作用の結果のみであり得る。
【0203】
また、特異的β-APP:PS細胞間シグナル伝達がチロシンキナーゼ活性の増加を引き起こすことを示すデータも提供される。β-APPでトランスフェクトしたESダブルヌル細胞をPS-1でトランスフェクトしたDAMI細胞と混合し、細胞間接触を保証する細胞密度を使用して、種々の時間(0〜20分間)共培養した。次に細胞抽出物についてELISAアッセイを行って、タンパク質チロシンキナーゼ活性を測定した。
図6aは、これらの共培養物が、PS-1トランスフェクトDAMI細胞をβ-APPトランスフェクトDAMI細胞と混合したときに既に記載されているもの(Dewji and Singer, 1998)と同様のタンパク質チロシンキナーゼ活性の迅速かつ一過性の増加を生じることを示す。25μgの精製バキュロウイルス由来可溶性β-APP(β-APPの細胞外ドメイン)(
図6b)又は25μgのPS-1のN末端ドメインに融合したFLAGレポーターの融合ペプチド(
図6c)の存在下で、
図6aと同じ相互作用を行ったとき、タンパク質チロシンキナーゼ活性の増加は起きなかった。一方、25μgのFLAG-PS-2 N末端ドメイン融合ペプチドの存在下での同じβ-APP:PS-1共培養物は、PTyr形成を阻害しなかった(
図2d)。これらの結果は、いくつかの点を明瞭に確立する:1)可溶性β-APP自体は、PS-1トランスフェクトDAMI細胞を活性化してチロシンキナーゼ活性を示すことはない;トランスフェクトしたES細胞膜中に完全なβ-APPが必要である。これに対して、可溶性β-APPは、膜結合β-APPによって生じる活性を阻害し、これは膜結合β-APPが活性化に特異的に関与していることを証明する;2)PS-1のN末端ドメイン自体は、β-APPトランスフェクト細胞を活性化してチロシンキナーゼ活性を示すことはできない。そのDAMI細胞膜中に完全なPS-1分子が必要である。しかしPS-1(PS-2ではない)のN末端ドメインは共培養物の活性化を阻害し、これはPS-1トランスフェクトDAMI細胞上の膜結合PS-1も相互作用に特異的に関与していることを示す;3)インヒビターである可溶性β-APP及びPS-1のN末端ドメインのFLAG融合タンパク質のタンパク質としての性質は、生きたDAMI細胞及びES細胞の細胞膜のこれらの非透過性を保証に
し、従ってシグナル伝達事象を発生させるのに関与するのは細胞表面β-APPとPS-1の外部ドメインのみであることを立証する(すなわち、シグナル伝達は細胞接触介在型である)。これらの結果は、β-APPとPSとの間の細胞接触介在型相互作用が起こり得ることを確立する否定できない証拠を与える。
【0204】
さらに、PS-1のN末端ドメインが細胞外表面に露出しているというこの証明は、PSタンパク質の7-TM形に一致するが、8-TMモデル(これは、PSのN末端ドメインを細胞内に置く)の予測には矛盾する。
【0205】
本明細書に提供する追加のデータは、β-APP:PS-1とβ-APP:PS-2細胞間シグナル伝達が、Srcファミリーのチロシンキナーゼのメンバーに仲介され得ることを示す。β-APP:PS細胞間結合の結果であるPTyr修飾の増加は、同定する必要のある1つ又はそれ以上のタンパク質チロシンキナーゼが関与する。β-APPもPSタンパク質もかかるキナーゼ活性部位を含まないため、これらのタンパク質の細胞質ドメインの間接的活性(例えば、これらのドメインの1つへの細胞質チロシンキナーゼの直接的又は間接的結合)が下流のシグナルに関与しているかも知れない。Src遺伝子ファミリー内でいくつかの細胞質チロシンキナーゼが同定されているため、混合したトランスフェクト細胞の細胞抽出物において基質ペプチド[lys19]cdc2(6-20)-NH
2(KVEKIGTYGVVKK;配列番号12)を使用してSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼをアッセイした。cdc2(6-20)中のTyr19がlysで置換されたこのペプチドは、Srcファミリーキナーゼの有効な基質であることが示されている。試験したすべてのSrcファミリーキナーゼ(v-Src及びc-Src、c-Yes、Lck、Lyn、及びFlyを含む)は、この基質に対する強い活性を示す。2つの対照ペプチドも使用した:第1のペプチド[lys19ser14val12]cdc2(6-20)-NH
2(KVEKIGVGSYGVVKK;配列番号13)において、glu12とthr14はそれぞれvalとserにより置換され、生じるペプチドがSrcファミリーチロシンキナーゼの基質として機能する効率を大きく低下させた。もう一方のペプチド[lys19phe15]cdc2(6-20)-NH
2(KVEKIGEGTFGVVKK;配列番号14)はチロシンキナーゼによりリン酸化されないはずであるが、ser/thrキナーゼの標的候補を含有した(thr14)。
【0206】
β-APP:PS-1相互作用を引き起こすβ-APPトランスフェクトDAMI細胞とPS-1トランスフェクトDAMI細胞との共培養物、及びβ-APPが欠如した対応の対照(pcDNA3:PS-1)、の抽出物中のSrcファミリーキナーゼ活性測定の結果を、
図7aとbに示す。これらの3つのペプチドを使用した、β-APP:PS-2相互作用を引き起こすトランスフェクトDAMI細胞混合物、及び対照のpcDNA3:PS-2混合トランスフェクトDAMI細胞の抽出物についての同様の結果を
図7cとdに示す。各β-APP:PS細胞混合物について、[lys19]cdc2(6-20)-NH2をSrcファミリーキナーゼ基質として使用した場合に、チロシンキナーゼ活性のELISAの結果に平行して、対照ペプチドと比較した活性増加の時間経過を得た。β-APP:PS-1相互作用(
図7a)について、Srcファミリーキナーゼ活性は8分にピークに達し、12分までにベースラインレベルまで戻り、これは細胞混合後の時間の関数とするチロシンキナーゼ活性の以前のELISAの結果を確認している。同じ基質を対照pcDNA3:PS-1(
図7b)混合細胞について使用したとき、顕著な増加は観察できなかった。β-APP:PS-2相互作用を引き起こす細胞混合物(
図7c)については、チロシンキナーゼELISAの結果と同様に、基質ペプチド[lys19]cdc2(6-20)-NH
2を用いて、混合後9分と16分に活性の2つの明瞭なピークが観察された。
【0207】
β-APPが欠如した対応の対照pcDNA3:PS-2(
図7d)について、バックグランドを上回るSrcキナーゼ活性の顕著な増加は観察されなかった。これらの結果は、β-APP-トランスフェクト細胞とPS-1-トランスフェクト細胞の混合物で、又はβ-APP-トランスフェクト細胞とPS-2-トランスフェクト細胞の混合物で以前に観察されたチロシンキナーゼ活性の増加に、Srcチロシンキナーゼファミリーの1つ又はそれ以上のメンバーが関与することを示唆する。
【0208】
Srcファミリーキナーゼ及びチロシンキナーゼの特異的インヒビターの存在下でのチロシンキナーゼ活性の阻害。β-APP:PS細胞間シグナル伝達におけるSrcキナーゼファミリーの関与を、チロシンキナーゼ(ハービマイシンA)とSrcファミリーキナーゼ(PP2)の特異的インヒビターの存在下又は非存在下で行ったβ-APP:PS-1混合細胞相互作用の抽出物のELISAによりさらに確認した。
図8aは、10μg/mlのハービマイシンAの存在下において、β-APPトランスフェクトDAMI細胞とPS-1トランスフェクトDAMI細胞との混合後8〜10分で、チロシンキナーゼ活性の増加が完全に阻害されることを示す。10nM PP2の存在下で行った同じ実験(
図8b)は同様に、チロシンキナーゼ活性の阻害を示した。
【0209】
β-APP:PS-1細胞間シグナル伝達におけるc-Srcの関与に関する追加のデータを以下に示す。β-APP:PS-1細胞間シグナル伝達に関与するSrcファミリーメンバーの正体を決定するために、本発明者らはpp60c-Srcを調べ始めた。見かけの分子量が58kDaと60kDaの2つの主要なタンパク質バンド(c-Srcとサイズが似た二重縞)は、この細胞接触介在型相互作用で一過性のPTyr修飾を受けた。PS-1トランスフェクトDAMI細胞とβ-APPトランスフェクトDAMI細胞との混合物の抽出物を、抗PTyrもしくは抗c-Src抗体のいずれかを用いたSDS16PAGEと免疫ブロッティングにかけると、両方の抗体が同じ2つのバンドと反応した(
図9a、パネル1〜3)。抗PTyr抗体と免疫ブロットしたこの図のパネル1は、タンパク質バンドのチロシンリン酸化の一過性増加(細胞混合後8〜10分で最大)を示す。パネル2では、c-Src抗体で免疫ブロットした同じ抽出物は経時的に変化しておらず、これはそのPTyrレベルの増加中にc-Srcタンパク質濃度が変化しないままであることを示す。重要な観察結果は、β-APPでトランスフェクトしたESダブルヌル細胞(従ってβ-APPのみを発現し、PS-1もしくは2は発現しない)を、PS-1でトランスフェクトしたDAMI細胞(従ってPS-1のみを発現し、細胞表面β-APPを発現しない)と混合すると、p60 c-Srcタンパク質及び1又は2つの追加のタンパク質は、PS-1トランスフェクトDAMI細胞(
図9a、パネル1)と混合したβ-APPトランスフェクトDAMI細胞でみられたものと同様の混合後の時間(
図9a、パネル4)でPTyr修飾が一過的に増加したことであった。従ってPTyr修飾結果はPS-1に関連し、これが発現した細胞タイプには関連しない(PS-2については下記参照)。
【0210】
c-Srcがβ-APP:PS-1相互作用において一過性のチロシンリン酸化を経たチロシンキナーゼファミリーのメンバーであるかどうかをさらに試験するために、混合後の異なる時点で採取した混合トランスフェクトDAMI細胞の抽出物を抗c-src抗体で処理し、次にプロテインGセファロースビーズで処理する実験(自己リン酸化)を行った。次にビーズにγ
32PATPを加えた後、タンパク質をビーズから可溶化し、SDS17 PAGEとオートラジオグラフィーを行った。
図9bの結果は、類似の抽出物中のPTyrの出現に対応する時間経過である細胞混合後8〜10分でリン酸化が最大であるいくつかの一過性バンドが現れることを証明する(
図9a、パネル1)。これらのバンドで顕著なことはc-Srcに対応する1つの二重縞であり、これはβ-APP:PS-1細胞間相互作用でc-Srcが一過的に活性化されることを証明している。
【0211】
図9b中の他のリン酸化バンドの正体は不明である。必ずしもこれらのすべてがチロシンリン酸化による必要はなく、一部のセリン又はスレオニンキナーゼが、特異的抗pc-Srcと免疫反応したc-Srcに結合したかもしれない。β-APP:PS-2細胞間シグナル伝達の下流のFynではなくLynの関与。β-APP:PS-2細胞間相互作用を適切にトランスフェクトしたDAMI細胞の混合物を用いて行うと、β-APP:PS-1系とは完全に異なるセットのタンパク質がPTyr修飾された。50〜66kDaに存在するバンドがPTyr抗体により検出されたが、これらはウェスタンブロット上のc-Srcに対応しなかった(
図11a、パネル1)。さらにβ-APP:PS-2混合細胞の抽出物を最初にc-Src抗体で免疫沈降させ、次に免疫沈降物をin vitroで自己リン酸化させたとき、早期の時点(混合後8〜10分)でリン酸化の顕著な増加はみられなかった(
図10b)。
【0212】
しかし後の時点では、c-Srcは明らかにこれらのサンプルでリン酸化され、これは、c-Srcがβ-APP:PS-2シグナル伝達の第2の後のピークで同定される増加に寄与することを示している(
図10b)。Srcキナーゼファミリーの他のメンバーの関与の可能性を、c-Src以外の53〜59kDa範囲の分子量で調べた。Lyn(分子量53/56kDa)とFyn(分子量59kDa)は、調べた2つのSrcキナーゼ候補であった。
【0213】
図11a中の抗Lyn抗体を用いたウェスタンブロットハイブリダイゼーションの結果は、β-APP:PS-2細胞間相互作用を行ったとき、Lynタンパク質濃度は変化しないが、抗Lyn抗体による抽出物の免疫沈降と沈降物のin vitro自己リン酸化後に、他のリン酸化バンドとともに、8〜9分と17〜18分で活性のピークを有するLynの一過性リン酸化が観察される(
図11c)。Lynは、β-APP:PS-2相互作用についてのウェスタンブロット及びELISAでみられるPTyr増加と類似したパターンで一過性リン酸化を減る(
図11c)。一方Fynは、抗Fyn抗体による免疫沈降後に、同じ抽出物中でin vitroの自己リン酸化(
図11d)も、濃度の経時変化(
図11b)も示さない。
【0214】
実施例3
以下のデータは、マウス前頭部皮質の抽出物中の内因性PS-1及びPS-2へのGタンパク質結合を示す。GTPγS可溶化/抽出バッファー[50 mM HEPES/NaOH pH 7.4, 1 mM EDTA, 1 mM DTT, 1% Triton X100, 60 mM オクチルグリコシド, 1X プロテアーゼインヒビターミックス (1μM フェニルメチルスルホニルフルオリド, 1 μg/ml アンチパイン, 0.1 μg/ml ペプスタチンA, 0.1 μg/ml ロイペプチン)]中で、WTマウス前頭部皮質の20%ホモジネートを作製した。未処理、PTX処理、及びPS-1及びPS-2免疫枯渇抽出物について[
35S]-GTPγS結合の測定を行った。
【0215】
未処理サンプルについて、100μgの抽出物をGTPγS可溶化/抽出バッファーで100μlにし、等量のGTPγSバッファーB(50 mM HEPES/NaOH pH 7.4, 40 μM GDP, 50 mM MgCl
2, 100 mM NaCl)と混合して総量を200μlとした。50nMの[
35S]-GTPγS(1250 Ci/mMol; Perkin Elmer)を用いて反応を開始し、室温で60分インキュベートした。20μlの10X停止バッファー(100 mM Tris−HCl, pH 8.0, 25 mM MgCl
2, 100 mM NaCl, 20 mM GTP)を加えて反応を停止させた。
【0216】
PTX処理サンプルについて、100μgの抽出物をGTPγS可溶化/抽出バッファーで100μlにし、PTXバッファー(20 mM HEPES pH 8.0, 1mM EDTA, 2 mM MgCl
2, 1 mM NAD)の存在下で500ng/mlの活性化PTXを用いて処理した。サンプルを30℃で12時間インキュベートした。次にPTX処理サンプルを等量のGTPγSバッファーBと混合し、上記したように[
35S]-GTPγSアッセイに供した。
【0217】
マウス前頭部皮質の抽出物をPS-1及びPS-2に対するポリクローナル抗体の混合物(それぞれ10μl)で4℃で一晩免疫沈降させて、PS-1及びPS-2をサンプルから枯渇させた。プロテインAアガロース(20μl スラリー/100μg タンパク質)を加え、4℃で2時間サンプルを回転振盪した。PS−抗体−プロテインA複合体を高速で5分遠心分離した。上清を回収し、100μgのアリコートを上記したように[
35S]-GTPγSアッセイに供した。
【0218】
GTPγS反応後、5μlの抗PS-1又は抗PS-2モノクローナル抗体のいずれかを加え、サンプルを4℃で一晩置いた。抗体−タンパク質複合体を20μlのプロテインA/Gアガロース(Pharmacia)に結合させ、サンプルを4℃に置き、2時間回転振盪した。アガロースビーズを洗浄バッファー1(50 mM HEPES, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 1% Triton X100, 1X プロテアーゼインヒビターミックス)で3回洗浄し、洗浄バッファー2(50 mM HEPES, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 0.5% Triton X100, 1X プロテアーゼインヒビターミックス)と3(50 mM HEPES, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 1X プロテアーゼインヒビターミックス)とでそれぞれ1回洗浄した。次に洗浄したアガロースビーズを5mlのシンチレーション液(CytoScint, ICN)中に懸濁し、Beckman Coulter LS 6000 SCシンチレーションカウンターで3分間計測した。
【0219】
PS-1とPS-2の両方について、細胞内ループ1の最初の16アミノ酸に対応する配列[icl(1-16)]、細胞内ループ1の残りの16アミノ酸に対応する配列[icl(17-32)]、全細胞内ループ2に対応する配列(ic2)、全細胞内ループ3に対応する配列(ic3)、細胞質C末端テイルの最初の20アミノ酸に対応する配列(C1-20)、及び細胞質C末端テイルの残りの19アミノ酸に対応する配列(C21-39)は、合成されHPLCで>90%の純度まで精製される。
図12は、PSの細胞内ドメインを示す。表1は、これらのドメインから合成できる配列を示す。さらにペプチドC1-20の配列をランダム化できる20アミノ酸の対照ペプチドが合成される。このペプチドは、G
oについてPS-1上の結合ドメインとして同定される39アミノ酸配列の一部である。
【表1】
【0220】
実施例4
本試験は、PS-1のGPCR機能がAβの産生をモジュレートすることを証明する。PS-GPCR機能の研究における大きな問題は、PSからGタンパク質活性を誘発することができるPS(ここにリガンドが細胞内で結合する)に特異的なリガンドを決定することである。本試験は、3部構成のリガンド−受容体−Gタンパク質系がAβの産生を開始するかどうかを調べた。かかる系では、リガンド(β-APP)結合によるPSの活性化は、細胞質ドメイン中のPSへのGタンパク質結合をもたらす。
【0221】
PS-1又はPS-2へのGタンパク質結合がβ-APPからのAβ産生に影響を与えるかどうかを調べるために、百日咳毒素(PTx)の存在下及び非存在下でのβ-APPとPS-1との細胞間相互作用の実験を行った。PTxはGタンパク質G
o活性化の特異的インヒビターである。PSのGPCR機能がβ-APP:PS細胞間結合からのAβの産生に関与するなら、その存在下でAβ産生が阻害されるはずである。
【0222】
上記方法を使用して、
35S-メチオニンの存在下でβ-APPトランスフェクトES(PS-/-)細胞(細胞はβ-APPを産生するがPSを発現しない)と相互作用したPS-1トランスフェクトβ-APP-/-初代繊維芽細胞(細胞はPS-1を発現するがβ-APPを産生しない)を用いて、β-APP:PS-1介在細胞間相互作用を行った。トランスフェクトした細胞の共培養の24時間後、プロテアーゼインヒビターの存在下でサンプルを回収した。細胞を超音波処理し、全細胞抽出物100μgをAβに対する抗体(6E10)で免疫沈降させ、免疫沈降したサンプルをBicene-Trisゲルに流した。乾燥ゲルのオートラジオグラフィーによりAβバンドを視覚化した。同じ実験を500ng/mlのPTxの存在下で行った。培養細胞の処理は、下記のように12時間行った。PTx処理の対照として、培養細胞をATPとNADのみを含有するPTxバッファーと共にインキュベートした。これらの条件下で、G
oの活性化とAβのレベルは影響を受けないはずである。
【0223】
図15はこれらの試験の結果を示す。レーン1は、PS-1発現繊維芽細胞(β-APP-/-)と共培養したβ-APP発現ES(PS-/-)細胞の結果を示す。レーン2は、PTx及びPTxバッファー(NAD+ATP)の存在下におけるレーン1で使用した成分の結果を示す。レーン3は、PTxバッファーのみ(NAD+ATP)でPTxを含まない条件におけるレーン1で使用した成分の結果を示す。レーン4は、テイルレスPS-1発現繊維芽細胞(β-APP-/-)と共培養したテイルレスβ-APP発現ES(PS-/-)細胞の結果を示す。レーン5は、PTxの存在下におけるレーン4で使用した成分の結果を示す。レーン6は、テイルレスPS-1発現繊維芽細胞(β-APP-/-)と共培養した野生型β-APP発現ES(PS-/-)細胞の結果を示す。
【0224】
結果は、PTx毒素がβ-APPとPS-1の細胞間相互作用からのAβの産生を阻害することを示す(上記レーン1と2)。レーン3は、PTxバッファーのみの存在下、PTxの非存在下で、Aβ産生が阻害されないことを示す。レーン4と6は、すでにG
oに対するPS-1の結合ドメインであることが示されたPS-1の細胞質カルボキシル末端ドメインが存在しないとき、Aβ産生が排除されることを示す。
【0225】
ここに示したデータは、β-APPがPS-1のリガンドであり、結合するとそのGPCR活性を活性化することを示す。データはまた、PS-1のGPCR機能が、PS-1との細胞間相互作用後のβ-APPからのAβ産生に関与することを示す。これらの結果はさらに、PS-1のGPCR活性をモジュレートすることはAβの産生もモジュレートすることを示す。従ってPS-1のGPCR活性をモジュレートする物質はAβの産生をモジュレートする。
【0226】
共培養実験のために、ES(PS
-/-)細胞とβ-APP(
-/-)細胞とをフラスコ25cm
2当たり1x10
7細胞でプレーティングし、適切なcDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの5時間後、β-APPでトランスフェクトしたES(PS
-1-/PS-2
-/-)細胞を穏やかなトリプシン処理により剥がし、熱不活性化し透析したFCS(10%v/v)を含有するmet無含培養培地で2回洗浄し、この培地中に0.33x10
7細胞/mlで再懸濁した。同様に、β-APPノックアウトマウスからの初代繊維芽細胞をPS-1又はPS-2で共トランスフェクトし、1x10
7細胞でプレーティングした。トランスフェクトした細胞をmet無含培地で2回洗浄し、3mlのmet無含培地に置いた。
【0227】
β-APPトランスフェクトES(PS
-1-/PS-2
-/-)細胞(1x10
7細胞/3ml met無含培地)を、PS-1トランスフェクトβ-APPノックアウト細胞に加えた。この細胞密度は、実質的にすべての細胞が互いに接触していることを保証した。
35S-met(66μCi/ml;1175Ci/mmol、NEN)を加え、培養物を24時間インキュベートした。PTx処理を用いる実験では、この段階で適切な反応条件下で500ng/ml PTxを培養物に加え、24時間インキュベートした。次に培地を取り出し、細胞を剥がして回収した。プロテアーゼインヒビターミックスを培地に加えた後、ドライアイス上で凍結した。プロテアーゼインヒビター(1mM 4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)/1μg/mlアンチパイン/0.1μg/mlペプスタチンA/0.1μg/mlロイペプチン)を含有する100μlの抽出バッファー(50mM Tris、pH8.0/150mM NaCl/0.5% Nonidet-P40)を細胞ペレットに加え、サンプルをドライアイス上で急速凍結した。
【0228】
PTxプロトマー(Biomol Research Laboratories)を10mM DTTと共に37℃で10分インキュベートして、これを酵素活性型に変換した。ES細胞をPS-1又はPS-2及びGタンパク質のcDNAでトランスフェクトした5時間後、1mM NAD、1mM ATP、2mM MgCl
2、及び1mM EDTAの存在下、培養培地中で500ng/mlの活性化PTxを細胞に加えた。5% CO
2の存在下で細胞を37℃で18時間インキュベートした。
【0229】
それぞれ氷上で20秒間のバーストを3回行うことで超音波処理した細胞ペレットを使用して、全細胞抽出物を調製した。タンパク質濃度はLowryの方法に従って測定した。
【0230】
免疫沈降は、2μgのAβ特異的モノクローナル抗体6E10(Senetek)(これはAβの残基1〜17(Senetek)に対して生じた)を用いた免疫沈降(回転子中、4℃、一晩)に100μgの細胞抽出物を供することで行った。次にプロテインGセファロース(Pharmacia)の40μlのスラリーを加え、室温で1時間回転混合させた。抗原−抗体−プロテインGセファロース複合体を、以下のそれぞれで1回洗浄した:バッファー1(10mM Tris−HCl, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 0.65M NaCL, 1% NP-40)、バッファー2(10mM Tris−HCl, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 0.75% NP-40)、及びバッファー3(10mM Tris−HCl, pH 7.4, 1 mM EDTA, pH 8.0, 0.1% NP-40)。洗浄した複合体をbicene-トリスサンプルバッファー中で10分間沸騰し、bicene-トリスゲルでSDS-PAGEを行った。
【0231】
8M尿素を含むbicene-トリスゲル(15%T/5%C)を型を取り、泳動した。次にゲルを0.4Mホウ酸ナトリウム/リン酸バッファー中の5%グルタルアルデヒドで30分間固定化し、メタノール−酢酸中の0.1%Coomassie Blue G250で1時間染色した。脱染後、オートラジオグラフィーのためにゲルを調製した。
【0232】
脱染したゲルをエタノール(30%)とグリセロール(5%)で30分間処理し、Amplify(Amersham)を30分間染み込ませ、真空下80℃で乾燥し、X-Omatフィルムに-70℃で4〜5日間曝露した。
【0233】
Aβの最終的な産生のために要求される特異的なβ−APP:PS媒介の細胞・細胞相互作用はまた、Gタンパク質を活性化する。一方の細胞表面のβ−APPが他方の細胞表面のPSと特異的に結合することによって媒介される細胞:細胞相互作用は、β−APPからのAβの産生における要求される最初の工程である。ヒトβ−APPオンリー発現細胞と、ヒトPSオンリー発現細胞との間における、それらの会合する内因性タンパク質と一緒での細胞・細胞相互作用が、内因性マウスGタンパク質の活性化を生じさせたかどうかを明らかにするために、
35S−GTPγSのGαとの結合(Gタンパク質活性化を求めるための標準的方法)をアッセイした。これらの研究のすべてにおいて、内因性マウスGα
oの活性化が調べられた。
【0234】
2つの細胞タイプを作製した;ほんの少量にすぎない内因性β−APPを発現し、PSを全く発現しなかったES由来のマウス細胞(PS−1
−/−;PS−2
−/−)を、ヒトβ−APPに対するcDNAにより一過性にトランスフェクションして、マウスβ−APPを上回る過剰なヒトβ−APPを発現し、PS−1またはPS−2を全く発現しない細胞(β−APPオンリー細胞)を作製した。ほんの少量にすぎない内因性のPS−1およびPS−2を発現する、β−APPヌルマウスに由来する胚性(E18)マウス初代線維芽細胞を、ヒトPS−1に対するcDNAによりトランスフェクションして、マウスPS−1を上回る過剰なヒトPS−1を発現し、β−APPを全く発現しない細胞(PS−1オンリー細胞)を作製した。β−APPオンリー発現細胞と、PS−1オンリー発現細胞とを、それらの細胞間相互作用を可能にした高い密度で、または、より小さい程度にすぎない細胞:細胞相互作用を可能にしたより低い密度でのいずれかで24時間共培養した(
図14C(レーン4)と比較される
図14C(レーン2)における光学顕微鏡写真を参照のこと)。
【0235】
百日咳トキシン(PTx)(G
oの活性化がPTxの存在下で阻害される)の存在下および非存在下での高密度共培養物および低密度共培養物の、界面活性剤緩衝液による抽出物を調製し、それぞれが100μgの総タンパク質を含有するアリコートを
35S−GTPγSと反応させた。それぞれの
35S−GTPγS処理抽出物の免疫沈殿を、Gα
oに対するポリクローナル抗体K−20を用いて行った。この抗体は、活性化された
35S−GTPγS標識マウスGα
oを免疫沈殿させた。
【0236】
β−APPオンリー細胞がPS−1オンリー細胞と高密度で共培養された場合(
図14C、レーン1)、トランスフェクションされていないES(PS
−/−)細胞抽出物および線維芽細胞(β−APP
−/−)細胞抽出物の等量部を混合することによって調製される)コントロール抽出物から得られる基礎値を上回る
35S−GTPγS取り込みにおける200%を超える増大(
図14A、レーン1)が、低密度サンプル(
図14C、レーン2)についての33%の増大(
図14A、レーン2)と比較して認められた。PTxの存在下では、高密度培養物(
図14C、レーン4)は
35S−GTPγS取り込みにおける阻害を示し、基礎値よりも38%低かった(
図14A、レーン3)。これらの結果は、β−APPオンリー細胞と、PS−1オンリー細胞との間における特異的な細胞:細胞相互作用はまた、PTx感受性Gタンパク質を、PS−1の細胞質ドメインを介して直接的に、または、PS会合タンパク質を介して間接的に、そのどちらでも活性化することを示している。
【0237】
β−APPオンリー細胞およびPS−1オンリー細胞を高密度および低密度で共培養し、PTxの存在下または非存在下のどちらであっても
35S−metの存在下で代謝的に標識した。24時間の共培養の後、細胞を集め、界面活性剤による抽出物を調製した。それぞれが100μgのタンパク質を含有するサンプルを、ヒトAβに対するマウスMAb(6E10)を用いて免疫沈殿し、その後、可溶化された免疫沈殿物をBicene−Trisゲルで電気泳動した。その後、Aβのバンドを
35S−オートラジオグラフィーによって可視化した。
図14は下記のことを明らかにする:1)等量の総タンパク質に存在するAβのレベルが細胞密度の低下(
図14C、レーン1〜3)とともに徐々に低下し(
図14B、レーン1〜3)、これは、Aβをβ−APPから産生させるためのβ−APP:PS−1媒介の細胞間相互作用のための要件と一致していたこと、;2)
図14Aに示されるように、PTx感受性Gタンパク質の活性化のための同じ細胞間相互作用のための要件;および3)高密度培養物におけるAβの産生(
図14Bのレーン1および
図14Cのレーン1)がPTxの存在下で完全に阻害されたこと(
図14Bのレーン4および
図14Cのレーン4)。Gタンパク質活性化およびAβ産生の両方がPTxによって阻害されることが明らかにされたことは、Gタンパク質の活性化がAβ形成に先立って生じることを強く示唆し、このことは、そのような活性化が、β−APP:PS−1の細胞間結合からAβ産生への経路の途中にあるという考えと一致している。
【0238】
PS−1の水溶性の全80アミノ酸のNH
2末端ドメイン(ペプチド1−80)の融合構築物は、共培養培地に加えられたとき、β−APP:PS−1媒介の細胞・細胞相互作用の特異的な競合的阻害剤として機能し、Aβ産生を阻害した。Gタンパク質活性化およびAβ産生の両方のための、β−APPと、PSとの間における特異的な細胞・細胞相互作用のための要件のさらなる証拠として、実験を、この細胞・細胞相互作用から生じたGα
oの活性化が共培養物へのペプチド1−80の添加によって阻害され得たかどうかを明らかにするために行った。
【0239】
β−APPオンリー細胞と、PS−1オンリー細胞との共培養を、ペプチド1−80(0〜3μM)の存在下および非存在下で行った。
35S−GTPγSアッセイをGタンパク質活性化の尺度として抽出物に対して行った。これらの共培養物抽出物において産生されるAβをELISAによって求めた。
図15は、両方、すなわち、Aβの産生(
図15A)およびGα
oの活性化(
図15B)が用量依存的様式でペプチド1−80によって阻害され得たことを示し、このことは、Gタンパク質活性化が、Aβの最終的な産生を開始させる同じβ−APP:PS−1媒介の細胞・細胞相互作用から生じるという見解と一致している。
【0240】
加えて、水溶性のβ−APPエクトドメイン自身(β−APPs)がPS−1オンリー細胞の培養物に加えられたとき、これもまた、Gタンパク質を用量依存的様式で活性化することができた。β−APPsが、ヒトβ−APPを過剰発現するバキュロウイルス培養物の馴化培地から部分精製された。最終産物(
図16b、レーン1)は、β−APPに加えて、β−APPエクトドメインとともに同時精製された、81kDa、55kDaおよび31kDaにおける3つの主要な混在するバンドを有した。この部分精製β−APPs調製物をPS−1オンリーのAPP
−/−線維芽細胞に増大する量で加えた。15分後、それぞれのウエルからの細胞を抽出緩衝液において集め、界面活性剤による抽出物(それぞれが100μgのタンパク質を含有する)を
35S−GTPγSにより処理した。Gα
oの活性化を、活性化された
35S−GTPγS−Gα
oをGα
o特異的抗体により免疫沈殿した後でアッセイした。
35S−GTPγSの取り込みにおける増大(
図16A、曲線1)が、部分精製β−APPsの増大する濃度とともにPS−1オンリー細胞において認められ、500%を超える最大の増大が120pMのβ−APPsの添加により認められた。トランスフェクションされていないAPP
−/−線維芽細胞の培養物は、恐らくは、これらの細胞における内因性PS−1の存在のために、あまり大きくないGタンパク質活性化をもたらした(
図16A、曲線3)。さらに、部分精製β−APPsが、トランスフェクションされていないES(PS
−/−)細胞に加えられたとき、Gタンパク質活性化における増大が
35S−GTPγSアッセイによって全く認められなかった(
図16A、曲線5)。このことはさらに、PSを、Gα
oの活性化におけるβ−APPリガンドに対する受容体として関係づける。
【0241】
Gタンパク質活性に関わるリガンドであったのが実際に、部分精製β−APPs調製物におけるβ−APPsであり、混在物の1つではなかったことを確認するために、β−APPsを、β−APPに対するMAb348による処理によって調製物から除いた(
図16C、レーン2を参照のこと)。非枯渇化調節物について使用された同じ濃度でのこのβ−APPs枯渇化溶液をPS−1オンリー細胞に加え、その後、細胞を、上記で記載されるのと同じように処理した。
図16A(曲線4)は、β−APPsの抗体除去が、β−APPs調製物を用いて認められれた
35S−GTPγS取り込みのほぼ完全な喪失をもたらしたことを示す。対照的に、無関係のIgGにより同様に処理されたβ−APPs調製物は、PS−1オンリー細胞に加えられたとき、非処理サンプルを用いて得られる結果と類似した結果を与えた(
図16A、曲線2)。この結果は、Gタンパク質活性化の喪失(
図16A、曲線4)が、免疫枯渇化手順の期間中における非特異的なタンパク質喪失のためではなく、サンプルからのβ−APPsの特異的な免疫除去のためであったという提案と一致している。これらの結果は、無傷の膜結合しているβ−APPに加えて、膜から分離された水溶性β−APPs自身が、PS−1発現細胞においてGタンパク質活性化を誘導することができ、しかし、PSの非存在下では誘導することができないことを証明している。
【0242】
以前の報告では、Gタンパク質G
oもまたβ−APPに結合することが示されている。β−APPsに関してちょうど記載された実験では、β−APPの細胞質ドメインまたは膜間ドメインが存在しなかった;実験では、PSによりトランスフェクションされたβ−APP
−/−細胞が利用され、これに、β−APPの可溶性エクトドメインのみが加えられた。従って、本明細書中に記載される研究全体において観測されるG
o活性化は、具体的には、PSの細胞質ドメインにおけるG
o活性化のみ、または、PS会合タンパク質のG
o活性化に起因する。
【0243】
これまでに記載された結果は、ヒトPSによりトランスフェクションされた培養細胞のみを使用して得られたので、内因性のラットPSタンパク質の、ラット海馬膜に存在するラットGα
oとの結合を調べた。これらの膜を可溶化し、
35S−GTPγSアッセイを、部分精製β−APPsの増大する濃度(0〜120pM)の添加前および添加後の両方で、可溶化膜に対して行った。
図17Aは、β−APPsの最も低い濃度(80pM)において、
35S−GTPγSの取り込みが非処理サンプルの場合よりも100%大きく、400pMのβ−APPsにおいては、Gタンパク質G
oの活性化が600%を超えて増大したことを示す。これらの増大(
図17B)は、可溶化されたラット膜をPS−1およびPS−2の両方に対するポリクローナルAbの混合物により最初に処理して、これら2つのマウスタンパク質をサンプルから枯渇させたならば、生じなかった。このことは、β−APPsによるGタンパク質活性化におけるPS−1またはその会合タンパク質の関与と一致している。
【0244】
実験を、ヒトGタンパク質G
oが、ヒトGα
oAタンパク質またはヒトGα
oBタンパク質のどちらかに対するcDNAと一緒にヒトPS−1に対するcDNAにより様々にトランスフェクションされているES由来(PS
−/−)マウス細胞の内部で、無傷のヒトPS−1に結合するかどうかを明らかにするために行った。界面活性剤による抽出物をこれらの細胞から調製し、調べた。様々にトランスフェクションされているES細胞からの100μgのタンパク質をそれぞれが含有する抽出物を最初に、(PS−1の7−TMモデルにおいて形質膜の外側から突き出る)PS−1の大きな親水性ループに対して特異的なMAbにより免疫沈殿した。その後、免疫沈殿物を可溶化し、SDS−PAGEに供し、その後、Gα
oに対するAb K−20(これは両方のイソ型(Gα
oAおよびGα
oB)を認識する)によるウエスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。PS−1/α
oAの共トランスフェクション細胞のみがGα
oについてのロバストなシグナルを約40kDaにおいて与えた(
図18A、レーン3をレーン2およびレーン3と比較した場合)。このことは、Gα
oBではなく、Gα
oAがPS−1に特異的に結合することを示唆する(結合が、使用された界面活性剤溶液に保持されるからである)。ヒトPS−1およびヒトGα
oのインビトロでの選択的結合を反映するこれらの結果は、ヒトPS−1に対するヒトGα
oのインシリコ結合の発表された研究と一致しており、しかし、これらの結果はさらに、これら2つのGα
oイソ型を区別しており、このことは、これまで示されなかった結果である。
【0245】
図5Aにおいて観測されるG
oA結合が、同時に免疫沈殿されたPS会合タンパク質に対してではなく、直接にPD−1に対してであったことを証明するために、(7−TMのPSモデルにおける)PS−1の細胞質ループ(1、2、3)およびカルボキシルテールに対応する合成ペプチドフラグメントによるG
oの自律的活性化を調べた(
図18Bおよび
図18Cならびに表1を参照のこと)。これらのペプチドを、ラット海馬膜調製物におけるG
oに対する
35S−GTPγS結合を刺激するそれらの能力について個々に試験した。
【0246】
図18Cにおいて、細胞質ループ1ペプチドおよび細胞質ループ2ペプチド(
図18B)は
35S−GTPγS結合のバックグラウンド刺激のみを誘導したという証拠が示される。しかしながら、細胞質ループ3ペプチドは、COOHテールの最初の20アミノ酸に対応するペプチドがもたらしたように、G
oに対する
35S−GTPγS結合のロバストな刺激をもたらした。しかしながら、残基21〜39に対応する第2のCOOH末端ペプチドはG
oを活性化することができなかった。COOHテールの残基1〜20に対応するペプチドを用いた結果は、PS−1のCOOH末端ドメインによるGタンパク質活性化と一致している。しかしながら、その研究は、7−TM PS−1の細胞質ループ3(ほとんどのGPCRについてGタンパク質結合のために重要であることが知られている領域)によるG
o活性化を見逃した。これらの結果により、G
oAが、PS会合タンパク質に対してではなく、PS−1に直接に結合することが確認される。
【0247】
β−APP:PSの細胞・細胞相互作用の後でのGタンパク質活性化に関して、Gタンパク質活性化はいくつかの方法のいずれかでAβ産生に関与しているかもしれない。Gタンパク質活性化はβ−APP:PS複合体のリン酸化または形質膜からの内在化のシグナルを送るかもしれず、あるいは、Aβの産生に至る経路に直接に関与し得る他の下流側の事象(例えば、Ca
2+放出など)を活性化するかもしれない。
【0248】
データは、PSとのβ−APPの特異的な細胞:細胞相互作用から生じるGタンパク質活性化がβ−APPからのAβのその後の産生の経路の途上にあることを明らかにする。
【0249】
Gα
o以外のいずれかの他のGタンパク質がプレセニリン(PS)−1の細胞質ドメインと共役し得るかどうかを明らかにするために、GαCOOHミニ遺伝子ベクターを使用した。Gタンパク質Gαの様々なサブユニットに由来するカルボキシル末端ドメインは受容体結合のための重要な部位であり、COOH末端に対応するペプチドを受容体−Gタンパク質相互作用の競合的阻害剤として使用することができる。Gαの11個〜14個のC末端アミノ酸をコードするミニ遺伝子ベクターは、シグナル伝達経路の受容体媒介活性化を阻害/阻止する能力を有する。pcDNA3にクローン化されたミニ遺伝子を、Caden Biosciencesから得た。表2は、使用されたそれぞれのミニ遺伝子についての具体的な配列を示す。
【表2】
【0250】
ほんの少量にすぎない内因性β−APPを発現し、PSを全く発現しなかったES由来マウス細胞(PS−1
−/−;PS−2
−/−)を、ヒトβ−APPに対するcDNAにより一過性にトランスフェクションして、マウスβ−APPを上回る過剰なヒトβ−APPを発現し、PS−1またはPS−2を全く発現しない細胞(β−APPオンリー細胞)を作製した。ほんの少量にすぎない内因性のPS−1およびPS−2を発現する、β−APPヌルマウスに由来する胚性(E18)マウス初代線維芽細胞を、ヒトPS−1に対するcDNAによりトランスフェクションして、マウスPS−1を上回る過剰なヒトPS−1を発現し、β−APPを全く発現しない細胞(PS−1オンリー細胞)を作製した。ミニ遺伝子をPSオンリーのAPP
−/−線維芽細胞においてPS−1とともに同時トランスフェクションして、研究中の内因性マウスGαをそのような細胞において阻害した。PS
−/−のES細胞を、ヒトβ−APPのcDNAにより別個にトランスフェクションし(β−APPオンリー細胞)、これら2つのタイプの細胞を24時間共培養した。細胞を集め、共培養物の界面活性剤緩衝液による抽出液を調製した。これらの培養物における[
35S]GTPγS取り込みの測定をそれぞれのミニ遺伝子の存在下および非存在下で行った:それぞれが100μgの総タンパク質を含有するアリコートを
35S−GTPγSと反応させ、それぞれの
35S−GTPγS処理抽出物の免疫沈殿を、研究中の特定のGαに対する抗体を用いて行った。特定のGαがPS−1に結合する特異性が、特異的なミニ遺伝子阻害剤の存在下におけるGTPγS取り込みの阻止によって明らかにされた。
【0251】
図21は、Gα
oA、Gα
B、Gα
q、Gα、Gα
i1/2およびGα
zの、それらの特異的なミニ遺伝子阻害剤の存在下における、β−APP:PS−1の細胞・細胞相互作用の後でのGタンパク質活性化の存在または非存在を示す。β−APP:PS−1の細胞・細胞相互作用は、Gα
oA、Gα
qおよびGα
sを特異的に活性化し、その活性化がそれぞれのGタンパク質の特異的なミニ遺伝子阻害剤によって阻害された。Gα
o3ミニ遺伝子の存在は、Gα
o抗体によって免疫沈殿される活性化Gα
oタンパク質を阻害しなかった(この抗体はG
oAイソ型およびG
oBイソ型の両方と交差反応する)。このことは、活性化種がこのサンプルにおけるG
oAタンパク質(これはGα
o3ミニ遺伝子によって阻害されない)であることを示唆する。Gタンパク質活性化が、β−APP:PS−1の細胞・細胞相互作用の結果として、Gi1/2またはGzについては全く認められなかった。このことは、これらのGタンパク質はPS−1と共役しないことを示唆する。
【0252】
これらのデータは、β−APPと、PS−1との間の細胞・細胞相互作用はまた、Gタンパク質のG
qおよびG
sを活性化することを明らかにする。上記で記載される共培養物抽出物において産生されるAβをELISAによって求めた。
図22における結果は、PS−1:βAPPの細胞間相互作用について、Gα
oAおよびGα
qの活性化がAβの産生と一致し、これに対して、Gα
sの活性化は一致しないことを示す。これらのタンパク質のGタンパク質活性化がそれぞれのGタンパク質に対する特異的なミニ遺伝子阻害剤の存在下で阻害されるとき、Aβ産生もまた、Gα
oAおよびGα
qの場合には阻害され、しかし、Gα
sの場合には阻害されない。これらの結果は、β−APPからのAβの産生がGタンパク質のG
oおよびG
qの下流側のシグナル伝達経路を必要とし、それらの両方がPLC(異なる機構)を介してシグナル伝達することを明らかにする。
【0253】
7−TM PSモデルにおけるヒトPS−1の細胞質ループ(1、2、3)およびCOOHテールに対応するオリゴペプチドによるGタンパク質(Gα
o、Gα
qおよびGα
s)の自律的活性化を調べた。これらのペプチドを、ラット海馬膜調製物におけるそれぞれのGタンパク質に対する
35S−GTPγS結合を刺激するそれらの能力について個々に試験した。
【0254】
図23Aは、PS−1の細胞質ループペプチドによるGα
oの自律的活性化を示す。細胞質ループ1ペプチドおよび細胞質ループ2ペプチドは
35S−GTPγS結合のバックグラウンド刺激のみを誘導したという証拠が示される。しかしながら、細胞質ループ3ペプチドは、COOHテールの最初の20アミノ酸に対応するペプチドがもたらしたように、G
oに対する
35S−GTPγS結合のロバストな刺激をもたらした。しかしながら、残基21〜39に対応する第2のCOOH末端ペプチドは、検出可能なG
o活性化を有しなかった。
【0255】
図23BはGα
qの自律的活性化を示す。細胞質ループ1ペプチドおよび細胞質ループ2ペプチドは
35S−GTPγS結合のバックグラウンド刺激のみを誘導した。細胞質ループ3ペプチドは、Gα
qの場合のように、COOHテールの最後の19アミノ酸に対応するペプチドがもたらしたように、G
qに対する
35S−GTPγS結合のロバストな刺激をもたらした。G
oを活性化することが以前に示される、残基1〜20に対応するCOOH末端ペプチドは、G
qの検出可能な活性化をもたらさなかった。
【0256】
図23CはGα
sの自律的活性化を示す。(ループ1の最初の16アミノ酸ではなく)残基17〜32を含む細胞質ループ1ペプチド、ならびに、COOHテールの最後の19アミノ酸に対応するペプチドは、
35S−GTPγS結合の刺激を誘導した。細胞質ループ2ペプチドおよび細胞質ループ3ペプチド、ならびに、Gα
oについてのCOOH末端ペプチド1〜20は、
35S−GTPγS結合のバックグラウンド刺激のみを誘導した。
【0257】
これらの結果は、種々のGタンパク質が、PS−1表面の異なる細胞質ドメインに、または、PS−1表面のドメインの組合せに結合することを示している。
【0258】
一次抗体:Gα
oに対するポリクロナールAbのK−2、Gαq、Gαs、Gαi1/2およびGαzに対するポリクロナールAbのsc−387を、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。Gα
o Abは、G
oAおよびG
oBの両方を認識する。Aβの残基1〜17に対するMAb 6E10(Senetek)は、全長型β−APPならびにAβの両方を認識する。
【0259】
細胞培養:マウスES(PS−1
−/−/PS−2
−/−)を以前に記載されるように培養した。
【0260】
全細胞抽出物の調製:抽出物を、可溶化緩衝液1(50mM HEPES/NaOH(pH7.4)、1mM EDTA、1mM DTT、1%Triton−X100、60mMオクチルグリコシド、1×プロテアーゼ阻害剤ミックス)における超音波処理によって調製し、タンパク質はLowryアッセイを使用した。
【0261】
35S−GTPγSアッセイ:抽出物(100μgの総タンパク質)を等体積のGTPγS緩衝液B(50mM HEPES/NaOH(pH7.4)、40μM GDP、50mM MgCl
2、100mM NaCl)と混合し、50nMの
35S−GTPγS(1250Ci/mmol、Perkin Elmer、Waltham、MA)とRTで60分間反応した。反応を10×停止緩衝液(100mM Tris−HCl(pH8)、25mM MgCl
2、100mM NaCl、20mM GTP)により停止させ、その後、特定のGαに対するAbを用いた
35S−GTPγS−Gα
o複合体の免疫沈殿を行った。Ab−タンパク質複合体をRTで90分間プロテインA/Gアガロースに吸収させ、洗浄した。アガロースビーズをシンチレーション液(CytoScint,ICN)(5ml)に懸濁し、Beckman Coulter LS6000SCシンチレーションカウンターで3分間計数した。
【0262】
β−APPオンリー細胞と、PS−1オンリー細胞との共培養を、上記で記載されるように行った。
【0263】
Aβ1−40の産生についてのELISAを、サンドイッチELISAキット(Biosource)を使用して行った。
【0264】
ラット海馬膜(Applied Cell Science、Rockville、MD)をCHAPs緩衝液において可溶化した。
【0265】
ペプチド(200μM)を、
35S反応混合物において可溶化ラット海馬膜(50μg)と、前処理を行うことなくインキュベーションした。
35S−GTPγS由来のγ−S−GTPの蓄積を、特異的な抗G Abとの免疫沈殿の後で求めた。
【表3】
【0266】
上記で多くの実施形態と特徴を説明したが、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の開示の教示又は範囲を逸脱することなく、記載の実施形態や特徴の修飾や変更が可能であることは当業者には理解されるであろう。本明細書に添付された付属書類は本発明をさらに例示するためであって、限定するためではない。