特許第5965320号(P5965320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965320
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】航空機ブリードシステムの熱電発電機
(51)【国際特許分類】
   B64D 41/00 20060101AFI20160721BHJP
   B64D 13/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B64D41/00
   B64D13/00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-542013(P2012-542013)
(86)(22)【出願日】2010年10月21日
(65)【公表番号】特表2013-512821(P2013-512821A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】US2010053622
(87)【国際公開番号】WO2011071602
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年9月13日
【審判番号】不服2015-13999(P2015-13999/J1)
【審判請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】12/632,250
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, リーチュン
(72)【発明者】
【氏名】シェンイー, リュウ
(72)【発明者】
【氏名】シアン, チン−シー
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 一ノ瀬 覚
【審判官】 和田 雄二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0173017(US,A1)
【文献】 特表2009−528207(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0159110(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/030097(WO,A1)
【文献】 特表2006−518683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/00
B64D 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラム空気を使用してブリード空気を冷却するブリード空気システムと、
前記ブリード空気システムに連結され、ラム空気とブリード空気との間の温度差を利用して発電する熱電発電機と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記熱電発電機がラム空気とブリード空気を受け入れる空気間熱交換器に連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記空気間熱交換器が、前記ラム空気を使用して前記ブリード空気を冷却する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ブリード空気システムは、前記ブリード空気内のオゾンレベルを低減するオゾンコンバータを備え、前記空気間熱交換器は前記オゾンコンバータから前記ブリード空気を受け入れる、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブリード空気システムが、前記ラム空気と前記ブリード空気を監視し管理するシステム制御を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱電発電機に連結された窒素発生システムをさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
ブリード空気を冷却する方法であって、
ラム空気を受入れるステップと、
ブリード空気を受け入れるステップと、
航空機ブリードシステムにおいて、ラム空気を使用してブリード空気を冷却するステップと、
前記ラム空気及び前記ブリード空気を前記航空機ブリードシステムに連結された熱電発電機に通してラム空気とブリード空気との間の温度差を利用して発電するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して電力系統に関し、さらに具体的には発電すると同時にラム空気の吸気量を減らす、熱電発電機の航空機ブリードシステムへの統合化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブリード空気は航空機の多数のシステムによって使用され得る。例えば、窒素発生システムにおいて、ブリード空気を使用して窒素を発生させて燃料タンクを不活性化し、酸素、燃料蒸気、及び点火源の可燃性結合から発生する潜在的な危険状態を除去することができる。作動中、窒素発生システムはブリード空気を抽出し、その空気の温度を外のラム空気の使用を通して空気交換器内で冷却することができる。ブリード空気の温度の冷却工程では、排気とともに廃熱が放出されうる。調節された空気は次に例えば空気分離ステージ等の加圧チャンバに供給することができ、ここで加圧チャンバから放出された空気、又は加圧チャンバの外に出た空気が窒素富化空気及び酸素富化空気に分離されうる。窒素富化空気はその後燃料タンクに供給することができる。
【0003】
ラム空気は空気間熱交換器内部で冷却液として用いることができる。航空機はラム空気吸気システムを用いて、航空機の動きに応じて空気を取り込むことができる。空気は空気間熱交換器につながる導管を通じて流すことができる。ラム空気吸気システムの設計が適切であれば、航空機が作動中に空気媒体の中を移動している間、十分な気流が空気間熱交換器に供給されうる。空気抵抗は、空気抵抗によって発生する抵抗量を克服するのに使用されるエネルギー量に直接の影響を与えうる。この結果、ブリード空気を冷却するためにさらに多くのラム空気が取り込まれる時に、航空機にかかる抵抗はより大きくなる。
【0004】
したがって、上述した課題を克服するシステム及び方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
発電装置であって、ブリード空気システムと、ラム空気とブリード空気との間の温度差を利用して発電する、ブリード空気システムに連結された熱電装置を含む。
【0006】
航空機ブリードシステム上で発電する方法であって、ラム空気を受け入れ、ブリード空気を受け入れ、航空機ブリードシステムに連結された熱電発電機にラム空気及びブリード空気を通して発電させることを含む方法。
【0007】
ブリード空気を受け入れる空気間熱交換器を有する熱電装置を含むシステムであって、前記熱電装置が前記ブリード空気を冷却している間に、前記ブリード空気とラム空気との間の温度差から電気エネルギーを発生させるシステム。
【0008】
特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において個別に達成することができる、又は更に別の実施形態と組み合わせることができる。
【0009】
本願を特徴づけていると思われる新規特性は添付の請求項に記載されている。下記の説明において、類似のパーツはそれぞれ、明細書及び図面全体において同じ番号が振られている。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、特定の図面を明確に、また簡潔にするために、拡大した形態又は一般化した形態で図示している場合がある。本願自体だけでなく、使用の好ましいモード、更なる目的及びその利点はしかしながら、添付の図面と併せて読むときに、図示した実施形態の下記の詳細説明を参照することによって最適に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は標準的な航空機ブリードシステムの図である。
図2図2は一実施形態による空気間熱交換器を有する熱電発電機を有する実例となる窒素発生システムの構成部品を示すブロック図である。
図3図3は一実施形態による、ブリード空気とラム空気を受け入れて電気エネルギーを発生する空気間熱交換器を有する熱電発電機の図式的な記述である。
図4図4は一実施形態による熱電発電機を示す図である。
図5図5は一実施形態による既存の窒素発生システムに、空気間熱交換器を有する熱電発電機を統合したものを示す図である。
図6図6は一実施形態による熱電発電機と空気間熱交換器を分割するシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
図6A図6Aは一実施形態による窒素発生システム内部の例示の流れの統合を示す図である。
図7図7は一実施形態による熱電発電機と空気間熱交換器を分割するシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
図7A図7Aは一実施形態による窒素発生システム内部の例示の流れの統合を示す図である。
図8A図8Aは一実施形態による熱電発電機の前面図である。
図8B図8Bは一実施形態による熱電発電機の断面側面図である。
図9A図9Aは一実施形態による熱電発電機の断面側面図である。
図9B図9Bは一実施形態による熱電発電機の標準動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面と関連して下に記載した説明は、本願の現在好適な実施形態の説明であって、本願を構成する及び/又は用いることができる唯一の形態として示すものではない。この説明には、実例となる実施形態と関連して本願を構成し、作動させるための機能及びステップシーケンスが記載される。当然ながら、これもまた本願の精神及び範囲内に含まれるべきである異なる実施形態によって同じ又は同等の機能及びシーケンスを実施することが可能である。
【0012】
図1は、熱電発電のために多数の位置を識別することができる標準的な航空機ブリード空気システム100を示す。定めるところにより、航空機ブリードシステム100は標準的に、エンジン又はモータ駆動コンプレッサー108、熱交換器110、排気装置112、ブリード空気ダクト114、翼/カウル氷結防止システム116、環境制御システム118、窒素発生システム120、及びブリード空気104を使用しうるその他のシステム122を含むことができる。熱電発電機106を航空機ブリードシステム100内部の様々な箇所及び位置に統合して、例えば非限定的に、熱交換器110、環境制御システム118、及び窒素発生システム120等の電気エネルギーを生成することができる。 熱電発電機106を航空機ブリードシステム100の内部又は外部のその他の箇所に連結させることができ、ここで温度差を維持することができ、これにより電気エネルギーを生成することができる。当業者は、航空機ブリードシステム100がより多い又は少ない構成部品を含むことができ、図1は説明のために提供されていることを理解するだろう。
【0013】
ブリード空気104は、熱電発電機106を介して有用な電気エネルギーに変換させることができる熱エネルギーを含むことができる。図示したように、ブリード空気104はエンジン又はモータ駆動コンプレッサー108から来る場合がある。通常、エンジンはコンプレッサーステージ後、及び燃料がバーナーに注入される前に、ガスタービン内部においてブリード空気104を発生させることができる。ブリード空気104はしばしば高圧及び高温である。
【0014】
熱交換器110はエンジン又はモータ駆動コンプレッサー108からブリード空気104を受け入れることができる。熱交換器110は次に通常ラム空気102を使用してブリード空気104を冷却することができる。図示するように、熱電発電機106を熱交換器110内部に組み込んで、熱交換器110に供給される高温のブリード空気104と低温のラム空気102の利点を生かして、電気エネルギーを生成することができる。
【0015】
通常はしかしながら、ブリード空気ダクト114を使用して航空機ブリードシステム100内部のシステムにブリード空気104を供給することができる。ある実施形態では、ブリード空気104を翼/カウル氷結防止システム116に供給することができる。通常、翼/カウル氷結防止システム116は、最終的に翼又はその他の表面全体の気流を乱す可能性のある飛行表面上に大気氷が堆積しないように設計することができる。
【0016】
ブリード空気104を環境制御システム118へ巡回させることもでき、環境制御システム118はブリード空気104を取り込み、乗客のために新鮮な調整空気の形で客室へ送る。ある実施形態において、熱交換器110からのブリード空気104はさらに、環境制御システム118の空調装置を通して冷却される。
【0017】
上述したように、熱電発電機106を環境制御システム118に配置して、電気エネルギーを生成することができる。ブリード空気ダクト114を通って流れるブリード空気104及びラム空気102を使用し、ブリード空気104とラム空気102との間の温度勾配を利用して電気エネルギーを生成することができる。
【0018】
ブリード空気104をその他のシステム122に供給することもでき、そのうちのいくつかのシステムは熱電発電機106を使用して電気エネルギーを生成することができる。ある実施例において、ブリード空気104を空気圧式アクチュエータにおいて使用することができる。当業者はブリード空気104を使用可能な様々な応用形態が存在し、上述した応用形態は本願の範囲を限定するものではないことを理解するだろう。
【0019】
図示したように、ある実施形態において、ブリード空気104を窒素発生システム120に供給することができる。図2は、一実施形態による空気間熱交換器200付き熱電発電機を有する実例となる窒素発生システム120の標準的な構成部品を表す例示のブロック図である。現在の実施形態では空気間熱交換器に連結された熱電発電機が図示されているが、多数の構成を使用することができる。 例えば、熱電発電機は窒素発生システム120の外にあり、空気間熱交換器から離れていてよい。ある代替例において、熱電発電機106を空気間熱交換器の近くに置かなくてもよいように導管を位置づけすることができる。空気間熱交換器200付き熱電発電機106に関する詳細を下にさらに詳しく説明する。
【0020】
窒素発生システム120は、ラム空気102とブリード空気104を受け入れて、ラム空気の排気206を放出し、窒素富化空気を燃料タンク208に供給することができる。ラム空気102は概して冷えた又は低温の空気を指し、図2に示す長い線によって表される。ラム空気102はある実施形態において、標準的な暑い日に航空機巡航高度において0℃又は0℃未満で取り込むことができる。後に記載するように、冷えたラム空気102は温度差を起こして、熱電発電機106によって有用な電力を生成するために使用することができる。
【0021】
ラム空気102は航空機の吸気口を通して受け入れることができる。ある実施形態において、ラム空気はラムスクープから導入することが可能である。 当然ながら、ラム空気102は様々な供給源から取り込むことができ、上述したラム空気吸気口に限定されない。冷えた空気をラム空気102と置換する、又は同じくラム空気102と呼ぶことができる。
【0022】
図示するように、ラム空気102を使用してブリード空気104を冷却し、窒素発生システム120によって空気をろ過して、窒素及び酸素に分けることができる。ブリード空気104はしばしば廃熱の一部を含む。ブリード空気104又は窒素システムに含まれる廃熱を使用した熱電発電により一般にブリード空気104の抽出が増加することはない。
【0023】
図2内の点線で表されたブリード空気104はおおむね、エンジンコンプレッサー又は独立型モータ駆動コンプレッサー108から受け入れた空気である。ラム空気102とブリード空気104を使用して温度差を発生させ、この温度差により熱電発電機106の発電が可能になり得る。
【0024】
多くの実施形態では、窒素発生システム120は航空機の燃料タンク208に接続されている。窒素富化空気には燃料タンクを不活性化する作用があるため、燃料タンク108を好ましくない危険から安定させることができる。
【0025】
窒素発生システム120内部には、オゾンコンバータ212、空気間熱交換器200付き熱電発電機、及びフィルター/空気分離ステージ214が存在しうる。図2に示すように、オゾンコンバータ212は空気間熱交換器200付き熱電発電機よりも前に、流入ブリード空気104を受け入れることができる。
【0026】
オゾンコンバータ212からのブリード空気104は空気間熱交換器200付き熱電発電機に供給することができる。熱電発電機106はラム空気102とブリード空気104との温度差を利用して電気エネルギーを生成することができる。加えて、空気間熱交換器はラム空気102を使用してブリード空気104の温度を冷却する又は低下させる。空気を冷却することによって、この空気を航空機内部のその他のシステムで使用することが可能になる。ある実施形態では、冷却したブリード空気104の温度は85℃である。ブリード空気104を冷却するために使われるラム空気102の一部はラム空気排気口206を通して吐き出されうる。
【0027】
冷却されたブリード空気104は次にフィルター/空気分離ステージ214に送ることができる。フィルター/空気分離ステージ214は冷却されたブリード空気104から窒素及び酸素富化部分を分離させることができる。窒素及び酸素を互いに分離させる当業者に既知の方法は多数ある。窒素富化空気は次に燃料タンク208に送ることができる。
【0028】
幾つかの構成部品を図2に示したが、当業者には、より少ない又は多いパーツを窒素発生システム120内に配置することができることが明らかである。上述した窒素発生システム120は実例の説明のためのものであって、本願の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0029】
基本的に、窒素発生システム120に統合された熱電発電機106は廃熱を電力に変換することができる。ある実施形態において、熱電発電機はブリード空気によって運ばれる廃熱の約10%の電力を供給することができる。これは熱電装置の効率性によって制限されうる。熱電装置はまた、ブリード空気104を冷却するために使用するラム空気102を減らすことができる。使われるラム空気102の量が少ないと、航空機の空気抵抗もまた低下しうる。
【0030】
前述の窒素発生システム120では、ブリード空気104が冷却された時に、ブリード空気104によって運ばれる熱含有量はラム空気102の冷却工程を通して処理されている。図3に示すように、熱電発電機106を窒素発生システム120、又は上述したその他のシステムに連結させることによって、熱電発電機106はブリード空気104を利用し、そうでなければ無駄になる熱の利点を生かして発電304することができる。ラム空気102を熱電発電機106の一方の側に、ブリード空気104を他方の側に通すことにより、熱電発電機106によって発電304が行われる。
【0031】
熱電発電機106は固体の発電装置であってよい。標準的には、発電機106は小型で静かで非常に頑丈なものである。可動パーツがないこと、またその簡易性により、発電機106は維持するのにあまり手間がかからない。さらに、発電機106は航空機電力システムに対して重量、容量、及びコストの節約を提供することができる。
【0032】
一般に、ラム空気102又はブリード空気104のいずれかの気流の方向は熱電発電機106の作動原理に影響を与えない。これは熱電発電機106が単にラム空気102及びブリード空気104との間の温度差を利用して発電304するためである。いくつかの実施形態においてはしかしながら、気流の方向は全体的なエネルギー変換効率に影響を与えうる。図3において指定され、図2と一致するように、ラム空気102は長い線によって表され、ブリード空気104は点線を使用して示されている。
【0033】
図示目的で、そして本明細書に記載の本願を限定することなく、図4に、熱電発電機106の一実施形態を示す。発電機106はある物質の対向面の間の温度差の利点を生かす。物質の一方の面406を比較的高温に暴露することができ、その一方で反対の面408を比較的低温に暴露することができる。電圧量304は通常、ブリード空気104とラム空気102との温度差に依存する。多くの熱電発電機106は温度差を調整することができないが、窒素発生システム120内の熱電発電機106によって供給される電圧304は、ラム空気102とブリード空気104がしばしば一貫した温度で受け入れられるため、一貫した電圧を供給することが可能である。一般に電圧304は温度差が閾値を超えるときに発生する。
【0034】
図4に示すように、熱電発電機106はn型要素402とp型要素404を含むことができる。電荷は、ブリード空気104が適用された時に、n型要素402を通ってp型要素404に流れることができる。一般に、n型要素402の電子は電流とは反対の方向に移動することができ、p型要素404の正孔は電流の方向に移動することができ、いずれにおいても熱電発電機106の一方の側面406から他方の側面408へ熱が除去される。熱源によりn型要素402の電子がより低温の領域に向かって追いやられるため、熱電発電機106を通る電流が発生する。p型要素404の正孔は次に電流の方向に流れることができる。電流はその後負荷に電力を供給するために使用することができ、これにより熱エネルギーが電気エネルギー304に変換される。熱電発電機106の両方の端部406及び408が一定の温度差に保たれる時に、所定の負荷条件において一定の電力の流れがある。ブリード空気から熱を除去して電気エネルギー204を生成することで、ブリード空気104を冷却するのに使用するラム空気102の量を減らすことができる。
【0035】
上述した熱電発電機106は一つの実例となる実施形態であり、範囲を限定するものとみなすべきではない。当業者には、温度差を利用して発電304できる多数の異なる種類の熱電発電機106が明らかである。さらに、ブリード空気104とラム空気102を入れ替えて対向端部に流して電気エネルギー204を生成することができる。例えば、空気102を端部406全体に流すことができ、その一方でブリード空気104を端部408全体に流すことができる。
【0036】
ここで図5を参照すると、空気間熱交換器200付き熱電発電機が一実施形態による窒素発生システム120に統合される。点線526で示すように、空気間熱交換器200付き熱電発電機を、既存の窒素発生システム120、又は上述したすべてのシステムに配置することができる。システム制御502は通常、空気間熱交換器200付き熱電発電機を組み込むためにわずかに変更する必要があるか、まったく変更する必要がない。
【0037】
システム制御502により、いくつかの制御ラインを介してコントローラを維持し管理することができる。ある実施形態では、コントローラの電源の入切をすることができる。あるいは、コントローラを特定のレベルまで電源をオンにする又はオフにすることができる。例えば、コントローラは90%の気流の通過を許可することができる。システム制御502はある実施形態によれば、ライン504を介してラム空気コントローラ506に連結させることができる。ブリード空気制御バルブ510はライン508を介してシステム制御502に接続することができ、ライン512を介してバイパス流量バルブ514をシステム制御502に接続することができる。
【0038】
作動中に、所定量のラム空気102とブリード空気104を窒素発生システム120に供給することができる。制御ライン504を使用することにより、システム制御502はコントローラ506を介してシステム120に供給されるラム空気102の量を増やす、又は減らすことができる。図示したように、ラム空気102は空気間熱交換器200付き熱電発電機に直接供給することができる、あるいは空気間熱交換器200付き熱電発電機へ供給される前にろ過することができる。ラム空気102はその後ラム空気排気口206を通して放出することができる。上述したように、ラム空気の吸気量が大きいほど、航空機内部に通常発生する抵抗がより高くなる。
【0039】
加えて、システム制御502は制御ライン508を使用して、制御バルブ510を介してシステム120に供給されるブリード空気104の量を増やす又は減らすことができる。通常、ブリード空気104はエンジン又はモータ駆動コンプレッサー108から入りうる。ブリード空気104は次に、図5に示すようにオゾンコンバータ512へ供給されうる。
【0040】
ブリード空気104がまだ高温であるうちに、オゾンコンバータ212によりブリード空気104内のオゾンレベルを低減させることができる。ブリード空気104は、空気間熱交換器200付き熱電発電機を通過させることができる、又は空気間熱交換器200付き熱電発電機を完全に迂回させることができ、これはバイパス流量バルブ514と制御ライン512によって決まる。空気間熱交換器200付き熱電発電機を迂回することができるか否かを決定するために、システム制御502は温度監視ライン516を含むことができる。通常、ブリード空気104が分離するのに十分冷却されていると、空気間熱交換器200付き熱電発電機は、バイパス流量バルブ514と制御ライン512を使用して迂回することができる。あるいは、ブリード空気104が十分冷却されていない場合、バイパス流量バルブ514によってブリード空気104の流れが阻止され、この結果、ブリード空気104は空気間熱交換器200付き熱電発電機を通って流れることができる。要するに、バイパス流量バルブ514は、フィルター/空気分離ステージ214へ供給されるブリード空気104の温度を監視及び制御することができる。
【0041】
バイパス流量バルブ514を制御ライン512とともに使用してブリード空気104の温度を監視することができるが、当業者はフィルター/空気分離ステージ214に正確な温度を有するブリード空気104を確実に供給する多数の方法があることを理解するだろう。ある実施形態においては、システム制御502により、制御ライン508を使用してブリード空気制御バルブ510を通ってくるブリード空気104の量を減らす又は増やすことができる。あるいは、ライン504を介してラム空気コントローラ506によってラム空気102の量を調整することができる。
【0042】
ブリード空気104が冷却された後に、ブリード空気104をフィルター/空気分離ステージ214へ供給することができ、ここでブリード空気104を酸素富化空気522と窒素富化空気524に分離することができる。酸素富化空気522を排気106として供給することができると同時に、窒素富化空気524を燃料タンク208に送ることができ、前述したように酸素、燃料蒸気、及び点火源の可燃性結合を除去することができる。
【0043】
通常の実施形態においては、システム制御502は表示装置518を介してシステムのステータスを図示することができる。システム制御502はまた、外部制御520を通して管理及び操作することも可能である。システム制御502は全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態、又はハードウェア及びソフトウェア要素を両方含む実施形態の形態であってよい。ある実施形態は、システム制御502は例えばファームウェア、常駐ソフトウェア、及びマイクロコード等の形態を非限定的に含むソフトウェアにおいて実行される。ハードウェアは処理装置、システムメモリ、及び様々なシステム・コンポーネントを作動可能に連結させるシステムバスを含むことができる。
【0044】
以前に、空気間熱交換器200付き熱電発電機は単一ユニットとして説明した。図6は別の実施形態による、熱電発電機106と空気間熱交換器604を分割するシステムアーキテクチャを示すブロック図を提供する。窒素発生システム120はラム空気102とブリード空気104を受け入れて、ラム空気の排気206を放出し、窒素富化空気を燃料タンク208に供給することができる。
【0045】
図示するように、空気間熱交換器200付き熱電発電機が拡大されている。拡大区域の下部に図示されるラム空気102は最初に熱電発電機106を通り、その後逆流空気間熱交換器604を通って流れることができる。拡大区域の最上部に描かれるブリード空気104は最初に熱電発電機106へ供給されうる。その後、ブリード空気104は空気間熱交換器604に供給されうる。
【0046】
通常、ラム空気102とブリード空気104の相対的な気流方向の結果、流れ方向において異なる温度差を生じるため、発電304も異なる可能性がある。ラム空気102を使用して、ブリード空気104をフィルター/空気分離ステージ114に好適な温度にまで冷却することができ、これにより窒素発生システム110が空気を窒素と酸素富化部分に分離する。
【0047】
図6Aは、一実施形態による窒素発生システム120へのラム空気102とブリード空気104の例示の流れの統合を示す図である。図示したように、コントローラと制御ラインは上述したものと同様のものである。 実例において、ブリード空気102は最初に熱電発電機106に供給され、その後で空気間熱交換器604を通ることができる。ラム空気104は最初に熱電発電機106を通り、その後逆流空気間熱交換器604を通って流れることができる。ブリード空気104とラム空気102の温度差の結果、熱電発電機106によって発電を行うことができる。熱電発電機106によってブリード空気104内の熱がいくらか下がるため、ブリード空気104を冷却するためのラム空気102の量を減らすことができる。
【0048】
図6及び6Aは、ラム空気102とブリード空気104を最初に熱電発電機106に供給し、その後空気間熱交換器604に供給する実例となる流れを示す。当業者には、窒素発生システム120内にラム空気102及びブリード空気104を流す多数の異なる方法が存在する可能性があることが明らかである。
【0049】
図7は、一実施形態によるブリード空気104及びラム空気102を流す代替方法のシステムアーキテクチャを示すブロック図を提供する。一般に、窒素発生システム120はラム空気102及びブリード空気104を受け入れて、ラム空気の排気206を放出し、窒素富化空気を燃料タンク208へ供給することができる。空気間熱交換器200付き熱電発電機を拡大して図示する。拡大区域の下部に図示されるラム空気102は最初に熱電発電機106の後部を通り、その後空気間熱交換器604の後部を通って流れることができる。
【0050】
加えて、拡大部分の最上部に描かれているブリード空気104を最初に熱電発電機106へ供給することができる。その後で、ブリード空気104を空気間熱交換器604へ供給することができる。熱電発電機106は電気エネルギー304を生成することができ、空気間熱交換器604はフィルター/空気分離ステージ214のためにブリード空気104を冷却することができ、これにより窒素発生システム120は空気を窒素及び酸素富化部分に分離する。
【0051】
図7Aは一実施形態による窒素発生システム120への代替例の流れの統合を示す図である。図面において、ブリード空気104を最初に熱電発電機106へ供給し、その後空気間熱交換器604へと供給することができる。ラム空気104は最初に熱電発電機106の後部を通り、その後空気間熱交換器604の後部を通って流れることができる。ブリード空気104とラム空気102の温度差の結果として、熱電発電機106が発電304する。熱電発電機106によりブリード空気104内の熱がいくらか下がるため、ブリード空気104を冷却するラム空気102の量を減らすことができる。
【0052】
ラム空気102とブリード空気104の流れの2つの実施例を図示したが、当業者には気流の流れの多数の構成が明らかである。さらに、前述したように、空気間熱変換器604と熱電発電機106を分離しなくてもよく、その代わりに同じ構造内に組み込むことができる。
【0053】
図8A及び8Bは熱電発電機106の一実施形態である。図8Aに示すように、熱電発電機106は内側チューブ804と外側チューブ806と、これらのチューブの間の熱電素子802を含むことができる。熱電発電機106は、一方の端部を通してラム空気102を、他方を通してブリード空気104を受け入れることができる。熱電発電機106は、温度差を利用して発電304することができる。
【0054】
図8Bは一実施形態による熱電発電機106の断面側面図である。図示したように、ラム空気102は外側チューブ806を通して送ることができ、ブリード空気104は内側チューブ804を通して送ることができる。外側チューブ806と内側チューブ804の間に発電304する熱電素子802があってよい。ラム空気102は外側チューブ806を通して、またブリード空気104は内側チューブ804内部で供給することができるが、これらは置換えが可能である。さらに、気流は上述の流れに応じて切替することができる。
【0055】
図9Aは別の熱電発電機106の断面側面図である。図示したように、熱電発電機106は一端部902と第2端部904を有していてよい。各端部は熱電素子802によって分離されていてよい。図9Bに示すように、ブリード空気104は端部902の上を通ることができ、ラム空気は端部904の上を通ることができ、これにより熱電素子802が発電304することができる。各熱電発電機106は、非限定的に図1に示すシステムを含む上述の全てのシステム内に配設することができる。
【0056】
本開示の実施形態を様々な特定の実施形態の観点から説明してきたが、当業者には本開示の実施形態を、請求項の精神及び範囲内の変更を行って実施することが可能であることが明らかである。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
発電装置であって、ブリード空気システム(100)と、前記ブリード空気システム(100)に連結され、ラム空気とブリード空気との間の温度差を利用して前記発電する熱電発電機(106)を備える発電装置。
(態様2)
前記ブリード空気システム(100)は、前記ブリード空気内のオゾンレベルを低減するオゾンコンバータ(212)と、前記オゾンコンバータ(212)から前記ラム空気と前記ブリード空気を受け入れる空気間熱交換器(200)を備える、態様1に記載の装置。
(態様3)
前記熱電発電機(106)が空気間熱交換器(200)に連結されている、態様1又は2に記載の装置。
(態様4)
前記ブリード空気システム(100)が、前記ラム空気と前記ブリード空気を監視し管理するシステム制御を含む、態様1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
(態様5)
空気間熱交換器(200)が、前記ラム空気を使用して前記ブリード空気を冷却する、態様1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
(態様6)
前記熱電発電機(106)に連結された窒素発生システム(120)をさらに備える、態様1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
(態様7)
航空機ブリードシステム上で発電する方法であって、ラム空気を受入れ、ブリード空気を受け入れ、前記ラム空気及び前記ブリード空気を前記航空機ブリードシステムに連結された熱電発電機(106)に通して発電するステップを含む方法。
(態様8)
前記熱電発電機(106)によって前記ブリード空気を冷却して、前記航空機ブリードシステムによって使用されるラム空気の量を減らすステップをさらに含む、態様7に記載の方法。
(態様9)
前記熱電発電機(106)によって前記ブリード空気を冷却して、前記航空機ブリードシステムによって使用されるラム空気の量を減らすステップをさらに含む、態様7又は8に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8A
図8B
図9A
図9B