(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにガラス板等を輸送するパレットは、背受けが傾斜しているので、ガラス板等を立て掛けて載置することができるため、より安定した状態で支持することが可能である。また、背受けが傾斜していることにより、既に載置されているガラス板等を作業者が支えている必要がないので、載置されたガラス板等の上に立て掛けて新たにガラス板等を追加して載置することが可能であるなど、積み込み及び積み降ろしの作業時における作業性にも優れている。しかしながら、ガラス板等が傾斜している分だけ、載置しているガラス板等の厚みより広い領域が必要となる。特に、框や枠を備えた掃き出し窓用の建具を載置する場合には、立て掛けられた背受けより上方に大きく突出するので更に大きな領域が必要となる。このため、例えば、トラックの荷台に積載して輸送する場合に、建具がトラックから突出しないように載置すると、効率よく輸送(運搬)することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、積み込み及び積み降ろしの作業における優れた作業性を備えるとともに、より効率良く建具を載置して運搬することが可能な運搬用パレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の運搬用パレットは、建具を載置して搬送可能な運搬用パレットであって、前記建具が載置される載置部と、載置される前記建具の見付け方向に沿って前記載置部に回動自在に設けられた見付けフレームと、載置される前記建具の見込み方向に沿い前記見付け方向において互いに間隔を隔てて前記載置部に設けられた一対の見込みフレームと、を有し、前記見付けフレームは、その上部側が前記載置部上の領域より外側に位置して傾斜する傾斜姿勢と、当該見付けフレームが起立された起立姿勢とにて姿勢が保持され
、前記載置部は、前記見付けフレームに支持される前記建具が載置され、当該見付けフレームとともに移動可能な移動床部を有し、前記見付けフレームは、前記移動床部と直交する状態を維持したままで前記傾斜姿勢と前記起立姿勢との間を移動し、前記見付けフレームと前記移動床部とは、前記載置部の互いに異なる位置にて回動自在に支持されるとともにリンク機構により連結されており、前記リンク機構は、前記見付けフレームと前記移動床部のなす角度が直角より大きくなることを規制し、前記見付けフレームと前記移動床部とのなす角度が直角より小さくなる方向への前記見付けフレームと前記移動床部との移動を許容すべく、一方の端部が前記見付けフレームまたは前記移動床部に沿って移動可能に係合されていることを特徴とする運搬用パレットである。
このような運搬用パレットによれば、建具の見付け方向に沿い、載置部に回動自在に支持された見付けフレームが、その上部側が載置部上の領域より外側に位置して傾斜する傾斜姿勢にて保持されるので、見付けフレームに立て掛けて建具を容易に載置することが可能である。また、見付けフレームは、起立された起立姿勢にて保持されるので、建具を載置して運搬する際には、起立姿勢とすることにより載置した建具を載置部上の領域に納まらせることが可能である。このため、積み込み及び積み降ろしの作業における優れた作業性を備えるとともに、より効率良く建具を載置して運搬することが可能である。
【0007】
また、見付けフレームが傾斜姿勢と起立姿勢との間を移動する際には、見付けフレームと直交して移動可能な移動床部に建具が載置されているので、複数の建具が載置されていたとしても、見付けフレームの傾斜姿勢と起立姿勢との間の移動の際に、互いに隣り合う建具同士の相対位置は変化しない。このため、互いに隣り合う建具は見付けフレームの傾斜の変化に伴って擦れ合わないので、建具を傷つけることなく、見付けフレームを傾斜姿勢と起立姿勢との間を移動させることが可能である。
【0008】
また、見付けフレームと移動床部とのなす角度が直角より大きくなることが規制されるので、見付けフレームを回動して、上部側が載置部上より外側に移動したとしても、見付けフレームと移動床部とはなす角が直角をなすように保たれる。また、見付けフレームと移動床部とのなす角度が直角より小さくなる方向への見付けフレームと移動床部との移動が許容されるので、見付けフレームと移動床部とが近接するように折り畳むことが可能である。このため、簡単なリンク機構により、見付けフレームと移動床部とを直角に維持する、あるいは、見付けフレームと移動床部とを折り畳むことが可能である。
【0009】
かかる運搬用パレットであって、前記載置部は、前記見込み方向において前記移動床部と区画された、移動しない固定床部を有し、前記移動床部上の領域と前記固定床部上の領域とを仕切り前記一対の見込みフレーム間に着脱自在に掛け渡される仕切部材を有していることが望ましい。
このような運搬用パレットによれば、移動床部上の領域と固定床部上の領域とに、互いに異なる建具を載置することが可能である。たとえば、移動床部上には、重ね合わせて載置可能な建具を載置し、固定床部上には比較的自立可能な建具を載置することが可能である。
【0010】
かかる運搬用パレットであって、前記固定床部は、互いに高さの異なる高床部と低床部とを有しており、前記低床部には、前記仕切部材を収容する収容部をなすことが望ましい。
このような運搬用パレットによれば、運搬用パレットを使用しないときには、仕切部材を低床部に収容しておくことが可能であり、仕切部材の管理が容易である。
【0011】
かかる運搬用パレットであって、前記見付けフレーム及び各々の前記見込みフレームは、各々回動自在に前記載置部に支持されるとともに起立姿勢を維持すべく支持するロック機構を有し、前記ロック機構を解除して前記見付けフレーム及び前記見込みフレームを回動することにより、前記見付けフレーム及び各々の前記見込みフレームが前記高床部上に互いに重なり合って折り畳まれることが望ましい。
このような運搬用パレットによれば、各々回動自在に支持された見付けフレーム及び見込みフレームがロック機構により各々の起立姿勢が維持され、ロック機構が解除されて各々折り畳まれるので、建具を搬送しないときにはコンパクトに折り畳んで保管することが可能である。
【0012】
かかる運搬用パレットであって、前記見付けフレームは、折り畳まれたときに前記高床部に載置され、前記見込みフレームは、折り畳まれた前記見付けフレームの上面より下方に回動支点を有し、前記起立状態において前記回動支点から水平方向に延出された水平延出部を有しており、前記一対の見込みフレームは、互いの水平延出部の長さを異ならせることにより、折り畳まれた前記見付けフレーム上に重ねられることが望ましい。
このような運搬用パレットによれば、一対の見込みフレームが各々、互いの異なる長さの水平延出部を有しており、折り畳んだ際には、水平延出部が各々の見込みフレームの高さとなる。このため、各々の見込みフレームが折り畳まれた際の高さが相違するので、一対の見込みフレームを見付けフレーム上に重ね合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、積み込み及び積み降ろしの作業における優れた作業性を備えるとともに、より効率良く建具を載置して運搬することが可能な運搬用パレットを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る運搬用パレットについて図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の運搬用パレット1は、
図1、
図2に示すように、平面視長方形状をなし建具2が載置される床部50を有する載置部としての下フレーム10と、下フレーム10がなす長方形状の3辺となる3方向に下フレーム10上の領域を囲むように配置され3つの縦フレーム20、30、40と、3つの縦フレーム20、30、40を起立姿勢に維持させるための複数のロック機構55と、3つの縦フレーム20、30、40のうち対向する2つの縦フレーム30、40間に掛け渡されて下フレーム10上の領域を仕切り、下フレーム10上の領域を区画する複数の仕切部材53と、を有している。
【0017】
この運搬用パレット1には、ガラス、障子、扉などや枠と障子などがユニット化された建具2などが、下フレーム10がなす長方形状の長辺に沿う方向に各建具2の見付け方向が沿うように載置される。以下の説明では、運搬用パレット1の長辺に沿う方向を見付け方向、短辺に沿う方向を見込み方向として説明する。また、運搬用パレット1は、使用しないときには、縦フレーム20、30、40が下フレーム10上に重なり合うように折り畳まれており、使用する際に、縦フレーム20、30、40が起立姿勢に展開されて、3つの縦フレーム20、30、40が平面視コ字状をなすように構成されている。
【0018】
3つの縦フレーム20、30、40のうち、見付け方向に沿って配置される見付けフレームとしての縦フレーム(以下、見付け縦フレームという)20は、下フレーム10の縁をなし見付け方向に沿う後述する支持フレーム19上に、見付け方向に沿う軸を有するヒンジ291を介して回動自在に支持されている。見付け縦フレーム20は、折り畳まれて下フレーム10上に重なる位置から展開されてほぼ鉛直をなす起立姿勢、さらに、下フレーム10上の領域の外側に展開し、上部が下フレーム10上の領域の外側に位置して傾斜する傾斜姿勢となることが可能である。
【0019】
3つの縦フレーム20、30、40のうち、見込み方向に沿って配置される見込みフレームとしての縦フレーム30、40は、見込み方向に沿う軸を有するヒンジ292、293を介して下フレーム10に回動自在に支持されている。以下の説明では、3つの縦フレーム20、30、40が起立姿勢にて平面視コ字状をなし、見付け縦フレーム20が奥側に位置し、コ字状の開放された側が手前側に位置する状態にて見付け方向における左右を特定し、左側に位置する縦フレームを左縦フレーム30といい、右側に位置する縦フレームを右縦フレーム40という。尚、
図2、
図6については、運搬用パレット1を奥側(反対側)から見ているため、図中に示す左右方向が見た目を相違している。
【0020】
下フレーム10は、
図3に示すように、見込み方向における中央から振り分けた位置に配置され、見付け方向に沿って設けられた2本の大型角パイプ111、112が見付け方向における全域に渡って設けられている。見付け方向に沿わされた2本の大型角パイプ(見付け大型角パイプ)111、112は、運搬用パレット1をトラック等の荷台にフォークリフトなどにより持ち上げるための、フォークリフトのフォーク部が挿入されるフォーク挿入部となるため、その間隔は、フォーク部の間隔に合わせられている。
【0021】
2本の見付け大型角パイプ111、112間は、それらの左端同士は小型角パイプ121により、右端同士は小型角パイプ122と山形鋼131が連結された部材にて各々溶接にて接合されている。ここで、右端側を連結する部材は、小型角パイプ122が奥側に山形鋼131が手前側に配置されており、
図2に示すように山形鋼131は角部131aが上方に向けられ、開放された側が下方に向けられて小型角パイプ122と連結されている。
【0022】
2本の見付け大型角パイプ111、112のうち手前側に配置された見付け大型角パイプ111の手前側には、見込み方向に間隔を隔てて配置された小型角パイプ123が見付け方向における全域に設けられている。
手前側の見付け大型角パイプ111と小型角パイプ123のとの間には、左端同士は山形鋼132が、右端同士は小型角パイプ124が溶接されて接合されている。左端の山形鋼132及び右端の小型角パイプ124は、2本の見付け大型角パイプ111、112を接合する小型角パイプ121、または、小型角パイプ122と山形鋼131が連結された部材と、ほぼ直線状に配置されている。また、手前側の見付け大型角パイプ111と最も手前側の小型角パイプ123のとの間は、見付け方向に間隔を隔て設けられた複数の小型角パイプ125が架け渡されて溶接されている。
【0023】
手前側の見付け大型角パイプ111より奥側には、見付け方向における中央から振り分けた位置に配置され、見込み方向に沿って2本の大型角パイプ(見込み大型角パイプ)113、114が設けられている。この2本の見込み大型角パイプ113、114も、それらの間隔がフォークリフトのフォーク部の間隔に合わせて配置されており、フォーク挿入部をなしている。
【0024】
奥側の見付け大型角パイプ112の奥側には、見込み方向に沿った見込み大型角パイプ113、114の部分を除いて、奥側の見付け大型角パイプ112と見込み方向に互いに間隔を隔てて小型角パイプ126、127が設けられている。すなわち、見込み方向に沿った見込み大型角パイプ113、114の奥側の端部間は、小型角パイプ126にて連結されており、見込み大型角パイプ113、114の奥側の端部には、見付け方向における外側に見付け方向に沿って小型角パイプ127が接合されている。この小型角パイプ127の端部と、見付け方向に沿った奥側の見付け大型角パイプ112との端部とは、山形鋼133にて連結されている。
【0025】
図4に示すように、下フレーム10の左端にて手前側に設けられた山形鋼132の手前側の端、奥側に設けられた山形鋼133の奥側の端、及び、2本の見付け大型角パイプ111、112間を連結する小型角パイプ121の見込み方向における中央には、それぞれ鉛直方向に配置された束材151、152、153が溶接されている。束材151、152、153の上端には、それらを繋ぐように水平面形成部としての水平部材161が溶接されている。
【0026】
図5に示すように、下フレーム10の右端にて手前側の見付け大型角パイプ111上、奥側に設けられた山形鋼133の奥側の端、及び、小型角パイプ122と山形鋼131が連結された部材の見込み方向における中央には、それぞれ鉛直方向に配置された束材154、155、156が溶接されている。束材154、155、156の上端には、それらを繋ぐように水平面形成部としての水平部材162が溶接されている。尚、
図3では、水平部材161、162は省略している。
【0027】
山形鋼131、132、133の角部131a、132a、133aを上方にして配置したときの角部131a、132a、133aの先端は、大型角パイプ111〜114の上面より低く位置しており、大型角パイプ111〜114の側面と大型角パイプ111〜114と対向する束材151、153、154、156の側面及び各山形鋼131、132、133の角部131a、132a、133aにそれぞれ溶接されて補強する補強板17が設けられている。
【0028】
また、
図6に示すように、左端側の水平部材161の上面と右端側の水平部材162の上面とは、同じ高さをなしており、折り畳まれた複数の運搬用パレット1が積み重ねられる際には、上に積載される運搬用パレット1が載置される面をなす。このため、載置された運搬用パレット1が崩れにくいように、上に積まれる運搬用パレット1の下に位置したときに、上の運搬用パレット1に設けられた山形鋼131、132、133と対向する水平部材161、162上に、山形鋼131、132、133と係合する積載係合部材18が設けられている。
【0029】
積載係合部材18は、角部131a、132a、133aが上方に向けられた山形鋼131、132、133の下側に入り込むような突起であればよいが、たとえば、H形鋼のフランジ部が上下となるように配置してウェブ部を水平に切断した様な、断面がT字状をなす部材のフランジ部を溶接して切断されたウェブ部が上方に突出するような部材である。
【0030】
下フレーム10の上面には、建具2が載置される床部50が設けられている。床部50は、2本の大型角パイプ111、112上に渡るように設けられ枠材51(
図1参照)上に固定されて移動しない固定床部である高床部50aと、奥側の見付け大型角パイプ112より奥側にてレバー操作により移動可能に設けられた移動床部50bと、手前側の見付け大型角パイプ111より手前側に、最も手前側に設けられた小型角パイプ123との間を覆う固定床部である低床部50cと、を有している。高床部50a及び移動床部50bの上面は、大型角パイプ111〜114の上面及び下フレーム10を構成する小型角パイプ121〜127及び山形鋼131〜133より高い位置に設けられており、手前側の見付け大型角パイプ111より手前の低床部50cは、4本の大型角パイプ111〜114上の高床部50aより低く形成されている。
【0031】
本運搬用パレット1は、3つの縦フレーム20、30、40が折り畳まれて、高床部50a及び移動床部50b上に重ねられるように、折り畳まれた3つの縦フレーム20、30、40の高さが互いに異なるように構成されている。本実施形態では、
図6に示すように、見付け縦フレーム20が、高床部50a及び移動床部50b上において最も下に位置し、その上に右縦フレーム40、その上に左縦フレーム30の順にて、重ねられるように構成されている。運搬用パレット1の3つの縦フレーム20、30、40が折り畳まれた状態では、
図7に示すように、折り畳まれて最も下となる見付け縦フレーム20と低床部50cとの間に空間が生じるが、この空間は、建具2を載置する際に必要となる仕切部材53を並べて配置する収容部として使用することが可能である。尚、
図7においては、2つの縦フレーム30、40を省略している。
【0032】
左縦フレーム30は、
図4に示すように、見込み方向に互いに間隔を隔てた2本の縦材311、312と、上端及び上下方向の間隔がほぼ均等に3つの領域に分かれるように2本の縦材311、312間に架け渡される3本の横材321、322、323とを有し、2本の縦材311、312と3本の横材321、322、323とは溶接されている。
【0033】
2本の縦材311、312の下端部にはそれぞれ、
図3に示すように、縦材311、312と回動支点となるヒンジ292とを見付け方向に繋ぐ水平延出部としての左側連結部材33が溶接されている。左側連結部材33は所定の長さだけ右側に配置され見込み方向に沿う軸を有するヒンジ292を介して下フレーム10の最も手前及び最も奥側に位置する小型角パイプ123、127上に接合されている。このため、左側連結部材33は、小型角パイプ123、127と上下方向にヒンジ292の厚み分だけ上方向に間隔を隔てて設けられている。
【0034】
そして、左縦フレーム30を立てた状態では、縦材311、312の下端が小型角パイプ123、127の上面に当接している。この左縦フレーム30を、ヒンジ292により回動させると、縦材311、312が倒れつつ、縦材311、312と直角に接合されている左側連結部材33が水平状態から鉛直方向に起き上げるように回動する。そして、
図6に示すように、左側連結部材33がほぼ鉛直に立ち上がったときに、縦材311、312がほぼ水平となり、床部50との間隔が、見付け縦フレーム20及び右縦フレーム40の厚み分となるように左側連結部材33の長さが設定されている。
【0035】
また、左縦フレーム30は、起立姿勢においては、
図4に示すように、下フレーム10の左端に設けられた最も手前側の束材151の手前面151a及び最も奥側の束材153の奥側面153aと隣接しており、各々の束材151、153と水平部材161とに溶接されて補強する補強部14に設けられたロック機構55により起立姿勢が維持されている。ロック機構55は、例えば閂タイプであって、隣り合う一方の部材から出没して他方の部材に係合されるものなど、固定されたものに係合する機構であれば構わない。
【0036】
右縦フレーム40は、
図5に示すように、見込み方向に互いに間隔を隔てた2本の縦材411、412と、下端側にて水平部材162より僅か上方にて2本の縦材411、412を繋ぐ下横材42と、2本の縦材411、412の見込み方向の間隔をほぼ均等に3つの領域に分かれるように下横材42上に立設された2本の中間縦材431、432と、ヒンジ294により回動可能に設けられた2枚の扉状フレーム441、442とを有している。
【0037】
2本の縦材411、412の下端部にはそれぞれ、
図3に示すように、縦材411、412と回動支点となるヒンジ293とを見付け方向に繋ぐ水平延出部としての右側連結部材45が溶接されている。右側連結部材45は所定の長さだけ左側に配置され見込み方向に沿う軸を有するヒンジ293を介して下フレーム10において手前側の見付け大型角パイプ111の手前側に溶接された補助小型角パイプ128上及び最も奥側に位置する小型角パイプ127上に接合されている。このため、右側連結部材45は、各小型角パイプ127、128と上下方向にヒンジ293の厚み分だけ上方向に間隔を隔てて設けられている。
【0038】
そして、右縦フレーム40を立てた状態では、縦材411、412の下端が小型角パイプ127、128の上面に当接している。この右縦フレーム40を、ヒンジ293により回動させると、縦材411、412が倒れつつ、縦材411、412と直角に接合されている右側連結部材45が水平状態から鉛直方向に起き上がるように回動する。そして、
図6に示すように、右側連結部材45がほぼ鉛直に立ち上がったときに、縦材411、412がほぼ水平となり、床部50との間隔が、見付け縦フレーム20の厚み分となるように右側連結部材45の長さが設定されている。
【0039】
また、右縦フレーム40が、起立姿勢においては、
図5に示すように、下フレーム10の右端に設けられた束材154、156と水平部材162とに溶接された補強部14のロック機構55により起立姿勢が維持されていることは左縦フレーム30と同様である。
【0040】
右縦フレーム40に設けられた2枚の扉状フレーム441、442は、2本の中間縦材431、432のうち、手前側の中間縦材431にヒンジ294を介して取り付けられた、矩形状のフレームである。
図8に示すように、奥側に設けられた扉状フレーム442は、手前側の中間縦材431に支持されて手前側の中間縦材431より奥側にて回動し、奥側の縦材412に架け渡されて係合するように配置される状態から、床部50上の領域より外側に回動して、奥側の縦材412及び奥側の中間縦材432から離れることが可能である。手前側に設けられた扉状フレーム441は、手前側の中間縦材431に支持されて手前側の中間縦材431より手前側にて回動し、手前側の縦材411に架け渡されるように配置される状態から、床部50上の領域より外側に回動して、手前側の縦材411から離れることが可能である。
【0041】
2枚の扉状フレーム441、442は、見込み方向の幅が同じであり、手前側の扉状フレーム441を手前側の縦材411に架け渡されるように配置すると、扉状フレーム441が手前側の縦材411より手前側に突出する。突出した扉状フレーム441の先端は、左縦フレーム30の手前側の縦材311と対向するように配置されており、手前側の扉状フレーム441を構成する手前側の縦部材441aは、左縦フレーム30の手前側の縦材311と同じ高さまで延出されている。2枚の扉状フレーム441、442が、縦材411、412及び中間縦材431、432と係合している状態では、ロック機構55に係合した状態が保持されている。また、2枚の扉状フレーム441、442を構成し、上下に間隔を隔てた各々2本の横部材441b、441c、442b、442cは、左縦フレーム30の上端の横材321を除く2本の横材322、323と同じ高さに配置されている。ここで、2本の縦材411、412と2本の中間縦材431、432が下横材42にて連結された部材が縦材ユニットに相当し、2枚の扉状フレーム441、442を構成し、上下に間隔を隔てた各々2本の横部材441b、441c、442b、442cが、縦材と交差する横材に相当する。
【0042】
右縦フレーム40の縦材411、412、中間縦材431、432、手前側の扉状フレーム441の延出された縦部材441aの上端部、及び、手前側の扉状フレーム441を構成する下側の横部材441cが位置する高さの部位には、床部50上の領域を見込み方向に仕切る角パイプでなる仕切部材53が係合される係合部46が各々設けられている。また、左縦フレーム30の上端部に設けられた横材321、及び、左縦フレーム30の最も下の横材323には、右縦フレーム40の各係合部46と対向する部位に同様の係合部46が設けられている。
【0043】
見付け縦フレーム20は、
図1、
図3に示すように、下フレーム10の最も奥側に設けられ、見込み大型角パイプ113、114の奥側の端の互いに対向しない側面113a、114aに溶接されて左右にそれぞれ延びる小型角パイプ127上に設けられた支持フレーム19上に、見付け方向に沿う軸を有するヒンジ291を介して接合されている。
【0044】
支持フレーム19は、下フレーム10の最も奥側の小型角パイプ127上において、左縦フレーム30の回動支点となるヒンジ292より右側の部位と右縦フレーム40の回動支点となるヒンジ293より左側の部位とからそれぞれ立設された2本の支持縦材191と、2本の支持縦材191の上端を繋ぐ支持横材192とが溶接されて形成されており、支持横材192の上面は、移動床部50bの上面より高く、下フレーム10の水平部材161、162の上面より低く形成されている。
【0045】
見付け縦フレーム20は、
図2に示すように、支持横材192の左右の端部近傍にヒンジ291を介して接合された2本の見付け縦材21と、見付け縦材21上に溶接されてほぼ矩形状をなすフレーム本体22と、フレーム本体22の見付け方向における中央に設けられフレーム本体22を上下に繋ぐとともに下方に延出されて支持横材192上にてヒンジ291を介して接合された延出部材23と、フレーム本体22の上下方向における中央にて左右に繋ぐ見付け横材24とを有している。
【0046】
見付け縦フレーム20は、ヒンジ291を支点として回動したときに、高床部50a及び移動床部50bの上面の上面に沿うように折り畳まれる。このため、支持横材192の上面の高さは、高床部50a及び移動床部50bの上面の高さより高く形成されている。
【0047】
また、支持縦材191には、移動床部50bが設けられた床支持フレーム52が、見付け縦フレーム20より低い位置にてヒンジ295により接合されている。そして、床支持フレーム52と見付け縦フレーム20とは、リンク機構60により接合されており、見付け縦フレーム20は移動床部50bに対して見付け縦フレーム20が直角をなすように起こされた状態で、リンク機構60と見付け縦フレーム20との各々独立した移動を規制するロック機構55を有している。リンク機構60と見付け縦フレーム20とがロック機構55により係止された状態にて、床支持フレーム52に設けられたレバー61を操作することにより、見付け縦フレーム20と移動床部50bとが直角をなす状態を維持したままで見付け縦フレーム20を傾斜させることが可能である。具体的には、レバー61の操作により見付け縦フレーム20の上部が、床部50上の領域から外側に移動して傾斜する傾斜姿勢と、見付け縦フレーム20が起立した起立姿勢とに見付け縦フレーム20の姿勢を変更可能であり、レバー61を下フレーム10のロック機構55により係止することにより、傾斜姿勢または起立姿勢を維持することが可能である。
【0048】
リンク機構60は、
図9に示すように、床支持フレーム52から上方に立設された支持プレート62と、一方の端部が支持プレート62に回動自在に支持され他方の端部側にピン63が設けられたリンクバー64と、矩形状のフレーム本体22の縦材221に長手方向に沿って設けられリンクバー64のピン63が係合する長孔65aを有するスライドプレート65と、を有している。スライドプレート65に設けられた長孔65aは、見付け縦フレーム20が折り畳まれた状態から起立姿勢となる間にリンクバー64のピン63がスライドプレート65に対して回動しつつスライドするように構成されている。
【0049】
見付け縦フレーム20が折り畳まれた状態では、リンクバー64のピン63が長孔65a内において、見付け縦フレーム20の上端側に位置している。本実施形態のリンク機構60は、見付け縦フレーム20を起こしていくと、ピン63は長孔65a内を見付け縦フレーム20の更に上端側に移動し、リンクバー64とフレーム本体22とが重なった位置から、ピン63は見付け縦フレーム20の下端側に向かって移動し始める。さらに、見付け縦フレーム20を起こし見付け縦フレーム20が起立姿勢になったときに、ピン63が長孔65aの下端に接触して、見付け縦フレーム20の回動、すなわち、見付け縦フレーム20の上部が床部50上の領域から外側に移動するような回動が規制される。見付け縦フレーム20が起立姿勢となった状態で、見付け縦フレーム20に設けられているロック機構55により見付け縦フレーム20とリンクバー64とを係止する。これにより、見付け縦フレーム20と移動床部50bとが直角をなす状態が維持される。
また、
図10に示すように、床支持フレーム52に設けられたレバー61を引き上げることにより移動床部50bがヒンジ295を支点として回動することにより見付け縦フレーム20と移動床部50bとが一体となって傾斜する。見付け縦フレーム20と移動床部50bとが傾斜した傾斜姿勢にてレバー61に設けられたロック機構55によりレバー61を下フレーム10の束材152、155に係止することにより、見付け縦フレーム20と移動床部50bとが傾斜した傾斜姿勢が維持される。
【0050】
運搬用パレット1を用いて建具2を運搬する場合には、まず、通常、使用前に折り畳まれている運搬用パレットを展開して組み立てる。
【0051】
運搬用パレット1の組立は、まず、左縦フレーム30を、ヒンジ292を中心に回動し、縦材311、312が鉛直となる起立姿勢にて、下フレーム10の左側の水平部材161と手前側及び奥側の束材151、153に接合された補強部14に設けられたロック機構55により係止して起立状態を維持させる。
【0052】
次に、右縦フレーム40を、ヒンジ293を中心に回動し、縦材411、412が鉛直となる起立姿勢にて、下フレーム10の右側の水平部材162と手前側及び奥側の束材154、156に接合された補強部14に設けられたロック機構55により係止して起立状態を維持させる。
【0053】
次に、見付け縦フレーム20を、ヒンジ291を中心に回動し、フレーム本体22が鉛直となる起立姿勢とする。このとき、見付け縦フレーム20の移動に伴ってリンク機構60のリンクバー64に設けられたピン63がフレーム本体22に固定されたスライドプレート65の長孔65a内を移動して長孔65aの下端側に突き当たる。この状態にて、フレーム本体22と見付け横材24との接合部に設けられたロック機構55により見付け縦フレーム20とリンクバー64とを係止して起立姿勢を維持させ、見付け縦フレーム20がリンクバー64によって連結された床支持フレーム52及び移動床部50bと、一体となって移動するように連結する。見付け縦フレーム20の起立姿勢を維持し続ける場合には、左縦フレーム30及び右縦フレーム40の奥側の縦材312、412に設けられたロック機構55により見付け縦フレーム20を係止して運搬用パレット1の組立が完了する。
【0054】
組み立てられた運搬用パレット1に建具2を載置して固定する場合には、まず、自立しない、または自立しにくい建具2、例えば、ガラスの単体や障子、扉などから先に固定する。
【0055】
自立しにくい建具2を載置する場合には、まず、移動床部50bを支持する床支持フレーム52に取り付けられたレバー61に設けられているロック機構55及び見付け縦フレーム20に係止された、左縦フレーム30及び右縦フレーム40の奥側の縦材312、412に設けられたロック機構55を解除して移動床部50bと見付け縦フレーム20とが直角をなす状態を維持したままで回動できるようにする。次に、レバー61を持ち上げて、移動床部50bとともに移動する見付け縦フレーム20の上端側が床部50上の領域より外側に移動させて、見付け縦フレーム20を傾斜姿勢とする。見付け縦フレーム20を傾斜姿勢とした後に、レバー61に設けられているロック機構55を束材152、155に係止させて見付け縦フレーム20の傾斜姿勢を維持させる。
【0056】
作業者は、傾斜姿勢の見付け縦フレーム20に沿わせるように、ガラスや障子などの自立しにくい建具2を立て掛けるように載置する。このとき、ガラスや障子が複数枚ある場合には、緩衝材を介して重ねて立て掛けて、拘束ベルト等により、見付け縦フレーム20のフレーム本体22及び見付け横材24を利用して固定する。
【0057】
自立しにくい建具2を固定した後に、レバー61に設けられているロック機構55を解除して、レバー61を下げて、建具2が固定された見付け縦フレーム20を起立姿勢に戻し、レバー61に設けられているロック機構55を束材152、155の起立姿勢位置に係止し、見付け縦フレーム20を左縦フレーム30及び右縦フレーム40の奥側の縦材312、412に設けられたロック機構55にて係止して、見付け縦フレーム20の起立姿勢を維持させる。
【0058】
次に、高床部50aと移動床部50bとの境界位置に設けられた係合部46に仕切部材53を架け渡す。そして、架け渡された仕切部材53に沿わせるように、自立可能な建具2、たとえば、躯体に取り付けられる枠体と枠体に支持される障子とを備えユニット化された窓ユニット等を載置する。自立可能な窓ユニット等の場合には、当該窓ユニットを建物等に取り付ける際に、窓ユニットが有する外枠において、建物の壁内等に埋め込まれる部位と係合する係合部付きのアタッチメントを用いて窓ユニットを固定する。
【0059】
係合部付きのアタッチメント70とは、例えば、
図11、
図12に示すように、仕切部材53を三方から囲むように係合される本体部71から、仕切部材53に係合された際に、水平をなすような突部72を設けておき、この突部72に設けた係合凹部73に窓ユニット3の一部を係合させる。
【0060】
窓ユニット3が係合されたアタッチメント70を仕切部材53とともに、帯状の面ファスナー(不図示)等を巻き付けて固定する。
【0061】
このようにして、窓ユニットを固定した後に、左縦フレーム30及び右縦フレーム40が有し、固定した窓ユニットと隣接する係合部46間に仕切部材53を架け渡す。さらに、運搬したい建具2がある場合には、同様に次の領域に建具2を載置する。
【0062】
全ての建具2を載置した後には、フォークリフトにより、運搬用パレット1をトラックの荷台に載置する。このため、下フレーム10の外形寸法をトラックの荷台のサイズに合わせるとより効率良く運搬することが可能である。
【0063】
本実施形態では、仕切部材53にて仕切られる領域に奥側からから建具2を載置しつつ仕切部材53を取り付けていく例について説明したが、先に仕切り部材を取り付けた後に、扉状フレーム441,442を開いて、見付け方向に沿ってスライドさせつつ建具2を載置してもよい。
【0064】
本実施形態の運搬用パレット1によれば、建具2の見付け方向に沿い、下フレーム10に回動自在に支持された見付け縦フレーム20の上部側が下フレーム10上の領域より外側に位置して、見付け縦フレーム20が傾斜する傾斜姿勢にて保持されるので、見付け縦フレーム20に立て掛けて建具2を容易に載置することが可能である。また、見付け縦フレーム20は、起立された起立姿勢にて保持されるので、建具2を載置して運搬する際には、起立状態とすることにより載置した建具2を下フレーム10上の領域に納まらせることが可能である。このため、積み込み及び積み降ろしの作業における優れた作業性を備えるとともに、運搬の際には、より効率良く建具2を載置して運搬することが可能である。
【0065】
また、見付け縦フレーム20が傾斜姿勢と起立姿勢との間を移動する際には、見付け縦フレーム20と直交して移動可能な移動床部50bに建具2が載置されているので、複数の建具2が載置されていたとしても、見付け縦フレーム20の傾斜姿勢と起立姿勢との間の移動の際に、互いに隣り合う建具2同士の相対位置は変化しない。このため、互いに隣り合う建具2は見付け縦フレーム20の傾斜の変化に伴って擦れ合わないので、建具2を傷つけることなく、見付け縦フレーム20を傾斜姿勢と起立姿勢との間を移動させることが可能である。
【0066】
またリンク機構60により、見付け縦フレーム20を回動して、上部側が下フレーム10上より外側に移動したとしても、見付け縦フレーム20と移動床部50bとはなす角が直角をなすように保たれる。また、見付け縦フレーム20と移動床部50bとのなす角度が直角より小さくなる方向への見付け縦フレーム20と移動床部50bとの移動が許容されるので、見付け縦フレーム20と移動床部50bとが近接するように折り畳むことが可能である。このため、簡単なリンク機構60により、見付け縦フレーム20と移動床部50bとを直角に維持する、あるいは、見付け縦フレーム20と移動床部50bとを折り畳むことが可能である。
【0067】
また、下フレーム10は、見込み方向において移動床部50bと区画された高床部50aを有しており、移動床部50b上の領域と高床部50a上の領域とが仕切部材53にて仕切られるので、移動床部50b上の領域と高床部50a上の領域とに、互いに異なる建具2を載置することが可能である。たとえば、移動床部50b上には、重ね合わせて載置可能な建具2を載置し、高床部50a上には比較的自立可能な建具2を載置することが可能である。
【0068】
また、仕切部材53を左縦フレーム30と右縦フレーム40との間に架け渡して高床部50a上を複数の領域に仕切ることにより、単一の運搬用パレット1に高さが異なる複数の建具や複数種類の建具2を載置して同時に搬送することが可能である。
【0069】
また、運搬用パレット1は、使用していないときには、高床部50a及び移動床部50bより低い低床部50c上に仕切部材53を収容するので、仕切部材53の管理が容易である。
【0070】
また、高床部50aの下に位置する大型角パイプ111〜114がフォークリフトのフォークが挿入可能な高さを有するので、大型角パイプ111〜114の高さ分だけ低い低床部50c上に仕切部材53を収容することが可能である。
【0071】
また、各々回動自在に支持された見付け縦フレーム20、左縦フレーム30及び右縦フレーム40がロック機構55により各々の起立姿勢が維持され、ロック機構55が解除されて各々折り畳まれるので、建具2を搬送しないときにはコンパクトに折り畳んで保管することが可能である。
【0072】
また、左縦フレーム30が有する左側連結部材33と、右縦フレーム40が有する右側連結部材45とは互いの異なる長さの左側連結部材33と右側連結部材45を有しており、折り畳んだ際には、左側連結部材33及び右側連結部材45が各々の高さとなる。このため、左縦フレーム30と右縦フレーム40とが折り畳まれた際の高さが相違するので、左縦フレーム30と右縦フレーム40とを見付け縦フレーム20上に重ね合わせることが可能である。
【0073】
また、折り畳まれた見付け縦フレーム20、左縦フレーム30及び右縦フレーム40の外側に設けられた水平部材161、162が、折り畳まれた見付け縦フレーム20、左縦フレーム30及び右縦フレーム40より高い位置にて水平面を形成するので、折り畳まれた複数の運搬用パレット1を積み重ねて保管することが可能である。このため、より多くの運搬用パレット1を整然と積み重ねて保管しておくことが可能である。
【0074】
上記実施形態においては、見付け縦フレーム20と移動床部50bとが直角をなす状態を維持して傾斜する例について説明したが、建具が立て掛けられる見付け縦フレームだけが傾斜するものであっても構わない。
【0075】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。