【課題を解決するための手段】
【0008】
〔請求項1〕
本発明は、課題の解決手段として、
一端側に点火手段が取り付けられ、他端側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられた筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、
前記筒状ハウジング内の前記点火手段が取り付けられた端部側において、第1貫通孔を有する第1多孔板部材により仕切られて形成された、第1ガス発生剤成形体が充填された第1燃焼室が配置され、
前記第1多孔板部材とは軸方向に間隔をおいて配置された第2貫通孔を有する第2多孔板部材により仕切られて形成された、第2ガス発生剤成形体が充填された第2燃焼室が配置されており、
前記点火手段が、円柱形状の着火部を含む点火器本体が点火器カラーを含む固定手段で固定されたもので、前記着火部が前記第1燃焼室内に突き出された状態で配置されているものであり、
前記第1多孔板部材が、前記筒状ハウジングの内壁面と接する周縁部近傍において周方向に複数の貫通孔を有しており、前記第1多孔板部材の第1貫通孔の総開口面積中の前記周縁部近傍における第1貫通孔の総開口面積の割合が95%以上であるものであり、
前記第1燃焼室の軸方向の両端面が、前記第1多孔板部材と、前記点火器の着火部および点火器カラーで形成されており、
前記着火部の外周面と前記外周面と半径方向に正対する前記筒状ハウジングの内壁面との間に前記点火器カラーを底面とする環状空間が形成されているものであり、
前記点火器カラーからの前記着火部の頂面の高さ(H)と、第1燃焼室内に充填されている第1ガス発生剤成形体の最小長さ(Lmin)が、Lmin<Hの関係を満たしており、
前記筒状ハウジングの軸Xと、前記点火器の着火部、第1多孔板部材および第2多孔板部材の中心線が一致するように配置されている、ガス発生器を提供する。
【0009】
筒状ハウジング、第1多孔板部材および点火手段(点火器および点火器カラー)で囲まれて第1燃焼室が形成されている。
第1多孔板部材は、筒状ハウジングの内壁面と接する周縁部近傍において周方向に複数の第1貫通孔を有しているが、前記周縁部近傍を除いた部分にも第1貫通孔を設けることができる。第1貫通孔は、シールテープで閉塞されていてもよい。
このとき、第1多孔板部材の第1貫通孔の総開口面積中の周縁部近傍のみの貫通孔の総開口面積の割合は95%以上であり、98%以上が好ましく、100%であることがより好ましい。
なお、周縁部近傍の第1貫通孔の形成位置は、第1多孔板部材(円形)の中心点(筒状ハウジングの軸Xが通る点)から円周までを半径rとしたとき、周縁から各貫通孔の中心までの距離は0.2r以内(半径rの20%以内)が好ましく、0.15r以内(半径rの15%以内)がより好ましい。
【0010】
点火手段は、着火部を含む点火器本体が点火器カラーを含む固定手段で固定されたもので、前記着火部が第1燃焼室内に突き出された状態で配置されている。
このため、第1燃焼室内に突き出された着火部の外周面と筒状ハウジングの内壁面との間には、点火器カラーを底面とするポケット状の環状空間が形成されている。
そして、前記ポケット状の環状空間を含む第1燃焼室内には、第1ガス発生剤成形体が充填されている。
ガス発生器の製造工程において第1燃焼室内に第1ガス発生剤成形体を充填するときは、全ての第1ガス発生剤成形体を整列させて充填するようなことはせず、必要量の第1ガス発生剤成形体を燃焼室となる空間(第1燃焼室)内に流し込むような作業となる。
このため、例えば円柱形状のガス発生剤成形体の場合には、様々な向きになって流し込まれた状態になっており、隣接するガス発生剤成形体同士の間にも隙間が存在している。
その後、外部から振動を加える等で前記した隙間をなくすような作業をした後、固定部材(本発明では第1多孔板部材と点火手段)で軸方向両側から押しつけて、隙間がなくなるようにした状態で固定する。
ガス発生剤成形体がこのようにして充填されるため、充填後のガス発生剤成形体の充填状態は確認できないが、ガス発生剤成形体の中には、前記環状空間内において円柱形状の着火部の頂面の高さ(H)よりも下方(点火器カラー側)にのみ位置した状態で充填されたものがあることも考えられる。
すなわち、Lmin>Hであれば、ガス発生剤成形体は必ず前記環状空間から飛び出された状態で充填されることになるが、Lmin<Hの関係を満たしているときには、充填状態によっては、前記環状空間内において円柱形状の着火部の頂面の高さ(H)よりも下方にのみ位置した状態で充填される可能性がある。
ここでガス発生剤成形体の最小長さ(Lmin)は、例えば円柱の場合には直径であり、ディスク(円板)の場合には厚さである。
【0011】
点火器が作動して着火部から燃焼生成物が放出されるとき、直進乃至は放射状に放出される場合を含めて、着火部(着火部の頂面)よりも前方向に放出されることになる。
このとき、第1多孔板部材の中心部(軸Xと一致する部分)を含めた部分が大きく開口していると(またはシールテープが破れて大きく開口すると)、着火部からの燃焼生成物の大部分がそのまま第1燃焼室外部に放出されることなるため、第1燃焼室内のポケット状の環状空間内に充填されている第1ガス発生剤成形体の着火遅れや、焼尽残りが生じるおそれがある。
しかし、本願発明では、大部分の貫通孔が第1多孔板部材の周縁部近傍にあるため、着火部から放出された燃焼生成物の大部分は第1多孔板部材(第1貫通孔が少ないか、または形成されていない部分)に衝突して第1燃焼室内に拡散される(前記ポケット状の環状空間にも燃焼生成物が届く)ことになる。
このため、Lmin<H(例えばH/Lmin=2〜5)の関係を満たしているとき、前記環状空間内において円柱形状の着火部の頂面の高さ(H)よりも下方にのみ位置した状態で充填されたガス発生剤成形体が多数あるような場合であっても、第1燃焼室内のポケット状の環状空間内に充填されている全ての第1ガス発生剤成形体は燃焼し易く、着火遅れや焼尽残りが生じることがない。
【0012】
〔請求項4〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
前記第1多孔板部材が有している貫通孔の総開口面積(a1)と前記第2多孔板部材が有している貫通孔の総開口面積(a2)との比率(a2/a1)が0.9〜1.2の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス発生器を提供する。
【0013】
第1燃焼室内の第1ガス発生剤成形体が燃焼して生じた燃焼ガスは、第1多孔板部材と第2多孔板部材との間の空間(燃焼ガス移行空間)に流入した後、第2多孔板部材の貫通孔を通って、第2燃焼室内に流入する。
このとき、a2/a1が上記関係を満たしていると、第1多孔板部材の貫通孔から前記燃焼ガス移行空間、前記燃焼ガス移行空間から第2多孔板部材の貫通孔への燃焼ガスの移行がより速やかになされるので好ましい。
【0014】
〔請求項5〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
さらに第2燃焼室内には、周壁部に連通孔を有する筒状部材が配置されており、
前記筒状部材が、前記筒状ハウジングの内周壁面と前記周壁部との間に間隙を形成するように配置されており、
前記筒状部材の第2多孔板部材側の内周面に当接された第1開口端部と、前記ディフューザ部側にて支持された第2端部を有しているものである、請求項1〜4のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0015】
筒状部材は、周壁部に連通孔を有している(好ましくは複数の連通孔を有している)もので、弾力性のある金属からなるものが好ましい。連通孔は、筒状部材の周壁部において、軸方向及び円周方向にそれぞれ等間隔で形成することができる。また、ディフューザ部側よりに形成することができ、この場合、ディフューザ部側の開口面積が大きくなるように、連通孔の個数や径を調整する。
【0016】
筒状部材は、筒状ハウジングの周壁部との間に間隙(筒状間隙)を形成するように配置されており、ハウジングの一端側(点火手段側)に向いて、ハウジングの内周面に当接された第1開口端部と、ディフューザ部側にて支持された第2端部を有している。
【0017】
筒状ハウジングの周壁部との間に間隙を形成するため筒状部材の外径(周壁部の外径)は、筒状ハウジングの内径よりも小さくなるように設定されている。
筒状部材は、周壁部に連通孔が形成され、この連通孔で筒状部材内部(第2燃焼室)と筒状間隙が連通されている。
【0018】
この筒状間隙を設けたときは、インフレータの作動時において燃焼ガスがディフューザ部に流れる排出経路となる。
燃焼ガスが筒状間隙をディフューザ部まで流れる間、間隙を形成する筒状部材(周壁部)と筒状ハウジングの内壁面と接触しやすくなり、残渣捕集機能や冷却機能が向上される。
また、筒状間隙を流れるガスは、流れを妨げられることなくガス排出口に到達するため、点火からガスが排出されるまでの時間を短くすることができるので好ましい。
【0019】
〔請求項6〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
前記筒状部材が、第1開口端部側の開口部が拡径された拡径部を有し、第2端部側が底面の中心部に中央孔を有するものであり、
前記ディフューザ部側には、カップ状で、周壁部に連通孔を有し、底面に突起を有するガス迂回手段が、その開口部側がディフューザ部側になるように配置されており、
前記筒状部材の拡径部が前記筒状ハウジングの内壁面に当接され、
前記筒状部材の中央孔が前記ガス迂回手段底面の突起に嵌合されている、請求項5記載のガス発生器を提供する。
【0020】
筒状部材は、第1開口端部側(即ち、点火手段側及び第1燃焼室側)の開口部が拡径された拡径部を有しており、拡径部が筒状ハウジングの内壁面に当接されている。筒状ハウジング内に取り付けられる前は、たとえばこの拡径部の外径が、筒状ハウジングの内径よりも僅かに大きくなるように調整されていることで、拡径部と筒状ハウジングの内壁面が強く当接(互いに押し合うように接触する)されている。
このため、筒状部材が強く固定されることになり、筒状間隙の形成(特に均等間隔の筒状間隙の形成)も容易になる。さらに第2ガス発生剤成形体からの燃焼生成物が、筒状間隙にショートパスすることを防止できるため、第2ガス発生剤全体の着火性が向上する。
【0021】
筒状部材は、第2開口端部側(即ち、ディフューザ部側)が底面の中心部に底面を貫通した中央孔を有している。
【0022】
ガス迂回手段は、カップ状で、周壁部に連通孔を有し、底面に第2燃焼室側に向いた突起を有するものである。ガス迂回手段は、その開口部側がディフューザ部側に向くように配置されている。ガス迂回手段は、その中心軸がディフューザ部の中心軸及び筒状ハウジングの中心軸と一致して配置されるようにする。
【0023】
筒状部材の第2端部側の中央孔に、ガス迂回手段底面の突起が嵌め込まれている。このため、筒状部材の第2端部側の固定と筒状間隙の形成(特に均等間隔の筒状間隙の形成)が容易である。さらに、このように固定したとき、ディフューザ部の中心軸、筒状ハウジングの中心軸及びガス迂回手段の中心軸が全て一致するように配置することで、それらと筒状部材の中心軸を容易に一致させることができる。
【0024】
〔請求項7〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
前記第1多孔板部材が、前記筒状ハウジングの内壁面と接する周縁部近傍においてのみ周方向に複数の第1貫通孔を有しているものであり、
前記第2多孔板部材が、前記筒状ハウジングの内壁面と接する周縁部近傍においてのみ周方向に複数の第2貫通孔を有しているものである、請求項5または6記載のガス発生器を提供する。
【0025】
筒状部材と、周縁部にのみ貫通孔を有している2つの多孔板部材を組み合わせて使用することで、ガス排出経路を速やかに開放させることができる。