(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を
図1〜
図14を参照しつつ説明する。
本実施形態の蓄電モジュール10は、複数の単電池11A,11B(「蓄電素子」の一例)を並べて構成したものであり、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。以下では、前後方向については
図1の下方を前方、上方を後方とし、上下方向及び左右方向については
図2の方向を基準として説明する。
【0015】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、前後方向に並んで隣接配置された複数個(本実施形態では4個)の単電池11A,11B(蓄電素子群)を備えて構成されている。隣り合う単電池11A,11B間には、公差による位置ずれを許容できる程度のわずかな隙間が形成されている。複数個の単電池11A,11Bは、互いに異極の電極端子部21A,21B(本実施形態では、正極が21A,負極が21B)が隣り合うように構成されて図示しない保持板によって固定されている。
複数個の単電池11A,11Bは、
図5,
図6に示すように、一対の電極端子部21A,21Bのうちの一方の電極端子部21Aの形状が異なる2種類からなり、これら2種類の単電池11A,11Bが交互に並んで配置されている。
【0016】
単電池11A,11Bは、共に、内部に図示しない蓄電要素が収容された扁平な形状であって、扁平な直方体状の本体部12と、本体部12の上端面に設けられる正極及び負極の電極端子部21A,21Bとを備えている。
【0017】
本体部12は、ケースで覆われており、その上面13には、電極端子部21A,21Bを所定の位置に固定する合成樹脂製の固定部14,20が形成されている。
固定部14,20は、後述する電極端子部21Aとしての接続部22A(22B)を固定する第1固定部14と、電極端子部21Bに受け部32を固定する第2固定部20とを備える。
【0018】
第1固定部14は、接続部22A(22B)の被固定部23を囲むように上方に突出する周壁部15を備える。
周壁部15は、周方向の所定の範囲が切欠かれた切欠部16を有し、この切欠部16から嵌入カバー18を挿通して嵌入カバー18を第1固定部14に取付け可能となっている。
周壁部15には、切欠部16の部分から内側に係止部17が突出している。
係止部17の内壁には、係止凹部が形成されている。
嵌入カバー18は、合成樹脂製であって、左右方向に長い板状である。嵌入カバー18の縁部及び内部は、枠状に厚みを厚くして補強されている。
嵌入カバー18には、第1固定部14から離脱しないように係止部17に係止される被係止部19を有する(
図1参照)。
被係止部19は、先端側(後端側)が左右方向に撓み変形可能な撓み片であって、先端に外方に突出する係止爪が形成されている。
【0019】
第2固定部20は、本体部12の上面13から所定の高さで突出している。
第2固定部20の突出寸法は、この第2固定部20に電極端子部21Bが装着された状態で後述する接続部22A(22B)の締結部25が電極端子部21Bの上に載置される高さとされている。
【0020】
電極端子部21Bは、第2固定部20の上に載置されるL字状の受け部32と、受け部32と内部の蓄電要素とを電気的に接続する中継接続部材35とを備える。
受け部32は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、板状の板状部33と、板状部33から立ち上がる棒状部34とが一体に形成されている。
【0021】
板状部33には、中継接続部材35が挿通される貫通孔が形成されている。
中継接続部材35は、金属製のリベットが用いられている。なお、ネジ等の部材を用いることも可能である。
板状部33の貫通孔に中継接続部材35を通して本体部12側との間でカシメつけることで、受け部32が本体部12に固定されるとともに中継接続部材35を介して内部の蓄電要素と電気的に接続される。
【0022】
電極端子部21Aは、当該電極端子部21Aを有する単電池11A(11B)の隣りの単電池11B(11A)側に延出されて隣の単電池11B(11A)の電極端子部21Bに接続される接続部22A(22B)を備える。
接続部22A,22Bは、
図7,
図11に示すように、単電池11B,11Aに応じた2種類の形状が用いられている。
接続部22A,22Bは、共に、第1固定部14に固定される帯状の被固定部23と、電極端子部21Bに締結される平板状の締結部25と、被固定部23と締結部25とを連結する連結部27とを備える。接続部22A,22Bは、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、展開形状に打ち抜いた薄肉の金属板材に曲げ加工を施して形成されている。
【0023】
被固定部23は、左右方向に帯状に延びており、本体部12の蓄電要素と接続するための中継接続部材31が挿通される円形状の貫通孔24が一端側に貫通形成されている。
中継接続部材31は、金属製のリベットが用いられている(
図5等参照)。なお、他の実施形態として、リベットに限らず、金属製のネジ等の部材(電気的に接続可能な部材)を用いることも可能である。
貫通孔24に中継接続部材31の一端側を通して本体部12にかしめることで、被固定部23が本体部12に固定されるとともに中継接続部材31を介して内部の蓄電要素と電気的に接続される。
【0024】
締結部25は、やや左右方向に長い長方形状をなしており、接続する隣の単電池11B(11A)側に延びている。
締結部25の先端側における左右方向の中間部には、円形状の締結孔26が貫通形成されている。
締結孔26は、前後方向(単電池11A,11Bの並び方向)に長い長円形状をなしている。
このように、締結孔26を長円形状とすることで、組み付け時の公差(前後方向の公差)を吸収できるようになっている。
【0025】
連結部27は、被固定部23の縁部から折り返すように延びる折り返し部28と、折り返し部28と締結部25とを弾性変形可能に連ねる弾性部29とを備える。
折り返し部28の折り返し方向は、接続部22Aは締結部25の延び方向と同じ方向であり、接続部22Bは締結部25の延び方向は反対方向である。
接続部22A,22Bが本体部12に取付けられた状態で、折り返し部28の内側には、嵌入カバー18の縁部が嵌め入れられる(
図6参照)。
嵌入カバー18を本体部12における切欠部16の内側から後方側に向けて挿通すると、被係止部19が弾性変形するとともに嵌入カバー18が折り返し部28の内側に挿通され、被係止部19の係止爪が係止部17の係止凹部の内壁に係止されることで、嵌入カバー18が第1固定部14に固定される。
折り返し部28に嵌め入れられた嵌入カバー18は、第1固定部14に固定されることで、被固定部23を上方から押さえて被固定部23を本体部12に固定する。
【0026】
弾性部29は、締結部25が連なる部分が屈曲された屈曲部29Aを備えるとともに、折り返し部28が連なる部分が屈曲された屈曲部29Bを備えている。
この弾性部29は、被固定部23の前後方向の中間(単電池11A,11Bの前後方向の中間)の位置で上下方向に延びている。
この弾性部29が弾性変形することで、単電池11A,11B間における前後方向、左右方向、及び、上下方向の公差を吸収できるようになっている。
この公差の吸収は、蓄電モジュール10の組付けの際だけでなく、蓄電モジュール10の組付け後についても可能であり、接続部22A,22Bが薄肉の部材からなるために弾性部29以外の弾性変形によっても、ある程度は公差を吸収できる。
屈曲部29Aには、両側縁が切欠かれた凹部30が形成されている。
凹部30は、接続部22A,22Bの成形時において金属板材に曲げ加工を施すときの目印とされる。
【0027】
ここで、接続部22A,22Bは、薄肉の金属板材から形成されているため、通常用いられている電極間の接続部材としてのバスバーよりも厚みを薄くした分だけ幅寸法(締結部25及び連結部27の幅寸法)が大きくなっている。このように厚みが薄くなっても幅広とされることで通電電流に応じた導体断面積は確保されている。
なお、接続部22A,22Bは、互いに屈曲部29Aの位置における締結部25の曲げ方向が180度異なり、他は同一の構成となっている。
【0028】
次に、蓄電モジュールの組み付けについて説明する。
図4に示すように、2種類の単電池11A,11Bを接続部22A,22Bの締結部25が同一方向に突出する向きとして交互に並べるとともに、各電極端子部21Bの棒状部34を接続部22A,22Bの締結孔26に通して、棒状部34に締結部材としてのナット36を螺合させて締結する。
【0029】
上記実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
本実施形態によれば、隣り合う単電池11A,11B(蓄電素子)の電極端子部21A,21B間を電気的に接続する作業を行う際に、単電池11A,11Bは、電極端子部21A,21Bとして一体的に固定された接続部22A,22Bが当該単電池11A,11Bの隣りの単電池11B,11Aまで延出されているため、接続部22A,22Bを当該隣りの単電池11B,11Aの電極端子部21Bに接続すれば、複数の電極端子部21A,21B間を電気的に接続することができる。したがって、複数の電極端子部21A,21Bのそれぞれについて接続作業を行う場合と比較して蓄電モジュール10の組付け作業の工数を減らすことが可能になる。
【0030】
また、接続部22A,22Bは、金属板材を曲げ形成することで弾性変形可能とされた弾性部29を備える。
このようにすれば、単電池11A,11B間の寸法公差や、単電池11A,11Bの充放電時の膨張による寸法公差を弾性部29の弾性変形により吸収することが可能になる。
【0031】
さらに、単電池11A,11B(蓄電素子)は、蓄電要素が収容された本体部12と電極端子部21A,21Bとを備え、接続部22A,22Bは、本体部12に固定される被固定部23と、被固定部23に対して折り返すように連なる折り返し部28とを備え、折り返し部28の内側に嵌め入れられ、本体部12に取付られる樹脂製の嵌入カバー18を備える。
このようにすれば、折り返し部28の内側を嵌入カバー18で保持することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、各単電池11A(11B)の一対の電極端子部21A,21Bのうちの一方の電極端子部21Aにのみ接続部22A(22B)を設けたが、これに限られない、例えば、正極及び負極の電極端子部の双方に接続部22A,22Bを設けるようにしてもよい。この場合、この接続部22A,22B11A,11Bを有する単電池の隣に、一対の電極端子部の双方に接続部22A,22Bを設けない単電池を配置して複数の単電池を交互に並べて隣り合う単電池1の電極端子部間を接続するようにしてもよい。
【0033】
(2)上記実施形態では、蓄電素子が電池である例を示したが、蓄電素子は、コンデンサなどであってもよい。
(3)上記実施形態では、電極端子部21Bの棒状部34にナット36を締結したが、これに限られず、電極端子部21Bにナット状の部分を設けてボルト状の締結部材を螺合させて締結してもよい。
【0034】
(4)上記実施形態では、電極端子部21Aを正極とし、電極端子部21Bを負極としたが、電極端子部21Bを正極とし、電極端子部21Aを負極としてもよい。
(5)上記実施形態では、複数の単電池11A,11Bを直列に接続する構成としたが、複数の単電池11A,11Bを並列に接続してもよい。
(6)単電池11A,11Bの個数は、上記実施形態の数に限られず、他の個数としてもよい。