(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の爆発ベントは、電池の爆発時の膨張圧力によって開放する構造であるので、電池の爆発の瞬間には、爆発ベントは閉じた状態であり、槽本体は密閉状態を維持している。そのため、槽本体は、爆発の瞬間には、爆発時の膨張圧力を爆発ベントが閉じた状態で受けることになる。例えば、爆発の瞬間から爆発ベントが開放までの時間は1秒未満のわずかの時間であるが、その間に槽本体は膨張圧力を受けることによって瞬間的に膨張することにより損傷を受ける。さらに、前記のような爆発が繰り返し行われる環境試験装置(例えば、複数の電池を収容している場合)などでは槽本体の損傷が顕著になり、例えば、槽本体が膨張変形したまま元の状態に戻らなくなるおそれがある。
【0008】
また最近では、二次電池における電池容量は増加していく傾向にあり、それに伴って、電池に蓄積されるエネルギーは大きくなるので、爆発時の膨張圧力はますます大きくなる。また、自動車搭載用二次電池や航空機用の二次電池などの需要も増大しており、これらの二次電池では、過充電など過酷な使用状態も想定されている。そのため、電池の加熱試験を行う環境試験装置は、爆発耐性の向上が要求されている。
【0009】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、電池の爆発による槽本体の損傷を抑え、爆発耐性を向上した環境試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためのものとして、本発明の環境試験装置は、試料としての電池が収容される収容空間を有し、収容空間と外部とを連通するベント開口を有する槽本体と、前記ベント開口を開閉する放圧ベントと、前記電池の熱暴走の初動期を検知する熱暴走検知部と、前記放圧ベントを開放させるベント駆動部と、前記熱暴走検知部が前記熱暴走の初動期を検知したときに、前記放圧ベントを開放させるように前記ベント駆動部を制御する駆動制御部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、熱暴走検知部が電池の熱暴走の初動期を検知したときに、駆動制御部は、ベント駆動部を駆動させる。これにより、放圧ベントが開放されるので、電池が爆発する直前で放圧ベントを開放することが可能である。したがって、槽本体の内部で電池が爆発したとしても、その爆発の時点では、放圧ベントはすでに開放されているため、電池の爆発による槽本体の損傷を抑え、爆発耐性を向上させることが可能である。
【0012】
また、前記熱暴走検知部は、温度検知部によって検知された前記電池の温度に基づいて前記熱暴走の初動期か否かを判定する判定部を有するのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、熱暴走検知部は、電池温度に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、熱暴走を早期かつ確実に検知することが可能になる。
【0014】
また、前記判定部は、前記電池の温度の増加率が所定の時間内において予め設定された所定の割合以上であるか否かによって、前記熱暴走の初動期か否かを判定するのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、熱暴走検知部は、電池の温度の増加率に基づいて熱暴走の初動期であることを正確に検知することが可能になる。例えば、電池の温度が熱暴走でない原因で一時的に上昇しても、熱暴走検知部の判定部は、電池の温度の増加率が所定の時間内において予め設定された所定の割合でないことによって、前記熱暴走の初動期でないことを判定することが可能になる。その結果、電池が熱暴走をしていない場合に誤って放圧ベントを開放するおそれが低減する。
【0016】
また、前記熱暴走検知部は、内部抵抗検知部によって検知された前記電池の内部抵抗に基づいて、前記熱暴走の初動期か否かを判定する判定部を有するのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、熱暴走検知部は、電池の内部抵抗に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、電池の温度変化に影響を受けることなく、熱暴走を早期かつ確実に検知することが可能になる。
【0018】
また、前記熱暴走検知部は、前記電池の膨張を検知する膨張検知部と、前記膨張に基づいて、前記熱暴走の初動期か否かを判定する判定部とを有するのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、熱暴走検知部は、電池の膨張に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、電池の温度変化に影響を受けることなく、電池の熱暴走を確実に検知することが可能になる。
【0020】
また、前記駆動制御部は、前記放圧ベントを予め設定された一定時間開放した後に当該放圧ベントを閉じるように、前記ベント駆動部を制御するのが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、電池が爆発した後に放圧ベントを自動的に閉じることが可能である。そのため、作業者による放圧ベントを閉じる作業が不要になり、作業者は環境試験装置を常時監視しなくてもよくなる。
【0022】
前記駆動制御部は、前記槽本体の内部の温度が予め設定された温度以下になったときに、前記放圧ベントを閉じるように前記ベント駆動部を制御するのが好ましい。
【0023】
電池が爆発した後に槽本体の内部の温度は瞬間的に上昇するが、その後、加熱試験を安全に行うことが可能な温度まで低下して安定している状態になれば、放圧ベントを閉じても安全上問題ないと考えられる。上記の構成によれば、電池が爆発した後に槽本体の内部の温度が予め設定された温度以下になったときに、放圧ベントを自動的に閉じることが可能である。そのため、作業者による放圧ベントを閉じる作業が不要になり、作業者は環境試験装置を常時監視しなくてもよくなる。
【0024】
前記放圧ベントを閉じることに関する信号を発信する手動の外部スイッチをさらに備え、前記駆動制御部は、前記外部スイッチから前記信号を受けたときに、前記放圧ベントを閉じるように前記ベント駆動部を制御するのが好ましい。
【0025】
かかる構成によれば、作業者が外部スイッチを手動で操作することにより、放圧ベントを任意のタイミングで閉じることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の環境試験装置によれば、電池の爆発による槽本体の損傷を抑え、爆発耐性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の環境試験装置の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0029】
図1に示される環境試験装置1は、試料を所定の温度条件に曝して試料に熱負荷を与える装置であり、試料としての電池Bの性能評価および安全性を評価するための試験(例えば、加熱試験)を行うことが可能である。電池Bは、充放電可能なリチウムイオン電池などの二次電池である。
【0030】
環境試験装置1は、本体部40と、放圧ベント4と、ベント駆動部13と、温度検知部11と、演算装置3とを備えている。
【0031】
本体部40は、槽本体2と、該槽本体2を支持する本体ケース41とを備える。
【0032】
槽本体2は、断熱壁によって囲まれた収容空間2aを有する。槽本体2の天井壁2cには、収容空間2aと外部とを連通するベント開口2dが形成されている。天井壁2cの上面には、ベント開口2dの周囲を囲む筒状のカバー2fが設けられている。試験対象となる電池Bは、収容空間2a内に収容される。
【0033】
また、槽本体2の前面側の開口2bには、扉2eが開閉自在に取り付けられている。扉2eは、扉ロック部6によってロックされる。さらに、槽本体2には、収容空間2a内部の空気の吸気および排気を行う吸排気ダンパ9が設けられている。
【0034】
さらに、図示されていないが、槽本体2の背面側には、収容空間2a内部の温度を調整する空調部が設けられており、槽本体2の収容空間2a内部を任意の温度に設定することが可能である。環境試験装置1は、例えば、恒温槽または恒温器などによって構成されている。
【0035】
なお、環境試験装置1は、温度及び湿度を設定して、収容空間2a内の雰囲気を設定温度および湿度に調整する恒温恒湿槽によって構成されてもよい。さらに、本発明は、その他のタイプの環境試験装置にも適用可能である。
【0036】
槽本体2の天井壁2cのベント開口2dには、放圧ベント4が開閉自在に取り付けられている。放圧ベント4は、具体的には、
図1〜2に示されるように、本体部21と、本体部21の開く角度を規制するストッパ部22と、当該本体部21とストッパ部22との間を連結する筒部23とを有している。本体部21は、ベント開口2dを全面的に覆うことが可能な面積を有する平板状の部分である。
【0037】
ストッパ部22は、放圧ベント4が開放している状態(
図3参照)において、本体部21が90度以上開かないように、本体部21の延びる方向から傾斜した角度で筒部23に連結されている。例えば、ストッパ部22は、放圧ベント2が閉じた状態(
図2参照)において、天井壁2cに対して90度未満の角度、例えば45度傾斜した位置になるように筒部23に連結されている。
【0038】
筒部23は、水平方向に延びる固定軸24に回転自在に支持されている。放圧ベント4は、固定軸24を回転軸として、上下方向に揺動することが可能である。固定軸24は、例えば、槽本体2の天井壁2c上面に設けられた筒状のカバー2fに対して両端固定されている。
【0039】
放圧ベント4は、
図2に示されるように、ベント駆動部13のロッド14によって押し上げられていない状態では、本体部21の自重によってベント開口2dを閉じる位置を維持している。
【0040】
ベント駆動部13は、放圧ベント4を開放させる機構である。具体的には、ベント駆動部13は、放圧ベント4を押し上げるロッド14と、モータ15とを有する。モータ15は、その回転軸の回転角を制御可能なサーボモータなどからなる。モータ15の回転駆動力は、例えば、ラック16とピニオンギヤ17(
図2〜3参照)によって、ロッド14を上下に駆動する力に変換される。ラック16は、ロッド14に形成されている。ピニオンギヤ17は、モータ15の回転軸に同軸状に固定されている。
【0041】
ロッド14の上端部14aは、ベント開口2dを通して放圧ベント4の本体部21の下面に当接している。
【0042】
温度検知部11は、電池Bの表面に取り付けられ、電池Bの表面温度を検知する。温度検知部11としては、従来公知の接触式の温度センサなどが用いられる。
【0043】
演算装置3は、判定部19と、ベント駆動部13を駆動制御する駆動制御部5とを有している。
【0044】
判定部19は、温度検知部11によって検知された電池Bの温度に基づいて熱暴走の初動期か否かを判定する。具体的には、判定部19は、電池Bの温度の増加率が所定の時間内において予め設定された所定の割合以上であるか否かによって、熱暴走の初動期か否かを判定する。
【0045】
前記の温度検知部11と、判定部19とによって、電池Bの熱暴走の初動期を検知する熱暴走検知部18が構成されている。
【0046】
ここで、
図4のグラフを参照して、加熱試験時における電池Bの熱暴走の初動期における電池温度の挙動について参照する。
【0047】
図4のグラフでは、槽本体2の収容空間2a内部の空気の温度をI、電池Bの表面温度をII、槽本体2の内壁面の温度をIII、扉2eの内面の温度IVで示している。
【0048】
加熱試験を開始するときには、電池Bは、収容空間2a内部に収容され、後述の電源装置10から所定の電圧(例えば12V)が印加された状態になっている。この状態で、槽本体2の収容空間2a内部の温度Iは、あらかじめ設定された温度に基づいて、時間経過とともに段階的に徐々に温度を上げている。このとき、電池Bの表面温度IIは、加熱試験の途中までは、収容空間2aの内部の温度Iとともに徐々に温度が上がる。また、槽本体2の内壁面の温度IIIおよび扉2eの内面の温度IVも、徐々に上がる。
【0049】
しかし、加熱試験が進行するにつれて、電池Bの熱暴走が生じ、電池Bは時間A(30秒程度)の間に表面温度IIが一定の割合以上で上昇する。そして、時間A経過後に、電池Bは爆発して、表面温度IIは急激に上昇してピークPの状態になる。このとき、槽本体2の内壁面の温度IIIおよび扉2eの内面の温度IVも急激に上昇する。電池Bは爆発した後、急激に表面温度IIが低下する。
【0050】
前記の
図4のグラフに示されるように、電池Bが爆発直前の時間Aの間に表面温度IIが急激に上昇するので、熱暴走検知部18では、温度検知部11によって電池Bの表面温度IIを検知し、電池Bの表面温度IIの増加率が所定の時間内(例えば1〜29秒)において予め設定された所定の割合以上であるか否かによって、電池Bが熱暴走の初動期であるか否かを判定する。
【0051】
駆動制御部5は、熱暴走検知部18が熱暴走の初動期を検知したときに、放圧ベント4を開放させるようにベント駆動部13を制御する。具体的には、駆動制御部5は、モータ15を作動させて、
図3に示されるように、ロッド14を上昇させるように制御する。
【0052】
一方、駆動制御部5は、放圧ベント4を予め設定された一定時間開放させ、当該一定時間経過後に放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御する。これにより、電池Bの爆発が終了した場合に放圧ベント4を自動的に閉じることが可能である。ここで、放圧ベント4を開放させるための「一定時間」は、例えば、加熱試験を行う前に、電池を事前に加熱試験することによって得られた熱暴走の初動期から爆発が終了するまでの時間に関するデータに基づいて、当該時間と同じかそれよりも若干長い時間になるようにあらかじめ設定される。
【0053】
また、収容空間2aに複数の電池Bが収容されている場合には、各電池Bに温度検知部11がそれぞれ取り付けられるようにすればよい。これにより、熱暴走検知部18の判定部19は、各電池Bごとに、温度検知部11によって検知された電池Bの温度に基づいて熱暴走の初動期か否かを判定することが可能である。その結果、駆動制御部5は、熱暴走検知部18が各電池Bの熱暴走の初動期を検知するごとに、放圧ベント4を開放させるようにベント駆動部13を制御することが可能である。なお、ある電池の熱暴走の初動期を検知したことに基づいて放圧ベント4を開放しているときに、他の電池の熱暴走の初動期が検知された場合には、駆動制御部5は、最新の検知の時点からあらかじめ設定された一定時間、放圧ベント4の開放が継続されるように、ベント駆動部13を制御すればよい。つまり、放圧ベント開放時間の計時を一旦リセットし、再度計時するようにすればよい。
【0054】
また、環境試験装置1は、槽本体2の収容空間2a内部に収容された電池Bに所定の電圧を印加する電源装置10と、槽本体2の天井壁2cの内面の温度を検知する天井温度検出部12とをさらに備えている。
【0055】
また、本体部40には、ガス検知指示部7が設けられている。ガス検知指示部7は、槽本体2の収容空間2a内に爆発性のガス(水素など)を検知したときに、吸排気ダンパ9に対して、収容空間2a内部の空気の排気させるように指示する。また、槽本体2の収容空間2a内部には、電池Bが爆発したときに収容空間2a内に消化剤を噴射するための消化剤噴霧部8が設けられている。
【0056】
前記のように構成された環境試験装置1では、
図5に示されるフローチャートに示される手順で、駆動制御部5は、放圧ベント4の開閉を行うための制御を行う。
【0057】
まず、加熱試験を行う前に、電池Bの熱暴走の初動期における参照用の温度増加率をあらかじめ設定して、駆動制御部5に記憶させる。ここで、電池Bの参照用の温度増加率は、加熱試験を行う前に、電池を事前に加熱試験することによって得られたデータに基づいて設定してもよい。
【0058】
その後、
図5のフローチャートのステップS1に示されるように、電池Bの加熱試験を開始し、試験中は、熱暴走検知部18の温度検知部11によって電池Bの表面温度を所定の時間間隔(例えば1秒ごと)に検出する。
【0059】
熱暴走検知部18の判定部19は、電池Bの温度増加率が所定の時間内(例えば1〜29秒)において予め設定された所定の割合(すなわち、前記参照用の温度増加率)以上であるか否かによって、熱暴走の初動期か否かを判定する(ステップS2)。具体的には、判定部19は、温度検知部11によって検出された電池Bの表面温度の時間変化のデータに基づいて電池Bの温度増加率を求め、当該温度増加率を参照用の温度増加率と比較する。求められた温度増加率が参照用の温度増加率以上であれば、判定部19は、熱暴走の初動期であると判定する。参照用の温度増加率未満であれば、電池温度検出(ステップS1)を繰り返す。
【0060】
前記のようにステップS2において熱暴走検知部18が熱暴走の初動期を検知したときに、駆動制御部5は、放圧ベント4を開放させるようにベント駆動部13を制御する(ステップS3)。具体的には、駆動制御部5は、モータ15を作動させて、
図3に示されるように、ロッド14を上昇させ、それにより、放圧ベント4は、回転軸24回りに時計方向に回転し、ベント開口2dを開放させる。放圧ベント4が開放した状態では、ストッパ部22が槽本体2の天井壁2cに当接するので、放圧ベント4の本体部21の開く角度は90度以下に規制される。このとき、駆動制御部5は、放圧ベント4が開放してからあらかじめ設定された一定時間T0が経過するまで待機する(ステップS4)。
【0061】
この間に電池Bの熱暴走がさらに進行すれば、前記のように放圧ベント4が開放した状態で、電池Bは槽本体2内で爆発する。これにより、爆発が終了するまで放圧ベント4を開放した状態で維持することが可能である。
【0062】
一定時間が経過した後、駆動制御部5は、ベント駆動部13のモータ15を作動させて、
図2に示される初期位置までロッド14を下降させる(ステップS5)。それにより、放圧ベント4は、本体部21の自重により、回転軸24回りに反時計方向に回転し、ベント開口2dを閉じる。
【0063】
(特徴)
(1)
前記実施形態の環境試験装置1では、熱暴走検知部18が電池Bの熱暴走の初動期を検知したときに、駆動制御部5は、ベント駆動部13を駆動させる。これにより、放圧ベント4が開放されるので、電池Bが爆発する直前で放圧ベント4を開放することが可能である。したがって、槽本体2の内部で電池Bが爆発したとしても、その爆発の時点では、放圧ベント4はすでに開放されているため、電池Bの爆発による槽本体2の損傷を抑え、爆発耐性を向上させることが可能である。これにより、環境試験装置1の爆発耐性が高まる。また、環境試験装置1の繰り返し耐性も向上し、環境試験装置1の耐性寿命も向上する。さらに、作業者の安全性も向上する。
【0064】
(2)
前記実施形態の環境試験装置1では、駆動制御部5は、放圧ベント4を予め設定された一定時間開放させ、当該一定時間経過後に当該放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御する。そのため、電池Bが爆発した後に放圧ベント4を自動的に閉じることが可能である。これにより、作業者による放圧ベント4を閉じる作業が不要になり、作業者は環境試験装置を常時監視しなくてもよくなる。
【0065】
(3)
前記実施形態の環境試験装置1では、熱暴走検知部18は、温度検知部11によって検知された電池Bの温度に基づいて熱暴走の初動期か否かを判定する判定部19を有する。これにより、熱暴走検知部18は、電池Bの温度に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、熱暴走を早期かつ確実に検知することが可能になる。また、電池Bの加熱試験で従来から用いられている電池Bの温度を検知するセンサを熱暴走検知部18の温度検知部11として用いることが可能であるので、部品点数の増加を抑えることが可能である。
【0066】
(4)
前記実施形態の環境試験装置1では、判定部19は、電池Bの温度の増加率が所定の時間内において予め設定された所定の割合(例えば、あらかじめ設定された参照用の温度増加率)以上であるか否かによって、熱暴走の初動期か否かを判定する。そのため、熱暴走検知部18は、電池Bの温度増加率に基づいて熱暴走の初動期であることを正確に検知することが可能になる。例えば、電池Bの温度が熱暴走でない原因で一時的に上昇しても、熱暴走検知部18の判定部19は、電池Bの温度増加率が所定の時間内において予め設定された所定の割合でないことによって、熱暴走の初動期でないことを判定することが可能になる。その結果、電池Bが熱暴走をしていない場合に誤って放圧ベント4を開放するおそれが低減する。
【0067】
(変形例)
前記実施形態では、熱暴走検知部18は、電池Bの熱暴走の初動期を検知するために、電池Bの表面温度を検出する温度検知部11を有していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の手段によって、熱暴走の初動期を検知するようにしてもよい。
【0068】
例えば、本発明の変形例として、熱暴走検知部18は、前記の温度検知部11の代わりに、電池Bの内部抵抗を検知する内部抵抗検知部20(
図1参照)を有し、判定部19は、内部抵抗検知部20によって検知された内部抵抗に基づいて、熱暴走の初動期か否かを判定するようにしてもよい。
【0069】
内部抵抗検知部20は、例えば、電源装置10と電池Bとを接続する配線の途中に接続される。内部抵抗検知部20は、例えば、電源装置10から電池Bへの電圧の印加を瞬間的に止めている間に、電池Bに試験用の電圧または電流を与えることにより、内部抵抗を検知する。
【0070】
前記の変形例では、熱暴走検知部18は、電池Bの内部抵抗に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、電池Bの温度変化に影響を受けることなく、熱暴走を早期かつ確実に検知することが可能になる。また、電池Bの加熱試験で従来から用いられている電池Bの内部抵抗を検知する電流計などを内部抵抗検知部として用いることが可能であるので、部品点数の増加を抑えることが可能である。
【0071】
また、熱暴走検知部18は、温度検知部11および内部抵抗検知部20を両方有していてもよく、その場合、判定部19は、電池Bの温度および内部抵抗の両方に基づいて、熱暴走の初動期か否かを判定することも可能であり、さらに、判定の精度が向上する。
【0072】
また、本発明の他の変形例として、熱暴走検知部18は、電池Bの膨張を検知する膨張検知部を有し、判定部19は、その膨張に基づいて熱暴走の初動期か否かを判定するようにしてもよい。
【0073】
膨張検知部としては、例えば、電池Bの表面に貼り付けたひずみゲージを用いることが可能である。さらに、膨張検知部の他の例としては、電池Bの外形形状に関する画像情報を読み取る読取部、および該読取部によって読み取られた画像情報を初期状態の外形形状に関する画像情報と比較して外形形状の変化に基づいて熱暴走の初動期か否かを判定する判定部を有する構成を用いてもよい。
【0074】
前記の他の変形例では、熱暴走検知部18は、電池Bの膨張に基づいて熱暴走の初動期であることを検知することが可能になり、電池Bの温度変化に影響を受けることなく、電池Bの熱暴走を確実に検知することが可能になる。
【0075】
また、熱暴走検知部18は、膨張検知部だけでなく、前記の温度検知部11および内部抵抗検知部20を有していてもよく、その場合、判定部19は、電池Bの温度および内部抵抗だけでなく電池の膨張に基づいて、熱暴走の初動期か否かを判定することも可能であり、さらに、判定の精度が向上する。
【0076】
また、前記実施形態では、ベント駆動部13は、ロッド14を上下駆動させるためにモータ15を有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧縮空気によってロッドを上下駆動させるようにしてもよい。
【0077】
すなわち、本発明のさらに他の変形例として、
図6〜7に示されるベント駆動部31は、ロッド32と、ロッド32を上下に摺動自在に収容するシリンダ33と、シリンダ33に圧縮空気を供給するエア供給源34とを有している。また、ベント駆動部31は、シリンダ33とエア供給源34との間の空気流路35に配置された空気貯留部38および電磁弁39をさらに有している。電磁弁39は、空気貯留部38とシリンダ33との間に配置されている。
【0078】
この構成では、
図6に示されるように、放圧ベント4が閉じている状態では、ロッド32はシリンダ33内部の所定の下方位置まで挿入されている。このとき、電磁弁39は閉じた状態で、空気貯留部38には、エア供給源34から送り込まれた圧縮空気が溜められている。そして、ベント駆動部31が放圧ベント4を開放させるときには、
図7に示されるように、電磁弁39を開放させることにより、空気貯留部38に溜められた圧縮空気がシリンダ33の内部空間36へ送り込まれことにより、圧縮空気の圧力を受けたロッド32が即座に上昇し、ロッド32の上端部32aが放圧ベント4を押し上げる。これにより、放圧ベント4を瞬時に開放することが可能なる。
【0079】
なお、放圧ベント4を閉じる場合には、例えば、シリンダ33などに設けられた大気開放用の電磁弁(図示せず)を開放することにより、圧縮空気をシリンダ33の外部に抜き、放圧ベント4の本体部21およびロッド32の自重によって下降させればよい。
【0080】
また、本発明のベント駆動部は、放圧ベント4を開閉する機構であれば、前記実施形態のようにロッドを上下に駆動する機構だけでなく、種々の機構を採用することが可能である。例えば、放圧ベント4がステッピングモータの回転軸に直接連結された機構や、放圧ベント4を槽本体2の外部から引っ張り上げる機構であっても、本発明のベント駆動部に採用することが可能である。
【0081】
また、前記実施形態では、放圧ベント4を閉じる条件として、ベント開放から所定時間経過したことを条件(
図5のステップS4参照)としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、放圧ベント4を閉じる他の条件として、前記所定時間経過の条件(ステップS4)に代えて、駆動制御部5は、槽本体2の内部の温度として、例えば天井壁2cの内面の温度が予め設定された温度以下になったときに、放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御してもよい。ここで、所定の温度としては、例えば、爆発終了後に天井壁2cの内面の温度が加熱試験を安全に行うことが可能な温度まで低下して安定している状態の温度と同じかわずかに高い温度が設定される。
【0082】
本体2の天井壁2cの内面の温度が所定の温度以下であれば、駆動制御部5は、ベント駆動部13のモータ15を作動させて、
図2に示される初期位置までロッド14を下降させるようにすればよい。これによって、電池Bが爆発した後に槽本体2の天井壁2cの内面の温度が予め設定された温度以下になったときに、放圧ベント4を自動的に閉じることが可能である。そのため、作業者による放圧ベント4を閉じる作業が不要になり、作業者は環境試験装置1を常時監視しなくてもよくなる。なお、上記の変形例では、槽本体2の内部の温度の一例として、天井壁2cの内面の温度を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、槽本体2の内部における天井壁2c以外の部位の温度に基づいて、駆動制御部5が放圧ベント4を閉じる制御を行うようにしてもよい。
【0083】
なお、放圧ベント4を閉じる条件として、前記の2つの条件の両方を満たす場合(すなわち、ベント開放から一定時間経過し、かつ、槽本体内部の温度が設定された温度よりも低下した場合)に、駆動制御部5は放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御してもよい。
【0084】
また、放圧ベント4を閉じる他の手段として、放圧ベント4を閉じることに関する信号を発信する手動の外部スイッチをさらに備え、駆動制御部5は、当該外部スイッチから前記信号を受けたときに、放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御してもよい。この構成によれば、作業者が外部スイッチを手動で操作することにより、放圧ベント4を任意のタイミングで閉じることが可能である。なお、作業者は放圧ベント4を指又は手で直接押すことによって、放圧ベント4を手動で閉じるようにしてもよい。
【0085】
さらに、放圧ベント4を閉じる条件として、爆発時の音や振動を利用してもよい。たとえば、槽本体2の内部に電池Bの爆発時の音や振動を検知する振動検知部を備えておき、当該振動検知部が爆発時の音や振動を検知した後に、駆動制御部5が、放圧ベント4を閉じるようにベント駆動部13を制御するようにすればよい。