特許第5965388号(P5965388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965388パルス・モードにおけるグロー放電分光分析測定のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965388
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】パルス・モードにおけるグロー放電分光分析測定のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/10 20060101AFI20160721BHJP
   G01N 27/68 20060101ALI20160721BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01J49/10
   G01N27/68 Z
   G01N27/62 K
   G01N27/62 L
   G01N27/62 H
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-504321(P2013-504321)
(86)(22)【出願日】2011年4月14日
(65)【公表番号】特表2013-524471(P2013-524471A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】FR2011050865
(87)【国際公開番号】WO2011128600
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】1052883
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504458736
【氏名又は名称】オリバ ジョビン イボン エス. アー. エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】シャポン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ロジュリュー オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】タンペ アニエス
【審査官】 佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−150478(JP,A)
【文献】 特表2003−532986(JP,A)
【文献】 特開平09−082496(JP,A)
【文献】 特開2006−078455(JP,A)
【文献】 特開2005−148052(JP,A)
【文献】 Valledor R. et al., ,"Direct chemical in-depth profile analysis and thickness quantification of nanometer multilayers using pulsed-rf-GD-TOFMS",ANALYTICAL & BIOANANLYTICAL CHEMISTRY,2010年 1月16日,Vol. 396, No. 8,pages 2881-2887
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−27/70、27/92、
H01J 40/00−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス・グロー放電分光分析による固体サンプルの測定方法であって、
a)キャリアガスおよび分析すべきサンプル(4)の存在下で、グロー放電ランプ(1)の電極(3)の端子においてパルス高周波電場を適用し、前記グロー放電ランプが、可変電気インピーダンスΩを持つインピーダンス整合デバイス(17)に電気的に接続されて、パルス・グロー放電プラズマ(9)を生成し前記グロー放電ランプに適用される電気的パルスの持続時間がτに等しく、前記グロー放電ランプに適用される前記パルス高周波電場の繰り返し周波数がFに等し、および前記グロー放電ランプに適用される前記パルス高周波電場の周期的な比率がτ×Fに等しいステップ;
b)所定のm/z比を有するイオン化された種を示す少なくとも1つの信号を質量分析によって測定し、この測定が、1/τより高い取得周波数Fで行われるステップ;
c)プラズマ・パルスの少なくとも一部の間において、前記パルスに同期した高速デジタル測定取得システムにより、パルス高周波電場発電機(6)と放電ランプの電極の間のインピーダンス不整合ΔΩを示す信号を測定し、前記高速デジタル測定取得システムは、1/τより高い取得周波数Fを有するステップ;
d)インピーダンス整合デバイスに供給されるべきインピーダンス変動dΩを、インピーダンス不整合ΔΩを示す信号の測定の関数として決定するステップ;
e)ステップd)で決定されたdΩの値の関数として、いくつかのパルスにわたる連続的方法でのインピーダンス整合デバイスのインピーダンスΩを修正するステップ;および
f)インピーダンス不整合ΔΩを最小化するように、c)からe)のステップを繰り返すステップ
を備えた測定方法。
【請求項2】
前記インピーダンス不整合ΔΩを示す信号の測定が、反射電力の測定および/または電流−電圧の位相シフトの測定を含むことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記インピーダンス整合デバイスのインピーダンスΩの実部Re(Ω)および虚部Im(Ω)の変動が、前記整合デバイス(17)の少なくとも2つのコンポーネント(17a、17b、17c)のインピーダンス値を調整することによって得られることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の測定方法。
【請求項4】
インピーダンス不整合ΔΩを最小化するための、発電機(6)の高周波周波数の変動ステップを更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
【請求項5】
パルスの繰り返し周波数Fが0.1kHz〜20kHzの間に含まれ、またパルスの周期的な比率τ×Fが5%〜50%の間に含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
【請求項6】
‐パルス・モードで作動可能で、持続時間τおよび繰り返し周波数Fの電気的パルス(20)を備える高周波電場を生成することができる高周波電場発電機(6);
‐電極、ポンプ手段(7)およびキャリアガス(8)を導入するための手段を備え、分析すべき固体サンプル(4)を受容し、グロー放電プラズマ(9)を生成することができる放電ランプ(1);
‐前記放電ランプ(1)に接続され、そして1/τより高い取得周波数Fで、所定のm/z比を有するイオン化されたプラズマ種を示す少なくとも1つの信号を測定することができる質量分析計(15)、および
‐一方でパルス高周波電場発電機(6)に、他方で放電ランプ(1)の電極に電気的に接続され、パルス高周波発電機(6)により供給される電力を前記放電ランプ(1)に送電することができ、可変電気インピーダンスΩを有するインピーダンス整合デバイス(17)
を備えたグロー放電分光分析装置であって、
発電機(6)と放電ランプ(1)の間のインピーダンス不整合ΔΩを示す信号を測定することができる高速デジタル測定システム(18)を備え、この高速デジタル測定システム(18)は、プラズマ・パルスに同期し、1/τより高いか等しい取得周波数Fを有し、前記パルスの少なくとも一部においてインピーダンス不整合ΔΩを示す信号をインピーダンス整合デバイス(17)提供することができる高速取得システムを備えており、そして
前記インピーダンス整合デバイス(17)は、前記可変電気インピーダンスΩの連続的変動を生成するように構成された電気機械コンポーネントを備えている
ことを特徴とするグロー放電分光分析装置。
【請求項7】
前記インピーダンス整合デバイス(17)が、該整合デバイス(17)のインピーダンスΩの実部Re(Ω)および虚部Im(Ω)を、いくつかのパルスにわたる連続的方法で、修正することができる少なくとも2つの可変静電容量および/または可変インダクタンス電磁気コンポーネント(17a、17b、17c)を備えていることを特徴とする請求項6に記載のグロー放電分光分析装置。
【請求項8】
発電機の高周波周波数を変えることができ、インピーダンス不整合ΔΩの測定に従動する周波数変動デバイスを更に備えていることを特徴とする請求項6〜7のいずれかに記載のグロー放電分光分析装置。
【請求項9】
前記高速デジタル測定システム(18)が、反射電力の測定および/または電流−電圧の位相シフトの測定を備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のグロー放電分光分析装置。
【請求項10】
前記質量分析計(15)が、飛行時間型分光計あるいは4極(four-pole)分光計あるいは扇形磁場分光計あるいはフーリエ変換型質量分析計であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のグロー放電分光分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス・グロー放電分光分析測定のための方法および装置に関する。グロー放電分光分析は、固体サンプルまたは薄膜の積層体の元素化学組成の定量分析に用いられ、この分析は、所定の深度について行ない得る。
【背景技術】
【0002】
グロー放電分光計では、分析されるサンプルは、表面アブレーションを行うエッチング・プラズマに曝露される。さらに、このプラズマは、様々な物理化学的メカニズムによって、浸食された種を励起させてイオン化する。プラズマ中に存在する種は、次いで、励起した種のための光学分光計、および/またはイオン化された種のための質量分析計によって、サブミクロン分解能で、浸食深さの関数としてサンプルの化学組成プロファイルを得ることを可能にする。
【0003】
グロー放電分光分析は、当初は、直流(DC)電源の使用により材料と導電層に制限されていたが、現在は、高周波(RF)電源の使用のおかげで半導体と絶縁材を分析することが可能となった。
【0004】
グロー放電分光計(GDS)が知られている。GDS装置は、一般に、内部に分析されるサンプルが配置される「ランプ」と呼ばれる機械装置を備え、そのランプ本体は、光学分光計および/または質量分析計に接続される。図1は、先行技術による放電ランプの概略断面図である。放電ランプ1は、真空室2の内部に陽極管3を備えている。前記ランプ内に配置され、陽極管3の端に面したサンプル4は、前記装置の第2の電極を形成する。ポンプシステム7は、前記ランプ中の主要な真空を生むために作動し、また、「キャリヤガス」(一般にアルゴン)と呼ばれるガス8が、低圧の下で導入される。発電機6は、前記ランプの電極に電場を供給するために作動し、また、電子11、基本状態または励起状態の中性原子12およびイオン化された種からなるプラズマ9を生成する。この生成は、プラズマ9を陽極管3の内部に閉じ込めたままで行われる。プラズマ9は、イオン衝撃によって、陽極管の端に対向するサンプル表面を、直径がほぼ陽極管の直径のクレーターを形成するように浸食する。プラズマ9中に存在するイオン化された種13は、質量分析計15で測定され、および/または励起種は光学分光計で測定される。更に詳細には、mが原子質量で、zがイオン化された種の電荷である場合、質量分析計はそれらの質量/電荷比(m/z)の関数としてイオンを分離する質量分析器を含む。したがって、グロー放電分光計は材料と薄膜を分析することを可能にする。しかしながら、GDL源が、高い浸食速度(毎秒約2〜100nm)を持つには、分光計に高速取得を可能にさせ、その多元素情報を提供させることが必要である。これは、多重チャンネル光学分光計および/または非常に早い飛行時間型質量分析計を使用して得られるであろう。質量分析計と光学分光計とのコンビネーションも検討され、実際、実験用器具として作られた。
【0005】
高周波グロー放電分光計では、高周波発電機は、例えばサンプル4に接する高周波アプリケータ5によって前記放電ランプに電力を供給する。高周波発電機には50オームの出力インピーダンスがある。前記発電機は、原則として、前記発電機の出力インピーダンス(すなわち、50オーム)にそのインピーダンスが適合した電気回路に常に接続されていなければならない。発電機と放電ランプの間に配置されたインピーダンス整合デバイスは、前記放電ランプ、前記プラズマおよび前記サンプルによって形成された電気系のインピーダンスに前記発電機の出力インピーダンスを適合させるために作動する。しかしながら、電気系のインピーダンスは、プラズマの条件およびサンプルの性質の両方の関数として変化する。
【0006】
非パルス高周波グロー放電分光計では、インピーダンス整合デバイスは、例えば反射電力の測定に基づいて、インピーダンス不整合測定システムに従動する。このように従動したインピーダンス整合デバイスは、反射電力を最小化しつつ、プラズマへの電力の伝達を最適化することを可能にする。
【0007】
インピーダンス整合デバイスは、一般に、該デバイスのインピーダンスの設定のために可変静電容量および/または可変インダクタンスの電気的なコンポーネントを含む。前記発電機によって供給される電力は、比較的高く(数Wから100Wまで)、可変インピーダンス・コンポーネントは、一般に、例えばインピーダンス変化の延長範囲に亘って供給された電力に適合する可変コンデンサーあるいは可変インダクタンス・コイルなどの電気機械型コンポーネントである。図2は、インダクタンス・コイル17aおよび2つの可変コンデンサー17b、17cを備える既知のインピーダンス整合システム17の典型的な形態を概略的に示す。機械操作が、コンポーネントのインピーダンス値(静電容量またはインピーダンス)を調整するために作動し、これにより整合デバイスのインピーダンスの実部(ReΩ)および虚部(ImΩ)を調整する。既知の可変コンデンサーは、例えば、その間隔が機械的に可変の平板コンデンサーである。既知の可変インピーダンス・コイルは、例えば、使用される巻き数を変更するようにその電気接点が変更されるコイルである。インピーダンス整合デバイスは、複素表示(実部・虚部)によって文献中でモデル化され、また、2つのパラメーターが反射電力を最小化するようにコントロールされなければならない。サンプルによる反射電力および/または電流−電圧の位相シフトの測定に電気機械コンポーネントの位置を従動させるように、GDS測定が始められるかモーター駆動される前に、インピーダンス整合がオペレーターによって手動で行なわれてもよい。
【0008】
したがって、非パルス高周波グロー放電分光計では、従動されたインピーダンス整合デバイスは、反射電力を最小化し、分光計の測定の始まりおよびその測定の間における、電流−電圧の位相シフトを0度近くに持って来ることを可能にする。しかしながら、一方で、インピーダンスの不整合を示す信号を測定する装置の緩慢により、他方で、電気機械式インピーダンス整合デバイスの緩慢により、インピーダンス整合プロセスは必然的に遅延する。インピーダンス整合を得るための応答時間は約0.5〜10秒である。
【0009】
インピーダンス整合デバイスは、発電機の周波数を調整し、インピーダンス不整合を調整することを可能にする周波数変動デバイスに連結するかもしれない。周波数変動デバイスは、約0.1秒の高速応答時間を持つ。しかしながら、それはたった1つの電気的パラメーターを修正することを可能にするだけで、常にそのままで反射電力を完全に最小化するわけではない。
【0010】
インピーダンス不整合を補償する別の方法は、高周波発電機によって提供される電力を高めることにある。しかしながら、供給された付加的な電力は、サンプル中の熱応力を引き起こしがちな熱エネルギーとして特に明確にされる。特に、熱応力が有害になり得る脆弱な材料や多層サンプルの場合においては、サンプルに接する冷却回路が存在しても、最適化された電力でさえ、サンプル上で引き起こされた温熱を減少するのに必ずしも十分でない。
【0011】
近年における、グロー放電分光分析における主な進歩は、パルス高周波電源の導入によるものである。パルス高周波電源は、パルスの周期的な比率の最適化によって、材料浸食および解析信号取得に関与する瞬時電力、およびサンプルの温熱に関与するサンプルに提供される平均電力を互いに単独で制御できるようにする。
【0012】
グロー放電光学分光分析において、パルス高周波電源を使用する主な利点は、特に脆弱な材料のために引き起こされる熱応力の最小化にある。
【0013】
グロー放電質量分析おいて、プラズマ中に存在する種のイオン化のメカニズムが高周波電源の周期中に変わるので、パルス高周波電源の使用には顕著な付加的利点がある。図3Aは、時間τの間に電気的パルス20を生成するために、高周波発電機によって提供される電力Pを概略的に示す。図3Bは、電気的パルスの開始直前、パルス中、およびこの電気的パルスの停止後の、質量分析によって得られた測定を概略的に示す。この質量分析信号は、それぞれ「プレピーク域」31、「平坦域」32および「アフターグロー域」33と呼ばれる異なる時間帯に亘って分析されてもよく、脆弱な材料のためばかりでなく、いかなる材料および薄膜の積層体のタイプのための情報における独創的で豊富な分析の組み合わせを提供する。図3Bにおける、実線および破線で示される2本の曲線は、それぞれ、2つの異なる要素、例えば、実線曲線のキャリヤガス、破線曲線のサンプルからの要素の質量分析による検証に相当する。
【0014】
より正確には、イオン信号は、通常、プラズマ・パルスの消滅後の「アフターグロー域」ゾーン33においてより強く表れる。N.Tuccitoら(Rapid Comm.mass Spectrom.2009,23:549−556)の刊行物は、質量分析信号の最大限の時間分布が各要素に特有であることを示す。この刊行物はまた、飛行時間型質量分析計による各要素の測定を最適化するのを可能にするだけでなく、異なる分子構造以外の同様の元素組成を有するポリマーを識別することを可能にする、イオン化された分子断片の分析も可能にすることを明示している。L.Loboらの刊行物(分析目的のための、非パルス高周波およびパルス高周波グロー放電直交飛行時間型質量分析の比較、J.Anal.At.Spectrom.,2009,24,1373−1381)は、連続(パルス化されていない)モードで得られたものよりもパルス・モードではるかに高い、グロー放電質量分析信号/バックグラウンド比率、そして、感度を得ることが可能なことを示した。さらに、Loboらの刊行物は、パルス・モードにおける1つの構成単位の時間間隔の正確な選択が、イオン分離、同位体比測定の精度および再現性精度の観点から実行性を最適化することを可能にする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「Rapid Comm.mass Spectrom.2009,23:549−556」 N.Tuccito 他
【非特許文献2】「分析目的のための、非パルス高周波およびパルス高周波グロー放電直交飛行時間型質量分析の比較、J.Anal.At.Spectrom.,2009,24,1373−1381」 L.Lobo 他
【0016】
今日では、パルス・モードにおける同時あるいは準同時の質量分析測定(飛行時間型装置にあるような)を実行できることが極めて決定的に見える。
【0017】
しかしながら、多層サンプルの場合には、例えば、材料のインピーダンスは、浸食の深さの関数として変換される。さらに、インピーダンス整合システムは、非常に速い応答時間を有し、また、インピーダンス不整合測定システムは、連続信号を対象とする。現在に至る従動インピーダンス整合デバイスは、パルス・モードで十分に作動しない。何故なら、それらは、一般に整合ボックスの電気機械コンポーネントの不安定な動作を引き起こし、そして、始動時あるいは層変換時における反射電力を最小化できないからである。整合ボックスの電気機械コンポーネントのそのような不安定な動作、そして、インピーダンスの不安定な変更を回避する解決策は、一般に、整合ボックスの従動のためのシステムを禁じることである。したがって、測定を最適化したいオペレーターは、始動時にインピーダンス整合デバイスを固定位置に予めセットして反射電力を最小化し、その後、サンプルの浸食中に入射電力を高めることによるわずかな相違を補うことによって、一連のトライ・アンド・エラーを通じて作業を行わなければならない。このようなトライ・アンド・エラー法は、たった1つの標本で時々利用可能であるサンプルには破壊的かもしれない。さらに、パルス・モードを使用する1つの目的がまさに引き起こされた熱応力を減少させることであったとしても、供給される電力を増大することは、必然的に、サンプル中の熱応力を引き起こす。
【0018】
今日まで、0.5秒以下の応答時間でインピーダンス整合をリアルタイムに従動することを可能にし、また200Wまでの電力の送電が可能であるインピーダンス整合デバイスおよびインピーダンス不整合測定システムは存在しない。また、パルス・モードにおける高周波発電機のオペレーションと互換性をもつインピーダンス整合およびインピーダンス不整合測定システムは存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、これらの欠点を改善し、パルス質量分析測定のための方法および装置を改良することを目的とする。本発明は、引き起こされた熱応力を減少させつつ、パルス・モードで作動するグロー放電質量分析計(特に、多層サンプルのための)への電力のカップリングを特に最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、更に詳細には、次のステップを備えた、パルス・グロー放電分光分析による固体サンプルの測定方法に関する:
a)キャリアガスおよび分析すべきサンプルの存在下で、グロー放電ランプの電極の端子においてパルス高周波電場を適用し、前記グロー放電ランプが、可変電気インピーダンスΩを持つインピーダンス整合デバイスに電気的に接続されて、パルス・グロー放電プラズマ、持続時間がτに等しい電気的パルス、繰り返し周波数がFに等しいパルス、および周期的な比率がτ×Fに等しいパルスを生成するステップ;
b)所定のm/z比を有するイオン化された種を示す少なくとも1つの信号を質量分析によって測定し、この測定が、1/τより高い取得周波数Fで行われるステップ;
c)プラズマ・パルスの少なくとも一部の間において、前記パルスに同期した高速測定取得システムにより、パルス高周波電場発電機と放電ランプの電極の間のインピーダンス不整合ΔΩを示す信号を測定し、前記高速取得システムは、1/τより高い取得周波数Fを有するステップ;
d)インピーダンス整合デバイスに供給されるべきインピーダンス変動dΩを、インピーダンス不整合ΔΩを示す信号の測定の関数として決定するステップ;
e)ステップd)で決定されたdΩの値の関数としてインピーダンス整合デバイスのインピーダンスΩを修正するステップ;
f)インピーダンス不整合ΔΩを最小化するように、c)からe)のステップを繰り返すステップ。
【0021】
様々な態様によれば、本発明の方法は、さらに次のステップのうちの1つあるいはいくつかのものを備える:
‐インピーダンス不整合ΔΩを示す信号の測定は、反射電力の測定および/または電流−電圧の位相シフトの測定を含み;
‐前記整合デバイスのインピーダンスΩの実部Re(Ω)および虚部Im(Ω)の変動は、整合デバイスの少なくとも2つのコンポーネントのインピーダンス値を調整することによって得られ;
‐インピーダンス不整合ΔΩを最小化するために発電機の高周波周波数を変動させるステップ。
【0022】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、パルスの繰り返し周波数Fは0.1kHz〜20kHzの間に含まれ、またパルスの周期的な比率τ×Fは5%〜50%の間に含まれる。
【0023】
本発明は、また、
‐パルス・モードで作動可能で、持続時間τおよび繰り返し周波数Fの電気的パルスを含む高周波電場を生成することができる高周波電場発電機;
‐電極、ポンプ手段およびキャリアガスを導入するための手段を含み、分析すべき固体サンプルを受容し、グロー放電プラズマを生成することができる放電ランプ;
‐前記放電ランプに接続され、そして1/τより高い取得周波数Fで、所定のm/z比を有するイオン化されたプラズマ種を示す少なくとも1つの信号を測定することができる質量分析計、および
‐一方でパルス高周波電場発電機に、他方では放電ランプの電極に、電気的に接続され、パルス高周波発電機により供給される電力を前記放電ランプに送電することができ、可変電気インピーダンスΩを有するインピーダンス整合デバイス
を備えたグロー放電分光分析装置に関する。
【0024】
本発明によれば、グロー放電分光分析装置は、発電機と放電ランプの間のインピーダンス不整合ΔΩを示す信号を測定することができる測定システムを備え、この測定システムは、プラズマ・パルスに同期し、1/τより高いか等しい取得周波数Fを持ち、前記パルスの少なくとも一部においてインピーダンス不整合ΔΩを示す信号を持つインピーダンス整合デバイスを提供することができる高速取得システムを備えている。
【0025】
好ましい実施形態によれば、前記整合デバイスは、インピーダンスΩをインピーダンス不整合を表す測定値の関数として適合させて、インピーダンス不整合ΔΩを連続的に最小化する。
【0026】
本発明の分光分析装置の様々な形態によれば:
‐インピーダンス整合デバイスは、該整合デバイスのインピーダンスΩの実部Re(Ω)および虚部Im(Ω)を修正することができる少なくとも2つの可変静電容量および/または可変インダクタンス電磁気コンポーネントを備え;
‐分光分析装置は、更に、発電機の高周波周波数を変えることができ、インピーダンス不整合ΔΩの測定に従動する周波数変動デバイスを備え;
‐インピーダンス不整合測定システムは、反射電力の測定および/または電流−電圧の位相シフトの測定から成り;
‐質量分析計は、飛行時間型分光計あるいは4極(four-pole)分光計あるいは扇形磁場分光計あるいはフーリエ変換型質量分析計である。
【0027】
本発明は、パルス・モードで作動するグロー放電質量分析に特に有利な応用を見つけるだろう。
【0028】
本発明は、また、次の記述によって明らかにされ、単独であるいはその任意の技術的に可能な組み合わせで考慮される特性に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
非限定的な例によって与えられるそのような記述により、添付図を参照して、本発明がどのように実行されるのかについてより良く理解できるであろう。
図1】先行技術によるグロー放電ランプの概要の断面図である。
図2】発電機、インピーダンス整合システムおよび先行技術による放電ランプの間を接続するための電気回路の概略図である。
図3A】パルス・発電機によって時間の関数として適用されるパルスの概略図である。
図3B】2つの個別要素のために質量分析によって得られた2つの時間信号を示す概略図で、3つのそれぞれの測定ゾーン「プレピーク域」、「平坦域」および「アフターグロー域」を示す。
図4A】持続時間τおよび繰り返し周波数Fの一連の電気的パルスの概略図である。
図4B】質量分析測定の異なるゾーンに対応する一連のデジタル取得の概略図である。
図5】発電機、放電ランプ、インピーダンス整合システムおよび本発明の実施の形態によるインピーダンスおよび/または周波数変動を従動させるシステムの間を接続するための電気回路の概略図である。
図6】一連の電気的パルスの間に供給された電力の強度の時間測定、ならびに反射電力を示す信号および光学分光分析の信号の高速デジタル測定についての図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の実施形態によるパルス高周波グロー放電分光分析装置の構造とオペレーションを記述する。
【0031】
図5は、発電機6、インピーダンス整合デバイス17、放電ランプ1およびインピーダンス不整合測定システム18を備えるグロー放電分光分析装置の概略図である。
【0032】
前記放電ランプ1は、例えば図1を参照して詳細に述べられた放電ランプのような従来のランプである。前記放電ランプ1は管状の電極3を備える。分析すべきサンプル4は、第2の電極を形成する。高周波アプリケータは、発電機によって与えられた電力を、前記サンプルを介して前記放電ランプに送電するために機能する。
【0033】
発電機6は、連続モードあるいはパルス・モードにおいて作動できる高周波発電機である。発電機6は、150Wの最大の高周波電力を供給する。発電機の高周波周波数は、通常13.56MHzの標準周波数である。しかしながら、他の高周波周波数で作動し、以下に詳述された動作原理と互換性がある高周波発電機も存在する。
【0034】
図4Aは、パルス高周波発電機により供給される電力Pを概略的に示す。
発電機6は、持続時間τおよび繰り返し周波数Fのパルスを供給する(高周波周波数がパルス繰り返し周波数およびパルス持続時間と比べると非常に高いので、高周波周波数による変動は図4の中で示されない)。パルス・モードにおいて、パルス繰り返し周波数Fは、一般的に、0.1kHz〜20kHzの間の値に固定されてもよく、そしてパルスの周期的な比率τ×Fは、典型的には、5%〜50%の間の値に設定されてもよい。したがって、パルスの持続時間は、一般的に、数マイクロセカンドと数秒の間にある。周期的な比率が低ければ低いほど、サンプル加熱の危険性がより縮小される。図4Bは、一連のパルス質量分析取得の概略図である。デジタル取得物はまた、周波数1/τよりはるかに高い1/τに等しい周波数Fで行なわれて、それぞれが高周波電源の各期間である「プレピーク域」、「平坦域」および「アフターグロー域」ゾーンにおいて十分なスペクトルを得る。質量分析計の検知器による一連の取得は、高周波発電機のパルスの持続時間τより長い持続時間Tに亘って延長している。図4B中に示されているように、質量分析計の一連の取得は、パルス(ゾーン21)の開始前に質量スペクトルのベースラインを得るために、電気的パルスの少し前に始まり、次いで、パルス(「プレピーク域」ゾーン22)の開始時、パルス(「平坦域」ゾーン23)の間続き、最後にスペクトル(「アフターグロー域」ゾーン24)を得るためにパルスのエンドの後に終了する。各取得時に、質量分析器は、サンプルの多元素および/または分子の綿密な化学分析を導き出すことを可能にし、これは、m/z比の関数としての信号の強度を同時か準同時に得ることを可能にする。
【0035】
高周波発電機は、構成によって、50オームの出力インピーダンスを持つ。この発電機は、該発電機とプラズマの間の電力の送電を最適化するため、基本的に、常に該発電機の出力インピーダンス、すなわち50オームに適合させなければならないインピーダンスを持つ電気回路に接続されている。発電機に接続された負荷インピーダンスは、放電灯1、プラズマ9、サンプル4およびインピーダンス整合デバイス17の直列(あるいは電気回路による並列)なインピーダンスによって形成される。しかしながら、上に詳述したように、このインピーダンスは、プラズマの条件およびサンプルの性質の両方の関数として変動する。事実、測定の間に、サンプル4のインピーダンスが変動すると、放電ランプ1のインピーダンスは僅かに変動する。表1は、様々なタイプのサンプルについて実験的に測定されたインピーダンスを示す。一方で、グロー放電ランプ中のサンプルのインピーダンスが基本的に容量性であり、かつ他方で、インピーダンス値は、サンプルが導電体、半導体あるいは絶縁材料かどうかによって著しく変動することが見て取れる。さらに、多層サンプルについては、サンプルインピーダンスはプラズマに暴露された層の関数としてGD−MS測定の間に変動する。
【0036】
【表1】
【0037】
図5は、放電ランプ1にパルス高周波電場発電機6を接続する電気回路の概略図である。グロー放電分光分析装置は、発電機6と、放電ランプ1およびサンプル4によって形成されたシステムとの間に配置された従来のインピーダンス整合デバイス17を使用する。インピーダンス整合デバイス17は、例えば、インダクタンス・コイル17aおよび可変静電容量(C、C)の2つのコンデンサー17b、17c(つまり、それぞれ直列コンデンサー17b、並列コンデンサー17c)を備えている。インピーダンス整合ボックスは、コンデンサー17b、17cの静電容量(C,C)およびコイル17aのインダクタンスのそれぞれの値の関数として変動するインピーダンスΩを持つ。最初の例において、コンデンサーの静電容量は、コンデンサー(例えば真空コンデンサー)のプレート間の距離の縮小により、またはプレート間表面(例えばフィン・コンデンサー)の修正によって機械的に変更可能である。二つ目の例では、インピーダンス整合システムのコンポーネントは、2つのコンポーネントと置き替えられ、これは、例えば、可変容量コンデンサー17bが、高容量コンデンサーおよび低容量コンデンサーである2つの並列コンデンサーによって置き換えられるということである。並列高容量コンデンサーが、より長い応答時間を有するインピーダンスの強い変動への適応を可能にするのに対して、低容量コンデンサーの電動化は高速応答を可能にする。別の実施形態では、インピーダンス整合システムは、2つのインダクタンス・コイルを備え、この2つのインダクタンス・コイルは、回路の電気接点、そして、各コイルに使用される巻き数の修正により機械的に変えることができる。可変インピーダンスのシステムが、インピーダンスの増分変動を有する一方、可変コンデンサーは、インピーダンスの連続的変動を可能にする。このようなシステムは、頑強であり、そして高電力(数十ワットあるいは数百ワットさえある)に耐えるものである。しかしながら、インピーダンスの変動が、機械的な移動によってコントロールされ、それがモーター駆動である場合でさえ、遅いままである。
【0038】
図5で示された装置の革新的な部分は、インピーダンス不整合測定デバイス18にあり、またパルス高周波電場の適用中のこの測定デバイス18のためにインピーダンス整合システム17を従動することにある。
【0039】
非パルス高周波装置においては、インピーダンス整合システム17は、インピーダンス不整合を示すアナログ測定(例えば、反射電力の測定および/または電流−電圧の位相シフトとして)に連続的に従動される。整合システム17のコンポーネントのインピーダンスは、パルス・モードにおけるパルス時間およびパルス繰り返し周波数(10Hzから20kHzまで)と比較して、比較的遅い機械的な動作によって修正される。
【0040】
しかしながら、発電機6がパルス・モードで作動する場合、従来の連続的に従動されるシステムはパルス・モードにおける作動と互換性がない。
【0041】
パルス・モードで作動する従来の質量分析装置においては、インピーダンス整合システムとアナログ・インピーダンス不整合測定システムの間の従動は、整合ボックスのインピーダンスの不安定な動作を回避するために停止される。
【0042】
本発明の装置は、インピーダンス整合デバイス17に接続されたデバイス18を備えている。本発明の好ましい実施形態によれば、デバイス18は、インピーダンス不整合ΔΩを示す信号を測定するために高速デジタルシステムを備えて、使用される。典型的な実施形態によれば、反射電力Pの強度および/または電流−電圧の位相シフトは、高い割合で測定され、ここで、反射電力の測定時間あるいは電流−電圧の位相シフトの測定時間は、最短のパルスの持続時間よりはるかに短い。これらの制御信号の測定は、プラズマ・パルスと同期してなされ、これによってプラズマがオンにされたときに測定された信号のみが考慮に入れられる。インピーダンス不整合(反射電力および/または電流−電圧の位相シフト)を示す測定値を得るためのシステムは、インピーダンス整合デバイス17の出力とシステム18の入力の間のリンク19aによって図5で象徴的に示されている。したがって、インピーダンス不整合ΔΩを示す1つもしくはいくつかの値が、各電気的パルス、つまり各プラズマ・パルスのために、高い取得周波数で得られる。
【0043】
演算手段は、所定の従動アルゴリズムに従い、インピーダンス不整合と反射電力を最小限にするために、インピーダンス整合デバイスの実部(ReΩ)および虚部(ImΩ)のどれだけの量を変えなければならないかを決めるために作動する。以前の較正は、したがって、決定値によるそれぞれのインピーダンスを修正するために、電気機械コンポーネントにどのような動作を適用しなければならないかを決定することを可能にする。演算手段の従動アルゴリズムは、生じたエラーを修正するために測定されたインピーダンス不整合ΔΩに比例した関数、および/または、インピーダンス不整合変動を予想するように変動率ΔΩの関数としての微分関数に基づいてもよい。
【0044】
前記測定デバイス18と整合デバイスの間の従動は、リンク19bにより象徴的に示されており、測定の関数としてのコンデンサー17b、17cの値(例えば反射電力)に作用することを可能にする。2つのリンク19aと19bよって形成されたフィードバックループは、例えば、反射電力Pを最小化し、次に、パルス高周波発電機6と、放電ランプ、プラズマおよびサンプルから成るその負荷の間のインピーダンス整合を得ることを可能にする。
【0045】
任意に、測定デバイスはまた、インピーダンス不整合を示す測定を最小にするために、リンク19cを介して、周波数変動によって、発電機6に作用することを可能にし得る。周波数変動は、13.56Mhzの公称高周波周波数を+/−300kHzで修正する。
【0046】
したがって、インピーダンス整合デバイスはパルス持続時間および2つの連続パルス間の時間間隔と比較して非常に遅い応答時間のものであるが、本発明の装置は、パルス高周波発電機に接続されたインピーダンス整合デバイスに作用することが可能である。
【0047】
図6は、入射および反射電力の測定と同様に、時間の関数としての一連のプラズマ・パルスを示す。曲線IおよびIは、プラズマ・パルス中に最大である光学分光分析の信号を示す。曲線Pは、高周波発電機によって提供される電力、つまり、入射電力の測定を示す。カーブPは、反射電力の測定を示す。縦座標のメモリは任意の単位である。2つの連続パルス間の入射電力Pおよび反射電力Pの測定値は、フィルターにかけられる。パルス中に得られた電力測定だけが維持される。反射電力および/または電流−電圧の位相シフトの取得は、反射電力を制御し、可変コンデンサーおよび/またはインダクターの値に従動するインピーダンス整合システムへのフィードバックを通じて反射電力をさらに最小化することも可能にする。インピーダンス整合デバイスのインピーダンスを設定するための機械的な動作の応答時間によって、測定が行なわれているパルス中にインピーダンス整合デバイスのインピーダンスの修正は、有効ではない。インピーダンスの修正は、いくつかのパルスのサイクルにわたる連続的な方法で行なわれる。インピーダンス整合ボックスが機械的に可変な容量を備える場合には、静電容量(17b、17c)は連続的な方法で変えられ、それは、インピーダンスの変化をスムーズにする。一方では、パルスの繰り返し周波数および周期的な比率の関数として、他方では、整合システムの応答時間の関数として、不整合測定の後に、インピーダンスの修正が数パルスにわたって生じてもよい。したがって、1つのパルスから別のパルスまで、時間の関数として、放電ランプおよびサンプルのインピーダンスの展開に従動された反射電力Pの徐々の最小化が得ることができる。それ故に、それはリアルタイム従動ではない。界面が良好な場合でさえ、一つの層から別の層まで徐々に推移するので、連続的なインピーダンス適応は、分析材料にうまく対応する。
【0048】
しかしながら、本発明の方法および装置は、電力送電を最適化する状態のパルス・モードでのインピーダンスの適応を可能にする。送電の最適化、および特に反射電力の最小化は、熱としてエネルギーの散逸からサンプルを保護することを可能にする。発電機に対する反射電力が該発電気を破損する危険にさらすので、この最適化はまた、該発電機を保護することも可能にする。
【0049】
インピーダンス不整合を測定するための、また、インピーダンス整合システムをコントロールするためのデジタルデバイスは、連続モードあるいはパルス・モードで作動し得る。このデバイスは、測定の開始時におけるインピーダンスの適合、一つの測定の間、特に多層サンプルの各界面における測定の間のインピーダンスの適合を可能にする。
【0050】
質量分析計の抽出周波数は、各パルスの十分なポイントを含むプロフィールを抽出するように約30kHz(つまり、パルス繰り返し周波数より非常に高い)である。質量分析測定は、サンプルの一連の質量スペクトルを形成するのに必要な綿密な解析による所定の数のソース期間にわたって平均化される。時間の関数としての1つあるいはいくつかのイオン種の信号の展開は、分析されたサンプルのプロフィールを構築することを可能にする。
【0051】
パルス・モードで作動する非常に強力なパルス質量分析装置は、このように得られる。
【0052】
放電ランプは、光学発光測定用の光学分光計に接続されてもよい。
【0053】
インピーダンス整合システムを、そのインピーダンス変動が遅い機械的な動作によってコントロールされるコンポーネント(可変コンデンサーおよび/またはインダクター)に基づくものとしたままでも、本発明の方法および装置は、パルスインピーダンス整合を最適化することを可能にする。
【0054】
本発明の方法および装置は、プラズマのインピーダンス適合が最適化された状態で、パルス・モードでのプラズマへの電力の最適な送電を行い得るパルスの持続時間中のみに得られる測定の関数として、供給される電力を高めること無く、パルス・グロー放電質量分析によって、分析を行なうことを可能にする。
【0055】
本発明の方法および装置は、特に分析されるべきサンプルが小さい、あるいは脆弱である際、サンプルの損傷を制限するインピーダンス適合の開始条件を最適化するためにサンプル上のテストを回避する。
【0056】
本発明の方法および装置は、有害な熱応力を引き起こさずに、脆弱なサンプルを分析し、層の間の遷移における整合条件のドリフトなしで、正確に多層サンプルを分析することを可能にする。したがって、本発明の方法は、インピーダンス従動の非パルス高周波方法と比較し、さらにインピーダンス従動のないパルス高周波方法と比較して、広範囲のインピーダンス適合にわたって、最良の正確さ、最良の綿密な解析および/またはより高い迅速さを備えた測定を得ることを可能にする。
【0057】
本発明の方法および装置はGD−MS装置の分析性能を改善するだけでなく、発電機を劣化させがちな、該発電機によって反射された電力の効率的な最小化のおかげで高周波発電機を効率的に保護することも可能にする。
【符号の説明】
【0058】
1 グロー放電ランプ
3 電極
4 サンプル
6 パルス高周波電場発電機
7 ポンプ手段
8 キャリアガス
9 パルス・グロー放電プラズマ
15 質量分析計
17 インピーダンス整合デバイス
17a コンポーネント
17b コンポーネント
17c コンポーネント
18 インピーダンス不整合測定システム
20 電気的パルス
図1
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図5
図6