(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(III)において、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーが−50℃〜10℃のガラス転移温度を有し、アクリレートポリマーが30℃以上のガラス転移温度を有し、ガラス転移温度を、20K/分の加熱速度でDIN 65467に従って示差走査熱量測定法によって測定する、請求項1に記載の方法。
工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーが潜在反応性接着剤であり、工程(III)の第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーおよび/またはアクリレートポリマーが遊離イソシアネート反応性基を有する、請求項1に記載の方法。
工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーが、42℃〜80℃の融点、−100℃〜−10℃のガラス転移温度および20000g/mol〜80000g/molの分子量Mwを有し、ガラス転移温度を、20K/分の加熱速度でDIN 65467に従って示差走査熱量測定法によって測定する、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましくは、第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーと、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーとは同じ組成を有する。
【0008】
好ましくは、工程(III)で使用する第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマー並びにアクリレートポリマーは、同じ親水化状態を有する。即ち、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーがカチオン性親水化されている場合は、アクリレートポリマーもカチオン性親水化されている。
【0009】
本発明の方法を用いて被覆される物品は、被覆され、迅速に、従って経済的に巻き取られ、巻き取られた層は粘着しないことが見いだされた。このことは、40℃または50℃までの高温であっても実現され得る。接着剤層(第一ポリウレタンポリマー)の脱結晶化温度は45℃より高い。本発明では、剥離紙または剥離ライナーを必要としない。
【0010】
工程(I)では基材を供給する。基材は例えば、紙材、厚紙材、木材、布地、金属、皮革、ガラスまたは無機物質であってよい。また、基材は、天然または合成ゴムであってもよいし、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセテート、ポリラクチド、ポリ塩化ビニル、セロファン、ABS、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群から選択される種々の合成物質から作られていてもよい。基材は、前記物質をブレンドした混合物として使用することもできる。好ましくは、基材は、ウェブの形態で存在する。基材は、その片面または両面が印刷されていてもよい。
【0011】
本発明の方法の工程(II)では、第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレア接着剤ポリマーを基材に適用する。本発明の方法において、ポリマーの適用は一般に、例えば、噴霧によって、平ローラー、グラビアローラー、スクリーンローラーを用いて、シルクスクリーン印刷、ロータリーシルクスクリーン印刷で、ドクターブレードスプレダー、チャンバードドクターブレードまたはロータリードクターブレードを用いて実施してよい。ポリマーは、ウェブ上に流延することによって適用してもよく、これにより高い被覆速度が達成される。
【0012】
本発明において、用語「ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマー」とは、ポリウレア構造も有してよいポリウレタンポリマーを表すことを意味する。ポリウレタン化学において知られているポリマー内の別の結合、例えばイソシアヌレート構造も、ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーに含まれる。
【0013】
第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、最終結晶化度を伴う少なくとも部分的に結晶化した状態に達することができるように選択される。十分低い(ポリマーの融点より低い)温度および所定の十分な時間で、ポリマーは、自発的にはもはや変わらない結晶化度を有する状態で存在するようになる。結晶化度は、DIN 65467に従って、DSC測定(示差走査熱量測定)における溶融ピークによって測定してよい。
【0014】
しかしながら、この第一ポリマーは、適用中および/または適用後、非晶質状態で存在する。これは、様々な方法によって達成される。例えば、ポリマーは、ホットメルトとして適用してよい。別の可能な態様では、溶媒含有調製物としてポリマーを適用し、次いで、加熱によって溶媒を蒸発させる。分散体、特に水性分散体の形態でポリマーを適用し、液相を除去することが好ましい。水または他の液体の最も好ましい除去方法は、被覆基材を、第一ポリマーの融点を超える温度に加熱することである。
【0015】
工程(III)では、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマー並びにアクリレートポリマーを含んでなる接着剤組成物を、工程(II)の第一ポリマー上に適用する。この工程は、工程(II)の第一ポリマーがまだ非晶質状態であるか、または最終結晶化度にまだ達していないタイミングで実施する。この組成物もまた、(水性)分散体、溶媒含有調製物またはホットメルトの形態であってよい。
【0016】
工程(III)の間の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーの温度は、その融点より高いかまたは低くてよい。例えば、第一ポリマー水性分散体を乾燥させた後、被覆基材を乾燥炉から取り出し、ポリマーの融点より低い温度に冷却する。ポリマーの結晶化は緩慢なので、工程(III)の組成物を適用する際、第一ポリマーはまだ非晶質であるかまたは低い結晶化度を有する。非常に簡単に言えば、第一ポリマーがまだ粘着性である間は、工程(III)の組成物が適用される。
【0017】
工程(IV)の冷却は、能動冷却または受動冷却であってよい。アクリレートポリマーのガラス転移温度より低い温度に下げることによって、工程(III)の被膜は、付着および粘着しなくなる。これは、第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーの結晶化状態とは無関係である。
【0018】
工程(III)の組成物の付加的な利点は、熱活性化接着剤層を形成してもよいことである。
【0019】
要するに、接着剤被覆物品を高速で、ロール巻き取り時に剥離層を必要とせずに製造することができる。
【0020】
工程(III)の組成物が、ポリマー水性分散体混合物の形態であることが好ましい。組成物は、例えば、10〜90重量%のアクリレートポリマー並びに10〜90重量%のポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを含有してよい。組成物は、より好ましくは、30〜60重量%のアクリレートポリマー並びに40〜70重量%のポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを含有する。
【0021】
工程(III)の組成物は、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、最も好ましくは35〜55重量%の固形分を有する。
【0022】
第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、好ましくは15000〜150000g/molの範囲、より好ましくは20000〜80000g/molの範囲、最も好ましくは25000〜45000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0023】
分散体において第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、好ましくは30〜400nmの範囲、より好ましくは100〜300nmの範囲、最も好ましくは150〜280nmの範囲の平均粒径を有する。粒径はレーザー相関分光法(装置:Malvern Zetasizer 1000, Malvern Instruments LTD)によって測定し、Z平均を得る。
【0024】
アクリレートポリマーについては、好ましくは10
3〜10
6g/molの範囲、より好ましくは10
4〜5×10
5g/molの範囲、最も好ましくは2×10
4〜2×10
5g/molの範囲の重量平均分子量M
wを有してよい。
【0025】
分散体において、アクリレートポリマーは、好ましくは40〜200nmの範囲、最も好ましくは80〜160nmの範囲の平均粒径を有する。粒径はレーザー相関分光法(装置:Malvern Zetasizer 1000, Malvern Instruments LTD)によって測定し、Z平均を得る。
【0026】
本発明のアクリレートポリマー分散体の固形分は、25〜65重量%、好ましくは30〜55重量%、最も好ましくは35〜55重量%である。分散体の固形分は一般に、水の有機出発物質に対する比から決定する。
【0027】
工程(III)のポリマー分散体組成物の粘度は、5〜300000mPa・s、好ましくは10〜150000mPa・s、最も好ましくは15〜15000mPa・sであってよい。粘度は、DIN 53019に従って、Fa. Haake製VT-500回転式粘度計を用いて測定してよい。
【0028】
組成物のpHは、所定量の塩基を添加することによって変えることができ、3〜12のpHであってよく、6〜9のpHが好ましい。最も一般的には、酸性pH範囲で重合し、重合完了後に中和する。しかしながら、必要に応じて、凝集を防ぐために重合過程において塩基の一部を添加することもできる。塩基として、当業者に知られている無機塩基または有機塩基を使用してよい。それらは、水酸化アルカリ、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミンまたはエチルジイソプロピルアミンのような有機アミンの、水溶液を包含する。水酸化アルカリおよび水酸化アンモニウムが好ましい。
【0029】
本発明を、例示的な態様に関連して更に説明する。なお、これらの態様は、そうではないことが明らかに記載されていない限り、自在に組み合わせてよい。
【0030】
本発明の方法の第一の態様では、工程(III)において、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、−50℃〜10℃のガラス転移温度を有する非晶質または結晶性ポリマーであり、アクリレートポリマーは、30℃以上のガラス転移温度を有し、中点値温度(接線法)として定義されたガラス転移温度T
gは、20K/分の加熱速度でDIN 65467に従って示差走査熱量測定法によって測定する。
【0031】
アクリレートポリマーは、好ましくは50℃〜80℃の範囲、より好ましくは60℃〜70℃の範囲のガラス転移温度T
gを有し、第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、好ましくは−40℃〜8℃の範囲、より好ましくは−10℃〜5℃の範囲のガラス転移温度T
gを有する。
【0032】
ガラス転移温度より低い温度では、非晶質ポリマーは脆く、硬質である。この性質は、「硬直した」ポリマー鎖の不動性に起因する。ガラス転移温度より高いと、分子鎖は互いに連動して移動できるようになり、ポリマーは軟化する。軟化度は、ポリマーのタイプ、ポリマーの分子量、および温度に依存する。半結晶性ポリマーに対して、非晶質ポリマーは、脆い硬質状態から軟化状態に移る間、DIN 65467に従ったDSC測定(示差走査熱量測定)においてガラス状態のみを示す。ポリマーが半結晶性であることを示す溶融ピークは、DSC測定において発現しない。
【0033】
本発明の方法の別の態様では、工程(III)において、組成物は凹版印刷によって適用する。これは、数μmの厚さを有する層を再現性良く得るのに好ましい方法である。
【0034】
本発明の方法の別の態様では、工程(III)は、工程(II)の終了後0.1秒〜60秒の間に実施する。時間間隔が0.5秒〜5秒であることが好ましい。
【0035】
本発明の方法の別の態様では、工程(IV)において、得られた物品は、チルロールによって、アクリレートポリマーのガラス転移温度より低い温度に冷却する。チルロールを使用すると、得られた被覆物品を、都合よく直接巻き取ることができる。
【0036】
本発明の方法の別の態様では、方法を、ロールツーロール法として実施する。
【0037】
本発明の方法の別の態様では、工程(III)の組成物は、乾燥後、1μm〜50μmの厚さを有する。好ましくは乾燥後の厚さは、1μm〜10μmである。
【0038】
本発明の方法の別の態様では、工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、潜在反応性接着剤であり、工程(III)の第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーおよび/またはアクリレートポリマーは、遊離イソシアネート反応性基を有する。被覆物品を加熱すると、工程(III)に記載されている組成物のポリマーは軟化し、潜在反応性ポリマー層中のイソシアネート架橋剤と反応する。
【0039】
本発明の方法の別の態様では、工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、42℃〜80℃の融点、−100℃〜−10℃のガラス転移温度、および20000g/mol〜80000g/molの分子量M
wを有し、ガラス転移温度は、20K/分の加熱速度でDIN 65467に従って示差走査熱量測定法によって測定する。
【0040】
融点は、好ましくは42℃〜60℃、より好ましくは45℃〜52℃である。ガラス転移温度は、好ましくは−60℃〜−40℃、より好ましくは−59℃〜−45℃である。分子量の好ましい範囲は、25000g/mol〜60000g/mol、より好ましくは30000g/mol〜45000g/molである。
【0041】
本発明の方法の別の態様では、第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、アニオン性親水化状態またはカチオン性親水化状態のいずれかを有する。
【0042】
本発明の方法の別の態様では、カチオン性親水化状態を有する工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、
(A’)2以上の官能価および400g/mol〜5000g/molの分子量M
nを有する1種以上の半結晶性ポリエステルポリオール、
(B’)任意に、2以上の官能価および62g/mol〜399g/molの分子量M
nを有する1種以上のポリオール成分、
(C’)第三級アミノ基を有する1種以上の潜在カチオン性モノマー、
(D’)1種以上のジイソシアネートまたはポリイソシアネート成分、および
(E’)1種以上のジアミノおよび/またはモノアミノ化合物
の反応によって得られる。
【0043】
2以上の官能価を有する適当な半結晶性ポリエステルポリオール(A’)は、直鎖ジカルボン酸および/またはその誘導体、例えば、無水物、エステルまたは酸塩化物と、脂肪族または脂環式、直鎖または分岐のポリオールとに基づく。適当なジカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸またはドデカン二酸であり、アジピン酸が好ましい。それらは、全カルボン酸の総量に基づいて、少なくとも85mol%、好ましくは90〜100%の量で使用する。
【0044】
任意に、別の脂肪族ジカルボン酸、脂環式または芳香族ジカルボン酸を使用することもできる。そのようなジカルボン酸の例は、グルタル酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸またはイソフタル酸である。それらは、全カルボン酸の総量に基づいて、15mol%の最大量まで、好ましくは0〜10mol%の量で使用する。
【0045】
半結晶性ポリエステル成分に適したポリオール成分は、モノエチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオールまたはネオペンチルグリコールであり、ブタン−1,4−ジオールが好ましい。それらは、全ポリオールの総量に基づいて、少なくとも80mol%、好ましくは90〜100mol%の量で使用する。
【0046】
任意に、別の脂肪族または脂環式、直鎖または分岐のポリオールを使用することもできる。そのようなポリオールの例は、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、シクロヘキサンジメタノール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ノナン−1,9−ジオール、ノナン−1,9−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトールである。これらは、全ポリオールの総量に基づいて、20mol%以下、好ましくは0〜10mol%の量で使用する。
【0047】
2種以上のそのようなポリエステル(A’)の混合物も適している。
【0048】
アジピン酸およびブタンジオール、またはアジピン酸およびヘキサンジオール、またはアジピン酸およびヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとの混合物に基づくポリエステル(A’)を使用することが好ましい。
【0049】
適当な合成成分(B’)は、2以上の官能価および62〜399ダルトンの数平均分子量を有するポリオール成分であり、その例は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリラクトンまたはポリアミドである。
【0050】
別の適当な成分(B’)は、(A’)で記載した脂肪族または脂環式、直鎖または分岐のポリオールである。好ましい成分(B’)は、モノエチレングリコール、ブタン−1,4−ジオールまたはヘキサン−1,6−ジオールである。ブタン−1,4−ジオールが特に好ましい。
【0051】
第三級アミノ基を有する潜在カチオン性モノマー(C’)は、例えば、トリス(ヒドロキシアルキル)アミン、N,N’−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミン、N−ヒドロキシアルキルジアルキルアミン、トリス(アミノアルキル)アミン、N,N’−ビス(アミノアルキル)アルキルアミン、N−アミノアルキルジアルキルアミンであり、これらの第三級アミンのアルキル基およびアルカンジイル単位は、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有する。また、常套の方法で(例えば、アミン窒素に結合した2個の水素原子を有するアミン(例えば、メチルアミン、アニリンまたはN,N’−ジメチルヒドラジン)のアルコキシル化によって)得られるこの種類の、第三級窒素原子を有し、好ましくは2つの末端ヒドロキシル基を有するポリエーテルも考えられる。
【0052】
好ましい潜在カチオン性モノマー(C’)は、N,N’−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミン、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミンであり、N−メチルジエタノールアミンが特に好ましい。
【0053】
これらの第三級アミンは、酸(例えば、リン酸、硫酸またはハロゲン化水素酸のような鉱酸、或いは乳酸のような有機酸)によって、または適当な四級化剤(例えばC
1〜C
6ハロゲン化アルキル、例えばC
1〜C
6臭化アルキルまたはC
1〜C
6塩化アルキル)との反応によって、対応するアンモニウム塩に転化する。好ましくは酸、より好ましくはリン酸または乳酸、特に好ましくはリン酸を使用する。
【0054】
適当な合成成分(D’)は、一分子あたり少なくとも2つの遊離イソシアネート基を有する所望の有機化合物である。ジイソシアネート:Y(NCO)
2[式中、Yは、4〜12個の炭素原子を有する二価の脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価の脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基、または7〜15個の炭素原子を有する二価の芳香脂肪族炭化水素基である]を使用することが好ましい。好ましく使用されるそのようなジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、p−イソプロピリデンジイソシアネート、およびこれら化合物の混合物である。
【0055】
ポリウレタン化学において自体知られているより高い官能性のポリイソシアネート、または自体知られており、例えばカルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基および/またはビウレット基を有する変性ポリイソシアネートを、ある割合で併用することももちろん可能である。
【0056】
好ましいジイソシアネート(D’)は、脂肪族および芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたは2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、およびこれら化合物の混合物である。
【0057】
2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、およびそれらの混合物も好ましい。
【0058】
特に好ましい合成成分(D’)は、ヘキサメチレンジイソシアネートと1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンとの混合物である。
【0059】
適当な合成成分(E’)は、第一級および/または第二級モノアミノ化合物および/または第一級および/または第二級ジアミノ化合物を包含する。
【0060】
(E’)の例は、脂肪族および/または脂環式、第一級および/または第二級のモノアミン、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、異性体プロピルアミンおよびブチルアミン、高級直鎖脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミン、例えばシクロヘキシルアミンである。別の例は、アミノアルコール、即ち、1つの分子内にアミノ基およびヒドロキシル基を有する化合物、例えば、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび2−プロパノールアミンである。2種以上のモノアミノ化合物の混合物を使用することも、もちろん可能である。
【0061】
好ましいモノアミノ化合物は、ジエチルアミン、エタノールアミンまたはジエタノールアミンである。ジエタノールアミンが特に好ましい。
【0062】
ジアミノ化合物の例は、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ピペラジン、1,4−ジアミノシクロヘキサンまたはビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンである。アジピン酸ジヒドラジド、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物もまた適している。ジアミノ化合物に代えて、ポリアミン、例えばジエチレントリアミンを使用することもできる。
【0063】
別の例は、アミノアルコール、即ち、1つの分子内にアミノ基およびヒドロキシル基を有する化合物、例えば、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。
【0064】
2種以上のジアミノ化合物(E’)の混合物を使用することもできる。
【0065】
好ましいジアミノ成分は、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。
【0066】
特に好ましいジアミノ成分は、1,2−エタンジアミンまたはN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが特に好ましい。
【0067】
成分(E’)として特に好ましいものは、モノアミノアルコールとジアミノアルコールとの混合物である。ジエタノールアミンとN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンとの混合物が特に好ましい。
【0068】
カチオン性基の量は、固体1kgあたり、10〜600mmol、好ましくは100〜400mmol、より好ましくは150〜300mmolである。
【0069】
工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを水性分散体の形態で適用することが好ましい。
【0070】
この分散体は、第一工程において、水と混和性であるがイソシアネート基に対しては不活性である溶媒の任意の存在下、反応器に成分(A’)、(B’)、(C’)および(D’)の一部または全てを導入し、この初期導入物を50〜120℃の範囲の温度に加熱し、次いで反応の開始時に添加しなかった成分(A’)、(B’)、(C’)または(D’)を計量添加し、第二工程において、15〜60℃の温度で混合物(E’)により連鎖延長し、連鎖延長前、連鎖延長中または連鎖延長後に第三級アミノ基のカチオン性基への転化および水相への移動を実施し、適切な場合は予備重合のために使用した溶媒を除去することによって調製してよい。予備重合において溶媒を使用しないことが好ましい。
【0071】
水性ポリウレタン−ポリウレア分散体は、均質相において一段階以上で、または多段階反応の場合は部分的に分散相において調製してよい。完全または部分的な重付加に続いて、分散、乳化または溶解工程を実施する。次いで、適切な場合は、分散相において更なる重付加または変性を実施する。調製には、当業者に知られている方法の全てを使用することができる。アセトン法を使用することが好ましい。
【0072】
適当な溶媒の例は、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよび1−メチル−2−ピロリドンであり、ブタノンまたはアセトンが好ましく、アセトンが特に好ましい。
【0073】
プレポリマーを調製するために、個々の成分(A’)〜(D’)の使用量は、1.05〜2.5、好ましくは1.1〜1.5のイソシアネート指数が得られるように算定する。プレポリマーのイソシアネート含量は、0.3%〜3.0%、好ましくは0.7%〜2.5%、より好ましくは1.3%〜1.9%である。
【0074】
50〜96重量部、好ましくは75〜90重量部の成分(A’)、0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の成分(B’)、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜3.5重量部の成分(C’)、および3〜30重量部、好ましくは5〜20重量部の成分(D’)を使用し、これら成分の和は100重量部以下である。場合により、成分(B’)が、組成物において0.1〜4重量部の量で存在することができる。
【0075】
成分(A’)、(B’)および(C’)と(D’)との反応は、イソシアネート反応性基の総量に基づいて、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に実施する。反応の進行度は一般に、反応混合物のNCO含量をモニターすることによって監視する。これは、分光計測(例えば赤外線スペクトルまたは近赤外線スペクトル)或いは屈折率測定、および化学分析(例えば採取した試料の滴定)の両方を用いて実施してよい。
【0076】
イソシアネート付加反応を促進するために、一般的な触媒、例えばNCO−OH反応を促進するために当業者に知られている触媒を使用することができる。その例は、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、酸化ジブチルスズ、ジオクタン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、スズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジオクタン酸亜鉛、亜鉛ビス(2−エチルヘキサノエート)または他の有機金属化合物である。
【0077】
分散前、分散中または分散後、成分(E’)により連鎖延長してよい。連鎖延長を分散前に実施することが好ましい。
【0078】
15〜60℃、好ましくは25〜55℃、より好ましくは40〜50℃の温度で連鎖延長してよい。
【0079】
本発明において連鎖延長の概念は、単官能性の故に連鎖停止剤として作用し、従って分子量を増大させるのではなく抑制する、モノアミノ化合物の反応も包含する。このことは、特にアミノアルコールについてもいえる。なぜなら、選択した温度範囲では、ヒドロキシル基は、イソシアネート基と反応しないか、または僅かしか反応しないからである。
【0080】
成分(E’)は、水および/または有機溶媒で希釈した状態で、反応混合物に添加してよい。2種以上のアミン化合物(E’)は、任意の順で順次、または混合物を添加することによって同時に添加してよい。
【0081】
第三級アミノ基のカチオン性基への転化は、連鎖延長前、連鎖延長中または連鎖延長後、好ましくは連鎖延長後に実施してよい。分散前または分散中に実施してもよい。酸を分散用水に添加して、分散中に実施することが好ましい。
【0082】
分散体は、必要に応じて激しい撹拌のような強い剪断を伴ってプレポリマーを分散用水に導入するか、または分散用水をプレポリマーに撹拌しながら添加することによって調製する。次いで、均質相においてまだ実施していなければ、連鎖延長することができる。
【0083】
分散後、適切な場合に使用した有機溶媒、例えばアセトンを、蒸留により除去する。
【0084】
分散体は、10〜70重量%、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは35〜55重量%の固形分を有する。
【0085】
本発明の方法の別の態様では、それぞれの場合にアニオン性親水化状態を有する、工程(II)の第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタンポリマー並びに工程(III)の第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、
(A)少なくとも1種のジオールおよび/またはポリオール成分、
(B)少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート成分、
(C)少なくとも1種のスルホネート基および/またはカルボキシレート基含有成分、
(D)必要に応じて、モノ、ジおよび/またはトリアミノ官能性化合物および/またはヒドロキシアミノ官能性化合物、
(E)必要に応じて、別のイソシアネート反応性化合物
の反応によって得られる。
【0086】
工程(III)の第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを水性分散体の形態で適用することが好ましい。
【0087】
分散体は、15〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、最も好ましくは30〜50重量%の固形分を有してよい。pH値は、4〜11、好ましくは6〜10の範囲であってよい。
【0088】
適当なジオールおよび/またはポリオール成分(A)は、イソシアネートと反応性である少なくとも2個の水素原子を有し、62〜18000、好ましくは62〜4000g/molの平均分子量を有する化合物である。適当な構成成分の例は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセトンおよびポリアミドである。好ましいポリオール(A)は、2〜4つ、好ましくは2〜3つ、最も好ましくは2つのヒドロキシル基を有する。このタイプの、異なった化合物の混合物を考えてもよい。
【0089】
可能なポリエステルポリオールは特に、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸またはポリカルボン酸(例えば、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸またはトリメリット酸)および酸無水物(例えば、o−フタル酸無水物、無水トリメリット酸、無水コハク酸)またはそれらの混合物と、多価アルコール(例えば、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール)またはそれらの混合物とから、より高官能性のポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはペンタエリトリット)を必要に応じて使用して、既知の方法で調製されるような、直鎖ポリエステルジオールおよび僅かに分岐したポリエステルポリオールを包含する。もちろん、脂環式および/または芳香族のジヒドロキシルおよびポリヒドロキシル化合物を、ポリエステルポリオールの調製のために考えることもできる。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物、または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステル、またはそれらの混合物を、ポリエステルの調製に使用してもよい。
【0090】
ポリエステルポリオールはもちろん、ラクトンまたはラクトン混合物(例えば、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン)の、適当な二官能性または高官能性スターター分子(例えば、ポリエステルポリオールのための構成成分として上記した低分子多価アルコール)への付加によって好ましくは得られた、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーであってよい。ε−カプロラクトンの対応するポリマーが好ましい。
【0091】
適切な場合は、構成成分として、イソフタル酸および/またはテレフタル酸並びに他のジカルボン酸と、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび/またはエチレングリコールおよび/またはブタンジオールおよび/またはヘキサンジオールとを含有するポリエステルポリオールが特に好ましい。
【0092】
構成成分として、イソフタル酸、アジピン酸および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを含有するポリエステルポリオールが最も好ましい。
【0093】
例えばジオール(例えば、1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオール)とジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)、ジアルキルカーボネート(例えばジメチルカーボネート)またはホスゲンとの反応によって調製されるタイプのヒドロキシル基含有ポリカーボネートもまた、可能なポリヒドロキシル成分(A)である。ヒドロキシル基含有ポリカーボネートを少なくともある割合で使用することによって、ポリウレタンまたはポリウレタン−ウレア分散体接着剤の耐加水分解性が改良される。
【0094】
適当なポリエーテルポリオールは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの重付加物、並びにそれらの共付加物およびグラフト生成物、並びに多価アルコールまたはその混合物の縮合によっておよび多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシル化によって得られたポリエーテルポリオールである。上記エポキシドを、ポリエーテルポリオールの構成成分として先に記載した低分子ジオールまたはトリオールに、或いは高官能性低分子ポリオール(例えばペンタエリトリット)または糖に、或いは水に付加することによって得られる、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのホモポリマー、コポリマーまたはグラフトポリマーは、構成成分(A)として適したポリエーテルポリオールである。
【0095】
特に好ましい二官能性または高官能性ポリオール(A)は、ポリエステルポリオール、ポリラクトンおよびポリカーボネートである。
【0096】
最も好ましい二官能性または高官能性ポリオール(A)は、ポリエステルポリオールである。
【0097】
別の適当な成分(A)は、低分子ジオール、トリオールおよび/またはテトラオール、例えば、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジヒドロキシベンゼンまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、TCD−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット、またはそれらの混合物であり、適切な場合は、記載していない別のジオールまたはトリオールを使用してもよい。
【0098】
上記ポリオール、特に低分子ポリオールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレナノキシドとの反応生成物も、ポリオールとして使用してよい。
【0099】
低分子成分(A)は、62〜400g/molの分子量を有し、好ましくは、先に記載したポリエステルポリオール、ポリラクトン、ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートと組み合わせて使用する。
【0100】
ポリオール成分(A)は、本発明のポリウレタン中に、20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは65〜88重量%含まれる。
【0101】
成分(B)として、一分子あたり少なくとも2つの遊離イソシアネート基を有する有機化合物が適している。好ましくはジイソシアネート:Y(NCO)
2[式中、Yは、4〜12個の炭素原子を有する二価の脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価の脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基、または7〜15個の炭素原子を有する二価の芳香脂肪族炭化水素基である]を使用する。好ましく使用されるそのようなジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=IPDI、イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、p−イソプロピリデンジイソシアネート、およびこれら化合物の混合物である。
【0102】
ポリウレタン化学において自体知られているより高い官能性のポリイソシアネート、または自体知られている変性ポリイソシアネート、例えばカルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基および/またはビウレット基を有する変性ポリイソシアネートを、ある割合で使用することももちろん可能である。
【0103】
これらの単純ジイソシアネートに加えて、イソシアネート基を結合する基にヘテロ原子を有するおよび/または一分子あたり3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートも適している。前者は例えば、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、イミノ−オキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造による、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族の単純ジイソシアネートの変性によって調製されたポリイソシアネートである。一分子あたり3つ以上のイソシアネート基を有する未変性ポリイソシアネートの一例は、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)である。
【0104】
好ましいジイソシアネート(B)は、脂肪族および芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、および場合により2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエンをある割合で含んでよいこれら化合物の混合物である。
【0105】
特に好ましい成分(B)は、ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエンおよびそれらの混合物である。
【0106】
成分(B)として最も好ましいものは、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンである。
【0107】
成分(B)は、本発明のポリウレタン中に、5〜60重量%、好ましくは6〜45重量%、より好ましくは7〜25重量%の量で含まれる。
【0108】
適当なスルホネート基またはカルボキシレート基含有成分(C)は、例えば、スルホネート基および/またはカルボキシレート基を付加的に有するジアミノ化合物またはジヒドロキシ化合物、例えば、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロパンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロパンスルホン酸、類似カルボキシル酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、第三級アミン塩、および1molのジアミン(例えば、1,2−エタンジアミンまたはイソホロンジアミン)と2molのアクリル酸またはメタクリル酸とのミカエル縮合反応生成物である。
【0109】
好ましい成分(C)は、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホネートまたはジメチロールプロピオネートである。
【0110】
好ましくは、スルホン酸塩またはカルボン酸塩としての塩形態で直接、酸を使用する。しかしながら、ポリウレタンの調製中または調製後であれば、部分的にまたは完全に、中和剤を添加することもできる。
【0111】
塩形成に特に適しており、好ましい第三級アミンは、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、エチルジイソプロピルアミンである。
【0112】
別のアミン、例えば、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、アミノメチルプロパノールおよびそれらの混合物、並びに更なるアミンも、塩形成に使用してよい。これらのアミンは、好ましくは、イソシアネート基の実質的な反応が終わってから添加する。
【0113】
中和のために、別の中和剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムを使用することもできる。
【0114】
成分(C)は、本発明のポリウレタン中に、0.3〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.7〜3.75重量%含まれる。
【0115】
適当な成分(D)は、単官能性、二官能性、三官能性アミンおよび/または単官能性、二官能性、三官能性ヒドロキシアミン、例えば脂肪族および/または脂環式、第一級および/または第二級のモノアミン、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、異性体プロピルアミンおよびブチルアミン、高級直鎖脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミン、例えばシクロヘキシルアミンである。別の例は、アミノアルコール、即ち、1つの分子内にアミノ基およびヒドロキシル基を有する化合物、例えば、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよび2−プロパノールアミンである。更なる例は、ジアミンおよびトリアミン、例えば、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ピペラジン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびジエチレントリアミンである。また、アジピン酸ジヒドラジド、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物も考えられる。もちろん、場合により上記していないものを含んでもよい、複数の上記化合物(D)の混合物を使用してもよい。
【0116】
好ましい成分(D)は、1,2−エタンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。
【0117】
特に好ましい成分(D)は、ジエタノールアミンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンであり、ジエタノールアミンが特に好ましい。
【0118】
好ましくは、連鎖延長剤としての成分(D)は、必要に応じて、高分子量を達成するのに役立つか、または単官能性化合物として分子量を制限するのに役立つか、および/または別の架橋位置として更なる反応性基(例えば遊離ヒドロキシル基)を付加的に挿入するのに役立つ。
【0119】
成分(D)は、本発明のポリウレタン中に、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%の量で含まれる。
【0120】
場合により使用してもよい成分(E)は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族C
2〜22モノアルコール、例えば、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、ステアリルアルコール、2−エチルエタノール、シクロヘキサノール;アルコールまたはアミン出発のエチレンオキシドポリマーまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーに基づき、親水化作用を有する単官能性または二官能性ポリエーテル、例えばポリエーテルLB 25(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国))またはMPEG 750:メトキシポリエチレングリコール、分子量750g/mol(例えば、Pluriol(登録商標) 750、BASF AG(ドイツ国));高温で脱ブロッキングできるイソシアネート基ブロッキング剤、例えば、ブタノンオキシム、ジメチルピラゾール、カプロラクタム、マロン酸エステル、トリアゾール、ジメチルトリアゾール、tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステル;重合反応性基含有不飽和化合物、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリトリットトリスアクリレート、およびモノエポキシド、ビスエポキシドおよび/またはポリエポキシドとアクリル酸またはメタクリル酸とのヒドロキシ官能性反応生成物であってよい。
【0121】
成分(E)は、本発明のポリウレタン中に、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の量で含まれてよい。
【0122】
成分(E)を使用することより、本発明のポリウレタン分散体は、例えば、反応性カルボキシル基に加えて、例えば特定の性質(例えば、場合により時間的にずれてよい二段階硬化、または特に高い架橋密度)を得るために様々な架橋メカニズム(二重硬化)の適用を可能にする更なる反応性基を有することができる。
【0123】
特に好ましい態様では、このポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは、構成成分としてイソフタル酸、アジピン酸および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを含有するポリエステルジオール、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩およびジエタノールアミンを構成成分として含有する。
【0124】
これらのポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ウレア水性分散体は、成分(A)、(B)、任意に(C)および任意に(E)を一段階反応または多段階反応でイソシアネート官能性プレポリマーに転化し、次いで一段階反応または多段階反応で成分(C)および任意に(D)を用いて場合により転化し、続いて水中に分散させるかまたは水を用いて分散する方法で調製してよい。存在するならば、使用した溶媒は、分散中または分散後、蒸留によって部分的にまたは完全に除去してよい。
【0125】
調製は、均一相において一段階以上で、または多段階反応の場合は部分的に分散相において実施してよい。完全にまたは部分的に重付加した後、分散、乳化または溶解工程を実施する。次いで、場合により、分散相において更なる重付加または変性を実施してよい。調製には、従来技術から知られている方法の全て、例えば、乳化剤−剪断力法、アセトン法、プレポリマー混合法、溶融乳化法、ケチミン法および固体自然分散法またはこれらから誘導された方法を使用してよい。これらの方法の概要は、Methoden der Organischen Chemie(Houben-Weyl, 第4版の別冊継続巻、第E20巻、H. BartlおよびJ. Falbe、シュトゥットガルト、ニューヨーク、Thieme, 1987, 第1671〜1682頁)に見られる。溶融乳化法、プレポリマー混合法およびアセトン法が好ましい。アセトン法が特に好ましい。
【0126】
基本的に、全ヒドロキシル官能性成分を計量し、次いで全イソシアネート官能性成分を添加し、これをイソシアネート官能性ポリウレタンに転化し、続いてアミノ官能性成分と反応させることができる。まずイソシアネート成分を導入し、ヒドロキシル官能性成分を添加し、ポリウレタンに転化し、次いでアミノ官能性成分と反応させて最終生成物を生成することによる逆の調製方法も、可能である。
【0127】
通常、反応器においてポリウレタンポリマーを調製するためには、まず、ヒドロキシル官能性成分(A)、任意に(C)および任意に(E)を導入し、水混和性であるがイソシアネート基に対しては不活性である溶媒で場合により希釈し、次いで均質化する。続いて、120℃までの室温で、成分(B)を添加し、イソシアネート官能性ポリウレタンを調製する。この反応は、一段階または多段階で実施してよい。多段階反応は、例えば、まず成分(C)および/または(E)を導入し、イソシアネート官能性成分(B)と反応させ、続いて、後になお存在するイソシアネート基の一部と反応できる成分(A)を添加するように実施してよい。
【0128】
適当な溶媒は例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよび1−メチル−2−ピロリドンであり、これらは、調製の開始時だけでなく、場合により開始後に少しずつ添加してよい。アセトンおよびブタノンが好ましい。常圧または高圧で反応を実施することができる。
【0129】
プレポリマーを調製するため、ヒドロキシル官能性成分および適切な場合にはアミノ官能性成分の使用量は、1.05〜2.5、好ましくは1.15〜1.95、より好ましくは1.3〜1.7のイソシアネート指数が得られるように選択する。
【0130】
別のヒドロキシル官能性および/またはアミノ官能性成分(D)(好ましくはアミノ官能性成分(D)のみ)並びに任意に(C)による、イソシアネート官能性プレポリマーの更なる転化、いわゆる連鎖延長は、イソシアネート基100%に基づいて25〜150%、好ましくは40〜85%のヒドロキシル基および/またはアミノ基転化度が選択されるように実施する。
【0131】
転化度を、可能ではあるが好ましくはない100%超にする場合は、連鎖延長分子を可能な限り完全に組み込むために、イソシアネート付加反応における全単官能性成分とプレポリマーとをまず反応させ、次いで二官能性または高官能性連鎖延長成分を使用することが好ましい。
【0132】
転化度は通常、反応混合物のNCO含量を追跡することによってモニターする。また、分光計測、例えば赤外線スペクトルまたは近赤外線スペクトル、屈折率測定、および化学分析、例えば採取した試料の滴定を実施してもよい。
【0133】
イソシアネート付加反応を促進するために、NCO−OH反応を促進するために当業者に知られているような一般的な触媒を使用することができる。その例は、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、酸化ジブチルスズ、ジオクタン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、スズビス(2−エチルヘキサノエート)または他の有機金属化合物である。
【0134】
イソシアネート官能性プレポリマーの成分(D)および任意に(C)による連鎖延長は、分散前、分散中または分散後に実施してよい。連鎖延長は、好ましくは分散前に実施する。成分(C)を連鎖延長成分として使用する場合は、分散工程前に、この成分により連鎖延長しなければならない。
【0135】
連鎖延長は通常、10〜100℃、好ましくは25〜60℃の温度で実施する。
【0136】
本発明において用語「連鎖延長」は、存在するならば、単官能性の故に連鎖停止剤として作用し、従って分子量を増大させるのではなく制限する、単官能性成分(D)の反応も包含する。
【0137】
連鎖延長成分は、有機溶媒および/または水で希釈した反応混合物に添加してよい。添加は、任意の順で順次、または混合物を添加することによって同時に実施してよい。
【0138】
分散体を調製するために、激しい撹拌のような強い剪断作用を伴って、プレポリマーを分散用水に添加するか、または逆に分散用水をプレポリマーに撹拌しながら添加する。次いで、均質相においてまだ実施していなければ、連鎖延長することができる。
【0139】
分散中および/または分散後、存在するならば、使用した有機溶媒、例えばアセトンを留去する。
【0140】
好ましい調製方法は、以下である:
まず、成分(A)、任意に成分(C)、任意に成分(E)および任意に溶媒を導入し、20〜100℃に加熱する。撹拌しながら、成分(B)を可能な限り迅速に添加する。発熱を利用し、理論イソシアネート含量に達するかまたは僅かに下回る程度になるまで、反応混合物を40〜150℃で撹拌する。撹拌しながら、場合により触媒を添加してよい。次いで、溶媒を添加することによって固形分25〜95重量%、好ましくは35〜80重量%になるまで、混合物を希釈する。続いて、30〜120℃で、場合により成分(C)と一緒に、水および/または溶媒で希釈した成分(E)を添加することによって、連鎖延長を実施する。反応時間2〜60分後、蒸留水を添加するか、または先に導入した蒸留水中に添加することによって分散させ、分散工程中または分散工程後、使用した溶媒を部分的にまたは完全に留去する。
【0141】
本発明の方法の別の態様では、工程(III)のアクリレートポリマーは、
(a)40〜70重量%のスチレンおよび/または別のビニル芳香族化合物、
(b)4〜40重量%のアクリル酸エステル、
(c)2〜5重量%の酸官能性オレフィン性不飽和モノマー、および
(d)10〜40重量%のメタクリル酸エステル
の反応によって得られ、成分(a)〜(d)の総重量割合は100重量%以下である。
【0142】
工程(III)のアクリレートポリマーを水性分散体の形態で適用することが好ましい。
【0143】
適当なビニル芳香族化合物(a)は、例えば、ビニルトルエン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンまたはテトラブロモスチレンである。スチレンが好ましい。
【0144】
適当なアクリル酸エステル(b)は特に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、2−メチルオクチルアクリレート、2−tert−ブチルヘプチルアクリレート、3−イソプロピルヘプチルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、5−メチルウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−メチルドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、5−メチルトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、2−メチルヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、5−イソプロピルヘプタデシルアクリレート、5−エチルオクタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、ボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを包含する。エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートが好ましい。エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはエチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
【0145】
適当な酸官能性オレフィン性不飽和モノマー(c)は、スルホン、ホスフェートまたはカルボキシル酸官能性モノマーであり、不飽和カルボキシル酸官能性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、或いは二塩基酸またはその無水物のモノアルキルエステル、例えばマレイン酸モノアルキルエステルが好ましい。また、WO−A 00/39181(第8頁第13行〜第9頁第19行)に記載されているような、ホスフェート基、ホスホネート基、スルホン酸基またはスルホネート基含有不飽和ラジカル重合性化合物もまた、成分(d)の化合物として適している。アクリル酸またはメタクリル酸が特に好ましい。アクリル酸が最も好ましい。
【0146】
適当なメタクリル酸エステル(d)は特に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−オクチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、2−メチルオクチルメタクリレート、2−tert−ブチルヘプチルメタクリレート、3−イソプロピルヘプチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、5−メチルウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−メチルドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、5−メチルトリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、2−メチルヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、5−イソプロピルヘプタデシルメタクリレート、5−エチルオクタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノナデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、シクロアルキルメタクリレート、例えば、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートまたはイソボルニルメタクリレートを包含する。また、メタクリル酸の誘導体を、メタクリルニトリルまたはメタクリルアミドのような対応するニトリルまたはアミドの形態で使用することもできる。更に、所望の用途に応じて別の官能性モノマー、例えば、ジアセトンメタクリルアミドまたはアセトアセトキシエチルメタクリレートを使用することもできる。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートが好ましい。メチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートまたはブチルメタクリレートが特に好ましい。
【0147】
ポリアクリレート分散体の調製は、自体既知の方法で、例えばエマルション重合によって実施してよい。好都合には、水、乳化剤および必要に応じて少量の開始剤をまず導入する、流入法によって実施する。その際、導入物質は好ましくは、水の総量に基づいて40〜80重量部の水、固体物質に基づいて0.1〜1.5重量部の乳化剤、必要に応じて、固体物質に基づいて0.01〜0.3重量部の開始剤を含有し、これらの重量部の合計は100.00重量部となる。次いで、少量の、好ましくは5〜15重量%のモノマーを添加し、場合により開始剤、好ましくは0.01〜0.3重量%の開始剤を同時に添加し、更なる重合工程が起こる内部種を生成する。
【0148】
次いで、先に記載した割合のモノマーを、この内部種に連続的に添加し、モノマーの各総重量に基づいて少なくとも95.0重量%、好ましくは少なくとも98.0重量%、より好ましくは少なくとも99.0重量%、最も好ましくは少なくとも99.5重量%の転化率まで重合させる。
【0149】
エマルションは、通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度で重合する。
【0150】
アクリレートポリマーを含有する分散体は、とりわけ、イオン性および/または非イオン性乳化剤および/または保護コロイドによって安定化される。イオノゲン乳化剤として、主としてアニオン性の乳化剤が考えられる。これらは、アルキル、アリールまたはアルキルアリールの、スルホネート、ホスフェート、ホスホネートまたは別のアニオン性末端基を有する化合物(ここで、オリゴまたはポリエチレンオキシド単位が炭化水素基とアニオン性基の間に位置してもよい)の、アルカリ塩またはアンモニウム塩であってよい。典型的な例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルジグリコール硫酸ナトリウム、デシルグリコールエーテル硫酸ナトリウム、オクチルフェノールグリコールエーテル硫酸ナトリウムまたはドデシルベンゼン硫酸ナトリウムである。
【0151】
非イオン性乳化剤として、通常、アルキルポリグリコールエーテル、例えば、ラウリルアルコール、オレイルアルコールまたはステアリルアルコールのエトキシル化生成物、或いはヤシ油アルコールのような混合物のエトキシル化生成物を使用する。アルキルフェノールポリグリコールエーテル、例えば、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、ジイソプロピルフェノール、トリイソプロピルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノールまたはトリ−tert−ブチルフェノールのエトキシル化生成物も適している。上記した化合物類に加えて、プロピレンオキシドのエトキシル化生成物を使用してもよい。
【0152】
適当な保護コロイドとして、天然物質、例えば、アラビアゴム、デンプン、アルギネート、或いは変性天然物質、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロールまたはカルボキシメチルセルロース、或いは合成物質、例えば、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを使用する。
【0153】
乳化剤がモノマー(サーフマー)とラジカル共重合するように、相応の官能化によって乳化剤を変性してもよい。
【0154】
また、前記乳化剤の混合物を使用することも可能である。
【0155】
乳化剤として、アルキルリン酸エステル、例えば、非イオン性ポリオキシエチレン付加物のリン酸エステル(Hercules firm(米国)からDextrol OC(登録商標)の商品名で入手可能)を使用することが好ましい。乳化剤の総量は、固体物質に基づいて0.3〜1.5重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%である。
【0156】
エマルションは、通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃で重合する。重合媒体は、水のみ、または水と水混和性液体(例えばメタノール)との混合物からなってよい。水のみを使用することが好ましい。エマルション重合は、回分法として、または段階操作または勾配操作を含む流入法で実施してよい。流入法が好ましい。流入法では、1種以上の純モノマーまたは乳化モノマー、および多くの場合水溶性の助剤を連続的に、段階的に、または幾つかの空間的に離れた流入物にわたって勾配を付けて添加する、同程度に小さいモノマーパッドで重合を実施する。内部種をイン・サイチューで形成することによって粒度を規定し、内部種の粒度は、乳化剤のモノマーに対する比から決定される。所定の粒度を有する外部種にまず導入することによって、粒度を制御することもできる。水性エマルションラジカル重合過程で、開始剤を重合容器に添加する方法が、当業者に知られている。開始剤は、最初に全てを添加してもよいし、或いは水性エマルションラジカル重合過程における消費に従って、連続してまたは段階的に使用してもよい。これは特に、開始剤系の化学的性質および重合温度に依存する。好ましくは、一部をまず導入して、残りを消費に従って重合領域に供給する。
【0157】
本発明の方法において使用する分散体は、被覆および接着技術分野で知られている結合剤、助剤および添加剤、特に、乳化剤、紫外線吸収剤のような光安定剤、立体障害アミン(HALS)、酸化防止剤、充填剤、助剤、例えば、沈降防止剤、消泡剤および/または界面活性剤、均展剤、反応性希釈剤、軟化剤、中和剤、触媒、補助溶媒および/または増粘剤、並びに顔料、着色剤または艶消し剤のような添加剤を伴って、或いは単独で使用してよい。粘着付与剤(タッキファイヤー)を添加してもよい。粘着付与樹脂は、添加剤として粘着性(即ち、短時間の軽い接触圧を加えた後、表面に強く付着する性質)を高める、天然および合成の樹脂またはポリマーの全てを意味すると理解される。これを達成するため、接着剤樹脂は、とりわけポリマーと十分な適合性を有さなければならない。タッキファイヤー自体が粘着性を有する必要はない。通常使用するタッキファイヤーは、特に、テルペンオリゴマー、脂肪族石油化学樹脂またはコロホニー樹脂である。
【0158】
本発明の別の態様は、基材、基材に隣接した第一層、および第一層に隣接した第二層を含んでなり、本発明の方法によって得られる製造物品であって、第一層が、42℃〜80℃の融点、−100℃〜−10℃のガラス転移温度および20000g/mol〜80000g/molの分子量M
wを有する第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを含んでなり、第二層が、−50℃〜10℃のガラス転移温度を有する第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを含んでなり、30℃以上のガラス転移温度を有するアクリレートポリマーを更に含んでなり、ガラス転移温度の全てを、20K/分の加熱速度でDIN 65467に従って示差走査熱量測定法によって測定する、製造物品である。
【0159】
本発明の物品の態様では、物品は、剥離紙または剥離フィルムを有さない。
【0160】
本発明の別の態様は、対象物を被覆するための、本発明の製造物品の使用である。
【0161】
本発明を、以下の実施例を参照して更に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【実施例】
【0162】
1.方法
1.1 ガラス転移温度の測定
ガラス転移温度T
gは、測定機器としてPerkin-Elmer製DSC-7熱量計を用い、DIN 65467に従って、DSC(示差走査熱量測定)によって測定した。温度は、インジウムおよび鉛の溶融開始温度を用いて較正し、実熱量は、インジウムの溶融表面積分を用いて較正した。
【0163】
約10mgの試験物質をDSCるつぼに導入し、その中でパンチで圧縮した。るつぼを蓋でしっかりと閉じた。
【0164】
連続して三回加熱した。第一加熱では−100℃から+80℃の最終温度に、第二加熱および第三加熱では−100℃から+150℃の最終温度に加熱した。加熱速度は20K/分であり、冷却速度は320K/分であった。セルパージガスはヘリウム(30mL/分)であり、セルは液体窒素を用いて冷却した。
【0165】
ガラス転移温度は、DSC測定曲線に接線を引くことによってDIN 51005に従って評価し、第三加熱後のガラス転移の半分の高さでの温度であった。
【0166】
1.2 貯蔵弾性率および損失弾性率を測定するための接着剤フィルムの製造
約2mmの厚さを有する接着剤フィルムが得られるように、分散体混合物をテフロントレーに流し込んだ(仮定:分散体密度=1g/cm
3)。流し込んだ分散体を、23℃/50%相対湿度で1週間乾燥した。その後、接着剤フィルムを使用して、貯蔵弾性率および損失弾性率のデータを測定した。
【0167】
1.3 粘着性を測定するための接着剤フィルムの製造
100μmドクターブレードを用いて、分散体をアルミニウム板に適用した。乾燥後に所望のポリマーフィルム厚さが得られるように、分散体の固形分を脱イオン水で予め調整した(仮定:分散体およびポリマーの密度は1g/cm
3)。分散体層を、標準的な運転環境(23℃/50%相対湿度)で24時間乾燥した。
【0168】
粘着性の測定
Stable Micro Systems Ltd.(英国サリー)製テキスチャー分析器を用いて、粘着性を測定した。テキスチャー分析器のV4Aプローブは、5mmの直径を有していた。
【0169】
粘着性を測定するために、600gのおもりを用いて、テキスチャー分析器のV4Aプローブをポリマーフィルムに1秒間押しつけた(V4Aプローブについて、これは3barの圧力に相当する)。次いで、V4Aプローブをポリマー層から直角に0.1mm/秒の速度で引き離し、引き離し過程における最大力[N/mm
2]を記録した。
【0170】
次いで、テキスチャー分析器の加熱板上で、ポリマー被覆アルミニウム板を2分間で70℃に加熱した。第一粘着性測定は、70℃で実施した。続いて、テキスチャー分析器の加熱板の温度を23℃に調節すると、加熱板のペルティエ素子は3分以内に23℃に冷えた。それぞれの場合に1分間隔で、接着剤層の粘着値を測定した。粘着値が0.001N/mm
2に低下するまで、測定を実施した。
【0171】
1.4 粒径の測定
レーザー相関分光法(装置:Malvern Zetasizer 1000, Malvern Instruments LTD)によって平均粒径(APS)を測定し、Z平均を得た。
【0172】
1.5 固形分(SMC)の測定
固形分を、DIN−EN ISO 3251に従って測定した。
【0173】
1.6 分子量の測定
重量平均分子量M
wを、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定した。
装置:屈折率検出器を備えたHewlett Packard 1100シリーズII
カラム加熱装置:VDS-Optilab Jetstream 2 Plus
カラム:1.PSS HEMA 40;50×7.8mm;Polymer Standard Services
2.Suprema 1000;300×7.8mm;Polymer Standard Services
3.PSS HEMA 300;300×7.8mm;Polymer Standard Services
4.PSS HEMA 40;300×7.8mm;Polymer Standard Services
5.PSS HEMA 40;300×7.8mm;Polymer Standard Services
移動相:ジメチルアセトアミド
条件:流速0.6ml/分;圧力110bar;温度30℃
標準:PSS(Polymer Standard Service GmbH)(ドイツ国マインツ)
【0174】
1.7 粘度の測定
DIN 53019に従って、Fa. Haake製VT-500回転式粘度計を用いて粘度を測定した。
【0175】
2.材料
2.1 第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーを合成するための材料
ポリエステルI:OHN=50mgKOH/gの1,4−ブタンジオールポリアジペートジオール
ポリエステルII:OHN=66の、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびアジピン酸のポリエステルジオール
Desmodur(登録商標) H:ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))
Desmodur(登録商標) I:イソホロンジイソシアネート(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))
【0176】
2.2 第二ポリウレタンおよび/またはポリウレアポリマーの合成に使用した材料
Baycoll(登録商標) AD 2047:直鎖ポリエステルジオール、OH価55mgKOH/g、2000g/mol、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国)
Desmodur(登録商標) I:イソホロンジイソシアネート(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))
【0177】
2.3 アクリレートポリマーの合成に使用した材料
アクリル酸(ACS):CAS 79-10-7, Aldrich(ドイツ国)
メチルメタクリレート(MMA):CAS 80-62-6, Aldrich(ドイツ国)
スチレン(S):CAS 100-42-5, Aldrich(ドイツ国)
N−ブチルアクリレート(BA):CAS 141-32-2, Aldrich(ドイツ国)
ブチルメタクリレート(BMA):CAS 97-88-1, Aldrich(ドイツ国)
過硫酸アンモニウム(APS):CAS 7727-54-0, Aldrich(ドイツ国)
Emulsifier Tannemul(登録商標) 951(E951):CAS 68610-22-0, Tanatex(ドイツ国)
Emulsifier Emulsogen(登録商標) APS 100:アルカンスルホネート、Clariant(ドイツ国)
Emulsifier Dextrol OC 40(登録商標):トリデシルアルコールエトキシレートのリン酸エステル
N−ドデシルメルカプタン:CAS 112-55-0, Aldrich(ドイツ国)
【0178】
3.合成
3.1 第一ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーの合成
3.1.1 カチオン性ポリエステル−ポリウレタン分散体
450gのポリエステルIおよび42.5gのポリエステルIIの混合物を、110℃および15mbarで1時間脱水した。60℃で、15.49gのN−メチルジエタノールアミン、53.76gのDesmodur(登録商標) H、次いで35.52gのDesmodur(登録商標) Iを添加した。1.56%の一定イソシアネート含量に達するまで、混合物を80℃で撹拌した。反応混合物を896gのアセトンに溶解し、その過程で50℃に冷却した。均質な溶液を、激しく撹拌しながら、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン2.81gおよびジエタノールアミン7.95gの水36g溶液と混合した。30分後、85%濃度リン酸14.3gおよび水894gの混合物を20分かけて添加することによって、分散させた。アセトンを留去することにより、固形分40.2重量%、および分散相の(レーザー相関により測定した)平均粒径193nmを有する溶媒不含有カチオン性親水化ポリウレタン−ポリウレア水性分散体を得た。
平均分子量M
w=39600g/mol
ガラス転移温度T
g=−57℃
融点T
m=49℃
【0179】
3.1.2 カチオン性ポリエステル−ポリウレタン分散体
450gのポリエステルIおよび42.5gのポリエステルIIの混合物を、110℃および15mbarで1時間脱水した。60℃で、15.49gのN−メチルジエタノールアミン、53.76gのDesmodur(登録商標) H、次いで35.52gのDesmodur(登録商標) Iを添加した。1.58%の一定イソシアネート含量に達するまで、混合物を80℃で撹拌した。反応混合物を896gのアセトンに溶解し、その過程で50℃に冷却した。均質な溶液を、激しく撹拌しながら、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン2.81gおよびジエタノールアミン10.60gの水45g溶液と混合した。30分後、85%濃度リン酸14.3gおよび水889gの混合物を20分かけて添加することによって、分散させた。アセトンを留去することにより、固形分40.3重量%、および分散相の(レーザー相関により測定した)平均粒径180nmを有する溶媒不含有カチオン性親水化ポリウレタン−ポリウレア水性分散体を得た。
平均分子量M
w=33600g/mol
ガラス転移温度T
g=−47℃
融点T
m=48℃
【0180】
3.2 第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマー(=PUD 1)の合成
486.25gのBaycoll(登録商標) AD 2047ポリエステルを、100℃および15mbarで1時間脱水した。60℃で、80.52gのDesmodur(登録商標) Iを添加した。1.80のイソシアネート含量に達するまで、混合物を90℃で撹拌した。反応混合物を850gのアセトンに溶解し、その過程で50℃に冷却した。均質な溶液に、激しく撹拌しながら、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩9.62gおよびジエタノールアミン8.20gの水170g溶液を添加した。30分間撹拌した後、水715gを添加することによって、50℃で20分かけて分散させた。アセトンを留去した後、固形分40.1重量%、分散相の平均粒径250nm、およびpH6.7を有する溶媒不含有ポリウレタン−ポリウレア水性分散体を得た。ガラス転移温度T
gは+2℃、重量平均分子量M
wは35500g/molであった。
【0181】
3.3 アクリレートポリマーの合成
一般的な合成仕様
制御加熱冷却装置および撹拌モーターを備えた3L容のガラス製反応器に、窒素雰囲気下、まず、相応量の乳化剤E1と一緒に水を導入した。次いで、溶液を所定の温度に加熱した。重合温度に達した後、内部種を調製するためのモノマー混合物M1および開始剤混合物W1を、30分かけて計量添加ポンプによって添加した。続いて、モノマー混合物M2および水溶液W2を、相応の温度で240分かけて添加した。M2およびW2の添加完了後直ちに、後活性化のための水溶液W3を60分かけて添加した。分散体を60分間撹拌し続け、その後冷却した。pHを7に調整するために、相応量のアンモニア性溶液(W4)をゆっくりと滴加し、得られた分散体を、125mmフィルター上に注いだ。
【0182】
以下の表に、一般的な上記手順に従って実施した実施例3.3.1〜3.3.5の結果をまとめる。
【0183】
【表1】
【0184】
4.第二ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーおよびアクリレートポリマーを含んでなる接着剤組成物
原料:
I. Dispercoll U56
II. PUD 1(Baycoll AD 2047のPUD)
III. PAC 1(3.3.2に従って調製)
組成:
実施例1:Dispercoll U56
実施例2:60%PUD 1+40%PAC 1
実施例3:70%PUD 1+30%PAC 1
実施例4:80%PUD 1+20%PAC 1
接着剤層:
比較例:50μmの実施例1のポリマー=部分結晶性ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマー
【0185】
(工程II):
100μmのDispercoll U56を、ドクターブレードを用いてアルミニウム板(厚さ1.0mm)に適用し、70℃で乾燥した。乾燥ポリマーの接着剤層は、50μm、即ち50g/m
2の厚さを有していた(仮定:ポリマー密度=1g/mL)。
接着剤ポリマー被覆アルミニウム板を、70℃に予熱した、テキスチャー分析器の加熱板(ペルティエ素子)上に設置し、接着剤層の粘着性を70℃で測定した。粘着性測定の実施については先の記載を参照されたい。
次いで、テキスチャー分析器のペルティエ素子のサーモスタットを23℃に調整した。アルミニウム板上の接着剤層が冷えた。冷却過程において、接着剤ポリマーの粘着性を、それぞれの場合に60秒間隔で測定した。粘着性を測定した際の温度も記録した。
【0186】
本発明の実施例
実施例1のポリマー50μm+実施例2、3および4のポリマー40μm(実施例6〜8)
実施例5の接着剤ポリマーで被覆したアルミニウム板を、実施例2、3および4の分散体100μmで被覆した(工程III)。40%の分散体ポリマー割合で、40μm、即ち40g/m
2の厚さを得た(仮定:ポリマー密度=1g/m
2)。
接着剤ポリマー被覆アルミニウム板を、70℃に予熱した、テキスチャー分析器の加熱板(ペルティエ素子)上に設置し、接着剤層の粘着性を70℃で測定した。粘着性測定の実施については先の記載を参照されたい。
次いで、テキスチャー分析器のペルティエ素子のサーモスタットを23℃に調整した。アルミニウム板上の接着剤層が冷えた。冷却過程において、接着剤ポリマーの粘着性を、それぞれの場合に60秒間隔で測定した。粘着性を測定した際の温度も記録した。
【0187】
【表2】
【0188】
部分結晶性接着剤ポリマーのみが、600秒後に0.05N/mm
2未満の粘着値に達した。
【0189】
【表3】
【0190】
【表4】
【0191】
【表5】
【0192】
僅かな短い時間の後、剥離層で被覆した部分結晶性ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ポリウレアポリマーは既に、もはや接着性ではなかった。剥離層の適用および乾燥後、部分結晶性接着剤ポリマーを有するウェブ状基材はすぐに、粘着せずに巻き取ることができた。